弟「はい」
姉「白いボウルが欲しいじゃない」
弟「買えばいいじゃん」
姉「そんなにパン食べれない」
弟「はぁ、そうですか」
姉「冷たい」
弟「俺はいらねぇし」
姉「お姉ちゃんは居るの」
弟「にとりで売ってるのと変わらないじゃん」
姉「変わるの、パン祭りでしかもらえないの、ミレニアムなの」
元スレ
姉「ヤマザキ春のパンまつりよ!!」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1335797398/
弟「プレミアムな」
姉「わ、わざと」
弟「馬鹿姉貴」
姉「お姉ちゃんなんだぞー!?」
弟「弟なんですけど」
姉「はぁ……」
弟「はぁ……」
姉「パン買ってきました」
弟「……」
姉「食パンもあるから、ほらほら」
弟「ほらじゃない」
姉「コッペパンもあるよ」
弟「甘いからいらない」
姉「ランチパック!!」
弟「お腹いっぱい」
姉「走ってきなさい」
弟「いいえ」
姉「レッツランニング!ゴーゴー!」
弟「姉貴が行けよ」
姉「姉貴はパン買いに行くのに走ったので」
弟「どんだけ腹へってたんだよ」
姉「違うよ、私はシールを買いに行ったんだよ」
弟「食べ物を粗末にしてはいけません」
姉「母親かよ」
弟「弟だよ」
姉「もーーーー」
弟「……はぁ、じゃあカレーパンだけ食べるよ」
姉「やた」
弟「で、ポイント溜まったの?」
姉「気になる?」
弟「別に」
姉「気になるんだ」
弟「二階行くわ」
姉「待ってよ、待ってよ、まだ言ってないよ」
弟「焦らすの嫌いなんだよ」
姉「そっか、分かった、じゃあ発表します!」
弟「焦らしてんじゃねぇか」
姉「あと半分足りません」
弟「はぁ」
姉「ちなみにお金もありません」
弟「そうですか」
姉「お金ない」
弟「うん、分かった、二階行く」
姉「ヘルプミー!弟君!!」
弟「ひっつくなよ気持ち悪いな!!」
姉「気持ち悪くない!お金貸してよ」
弟「ダメ姉貴かよ」
姉「それが貴方の姉よ」
弟「そんな姉をもった記憶は無い」
姉「私はお金貸してくれる弟持った覚えがある」
弟「そんな弟居たっけ」
姉「それは君だ」
弟「そんな弟じゃないです」
姉「いいえ」
弟「はい」
姉「いくら持ってるの?」
弟「言ってもいいけど、パン食べないよ?」
姉「この際諦めるよ」
弟「粗末にしたら怒るよ?」
姉「太っちゃう」
弟「代償にボウルもらうんだろ」
姉「大体さ、あのCM卑怯だよ。絶対欲しくなるように出来てるし」
弟「それがCMだろ」
姉「パンはいらないからシールだけくださいって店員さんに言おうかなって」
弟「あそこのスーパーいけなくなるからやめて」
姉「やめて欲しくば、お金を」
弟「俺もお金無いんだけど」
姉「……」
弟「……」
姉「はかったな」
弟「はかってない」
姉「どうしよう」
弟「諦めろ」
姉「半分まで貯めて諦められるか!!」
弟「もう面倒臭いよ」
姉「散っていったパン達はどうなるの」
弟「散らしたのは姉貴だ」
姉「食べるのは弟」
弟「押し付けるのやめろ」
姉「……はい」
書き溜め終わり。
弟「思いつきだけで俺を巻き込むなよ」
姉「思いつきじゃないよ!朝食に使いたいんだよ!!」
弟「ふーん」
姉「食べるのは弟なのに」
弟「そうだけど」
姉「協力しないなんて、どうかしてる!」
弟「姉貴の行動のほうがどうかしてる」
姉「酷い」
弟「そうだな、姉貴は酷いな」
姉「そうじゃない!」
弟「じゃあどうなんだよ」
姉「姉は優しいです」
弟「……」
姉「仕方ない脱ぐか」
弟「気持ち悪い」
姉「そんなぁ女子高生の全裸なんて、男子高校生は目にすること出来無いんだぞ」
弟「そうか、だが俺の姉貴は女子高生ではない」
姉「現役の女子高生なんですけど」
弟「それはきっと間違いだ、姉は姉であって女子高生ではない。仮に姉が社会の身分上女子高生だとしても、弟の俺からすれば女子高生ではないんだよ」
姉「なんか気持ち悪いね」
弟「そうだな」
姉「そんなことはいいから、どうやったらシール集められるか考えてよ」
弟「面倒臭い」
姉「えー」
弟「省エネなんだよ」
姉「あ、私の部屋にあった氷菓読んだでしょ」
弟「読んでない、アニメ見た」
姉「え、アニメやってんの、へぇ、そうなんだ。へぇ、って今は氷菓の話じゃなくて菓子パンの話してんの!!」
弟「あれはなかなか面白いなぁ、京アニだしさー」
姉「話しをそらすなぁ!!」
弟「ダメか」
姉「ダメです」
弟「とりあえず、母親に請求してみたら?」
姉「殴られる」
弟「知ってた」
姉「前にガリガリ君の当たり棒がどうしても欲しくて頼み込んだら殴られたから」
弟「姉貴は氷菓でも馬鹿なことしてた」
姉「お姉ちゃんを馬鹿って言うな!」
弟「馬鹿な姉貴を持つと弟は苦労するんだよ」
姉「ライトノベルの主人公みたいなこと言ってる」
弟「恥ずかしくなるからやめろ」
姉「とりあえず、考えついたのは、昼休みとかパン食べてる人をサーチして、見つけたらシール乞食してよ」
弟「なんだよシール乞食って、かなりみっともない上に最低だな」
姉「そんな困難を乗り越えた末にボウルで食べるサラダは美味しいと思うな」
弟「変わらないと思う」
姉「そうかもしれないけど!!私は変わると思うの!!」
弟「何度も言うけど変わらないし、サーチって……面倒だし」
姉「友達いないの?」
弟「なんでそんな心配してるんですか」
姉「いや、ほら友達いないとさサーチって面倒でしょ?」
弟「そうじゃなくてさ……いや、居るよ一応」
姉「その友達は弟のこと友達だと思ってるかな?」
弟「おいやめろ」
姉「本当の友達ならシールくれるよ!!」
弟「そんなので判定してたまるかよ!!」
姉「ポイントはたまるよ」
弟「あーもーーー!!」
姉「こんな深夜に騒がない!お母さん起きるよ!殴られるよ!」
弟「殴られろよ!姉貴が!!」
姉「こんな時にも殴らない弟はエライエライ」
弟「寝ていいかな」
姉「ダメ」
弟「おい、>>17が良いコト言ったぞ、いないのかよ知り合いのコンビニバイト」
姉「うちバイト禁止だし」
弟「そうだった」
姉「弟の所は?」
弟「……特例以外は禁止」
姉「使えないなぁー」
弟「いや、姉貴のところもだろ!?」
姉「もー、期限は刻一刻と迫ってくるんだよ?今日作戦考えないとダメじゃん!!」
弟「あーもう!!じゃあ分かったよサーチするよ!!頑張ってさ!!」
姉「本当!?」
弟「善処する」
姉「それダメなパターン」
弟「面倒くさいなぁ」
姉「面倒な姉でごめんね」
弟「そんな顔で言われても許せない、絶対に」
姉「テヘペロ」
弟「殴りてぇ」
翌日。
弟「おは」
友「おは」
弟「朝からコッペパンかよ」
友「いや、ほら110円で安いしさ」
弟「へぇ、そうなんだ」
友「お前はちゃんと朝飯食ってるのか」
弟「姉貴が作るからな」
友「いいなぁ、うちのねーちゃんは料理まるでダメだからな」
弟「へぇ」
友「だからこうやって朝は金渡されてどっかで買って食えって言われる」
弟「あ」
友「ん?」
弟「シールくれよ、なんか姉貴が血眼になって集めててさ。気持ち悪いくらい」
友「マジかよ、だがやれねーわ」
弟「なんでだよ、いいじゃねぇかどうせ捨てるんだろ?」
友「それが、うちのねーちゃんも集めててさ」
弟「なんだよ、料理できねーのに」
友「それは関係ねぇだろ」
弟「それもそうか、すまん」
友「もう腹いっぱいだから、残りはあげられるんだけどシールは無理だわ」
弟「じゃあ残り貰うわ」
友「おう、HR始まる前に食っちまえ」
弟「いただきー」
弟「ってことなんだよ、姉貴失敗した」
姉「Noooooooooooooooooo!!!なんでそこで粘らなかった!!」
弟「余ったパンが欲しくて」
姉「パンなら!!そこに!!いっぱい!!あります!!」
弟「その時欲しかったんだよ、家にあるパンをその場に持ってくることは出来無いじゃん」
姉「当たり前だよ!流石に私でも分かるよ!」
弟「それを聞いて安心した」
姉「そんな安心いらないよ!!」
弟「そう言う姉貴はどうなんだよ」
姉「私?私か、私はそりゃ、うん、凄いぞ」
弟「どう凄いんだよ」
姉「0.5点……」
弟「おー凄いな、ああ、凄い。姉貴にしては頑張ったよ」
姉「超怖かった、いつも話さない富岡さんに話しかけるのはまだ私には早かった」
弟「どんなんだったんだよ」
姉「えっとね……」
――――――
―――
―
姉「と、と、ととと、富岡ひゃん!」
富岡「え?」
姉「こここ、こんにちは」
富岡「こんにちは」
姉(す、素敵なスマイル……!?)
富岡「? 何か御用ですか?」
姉「い、いえ、えっと、あの。その、ですね。パンを頂きに」
富岡「このパンですか?」
姉「い、いえ!違います!!そのパンではなくて!!」
富岡「はい?」
姉「シールをですね!!集めていまして!!」
富岡「あー、そうなんですか。あげますよ、はい」
姉「ありしゃす!」
―
―――
――――――
弟「姉貴……」
姉「ちなみに富岡さんは長州力みたいな顔してるよ」
弟「シールくれたのに失礼だな」
姉「だって怖かったんだもん。平手打ちされそうで」
弟「でも良い人だったじゃん、富岡さん」
姉「うん、ちょっと富岡さんの認識変わった」
弟「それはよかったじゃないか、一つのシールが友情芽生えさせたな」
姉「何それっぽいこと言ってんの」
弟「すまん」
姉「それはいいとして、まだ10.5点しか集まってないよ」
弟「もう諦めるか、どれだけ頑張っても俺らは10.5点しか手に入らないんだよ」
姉「でも、明日また富岡さんがパン食べてれば11点になるでしょ?」
弟「食べてたらな、普段富岡さんはパンなのか?」
姉「知らない、たまたまクラス見たらパン食べてるの富岡さんくらいしか居なくて」
弟「長州力だもんな……」
姉「富岡さんが食べるパンは小さく見えるよ」
弟「これからも貰うのにコレ以上はいけない」
姉「そうだね」
弟「んー……実は今日昼休みにサーチしてないんだよね」
姉「なんだって、それは誅伐が必要だ」
弟「いらん」
姉「なんでしなかったの」
弟「忘れててさ、午前中の授業で授業中に先生のヅラが取れてクラス中が大爆笑したっていうインパクトのあるイベントのせいでそういう小さなイベントを忘れちゃってさ」
姉「なんでそんな奇跡的な妨害がくるかな!?」
弟「傑作だった、今日は忘れられない一日になりそうだ」
姉「写メった?」
弟「ない、心に焼き付けた」
姉「ただの自慢話されてしまった……」
弟「満足」
姉「満足したところで、明日はちゃんとサーチしようか」
弟「はいはい、あと特例でバイトしてるやつも探してみるよ」
姉「ほう?ノリ気だね」
弟「無理矢理乗らされたんだよ、泥船に」
姉「パンの船に!」
弟「沈め」
姉「ボウルがあれば大丈夫」
弟「うまくねぇ」
姉「そんなぁ」
弟「それにボウルあっても沈むだろ」
姉「そうかな」
弟「そうだよ」
姉「ランチパック食べよ……」
弟「俺は寝る」
姉「じゃ、明日は頼んだぞ!弟!!」
翌日。
友「うす」
弟「おす」
友「昨日のヅラ事件は最高だったな!」
弟「本当にな、あんなに爆笑したの数年ぶりだよ」
友「まったくだ、あんなに笑ってるお前を見たのは初めてだ」
弟「お前もな」
友「はっはは!」
弟「あーそうだ、今日もお前パンか?」
友「昼はパンだぞ」
弟「まだシール集めてる?」
友「そうだなー、現在18点って言ってたな、ねーちゃん」
弟「そっかー、こっち今10.5点なんだよね」
友「すくねぇな、もう〆切近いってのに」
弟「だよなぁ、さっさと集めないと毎日姉貴と会議だよ」
友「いいじゃん、お前の姉貴可愛いんだし」
弟「ねぇよ、お前の姉のほうが可愛いだろ」
友「それもねぇよ」
弟「そんなもんか」
友「そんなもんだ」
弟「しゃーない、昼休みに食ってるやつ探すか」
友「俺も協力すっから山分けしねぇ?」
弟「別にいいけど、2点溜まったら譲ってくれよなぁ」
友「おうおう」
昼休み。
弟「よう、田中」
田中「ん?珍しいね、委員長から話しかけてくるなんて」
弟「いやいや、もう委員長じゃないってば。あのさぁそのパンについてるシールくれねぇ?」
田中「シール?ああ、パン祭りの。集めてるんだ、意外だなぁ。器用なことしてるんだね」
弟「いやー俺じゃなくて姉貴がな」
田中「姉思いなんだね」
弟「田中は一人っ子か?」
田中「ううん、妹が一人いるよ」
弟「なら言っておく、妹は大事にしてやれ」
田中「し、してるつもりだよ」
弟「なら良し、ありがとな」
田中「うん」
友「吉田ー」
吉田「んだよ」
友「あと、吉岡も」
吉岡「あ?」
友「おお、こええこええ。パン食い終わったんだろー?捨ててきてやるよ」
吉田「マジかよ、お前優しいなぁ」
吉岡「そういやお前清掃委員だったもんなぁ、教室は綺麗になってか」
友「そんなとこだよ、じゃあな」
吉田「気に入った、清掃委員のお通りだァ!!道開けろォ!!ゴミ箱まで邪魔するんじゃァねェ!!」
友「大げさだって」
友「で、いくつ集まっった」
弟「1.5……田中からしか貰えなかった」
友「なんだよ、俺は2点だってのに」
弟「マジかよ……山分けも何もねぇな、お互いGETした分持ち帰るか」
友「いいのか?」
弟「いいよ、お前はもうそれで溜まるんだろ?」
友「ああ、ならありがたく貰っておくよ」
弟「ちなみに誰から貰ったんだ?」
友「吉田と吉岡」
弟「……お前度胸あったんだな」
弟「とまぁこんな感じだな、今日は」
姉「弟は度胸無いよね」
弟「サーチしただけ良いじゃねぇか」
姉「いいけどさー、うーん、なんか物足りないよね」
弟「昨日より1点も多く手に入れたのにこの言われようかよ」
姉「いやいや、ありがたいけどさ。これで12点かぁ。あと8点どうしよう」
弟「いつまでだっけ?」
姉「4月30日」
弟「今日は?」
姉「4月27日」
弟「時間ねぇ」
姉「だから必死にならないと!!」
弟「まぁ明日から友も点くれるし、ちょっとは集まるだろ。姉貴の成果は?」
姉「私はほら、富岡さんがね」
弟「おう」
姉「うん、富岡さんが」
弟「焦らすなよ」
――――――
―――
―
富岡「うふふ、やだーもう沙知代たらー」
姉「と、とみ、富岡ひゃん!!」
富岡「あら?ごめんなさいね、今日はパン持ってきてないの」
姉「あ、そ、そうなんだ……」
富岡「昨日はたまたまお腹すいちゃって、ごめんね」
姉「い、いやいいんでふ!!はひ!!大丈夫です!!お邪魔しました!!」
富岡「今度買ったら言うわね~委員長~」
―
―――
――――――
弟「富岡さん大食いだったかー」
姉「いやー大食いだったわ」
弟「体重聞けない感じかー」
姉「聞けない感じだわー」
弟「そっかー……はぁ」
姉「でさー、あの本気でヤバイって思ったんだけどさ」
弟「おう」
姉「明日土曜日じゃん」
弟「そうだな、あ……」
姉「うん……」
弟「午前授業だな……」
姉「はい」
弟「終わったな、お疲れさん。そんな事よりゴールデンウィーク楽しもうぜ」
姉「いやーーー!!白いボウルが無いゴールデンウィークなんてちっともゴールデンじゃないよ!!」
弟「そこまで言うか」
姉「はぁ……仮に弟の友達くんが明日1点のパン買っても足りないもんね……」
弟「そうだな、残念だったな」
姉「うー……」
弟「また来年の春頑張ればいいじゃん、その時になったらまた俺も手伝うからさ」
姉「ほんと?」
弟「多分」
姉「絶対?」
弟「た……絶対」
姉「じゃあ、諦めるかー。仕方ない」
弟「よし」
姉「今よしって言ったよね、ね?ねぇ?ねぇ、おい」
弟「言ってません」
姉「言いました」
弟「ない」
姉「ある」
弟「No」
姉「Yes」
弟「ごめんて」
姉「諦めつかないじゃないかー!!」
翌日。
友「おす」
弟「よ」
友「昨日さ、なんか吉田と吉岡に気に入られちってさ、今日はパン貰っちったよ」
弟「マジかよ、お前人当たりは良いもんな」
友「人聞きの悪いこと言うなよ」
弟「すまんすまん、悪口のつもりじゃなかったんだが」
友「まぁいいや、二つも食えないんだよな、食べる?」
弟「おう、くれるなら食う」
友「あ、俺もうシールいらねぇんだけど、いる?」
弟「一応貰っておく」
友「結局今いくつなのさ?」
弟「12点……」
友「おいおい、期限って30日までだろ。金は?」
弟「無い、姉貴も俺も」
友「はー、そうか。じゃあ諦めないとな」
弟「だな、姉貴にはもう言った、ってこれ何?新商品?うめぇな」
友「みてぇだな、吉田の父親ヤマパンで働いてるみてーでな」
弟「へぇ……ってボウルの一つや二つくれねぇの?」
友「それが出来たら苦労しねぇよなぁ」
弟「それもそうか」
友「それでも、ヤマパンは好んでるみたいでよ、ボウル5個も持ってるみたいだぜ。父親に自慢するんだとよ」
弟「吉田のイメージめっちゃ変わったんだけど、それ……」
友「ま、悪そうなやつほどいいやつなのかもな」
弟「へぇ……」
友「お前とお前の姉貴は集めるのが遅かったな」
弟「まったくだ。姉貴の思いつきによる行動はいつも迷惑してるよ」
友「まぁでも、それが弟ってもんじゃねぇの」
弟「知ってる」
友「俺も」
「「はっはっはっは」」
家
弟「ってわけだ、ほら2点」
姉「え、に、にてん……!?も貰ってきたの!?」
弟「吉田は1点のパンを二つくれたからな」
姉「マジかーーーー!!」
弟「な、なんだよ急に大声出すなよ五月蝿いな」
姉「あと1点じゃん……」
弟「はぁ?なんでだよ」
姉「それがね……」
―
―――
――――――
富岡「委員長さん」
姉「は、はひぃ!?」
富岡「うんん?どうしたの?」
姉「い、いや、なんでもないですたい。はいさい、それでわたくしめになにかゴ用でござんしょう?」
富岡「委員長面白いね、ほら委員長ヤマパンの点数集めてるって言ってたじゃない?私昨日それ聞いたらいつも頑張ってる委員長の為にいっぱい集めようと思って」
姉「さ、さようでございますか!?」
富岡「うん、と言っても5点なんだけどね、ごめんなさい」
姉「い、いや!本当ありがたいでふ!!本当ありあとう!!」
富岡「ううん、気にしないで委員長もクラスのみんなの為にいつもありがとう」
姉「そ、そんな私は、えへへ……これからもよろしくね!富岡さん!!」
富岡「うん!」
――――――
―――
―
弟「いい話じゃねぇか」
姉「いい話だけどあと1点足りないよ!!」
弟「富岡さん本当良い人だな……」
姉「富岡さんが良い人ってことが分かったのは良い事だけど良くないよ!!!!!」
弟「もういいじゃねぇか、ヤマザキ春のパンまつりを通して吉田と富岡さんの良い所が分かったんだから」
姉「よくないよ!?」
弟「俺結構感動したし」
姉「感動したけど、満足してない!」
弟「買い置きしてた一本満足バーあげるから」
姉「いらないよ!」
弟「そうか」
姉「あと1点……どっかに落ちてないかなぁ」
弟「探しに行くのかよ?」
姉「行くかぁー道端に落ちてたりしないかな」
弟「はぁ。アホみたいな事すんなよ」
翌日。
弟「せっかくに日曜日なのに俺は何をやってるんだろう」
姉「ここで見張ってればさ、シール買う人絶対分かるじゃん、思い切ってその人に話しかけて一枚でいいからくださいって言えば!」
弟「俺帰っていいか」
姉「ダメ!結局弟は数えるほどしか点数集めてないんだから!!」
弟「それにしたって変質者すぎるだろ!?なんでサングラスにマスクニット帽かぶってんだよ!?」
姉「雰囲気でも味わおうと思って」
弟「なんのだよ!?」
姉「ふ、ふふ。ふふふ、今の私は本気だからね」
弟「気持ち悪い笑い方するなよ」
姉「気持ち悪いかな」
弟「気持ち悪いよ」
―――数分後。
姉「なかなか買わないね」
弟「まだ朝方だしな、日朝見たかったんだけど」
姉「録画してるでしょ、我慢我慢」
弟「眠い」
―――数時間後。
姉「来た!行くよ!!」
弟「ぬぉお!!少し寝てた……何が来たって?」
姉「何寝てんの!ほら、あのおばちゃん取ったよ!」
弟「行ってこい姉貴」
姉「一緒に行くんだよ!!」
姉「あ、あ、あにょー」
おばちゃん「うん?……ひぃ!!」
姉「その、その、パンをですね」
おばちゃん「へ、変質者よ!!」
姉「え」
弟「あー……」
姉「いえ、違います!これは、その!!風邪で!!」
弟「帰りたい……」
おばちゃん「サングラスかけて風邪ひいてる人がいますか!!誰かー!!」
姉「ち、ちが!!」
警備員「君たち!何をしているんだ!」
姉「な、何もしてません!!」
警備員「それにしては不審な格好だろう!」
弟「だから言ったのに」
警備員「ちょっと事務所に来なさい」
姉「う、うぅ……」
弟「帰りたい……」
おばちゃん「近頃の若い子は何するか分からないものね……ブツブツ……」
警備員「で、何をしていたんだ、万引きか?脅しか?ゆすりか?」
姉「違います、違うんですお巡りさん」
警備員「僕は警備員だ」
姉「違うんです、警備員さん。あとカツ丼でお願いします」
警備員「だから警備員だ」
弟(ノリの良い警備員だな……)
姉「私はただ!!シールが欲しくて!!」
警備員「シール……?」
姉「はい、ヤマザキ春のパンまつりはご存知ですか?」
警備員「ああ、うちのかみさんが集めてたな」
姉「その〆切がもうすぐなんです、と言うか明日までなんですよ、で今19点なんです!」
警備員「ふむ、買えばいいじゃないか、パンを」
姉「お、お金が無くて……」
警備員「はぁ?パンを買うお金もか」
姉「はい……」
警備員「……」(そうか、きっと親は居ないんだろうな。貧しい生活をしていて、せめて食器でも新しくしようとポイントを必死に集めて……それなのに俺は最初万引き犯だなんて思って、健気な子達に何やってんだか……)
弟(何やってんだか……)
警備員「分かった」
姉「は、はい」
警備員「おじさんが買ってやろう!」
姉「すみま……えぇ!?」
弟「えぇ!?」
警備員「いくらでも買ってやる!カツ丼も買ってやる!」
姉「え、あ、えっと、いいんですか?」
警備員「ああ、あと1点なんだろう?それくらい買ってやろう」
姉「あ、ありがとうございます!ほら、弟も!」
弟「あ、ありがとうございます……(どういうことだよ、このおっさん……)」
姉「やったー!これでボウルゲットだよ!!」
弟「お、おう」
姉「嬉しくないの?」
弟「び、微妙……」
姉「そ、それじゃあ変えてもらってきますね!」
警備員「ああ、気をつけてな」
姉「あの、点溜まったので替えてください!」
店員「はい、かしこまりました。少々お待ち下さい」
姉「胸が高まるね」
弟「そうか」
姉「もードライだなぁ」
弟「姉貴がテンション上がるほどドライになる」
姉「このこのー」
弟「やめろ」
店員「お待たせしました……大変申し訳ございません」
姉「え」
弟「え」
店員「現在当店のボウルは切らしておりまして……」
姉「ほ、本当ですか?」
店員「え、ええ……次に入荷するのは私だけではちょっと分からないので……」
姉「て、店長とかなら分かるんですか!?」
店員「店長は本日不在でして……」
姉「Nooo……」
弟「今日は諦め……」
姉「まだだ、まだ取り替えられる店は山のようにある!!」
弟「え」
姉「行くよ」
弟「まじかよ……」
――――――夕方。
姉「なんで10軒周って見つからないの……」
弟「知らないよ……期限ギリギリだからだろ……」
姉「はー……もう夕方かぁ」
弟「ゴールデンウィークに何やってんだろ……」
姉「有意義じゃん?」
弟「まったく」
姉「明日また行くよ、最終日」
弟「……はぁ、面倒臭いなぁ」
姉「ここまで来たなら最後までがんばろう!!」
弟「……はいはい」
翌日。
朝、俺は7時半に起きた、と言うか起こされた。
「ほら、行くよ。もうコンビニは開いてるんだから」
そう言うと、姉貴は俺のかけ布団を引き剥がす。
窓の外を見ると快晴だった、まるで俺を招き入れているような、そんな感じの天気。
そもそものゴールデンウィークの予定なんてもう思い出せないくらい、姉貴に振り回されていた。
本当ならば、午後まで寝ている予定だった本日4月30日もきっちりいつもの時間に起こされる始末。
姉貴の用意していた朝食を口に運んで、眠い目をこすりながら歯磨きをして、顔を洗い、着替えをして支度をした。
ちなみに、歯を磨いている時点で姉貴の支度は完璧に終わっていた。
どれだけボウルが欲しいのか、ここまで姉貴を動かすのは何故なのか、弟の俺には理解が出来なかった。
だけど、姉貴がボウルを欲しいと言うのなら、俺はついていく。
いつだってそうだった、小学校中学校、そして今高校生になっても。
多分これからも。
「出発!」
自転車にまたがり、家を出る。
姉貴はいつも以上にスピードを出していた、スピードを出すために漕ぎやすいようショートパンツをはいている。
どこまで準備していたのだろうか、俺には想像がつかない。
それくらい―――速かった。
最初のコンビニに着くと、姉貴は駆け足でレジに向かいいつもどおりの口調で店員に話しかけた。
何故姉貴はあれほどのスピードを出していたのに息を切らしていないのかが俺には不思議でしょうがなかった。
かくいう俺はというと、運動不足なのもあって息を切らし、ポケットにたまたま入っていたお金でスポーツ飲料を買おうか迷っていた。
「なかった……」
姉貴がコンビニから出てくる。
肩は下がっていて酷く落ち込んでいた、もう精神的にも参っているのだろう。
たった一個のボウルのせいで。
ここまで来ると、流石にイライラしてくる。何故ここまでして無いのか、何が俺たちを邪魔しているのか、ヤマザキは何故パン屋なのにボウルを出すのか。
全てが謎だった。
しかし、それはボウルを手にした時に解決する、俺はどこかでそう思っていた。
いや、これは願望かもしれない。
そうであって欲しい、早く手に入れて全てを知りたい、欲だったのだ。
そこで俺は初めて気づいた。
姉貴は最初からこれに気づいていたのではないかと。
欲がここまで姉貴を動かしてきたのではないかと。
それに気づくと俺はますます興味が湧いた。
欲を手に入れた姉貴はどれだけのエネルギーを放つのか、と。
「姉貴!!」
俺は叫んでいた。息を切らしながら、呼吸を整えながら。
姉貴の顔をマジマジと見る。整った顔出ち、汗ひとつのない顔、見慣れた顔。紛れもなく俺の姉貴に……指示を出した。
「俺はあっちのコンビニ言ってみる、だから姉貴は駅前のほうを頼む、見つかったら連絡するから!」
姉貴は驚いていた。
今までやる気のなかった俺がここまで反応を変えたからだ。
姉貴がどう思っているかは分からない、もしかしたら俺が早く終わらせたいからと思っているからかもしれない。
でも、俺は姉貴の弟なのだ。
姉貴の思考と、俺の思考は、似ているのだから。
―――正午。
もう3軒回った。
一向に見つからない。
姉貴からの電話もこないと言うことは、姉貴も見つかっていないのだろう。
俺はもう3軒目になかった時半分諦めていた。
ここまでやって、ダメだったら、それはもう神様に反発するしかない、と。
そう悟った、最初からボウルは手に入れられなかった。
そういう風にできているんだ、と思った。
だから、俺は次のコンビニを目指す時にはスピードが落ちていた。
たらたらと自転車を漕いでいた、あまりの絶望に俺は耐えられなかったのだ。
疲れた。
このまま休みたい、という違う欲が出てきた。
この近くに公園がある、そこでスポーツ飲料を飲みながら休憩しようと思った。
それに日は真上を指している、きっともう正午だろう。
正確な時間を確認するために携帯を見た。
―――その瞬間……姉貴からの電話がかかってきた。
恐る恐る受話器ボタンを押す、そっと汗ばんだ耳に当て……。
「も……もしもし」
と、ゆっくりと言う。
すると……
「もしもし!!あった、あったよ!!見つかった!!7軒目のスーパーで見つかったよ!!!」
という姉貴の歓声が、電話越しに伝わってきた。
俺の鼓動は高なった。
まさにテンションが上がった。
すぐに自転車にまたがり、発進させる。
姉貴に会ってすぐに良かったねと言いたい。
この際ドライな俺は捨ててしまおう、そう思った。
最速で、姉貴の指定したスーパーへと俺は向かった。
「あった、とうとう……手に入れたよ」
姉貴は俺にソレを見せた。
数日間ずっと求めていたもの、沢山の友達、知り合い、警備員さんも含めて山のような協力を得て手に入れた。
白いボウル。
「お、おお……よ、良かった……ね」
俺はもう声に出せないくらい疲れていた。
それくらいの速さでここまで来たのだ。
「よかった、よかったよ!!やったー!!弟!!ありがとう!!」
そう言うと姉貴は俺に抱きついてきた。
こんなにも汗ばんでいる俺に。
公衆の面前で……だが不思議と嫌な気持ちはしなかった。
いつもなら引き剥がすが、今はただ――――――嬉しかったのだ。
姉「さて、帰ろうか」
弟「おう」
姉「明日はこのボウル使って、朝ごはんだね!」
弟「きっといつもと違う味だろうな」
姉「もちろん!!」
家
姉「ただまー」
弟「ただいま」
母「二人揃ってどこ行ってたの」
姉「ちょっと……旅にね」
母「ふーん、まぁいいわ、御飯すぐだから着替えてきなさい」
姉「それより見てみて、これ!ヤマザキのボウルだよ!」
母「あら?貴方も集めてたの」
姉弟「え?」
母「お母さんもゲットしたわ、知り合いの吉田さんと富岡さんの旦那さんがヤマザキで働いてるのよ、よくパートのお昼に貰ってこっそり集めてたのよね」
姉「なん……」
弟「だと……」
母「お母さん3つもGETしちゃったわ!まぁでもお父さんの分も欲しかったから丁度いいわね」
姉「言ってよ!!言ってよ!!おかああさあああん!?!?」
弟「ほんとだよ……母さんが、母さんが言ってくれればああああ!!」
母「な、なによ二人揃って、いいから早く着替えてきなさい!!」
姉「ぅぁあああ……」
ゴールデンウィーク明け。
姉「いやーその節は本当ありがとうね、弟よ」
弟「いやもういいや、どうでも」
姉「そう?洗い流す?」
弟「んー、あんまり俺役に立たなかったしな」
姉「そうだよねぇ~!!」
弟「物凄い肯定するなよ、それなりに頑張ったっての」
姉「わかってるってば」
弟「どっちだよ」
姉「それでさ……お願いがあるんだけどさ」
弟「え、ちょ、待って、この流れは」
姉「ミスドの1000ptで貰えるポン・デ・ライオンが!!!欲しいです!!」
弟「もう絶対協力しねぇからな!!!!!!!」
終わり!
87 : 以下、名無しにかわ... - 2012/05/01 01:57:45 dfrewgR60 64/64こんなくだらないネタで見てくれた方ありがとうございました。
今回私はヤマザキ春のパンまつりに参加できませんでしたが、こういう形で参加できて光栄に思います。
今後共美味しいパンを提供していって欲しいですね!ヤマザキには!!
でも本当なんでボウルなのかは謎ですね!!
お疲れ様でした!!
って読んだw