綾乃「……」ズズズ
綾乃「…えっ?」
結衣「えっ、じゃないよ」
結衣「なに平然とごらく部でお茶飲んでるんだよ」
結衣「違うだろ! それは綾乃の本来とるべき行動じゃないだろ!?」
結衣「私だって、綾乃とは仲良くなりたいと思ってたよ?」
結衣「けどさ、それはあくまでごらく部に敵対意識を持ってた頃の綾乃なんだよ」
結衣「今の綾乃からはなんのオーラも感じないんだよ! わかる?」
綾乃「え、ええ…。なんとなく、私が船見さんに怒られてるのは分かるわ」
元スレ
結衣「綾乃はごらく部を潰すんじゃなかったのか?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1339007902/
結衣「…綾乃は京子のことが好きなんだよな?」
綾乃「え、ええ…。まぁ、好きと言えば…好きかしら?///」モジモジ
結衣「違うだろ! そこは『そ、そそそんな訳ないでしょー!!?///』だろ!?」
結衣「もうバレバレだからって開き直っちゃ駄目なんだよ、そこは」
綾乃「は、はあ…」
結衣「綾乃はいつまでもツンデレキャラでいなきゃ」
結衣「それが綾乃の魅力の8割をしめてるんだから!」
綾乃「そ、そうね…。そうかもしれないわ」
結衣「正直、もうこのままでいいかも? …とか、思ってない?」
綾乃「だ、だって! 私が歳納京子に告白したら、関係が崩れちゃうじゃない!?」
結衣「それは綾乃が気にすることじゃないよ」
結衣「フラれるのが怖いっていうなら別だけどさ」
綾乃「うぅ…」
綾乃「船見さんは私にどうしろって言うのよ」
結衣「なんとかしろって言ってるんだよ」
結衣「このままだと恋人にもライバルにもなれず、ただの友達で終わるよ」
綾乃「ただの…友達……」ゾワッ
結衣「友達でいる期間が長ければ長いほど、告白の機会は遠ざかるから」
結衣「綾乃だって、急に千歳辺りに告白されたら困るだろ?」
綾乃「そ、そんなこと有り得ないわよ!!」
結衣「ほら、そうなるだろ?」
綾乃「……っ」
結衣「私は別にそれで構わないんだけどさ」
結衣「綾乃はいい友達だし」
綾乃「船見さん…」
綾乃「分かったわ! 私、歳納京子に告白してみる!!」
綾乃「どうせ駄目もと、当たって砕けろよっ!!!」
結衣「おお、さっきまで腑抜けてたのが嘘みたいだ」
綾乃「それじゃ、さっそく――」ガラッ
綾乃「ひっ!!?」ビクッ
京子「おんや~? 結衣と綾乃が2人きりなんて珍しいね?」
結衣「今日は京子が遅れたからな」
京子「へへへ、面目ないッス★」
綾乃「はわわわわわわ…///」カァァ
綾乃「(ふ、船見さん!!!)」
結衣「(なに? 私は手助けしないぞ)」
綾乃「(えぇぇ!!?)」ガーン
結衣「(ここで私が焚き付けたら綾乃が引き返せなくなっちゃうだろ?)」
結衣「(無理だと思うなら告白しなくていいから)」
綾乃「(そんなぁ…)」
京子「(なになに、なんの話?)」フッ
綾乃「ひぃぃぃぃぃ!!!///」ビクッ
京子「京子ちゃんを差し置いてヒソヒソ話なんて、罰金バッキンガムよぉ~」
綾乃「ちょ、ちょっと! あなた、人が一生懸命考えたギャグを無断で――」
京子「んん~?」ジトッ
綾乃「あう…///」ボッ
結衣「はぁ…。駄目か」
結衣「ほら、2人ともいつまでも立ってないで座りなよ」
京子「うん、そだね。ほれ、綾乃も♪」グイッ
綾乃「あぁ~もう、引っ張らないでよぉ…」
京子「んっ…んっ…んっ……」ゴクゴク
京子「ぷはぁ~、生き返るぅ~♪」フルフル
結衣「おいコラ、おっさんか」
結衣「ていうか、よくお茶をそんな飲み方出来るな」
京子「お茶なら余裕っしょ? もしこれに炭酸でも入ってたら分からないけど」
結衣「炭酸茶…。これはひどい」
綾乃「……」
京子「…綾乃、前から気になってたんだけどさぁ」
綾乃「な、なによ?」
京子「私と結衣と綾乃の3人きりだと急に無口になるよね。なんで?」
綾乃「そんな、なんでって言われても…」
綾乃「その…2人の会話に口を挟むのは悪いって言うか…」
京子「はぁ~?」
京子「なんだよ、水くさいなぁ~。そんな遠慮要らないよ」
京子「だって私たち、友達同士だろ?」
綾乃「」
結衣「うわぁ…」
京子「えっ? えっ? 私、なんか変なこと言った!?」
結衣「いや、別に京子は悪くないよ」
結衣「ただ、京子の何気ない言葉が綾乃に重くのしかかってるようで」
京子「?」
綾乃「あはははは…手遅れ、手遅れだわ……」
京子「そんじゃ、綾乃。じゃ~あねん♪」
綾乃「そうね、さよならね。ふふ…」
結衣「はぁ…」
結衣「京子は先帰ってて、私は綾乃と少し話してくから」
京子「えぇ~!? そんな、私に1人で帰れって言うの!!?」
結衣「1年の教室に行けば、あかりやちなつちゃんが居るだろ?」
京子「おっと、そうでした」
京子「いや~、最近1年組は放課後もなんかやってるみたいで顔出さないよね」
京子「みんな、なにやってるんだっけ?」
結衣「なんか、社会の宿題で近場のお店の調査とか…」
結衣「私もよく分かんないから、その辺聞いてきなよ」
京子「了解です、結衣隊長!! ばっびゅ~~ん★」ダッ
ガラピシャ
結衣「綾乃…」
綾乃「あぁ、あそこで私があともう少しだけ勇気を出して告白していれば――」
結衣「仕方ないよ。まさか、さっきのがラストチャンスだなんて誰も思わないし」
綾乃「終わっちゃったのね。私の恋…」
結衣「いや、綾乃が本気ならまだ分からないよ」
綾乃「どういう…こと?」
結衣「一度、今の関係を壊すんだよ。友達をやめて、京子のライバルに戻ろう」
綾乃「…そんなこと、出来るかしら?」
結衣「大丈夫だよ。綾乃は綾乃なんだから、やり直せるよ」
綾乃「船見さん…」
綾乃「分かったわ! 私は歳納京子の友達をやめて、歳納京子を倒してみせる!!」
結衣「うん、綾乃はそうでなくちゃ」
ガラッ
千歳「あっ…」
綾乃「戻ったわよ、千歳!」
千歳「綾乃ちゃん」
千歳「戻ったって、ごらく部の子らと帰らなくてええの?」
千歳「せっかく仲良くなったんに…」
綾乃「ああ、それなんだけど」
綾乃「私、ごらく部を潰すわ!!」グッ
千歳「……」
千歳「…へっ?」
千歳「潰すって…?」
綾乃「大体、あそこは元々茶道部の部室でしょ」
綾乃「いくら廃部したからって勝手に使っていい道理は無いわ!」
綾乃「そんな行為はこの生徒会副会長杉浦綾乃が許さないんだから!!」
綾乃「部室の無断使用は罰金バッキンガムよっ!!!」
千歳「綾乃ちゃん!」パァァ
千歳「あぁ…、綾乃ちゃんが輝いとる」
千歳「歳納さんにデレデレな綾乃ちゃんもええけど」
千歳「やっぱウチは生徒会副会長としての綾乃ちゃんが好きやねん!」
千歳「でも、潰すって本気なん?」
綾乃「当たり前よ!」
綾乃「これでまた情けをかけたら、益々ナメられちゃうわ!!」
綾乃「私の目指すべきものは友達じゃなくて、ライバルなのよっ!!!」
千歳「はは~ん、歳納さんのライバルに戻ってから告白する気なんやね?」ニヤニヤ
綾乃「な、なに馬鹿なこと言ってるのよーーっ!!?///」カァァ
ビターン
千歳「あぁ…、綾乃ちゃんビンタも衰えてへん」ピクピク
千歳「ウチ、お供するで! 今の綾乃ちゃんにならどこまでも着いて行くわ!!」
綾乃「見てなさいよ、歳納京子!」
綾乃「私を友達扱いしたことを後悔させてあげるから!!」
京子「ぶぇっくしゅん!!」
京子「うぅ…。誰か私の噂でもしてんのかな~?」
結衣「…あれ、京子?」
京子「おー、結衣ー! やっと来たかー!!」
結衣「やっと来たかって…」
結衣「なに? 私のこと待ってたの?」
京子「うん!」
結衣「どうして?」
京子「いや~、私があかり達と帰ったら結衣が1人ぼっちになっちゃうしさ」
結衣「京子…」
京子「えへへ、惚れ直した?」
結衣「調子に乗るなよ、馬鹿」コツン
京子「てへっ」
結衣「…でも、ありがと」
京子「ふふふ。口元緩んでるぞ、結衣にゃん♪」ツンッ
京子「結衣の隣には~私がよく似合う~♪」ギュッ
結衣「なんの替え歌だよ、それ」
京子「ところで、綾乃とはなに話してたの?」
結衣「綾乃と私の2人の秘密」
京子「えぇぇぇぇぇ!!?」ガーン
結衣「気になる?」
京子「べ、別に~」
結衣「言わないよ」
京子「いいよー、後で綾乃から聞き出すから」
結衣「あー、うん。それがいいかも…」
京子「?」
京子「ていうか、そもそも2人で内緒話とか有り得なくない!?」
京子「だって私たち――」
結衣「『友達同士じゃないのかよー!?』だろ?」
京子「……」
結衣「…当たりか。まぁ、そうだよな」
京子「結衣…?」
結衣「んっ?」
京子「なんでもない」
京子「なんでもないけど、隠し事されたのムカつくからやっぱ1人で帰る!!」ダッ
結衣「なんだよ、それ!?」
結衣「おいコラ! 待てよ、京子!! 京子!!!」ダッ
結衣『――いつか、私たちの関係にも答えは出るだろうからさ』
結衣『それまではいいよな。…綾乃』
お わ り !