高校を卒業してから、三年が過ぎ、五年が過ぎ。
そして十年の月日が流れた。
私の大学入学直後から始まった恋人関係は拍子抜けするほど順風満帆で。
それ故に次のステップに進むことの出来ない現実が、やり場のない苛立ちを生む。
どんなに愛し愛されようと、世間は私達に恋人以上の関係を与えてはくれなった。
残酷なまでの永遠不変。私とにこの関係とは、そういうものだった。
閉塞しきった関係性に変化をもたらそうと、生活に支障の出ない範囲でやれることは何でもやった。
今も左手の薬指にはお揃いの指輪をはめていたし、親しい友人や家族を招いて結婚式の真似事もやった。
けれどそれでも私達は、変化もなく立ち止まったまま。
相変わらず人前ではキスは愚か、手を繋ぐことさえ躊躇われた。
人前で堂々と愛し合えないことは、十年前のあの日から。
初めから分かっていたつもりでいたけど。
それでも誰からも認めてもらえない私達の生き方は、愛があったとしてもあまりに耐え難い哀しみに覆われていた。
お互いだけが居ればそれで良いと。そう信じて愛し合っていた日々は何処へ消えてしまったのだろう。
これは恋などではなく、ましてや愛でもない。ただの痛み。痛みでしかない。
元スレ
絵里「これは」にこ「恋ではない」
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