松尾千鶴「だから今年は私抜きで楽しんで」
関裕美「やだ」
白菊ほたる「断固いやです」
千鶴「流れるように拒否!」
裕美「私たちGBNSは仲良し4人組ユニット。ハロウィンも当然一緒に楽しみたい」
ほたる「そうです。正月も節分もバレンタインもひな祭りも夏休みもお月見も、あらゆるイベントを4人で楽しみたいんです」
千鶴「いえその、気持ちはうれしいけど」
元スレ
【モバマス】松尾千鶴「あのね、ハロウィンは参加を見合わせようと思うの」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1761928175/
裕美「だいたいどうしてハロウィン遠慮します宣言なの」
ほたる「そうですよ。もう明日はハロウィンだというのに」
千鶴「ええと、特に理由はなくてなんとなく……」
裕美「なんとなくは理由にならない」
ほたる「ちゃんとした理由もなしにハロウィン欠席は認められません」
千鶴「ハロウィンてそんなきびしい感じのものだった?」
裕美「少なくともなんとなくじゃ私たちが納得しないよ」
ほたる「千鶴ちゃんてイヤなことやんわり隠しがちですからね」
千鶴「それほたるちゃんが言う?」
ほたる「私だって必要とあらば普段の自分を棚に上げるんです」
裕美「というかね」
千鶴「うん」
裕美「プロダクションのみんなが明日にむけて大盛り上がり中じゃない」
千鶴「そうね。年長組のみなさんは美優さんから時子さままでお菓子を用意なさってるし、十八歳以下のアイドルはみんな仮装してハロウィンに繰り出す準備をしてる」
ほたる「このプロダクションて、そういう季節行事を大事にしますよね」
裕美「そういう状況で千鶴ちゃんだけが理由もなく参加しませんていったらみんなが不思議に思う」
千鶴「うぐっ」
ほたる「理由がないなら一緒に参加したいし、理由があるならちゃんと知りたいです。でないとみんなが千鶴ちゃんも参加しようよって誘いにきますよ」
裕美「千鶴ちゃんておつきあいが広いし慕われてるからね」
ほたる「薫ちゃんとかが『千鶴お姉ちゃんは参加しないの?』って寂しそうに聞いてきたら抵抗できますか」
千鶴「ううっできそうにない!」
裕美「だから理由があるならちゃんと説明できるほうがいいと思う。仕方ない理由なら私たちも諦めるしみんなにも説明するし。でないと」
千鶴「でないと?」
ほたる「薫ちゃん呼んできて説得してもらいますよ」
千鶴「それは堪忍してえ」
裕美「なら参加したくない理由をプリーズ」
千鶴「うーん、でも、本当に気持ちの問題というか、いろいろ小さいことがあるというか……」
裕美「いいから聞かせて」
ほたる「そうです。どんな小さい事でも本人にとっては大きな問題だったりすること、よくあるんですから」
千鶴「うーん、うーん」
裕美「ほたるちゃん、薫ちゃん呼んできて」
ほたる「仁奈ちゃんと舞ちゃんも呼んできますね」
千鶴「話すから! 話すから!」
裕美「よろしい」
ほたる「ではどうぞ」
千鶴「ええと……まずね。まずね?」
裕美「うん」
千鶴「15歳にもなってお菓子くださいってみなさんの部屋訪ね歩くの恥ずかしくない?」
岡崎泰葉「!?」
裕美「あっ、泰葉ちゃん16歳がショックを受けています」
ほたる「今年初めて企画とか関係なしの純粋な参加側としてハロウィンするのが楽しみすぎて私たちの話も耳に入らない様子で仮装の準備してた泰葉先輩が『えっ16歳もダメなの?』って顔でショック受けてます」
千鶴「いや、泰葉ちゃんはちょっと積極的に子供らしいことする機会を持つべきだと思うからむしろ参加すべきだと思う」
裕美「ほっとくとどんどん大人みたいになっちゃうもんね」
泰葉(ホッ)
ほたる「よかった。泰葉ちゃんの顔に笑顔が戻りました」
泰葉(ハロウィンのすがた)「ええと、私も話に入っていい?」
裕美「どうぞ。ハロウィン前日だというのにコスチューム完全装備で浮かれてる岡崎先輩」
ほたる「試着してるうちに楽しくなっちゃった岡崎先輩、どうぞ」
泰葉「くそう! 私は参加したほうがいいっていってくれたの、うれしいけど」
千鶴「うん」
泰葉「それなら千鶴ちゃんだって同じことでしょ」
ほたる「確かに」
裕美「千鶴ちゃんてすぐ物わかりよくなっちゃうというか、行儀よく遠慮しちゃうというか、あるよね」
ほたる「ありますよね」
泰葉「そういう千鶴ちゃんだからこそたまには率先してはしゃぐべき。それは同じことじゃない?」
千鶴「ううう」
泰葉「歳のことなんて、気にしなくていいんだよ。佐藤さんなんか大人なのに仮装してプロデューサーさんとこに乗り込んでいくつもりだったじゃない」
千鶴「あの人をお手本にしちゃだめです」
裕美「なんで千鶴ちゃんて佐藤さんにはあたりがキツいんだろうね(ひそひそ)」
泰葉「甘えてるんだよ(ひそひそ)」
千鶴「聞こえてるからね?」
泰葉「とにかく年齢は関係ない。私たちってお仕事上年齢不相応にお行儀よくしなきゃいけないことも多いからね。プロデューサーさんたちもこの機会に発散してほしいって思ってるんだよ、きっと」
裕美「そうそう。千鶴ちゃんも羽目をはずすべき」
ほたる「私たち、千鶴ちゃんと一緒にハロウィンするの、楽しみにしてるんです」
千鶴「それはうれしいけど」
泰葉「佐藤さんが明日のために『超ミニスカキュート☆ちーちゃんハロウィンスペシャルコス』を用意してくれてるしね」
千鶴「あの人なにしてるんですか!?」
裕美「どうせ控えめなのでごまかすつもりだろ、解ってるんだぞ☆ って言ってた」
千鶴「それはそうだけどお!!」
ほたる「とにかく、ほら。千鶴ちゃんが参加を遠慮する理由なんてないんですよ」
千鶴「でも私、ちゃんとハロウィンできないと思うから……」
泰葉「ちゃんとハロウィンできない(復唱)」
裕美「そんな事言う人初めて見た」
千鶴「ほら、言うじゃない? トリックオアトリート、って」
ほたる「言いますね」
泰葉「いたずらか、お菓子か。ハロウィンを象徴する言葉だよね」
千鶴「でも駄目なの。私、いいイタズラって思いつかなくて」
ほたる「えっ」
裕美「えっ」
泰葉「えっ」
千鶴「何そのポカンとした顔! 深刻なのよ!?」
泰葉「ご、ごめんね?」
千鶴「私だってみんなとハロウィン楽しみたいから、いろいろ考えたの。でも、ほら、イタズラって言ってもちょうどよい加減ってものがあるでしょう」
ほたる「そう……かも……しれないですね?」
裕美「うん。えーと、加減は大事だよね」
千鶴「でもこういう事って経験がないからちょうどいいイタズラ具合というのがよく解らなくて。がっかりさせてもいけないし、あまり驚かせすぎるのもよくないし。でも他の人にどんなイタズラ考えているんですかと聞くのも良くないんじゃないかと」
泰葉「まあ、確かに、ハロウィンにどんなイタズラするのかなんて聞く人いないもんね」
千鶴「考えれば考えるほどよく解らなくなってきて……私、きっとハロウィンに向いていないんだ……」
ほたる「ハロウィンに向いてない(復唱)」
千鶴「そういうわけでおじゃまになってもいけないから、参加しないほうがいいかなって。せめてお菓子でも用意してとは思っているんだけど」
裕美「あのね千鶴ちゃん。あのね」
ほたる「千鶴ちゃん落ち着いて聞いてください」
千鶴「な、なに?」
泰葉「ハロウィンでどんなイタズラするか考えている人なんていないよ」
千鶴「えっ!?!?!?」
ほたる「千鶴ちゃんがこんな素っ頓狂な声出すの初めて聞きました」
裕美「目がまん丸だよ」
千鶴「えっ、イタズラ考えてないの? みんな?」
泰葉「まあ、ほとんどの人はね」
千鶴「でも言うじゃない! トリックオアトリートって!!」
ほたる「まあ言いますけど」
千鶴「そんなビーフオアチキンって聞くけどチキンは用意してませんみたいなのって許されるの?」
裕美「いや考えたこともなかったけど……」
千鶴「中にはトリックを選びたい人もいるかもしれないじゃない」
泰葉「いるかなあ?」
ほたる「黒川さん、『雪美さんがトリックオアトリートって言ったらトリックを選んでしまうかもしれないわ』って言ってましたね」
泰葉「それは多分特殊な例だと思う」
千鶴「みんなそうなの?」
裕美「まあ、たいていは」
千鶴「でもそれならなんでトリックオアトリートって言うの……?」
ほたる「それは……」
裕美「なんでだろう」
泰葉「考えた事もなかったけど」
千鶴「トリックオアトリートって言う以上、トリックも用意するのが誠実な気がするんだけど、うーん、うーん」
ほたる「頭かかえちゃった」
裕美「考えすぎだと思うんだけど、でも、実際なんでトリックオアなんだろうね」
泰葉「ここは専門家に聞いてみようか」
千鶴「専門家?」
◇◇◇
イタズラの専門家小関麗奈「バカじゃないの?」
千鶴「バカって言われた!?」
麗奈「イタズラを準備する習慣なんかないわよ。そもそも食べ物を貰うのが先にあって、イタズラするぞは後付けなんだから」
裕美「えっ、そうなんだ」
麗奈「ハロウィンの日に家の前で子供や貧しい人が歌を歌ったら食べ物をあげる、って習慣があったんだって」
ほたる「真面目な話だったんですね」
泰葉「奉仕に近い話だったのかな」
麗奈「それがだんだんただのお祭りになって、『お菓子をくれなきゃイタズラするぞ』って話になったみたい。『うーん、イタズラされるのはイヤだから仕方ない、お菓子あげよう』って建前作りよね」
裕美「ぜんぜんしらなかった」
麗奈「だからイタズラを選ぶっていうのはお祭りの主旨に反してるんじゃないかしらね。そこにこだわってイタズラを用意しなきゃって思っちゃうのはバカみたいよ」
千鶴「く、詳しいのね……」
麗奈「ハロウィンにちなんだ凄いイタズラしてやるわ!!って色々調べたのよ。そしたらイタズラの習慣なんてないって解ってガッカリ」
裕美「レイナサマもイタズラする気満々だったんじゃない」
麗奈「うるさいわねえ」
千鶴「麗奈ちゃんは、イタズラはしないの?」
麗奈「バズーカは持って行くわよ。そしたら一目で『ああ、断ったらあれ使うんだな』って解るでしょ」
千鶴「あ、なるほど。実際にイタズラしなくてもそれを匂わせる小道具を持って行けばいいのよね。わかりやすくて親切だし」
麗奈「まあ、どうせ撃たないんだろってタカくくってる奴には特製の弾をお見舞いしてあげるつもりだけどね。アーッハッハッハ、ゲホゲホ」
千鶴「私なら筆でも用意していればいいかな……ありがとう麗奈ちゃん。参考になりました」
麗奈「べ、別に親切で教えたんじゃないわよ!?」
泰葉「はいはい」
◇◇◇
泰葉「あんな起源があったなんてねえ」
ほたる「さすがレイナサマはイタズラの事ならよくご存じですね……」
裕美「千鶴ちゃん、これでハロウィンできそう?」
千鶴「うん。悩まなくていいって解ったし、小道具も思いついたから……ありがとうね、みんな」
泰葉「一緒にハロウィンしたかったから」
ほたる「こういうのをお友達とするのって、初めてだし」
裕美「このプロダクションで集まって、最初のハロウィンだもん。4人の思い出になったらいいなって、思うし」
千鶴「……私も。みんなで、やりたいって思ったの」
泰葉「うん」
千鶴「でもそれで考えてたらわけがわかんなくなっちゃって……」
裕美「ぜんぜん本筋と関係ないところにひっかかっちゃってたんだね」
千鶴「ううう(赤面)」
ほたる「そ、そういう細部にこだわる真面目なところは千鶴ちゃんのいいところだと思います!」
泰葉「そうそう。よーし、じゃあ、明日は4人でハロウィン、思い切り楽しもうね!!」
4人「「「「おーっ!!」」」」
◇◇◇
~ハロウィン当日~
千鶴(超ミニスカキュート☆ちーちゃんハロウィンスペシャルコスのすがた)「と、トリックオアトリート!!」
佐藤心「トリート!!」
泰葉「……」
ほたる「……」
裕美「……」
千鶴「……(ため息)」
心「ああんみんなの目が冷たい☆ お菓子あげるから許せ?」
千鶴「割と台無しだなあ……」
(おしまい)

