男「このクラス馴染めるかな」
女「ね。前のクラス見事にバラバラになっちゃったし」
男「上手くやってけるかな」
女「大丈夫でしょ。そのうち慣れるって」
男「浮いてることに?」
女「クラスに」
男「次なんだっけ」
女「日本史」
男「そっか」
元スレ
男「ねえ」女「なに?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1336671963/
女「あ」
男「?」
女「お弁当忘れた」
男「買い行く?」
女「うん。コンビニいこ」
男「いいよ」
女「前乗って」
男「俺が?」
女「うん」
男「いいけど」
女「外気持ちいいね」
男「ね」
男「球技大会なんの競技出るの?」
女「バスケ」
男「また?」
女「いいじゃん」
男「まあそうだけど」
女「なに出るの?」
男「バレー」
女「また?」
男「いいじゃん」
女「まあそうだけど」
女「ひまだね」
男「ね。ひま」
女「なんかないかな」
男「それかして」
女「どれ?」
男「それ。テニスボール」
女「これ?」
男「そう。」
女「はい」
男「もう一個落ちてるやつも」
女「はい」
男「いくよ。見てて」
女「おー!すごい。お手玉」
男「でしょ」
女「かして」
男「いいよ」
女「できない」
男「へたくそ」
女「うるさい。練習してたの?」
男「うん」
女「ひまなんだね」
男「うるさい」
女「あたしも練習しよ」
放課後
男「諦めないねー」
女「もうちょっとでできそう…なの!あ~」
男「へたくそ」
女「もういいや」
男「もういいの?」
女「うん。帰ろ」
男「いいよ」
女「前乗って」
男「いいよ」
男「すげー。太陽大きいー」
女「ね。夕日きれい」
男「川きらきらしてる」
女「ね」
男「こっちの道もいいね」
女「ね」
男「じゃ、またね」
女「うん。ありがと」
男「いいっていいって」
女「また明日ね」
男「また明日~」
女「あ待って!」
男「なに?」
女「テニスボール持ってきといて」
男「あれ学校に置いてあるでしょ」
女「そっか」
男「うん。またね」
女「ばいばい」
女「もう文化祭か~」
男「そうだね。クラスにも少し馴染めたしよかった」
女「ね。最初はどうなるかと思ったけど案外平気だったね」
男「うん。うちのクラスはなにやるんだっけ」
女「なんかあの、あれ。縁日みたいな」
男「ああそうか」
女「で、あたし看板書くことになっちゃった」
男「そう。いいんじゃない、絵上手いんだし」
女「手伝ってよ」
男「いいよ」
放課後
女「緑とって」
男「はい」
女「…赤」
男「はい」
女「う~ん…」
男「やっぱ絵上手いなお前」
女「でしょ」
男「うん。ちょっと見直した」
女「ありがと。もっかい緑かして」
男「はい」
女「はい。かんせ~」
男「おー、すげー。お疲れ」
女「お疲れ」
男「帰る?」
女「うん。帰ろ」
男「わかった。」
女「前乗ってね」
男「はいよ」
女「あ、あと帰りにヨーカドー寄って」
男「なんか買うの?」
女「うん」
男「わかった」
男「うちわなんて売ってるんだね」
女「うん。特別にあおいであげる」
男「ありがとー涼しいー」
女「…あー暑い」
男「もうすぐ夏か」
女「もう夏だよ」
男「そっか」
女「でもまだセミは鳴いてないね」
男「そうだね」
女「…」
女1「あ!ねー女」
女「なに?」
女2「女ってさー男と付き合ってるの?」
女「付き合ってないよ。急にどしたの?」
女1「前から仲良いしさー、出来ちゃったのかと思って」
女「それはないよー」
女1「そうなんだ~。」
女2「じゃああたしたち先行くね。お幸せに~」
女「だから付き合ってないってー!」
男「…」
友「よ」
男「よ。どした」
友「お前って女ちゃんと付き合ってるの?」
男「あー…付き合ってないよ」
友「ほんとかよ」
男「うん。ほんと」
友「好きなの?」
男「どうなんだろうね」
友「なにそれ変なの。まいいや。次移動だから行くね」
男「どこだっけ?」
友「社会科室」
男「あそっか。俺もいく待って」
友「うん」
女「ねえ」
男「…」zzz
女「ねえ」
男「…」zzz
女「ねえ!!!!」
男「あ!はい!え!なに!誰!」
女「慌てすぎ。授業終わったよ」
男「うそ。寝てた」
女「知ってる。いこ」
男「うん。あ」
女「どした?」
男「あとでプリント見せて」
女「いいよ」
女「これとー…これが今日のやつ」
男「ありがと。明日には返すね」
女「うん」
男「帰りコンビニ寄っていい?」
女「いいよ。プリント貸したんだしなんかおごってよ」
男「ん~、じゃあアイスおごる」
女「やった。前乗って」
男「はいよ」
店員「いらっしゃいませ~」
女「は~コンビニ涼し~」
男「涼し~」
女「アイスアイス~」
男「どれ食べる?」
女「うんとね~…これ」
男「はいよ」
女「あ、やっぱこっち。」
男「はいよ。俺はこれにしよっと」
女「いこいこ」
男「うん」
女「あそこで食べてこ」
男「うん。いいよ」
女「野球やってるね」
男「そうだね」
女「あれってホームラン打ったら川にボール落ちないの?」
男「落ちるんじゃない?落ちるでしょ」
女「そしたらどうなんの?」
男「ボールがなくなる」
女「いやそうだけどさ。あ、溶けちゃう。食べないと」
男「うん」
男「まだそんだけしか食べてないのかよ」
女「うん。おっきい」
男「お前の一口が小さい」
女「そうなのかな?」
男「うん」
カキーン
男・女「お」
女「打ったねー」
男「ね」
女「今のはいい当たりですか?」
男「今のはいい当たりですよ~」
女「ご馳走さまでした。またおごって下さい。」
男「また今度な」
女「はー…空が青い」
男「ね」
女「なんであんなに青いんだろうね」
男「ね」
女「今年でこの制服も最後かー…」
男「ね」
女「高校生活あっという間だね」
男「まだ終わってないけどな」
女「そうだね」
男「帰る?」
女「うん」
男「前乗るよ」
女「うん…」
女「じゃあね。ありがと」
男「うん。じゃあ、また明日ね」
女「ちゃんとプリント返してね」
男「わかってるよ。ばいばい」
女「うん。ばいばい」
女「…」
男「期末範囲多いなー」
女「ね。でもみんな真面目には勉強しないでしょ」
男「まあそれもそうか。受験で忙しいしね」
女「うん。…男は東京の大学受験するんだよね?」
男「うん」
女「そっか…」
男「お前は専門学校だろ?お互い頑張ろうな」
女「うん…」
男「えんとつ」
女「?」
男「ほら、あれ」
女「あ、ほんとだ。えんとつ」
男「あれふさごうよ。指出して」
女「こう?」
男「もうちょっと窓から出して」
女「はい」
男「あ、いい感じ。撮るよ」カシャッ
男「ほら」
女「あ、ほんとだふさがった面白い。」
男「ね。面白い」
女「暇人だね」
男「暇人だな」
男「うぇっくしゅん」
女「風邪?」
男「かな。寒い」
女「熱は?」
男「多分ない。平気」
女「最近少し冷えてきたね」
男「もうワイシャツ一枚も無理かな」
女「そうだね。」
男「帰りカーディガン買いいこ。一緒にきて」
女「去年のやつは?」
男「でっかい穴あいてた。虫食いかな?」
女「ああそうなんだ。いいよ一緒にいこ」
男「これは?」
女「こっちの方が似合うと思う」
男「そう?」
女「うん」
男「ふーん」
女「いやでも好きなの買いなよ」
男「いやいい。こっちにする」
女「そう。あ、待って。これは?」
男「あ、それいい。着てみたい貸して…
――――――――
―――――
―――
男「あーいい買い物した」
女「それはよかった。すごい似合ってるよ」
男「ほんと?」
女「うん」
男「あたし照れちゃう」
女「ばーか。早く前乗って」
男「はいよ」
友「お」
男「ん」
友「去年と違うカーディガン?」
男「わかるもんなんだね」
友「色が変わるだけで印象もかなり変わるからね」
男「そっか」
友「女に選んでもらったの?」
男「うん」
友「そっか。仲良くしろよ」
男「うん」
女「あ、男。帰ろ」
男「いいよ」
女「今日ねー、女1と女4ちゃんがねー…」
男(もう女と会えるのもあと少しか)
男(気がつけば木についていた葉も落ちてきていて…)
男(本当にあっという間だったな)
女「…だったの!すごいよね!あたしびっくりしちゃったよーって」
男「…」
女「男?聞いてる?」
男「あ、あ、うん。聞いてなかった。なに?」
女「もー…ま、いっか。帰ろ」
男「うん。帰ろ」
女「はい、前」
男「うん」
キコキコ
女「寒い…」
男「寒いな」
女「…」
男「…」
女「…ねえ」
男「うん?」
女「もっとくっついていい?寒いから…」
男「うん」
女「ありがと…」ギュッ
男「うん…落ちるから離すなよ」
女「…離さないよ」
女「ありがとね」
男「なにが?」
女「いや、その…やっぱなんでもない」
男「そう」
女「うん」
男「…そっか」
女「うん…」
男「じゃあまた明日な」
女「うん。また明日。ばいばい」
男「ばいばい」
女「また明日…か」
女「あと少しで冬休み。三学期はほぼ登校日なし…」
女「…」
女「男…」
担任「え~明日からは冬休みを迎えます。ここにいる多くの人にとっては」
担任「受験最後の砦となる期間なので、しっかりと…」
女「…」
男「おーい」
女「あ、な、なに?」
男「なにボーッとしてんだよ。帰ろ」
女「あ、うん。帰ろ」
キコキコ
女「ねー」
男「うん?」
女「受験勉強大変?」
男「そりゃなー。楽じゃないよ」
女「そっか」
男「うん」
女「頑張ってね…あたし応援してるから」
男「うん。…ありがと」
女「じゃあ」
男「うん」
女「し、試験頑張ってね!男ならきっと大丈夫だから」
男「ありがとう。頑張るよ。」
女「ちゃんと連絡してね…」
男「うん。試験はまだだいぶ先だけどな。ちゃんと結果は連絡するよ」
女「うん。それじゃあまたね…」
男「うん、またな」
――――――――
―――――
―――
男試験日
試験会場
男(あ~緊張する)
男(不安だ…怖い…)
男(いや、今まで積み重ねたことをしっかり発揮できれば)
男(きっと大丈夫…)
女宅
女(男頑張ってるかな)
女(きっと大丈夫だよね…)
女(でも大学に受かっちゃったら男は…)
女(ううん、違う。頑張って、男…!)
しばらく経ったある日
prrrrrr…
女「ん、電話。誰からだろ」
女「!!」
女「男からだ!」
ピッ
女「もしもし!」
男「もしもし、女?」
女「そうだよ!それで…その、どうだった?」
男「ああ」
男「大学、受かったよ。」
女(!!)
女「え、うそ!おめでとう!じ、じゃあ春からは大学生だね!」
男「そりゃな。春からは大学生だ。」
女「うん…おめでとう!」
男「ありがとう。あ、ごめん今少し忙しいから、またな」
女「わかった!またね。ばいばい」
ピッ
ツー、ツー、ツー
女「…」
卒業式前日、卒業式予行
女「久しぶり!…」
男「久しぶり」
女「卒業式の予行なんてやんなくてもいいのにね」
男「そうだな」
女「今日は少し暖かいね」
男「そうだな」
女「…今日も一緒に帰ろうね」
男「…うん」
キコキコ
女「…」
女(この背中を見るのも明日で最後、か…)
男「…」
男(女と二人乗りをするのも明日が最後になるのかな…)
キコキコ…
卒業式当日
「これより、平成24年度、第42回卒業証書授与式を…」
男「…」
女「…」
――――――――
―――――
――
女『ねー、男くん!』
男『なに?』
女『二人乗りしてみよーよ!二人乗り!』
男『えー、怖いよー…怪我しちゃうよー…』
女『平気だって平気!男くんなら大丈夫!はい乗って!』
男『うん…ほんとに平気かなあ』
女『大丈夫!…せーので足離すよ!』
男『わかった…』
女『いくよー』
男・女『せーの!』
――――――――
―――――
―――
キコキコ
女「卒業しちゃったね」
男「卒業しちゃったな」
女「本当にあっという間だった…」
男「早かったな」
キコキコ…
男「着いた」
女「ありがとね」
男「うん」
女「…」
男「…」
女「お別れ?」
男「…まあしばらくはそうなるかな」
女「そっか…」
男「うん…」
女「えっと、こういうときってなんて言えばいいんだろうね…」
男「そうだな…俺もよく分かんない…」
女「あのね、男」
男「なに?」
女「あたしね、その…」
男「うん」
女「…」
男「…」
女「…やっぱりなんでもない」
男「…そっか」
春の日差しの下、二人は見つめ合う。
どれ程そうしていたかは分からない。
だが、ゆっくりと吹いた暖かい風と、静かに舞う桜の花びらが見つめ合う男女の前を横切ると、二人は優しい笑顔を浮かべた。
女「また、乗せてね。後ろ。」
男「いつでも乗せるよ。ただ、少しだけ待っててな」
女「うん…
それじゃあ、またね」
男「うん。またな」
二人は背を向け合い、それぞれの道へ歩いていった。
まるで、ゆっくりと、しかしどこか力強く、流れるタンポポの胞子のように…
おしまい