1998年9月28日
恒一「え?」
見崎「合宿の時に話した私の双子の姉妹」
恒一「藤岡未咲さん…だっけ。でも4月に亡くなったんじゃ」
見崎「そう。死んだはずのわたしの半身。びっくりして心臓が止まるかと思った」
恒一「死んだひとが生き返るなんて…まさかまた災厄が始まるの!?」
見崎「それはないと思う。だって未咲から死の色は見えなかったから」
元スレ
見崎「未咲が生き返った」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1340471753/
恒一「にわかには信じがたいよ…今は未咲さんはどこにいるの?」
見崎「病院。10月に退院予定だって」
恒一「本人はなんて言ってるの?」
見崎「未咲には死んだときの記憶とか無いみたい」
恒一「なんでそんなことが…夜見北にそんな噂ってあるの?」
見崎「わからない。そんなの聞いたこともないし」
恒一「そうか…そうだよね…」
1998年10月26日
恒一(10月になって生き残ったみんなが学校に来るようになった)
恒一(夏休み中に逃げ出す人もいるって見崎が言ってたけど綾野さんの件で思いとどまったのかな)
恒一「おはよう~」ガラッ
桜木「あ、おはようございます榊原君」ニコッ
恒一「」ドンガラガッシャーン!!
勅使河原「おいサカキどうした!?」
有田「転んでる榊原君かわいい…」
桜木「だ大丈夫ですか!?」
恒一「さ、桜木さん…(なんで…?)」ア、パンツミエタ
勅使河原「どぉしたぁーサカキぃ?昨日のオカズは桜木だったのかぁー?」ニヤニヤ
恒一「ちち違うよ!」
勅使河原「そうだよなぁサカキには鳴ちゃんがいるもんな~」
恒一「やめろよその言い方…」
見崎「」ガラッ
勅使河原「噂をすれば愛しの鳴ちゃんがおいでなすったぜ」
桜木「あ、おはようございます見崎さん」ニコッ
見崎「」ドンガラガッシャーン
勅使河原(ほんとに夫婦なんじゃねーのこいつら)ア、パンツミエタ
昼休み
恒一(みんな普通に授業を受けてたよ…)モグモグ
恒一「なあ勅使河原、今年の災厄で最初に犠牲になったのって誰だっけ?」
勅使河原「へ?」クチャクチャ
望月「榊原君…食事中ぐらい暗い話題はよそうよ…」
恒一「いいから答えてくれ。すごく大事なことなんだ」
勅使河原「最初の犠牲者って…水野の姉貴だろ?看護婦やってたっていう…」クチャクチャクチャ
恒一「!」
恒一(覚えてない…?)
望月「もうよそうよこんな話…あとクチャクチャうるさいよ…」
恒一「ご、ごめん…」
勅使河原「ぬはは!まあ気にするな!」クチャクチャクチャクチャ
望月「」ブチッ
――放課後
ザアァァァァァァ…
恒一(勅使河原は早退か…。雨が強くなってきたな…傘持ってきて無いや)
桜木「榊原君?」
恒一「あ…」
桜木「傘…持ってきてないんですか?」
恒一「うん…大丈夫かなと思ったんだけどね」
恒一(傘が微妙に変わってる。先端が尖ってない)
桜木「…あの…それじゃ一緒に帰りませんか?」
恒一「え…でも…さすがにそれは悪いし…」
桜木「…遠慮しない遠慮しない!さ、行きましょ!」ニコッ
スタスタスタスタ...
恒一(見崎の言ってたことは本当だったのか)スタスタ
恒一(いままでのことも覚えてるのかな)スタスタ
恒一「そういえばさ、文化祭ってどうなってるの?」
桜木「喫茶店に決まりましたよ。覚えてないんですか?」
桜木「望月君の義姉さんに協力していただいて、お菓子作ったり、コーヒー作ったり」
桜木「榊原君には中心になってもらいますよ?」
恒一「ああ、そういえばそうっだったね」
恒一(決まった時は桜木さんは死んでいたのに)
帰り道
恒一「ち、ちょっと!桜木さんくっつきすぎじゃない!?」
桜木「こうしないと濡れちゃいますから」
恒一(予想はしてたけど、相合傘…。肘に素敵な感触が…)
恒一「一つ聞いていい?桜木さんのお母さんって…」
桜木「げんきですよ。5月に交通事故起こしちゃってあわてて病院行ったら」
桜木「お医者さんと談笑してたんです。なんだか拍子抜けしちゃいました」
恒一(なかったことにされるのか)
恒一(二人とも死んでたって言っても信じてくれなさそうだな)
―――――
――
恒一「あ、僕の家ここだから。ありがとう桜木さん」
桜木「いえいえ、いろいろお話しできて楽しかったです。また明日ですね~」
見崎「…」
~翌日・昼休み~
恒一「千曳先生。災厄についてお聞きしたいことがあるのですが」
千曳「好きだね君たちも。災厄は止まったんだから学生生活を満喫したらどうだ」
恒一「別の現象が起きているみたいなんです」
千曳「どういうことだ」
見崎「4月に死んだ私の双子の片割れが9月に」
恒一「5月に死んだ桜木さんと桜木さんのお母さんが10月によみがえりました」
千曳「…私は冗談は好きではないのだがね。第一そんな記録もない」
千曳「今年の災厄は6月から始まったはずだ」
恒一「改竄されてるんです。記録も記憶も」
千曳「災厄の特徴じゃあないかそれは。生き返ったものを死に還せということかい?」
恒一「そうじゃなくて…」
恒一「こんなことが過去にあったかを聞きに来ただけなんです」
千曳「さっきも言ったがそんな記録も記憶もない」
千曳「もう昼休みも終わる。教室に戻りなさい」
見崎「これ以上は不毛ね」
――廊下
恒一「千曳先生は信じてくれなかったか…」
見崎「普通は信じないよそんな話。榊原君もまだ信じてないでしょ」
恒一「死んでから丁度5ヶ月後…来月は水野さんと高林君」
恒一(今水野さんに電話かけたらどうなるんだろう)ピッピッ
オカケニナッタデンワバンゴウハ・・・
恒一(やっぱりだめか)ピッ
1998年11月2日・文化祭
恒一(喫茶店でいろいろ作ることになったけど…)
恒一(イノヤのメニューそのまんま出して大丈夫なのかな…)
恒一(中学生の文化祭で出すもんじゃないだろこれ)
多々良「ハワイコナ・エクストラファンシー入りました~」
恒一(メイド姿の多々良さんもなかなか…しかしこのコーヒーは…)
恒一(赤沢さんに勧められて飲んだやつだ)
恒一(あの合宿で死んだみんなも生き返るんだろうか)
恒一(そうすると怜子さんは…?)
恒一(…今は学校生活を楽しもう…)
数時間後
恒一(やっと自由時間になった…そういえば見崎いないな)
桜木「榊原君!」
恒一「あ…桜木さん」
桜木「一緒に回る約束してましたよね?」
恒一「ああ、そうだったね。どこ回る?」
桜木「体育館行きませんか?渡辺さんが演奏するみたいですよ?」
恒一「いいね。じゃあいこうか」
――――――――
―――――
――
恒一「激しかったね…」
桜木「そうですね…」
文化祭後
恒一(結局最後まで桜木さんと回ってたな。見崎はどこ行ってたんだろう)
恒一(3年1組でやってた大食い選手権で眼帯をした女の子が優勝したらしいけど…)
恒一(まさかね…)
勅使河原「おーいサカキぃ!片付け終わったらイノヤで打ち上げやるぞー」
恒一「うん、わかった」
1998年11月4日
キーンコーンカーンコーン
勅使河原「サーカキぃーメシ食おーぜー」
恒一「いいよ」
望月「僕もいるよ」
勅使河原「ヒィッ!?ぼ、暴力はよくないッ!」
恒一「クチャクチャ音たててたのが悪いんじゃないか…自業自得だよ…ん?」ブーッブーッ
恒一「…電話…水野さん…だと…?」
望月「どうしたの?顔色悪いけど…」
恒一「ごめんちょっと席外すねっ!」
~廊下~
恒一「…もしもし?」
沙苗『久しぶり!元気にしてたかいホラー少年!』
恒一「水野さん…?水野さんなんですね!?」
沙苗『最近話してなかったから寂しくなってつい電話しちゃったよーあはは』
見崎(…榊原君?誰と電話してるんだろう…)
沙苗『噂の見崎鳴ちゃんとはうまくいってるの…ザザッ…青春っていい…ザザ…』
恒一(やっぱり今年の犠牲者が順番に…)
恒一「見崎とはそんなんじゃないです。ただの友達ですよ」
見崎(…!)
恒一「それより今どこにいるんですか!?」
沙苗『屋上からエレベーターに乗って…ザザッ…』
恒一「エレベーター…?……ッ!」
恒一「水野さん乗っちゃだめだ!すぐに降りて!」
沙苗『…ザザッ…え?何言って…ザザッ…ザ――』プツッ!ツーッツーッ…
恒一「水野さん…?水野さんッ!?」
ブーッ!ブーッ!
恒一「あれ?」
恒一「もしもし?」pi
沙苗『ごめんごめん!電話切れちゃった!』
恒一「はあ…今どこにいるんですか?」
沙苗『エレベーター降りたとこ。今昼休み中なんだ』
恒一「…おげんきそうでなによりです」
沙苗『あ!やばっ主任いる!また今度かけるね!それじゃっ!』
恒一「あ…切れちゃった。水野さんが事故にあったのが6月3日」
恒一「昨日生き返ったのかな…」
恒一「翌日に高林君が心臓をっ…ってあれ?今日高林君来てないぞ…」
勅使河原「おー戻ってきた。どうしたんだ?」
望月「顔色悪かったけど大丈夫?」
恒一「水野君のお姉さんから電話あったんだ」
勅使河原「水野の姉貴かぁー!サカキは年上のお姉さんが好きなんだな?」
望月「うんわかるよ。年上っていいよね」
恒一「からかわないでくれよ…。ところで今日高林君は?」
勅使河原・望月「…!」
恒一「(二人の顔が険しくなった…?)どうしたの?」
勅使河原「サカキ…その話はよせ」
恒一「え…いやでも」勅使河原「よせっていってんだろ!」バンッ
恒一「…わかったよ」
――恒一の家
恒一(なんであんなに過剰に反応したんだろう)
恒一(生き返ってないなんてことは…)
恒一(考えても仕方ないか…。桜木さんオカズにして一発出して寝よう…)
1998年11月5日
千曳「榊原君」
恒一「はい」
千曳「よし…全員いるな。一つ連絡事項がある」
恒一(みんな朝から異様にそわそわしてる…何があるんだ…)
千曳「昨日の高林君の手術についてだが…」
恒一(!!)
千曳「無事、成功したようだ」
勅使河原「イヤッホオオオォォウ!!」ガタッ
ヨカッター サスガフェアバヤシ
千曳「月末に退院するそうだ。来月からは登校できるだろう」
千曳「HRは以上だ」ガラッピシャッ
恒一(そういうことか…)
恒一(高林君は昨日生き返ったけど、手術をすることになっていた。それも生死にかかわるような)
恒一(失敗すれば災厄の再来を意味する。だからみんな触れないようにしてたんだ)
1998年12月14日
―――校門前
恒一「月曜はやっぱり憂鬱だな…寒いし…」
高林「榊原君!」タッタッ
恒一「…!…高林君…」
高林「久しぶりだね!」
恒一「ああ、うん。久しぶり。それより走って大丈夫なの?」
高林「うん。これでやっとフェアな人生を送れるよ」
高林「元気になったことを伝えたかったけど人もいるけどね」
恒一(そうか高林君の母方の祖父母は…。てか術後の回復早すぎだろ)
――教室
勅使河原「えー男子諸君!きたる12月24日!イノヤにて『(彼女が)いないものパーティ』を開催する!」
勅使河原「参加資格は彼女がいない男子だ!」
前島「勅使河原、そろそろ先生来るぞ。席に着いとけよ。ちなみに俺は参加するぞ」
久保寺「おはようございます」ガラッ
恒一(え…!?)
勅使河原「あ!せんせーい!クリスマスイブに彼女いない奴らでパーティやるんすけど来ますか!?」
久保寺「私が…ですか。残念ながら私にはその資格がないようです」
勅使河原「へ?」
久保寺「皆さんには伝えていませんでしたが、来年の春結婚します」
ナンダッテ!? ドクシンノハズジャ… フェアジャナイネ
久保寺「今年は悲しい年になり、自分だけ幸せになるのはとても心苦しいのですが」
久保寺「母が重病でしてね。少しでも元気づけるために明るい報せが必要だったのです」
久保寺「母の介護も献身的にしてくれる女性でして…クリスマスに
勅使河原「ス、ストップ!これ以上は俺たちが悲しくなるから!いつまでもお幸せにっ!」
久保寺「そうでしたね。それでは出席を取ります。有田さん」
有田「はい」
恒一(久保寺先生まで…しかも『母の介護』を手伝ってくれる人と『結婚』)
恒一(高林君も元気になって復活したし)
―――授業中
恒一(見崎は今日は来てないのか…)チラッ
久保寺「うんたらかんたら…」
恒一(久保寺先生の授業はやっぱり退屈だな…)
――帰り道
恒一「進路相談で遅くなっちゃったな…ん?」
恒一「あれは…見崎?!」
見崎「~」テクテク
??「~」テクテク
恒一(一緒に歩いている男は誰だろう…。それにあんなに楽しそうにしてる見崎初めて見た)
恒一(見崎は付き合っている人がいたのか…いつもと雰囲気も違うし…)
恒一「はぁ…」
1998年12月24日
イノヤ
勅使河原「クリスマスイブなのに彼女がいない3年3組の男性諸君!よく集まってくれた!」
勅使河原「今日は存分に傷を舐め合おうではないか!だが!」
勅使河原「その前に言っておきたいことがある」
勅使河原「おまえなんでここにいんの?」
恒一「え…」
中尾「そうだ!お前なんかスライスされちまえばいいんだ!」
ソウダー コレハフェアジャナイネ スクリューナラマカセロー
恒一「ちょっと待ってよ!ここに来たのはちゃんとした理由があるんだ!」
勅使河原「なんだ?鳴ちゃんに振られたのか?」
恒一「見崎に彼氏がいたんだ…」
勅使河原「oh…」
恒一「…見崎は僕のこと好きだと思ってたのに…今日一緒に過ごすつもりだったのに…」ブツブツ
勅使河原「おい…なんか塞ぎ込んじゃったぞ…」
前島「結局クラスの男子全員来たのか…あれ?和久井いねーぞ!」
望月「和久井君は綾野さんに会いに行ってるらしいよ」
前島「なんだって!?」
望月「2学期の最終日にクリスマス会うんだって嬉しそうに語ってたけど…」
猿田「あんな顔して結構なやり手なんだぞな!」
恒一(あれ?なんで中尾君いるんだ?…ああ、そうか。綾野さんも生き返ったのか)
1999年1月9日
恒一(今日はあの合宿から5ヶ月…)
祖母「おはよう。きょうもさむいねえ」
恒一「おはようおばあちゃん。……怜子さんは?」
祖母「怜子?怜子がどうしたんだい?」
恒一「いや…今どこにいるのかなって…」
祖母「怜子はねえ…」
恒一「…」
祖母「あんなことがあったけど、理津子と天国で仲良くしてるよきっと」
恒一「う…」
祖母「急に怜子のこと話し出してどうしたの?」
恒一「な、なんでもないよ。2年前に来た時のこと思い出して…」
祖母「そう。正月のお餅残ってるから食べちゃって頂戴。おじいちゃんに食べさせちゃだめよ!」
恒一「わかってるよ」
夕方・恒一の部屋
恒一(怜子さんは生き返らなかった…いや)
恒一(合宿の時見崎に電話したのが日付が変わるか変わらないかの時だった…)
恒一(怜子さんが生き返るのは明日?それとも…)
prrrrr!
恒一「ん…電話だ。これは…」pi
恒一「もしもし?」
赤沢『もしもし恒一君?今大丈夫?』
恒一「赤沢さん…!?…大丈夫だよ」
赤沢『明日願書提出しに東京に行くんでしょ?』
恒一(怜子さん以外は生き返ったのかな)
恒一「うん、そうだけど。朝も早いしおばあちゃん明日いないし大変だよ」
赤沢『それなら私と一緒に行かない?車もあるし迎えに行くわよ』
恒一「え…いいの?」
赤沢『同じ高校受けるんだし、恒一君に案内役をお願いしたいの』
赤沢『私東京なんてめったに行かないし、恒一君慣れてるでしょ?』
恒一「そういうことなら、お願いするよ」
赤沢『じゃあ決まりね。明日恒一君の家に迎えに行くから。それじゃ少し早いけどおやすみ』
恒一「あ!ちょっと待って赤沢さん!」
赤沢『なに?』
恒一「あの…夏の合宿のことって覚えてる?」
赤沢『…明日車の中で話すわ。今日はもう寝ましょう。おやすみ』
恒一「あ…切れた。今日は早く寝よう…」
1999年1月10日
恒一(家の中に怜子さんの姿はない。怜子さんの物も)
恒一(怜子さんにはもう会えないのか…。もう2度と…)
ピンポーン
恒一「…たぶん赤沢さんだ。準備もできたしいこうか」
赤沢「おはよう恒一君。さあ行きましょうか」ガチャ
恒一(…!…目の前で死んだ人と再び対面するのはやっぱり慣れないな)
恒一「おはよう赤沢さん。髪、バッサリ切ったんだ」
赤沢「何言ってるの?ずいぶん前に切ったじゃない」
~車内~
恒一「赤沢さん…三神玲子さんって覚えてる?」
赤沢「覚えてるわ」
恒一「!?…本当に!?」
赤沢「名前だけね。おにぃ…私の従兄が死んだときの3年3組の担任」
赤沢「通り魔に刺されて亡くなったみたいだけど」
恒一「…そうだったんだ…やっぱり怜子さんは…」
赤沢「恒一君」ギュッ
恒一「わわっ(赤沢さんに手を握られた!)」
赤沢「私の手…暖かい?」
恒一「…うん。暖かいよ(ちょっと興奮してきた)」
赤沢「そう!よかった。…実はね、私一回死んだ気がするの」
恒一「!!」
赤沢「燃えている館の中で、飛び散ったガラスの破片が私の全身に刺さって…」
赤沢「あの夏の合宿についてはそれしか思い出せないの。無事に終わったはずなのに」
赤沢「私は死者で、卒業式と同時にいなくなるんじゃないかって」
恒一「赤沢さんは死者じゃないよ。僕が保証する」
赤沢「…!嬉しいこと言ってくれるのね」
恒一「赤沢さんには全部話しておこうと思うんだ」
~説明中~
赤沢「そんな話信じられるわけが…」
恒一「千曳先生にも言われたよ」
赤沢「でも今はっきりと思い出した…やっぱり私死んだのね」
赤沢「そして昨日生き返った…と」
恒一「とんでもないことを言ってるのはわかってるけど、信じてほしい」
赤沢「…恒一君が言うのなら信じるわ」
赤沢「風見君や見崎さんには悪いことをしてしまったようね」
恒一「仕方ないよ。あのときはみんな災厄を止めるのに必死だったし」
赤沢「今年は災厄が起きてないから対策係の責任は果たしていると思ってたけど」
赤沢「とんだ無能だったわけね私は」
恒一「そんなに卑屈にならなくても」
運転手「つきましたよ」
赤沢「まあいいわ。行きましょう恒一君」
―――帰りの車中
赤沢「ごめんなさいね。私のわがままでいろんなところに寄り道しちゃって」
赤沢「家に着くころには明日になってるわ」
恒一「僕も楽しかったしいいよ。赤沢さんもこういう息抜きが必要なんじゃないかな」
赤沢「私そんなに遊んでないように見える?」
恒一「僕は赤沢さんの記憶は8月までしかないからね」
恒一「災厄を止めるためにいろんなものを背負ってたみたいだし」
赤沢「私はあるけどね。私が死んだっていう合宿の後の記憶も」
赤沢「文化祭で恒一君の淹れたcoffeeを味わったり」
赤沢「演劇部の発表も見てもらったりしたわね。ゆかりと二人で来てたでしょ?」
恒一「ごめん、赤沢さんその時死んでたから…」
赤沢「まったく…、やんなっちゃう…。演劇の感想まだ聞いてなかったのに」
恒一「コーヒーの味はどうだった?赤沢さんの記憶では何飲んでたの?」
赤沢「ハワイコナのエクストラファンシー。恒一君は本物ね。すごくおいしかったわ」
恒一「あはは…。それより赤沢さん、なんで僕と同じ高校行こうとしたの?勉強は大丈夫?」
赤沢「相変わらずニブチンなのね。勉強は大丈夫。合格圏内よ」
運転手「つきましたよ」ガチャ
車外
赤沢「…恒一君と同じ高校に行こうとしたのは…もうはっきり言ってやるわ」
恒一「え?」
赤沢「私は恒一君が好き。初めて会った時から」
赤沢「だから私と付き合ってほしいの」
恒一「赤沢さん…」
赤沢「でも恒一君が止めた災厄が再び起こるともわからない」
赤沢「返事は対策係としての仕事が終わった後に聞かせてほしいの。私待つから」
恒一「…わかったよ」
赤沢「いろいろ吐き出せてすっきりした。受験、がんばりましょうね」
恒一「うん、赤沢さんも。それじゃ」
1999年1月11日
恒一「ふぁ~あ…おはよう」ガラッ
王子「おはよう、榊原君。いや、あけましておめでとうかな?」
恒一「…!お、おはよう」
恒一(王子君は焼死したんだっけ)
恒一(赤沢さんは…杉浦さんと話してる。首吊って死んだ事は覚えてないのかな)
恒一(小椋さん…あの時はごめん…)
恒一(風見君は桜木さんと会話出来て幸せそうだ)
恒一(松井さんは…金木さんと見つめ合ってるな…なんだか懐かしい)
恒一(川堀君は水野君凝視してるけどなにかあったのかな)
望月「おはよう、榊原君」
恒一「おはよう望月。高林君がいないけどどうしたの?」
望月「明日から来るらしいよ。なんでもお爺ちゃん達と旅行だとか」
恒一(合宿での犠牲者はみんな…でも怜子さんはいないまま…か)
放課後
見崎「榊原君」
恒一「ん…見崎?どうしたの?」
見崎「一緒に帰らない?」
恒一「え…一緒に帰っちゃって大丈夫なの?」
見崎「『友達』でしょ?一緒に帰ったっていいじゃない」
恒一「ああ…じゃあ一緒に帰ろうか(なんだか見崎がこわい)」
――――――
―――――
見崎「みんな、生き返ったのね」
恒一「怜子さんを除いて、ね」
見崎「後悔してるの?三神先生のこと」
恒一「…してるよ。ものすごく。でも、僕がやらなきゃ駄目だったんだ」
見崎「そう。ごめんなさい、嫌なこと思い出させて」
恒一「…ねえ見崎、今って彼氏、いるの?」
見崎「いないけど、どうして?」
恒一「去年の12月に見崎が知らない男の人と手をつないで歩いてるのを見たんだ」
見崎「それ私じゃないよ」
恒一「え?だってあのアホ毛は見崎…」
見崎「榊原君が見たのは藤岡未咲。私の双子の片割れ」
見崎「クリスマスまでに未咲に彼氏ができるか賭けをして、私が敗けたの」
見崎「服も私の着て出てったから見間違えたのかもね」
恒一「そうだったんだ。じゃああの日見崎は…」
見崎「家で霧果とさみしくクリスマス。…電話、待ってたんだけどな」
見崎「榊原君こそ彼女いないの?モテモテなんでしょ」
恒一「そ、そんなことないよ…」
見崎「来月には嫌というほどわかるよ。…私、こっちだから。それじゃ」スタスタ
恒一「あ、うん。じゃあね」
1999年1月下旬
東京
恒一「高校の入試に東京まで赤沢さんと来たけど…」
赤沢「」プルプル
恒一「赤沢さん緊張しすぎだろう…。あの強気な赤沢さんはどこへ…」
~試験後~
恒一「ふぅ…。何とかなったな。あとは結果を待つだけだ」
赤沢「恒一君」
恒一「あ、赤沢さん。どうだった?」
赤沢「完璧よ。対策係は何事も有能じゃないとね」
恒一「僕が呼んでも気づかないぐらい緊張してたのに?」
赤沢「と、とにかく!あとは結果を待つのみよ!」
数日後
久保寺「赤沢さん、榊原君、入試の合否通知が学校に届きました」
久保寺「今からお渡しします」
恒一(自信はあるとはいえ緊張するな)ドキドキ
ピラッ
恒一「や、やった!合格だ…!」
久保寺「おめでとう、榊原君。そして赤沢さんも」
赤沢「イヤッフゥゥゥwwwハッハーwwwww」
恒一「赤沢さん!?どこに行くんだ!」
1999年2月14日
恒一宅
ピンポーン
恒一「はーい」ガラッ
見崎「…こんにちは」
恒一「見崎!?どうしたの?今日は日曜日だけど…」
見崎「明日だと渡せないと思ったから」
恒一「渡すって何を…」
見崎「これ」
恒一「チョコ?あ…今日はバレンタインデーか」
見崎「本命だよ?思いを寄せる人に贈るチョコ」
恒一「え…それは…見崎が…僕のことを?」
見崎「かっこよくて、優しくて、料理が上手くて、災厄を止めるのに一生懸命で」
見崎「合宿の時赤鬼から身を挺して私を守ってくれたのが榊原くん」
見崎「好きにならないほうがおかしいでしょ?」
恒一(さりげなく毒吐くんだね…)
見崎「だから、もう『友達』じゃ我慢できないの」
見崎「今日来たのは明日榊原君は大変な日だろうから」
恒一「返事は…ホワイトデーでいいかな」
見崎「焦らすのが好きなのね。卒業式まで待つよ。じゃあね」
恒一「せっかく来たんだから何か食べて行けばいいのに」
見崎「…おじゃまします」
――翌日
赤沢「はい。恒一君」
赤沢「本命よ」コソッ
恒一「あ、ありがとう…」
勅使河原「赤沢ー!俺にはー?」
赤沢「はい」つチロルチョコ
勅使河原「またチロルチョコ…今日これで9つめ…家族ですらチロルチョコ…」
勅使河原「ちくしょおおおおおおお」ガンッ
桜木「榊原君!これ…!」
恒一「ん、ありがとう桜木さん。西高受かったんだってね。おめでとう」
風見「…チッ」
多々良「榊原君」
有田「榊原君」
小椋「榊原君」
男子「…チッ」
恒一(他の男子の視線が痛い…。見崎が言ってたのはこれか)
恒一(前に中尾君に睨まれたときと同じ感覚だ)チラッ
中尾「」グッ
恒一(中尾君がこっち見てガッツポーズしてる…左手にはチョコ?)
恒一(杉浦さんからもらったのか…おめでとう中尾順太)
1999年3月14日
久保寺「以上29名、担任、久保寺」
恒一(やっと卒業式だ…。これが終われば今年の災厄はもう終わり)
恒一(いや、災厄なんてなかった。悪い夢を見てただけ)
恒一(今年は『ない年』…)
――――――
―――――
勅使河原「おーいみんなー。この後イノヤ貸切って打ち上げやるぞー」
勅使河原「17:00ぐらいから始めるからそんぐらいに来てくれー」
千曳「記念写真を撮るよ。みんなならんで」
パシャ
久保寺「それではみなさん。17:00にまた会いましょう。」ガラッ
千曳「いったん解散だ。それではみんな元気でな」ピシャ
見崎「恒一君」
恒一「ん…?どうしたの見崎(あれ…?)」
見崎「この後屋上に来て」スタスタ
恒一(ああ、バレンタインの時のことか。…よし、ちゃんと伝えよう)
恒一(その前に有田さん江藤さん小椋さん桜木さん佐藤さん多々良さんにお返ししとこう)
屋上
恒一「見崎」
見崎「…やっと来たのね」
恒一「バレンタインのお返ししてたら…」
見崎「恒一君がモテモテなの、理解できた?」
恒一「男子からの冷たい視線がつらかったよ…」
見崎「それで、私には何もなし?」
恒一「ああ、それならここに」ガサゴソ
見崎「それじゃなくて私の告白の返事」
恒一「先に言わなくちゃダメ?」
見崎「だめ」
赤沢「まちなさい」
恒一「赤沢さん…」
赤沢「見崎さんも恒一君に告白してたのね。それも同じ条件で」
見崎「無能対策係さんこんにちは。今恒一君は私と話してるの」
赤沢「根暗眼帯オバケが何言ってるの?早く成仏しなさい」
見崎「無能沢さんこそ死んだのになんでこの世にいるの?もしかして来年度の死者?」
赤沢「あなた死者の判別ができるなら一生夜見北に張り付いてなさい。私は恒一君と東京行くから」
恒一「何喧嘩してるんだよ…。二人とも落ち着いてよ…」
赤沢「恒一君がどちらかを選べば解決する話よ」
見崎「早く答えを聞かせて」
恒一「…わかったよ言うよ」
恒一「僕は…」
イノヤ付近
恒一「ちょっと遅れちゃったな…ん?あれは…」
綾野「あ!お仲間はっけーん!」タッタッ
恒一「綾野さん!」
綾野「やっほーこういっちゃん!」
恒一「久しぶりだね。こっち戻ってきたんだ」
綾野「早く入ろうよ!みんなに会いたいし!」
恒一「うん、行こうか」
イノヤ
勅使河原「全員揃ったな?綾野も来たしこれでフルメンバーだ!」
勅使河原「中尾ッ!」
中尾「乾杯はまかせろー」カンパーイ
恒一(聞いた話だと小椋さんのお兄さんは春から大学らしい)
恒一(風見君は桜木さんと同じ高校に受かったみたいだ)
恒一(中尾君は杉浦さんと付き合い始めて…)
恒一(死んだ人が生き返って幸せになる…)
恒一(そんな現象なんだろう)
恒一(そしてこの現象を起こしてるのはおそらく…怜子さんだ)
望月「榊原君、何飲んでるの?」
恒一「…」チラ
恒一「ハワイコナのエクストラファンシーだよ」
おわり
88 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/06/24 08:22:13 RYCV0u3m0 51/54おわりです。疲れたのでもう寝る。
ちなみに最後に撮った写真には怜子さんはいない脳内設定です。
それでは。
96 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/06/24 09:35:56 45NV86Ui0 52/54期間限定のシアワセの方が綺麗だな、ガチのヨミガエリだとただのご都合主義で萎えるしな
98 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/06/24 10:05:07 RYCV0u3m0 53/54>>96
自分としてはずっと生きててほしいなあ…
イノヤに行ったら生き返った人全員いないって終わり方も考えたけど、
考えてる途中でつらくなったからやめた
99 : 以下、名無しにかわりましてVIP... - 2012/06/24 10:09:22 5leVDnEoi 54/54そうだな、みんな完全に生き返って幸せになったってことでいいじゃないか