勇者「魔王を倒してから、あれから二十年!」【1】
勇者「魔王を倒してから、あれから二十年!」【2】
勇者「魔王を倒してから、あれから二十年!」【3】
勇者「魔王を倒してから、あれから二十年!」【4】
の続き
ーー1年後ーー
勇者「おっはよーございまーす!」
勇者「おっはよーございます勇者様(裏声)」
勇者「微かに聞こえる雨音からして本日のお天気はやや小振りの雨日和ですね!」
勇者「お腹の減り具合からして大体今は午前十一時頃といったところですかね!」
勇者「不摂生はいけませんよ勇者様(裏声)」
勇者「そうですね気を付けます! 魔王城にいた頃は誰か彼か起こしてくれて皆と一緒にごきげんな朝食を」
勇者「嘘はいけませんよ勇者様」
勇者「はいスミマセンでした! 基本的には寝坊してるし土の四天王さんが起こしてくれた日にゃ朝からギシアンですよ!」
勇者「おかげで魔王が怒るのなんのってアンタうちの母上かって! ハハハ!」
勇者「ヒャッホウ!」
勇者「ひゃっほう(裏声)」
勇者「魔王、四天王、魔神様に魔物の皆さま、あの世があったら元気でやってますかね!」
勇者「元気に決まっています。騒がしいぐらいかもしれません、待ちくたびれちゃって(裏声)」
勇者「それもそうですね! でもいいじゃないですか! ゆっくりしてられるんですから!」
勇者「私達も今はゆっくりしませんと」
勇者「そう! ゆっくりしつつ!」
勇者「今日も点検はじめ!」
勇者「目!」
勇者「やけてます(裏声)」
勇者「耳!」
勇者「西方向にも東方向にも、勿論北にもありません(裏声)」
勇者「手足!」
勇者「なんとか少しずつ四方八方に再生中です(裏声)」
勇者「お腹!」
勇者「お腹すくぐらいには再生してまいりました(裏声)」
勇者「皆と再び会うためにも御飯食べるためにも色々必須ぅ! 城!」
勇者「土地ごと消し飛んでおります(裏声)」
勇者「ヮ(゚д゚)ォ!」
勇者「ヮ(゚д゚)ォ!(裏声)」
勇者「ひゃっほう(裏声)」
勇者「ヒャッホウ!」
勇者「いやー」
勇者「もーね」
勇者「びっくりしましたよね」
勇者「びっくりしましたねぇ勇者様(裏声)」
勇者「光あれ。アイツラと魔神様と魔王たちの死体とお城を吹き飛ばすのは想定内でしたが……」
勇者「まさか土地はもちろんのこと術者である僕のことまで吹き飛ばすとは思いもしませんよ!」
勇者「……まあ、何がびっくりって、諸々吹っ飛んで海に一年浸かってんのに死なない僕に僕が一番驚きですが」
勇者「魔神さまの加護も本人吹っ飛んでるから無効のはずなんですけど」
勇者「そして海ぽちゃしてからはや一年でございます、勇者様(裏声)」
勇者「一年も経っちゃいましたか! そろそろゆっくりもしてられませんね!」
ーー二年後ーー
黒餅「って、なんでワテが復活いの一番やねーん! ここはふつー土ちゃんやろが勇者君!?」
勇者「いやだって黒餅様が一番魔力あるんでね」
勇者「僕と黒餅様なら僕と土さんでやるより皆復活させやすいんですよ」
黒餅「シビア! 前々から思うとったけど君たまに効率重視しすぎなとこあんねんて!」
黒餅「ええて! 土ちゃんとイチャイチャしながらまったりしとってくれれば! 誰も急かさへんのに!」
勇者「あ、黒餅様、全盛期で復活させてみたんですけど。丸餅っていうか角餅みたいでカッコいいですね」
黒餅「あ、そ、そうか? へへへ、まあな、ワテもぶいぶいいわしとった頃はこんな感じでマッチョメン」
黒餅「て違う聞いて!? あのな!?」
勇者「じゃ、やりましょうか。ひとまず僕の身体、直してくれません?」
黒餅「聞いてぇぇぇぇ! つーかおんどれワテ復活させるまえに身体治せやぁぁぁ!!」
勇者「いや僕の身体治すの先にしちゃうと黒餅様の復活が遅れてね」
黒餅「聞いてくれたの嬉しいけど復活したらスプラッタな君見せられるこっちの身ィにもなってや!?」
勇者「ハハハ」
黒餅「なんでまた聞いてくれへんようになんの!?」
勇者「ヒャッホウ」
黒餅「聞いてー!」
ーー五年後ーー
土の四天王「勇者=サン。そコに正座して下サい」
勇者「はい」
土の四天王「はい」
勇者「……」
土の四天王「で?」
勇者「すみませんでした」
土の四天王「何に?」
勇者「転生後回しにしちゃって誠にすみませんでしたァァァァ!!」ヒラニ! ヒラニィィィ!
土の四天王「えエ、ええ、後でしタねぇ。魔王様、炎に風に水に、土地と城の後でしタねェ」
土の四天王「まぁ? わかリますけド? 魔王様はもちロん、炎に風に水のこトもねェ」
土の四天王「勇者さンと黒餅様と魔王様で転生陣の準備でしョオ?」
土の四天王「残りの四天王ハほっぽッとイた人間界・魔界・天界の偵察でショお?」
黒餅「あ、あの、あのな、そのな、き、ききき聞いたって? なんかなこの五年の間に向こうサンも色々失うてな」
黒餅「失うたなりに色々準備しとったもんやさかいこうな! 今攻められたら困るもんやで急遽即戦力と拠点が欲しくて」
土の四天王「えェ、えェ! 私は他の四天王と比べレばー! 直接戦闘能力は一番下ですカらー!」
土の四天王「改造能力はあッテも建築能力もありマせんし!」
魔王「う、む、ぐ。す、すごい魔力出てるな土よ。いや絶対量的には我等のが上だが今はなんだか勝てる気がせん」
土の四天王「勇者さマ!」
勇者「はい!」
土の四天王「実家に帰らセて貰いまス!!」
勇者・黒餅・魔王・三天王「待ってェェェェ!!!?」
ーー六年後ーー
魔王「で?」
勇者「はい」
魔王「土の四天王はまだ実家から帰ってこんのか?」
勇者「はい」
魔王「聞いた話では実家の方で。ああ、魔界のな、家の農業に精を出しているとか」
勇者「はい」
魔王「聞いた話では魔王軍在籍時の生体改造ノウハウを使って随分質の良い野菜とか果物で大儲けしてるとか」
勇者「はい」
魔王「魔神様。どうしたものかな、これは?」
黒餅「ほんまな。塔に閉じ込められとった時よりひどなってもうてるやん」ユウシャェー
魔王「情けない。と、言いたいところだが恋仲が離れるのは二度目だしな」
黒餅「けど今度はぱーぺき自分のせいやかんな。あ、自分のせいやからか」
魔王「うーむ。私が一つ説得に赴くべきだろうか?」
黒餅「うーん。痴話喧嘩や思て様子見ぃ……」
黒餅「しとったらまーさか一年も帰ってこぉへんとはなぁーうーんちぃと行くかぁ?」ワテモツイテッタルサカイ
魔王「うむ、行くか。戦闘力はともあれ、いや、四天王の中では最弱とはいえ他の魔物と比べれば十分あれも強い」
黒餅「自分ら強すぎんねん。世が世ならあの子も魔王名乗れるんやぞ」
魔王「一から軍勢作れる能力があるからな、世が世でなくてもアレがその気になれば今からでも魔王名乗れるさ」
魔王「しかし、言って聞くかどうか。普通は私が言えば聞くのだが、勇者が言ってさえ聞かんからな、女心というのは難しい」
黒餅「ま、やれるだけやってみよーや。近況も聞きたいし。あ、勇者君にほとほと愛想つかして結婚とかしとったら笑えるな」
魔王「……この駄餅め」
黒餅「え? あっ!」
魔王「勇者の心臓が止まったぞ」トイウカユウシャ、ハナシキイテルノダナ
黒餅「あーっ! 嘘! 嘘ぉ!?」
黒餅「あない爆撃受けてもぴんぴんしとるクセになんでこない、あーあかんちょっと水さん呼んだってー!!」
――七年後――
黒餅「いやー飲んだ! もうワテお顔まっ赤! って、浅黒てわからへんとか言いっこなしやでー!」バッシーン!!!
魔王「ぐえっふ!? こ、この駄餅、ようやく一息ついたのは分かるが飲み過ぎだ!」ソコラノマモノナラシヌゾ、コノイリョク
黒餅「ええやーん! もうホントいそがしかってーん!」
炎の四天王「なんかホント怒涛の一年って感じだったもんな」
水の四天王「ええと、女神様がちゃっかり生き残ってて自分の命ブーストで新しい勇者誕生させようとしましたでしょ」
風の四天王「ブッフォwww あれはww もうww ホントww デュッフww クソワロスww」
炎の四天王「くっそみてぇな悲劇のヒロイン面して大演説かましてる最中にうちの勇者さんがぶっ殺しちゃったもんな」
風の四天王「言わせてwwwあげてwww」
炎の四天王「あれは俺も笑ったわ。魔王様と黒餅様なんて呼吸困難になるぐらい笑ってたぞ」アンナマオウサマ、ハジメテミタワ
水の四天王「変身と合体の最中は攻撃したらいかんでござろーホントーwww」
水の四天王「失礼ながらわたくしも、ちょっと。ううん。こほん。その勢いで天界攻め込んで」
炎の四天王「この一、二年、土がこれ見よがしに恋人出来たーとか結婚するーとかほざいてたから勇者さんストレスたまってたのな」
風の四天王「あ! 拙者! 拙者が一番天使どもぶっちKILL!」
水の四天王「ふふふ、風さん張り切ってましたものねぇ」
黒餅「まーいきなり天界殴り込んだもんやから大変やったけどな! わて等しか付いてけへんかったがな!」
炎の四天王「別に楽勝だったけどな、俺らだけで」
魔王「軍勢もせっかく再生させたというのに。まあ、後々の、土地の修復だの建設だの維持だのに使ったから無意味でもないが」
黒餅「まーまー。でもあれなー何が良かったってなんのかんの土ちゃんと勇者くん元鞘なってほんま良かったわな!」
魔王「こうして、結婚式? というのも挙げられたからな。しかし、伴侶を得るというだけにこれほど盛大な祭りをするとは……」
黒餅「魔界にはあんまない風習やもんな」
魔王「神の御前にて愛を誓う、か」
黒餅「眼の前で神父役やっとんのが神本人とか笑てまうがな」
魔王「よく我慢した」
炎の四天王「で、肝心の勇者と土はどこいったんだ?」
水の四天王「あちらで、結婚式知ってる組の魔物たちにもみくちゃにされて祝われておりますわ」
風の四天王「拙者も知ってるでござるがあんな相撲の百本勝負みたいな祝われ方知らんでござる」
黒餅「相撲! 相撲と聞いたら黙っと」
魔王「黙れ」
黒餅「はい」
魔王「しかし、慣れんが、良いものだな。こういうのも。どれ、一応、祝辞は言ったが祝の品一つ代わりに、この夜空に流星でも」
風の四天王「やめてくだされ、またどこぞの地形が変わるから。土さんと勇者さんの仲直り喧嘩でえらい苦労したんだから」
風の四天王「あ、そうそう、しかしこれでもう何の気兼ねも御座らんぞ。風殿、炎殿」
炎の四天王「は?」
水の四天王「え?」
魔王「うむ」
黒餅「セヤナー」
風の四天王「魔王様はそーゆー相手も予定も今んとこ立っとらんし」
黒餅「うんうん」
風の四天王「黒餅さまは黒餅さまだし」
黒餅「黒餅は黒餅てなんやねん」
風の四天王「次はお二人の結婚でござるな、式やろ、式」
黒餅「なんで聞いてくれへんの風くん黒餅は黒餅て何や。いや、おらんけど、あ、逃げたで」
風の四天王「捕まえろ」
黒餅「おう!」
勇者「え、なに、炎さんと風さんも結婚式やるんですかおめでとーございまーす!!」
土の四天王「逃ゲちゃってまスけど捕まッテますね、者共あの人たちもモミクチャゴー!」
炎の四天王「ちょっ、待っ」
水の四天王「あーれー」
勇者「あ、次逃げたら僕追い掛けます。全力で」
炎の四天王「くっそがー!!」
水の四天王「あらー」
勇者「ヒャッホウ!」
土の四天王「ひゃっほー!」
――七年と三ヶ月後――
燃え盛る豪火が、山一つといわず山脈すらをも燃え上がらせるほどの豪火が、一点に……
拳へと集中したらばなるほどそれは、炎をまとった拳というより光り輝く拳として傍目に映る。
それほどの熱量を、さらに何倍にもさらにさらに何十倍にも引き上げればその輝く拳を目にした者の目を焼く。
そばで息を吸い込めば臓腑が焼け、そばにいるだけでも灰と化すほどに絶命必至、ただそこにあるだけで必殺。
炎の四天王、唯一にして最大の必殺技を……
炎の四天王「……を、なんでフッツーに受け止めちゃってくれてんだよお陰様で自尊心粉々だよコルァ!!」
勇者「死ぬかと思ったと言ってるじゃないですか何を魔王戦線でも出さんかった技出しとんじゃコルァ!?」
炎の四天王「うっせ! うっせ! ばーか!」
勇者「子供か!」
勇者「でもこんな危なっかしい子供見たことないですホンット危なかった! 手を火傷した!」
炎の四天王「しまいにゃ泣くぞおい!?」
炎の四天王「俺この技だけを磨いてこの地位に居るんだぞ!? それを火傷!? 手を!?」
勇者「馬鹿野郎こっちは全魔力防御に回した挙げ句に火傷してんですよとんでもない威力ですよ馬鹿野郎!!」
勇者「見てくださいよ周りとんでもないことになってる!」
勇者「何ここ溶岩の大陸ですか!? 元アノオー国があった大陸じゃありませんでしたっけここ!?」
勇者「と~~~~~~くのほうよ~~~~~~く見てみると海が煮上がってるし! どんな威力だ!」
勇者「しかもそれを婚礼の接吻を人前でするのが嫌だからって馬鹿みたいな理由で逃げまくった挙げ句にようやく追いついたと思ったら撃ちくさりよって!!」
炎の四天王「できるかボケェ!! せせせせせ接吻! 水殿と! 人前で! 接吻!! 出来るかぁぁぁぁ!!!」ギュオンッ!!!
勇者「ちょっとまってチャージやめてもっかい撃つの!? それ連発出来るの!? 嘘ォ!? いやぁぁぁぁ!?」
――ちょっと後――
勇者「ひどい目に逢いました……あちこち火傷だらけというか一部焦げるどころか炭化した……」
勇者「まさかあの威力を何十発と打ち込んでくるとは流石です……」
勇者「チャージ結構短いし。自分が死なないのはもちろん周りの被害をこれ以上悪化させないために何千重ねも結界張って……」
炎の四天王「でもよ勇者」
勇者「はい」
炎の四天王「だからって串刺しは酷くねぇか?」
炎の四天王「なにこれ雷で出来た槍? むっちゃくちゃ痛ぇしむっちゃくちゃ痺れるしで動けねんだけど」
勇者「魔王仕留めた技ですからねこれ。死なないように手加減してますけど」トクイワザデス
炎の四天王「これで手加減してんの? あとこのまま二分ぐらい刺さってたら俺死ぬぜ?」ケンジャモコレデヤッタンダッタナ・・・
炎の四天王「抜いて?」
勇者「あと一分五十九秒後に抜きます」
炎の四天王「俺の命でチキンレースやめて?」
勇者「大丈夫です死んだら生き返らせます。後これぐらいギリギリで抜かないとまた暴れだしそうなんで」
炎の四天王「俺の命簡単にリサイクルするのやめて? 暴れないから……」
勇者「……」
炎の四天王「いやホント悪かったから抜いて二分ぐらいだから一分五十九秒後アウトかもだから」
勇者「……」
炎の四天王「いやいやマジで俺もこう色々と恥ずかしがって暴れていい歳でも無かったって言うか」
勇者「……」
炎の四天王「すみませんでしたぁぁぁ結婚式きちんと臨むからぁぁぁ!!?」
勇者「……」
炎の四天王「え!? 駄目!? 駄目ですか!!? えっ。あれっ。ちょっと勇者マジおこ!? マジおこ!!?」
勇者「激おこ」プンプンマルゥゥゥゥゥ
勇者「チッ。どうするかな、この分じゃ多分この大陸の生物絶滅しましたよね……ご主人様も多分溶けたなこれ……」
勇者「あの子だけは助けるって約束したしなぁ……どうすっかなぁ……」
炎の四天王「あのなんの話かわかんないんだけどホント……そろそろマジ……抜……い……で……」
勇者「ん?」
勇者「あっ」
――八年後――
勇者「ちゃんちゃかちゃかちゃかちゃんちゃんちゃーん」
土の四天王「ちゃんちゃかちゃかちゃかちゃんちゃんちゃーん」
勇者「……」
土の四天王「……」
勇者「あとのリズムなんでしたっけ」
土の四天王「あのフレーズだケが頭に残ってテ他が……」
勇者「このあとの流れってどんなのでしたっけ」
土の四天王「アのフレーズだけガ頭に残ッテて他ガ……」
勇者「忘れましょう、さてここにありましたるは!」
土の四天王「忘れマシてさてココにありマしタる!」
勇者「ドッカ村の村娘さんの遺骨(復元バージョン)と!」
土の四天王「そノ魂(復元バージョン)で御座イ!!」
勇者「あとおまけで護衛してくれてた傭兵衆。いやびっくりしましたねあれからマジでずっと面倒見ててくれて一緒に死んでたとは」
勇者「おかげでただでさえ色々溶けて混じってんのに五人分もさらに追加で混じってて仕分け苦労しました」
勇者「どれがどれだかわかんないからいっそのこと全部復元してみようって事で復元しただけですが」
勇者「おまけの人生一緒にあげましょう。見直しました。皆こんな優しかったら僕こんなんならなかったのに」
土の四天王「……結婚生活、不満でスか?」
勇者「今のなしで」
土の四天王「今、魔王様にデすネ、遊園地作っテ欲しイっておねだリしてルんでス」
勇者「雷の槍突き刺してでも作らせます」
土の四天王「おっケーでース」
勇者「はイ」
勇者「そ、それでです、復元するのにえらい苦労しましたが。僕、約束は守る子ですので」
勇者「僕があるのはこの娘あってこそといってまるで過言ありませんゆえね。炎さんのせいで台無しにされかけましたがね」
土の四天王「復活さセてあげヨうと。勇者=サマやっさしー!! 一々惚れ直さセないデいただキたい!!」
勇者「へ、へへへ、い、いかん、顔が……未だに慣れませんねこれはうん……」
勇者「まあ、魔物に改造して、記憶も弄りますけどね。魂が本人のものだしぃ? 村娘さんそのまま生かしといてあげるって言ってないしぃ?」
土の四天王「屁理屈でスけど人間のまま生き返らセると色々面倒なのは分かルのでスルーでス」
勇者「それじャ、パパッとやりましょう。漸く……本当に漸く……あれからも色々ありましたが漸くこのあと炎さんと水さんの結婚式なので」
土の四天王「フォーマルな装いデ改造でス」
勇者「いやしかし……」
土の四天王「いヤしかシ……」
勇者・土の四天王「長かったなぁ結婚まで……」
――ある日のこと
勇者「……はん? ……制圧に失敗した?」
勇者「一個、炎さんのせいで丸々溶けちゃいましたけど、以降他の大陸のあっちこっちに繰り出してっては制圧の繰り返し繰り返し」
勇者「まーゆーっくりとやってますよね手ぇ抜いて、あんまり幹部とか出張らないでちょっと強い兵士諸君たちだけ現場出してとか」
勇者「練兵的な。そこそこ手こずるぐらいの反乱軍諸君も居ますし丁度いいかなと、あんまり手こずるなら強い人達出してますけど」
勇者「制圧に失敗したて初めて聞きました」
勇者「どこ? え、ポッチ島? え、ほんとにどこ?」
勇者「……あー。……あー! あのポッチ島ですか!」
勇者「え、なんで?」
勇者「ポッチ島てほんっとあれっぽっちしかないすんごい小さな島ですよね?」
勇者「たしか、ふる~~~~い伝説にある戦士の王様が出身したとかしないとかで島の規模の割には大きな神殿の……」
勇者「……あ? ……あーーーーーーー!!!?(軍団)」
勇者「思い出した! ごっめんなさい!」
勇者「僕のせいだそれ! ほんとにごめんなさい!」
勇者「あそこたしか僕がかなり愛用してた! 古の戦士王の剣とか曰くつきの剣奉納してたんだった!!!」
勇者「最終決戦目前でねー女神様がえらい聖剣くれるとかいうしね!」
勇者「ポイするのもなんだから伝承発祥の地ーみたいな感あったからあそこにお返しいう名目で!」
勇者「……圧倒的やらかし……!」
勇者「あの剣すごい良いやつですからね。ぶっちゃけ女神様がくれた聖剣より良い、各種Buffに自動回復に……」
勇者「聖剣なんてバカスカ魔力食うわりに丈夫で自動ゲツガテンショーできるぐらいのもんでしたし」
勇者「……逆手で持ってズバーってゲツガテンショーするのがなんかカッコよくてですね」
勇者「……聖剣もそう悪くはなかったというか。聖剣も実は結構良かったんですけどもね」
勇者「ともかく。やらかし。ちょっと行ってきます」
勇者「伝令さんありがとうございます。死んじゃった兵士たちの遺体は集めといてくれました? オッケーあとで蘇生させますね大変申し訳ねぇ」
勇者「これ終わったら謝罪行脚です……」
勇者「え? オトモ? いらないいらない」
勇者「僕が誰より強いの知って、あ、さびしいでしょって? ……ちょっともう! 僕がひとりぼっち恐怖症みたいな扱いやめてくれます!?」
勇者「そらーねー塔に幽閉されたりお城制圧されたりで二度ほど心折られてますけどもー昔の話なんですからいい加減立ち直ってますってば!」
勇者「ていうかもうやめてくださいよホント! 立ち直ってるけどそういう優しさ! 涙腺緩むから!」
勇者「もう! 皆いちいちそういう優しさ! 僕ね! 魔王戦役以来おかげさまですごい涙腺緩いの!」
勇者「……はい? ……ポッチ島にはまだ死体があるからそれ見て泣いちゃわないか心配だからやっぱ付いてく?」
勇者「やめて! ホント! 皆わざとやってるでしょホント! ちょっとハンカチどこ!? もーーーーーー!!」
――ズババっと
勇者「っというわけで。伝令さん、他、魔王含むもろもろ振り切ってまいりましたよ」
勇者「あの人達もとい魔物達、年々僕に過保護になってきている気さえする……!」
勇者「文句なしの世界最強なのに要介護みたいな扱いホントやめていただきたい!」
勇者「涙腺緩むから! 此処にくるまでにハンカチ一枚駄目にしちゃったから!」シルクノイイヤツナノニ!
勇者「涙と!」
勇者「鼻水も出ましたね勇者様(裏声)」
勇者「そうです鼻水まで出ましたねー!」ブシャーテ!
勇者「とことんよい方たちですね勇者様(裏声)」
勇者「ホントにね! わざとやってるフシもありますけどね!」ブシャーテ!
勇者「くやしいでも?(裏声)」
勇者「涙出ちゃう! んもう!」ブシャーテデタ!
勇者「……しかし、さて、さてさてさてのさて。ほんっっっっっとに小さな島です、そのくせ神殿超大きい」
勇者「神官さんがたはこちらに串刺しになっております、二十串ぐらいです」
勇者「人のこと見るなり貴方様ともあろうお方が系説教ほんとやめてほしい」
勇者「マジでやめてほしい」チョベリバ
勇者「神殿の隅っこでがたがた震えている三途リバーに片足突っ込んだミドルから年端のいかないお子様方は」
勇者「眼の前の方をサクッとしてからサクッとします」
勇者「制圧に失敗したと思われる原因ですねはい」
勇者「まさかの! 子供!」
勇者「僕の愛剣もとい元愛剣持ってる子供!」
勇者「……既に死にかけなんですけどね!」
勇者「……既に死にかけ! この異常性!」
神官見習い「……!」
勇者「いかな僕の愛剣、もとい元愛剣を持っているとはいえですよ僕急いで出てきたんで素手とはいえですよ」
勇者「七秒ぐらい粘られました」
勇者「びっくりしましたねー!」
勇者「最初はこうジャブ的なあれでさくっとやっちゃうつもりでやってみたら避けやんの!」
勇者「二十串ほど用意してみた神官さまがたそれで二十串になってんざますよ?」
勇者「ちょっとずつ威力強めてまーべつに嬲り殺しにしたいわけじゃないんでちゃんと殺す気で一回一回やってんのにまだ死んでないの」
勇者「君なんなんです。軽く、んー、そうさな。魔王戦役の中盤ぐらいかな? ざっとそんなころの戦士ぐらい強い?」
勇者「僕が手ぇ抜いてよーが素手だろーが関係なしに強いですよね君……」
勇者「どーーーー見ても歴戦の戦人って感じじゃないし……」
勇者「とゆーかー」
勇者「どーーーー見ても僕の愛剣もとい元愛剣持ってるの除けばそこらへんの神官見習いの小僧ですけど」
勇者「君、一体何者なんで……」
神官見習い「……っかならず、かならず倒す! よくも! よくも皆を!!」
勇者「ですよね! 答え知りませんよね!」ハートニ! シュトー!!
神官見習い「ぐぶっ」
勇者「サクッと」
勇者「いうには時間掛かりましたね勇者様(裏声)」
勇者「かかりましたね、格好つかない! んもー!」ズボォ
勇者「……いやしかし、不思議な子供だった。あのダ女神の加護みたいな気配も無いし……」
勇者「才能だけで達する強さじゃないし。だのに、戦い方は棒きれ振り回す子供みたいだし」
勇者「不思――」ドスッ
勇者「議……?」
さてそれじゃ、と。神殿の隅っこでがたがた震えている『無辜の民とやら』を始末しようと勇者が踵を返したその時だ。
鈍い音。皮を断つ音。肉が裂ける音。内臓がひしゃげ腹から飛び出る、無骨そのもの鈍くも滑らかに光を帯びた剣の、切っ先。
背中側から腹にかけて、古の戦士の王が使ったという剣が刺さっていた。
勇者「ごぼっ?」
切っ先を、見て。口から溢れる、一体いつぶりだろう口の中を満たす血の味に首を傾げて、勇者が振り返ると。
たった今しがた胸に風穴を開けられなんとその風穴が空いたままに闘志と憎悪を相貌に満たす少年の顔がある。
勇者「な……んで……」
不意に、落雷が直撃したとしても焦げ目がつくかどうか、それを、普通の人間の身体のように易々と。
死体になったはずのただのド素人がそれをなすこの異常性。
神官見習い「勇者め、勇者め、何が何が勇者だ世界を滅ぼすならお前は――!」
勇者「……」
……たしかに、異常。だがこれぐらいの異常で死ぬなら、勇者は勇者になど、なっていない。
ごぼごぼと、血が溢れかえり血が滴り落ちるその口では、ごぼごぼと言っているようにしか聞こえないが。
指先の、スナップ。パチン。同時に、バチン。
静電気が走るような音と共に、雷が真横に走るという異常事態が次は少年の首を焼き切った。
勇者「……」
勇者「マジで、なんなんですかね」ゴボゴボ
勇者「びっくりした」ゴボ
勇者「勇者やってた頃の僕みたいな真似しよる」フー
勇者「……一応この死体しっかり封印しとこ!」ナオッタ
勇者「新しい勇者が、出てきたのか。それとも、僕の力が急激に衰えたのか?」
勇者「ひょっとして両方とか?」
勇者「クサッても女神は女神か、あの最後の祈りひょっとして防ぎきれて無かったのかも知れない」
勇者「新しい勇者を誕生させることに全生命力使った説?」
勇者「それに、僕もかなり若い頃から無茶してるしな……」
勇者「……無茶ばっかりしてるしなぁ」
――そこから後日
魔王「……言い難いが……」
勇者「あ、やっぱりです?」
魔王「その小僧の件はよく解らぬ。そちらのほうは魔神様のほうにも打診しておくよ」
魔王「加護やら生命の論理においては餅になっても神は神だ。我らよりも詳しかろう」
勇者「せっかくムッキムキのボディーで復活させてあげたのに数年でまた黒餅に……」
勇者「あれには笑った。いやでもやっぱりかーやっぱり僕年々弱くなってます?」
魔王「……目に見えてな」
勇者「やだもう太ったことに気づかないOLかなんかか僕は」
勇者「体重計の計りは増えてるけどまだMサイズ着れるしぃ」
勇者「みたいな」
魔王「い、いや、そんなお前、生活習慣に悩む女みたいな気軽な話では無いぞおい……」
魔王「たしかに魔神様も似たようなこと言ってサイズ小さめの服を着ようとするが……」
勇者「ダイエット失敗ってそういうものです」
魔王「ダイエットの話では無いからな?」
勇者「わかってますって、たしかになんかおかしいなーとはうっすらね!」
勇者「炎さんのパンチ受けたときも思ったより火傷したなとか」
勇者「ここ最近なんかほんと皆して僕のこと構うよなーとかー」
勇者「……ん?」
魔王「なんだ?」
勇者「ねぇねぇ」
魔王「なんだというのに」
勇者「あの……なーんで僕のことまだ構ったりします? この分だとわりと近い内に貴方より弱くなりそうなんですけれど」
勇者「今でも、というか、今こそじゃないです? い、今もしかしたら僕長時間戦えなくなってるかもしれないんですよ?」
勇者「げ、下剋上ありありでしょ?」
魔王「ああ。なんだ。そんなことか」
魔王「……」
魔王「うん」
勇者「いや」
勇者「言いなさいよ」ウンジャナクテ
魔王「最近な」
勇者「うん?」
魔王「甘くなったなと痛感することがある。目的のためならば部下の命も使いようとはいかなくなってきた」
勇者「何言い出すかと思ったらアンタほんと何言い出してんですかアンタ元からでしょ」
魔王「いや」
勇者「いやじゃないですよ、ぶっちゃけダ女神様相手にタンカ切ったときから突っ込みたかったんですよ」
魔王「結構昔から突っ込みたかったのだな?」
勇者「何か極悪非道みたいなノリしてるくせに仲間とか部下超大事にする系魔王超受けるwww」
勇者「みたいな」
魔王「結構昔から煽りたかったのだな?」ツッコミジャネェダロ
勇者「勉強しましたね」キビワカッテキテル!
魔王「だろ」ブチコロスゾ
魔王「情が湧いたからだ」コタエアワセダ
勇者「ふぐうっ!」
魔王「うわっきったな!!? 勇者っ勇者おま……おまえちょっと凄いな今目と鼻から噴射したぞ!?」
勇者「も゛ーーーー!!」
魔王「こっちの台詞だあーもうせっっっっっかくようやっっっく作り直したマントが……!!」
魔王「どうするかこれおい頼むから脱水症状で死……死ぬかもしれんなこれは!?」スゴイリョウデテル!!!
魔王「土! 水! いずこかこちらへ来いただちにだ!!」
勇者「あ゛ーーーー!!」トマンネェ!
土の四天王「はいハイなんデございましョ……って、わーーー!? 勇者=サマ!?」エライコトニッ
水の四天王「あらあらあらあら、緊急事態でございますわね」ナッチャッテマスワネ
炎の四天王「呼ばれてないけどなんか面白そうな気配がしたので来てみたら」
風の四天王「くそワロスwwww」クソワロスwww
魔王「呼んでない奴等まできた……」
魔王「……」
魔王「待て、次から次へとすっ飛んでくるぞ?」
魔王「……」
魔王「狭くなってきたぞ!」
魔王「……」
魔王「騒がしいな!!」
魔王「……まったく」オイダシタ
魔王「……我が居城もまったくもって騒がしくなったものだよ」
魔王「……いや、今に始まった話でもないが、こと最近は特に」
魔王「勇者のせいで」
魔王「何かと影響を与えてくる男だよな此奴は」
魔王「思えば、初めて会った頃から妙に騒がしい奴ではあったが、いやまさかこうなるとはなぁ」
魔王「……ん? ……そうか」
魔王「あれから、何十年か経つのだな」
魔王「たかだか数十年で結構変わるものだ、これからさらに数十年でどうなるやら、あー防音対策というのはしたほうが良いのか……?」
魔王「面白くなってきたな」
魔王「まだまだ、敵にも事欠かんようだ。味方の騒がしさは……。……ちょっと控えてもいいぐらいだとは思うが」
魔王「フフ」
魔王「ん?」
魔王「ああ、そうだった」シメハ
魔王「ひゃっほう」コウダロ?
903 : ◆kzeVgCa5/M - 2018/12/31 18:43:16 OJW71tEg 422/422以上! 唐突に始まったスレとおなじくして唐突な終わりを迎えるに至りました。
こんな終わり方じゃなくてもうちょっといい終わり方出来れば良かったんですが
相変わらず物考えずに物書いてるスタイル+実は締め書くのが苦手でこの様になっております……! 最後の最後まですみません!
一回一回の投稿にやたらと間が合いて一回なんぞ一年空いてもまだお待ちくだすった皆々様、
稚拙なものにお付き合い下すった皆々様三年近くのご贔屓まことにまことにありがとうございました!
それでは、ただでさえ長々となるのをこれ以上長々と挨拶というのも何ですので此れにて!
一年は終わりますが風邪にインフルまだまだありますから皆様いろいろお気をつけて! ひゃっほう!

