殺し屋「ん?」
天使「ひどくないっすか?」
元スレ
殺し屋「俺には死神がついている」天使「え?」
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殺し屋「お前はなんだ?」
天使「天使っすけど」
殺し屋「死神は?」
天使「知り合いにはいないっすね」
殺し屋「お前は死神じゃないのか?」
天使「そう見えます?」
殺し屋「見えなくもない」
天使「またまたー」
殺し屋「どこから現れた?」
天使「ずっとここにいましたけど」
殺し屋「そうなのか?」
天使「ええ」
殺し屋「…………」
天使「あ、疑ってる」
殺し屋「疑ってはない」
天使「絶対嘘だなーこれ」
殺し屋「俺になんの用だ」
天使「いやいや別に用はないっすよ」
殺し屋「ではなぜ俺の前に現れた」
天使「死神と間違われたくはないっすもん」
殺し屋「そうか。認識を改めた。消えていいぞ」
天使「無理っす」
殺し屋「?」
殺し屋「つまり一度見えるようになったが最後ずっと見えると」
天使「そっすね」
殺し屋「弱った」
天使「そっすか?」
殺し屋「いたいけな少女に殺しの現場を見せるわけにはいかない」
天使「でもずっといたんですって。ここに」
殺し屋「気持ちの問題だ。いると知った以上難しい。今殺すとこだったんだが」
天使「律儀っすねー」
天使「じゃあこうしましょう」
殺し屋「なんだ?」
天使「NGタイムになったら言ってください。わたしそっぽ向いてます」
殺し屋「しかし」
天使「耳も塞ぎます。終わったら肩たたいて教えてください」
殺し屋「しかし」
天使「では早速」
殺し屋「いやしかし」
殺し屋「終わったぞ」
天使「逃がしちゃってましたけど」
殺し屋「いいんだ」
天使「帰ります?」
殺し屋「ああ。お前は?」
天使「定位置ここなんすよ」
殺し屋「そうか」
天使「どうしたんすか?」
殺し屋「考え事をしていた」
天使「どんな?」
殺し屋「タバコを吸おうかどうか」
天使「吸えばいいじゃないすか」
殺し屋「しかし副流煙」
天使「わたしの心配すか? お気持ちありがとっすけどわたし天使なんで」
殺し屋「気にはなる」
天使「おはようございます」
殺し屋「まだいたのか」
天使「だからずっといるんですって」
殺し屋「何してる?」
天使「スマホ借りてました。ユーチューブ見てます」
殺し屋「楽しいか?」
天使「一晩中見てました」
殺し屋「ちゃんと寝ろ」
天使「天使なんですってば」
殺し屋「飯作ったぞ」
天使「珍しいっすね」
殺し屋「何がだ?」
天使「いつもコンビニ弁当で済ませてるのに」
殺し屋「そういう日もある」
天使「わたしがいるからっすか?」
殺し屋「別にそういうわけじゃない」
天使「残念」
天使「今日は殺しに行かないんすか?」
殺し屋「行かない」
天使「でも昨日も一昨日も行ってないっすよ」
殺し屋「そうだな」
天使「廃業っすか?」
殺し屋「まだ一週間だ」
天使「遊園地っすか?」
殺し屋「ああ」
天使「仕事はいいんすか?」
殺し屋「ああ」
天使「ふうん」
殺し屋「やめとくか?」
天使「行くっす」
殺し屋「…………」
天使「わーい!」
殺し屋「…………」
天使「ひゃほーい!」
殺し屋「…………」
天使「なに気絶してるっすか」
殺し屋「…………してない」
殺し屋「妹がいたんだ」
天使「なんすか急に」
殺し屋「体が弱くてすぐに死んだ。生きていればお前くらいの歳だ」
天使「つってもわたし天使っすけどね」
殺し屋「そうだな」
天使「わたしと話してると変な目で見られるっすよ。わたし人には見えないし」
殺し屋「別にいい」
天使「なんだか死にそうって感じっすね、殺し屋さん」
天使「楽しかったっすねー」
殺し屋「ああ」
天使「また来たいっすねー」
殺し屋「ああ」
天使「なんかこっち見てる人がいるっすよ」
殺し屋「ああ」
天使「……」
殺し屋「大丈夫。ちょっと話をするだけだ」
天使「……ほんとっすか?」
殺し屋「ああ。また来たいんだろ?」
天使「うん」
殺し屋「絶対来ような」
天使「うん」
殺し屋「目を閉じてろ。終わるまで絶対に開けるな」
天使「はい」
天使「殺し屋さん」
殺し屋「…………」
天使「終わったっすか? 殺し屋さ……」
殺し屋「…………」
天使「……ねえ」
殺し屋「な、んだ」
天使「やっぱ死ぬんすか?」
殺し屋「……ああ」
天使「反撃しなかったんすか?」
殺し屋「……ああ」
天使「わたしのせいっすか?」
殺し屋「べ、つに」
天使「絶対嘘っすよ」
天使「わたしのせいでもうずっと仕事してないっすもんね。それで上に睨まれましたか?」
殺し屋「…………」
天使「嫌っす。わたしのせいなんて嫌っすよ。これじゃあわたし死神みたいじゃないっすか」
殺し屋「……ちがう」
天使「何がっすか」
殺し屋「楽し、かった。もういい……」
天使「…………」
殺し屋「潮時、だ……きっと……」
天使「泣きますよ。いいんすか。わたし滅茶苦茶泣きますよ」
殺し屋「……遊園、地」
天使「行けないじゃないっすか。馬鹿でしょあんた。地獄行きだし絶対。そっち天使の管轄外」
殺し屋「は、はは……」
天使「くっそ本当に死神だったらなあ」
天使「絶対行くっすよ、遊園地、もう一回。行きたいなあ。だから、だからね」
殺し屋「…………」
天使「死なないでくださいよ……」
殺し屋「目を、閉じろ」
天使「え?」
殺し屋「耳を、塞げ」
天使「……」
殺し屋「大丈夫だ。俺には、天使がついてる、から」
天使「……はい」
天使「終わったら、教えてくださいね」
殺し屋「…………」
天使「ずっと待ってるっす」
殺し屋「…………」
天使「行きましょうね、遊園地」
殺し屋「…………」
天使「ぐす……おやすみなさい」
おわり


