【関連】
王様「魔王を討伐して参れ」 魔王「分かりました」【前編】

418 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 10:04:26.71 X7PcSM8Xo 223/671

老人「よく来られたな旅の方たち」

戦士「あぁ、まさかこんなところに人が住んでるとは驚いたぜ」

老人「そうじゃろうなー、なにせ村がこんなことになってしまったからな」

マオ「一体この村でなにがあったのです?」

老人「そうじゃな、それを説明しなければなるまい」

419 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 10:17:26.84 X7PcSM8Xo 224/671

老人「わしには孫がいてな、代々農家なうちを手伝ってくれる優しい青年じゃった」

老人「幼い頃に父を亡くして以来、母と爺のわしを助けてくれて家のことをなんでもやってくれていたのじゃ」

老人「しかしいつ頃じゃったからかの? あまりうちの手伝いもせずに外に行くことが多かったのじゃ」

魔法使い「………」

老人「しばらくするとエルフの娘を連れてきたのじゃ」

戦士「エルフ!?」

遊び人「これは驚いた! かつて人間が滅ぼしつくしたというあのエルフか!?」

老人「そう、そのエルフじゃ。 あれらの隠れ里が近くにあっての、村人たちしか知らない秘密になっていたのじゃ」

老人「じゃが…… 孫に対して『最近うちの手伝いもせずにほっつき歩いていたのはこの娘のせいか』 と怒ってしまってな」

老人「ましてや人間嫌いで有名なエルフじゃ。 我々と一緒にいたってうまくいくはずがない、そう考えわしは二人の付き合いに猛烈に反対したのじゃ」

老人「だが孫も譲らなくてのぅ…… あやつはわしに嫌気を指して出てしまったわ」

魔法使い「……駆け落ち」

老人「そうじゃな……」

420 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 10:24:42.05 X7PcSM8Xo 225/671

老人「エルフと駆け落ちした孫に対してエルフたちも怒っていた」

老人「それは当然じゃろうな。 馬の骨とも分からない人間が自分たちの数少ないエルフを奪っていったようなものなのだから」

老人「怒りに燃えたエルフたちはこの村を全員眠りにつかせる魔法を使い、この村を滅ぼしたのじゃ」

戦士「まじかよ……」

老人「その時たまたま村から出ていたわしだけが助かってしまったわい」

魔法使い「……許されない恋だったのね」

老人「そうじゃな……だが2人の恋路はうまくはいかなかった」

マオ「というと?」

老人「村が眠りに落ちてからしばらく経ったころにな、孫の相手のエルフが1人でやってきたのじゃ」

421 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 10:27:28.01 X7PcSM8Xo 226/671

老人「『青年がエルフに捕まって殺された』 と泣きながらわしに教えに来たのじゃ」

戦士「なんだよそりゃぁ!?」

老人「エルフたちも結婚など許さなかったのじゃ。 駆け落ちした2人を見つけ出して捕まえたのじゃろう」

遊び人「そしてそのまま一方的に青年を殺したのか」

老人「……そうじゃ」

魔法使い「……最悪の結末」

老人「……すべては……わしが……わしが認めていてあげればこんなことには……」

戦士「爺さん……」


422 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 10:30:20.39 X7PcSM8Xo 227/671

魔法使い「……その残されたエルフは?」

老人「ふっ……聞きたいか?」

戦士「なんだよここまで話しておいて! もったいぶんなよ!」

老人「……息子が殺された洞窟に入って、身投げしたよ」

魔法使い「…………」

遊び人「あの世で一緒になったということか……」

戦士「本当に最悪じゃねえかよ……」

魔法使い「…………」ギュッ

マオ「……………」

423 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 10:37:17.05 X7PcSM8Xo 228/671

老人「じゃあ、気をつけるのだぞ」

戦士「おう、またな爺さん!」

魔法使い「…………」ペコ



遊び人「どうする気じゃお主」

マオ「どうもしない」

遊び人「ロマリア国王にはこの現状のみを報告するつもりか」

マオ「それしかないだろう、私たちに出来ることはなにもない」

遊び人「ふん、貴様であればこの魔法を解くくらい造作もないだろうによ」

マオ「………買い被り過ぎだ」

遊び人「どうだかのぅ」

424 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 10:41:36.77 X7PcSM8Xo 229/671

戦士「なぁマオ!」

マオ「エルフの隠れ里には行きませんよ」

戦士「なんでだよ! まだ何も言ってないだろ!!」

マオ「行こうって言おうとしたのでしょう?」

戦士「そうだけどさ! なんで行かないんだよ!!」

マオ「行ってどうする?」

戦士「説得するんだよ! 2人のことを認めて、村を元に戻せって」

マオ「どうせ突き返されるだけでしょう」

戦士「でもそんなの行かなきゃ分からねえじゃん!」

マオ「分かりますよ、あのおじいさんが何もしてないはずがないでしょう」

戦士「でもさ!」

マオ「………はぁ……本当にしつこい」

戦士「……む!」

マオ「分かった。 だがこのまま行っても門前払いがオチだ」

マオ「だから、エルフたちを納得させるだけの武器が必要になる」

戦士「武器? なんだよそりゃ」

マオ「さぁ? そんなの知らないよ」

戦士「はぁ??」

マオ「行ってみるんだよ。 2人が死んだその洞窟に」

425 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 10:50:59.55 X7PcSM8Xo 230/671

……………………
……………
……


戦士「うひゃー暗い……」

魔法使い「…………」ギュッ

遊び人「相変わらず暗いのがダメじゃのぅ魔法使いは」

魔法使い「………そんなことない」プルプル

戦士「…………」サワッ

魔法使い「……ひっ!?」ビクン

マオ「ん? どうした魔法使い」

魔法使い「……なにかがわしの背中をすすすって……」

遊び人「ふぅぅぅぅ~………」

魔法使い「………!? 松明が消えたよ!?」

遊び人「…………」ニヤニヤ

戦士「…………」ソー

魔法使い「……マオ……暗いよぉ……」

戦士「うがああああああああ!!!!!」

魔法使い「きゃあああああああ!?!?!?」

マオ「やめろや二人とも」




426 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 10:55:22.03 X7PcSM8Xo 231/671

遊び人「で、どうする気じゃ? 武器といったって……」

マオ「そうだな、今のところ勝算はないな」

戦士「はぁ? じゃどうすんだよ」

マオ「今こちらにある武器といえば娘が死んだという事実をこちらが知っていることだけだ」

戦士「へ? なんでそんなことが武器になるって言えんだよ」

マオ「少し考えてみな。 もし戦士がそのエルフだったとしたら戦士はどうする?」

戦士「んー……愛する人が殺されて……逃げ出して……洞窟で一緒に死ぬ?」

マオ「そうだ、その逃げ出してがポイントだ」

マオ「おそらくその本人は里の他のエルフたちに何も言わずに逃げ出してきて老人に会い、そのまま死んだ可能性が高い」

遊び人「その根拠は?」

マオ「……ふっ、勘だ」

432 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 11:42:11.30 X7PcSM8Xo 232/671

戦士「うっわ! すっげぇ洞窟の中に湖があるぞ!」

遊び人「ほぉ……これは大きい湖じゃ……」

魔法使い「……明るい、不思議」

遊び人「魔力が込められた水なのかもしれんの、こういう水は……」ゴクリ

遊び人「体力や魔力が少し回復するのじゃ」

魔法使い「…………ゴクリ……ほんとだ」

戦士「へーすげぇな!」

魔法使い「でも、道はそこで行き止まり」

マオ「これは……」

戦士「なんかあったか!」

遊び人「手紙……か?」



433 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 11:47:59.86 X7PcSM8Xo 233/671

『お母様。 先立つ不孝をお許しください


私たちはエルフと人間。 この世で許されぬ愛ならば……


せめて、天国で一緒になります………。  アン』




戦士「………やっぱり心中してたのか」

魔法使い「……許されない愛」

遊び人「あの世では幸せに暮らしてるだろうて」

魔法使い「これは……指輪?」

戦士「へー綺麗なルビーだな」

遊び人「残されていたのは手紙とこのルビーの指輪だけか」

マオ「……十分だろう戻るぞ」

434 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 11:51:10.07 X7PcSM8Xo 234/671

……………………
……………
……


ひそひそひそ


「………人間よ」

「ママ! お耳が短いよ!」

「見ちゃダメ! 攫われてしまうわよ!」


戦士「なーんか歓迎されてねえな」

遊び人「そりゃそうじゃろ」

魔法使い「……エルフの里っていうか本当に森」

マオ「何もないね」


マオ「あの、女王はどこに」

「……………」ササッ

マオ「あ、あの……」

「知りません人間と話すことなどなにもないです」ササッ


マオ「…………」

戦士「感じわりぃ」

魔法使い「……マオの心が折れかけてる」

マオ「滅ぼしてやろうか」

遊び人「やめんか」ベシッ

435 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 12:01:28.31 X7PcSM8Xo 235/671

女王「何事です騒がしい!」

マオ「あなたがエルフの女王様でしょうか?」

女王「………そうです。 が、人間と話すことなど何もありません。 お引き取り下さい」

マオ「いえ、そうはいきません」

女王「……何が言いたいのです?」

マオ「あなたの娘さん、アンさんについてお話がございます」

女王「アン……!? アンを知っているのですか!?」

マオ「えぇ、少しは興味を持っていただけましたか?」

女王「……いいでしょう」

436 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 12:08:22.48 X7PcSM8Xo 236/671

女王「……アンは今どこにいるのです?」

マオ「と、その前に私の方からひとつ質問をさせてください」

女王「…………?」

マオ「アンさんと一緒にいた人間の彼は今どこへ?」

女王「……彼なら私たちが地底湖へ連れて行き殺しました」

女王「質問はそれだけですか? で、アンはどこにいるのです!」

マオ「せっかちなお方だ。 教える前にもうひとつ」

マオ「そこの村を基に戻していただきたい。 石化という眠りから解放してほしいのです」

女王「お断りします。 あの町は私の娘を攫った男のいた町。 それ相応の罪を背負った罰です」

マオ「ですが、あなた方が彼ら2人を見つけ連れ帰ったのでしょう? まして彼を処刑したのだ。 町はこのことについて許されてもいいのでは?」

女王「……アンは再び私の前から姿を消しました。 どうせ人間が連れ去ったに決まっています」

マオ「なるほど」

437 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 12:10:54.60 X7PcSM8Xo 237/671

マオ「ではもしアンさんが人間に連れ去られたのではなく、自分の意思でこの里を出て行ったとしたら?」

女王「そのようなことはあり得ません」

マオ「なぜそう言い切れるのです?」

女王「あの娘のこの里と母親である私への愛は本物だったからです!! あなたには分からないでしょう!!」

マオ「では! アンさんと彼の愛は本物ではなかったと仰るのですか?」

女王「……どうせ人間にたぶらかされたに決まっています」

マオ「……頭が硬い人だ」

438 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 12:17:15.40 X7PcSM8Xo 238/671

マオ「アンさんからの預かり物を実は持っているのです」

女王「アンから!?」

マオ「えぇ、これを。 あなたへ渡してほしいと」スッ

女王「手紙……?」パラッ


女王「……………」

女王「…………………」


女王「これを……どこで……?」

マオ「洞窟の底、地底湖のほとりに置かれていました」

女王「なんと…… アンは……彼が死んだ地底の湖に身を投げたというのですか……」

女王「私が……私が二人を許さなかったばかりに……」

440 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 12:24:22.09 X7PcSM8Xo 239/671

女王「……分かりました。 この目覚めの粉を持って町に戻りなさい」

女王「そうすれば呪いも解かれます…… アンも……きっとそれを願っていることでしょう」

女王「おぉ……アン…… ママを……許しておくれ………」

マオ「あなたはアンさんと彼の愛が本物ではなかったと言いましたね」

女王「そうか……そうだったのですね…… 私は愚かでした…… エルフと人間がうまくいくはずがない……そう決めつけていたばかりに……」

マオ「彼女らの愛は本物だったということです。 種族を超えた愛は存在する。 もちろん同族への愛も」

女王「……へ?」


441 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 12:28:39.46 X7PcSM8Xo 240/671

マオ「あなたの偏見が二人を殺したことは事実です」

マオ「しかし……生前のアンさんは彼女が身を投げる晩に彼の祖父に会いに行っています」

マオ「爺はアンさんからあなたへ『愛していると伝えてほしい』と頼まれていたそうです」

女王「……!」

女王「アン………おぉアン……あなたは……私を許してくれるというのですか……!」

マオ「……失礼します」

442 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 12:35:06.67 X7PcSM8Xo 241/671

………………
…………
……


戦士「なぁ、最後のってアンちゃんどんな気持ちで言ったんだろうな」

魔法使い「……愛する人を殺した人を許す……私には出来ない」

遊び人「それどころか愛している、と言うとは……仏か」

マオ「あのルビーの指輪はおそらく女王からアンに持たせたものなのだろう」

戦士「なんで分かるんだよ」

マオ「もし人間の彼とのモノならアンさんはそれを身につけて死んだはずだ」

魔法使い「……そっか」

マオ「母のことも愛していたのは事実だろう、最後までそれを身に着けていたのだから」

戦士「なんかせつねえなこれ……」

魔法使い「……悲しい」ギュッ

マオ「………種族を超えた愛か」

遊び人「他人事ではないの」

マオ「……黙っていろ」

443 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 12:39:32.84 X7PcSM8Xo 242/671

………………
…………
……


マオ「この粉を使うんだな」

戦士「振りまいとけばいいのか?」

遊び人「溶かして飲むわけにもいかんじゃろうて」


ササーッ………



「ん……んぅ……?」

「あれ……おっかしいないつの間に……寝ちゃったのかなぁ」

「あぁー身体が……カチコチだよ……」


魔法使い「わっ…! 石化が溶けてみんな起きたよ!」

戦士「やったな! これでうまい酒が飲めるぜひゃっほー!!」

遊び人「これで一安心じゃな」

444 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 12:42:28.32 X7PcSM8Xo 243/671

戦士「なぁ、爺さんに会いに行くか?」

遊び人「良いじゃろう。 今頃喜んで飛びまわってるだろうてふぉっふぉっふぉ」

マオ「ロマリアに戻って報告するか」

魔法使い「……うん」ギュ

戦士「ぐぬぬぬ……なんで魔法使いはナチュラルに手繋いでんだよ」

魔法使い「……マオの左手は私のもの」

マオ「そうなのか」

戦士「じゃあ俺はこいつの右腕になるぜ!」ギュッ

魔法使い「……!!」

445 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 12:46:59.10 X7PcSM8Xo 244/671

「あら、こんにちは旅人さん」

戦士「目を覚ました人か」

マオ「えぇ、こんにちは。 お身体はなんともないですか?」

「ふふ、不思議なことを言う人」

「私は平気なんだけど、息子がねぇ」

「息子がエルフの娘と駆け落ちしたまま帰ってこないのよ。 2人が愛し合ってるなら結婚も認めてあげようと思ってたのに」

「一体今どこにいるのやら。 元気にやってるならいいんだけどさ」

「なーんて、たまには帰ってきて2人の仲いいところ見せに来てくれればいいのにねぇ」

マオ「……きっと見守ってくれてますよ」

「へ?」

マオ「では、私たちはこれで……」

「気をつけてね旅人さん」

451 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 14:32:44.14 X7PcSM8Xo 245/671

………………
…………
……


マオ「以上がことの次第です」

国王「そうか……御苦労だったな」

マオ「はっ」

国王「ではゆっくり疲れを取ってほしい。 宿には私の方から連絡をしておく」

戦士「いぇーいラッキー」

遊び人「ふぉっふぉっふぉ」

国王「あぁーそうだマオくん、君は残ってくれ」

マオ「は?」

国王「大事な話がある」

452 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 14:37:18.80 X7PcSM8Xo 246/671

マオ「話、とはなんでしょう」

国王「あぁーもーいいよいいよそんな硬いのさぁマジいらねぇって肩もこるしぃ」

国王「っていうか知ってる? 王冠って重いんだからね? マジで首と肩が鬼疲れ。 略してODR」

マオ「は、はぁ……」

国王「俺さぁだからもう王冠嫌いなわけ。 いい加減肩コリもつらいわけよ」

国王「若い姉ちゃんのパフパフとかされて癒されたいんだけどほら、身分ってのがあんじゃん? だぁから気軽にそういうのいけないわけよぉ」

マオ「はぁ……」

国王「だからね、俺考えたの」

国王「この王冠を誰かに被ってもらえれば俺自由の身じゃね?」

国王「ウハwwwwやばwwww俺マジ天才じゃねwwww」

国王「やばい超天才wwww天才発言禁止ぃwwww俺の有能さがバレちゃうぅwww」

国王「ちなみに転載も禁止だから(真顔)」


マオ「……………」

国王「じゃ、そういうことで明日からよろしく!」

マオ「は!?」


453 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 14:39:08.77 X7PcSM8Xo 247/671

………………
…………
……


マオ「え……?」

側近「あの馬鹿国王がぁ!!!」

マオ「ちょ、ちょっと待ってください、本当に王様をやるんですか?」

側近「あぁー、うんお願いします」

マオ「えぇ………」

側近「大丈夫だって。 俺ももう5回くらいは王様やったから」

マオ「常習犯かよ」

454 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 14:42:12.96 X7PcSM8Xo 248/671

王妃「ふふ、お似合いですわマオさん」

マオ「は、はぁ……」

王妃「心配なさらないで。 ちょっと彼も休みがほしくなっただけだと思うから」

側近「多分ですが……」

マオ「果てしなく心配なんですけど」

王妃「……探しに行きましょう」

側近「そうですな…… マオ国王よ、街の視察も兼ねてあの馬鹿元国王を探してきてはもらえますかな?」

マオ「はぁ……分かりました」

王妃「ふふ、こんな若い方が夫ならいいんですけどね、ふふ」

側近「そんなことを聞いたらあの馬鹿も飛んで帰ってきますな」


側近

455 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 14:44:14.15 X7PcSM8Xo 249/671

マオ「では、いってきます」

王妃「いってらっしゃい」

側近「申し訳ないですな、お願いしますぞ」



マオ「ありえないなんなのだ人間の国王はみなこうなのか………」

兵士「お疲れ様です国王陛下」

マオ「あぁ、いいですそういうの……ほんとに……」

兵士「よくやるんですよあの人。 女が恋しいーとか言って脱走するし」

マオ「……そんなんでいいんですかこの国の人は」

兵士「ダメですよ」

マオ「ですよね」

456 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 14:45:28.03 X7PcSM8Xo 250/671

「国王陛下御退城! 門を開けろ!!」


ガガガガガガガガ


「いってらっしゃいませ国王陛下!!」


マオ「    」



457 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 14:48:03.70 X7PcSM8Xo 251/671

マオ「と、とりあえずぶらぶら歩き回るか」


「あら、国王陛下」

マオ「ん?」

「おやまぁ、やけにスリムになったと思ったら別人! あなたも王冠押しつけられちゃったのかい?」

マオ「えぇそうなんですよ」

「大変だねぇ国王陛下はお茶目な人だから」


マオ(お茶目なレベルか!?)


「悪い人じゃないんだよただ遊びたがりなだけだからね」

マオ「はは……」

「じゃ、ゆっくりしていきな」

マオ「はい、もし国王を見かけたら城に戻るように言っておいてください」

「はいよー」

458 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 14:50:56.13 X7PcSM8Xo 252/671

「へいらっしゃい! お、噂の新国王じゃないですか!」

マオ「もう話が出回ってるんですね」

「まぁいつものことですしねぇ! それにさっき元国王来ましたよ」

マオ「本当ですか!?」

「えぇ、新しい国王着たらよろしく言っておいてくれって」

マオ「あの野郎……」

「がっははは! あの国王も実は元騎士だからねぇ! 武器を持ってはしゃいでましたよ!」

「まぁ遊んでたら指切っちゃって大騒ぎしてどっか行きましたけどねぇ! ほんとあの人はおもしろいですよ!」

マオ「なにがしたいんだ……」

「まぁいい街なんで、ゆっくり見ていってください」

459 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 14:55:15.41 X7PcSM8Xo 253/671

マオ「ここは……道具屋か」

「おやおや新国王様! いらっしゃいませ今日はどんな品をお探しで?」

マオ「あぁ、いえ、元国王を探していて」

「あぁやっぱりそうでしたか。 いやはやしかし真面目な方だあの国王とは大違いですねぇ」

マオ「仲がよろしいのですか?」

「ここだけの話、商売仲間なんですよ。 さっきもここにきていいモン入ったかって聞いてくるから買ってもらっちゃいましたよ」

マオ「な、なにをですか?」

「オ・ナ・ホ」

マオ「は……?」

「いやぁあの人本当そういうアダルトグッズ大好きなんですよ。 国王のおかげでそっち方面の商売も繁盛してますわぁ」

マオ「それでいいんですか……」

「へへ、商売繁盛お客も上々!」

「新国王様もどうです? 一穴」

460 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 14:58:17.21 X7PcSM8Xo 254/671

「あ、新国王様だー!」

「ねぇねぇ何してるのー?」

マオ「前の国王様を探してるんだよー」

「国王おじちゃん? さっきまで一緒にサッカーしてたよ!」

「おじちゃんね時々一緒に遊んでくれるんだ!」

マオ「へぇ…… 中身子供だもんな……」

「この前なんかサッカーやってたら転んじゃって!」

「そうそう! 足ひねって大泣きして帰ったよ!」

「あははははは」

「あ、この前アイス買ってくれるって言ってたのに買ってもらうの忘れた!」

「あー! じゃあ次はアイスとジュース買ってもらわなきゃね!」

461 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 15:02:38.09 X7PcSM8Xo 255/671

戦士「あ! あれマオじゃねえか!?」

マオ「ん?」

戦士「おーい! マオー!!」

マオ「あ、みんな」

遊び人「これはすごい恰好じゃのぅ!! あひゃひゃひゃ!!」

戦士「うへぇあっつそー」

魔法使い「……きらきらな服着てる。 マオかっこいい……」

戦士「聞いたぜ、ここの国王になったんだってな」

魔法使い「……マオ国王」

マオ「あの人に押しつけられたんだよ」

遊び人「はー笑った笑った。 あの国王ならさっき宿まで来たぞ」

マオ「国王が直々に!?」

戦士「アロハシャツ着て、汗ダラダラかきながらノアニールをありがとうって礼に来たよ」

魔法使い「……子供にアイス食べさせるの忘れたからいってくるって走ってった」

マオ「…………」

遊び人「おもしろいのぅああいう国王もいるんじゃな」

魔法使い「とっても良い人だった」

462 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 15:05:57.98 X7PcSM8Xo 256/671

「いらっしゃい! ここは闘技場だよ!」

「お、新国王様じゃねえか! こんな薄汚いところに来ていいのかぁ?」

「へっへへへ」

マオ「国王みませんでしたか?」

「あぁーあのおっさんならまだ中にいるんじゃないか?」

「さっきまでここで酒飲みながら観戦してたんだけどいねえな」

「店員の姉ちゃんの尻触ってぶっ叩かれてたな!」

「とんでもねぇスケベ野郎だよがはははは」


463 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 15:09:09.46 X7PcSM8Xo 257/671

マオ「……やっと見つけましたよ国王陛下」

国王「ん? 誰のことかなぁ? 国王陛下なら俺の目の前にいるんですけどねぇ?」

マオ「とぼけないでください。 王妃様も心配しておられましたよ」

国王「くくっ、そんなわけないだろ? あいつはもうとっくに慣れっこだよ」

マオ「側近さんが怒ってましたよ」

国王「あぁー……やばい……それマジヤバい…… さっきのオナホで許してくんねえかな」

マオ「……いい加減お城に戻ってください」

国王「……まぁまぁ、酒場でも一緒にどうだい? 国王陛下」

464 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 15:12:19.88 X7PcSM8Xo 258/671

国王「よう姉ちゃん! また来たよー!」

「あーまたお城抜けてきたの? みんな心配するよ?」

国王「なに言ってんだよーみんなは休みあるから姉ちゃんに会えるけど俺なんか脱走しないと会えないんだからさぁ」

「ふふ、王様も大変ね。 ゆっくりしていってね」

国王「おーう! あ、生2つね!」

「はーいお待ちくださいねー♪」


国王「どうあの子? 可愛くない?」

マオ「えぇ……まぁ」

国王「おっぱいデカいしかわいいしで点…いやぁいいわぁ……マジいいわぁ……更衣室に隠れてたいわぁ」

マオ「…………」

国王「なになにちょっと陛下? そういうの興味ないの? だめだよぉそんなの老けこむよぉ!?」

マオ「余計なお世話です!」

465 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 15:14:44.50 X7PcSM8Xo 259/671

「お待たせしましたー生2つね」

国王「お、待ってましたぁー!! お姉ちゃんのおっぱい2つ持ちかえりでー♪」

「ごめんねぇこれ非売品なんだぁー♪ ふふ、ごゆっくりー」


国王「ねぇ今の、みた? みた? おっぱい寄せてくれたよ? 俺超元気になっちゃったよ」

マオ「分かりましたから……」


国王「よしお前ら! 姉ちゃんの美貌と新国陛下にかんぱーい!!」

「「かんぱーい」」

マオ「なんだこの店……」

466 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 15:17:52.05 X7PcSM8Xo 260/671

「なに国王陛下今日休みなの?」

国王「いやぁ? 書類の山がすごすぎて逃げてきた」

「え、だめじゃないですかそれ」

国王「いいんだよぉ側近がやってくれるからぁ…… たまにはここで騒ぎながら飲みてえんだよもぉー」

国王「なっがーいテーブルにワイン置かれても飲む人いなきゃ全然楽しくねえから!」

「国王陛下も大変っすねぇ……」

国王「あったりめぇよもぉ…… 女の子ナンパしてお茶してあんなことやこんなことしたいよもー」

「その歳じゃもう無理っしょー」

国王「はぁ!? いやいやさっきのあの姉ちゃんの見た? 脈ありありビンビンでしょ!」

「ねえよ!」

「ははははははは」

467 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 15:25:21.11 X7PcSM8Xo 261/671

国王「……この街はどうだった?」

マオ「は?」

国王「今日1日見てきたでしょ、色んなとこ」

マオ「……みんな元気ですね、他の街よりも活気があります」

国王「そうか……そりゃよかった」

マオ「みんな国王陛下のこと気に行ってるのがすごい伝わってきました」

国王「そりゃーね? 俺イケメンだからね? 顔も性格も!!」

国王「なーんて…… ロマリアの人は最高だからね……」

国王「元気貰えるんだよ街の人の暮らし見てるとさ、ほんとに」

マオ「……それは国王陛下がみんなに元気をあげてるからじゃないですか?」

国王「ふふっ、お互い様なのかもね。 このご時世魔王の脅威に怯えながら湿気て暮らすなんてさ、嫌じゃん」

国王「街の人も俺も、他の村々の人も、元気に暮らしてた方が100倍いいじゃん?」

マオ「そりゃ……まぁ…… だからノアニールの件も依頼したんですね」

国王「そそ。 あそこの町の人もみんな良い人でねぇ…… のんびりしてるんだけど景気がよくて最高の町だよ」

マオ「…………」

468 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 15:31:19.28 X7PcSM8Xo 262/671

マオ「私は、国王陛下がすごいと思います」

国王「はぁ? どこがぁこんなチャランポランだぜ?」

マオ「普通の人じゃこんなことは出来ない。 みんなに好かれて、元気を与えて……」

国王「そうなのかねぇ……分かんねえよ…… でもひとつ分かるのは」

国王「この街、最高だろ?」

マオ「えぇ……本当に最高でした」

国王「へへっ……そう思ってもらえて俺もうれしいよ」


国王「姉ちゃん! 俺もう帰るよ!」

「あら? 今日は早いねぇ」

国王「ママが今日は寂しがってそうだからな! 満足させてやんねえとよ」

「腰振るな腰ー!」

「いよ、エロじじい!!」

国王「やかましいわ!!」

「がはははははははは」


「税金下げてくれよー!」

国王「馬鹿野郎、んなことしたら街のジジババみんな飢え死にしちまうよ! それになにより俺が贅沢出来ねえだろうが!」

「がははははははは」

国王「よーし! 今日は俺が全部奢ってやる! お前ら伝票もってこーい!!」

「いよっ! ビールっ腹!!」

国王「太っ腹だろうがぃ!!」

「わははははははあはは」

469 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 15:33:05.95 X7PcSM8Xo 263/671

側近「やっと帰ってきたかこのポンコツ野郎がぁ!!」

国王「ごめんごめんそっきー許して?」

側近「上目遣いとアヒル口やめろ! きもいんだよ!」

国王「じゃおやすみー」ダッ

側近「おい待て! 書類が溜まってんだって! マジで助けてぇー!!」

側近「ああああああああもういやだああああああ…………」


470 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 15:37:10.99 X7PcSM8Xo 264/671

国王「ただいまハニー」

王妃「あら、もう帰ってきたんですか。 おかえりなさい」

国王「ママが寂しがってるかなーと思って」

王妃「ふふ、さすがあなたはなんでもお見通しね。 街はどうでした?」

国王「あぁ今日も楽しかったよ。 みんな笑って……魔王のことなんか忘れちまってるみたいだったな」

王妃「それもあなたの人が成せることよ。 さすがは私のパパね」

国王「だろー? じゃあほらかっこいいパパがちゅーしてあげる、むちゅー」

王妃「ちょっとやだぁ、今お風呂入ってきたばかりなのに」

国王「じゃあまたあとで一緒に入ればいいだろ?」

王妃「もーしょうがないわね?」

国王「へへ、さすがママ」

王妃「これからもかっこいい王様でいてね?」

国王「任せな、もっともっといい国にしてやる」

471 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 15:38:48.69 X7PcSM8Xo 265/671

魔法使い「あ! おかえりマオ」トコトコ

マオ「ただいま魔法使い」

戦士「遅かったじゃねえか」

マオ「今着替えとかしてきたんだよ」

遊び人「1日国王体験はどうじゃったかの?」

マオ「……私に国王は無理そうだ」

魔法使い「………?」

475 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 16:10:22.81 X7PcSM8Xo 266/671

戦士「うぉー! すげー! カニだー!」

マオ「国王陛下が気を利かせてくれたみたいだね」

遊び人「うほー! うまそうじゃー!!」

魔法使い「……これどうやって食べるの?」

戦士「これはなぁ、こうやって足の関節をポキッと折ると中身が出てくるから」

戦士「あとは一気に食う!!  ん~うんめ~!!」

遊び人「カニ祭りじゃああああ!」

戦士「いぇぇぇぇぇい!!」

魔法使い「…………んしょ」

魔法使い「……………んんっ!」

魔法使い「……このカニにはスカラがかかってる」

マオ「防御力高いなーそれ」

476 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 16:18:11.25 X7PcSM8Xo 267/671

魔法使い「……! おいしい」

マオ「よかったな」

魔法使い「……うん! マオも食べよ」

マオ「………うまいな」

魔法使い「……ね! おいしいねー」

戦士「なにイチャイチャしてんだそこー! ほら飲め飲めぇー!」

遊び人「カニを食べながら酒飲むとか最高じゃな!」

戦士「マオぉほれほれーグラス持ってぇー」

遊び人「一気! 一気! 一気! 一気!」

マオ「………………」ゴクゴクゴクッ

戦士「ひゅー! いいぞぉー!!」

遊び人「なかなか良い飲みっぷりじゃなぁ!」

戦士「次は……魔法使いの番だぁー!」

魔法使い「……私お酒飲めないよ?」

遊び人「気にすることなんかないわ」

戦士「はいグラス持ってぇー?」

魔法使い「……どうするの?」

遊び人「全部一気に飲めばいいんじゃ」

魔法使い「……わかった」

マオ「ダメだ、俺が飲む」グイッ

魔法使い「………あ」

戦士「ひゅー! やるねぇマオ!」

477 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 16:21:18.70 X7PcSM8Xo 268/671

マオ「絶対に魔法使いは飲んじゃだめだ」

魔法使い「……どうして?」

マオ「……いいから飲まなくていいんだ」

魔法使い「…………一口だけ」

マオ「ダメだ」

魔法使い「……ちょっとだけ、飲んでみたい」

マオ「……………」

魔法使い「……おねがい?」

マオ「……一口だけだぞ」

戦士「おーっと魔法使いの上目遣いにマオ選手ノックアウトー!!」

遊び人「ちょろいのぅ若造」

マオ「……お前ら消し炭にしてやろうか」

478 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 16:24:07.33 X7PcSM8Xo 269/671

マオ「一口だけだぞ」

魔法使い「……うん」

ごくっ


魔法使い「………ひぅっ!?」

マオ「言わんこっちゃない」

戦士「どうだった人生初ビール?」

魔法使い「……もう飲まない」

戦士「ダメだったかー!」

遊び人「それならほれ、こっちのカクテルなら甘くて飲みやすいぞ」

魔法使い「……………」じー

マオ「本当だぞ」

魔法使い「……じゃあ」


ごくっ


魔法使い「……おいしい」

戦士「まだまだ子供だなー!」

魔法使い「……む」

479 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 16:27:15.53 X7PcSM8Xo 270/671


…………………………


魔法使い「頭がふわふわする」

戦士「なんだよ酔ってんのかぁ? 情けねえ!」

戦士「ちょっとトイレいってくる!」


ばたんっ!!


遊び人「お前が一番酔ってるではないか!!」

戦士「だーいじょうぶだって! わざとわざと! じゃな」

マオ「……あいつも強くはないな」

遊び人「ちょっとわしもトイレがてら様子見てくるわい」

マオ「おぅ」

480 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 16:30:00.37 X7PcSM8Xo 271/671

魔法使い「まおー……」

マオ「どうした」

魔法使い「頭がふわふわする」

マオ「そうだな」

魔法使い「ねむい」

マオ「寝るか?」

魔法使い「寝ない!」ベシッ

マオ「……………」

魔法使い「なんか言って」ガブッ

マオ「痛いぞ」

魔法使い「……腕に歯型ついた」サスサス

マオ「1ダメージくらいだ」

魔法使い「構ってよー」ベシベシ

魔法使い「構って構って構って構って」ベシベシベシベシ

マオ「酔うとよく喋るなぁ……」

481 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 16:35:34.78 X7PcSM8Xo 272/671

魔法使い「……ちゅーして」

マオ「ここじゃしない」

魔法使い「……して!」

マオ「しない」

魔法使い「じゃあ私がする」ムチュウウウ

マオ「吸うな!」

魔法使い「……抱っこ」

マオ「やめろ」

魔法使い「よいしょ」チョコン

魔法使い「……………」プラーンプラーン

マオ「足バタバタさせない」

魔法使い「………むー」

魔法使い「抱きしめてくれないの?」

マオ「…………」

魔法使い「馬鹿、意気地無し、おたんこなす、メガネ」

マオ「メガネかけてないだろ」

魔法使い「おわぁっ」

マオ「はい、ちゃんと椅子に座ろうなー」

魔法使い「………ばかばかばか!!」ベシベシベシッ

482 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 16:38:14.20 X7PcSM8Xo 273/671

戦士「わははは! 帰ってきたぞ戦士様が!」

魔法使い「………………はぁ」

戦士「ん? なんだその顔は?」

魔法使い「……顔近づけないで……お酒くさい」

戦士「……はぁー」

魔法使い「くさいって言ってるのになんでそういうことするの!」

戦士「なんだよそんな酒くさいか? なぁマオこっち向け」

マオ「ん?」

戦士「と、みせかけてぶちゅううううう」

マオ「!?」

魔法使い「戦士! やめてよ!!」

戦士「へへっ、マオの口頂きましたー♪」

魔法使い「信じられない……」

マオ「……酒くせぇ」

483 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 16:41:15.37 X7PcSM8Xo 274/671

魔法使い「……やだマオは私のもの」

戦士「なぁ、2人って付き合ってんの?」

マオ「ん? いやー?」

魔法使い「……そういうわけじゃないけど」

戦士「ははーんじゃあ私もまだまだイケるってことか」

魔法使い「……!」

戦士「なぁ、マオ? 実際どうなんだ? 私と魔法使い、どっちがいい?」

マオ「あぁ?」

戦士「ほら、このおっぱいどうだ? 柔らかいだろ?」

魔法使い「触らせるなんて変態! それセクハラ」

戦士「モノがないもんなぁ魔法使いは」

魔法使い「そんなの関係ない」


484 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 16:45:59.70 X7PcSM8Xo 275/671

戦士「で、もうヤったの?」

魔法使い「……? なにを?」

戦士「あぁこりゃまだ処女か」

魔法使い「しょ……!?」

戦士「ははは! マオは魔法使いのこと女として見てないんだな」

魔法使い「へ……?」

戦士「あーあ……かわいそうに」

魔法使い「……そんなのもっとじっくりと付き合ってから……だよ」

戦士「そりゃただの自分への思い込ませだろ? 考えてもみろよ、この歳の男が年頃の女の子に手出さないわけないだろ」

魔法使い「…………でも……」

戦士「女としての魅力が足りないんじゃないかぁ? こことか」

魔法使い「……胸の大きさなんか関係ないもん」ジワ

マオ「やめろ戦士、飲み過ぎだ」

戦士「ちぇー怒られちった」

遊び人「わしの女としての魅力はどうかの?」

戦士「枯れてんねぇ……ガビガビだよ」

485 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 16:48:30.10 X7PcSM8Xo 276/671

戦士「で、実際どうなの」

魔法使い「……私の方がいいよね、マオ?」

マオ「ん?」

戦士「女として」

魔法使い「どっちがいいの」

遊び人「それ好きじゃなーお前ら」

マオ「あぁー………」

マオ「 >>487だな」



>>487

①ふざけて戦士だと言う

②真面目に魔法使いだと言う

③流すように2人ともかなと言う

④あえての遊び人と言う

487 : 以下、名... - 2015/08/27 16:57:41.59 aRFjcZ/I0 277/671

2

492 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 17:24:02.37 X7PcSM8Xo 278/671

マオ「魔法使いだよ」

魔法使い「………!」ギュ

戦士「なんだよー……見せつけやがって」

遊び人「若造は若くないとダメだそうじゃ」

戦士「はぁぁぁ? 私だってまだ若いんですけど!」

魔法使い「……私の方が若い」

戦士「うぜぇぇぇぇぇ」

魔法使い「……ふふん♪」

戦士「憎たらしいなぁ畜生! もういいや私は部屋で寝る」

遊び人「そうじゃなわしも寝るわい」

魔法使い「……おやすみなさい」


493 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 17:25:54.41 X7PcSM8Xo 279/671

魔法使い「……ね、ねぇマオ?」

マオ「うん?」

魔法使い「……今日は、どうする?」

マオ「なにをだ?」

魔法使い「……~~!!」

魔法使い「……すぅー……はぁー………」

魔法使い「……一緒に、寝る?」

マオ「そうだな」

魔法使い「……やた!」

マオ「……ふっ」

494 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 17:31:22.48 X7PcSM8Xo 280/671


……………………


魔法使い「……お風呂、あがりました」

マオ「ん? なぜバスタオルしか身につけていない?」

魔法使い「……えと……その……なんか……ね」

魔法使い「……戦士がさっき……マオは私のこと女として見てないって……」

マオ「……ふぅ…… それで」

魔法使い「そ、それで…… その……」

魔法使い「うぅ……恥ずかしいから言わせないで」ギュッ

マオ「………」ポンポン

495 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 17:39:14.73 X7PcSM8Xo 281/671

魔法使い「……ねぇ、ベッドいこ」モゾモゾ

魔法使い「……は、恥ずかしい……そんな見ないで」

マオ「……………」

魔法使い「……なにか……いって?」


マオ(これはまずいかもしれん)

マオ(魔王である私と、人間との間に子は成せるのか試したことが無いから分からぬ)

マオ(ただ快楽と、愛のために抱くことは出来よう。 だがなにかの拍子に子でも孕むことがあれば)

マオ(人間である魔法使いがどうなるかが想像も出来ぬ)

マオ(魔力の中毒で死ぬかもしれぬし、胎内を破壊するかもしれぬ)

マオ(いやそもそも性交自体で魔法使いを傷つけるかもしれない)

マオ(どうするか)


>>498

①とりあえずヤる(希望があれば描写あり)

②魔王としての探究心のために中田氏かます(描写は希望があれば)

③なんとか言ってかわす

④自由安価

498 : 以下、名... - 2015/08/27 17:48:23.37 NE6IBkCOo 282/671

1 描写なし

499 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 17:56:55.30 X7PcSM8Xo 283/671

魔法使い「……マオ?」

マオ「そんな不安そうな顔をするな」

魔法使い「だって……」

マオ「魔法使いは魅力的だ。 戦士がなんと言おうとな」

魔法使い「……ふぇ!?」

マオ「今まで我慢してきたのに、誘ったのはそっちだぞ?」

魔法使い「……うー……そういうのは言わなくていいの///」

マオ「こっちにこい」グイッ

魔法使い「ひゃぁ!」

マオ「どうした、力が入ってるぞ」

魔法使い「……うぅ……ごめんなさい」

マオ「謝るな、誰でも緊張はする」チュ

魔法使い「……んぅっ!?」

マオ「深呼吸をして力を抜け」

魔法使い「……えへへ……顔近い……ドキドキしちゃうよ」

魔法使い「……すー……はぁー………」

魔法使い「……はずかしいね」

マオ「……綺麗だぞ、魔法使い」

魔法使い「……うん、 優しく、してね?」

507 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 19:24:12.64 X7PcSM8Xo 284/671

…………………………


マオ「……ん」

マオ「……そうかそのまま寝ていたのか」

魔法使い「……んぅ……まお……?」

マオ「おはよう魔法使い」

魔法使い「……うん」

魔法使い「……ちゅ?」

マオ「…………」チュ

魔法使い「……もう一回したい」ガバッ

マオ「……底無しだな。 そうやって布団に隠れたら出来ないぞ?」

魔法使い「……だって気持ちよかったんだもん」チラッ

マオ「また気絶するなよ」

魔法使い「……あ、あれはマオが……激しくしすぎるから……」

508 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 19:28:31.04 X7PcSM8Xo 285/671

………………
…………
……



マオ「次は砂漠を超えるぞ」

戦士「砂漠!?」

遊び人「干からびてしまうわい。 ま、干上がってるがのぅ」

戦士「この自虐ネタに突っ込めねえ!」

マオ「砂漠の過酷な環境でパーティが1人欠けるかもしれないが行くぞ」

遊び人「待たんかい! 勝手に殺すでない!!」

509 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 19:31:37.87 X7PcSM8Xo 286/671

……………………………………


マオ「砂漠のオアシスに街があるらしい」

遊び人「砂漠で迷ったらどうするんじゃ」

マオ「さぁな? その時はその時だ」

戦士「……最近思ったんだけどよ、マオって案外雑だよな」

遊び人「脳筋じゃな」

マオ「……………」チャキンッ

遊び人「デスサイズはやめんか! 死人が出るわ!」

魔法使い「……おばあちゃんは死んでも化けて出そう」

戦士「スロットやるぞー! とか言いながらな」

遊び人「人をなんだと思ってるんじゃまったく!」

510 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 19:34:58.17 X7PcSM8Xo 287/671

マオ「砂漠ってさ熱いんだろ? 私暑いの苦手なんだよねぇ」

魔法使い「……私も苦手」

遊び人「おや? マオとペチャクチャくっついておるから熱々が好きなのかと思っていたが」

魔法使い「……お、おばあちゃん!」

マオ「夜は服を着こんでも寒いくらい冷え込むらしいぞ」

戦士「ひえぇマジかよ」

魔法使い「……火炎魔法をたき続ける必要がある」

遊び人「昼は熱々、夜は寒々か。 まるで仮面夫婦のようじゃな」

魔法使い「……なにそれ?」

戦士「外では仲良し夫婦、実際は関係が冷え切ってる夫婦ってことじゃね」

魔法使い「…………」

遊び人「そうなってはならんぞ」

魔法使い「…………」ブンブン

513 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 19:43:05.93 X7PcSM8Xo 288/671

………………………………

~砂漠~



戦士「あっちぃ……」

遊び人「いたずらに喋るな…… 喉が渇くだけじゃ」

戦士「でもよぉ………」

魔法使い「……………」

マオ「……………」

遊び人「…………」

戦士「…………」

戦士「あっちぃ……」

遊び人「だから喋るなと」

戦士「でもよぉ……」

マオ「…………」

魔法使い「…………」

遊び人「…………」

戦士「…………」

戦士「…………」

戦士「…………」

戦士「あっちぃ…」

514 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 19:49:13.22 X7PcSM8Xo 289/671

………………………………

戦士「ここ……いまどこなんだ」

マオ「まだ砂漠に入ってそう経っていないだろう。 街までしばらくあるな」

戦士「おいおいマジかよ……勘弁してくれよ……」

遊び人「はぁ……はぁ……洒落にならんぞこれは」

戦士「水……水……」

マオ「待て、いたずらに飲みすぎるな!」

戦士「……はぁ……もう限界……」ゴクゴクッ

戦士「んくっ……あれ……? おい、嘘だろ」

遊び人「なんじゃ?」

戦士「……水筒の中身が空になっちまった」

遊び人「なんじゃともう飲んでしまったのか」

マオ「……先はまだ長いんだぞ」

戦士「ど、どうしようマオ」

マオ「……………」

マオ「私のをやる。 これでもう無駄に飲むなよ」

戦士「いいのかよ?」

マオ「仕方がないだろう? 私は頑丈だから水くらい飲まなくてもすぐには死なん」

戦士「わりぃ、さんきゅー」

魔法使い「……マオ」

マオ「心配するな。 本当に平気だ」

魔法使い「……………」

マオ「それにどうしようもなくほしくなったら少し分けてもらえるか?」

魔法使い「……うん」

515 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 19:53:39.67 X7PcSM8Xo 290/671

………………………………


マオ「もう陽が暮れるのか」

戦士「はえぇな……テントはるか」

魔法使い「……この砂場じゃペグを挿せない」

遊び人「そうじゃな……せめて岩場でもあればいいのだが……」

マオ「…………」

戦士「…………」

魔法使い「……一面砂しかない」

遊び人「困ったのぅ」

マオ「仕方がない、もう少し先にすすもう」

戦士「だよなぁ……」

魔法使い「……これだけ風が強いのにテントがなかったら体力が奪われるだけ」

遊び人「過酷すぎるわぃ……」

516 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 19:56:34.83 X7PcSM8Xo 291/671

……………………………………

~砂漠夜~


マオ「ダメだ、もうテントは諦めて休むぞ」

戦士「なんでだよ!」

遊び人「もう陽も完全に落ちる。 このままでは先も見えず魔物に襲われてじり貧になるだけじゃ」

マオ「陽の出と同時に出発する。 早く休もう」

戦士「ちぇ……」

戦士「あー……風呂入りてぇ髪がごわごわだ」

魔法使い「……もう少しの我慢」

戦士「しょうがねぇなぁ……」

遊び人「……はぁ」


マオ(もう誰も冗談を言える気力もない、か)

517 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 19:59:52.73 X7PcSM8Xo 292/671

戦士「さみぃなぁ……もぅ……」ガタガタ

魔法使い「……うぅ」

遊び人「これは想像以上じゃ……」

魔法使い「……暖も取れないなんて」

マオ「…………」

戦士「みんな、固まって寝ようぜ。 このままじゃ凍死しちまう」

遊び人「あぁぁあぁ……賛成じゃぁ…… 真っ先に死ぬのはわしじゃなこれは」

魔法使い「……縁起でもないこと言わないで」

戦士「やべぇぇぇぇえぇぇぇさみぃぃぃぃぃぃ」

518 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 20:06:40.23 X7PcSM8Xo 293/671

戦士「誰か……寝たか……?」

魔法使い「……おばあちゃんは眠れてる」

戦士「うらやましいぜ……寒過ぎてねむれねえよぉ……」

マオ「これは人間には酷だな」

戦士「なんでお前そんな平気そうな顔してんだよ」

マオ「……鍛えているからな」

魔法使い「……理解不能」

戦士「どんな修行してきたんだっつぅの……」


戦士「ああぁぁぁちくしょー……ほんとにさみぃ」

戦士「街に着いたらあったかいココアがのみてぇ」

マオ「しっ…! なにか聞こえないか」

戦士「なんだよなにかって」

マオ「…………なんだこの音は」

魔法使い「……本当だなにか聞こえる」

マオ「……段々と大きくなってきたな」

魔法使い「……地響きまでする」



ゴゴゴゴゴゴゴ…………



戦士「おいおいおいおい! なんかやばくねえかめっちゃデカくなってきたぞ!」

マオ「ババア起きろ!」

遊び人「はにゃ…?」

魔法使い「……なにかが来る!」



ごごごごごごごごごごごごごごごごごごごご

ドバアアアアアアアアアアアアアア!!!!



マオ「逃げろ!! ワジだああああ!!!!」

519 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 20:16:13.37 X7PcSM8Xo 294/671

戦士「お、おい!! なんだよワジって!!」

マオ「説明している暇はない!! 走れ!!」

魔法使い「に、荷物が!」

マオ「捨て置け! 死ぬぞ!!」




ドバアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア



戦士「み、水の濁流!?」

マオ「くそ!! 砂漠の谷間にいたのがまずかった!!!」

遊び人「なんじゃああああ!?」

マオ「早く砂の山を登れ! 飲み込まれるぞ!」

戦士「畜生! 走りづらい!!」

遊び人「もうダメじゃぁ追いつかれる!!」

魔法使い「マオーーーーー!!!」

マオ「くそっ!! みんな手を!!」

遊び人「届かん!!」

戦士「畜生!! お前だけでも助かれ魔法使い!!」ガシッ

魔法使い「戦士ッ!!?」フワッ

戦士「受け止めろマオオオオオ!!!!」ブンッ

マオ「……ッ!!」




ドオォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ




520 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 20:20:31.29 X7PcSM8Xo 295/671

ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ


魔法使い「……はぁ……はぁ……はぁ………」

魔法使い「……みんな……水に飲まれちゃった……」

マオ「くそっ!!」

マオ「氷の壁を作れ! 凍結上級魔法!」


パキパキパキパキパキパキパキパキパキ!!!!


マオ「今助けるぞ!!!」

魔法使い「ま、マオ!!」

マオ「魔法使いはそこで待ってろ!!」


マオ「助け出してみせるぞ!」

521 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 20:27:15.30 X7PcSM8Xo 296/671

マオ「くっ……! どこにいる!!」

マオ「水の勢いを止めようにも戦士たちがその中にいることを考えたら迂闊なことは出来ない!!」

マオ「水流の先で防御魔法を張って水ごと戦士たちを受け止めるか!?」

マオ「いやだめだそんなことをしていればあいつらが防御魔法に触れた衝撃で死んでしまう!!」

マオ「…………死ぬ……あいつらが?」

マオ「……そうか……あいつらはこのままでは溺れて死ぬのか」

マオ「……どうせ水の中で死ぬというのなら……私が殺そう」

魔王「……それが救いになるのなら!」

527 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 21:10:15.67 X7PcSM8Xo 297/671

魔王「人間とは魔物に殺されれば蘇生が可能だと聞く」

魔王「ならば私が人間ではなく魔王として水よりも早く殺すことが出来たのなら」

魔王「奴らは生き返ることが可能」

魔王「ふっ、我ながら人間の姿になりすぎて魂が人間に近づきでもしたか」

魔王「魔の王として情けない限りだ」


魔王「ふぅ……許せよ2人とも」

魔王「出来るだけ楽に殺してやる!」



魔王「水など無に等しいな。 暗黒爆裂魔法」


シュンッ


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド



528 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 21:15:06.13 X7PcSM8Xo 298/671

魔王「……これが死体か」

魔王「それぞれ下半身と顔しか無いのにちゃんと見分けがつくものだな」

魔王「自分で殺しておいてなんだが良い気分ではないな……いや、最悪の気分だ」

魔王「これを……仲間だと思っているのだな私は」

魔王「……魔王と人間の境界で揺れているのか……なんとも情けない」


529 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 21:18:01.69 X7PcSM8Xo 299/671


魔王「……しかしこの死体をどうするか」

魔王「私では生き返らせることは出来ぬ……」

魔王「……そもそもこの人型ではなくなった2人を魔法使いになんと説明するか」

魔王「いや……そんなものはどうでも良いではないか」

魔王「殺して街まで吹き飛ばせば簡単ではないか」

530 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 21:22:38.59 X7PcSM8Xo 300/671

魔法使い「…………マオ………お願い……お願いします……」

魔法使い「……2人を助けて……」

魔王「その2人とはこれのことか?」

魔法使い「へ……?」

魔王「くれてやる」


ドサッ


魔法使い「……ひっ!」

魔王「どうしたその目は? 信じられないといった眼をして」

魔法使い「……あなたが……殺したの……?」

魔王「そうだが?」

魔法使い「……ま、マオは……マオはどうした……の……」

魔王「あの少年か? そこらへんに転がっているのではないか?」

魔法使い「…………へ?」

魔王「ふぅむ? なんだ貴様等は仲間か」

魔王「ならばお前もあの世へ送ってやろう」

531 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/27 21:27:39.68 X7PcSM8Xo 301/671

魔法使い「うっ……ひっく……んぐ……っ……」ボロボロ

魔王「安心しろ。 運よく誰かに見つけてもらえれば生き返られるだろうよ」

魔法使い「……魔物が……絶対に許さない……」

魔王「…………」

魔法使い「よくも……よくもみんなを……マオを………うっ……」

魔王「…………」ガシッ

魔法使い「……マオ………マオ………」

魔王「…………」

魔法使い「どうして……助けてくれなかったの……」

魔王「………………」


ゴギャァッ!!


ドサッ


魔王「すまないな……こんな方法でしか助けられなくて」

魔王「私は…… 魔王…… 人間ではないのだ……」

550 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 16:09:46.44 w0NwPgpqO 302/671

魔法使い「………はっ!!」

魔法使い「………ここは?」

マオ「………大丈夫か?」

魔法使い「マオ………?」

マオ「………そうだぞ」

魔法使い「マオだ………マオ…マオ………生きてる………」ボロボロ

マオ「あぁ、生きてるよ………」

魔法使い「よかった………マオ………よかったよぅ………」ギュッ










ぬちゃっ



魔法使い「……!?」

魔法使い「マオ………すごい怪我してる……!!」

マオ「大丈夫だ……まずはみんなを生き返らせる……そのあとで遊び人にゆっくり直してもらうさ」

魔法使い「ど、どうしてそんなケガを……!?」

マオ「はぁ………俺らをやった魔物にやられた…… やられたフリをして過ぎるのを待ってからみんなを回収したんだ……」

魔法使い「一人でみんなの死体をここまで運んできたの……?」

マオ「そうだ……」

魔法使い「そんな……そんな辛いこと……うぅっ………ありがとう………マオ………」

マオ「……もう泣くな、生き返ってよかった」

558 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 20:14:16.08 GP92RZ2Vo 303/671

魔法使い「みんなはまだ……?」

マオ「あぁ、今から生き返らせてもらう」

魔法使い「……………」ソッ

マオ「みるな!」

魔法使い「………ひっ!?」ビクッ

マオ「はぁ……だから見るなと…」

魔法使い「うっ………おえぇ………」

マオ「……大丈夫か」サスサス

魔法使い「マオは……どうして大丈夫なの………?」

魔法使い「戦士……顔しか残ってなかった………おばあちゃんなんか……足しか…」

マオ「もうやめろ」

魔法使い「うっ……おぇ……」

マオ「すいません、残りもおねがいします」


「神よ、迷える子羊である戦士と遊び人の命をここに呼び戻したまえ」


………………………………………



560 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 20:18:47.49 eVNKZI3MO 304/671



戦士「そんなことがあったのか……水に飲まれてて全く分かんなかったぜ」

遊び人「……マオには感謝してもしきれんな」

戦士「ありがとな、マオ」

マオ「あぁ……気にしないでくれ…… むしろ助けられなくてすまなかった」

魔法使い「そんなこと! そんなことないよ……? 私達は感謝してもしきれないくらい……」

戦士「死体3つ抱えながら一人でここまで来るとか……考えただけで気が狂いそうだぜ……」

遊び人「……はぁ、そうじゃな」

魔法使い「うっ……うぇぇ……」

戦士「お、おいどうした! 大丈夫か魔法使い!?」

マオ「……さっき死体の戦士と遊び人を見てしまったんだ。 お世辞にも綺麗な状態ではなかったからな」

遊び人「水の中で即死するほどの威力だったんじゃからの…… どんな肉塊になり果てていたやら」

戦士「あ………」

魔法使い「……ごめんなさい…ごめんなさい………弱くて……………ごめんなさい」

戦士「強い弱いなんか関係ねえよ…… 誰だってショック受けて当然だろ……」

遊び人「そうじゃな、ショッキングなものを見せてしまったな」

魔法使い「そんなこと……私なんかどうでもいい……」

魔法使い「マオが……どんな辛い気持ちでここまで……わたし達を運んできてくれたのか…………なのに私はこんなことで…」

マオ「気に病むことじゃないぞ。 みんなが助かるかもしれないと考えられるだけで私は頑張れたのだ」

マオ「だから………その………ありがとう。 生きててくれて」ポン

魔法使い「うぅ………マオ……助けてくれて……ありがと………」


561 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 20:27:23.99 eVNKZI3MO 305/671

……………………………
…………………
………





遊び人「……本当はわしらを殺したのは貴様なのじゃろう」

マオ「……そうだ。 そうしなければ助けることはできなかった」

遊び人「じゃが! なにも魔法使いまで殺すことではなかろう!」

マオ「………………」

遊び人「貴様はそこまで魔王という正体を隠すことが大事だと考えておったのか!? 貴様は魔法使いを好いておるのだろう! なぜ殺した!」

マオ「………………」

遊び人「分かっておるのか? お前は一瞬とはいえ彼女に貴様が死んだと思わせたのだぞ」

遊び人「それどころか辛い思いをさせながら死体を引きずらせて申し訳ないとまで思わせている! その本人が殺したことを知らずにな!」

マオ「……黙れ」

遊び人「自分の正体の嘘をつき続けているだけでなく、自分が殺したことをも隠して騙しておるのだぞ!!」

マオ「……黙れと言っている」

遊び人「貴様は魔法使いではなく、自分の身が可愛いだけなのだな」

マオ「…………そんなこと分かっている。 だからもう黙れ」


562 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 20:30:52.78 eVNKZI3MO 306/671

マオ「私は怖いのだ」

マオ「何かを失うのが怖いと思ってしまった」

マオ「貴様らを失いたくないと思ったことにまず驚いた。 そして貴様らを失うのが怖かった。 だからあのような手を使って助けた」

マオ「そして私は貴様らの死体を手で掴みながら思った。 魔王であることを魔法使いに知られるのが怖いと」

マオ「魔法使いが……私を憎み恐るのではないかと……怖くなった」

遊び人「………………」

マオ「あの子が私の胸の中から離れていくのが怖くなった。 だから私の正体を隠した」

遊び人「……愚かじゃ」

563 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 20:37:08.45 eVNKZI3MO 307/671

マオ「気づかれぬようにするため魔法使いの頭を握り潰すために手をかけた」

マオ「その時魔法使いは助けられなかった私を恨んでいた」

マオ「いや、恨んでいたかは定かではないが…… とにかく助けると約束した私を信じていたのだ。 それを裏切っていたことに気がついた」

マオ「私はあの子に裏切られたと感じさせてしまったことが怖くなった」

マオ「しかし、生き返らせたあの子の口から、助けてくれてありがとうと言われてしまった」

マオ「あの子は、魔王ではなくマオという人物に恋をしていることに気付いた」

マオ「私は自分が人間ではないことが怖くなった」

マオ「私は……なぜ魔王なのだと自分を恨んだ」

564 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 20:46:37.32 /G1KAi3Io 308/671

遊び人「……それで? お前はどうしたいのじゃ」

マオ「さぁな分からぬ」

マオ「ひとつ言えるのは……魔法使いも……貴様等も失うのが怖くなったということだ」

遊び人「……ふん。 情けないのぅこんなのが魔王だと皆が知ったら仰天するじゃろうて」

マオ「………なにが魔の王なものか。 ただ魔物の中で一番力が強いだけの傀儡よ」

遊び人「わしらの誰もを失わせたくないと言うのなら、そしてその通りにするのならば」

遊び人「わしらは魔王をいずれ殺すところまで到達するぞ?」

マオ「………そうだな」

マオ「それが……今の半端モノの私の望みなのかもしれぬ」

マオ「……一度愛する者をこの手で殺したのだ。 愛する者に殺されるのなら……悔いはない」

571 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 22:14:53.48 /G1KAi3Io 309/671

………………
…………
……


マオ「少し疲れた……宿で休ませてくれ」

魔法使い「……マオ…………」

遊び人「一緒にいてやれ」

戦士「私らも後で行くからよ」

魔法使い「……分かった」


遊び人「…………」

戦士「マオのやつ……大丈夫かね」

遊び人「さぁな? 力はあるくせに心はよわっちぃからのぅあいつは」

572 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 22:20:18.47 /G1KAi3Io 310/671

………………………………


マオ「…………」

魔法使い「マオ…… 入るね」

マオ「……あぁどうぞ」

魔法使い「…………」トコトコ

魔法使い「………………」ギュ

マオ「…………」

魔法使い「…………」

マオ「…………」ナデナデ

魔法使い「……………」

マオ「………………」

魔法使い「……マオの胸、貸してくれるんだよね」

マオ「……前にそう言ったな」

魔法使い「…………うっ……ひっくっ……」

マオ「…………」

573 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 22:24:09.38 /G1KAi3Io 311/671

魔法使い「……約束、守ってくれた。 助けてくれた」

マオ「いや……」

魔法使い「……やっぱりマオはかっこいい」

マオ「そんなこと、ないさ」

魔法使い「…………」

魔法使い「どうして……泣いてるの?」

マオ「……泣いてなんかないぞ」

魔法使い「……嘘。 心は泣いてる」

マオ「…………」

魔法使い「……よしよーし」ポンポン

マオ「ふっ……なんだそれは」

574 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 22:27:15.94 /G1KAi3Io 312/671

魔法使い「……マオは私が辛くなったら胸を貸してくれる」

マオ「いつも飛び込んでくるもんな」

魔法使い「……じゃあマオは辛くなったらどうするの」

マオ「……さぁな」

魔法使い「行くあてが無い?」

マオ「……考えたこともなかった」

魔法使い「……じゃあ私の胸を貸してあげるね」

マオ「……なんだそれ……年下にそんなこと言われるとはな」

魔法使い「……私じゃ、マオの力になれない?」

マオ「……いやそういうつもりで言ったんじゃない」

マオ「頼っても……いいのか?」

魔法使い「……うん。 おいで」


575 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 22:31:24.99 /G1KAi3Io 313/671

マオ「…………」

魔法使い「…………」

マオ「あったかいな」

魔法使い「……でしょ」

マオ「魔法使いはいつもこんな気持ちだったのか」

魔法使い「……幸せになれる」

マオ「……本当だな」

魔法使い「……安心するね」ナデナデ

マオ「あぁ……」ギュ

魔法使い「…………」

マオ「……胸がドキドキ言ってるぞ」

魔法使い「……生きてる証拠」

マオ「そうだな」

魔法使い「マオが助けてくれた命」

マオ「…………」

マオ「……違うんだ………」ギュッ

魔法使い「どうしたの……?」ナデナデ

マオ「違うんだよ……魔法使い……」

魔法使い「……うん?」

マオ「……………くっ………うぅ……」

魔法使い「………よしよし」

576 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 22:35:15.07 /G1KAi3Io 314/671

マオ「…………」

魔法使い「……言いたいこと、あるの?」

マオ「……なんで分かるんだよ… でも言えない」

魔法使い「……私でも、だめ?」

マオ「……あぁ、すまない」

魔法使い「……そっか」

魔法使い「別にいいよ……」

マオ「……すまない」

魔法使い「………ぐすっ…どうして……私には言えないの……」ボロボロ

マオ「……ごめん」

魔法使い「……マオの全部知れないじゃん」

マオ「……そうだな」

魔法使い「……つらいよ……」

マオ「…………ごめん」

魔法使い「……ひどいよ…!」

マオ「……そうだな」

577 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 22:39:01.72 /G1KAi3Io 315/671

魔法使い「………胸、貸して」ギュッ

マオ「…………」

魔法使い「………ねぇマオ」

マオ「……うん」

魔法使い「……ごめんなさいひどいこと言って」

マオ「いや……俺が悪い」

魔法使い「……マオも、隠してるの辛いもんね」

魔法使い「……私のために話さないでいてくれてるんだよね」

マオ「そんなこと……」

魔法使い「……ありがとうね」

マオ「…………」

魔法使い「……マオも辛いのに、ごめんね」

マオ「………いいや」

魔法使い「……いつも、私のことを一番に考えてくれるマオが好き……」

マオ「……胸を貸せ」

魔法使い「……うん」

578 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 22:45:45.72 /G1KAi3Io 316/671

魔法使い「ねぇ……2人同時に辛くなったらどっちがぎゅーしようね」

マオ「……2人で抱きしめ会えばいいんじゃないか」

魔法使い「……そうだよね」

マオ「……おいで」

魔法使い「……マオ!」ギュッ

マオ「飛びこむな! 危ないだろ」

魔法使い「……すき」ギュ

マオ「……俺も好きだぞ」ギュー

魔法使い「ねぇ……? 今のって喧嘩かな」

マオ「……どうだろうな」

魔法使い「……プチ喧嘩」

マオ「……魔法使いが泣いただけだろ」

魔法使い「……仲直り」

マオ「喧嘩なんかしてないって」

魔法使い「……仲直りっ」

マオ「だから」

魔法使い「仲直りなのっ!」

マオ「分かった分かったから怒るな」

魔法使い「……ばかぁー!」チュ

マオ「……怒りながらキスは器用だな」

魔法使い「……仲直りのちゅーは大事」

マオ「そうなのか?」

魔法使い「……そう前に読んだ本に書いてあった」

マオ「へー」

魔法使い「……でもその本にはそれから続きは書いてなかったの」

マオ「ん?」

魔法使い「……私たちはどうやって続きを過ごすのかな」

マオ「……こうだろうな」ガバッ

魔法使い「~~! カーテン閉めて……」

579 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 22:54:15.25 /G1KAi3Io 317/671

…………………………


魔法使い「ま、マオ……大変」

マオ「うん?」

魔法使い「……荷物が全部流されちゃった」

マオ「そうだな」

魔法使い「……そこに着替えがたくさん入ってた」

マオ「あぁ……そうか」

魔法使い「……下着の代えが無い」

マオ「…………」

魔法使い「……そのパンツ履くしかない」

マオ「あー……やめた方が良い洗濯に出そう」

魔法使い「……!? どうして!」

マオ「……あんだけ濡らしておいてまたこれを履くのか? さすがに汚いだろう」

魔法使い「で、でもそれがないと街に出られない……」

マオ「何を言っている? 履かなくてもいいだろう」

魔法使い「………え」

マオ「日用品くらいは今日のうちに買わないとまずいだろう。 街に行くぞ」

魔法使い「ま、待ってマオ! だから下着が!」

マオ「……買うまで我慢しろ」

魔法使い「……ひ、ひどいよ!!」

マオ「……濡れすぎるのも考えものだな」

魔法使い「……ばか!」

580 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 22:58:13.24 /G1KAi3Io 318/671

マオ「いくぞ」

魔法使い「……ちょっと、だめだよ」

マオ「ほら、階段降りるぞ」

魔法使い「ま、待って手を引っ張らないで!」

魔法使い「……~~///」

マオ「なにをそんなワンピースの裾を抑えてどうした」

魔法使い「……マオのばかぁ!」

マオ「……今までで一番元気だな」

582 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 23:01:00.34 /G1KAi3Io 319/671

魔法使い「……中がスースーする」

マオ「だろうな」

魔法使い「……お腹冷えちゃう」

マオ「そうだな」

魔法使い「……子供産めなくなったらどうするの」

マオ「俺の子を産みたいのか?」

魔法使い「………ばか」ベシッ

マオ「そういうことをすると裾がほら」ヒラッ

魔法使い「……ッ!?」バッ

マオ「ふははははは」

魔法使い「……!!」カアッ

マオ「……楽しい」

魔法使い「……んー!!」ベシベシッ


583 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 23:07:10.63 /G1KAi3Io 320/671

マオ「……なぜ腕にしがみつく?」

魔法使い「……マオが悪いことしないように」

マオ「ふむ? ところで話が変わるが顔が真っ赤だぞ」

魔法使い「……変わってないから」

魔法使い「……早く下着屋行きたい」

マオ「……後回しにしよう」

魔法使い「だめ! 絶対!」

マオ「……腕に爪が食い込んでいるぞ」

584 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 23:12:55.99 /G1KAi3Io 321/671

魔法使い「……やっとついた」

マオ「おぉ、桃源郷か」

魔法使い「……なんかひとつ適当に買ってくる」

マオ「まぁ待て、じっくり選んだほうが良いだろ?」

魔法使い「離して! マオの意地悪ッ!」




魔法使い「……履いてくる!」

マオ「いってらっしゃい」

585 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 23:15:27.87 /G1KAi3Io 322/671

魔法使い「……マオのばか」

魔法使い「……!」

魔法使い「……え?」

魔法使い「嘘……すごい濡れてる……」

魔法使い「……おかしいよ、こんなので濡れるなんて……」

魔法使い「……私って変態なのかな」

魔法使い「……マオのせいだからね」

魔法使い「……もう変な気持ちになっちゃったじゃん……」

586 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/28 23:22:58.09 /G1KAi3Io 323/671

………………
…………
……


魔法使い「……やっと宿ついた」

マオ「結構買うもの多いな」

魔法使い「……これでも最低限のものしか買ってない」

マオ「……女の子ってのは大変だな」

魔法使い「……そう」

マオ「なぁ、ところでさ魔法使い」

魔法使い「……うん?」

マオ「さっき下着を履きに行った時、やけに時間かかったんだけどなにしてたの?」

魔法使い「………! なにもしてない!」

マオ「……なんかやけに顔が真っ赤になってたけど」

魔法使い「……なんでもないから!」

マオ「自分でするより俺にされた方が気持ちよかったろ?」

魔法使い「……うるさい///」

マオ「試してみるか」

魔法使い「……!! マオは猿!」

594 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 10:32:56.86 LL4R0Hopo 324/671

…………………………………………


戦士「お、なんだよもう元気そうだな」

魔法使い「……うん、もう大丈夫」

戦士「心配したぞー?」

マオ「あぁ、すまないな。 もういつも通りだ」

戦士「へっそいつは何よりだ。 リーダーがしけた面してたらこっちまで気分が萎えちまうからな」

遊び人「そんなことよりほれ、買い物行ってきたぞ」

魔法使い「……わっ、ありがと」

戦士「これは私からお土産。 うまそうだから食おうぜ」

マオ「……なんだこれ」

遊び人「蠍の揚げ物じゃ」

魔法使い「……っ!!?」

魔法使い「まおだめ! これ毒入ってる!」

戦士「平気だって! 私らさっき食ってみたしうまかったぞ」

魔法使い「…………」

マオ「蠍って知って食べられなくなってしまったらしい」

遊び人「情けないのぅ」

595 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 10:40:51.74 LL4R0Hopo 325/671

魔法使い「……おいしい」

戦士「だろぉ!? ジューシーなんだよわけわかんねぇよな」

魔法使い「……意外」

遊び人「そうじゃあと重要な話がある」

マオ「ん?」

遊び人「なにやら次の街へ渡るためにはこの街の女王の許可がいるそうなのじゃ」

魔法使い「……なら許可をもらいに行けばいい」

戦士「それがよぉ、他の冒険者たちによると許可を出すためにはなんか条件を出されるらしいぜ」

マオ「条件?」

戦士「そ。 なんでもピラミッドの財宝を見つけろ、だとかなんとか」

魔法使い「……ピラミッドってなに」

遊び人「ここから北へ向かったところにある石の建造物だそうじゃ。 なんでも代々の王家の墓らしいぞ」

戦士「そこに財宝が眠ってるんだと」


596 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 10:44:47.67 LL4R0Hopo 326/671

マオ「……なら準備をしたら行ってみるか」

魔法使い「……お墓だよ? お化けが出るかもしれない」

マオ「平気だろ。 死体よりは怖くないと思うぞ」

魔法使い「……どっちもだめ」

戦士「じゃあ魔法使いはここでお留守番だな」

遊び人「残念じゃのぅその間にマオはわしらのものになるわけじゃ」

戦士「なにいってんだよ婆さん! 私のもんだから!」

マオ「誰のものでもないが」

戦士「じゃ、そういうわけだから」

遊び人「お化けが怖い魔法使いはそこで震えて待っておれ」

魔法使い「…………」

魔法使い「……やっぱり行く」


戦士(ちょろいなー)

マオ(ちょろい)

遊び人(あとで脅かそう)


597 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 10:51:16.58 LL4R0Hopo 327/671

………………
…………
……

~ピラミッド~



マオ「これか」

戦士「え、まじ?」

遊び人「なんじゃこの大きさは……」

魔法使い「……すごい……これ全部レンガなの」

戦士「作るのに何年かかるんだっての」

遊び人「あんなデカい石を一体いくつ積んでるんじゃ…… 腰が砕けるわ」

魔法使い「……気が遠くなる話」

マオ「中に入ろう」

魔法使い「……うん」

遊び人「わしも中に入るならこんな豪華なものがいいのぅ」

戦士「墓に入る話じゃねえよ!」

魔法使い「……おばあちゃんのボケは分かりづらい」

戦士「分かりづらいか!?」

魔法使い「……?」

598 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 10:56:39.83 LL4R0Hopo 328/671

魔法使い「それにしてもこんなところで王家が代々眠っているとは……とんだ金持ちじゃのぅ」

戦士「どんだけデカい墓がうらやましいんだよ婆さん」

マオ「……墓をあばきに来たやつの墓にもなってるだろうが」

遊び人「ふぉっふぉっふぉ。 関係ない死体もゴロゴロか」

魔法使い「…………」

戦士「死体もいっぱいならお化けもいてもおかしくないだろうなー」

魔法使い「…………」

遊び人「死体が動き出して襲ってくるかもしれん」

魔法使い「………………」

戦士「目が無いゾンビがわーって襲ってくるのか!」

魔法使い「………………」

遊び人「わっ!!」

魔法使い「きゃぁっ!!」ガバッ

マオ「……………」ピクピクッ

魔法使い「………マオ?」

マオ「ヴァーーー……」ユラリ

魔法使い「……ひっ!!」

戦士「マジビビりしてるからもうやめてやれよお前ら」

599 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 11:12:01.48 LL4R0Hopo 329/671

魔法使い「…………」

戦士「おい、怒っちゃったぞ魔法使い」

遊び人「どうにかせんか若造」

マオ「ババアが脅かすからだろ」

遊び人「とどめをさしたのはお前じゃろうが!!」

魔法使い「……マオなんて知らない」

遊び人「あーあ」

マオ「………」

戦士「なぁ1人でどんどん行ったらあぶねえぞ魔法使い」

遊び人「そうじゃぞ。 わしらが悪かったから戻って来い」

魔法使い「………ふん」

戦士「だから先行くなって!」

魔法使い「……マオのばか」スタスタ



カチッ



魔法使い「……?」



ガコンッ


ふわっ



魔法使い「……え」


戦士「魔法使いぃ!!」

マオ「ちっ!」ヒュンッ



ガシッ


戦士「マオ!!」

魔法使い「……!」

マオ「しっかり捕まっていろ!」

600 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 11:15:06.14 LL4R0Hopo 330/671


ガゴォォォン


戦士「おいおい……どうするマオたち穴に落ちちまったぜ」

遊び人「……マオがついているから大丈夫だとは思うが…… 下に降りる別の道がないか探すぞ」

戦士「了解」

戦士「っていうかトラップあるなんて聞いてねえぞ…… 墓にトラップとかどんだけだよ」

遊び人「死に場所に遊び心があるとは……気にいったぞ」

戦士「婆さんここで死ぬなよー」

601 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 11:17:59.71 LL4R0Hopo 331/671

マオ「無事か?」

魔法使い「……うん、大丈夫」

マオ「……はぁ。 結構落ちた気がするな」

魔法使い「……穴もふさがってる」

マオ「歩けるか?」

魔法使い「……平気。 出口を探そ?」

マオ「そうだな」

602 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 11:21:32.09 LL4R0Hopo 332/671

魔法使い「……マオ、これって」

マオ「ここで死んだ人間の骨だろう」

魔法使い「ダンジョンってこんなにいっぱいあるの……?」

マオ「………」

魔法使い「至る所に骨が……」

マオ「確かに多いな」

魔法使い「……ねぇ、マオ…… もしかして出口が……」

マオ「あるはずだ。 なかったら作る。 天井をぶち抜くだけだ簡単じゃないか」

魔法使い「……強引」

魔法使い「……でも安心する」ピトッ

マオ「………とりあえず行くぞ」

603 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 11:28:48.97 LL4R0Hopo 333/671

マオ「…………」

魔法使い「……出口、ないね」

マオ「……そんなことはないだろう」

魔法使い「……マオ、そこの壁見て」

マオ「うん?」

魔法使い「正の字いっぱい掘られてる」

魔法使い「きっとこの死体だった人が生きてる間にここで何日も掘り続けてたんだよ」

魔法使い「……ここから出られなくて」

マオ「………」

マオ「もう天井をぶち破るか」

魔法使い「……うん」

マオ「……ぶち抜け。 暗黒衝撃魔法」



しかし何も起こらなかった。



604 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 11:30:58.92 LL4R0Hopo 334/671

マオ「………!?」

魔法使い「……どうしたの?」

マオ「……魔法が発動しない!」

魔法使い「……え?」

マオ「……ちっ! 暗黒爆発魔法!」



しかし何も起こらなかった。



魔法使い「……私もやってみる」

魔法使い「……爆発魔法上級、イオナズン」



しかし何も起こらなかった。




605 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 11:34:04.92 LL4R0Hopo 335/671

魔法使い「……魔法が使えないなんて」

マオ「厄介な場所に閉じ込めてくれたものだ」

魔法使い「……どうしよう」

マオ「力でこじ開けるのは簡単だが、この建物が崩れる可能性があるからな、これは最終手段だ」

マオ「……もう少し探索してみるしかないだろう」

魔法使い「……うん……分かった」

魔法使い「奥の方にいったらなにかあるかな」

マオ「いってみよう」

606 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 11:37:58.50 LL4R0Hopo 336/671

………………………………


マオ「これは」

魔法使い「……宝箱」

マオ「開けてみるか」

魔法使い「………黄金の、爪?」

マオ「……爪だな」




ガゴォン



魔法使い「……! マオ今のって」

マオ「何かが開く音がしたな。 これが答えか」

魔法使い「……よかった。 この爪綺麗だなぁ」

マオ「つけてみたらどうだ?」

魔法使い「……うん」カチャッ

魔法使い「わぁ……綺麗」

マオ「……そうだな」

607 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 11:40:28.84 LL4R0Hopo 337/671

マオ「じゃあ音のした方へ行くぞ」

魔法使い「……うん」

魔法使い「……出られるんだね、よかった」

マオ「………待て」

魔法使い「………うん?」




ヴァーーーー………

アァァーーー………



マオ「……魔物だ」

魔法使い「……なにこれ、地面から魔物がどんどん出てくる」

マオ「死体の魔物か。 趣味が悪いな」

魔法使い「……骸骨もいる」

マオ「倒すぞ。 下がっていろ」

魔法使い「……うん」

608 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 11:43:23.33 LL4R0Hopo 338/671

マオ「はぁっ!!!」


ズバァァァァン



マオ「ふっ!!」


ズバァァァン


魔法使い「マオ! どんどん増えてる!」

マオ「ちっ倒しても沸いてくるな」

魔法使い「囲まれた!」

マオ「なんなんだこの魔物の多さは…… 規格外だぞ」

魔法使い「……逃げ場、ないよ……」

マオ「…………」

613 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 19:22:07.65 djoEQYHPo 339/671

マオ「走れ!!」


ズバァァァァン



魔法使い「……マオ、突っ込んでも囲まれちゃう」

マオ「囲まれる前に突破するしかないだろう」

マオ「出口まで最短距離で走り抜ける」




ヴァーーーーーーーーー


魔法使い「……ひっ…!」

マオ「よそ見をするな! 私の背中だけ見ていろ」

魔法使い「……うん!」

マオ「はあぁぁっ!!!」


スパンッ
スパンッ


魔法使い「……なんて早さなの。 本当にマオの強さは異常だ」

マオ「口を動かしていたら舌を噛むぞ!」

魔法使い「…………」

マオ「どけええええッ!!」

614 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 19:25:04.99 djoEQYHPo 340/671

戦士「だめだ、下へ行く道なんかねえよ……」

遊び人「むぅ……困ったのぅ」

戦士「あいつら大丈夫かな」

遊び人「脳筋バカがついておるからな。 そのうち地面から天井突き破って出てくるじゃろ」

戦士「あぁー……マオならやりそう」

遊び人「巻き込まれたら死亡確定じゃな」

戦士「こえぇ……あいつといないと違う意味でこえぇよ……」

615 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 19:26:40.84 djoEQYHPo 341/671

遊び人「あやつらなら自力でなんとかするじゃろうからわしらはピラミッドの上を目指すかの」

戦士「財宝探索だな」

遊び人「財宝… 金… スロットじゃああああ!!!!」

戦士「ほんとだめだなこの婆さん……」

遊び人「777じゃあああああ」

戦士「おい! 一人で行くなって! また魔法使いみたいに罠にかかっちまうぞ!」

616 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 19:31:35.92 djoEQYHPo 342/671

マオ「ちっ!! 数が多すぎる!!」

魔法使い「……人が通れる隙間もないよ」

魔法使い「……囲まれちゃう」

マオ「……えぇいめんどくさい」

マオ「舌を噛むなよ」ヒョイッ

魔法使い「……へ?」

マオ「ふんっ!!!」




ドゴオオオオオォォォォォォォォ!!!!


ヴァアアアアアアアアアアアア!!!



マオ「じゃあな死体ども」

魔法使い「……最初っからこうやってた方が早かった」

マオ「まぁそういうな。 ピラミッドを壊さないように天井だけぶち抜くのは難しいのだ」

魔法使い「……意味わからない」



617 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 19:33:44.93 djoEQYHPo 343/671

魔法使い「……ねぇ、財宝ってなんなのかな」

マオ「……知らない」

魔法使い「……マオは夢がない」

マオ「じゃあ魔法使いはなんだと思う?」

魔法使い「……お金」

マオ「魔法使いは現実的だな」

魔法使い「…………」

618 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 19:40:41.64 djoEQYHPo 344/671

魔法使い「……戦士たちいない」

マオ「おそらく上にいったんだろう。 私たちも上に向かうぞ」

魔法使い「……次は上からぶち抜く?」

マオ「そうだなそっちの方が早いかもな」

魔法使い「……え?」

マオ「いくぞ」

魔法使い「……ま、待って、冗談でしょ!」


マオ「しっかり掴まっていろ」ガシッ

魔法使い「……ありえない! マオのばか!」



ヒュゥゥゥゥゥゥン

619 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 19:43:47.70 djoEQYHPo 345/671

戦士「うーんどうしたもんかね」

遊び人「これはお手上げじゃな。 うんともすんとも言わんわい」

戦士「どうやったら開くんだこの門は」




ドォォォォォォォォン



戦士「っ!? なんだ!?」


シュタッ


マオ「ほらみろ、こっちの方が早いぞ」

魔法使い「…………ばか」

戦士「マオ!?」

遊び人「何をやっとるんじゃ」

マオ「地下に閉じ込められて出口がなくてな。 魔物に襲われていた」

魔法使い「……だから天井ぶち抜いてそのままぶち抜き続けてここまで来た」

魔法使い「……本当に最悪」

戦士「ありえねーダンジョンの意味ねえじゃん」

遊び人「遊び心がないのぅ」

マオ「……ふんっ、力こそ正義だ」

620 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 19:47:43.53 djoEQYHPo 346/671

マオ「で、何事だ」

戦士「あぁ、このドアが開かなくてよ」

遊び人「なにか開くための仕掛けがあるはずなんじゃが」

マオ「ふむ……」

戦士「わかんねー」

遊び人「一通り探索したのじゃがこのフロアにはそれらしきものがなくての」

戦士「なんか丸いボタンみたいなのがあったんだけど押してもなんもなんねえんだよ」

マオ「丸いボタン?」

遊び人「そうじゃ。 壁に取り付けられたボタンが東と西にそれぞれ2つずつあってな」

マオ「そうか」

戦士「………」

戦士「待てよ? 丸いボタンが東と西……」

遊び人「ん? どうしたのじゃ?」

戦士「なぁ! 街の子どもが歌をうたってたよな!」

621 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 19:50:00.55 djoEQYHPo 347/671

遊び人「あーあのわんぱく小僧たちか」

戦士「えっと……確か……まんまるボタンが……」

戦士「あーだめだ! 思い出せねえ!!」

遊び人「そこからが重要なんじゃろうが」

戦士「婆さんも聞いてたんだろうが! 思い出してくれよ」

遊び人「歳を取ると物忘れが激しくなるんじゃ!」

戦士「こういう時だけ老人面しやがって!!」

戦士「えぇっと……まんまるボタンが東と西……?」

戦士「だめだ覚えてねえよ!」


622 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 19:53:11.50 djoEQYHPo 348/671

マオ「ふむめんどくさいな」

魔法使い「……マオ? だめだよ」

マオ「ぶち抜けばいいんだろう」

魔法使い「だめ!」

マオ「せいやぁっ!!」シュンッ


ドゴォォォォォォォォン!!!!



マオ「…………」

戦士「まじかよ! マオの攻撃で無傷だと?」

遊び人「頑丈じゃなー。 防御魔法でも施された門なのかもしれんな」

魔法使い「マオ、諦めよ? 壊してばかりじゃご先祖様に怒られちゃうよ」

マオ「…………」

マオ「ふはははは! 私に本気を出させようとはいい度胸だな門よ」

魔法使い「……マオ」

マオ「ぶち抜いてみせるぞ! お前を!!」


魔法使い「……はぁ」

戦士「なんか変なスイッチはいっちゃったな」

遊び人「やはり脳筋じゃな」

魔法使い「……天井を貫いてからハマってしまったみたい」

623 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 19:57:00.16 djoEQYHPo 349/671

マオ「道を開けろ」

マオ「……はああぁぁぁあぁっ!!!」

戦士「武器じゃなくて拳!?」



ドゴォォォォォォォオオオオオオオオオオ

バゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ




戦士「うわあああああああ!!」

遊び人「あほが!! やりすぎじゃ!!!」

魔法使い「……まずい!」

戦士「やばい! 崩れちまうぞ!?」

遊び人「財宝は!?」

マオ「あったぞ!!」

戦士「でかしたぜマオ!」

魔法使い「……脱出魔法、リレミト!!」




ヒュンッ




624 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 20:12:27.08 djoEQYHPo 350/671

戦士「あーあ」

魔法使い「………どうしよう」

マオ「……まさか跡形もなく崩れるとは」

遊び人「あぁー……わしの財宝が…… スロットがぁ……」

戦士「諦めろよ婆さん…… 全部こいつが悪い」

遊び人「若造……末代まで呪ってやるわ」

魔法使い「……お墓にいたご先祖様、おうちを壊してごめんなさい」

戦士「ごめんなさいで済む問題かこれ」

魔法使い「……マオもごめんなさいして」

マオ「…………」

魔法使い「……ごめんなさい」グイッ

マオ「……街に戻ろう」

マオ「そしてさっさと逃げよう」

戦士「そうしよう!」

遊び人「全くどうしようもない旅じゃな!」

628 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 20:17:20.92 djoEQYHPo 351/671

……………………………………

~イシス~


マオ「財宝をお持ちしました女王」

女王「誠か!? して、みせてみよ!!」

マオ「ピラミッドにあったものはこの2点です」

マオ「まずはこのカギがピラミッドの上層にありました」

女王「鍵とな?」

マオ「はい、用途は不明です」

マオ「もう1点はこちらです」

女王「なんと!? 黄金に光る爪か!」

マオ「はい。 これはピラミッドの出口のない地下層の奥深くで眠っておりました。 これを入手した途端に魔物が多くわいてくるなどのトラップもあったことからこちらが真の財宝かと」

女王「よくやってくれたな冒険者たちよ! カギは戦利品だくれてやる」

女王「その黄金の爪はもらうぞ! 美しい童にぴったりじゃ!」

女王「たしかおぬしらは次の街へ行きたいのじゃったな。 ではこれを持って行け。 さすれば道をあけてくれるだろう」

マオ「はっ! ありがとうございます」

女王「では行け。 達者でな」

マオ「失礼いたします」

629 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 20:20:40.07 djoEQYHPo 352/671

マオ「……明日の朝まで休んでから逃げるぞ」

遊び人「出発ではなく逃げるっていうところがミソじゃな」

戦士「今すぐにでも逃げ出さないと気が気じゃねえけどな」

魔法使い「……呪われたらどうしよう」

マオ「休まねば身体ももたないだろう」

遊び人「そうじゃな。 スロットを回さねば疲れもとれんわい」

戦士「本当に婆さんスロットしか頭にねえんだな!」

630 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 20:26:20.87 djoEQYHPo 353/671

マオ「私は少し出かけるぞ」

戦士「こんな遅くにかよ?」

マオ「あぁちょっと野暮用だ。 いってくる」

魔法使い「……いってらっしゃい」


戦士「こんな遅くになんだろうな」

遊び人「野暮なことを聞くのおう? この街の夜を知らんのか?」

魔法使い「……どういうこと?」

遊び人「気づかなかったか? この街には娼婦がたくさんおるわい。 この街の夜に男1人で出歩くといったらやることはひとつじゃ」

戦士「ヤるってか」

遊び人「そういうことじゃろう?」

魔法使い「……だ、だめ!」

遊び人「まぁまぁ! ちょっと後をつけてみようじゃないか」

戦士「おもしろそうだな!」

魔法使い「……そんなことしたら……だめ」

遊び人「なんじゃ? マオが気にならんのか?」

戦士「他の女抱いてるかもしれないんだぜ? 許せないだろ?」

魔法使い「………!!」

631 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 20:30:29.66 djoEQYHPo 354/671

マオ「…………」


戦士「へへっどこいくんだろうな」

遊び人「街の中心に向かっているぞ! これは本当にあるかもしれんな!!」

魔法使い「……マオ……だめだよ……」ウル

戦士「泣くなって! まだ決まったわけじゃねえんだからさ」

遊び人「お! さっそく女が近づいて行ったぞ!」

戦士「まぁ顔は悪くないしなあいつ」




「ねぇお兄さん、今夜どう?」

マオ「…………」

「無視するの? つれないんだから~…… 私、さみしいな~?」ムニュ



戦士「おぉっ! 腕に抱き付いてるぞあの女」

遊び人「巨乳じゃのう。 これにはマオのあそこも無視できんか」

戦士「やかましいわエロババア」

魔法使い「……!」



マオ「邪魔だ」スッ

「んも~…… また来てね? 待ってるから」




戦士「おぉっ! 撒いたぞ!」

魔法使い「……マオ」

遊び人「なかなかやるではないか若造のくせに」


632 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 20:33:13.12 djoEQYHPo 355/671

「ねぇお兄さん、ぱふぱふしてかない?」

マオ「……なんだそれは」

「ふふ、気持ちいいことよ~ 女の子のあそこで、むにゅむにゅってするの」



戦士「うひゃー! 谷間すげー!」

遊び人「あれはエロいのぅ…… わしが男だったらもう挿れてるわい」

戦士「達人かよ」

魔法使い「……マオなら平気」




マオ「興味ない、どけ」

「んも~ なんなのよ~」



魔法使い「……マオの女は私だけ」

戦士「うわぁ……」

遊び人「なかなか嫉妬深いんじゃな」

633 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 20:35:05.33 djoEQYHPo 356/671

マオ「…………」


戦士「街のはずれ? どこいくんだよ」

遊び人「そっちにはもうなにもないぞ」

魔法使い「…………」



マオ「やはり来ていたか魔物ども」



ヴァーーーーーーー………
ヴァアアアアーーーーー



戦士「なっ…魔物!?」

遊び人「しかも……なんという数じゃ! 100や200どころじゃないぞ…!」

魔法使い「……さっきの地下にいた魔物だ!」

634 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 20:38:05.28 djoEQYHPo 357/671

マオ「やはりお前たちはあの爪を取り返しにきたのだな」


ヴァーーーーーーーーーーーー


マオ「だが残念ながらそれは果たされない」

マオ「先ほどは魔法が使えずに遅れをとったが今回はそうはいかない」



ヴァーーーーーーー



マオ「そのまま地面の下で眠っていればよかったものを」

マオ「消えろ。 暗黒消滅魔法大」




ジワジワジワジワジワジワジワ



ヴァ、アアァァァ………



マオ「……ふん」



戦士「なんだ……今の魔法」

遊び人「あれだけいた魔物が一瞬で消滅したぞ……」

魔法使い「…………」

635 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 20:42:07.33 djoEQYHPo 358/671

………………………………


マオ「戻ったぞ」

魔法使い「……おかえり」

マオ「ババアとプチババアはどうした?」

魔法使い「……もう自分の部屋で寝てる」

マオ「そうか」

魔法使い「……私たちももう寝よ?」

マオ「そうだな、明日も早い」

魔法使い「……早く逃げないとだもんね、ふふ」

マオ「そうだな。 バレる前にとんずらかますとしよう」

魔法使い「…………ねぇマオ」

マオ「ん?」

魔法使い「……今なにしてたの?」

マオ「……正義の味方をしていた」

魔法使い「……ピラミッド壊す悪人が正義の味方って変な話」

マオ「……それもそうだな」

636 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/29 20:44:22.82 djoEQYHPo 359/671

魔法使い「……この街には娼婦がたくさん」

マオ「そうだな」

魔法使い「……マオが……そういうことするんじゃないかって不安だった」

マオ「私には魔法使いだけだぞ」ギュ

魔法使い「……安心」

マオ「……胸は大きくないがな」

魔法使い「……人が気にしてることそうやって言わなくていい」

マオ「……だが、美しいぞ」

魔法使い「……ばかマオ」

マオ「なぁ、ところでぱふぱふって知っているか?」

魔法使い「……え?」

マオ「1つお願いがあるのだが」

魔法使い「……やだ!」

646 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:15:50.89 VY2S+i+bo 360/671

…………………………

戦士「あぁ……ねみぃよまだ」

遊び人「文句は若造に言わんかい」

マオ「……女王からの手紙をもらったのだ。 文句はないだろう」

魔法使い「……大あり」

戦士「ピラミッド壊すくらいならその関所? だかなんだか分かんねえけどそれブッ壊した方が良かっただろう」

遊び人「確かに」

マオ「…………」

魔法使い「……若気の至り」


647 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:18:33.05 VY2S+i+bo 361/671

………………………………

~港の街・ポルトガ~


戦士「海だあああああ!!!」

遊び人「水着じゃああああ」

魔法使い「……塩くさい」

マオ「ベタベタする」

遊び人「なんじゃこいつらの引きこもり加減は」

戦士「海だぜ? テンションあがんねえのかよ」

魔法使い「……別に」

マオ「上がる要素がどこにある」

戦士「えぇ……」

648 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:22:48.40 VY2S+i+bo 362/671

戦士「なぁ! 海入るよな!」

遊び人「当たり前じゃ行くぞ!!」

魔法使い「……行く?」

マオ「……たまには羽を伸ばすのも悪くはないかもしれないが」

魔法使い「……焼けたくない」

戦士「なんだよー早く行こうぜ?」

遊び人「若造、魔法使いの水着姿は見たくないのか?」

マオ「……む」

戦士「透けような白い肌、煌めく銀髪」

遊び人「水に反射する太陽の光、そしてそれに負けないほどの輝く笑顔」

マオ「……いこう」

魔法使い「……!」

戦士「よし決まりだぜ!」

遊び人「魔法使いの水着を選んでやろう」

魔法使い「待って! 私水着を着るなんて一言も……」

戦士「いいからいいから! 任せなさい」

649 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:25:54.25 VY2S+i+bo 363/671

遊び人「ひょー人がたくさんおるのぅ」

戦士「そりゃもう暑い季節には海っしょ!」

魔法使い「……暑い」

戦士「そんな黒のなげぇワンピース着てるからだって!」

魔法使い「……これが魔法使いの正装」

遊び人「ま、今から水着を着るんじゃ、涼しいぞぉ」

戦士「……マオに自分の身体を見せつけてやれよ」ボソッ

魔法使い「………むり///」

遊び人「なにがそんなに嫌なんじゃ。 わしもあと50若ければのぅ」

魔法使い「……戦士みたいにスタイルよくない」

戦士「大丈夫だって! 私が魔法使いに似合うかわいい水着選んであげるからさ!」

魔法使い「………おねがいします」

戦士「任せろ」

戦士「ってわけでマオ、お金プリーズ」

マオ「……私が払うのか」


650 : マオ「……俺が払うのか」× 「私が払うのか」○ ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:29:03.11 VY2S+i+bo 364/671

戦士「これとかいいんじゃない!?」

魔法使い「……派手すぎる」

戦士「えぇーそうか? 着てみなよ」

魔法使い「……やだ。 恥ずかしい」

戦士「じゃーこれ?」

遊び人「それは地味すぎんかのぅ?」

魔法使い「………素材が悪いから水着が映えない」

戦士「んなことねえよ! 魔法使いは上玉だぜ? 確かに胸はそこまで大きくねえけどそんなの関係ねえって」

魔法使い「……そうかな」

戦士「そうだよ」

遊び人「これはどうじゃ?」

戦士「婆さんそれ学校で着る奴だろ!?」

魔法使い「………やだ」

遊び人「わかっとらんな、世の中の男はこれが好きなんじゃぞ?」

戦士「知らねえよ!」

651 : マオ「……俺が払うのか」× 「私が払うのか」○ ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:32:25.10 VY2S+i+bo 365/671

戦士「おっまたー!」

魔法使い「……おまたせ」

遊び人「おまたーってそれなんか卑猥じゃのぅ」

マオ「……遅い」

戦士「わりぃわりぃ。 みんなが気にいるもの探すのって結構大変なんだぞ?」

魔法使い「……私はこれ恥ずかしい」

遊び人「なにを言ってるんじゃ、かわいかったではないか」

戦士「ま、期待してろよ。 愛しのハニーが可愛く変身すっから」

マオ「……そうか」

魔法使い「……そんな期待しないで///」


戦士「おーしじゃあ着替えるぞー!」ブンブン

遊び人「剣を振りまわすな! 危ないじゃろうが!」

マオ「じゃあ着替えたらまたここに集合な」

魔法使い「……うん」

653 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:35:00.81 VY2S+i+bo 366/671


……………………………………
~海~


戦士「よ! 着替えてきたぜ!」

戦士「どうよー私の水着」

マオ「……意外とシンプルだな」

戦士「そりゃ、まぁ? 私の身体が最高だからな」

マオ「……意味が分からん」

戦士「なんだよーもっと見てもいいんだぜ? ほら、おっぱい大きいだろ?」

マオ「……そうだな」

戦士「へへ、照れてるぜこいつー!」

遊び人「痴女か!」

655 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:38:49.40 VY2S+i+bo 367/671


魔法使い「…………」

戦士「出てこいよ魔法使い」

遊び人「自信もたんかい。 わしが変わってほしいくらいじゃ」

戦士「婆さんのその水着もなかなか衝撃的だけどな」

魔法使い「……戦士みたいに綺麗じゃない」

戦士「平気だって。 なぁマオ」

マオ「……そうだな。 早く見てみたいぞ」

魔法使い「う~~……」

戦士「いいから、ほら!」グイッ

魔法使い「……わっ!」

魔法使い「……えっと……」

魔法使い「……どう、かな///」カァ

マオ「お、おぅ……かわいいぞ」

戦士「……童貞か!!」ゲシッ
遊び人「気の利いた一言も言えんのか!!」ゲシッ

魔法使い「……///」

656 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:43:53.03 VY2S+i+bo 368/671

戦士「でもさ、お世辞抜きで可愛いだろ?」

マオ「……あぁ、よく似合ってる」

遊び人「ババア'sコーディネートじゃ」

戦士「こいつ遊び人だけあってセンスいいんだよな悔しいけど」

遊び人「肌が白いからの、暖色系が似合うと思ってあわめのピンクにしてみたわい。 王道の悩殺カラーじゃな」

遊び人「胸が大きくないがそれを盛って大きく見せるより、清楚な雰囲気を残すために胸元にワンポイントのフリルがあるものにしたことで決して小さく見せないようにしてみたぞぃ」

遊び人「水着はやや子供っぽいデザインではあるがな、魔法使いが元々綺麗じゃからあまり子供っぽく思わせずエロくもなく、なかなかいい感じじゃろう?」

魔法使い「……恥ずかしいよおばあちゃん……」

遊び人「さらに綺麗な銀髪に花飾りをつけることで夏っぽさをさらに演出じゃ」

遊び人「どうじゃ? 若造」

戦士「おっ勃っちまったか?」

マオ「……あぁ、かわいいぞ本当に」

魔法使い「……ありがと///」プイッ

657 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:48:17.66 VY2S+i+bo 369/671

戦士「ていうかマオも結構いい体してんじゃねえか」

遊び人「シックスパックじゃな!」ゲシッ

マオ「……腹を殴るな」

魔法使い「………胸がある」

マオ「胸筋だ、動かせるんだぞ」


ウニョウニョウニョ


戦士「うわぁ! やべぇ超うける」

遊び人「キモい! キモすごいぞ!!」

魔法使い「……すごい」


戦士「まぁそりゃあんだけ動けるんだからバキバキだよな」ゲシゲシ

遊び人「こやつ毛があまり生えておらんのぅ。 男らしくないわい」

戦士「えー毛はいらなくね?」

遊び人「あった方がワイルドじゃろうが」

戦士「でもさー…… ねぇそこらへん魔法使い的にはどうなの?」

遊び人「ワイルドなモジャモジャがええよな!?」

魔法使い「……うーん……マオはマオのままがいい」

戦士「うわー見せつけてくれるねぇ」

遊び人「……白けるのぅ」

658 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:51:54.54 VY2S+i+bo 370/671

戦士「なぁ筋肉マン。 片腕で私ら持ち上げられる?」

遊び人「おっ! やってみたいのぅそれ」

マオ「やってみるか」

魔法使い「……無理でしょう」

戦士「婆さんが重いからな」

遊び人「なにを言うとるんじゃ。 わしは50キロないぞ」

戦士「はぁ? 私だってねえよ」

魔法使い「……私も」

遊び人「嘘じゃろ!?!?」


マオ「じゃあ腕に掴まれ」

戦士「よっ」

魔法使い「………んしょ」

遊び人「よしいけ」

マオ「ほいっ」ヒョイ

戦士「うおぉ! すげぇ!」

魔法使い「……浮いた!」

マオ「……あー重い。 婆さんのせいで」

遊び人「やめんか傷つくじゃろ!?」

659 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:55:55.13 VY2S+i+bo 371/671

魔法使い「……つめたい」

戦士「うおぉぉぉぉ海つめてえええ」

遊び人「早く全身浸かったほうが楽になるぞ」

戦士「おりゃ」バシャッ

魔法使い「つめたい! もー戦士のばか」バシャッ

戦士「やりやがったな! おらおらおら」バシャバシャバシャ

魔法使い「………やめて、つめたいから! あははは」


遊び人「いいなぁ、って思ってるんじゃろスケベ」

マオ「……ふん」

660 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 13:58:58.45 VY2S+i+bo 372/671

魔法使い「……浮き輪で浮いてるのが最高」

マオ「……だな」

魔法使い「……ぷかぷかー」

魔法使い「……ふわふわー」

魔法使い「……眠くなっちゃうね」

マオ「そうだな、でも寝たら溺れるぞ」

魔法使い「……む。 じゃあ眠気を覚ますことして」

マオ「任せろ」


マオ「脚力倍加魔法、ピオリム」


マオ「いくぞ」


ドバババババババババババババババババ!!!!


魔法使い「すごいスピード! あははは」




戦士「なにやってんだあいつら」

遊び人「海が爆発してるみたいじゃな」

664 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 16:24:30.09 VY2S+i+bo 373/671

………………
…………
……

~ポルトガ城~


国王「船がほしいとな?」

国王「そこで、港町である我が国に来た、と」

国王「まぁ船はやれんこともないがな。 なにしろ値が張るものだおいそれとやれるものではない」

国王「そこでだ、大陸を挟んだバハラタという街から黒胡椒を持ってくることが出来ればそなたたちを真の冒険者と認め船を渡そうではないか」


665 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 16:28:21.01 VY2S+i+bo 374/671

マオ「そのバハラタに行くって言ってるだろ!」

遊び人「まぁ良いではないかあと1日ここにいるくらい」

戦士「泳ぎ足りねえよ」

魔法使い「………」コクコク

マオ「……昨日散々泳いだだろうが」

戦士「ばっかお前海辺で飲む酒は最高だぞ?」

遊び人「水着美女とイケメンを肴に一杯……」

戦・遊「かぁぁぁー!! 最高だね!!」

マオ「……ダメだ」

戦士「まーだそんなこといってんのかよ」

遊び人「水着の魔法使いを見ながら酒が飲めるんじゃぞ」

魔法使い「……!?」

マオ「………」

戦士「魔法使いがちょっと酒を飲んで酔っ払ってさー」

遊び人「ちょっと赤みがかった顔で…… うひょひょひょひょ」

マオ「きもちわるい笑い方はやめろ!」

魔法使い「……えっと」

魔法使い「……今日だけはゆっくり、したいな?」

666 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 16:30:44.47 VY2S+i+bo 375/671

戦士「いやーちょろいっすねマオさん!」

遊び人「男なんてこんなもんじゃ。 ふぉっふぉっふぉ」

魔法使い「……ねぇマオ、砂のお城つくろ?」

戦士「やることが可愛いよな魔法使いって。 あざとい」

遊び人「あざとくても許せるっていうところは反則じゃな。 思わず男なら息子がもっこりじゃ」

戦士「婆さん酔うのはえぇよ痴女化しすぎなんだよ」


魔法使い「ねぇ、マオお城」クイクイ

マオ「あぁ、わかった」

667 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 16:34:08.19 VY2S+i+bo 376/671

魔法使い「おぉ……」

戦士「すげー完成度だなおい」

遊び人「凝り過ぎじゃ! どんだけ器用なんじゃ!?」


マオ(つい魔王城を作ってしまった)


魔法使い「……禍々しい」

戦士「なんつぅか黒い雲がかかってて空に魔物が飛んでそうだな」

遊び人「それ完璧に魔王城入ってるじゃろ」

マオ「……魔王城はきっともっと禍々しいんじゃないか?」

戦士「あぁーそうだよな魔王が住んでるところだもんな」

魔法使い「……こんな地味じゃないはず」

遊び人「我々の想像もつかないような外見なのかもしれぬ」


マオ(魔王城に着いたらガッカリされそうだ……)


668 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 16:39:04.46 VY2S+i+bo 377/671

戦士「やっぱビールだぜぇ最高だな」

遊び人「ふぉっふぉっふぉ。 ババアになっても酒はやめられんわい」

魔法使い「……ふわふわ」

戦士「一口飲んだだけじゃねえか」

魔法使い「………前に飲んだやつより強かった」

マオ「大丈夫か? 水飲むか」

魔法使い「……いらない」

戦士「じゃあもっと飲め飲めー!」

魔法使い「……や」

戦士「なんだとー? 私の酒が飲めねえのか!」

遊び人「お前も酔うとたいがいめんどくさいの」

戦士「私は酔ってねー!!」

魔法使い「……って酔っ払いはみんな言う」

669 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 16:41:50.43 VY2S+i+bo 378/671

魔法使い「……んーー」ノビー

魔法使い「……ふぁ」ホッ

マオ「…………」

戦士「見蕩れてんじゃねえよ」ペシ

マオ「……うるさい」

魔法使い「……マオ、海はいろ」

マオ「酔ってて入ったら危ないぞ」

魔法使い「浮き輪で浮いてるだけだから。 よいしょ」フワ

魔法使い「……あ」クラッ


ガシッ


マオ「……言わんこっちゃない」

魔法使い「……えへへ、ごめんなさい///」

マオ「…………」


戦士「童貞やられたー今ので心撃ち抜かれたー」

遊び人「魔法使いが酔うと最強じゃな。 エロすぎるわ」

マオ「……うるせぇぞお前ら」


676 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 18:44:36.75 VY2S+i+bo 379/671

マオ「あー……疲れた」

魔法使い「……いっぱい遊んだね」

マオ「もっぱら飲んでたけどな」

魔法使い「……マオは飲みすぎ」

マオ「魔法使いは飲めなすぎだ」

魔法使い「……うーん飲めないとだめ?」

マオ「どっちでもいいんじゃないか? 無理して飲むものじゃないだろ」

魔法使い「……でもマオが飲むなら付き合って飲めるようになりたい」

マオ「じゃあ少しずつ慣らしていくか」

魔法使い「……うん」


677 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 18:47:34.85 VY2S+i+bo 380/671

魔法使い「……肩が痛い」

マオ「日焼けか」

魔法使い「……真っ赤になってる」

マオ「明日当たり皮がむけるな」

魔法使い「……お風呂入るのが痛そう」

マオ「そうだな。 シャワーで冷やすといいぞ」

魔法使い「……寒いのやだな」

マオ「我儘を言うな。 氷結魔法を当てるぞ」

魔法使い「……それは痛すぎる」

マオ「じゃあ大人しくシャワーで冷やすんだな」

魔法使い「……むー」

魔法使い「……あ、じゃあマオも一緒に入って」

マオ「なんで」

魔法使い「……そしたら頑張って冷やす」

マオ「………」

魔法使い「……一緒に入りたいな?」

マオ「分かった、分かったから」

魔法使い「……やた!」

678 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 18:50:05.41 VY2S+i+bo 381/671

……………………………………

マオ「ほら、肩出せ」ジャーー

魔法使い「ひっ! 冷たいよ!」

マオ「我慢しろ」

魔法使い「いやー…… マオも道連れ」ギュ

マオ「………」

魔法使い「……冷たくないの?」

マオ「……いや、冷たいぞ」

魔法使い「………んー?」

マオ「……当たってるんだ、その……胸が」

魔法使い「……あ」

魔法使い「んふふーマオおっぱい好きだね」

マオ「……ふん」

魔法使い「……じゃあ、これで洗ってあげるね?」

679 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 18:54:25.24 VY2S+i+bo 382/671

魔法使い「……いいお湯でした」

マオ「……はぁ」

魔法使い「……のぼせちゃった?」

マオ「いや、大丈夫だ。 まさか風呂でこうなろうとは」

魔法使い「……マオがしてほしそうな顔してたんじゃん」

マオ「嘘つけ」

魔法使い「……ふーんじゃあもうしない」

マオ「……なぜそうなる」グイッ

魔法使い「やだー! マオお酒くさいから来ないで!」

マオ「……はぁーー」

魔法使い「やめてって言ってるでしょ」ベシッ

マオ「待て、なぜ逃げる」ギュッ

魔法使い「離して、化粧水塗るのー!」



魔法使い「……日焼けしたところに塗るといいんだって戦士が言ってた」

マオ「ふーん」

魔法使い「……んしょっ!」

マオ「背中塗れないのか?」

魔法使い「……うん。 マオ塗って?」

マオ「分かった」

魔法使い「……変なとこ触ったらぶつよ」

マオ「変なとことはどこだ?」

魔法使い「……分かってるくせに」

680 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 18:58:26.46 VY2S+i+bo 383/671

魔法使い「……おやすみ」

マオ「もう寝るのか」

魔法使い「……疲れてないの?」

マオ「疲れてないな」

魔法使い「……私はもう眠い」

マオ「私は眠くない」

魔法使い「……もうしないよ」

マオ「なぜだ」

魔法使い「……さっきしたじゃん」

マオ「足りぬ」

魔法使い「……お猿さん」

マオ「目覚めよ、ザメハ」

魔法使い「わっ! ひどいようとうとしてたのに」

魔法使い「……一緒に寝よ? ラリホー」

マオ「……効かんな」

魔法使い「……もーなんでマオはいつもそんなに魔法耐性高いの!?」

マオ「さぁな? 観念しろ」

魔法使い「……分かったよ」

魔法使い「……今日は優しくして? 気絶するまでとかやだよ…?」

686 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 19:20:17.93 VY2S+i+bo 384/671


………………………………

~バハラタへ向かう道中~



遊び人「バハラタとはどのような街なのじゃろうな」

戦士「さぁなー黒胡椒てのが売ってる街なんだろ?」

魔法使い「……粉っぽい街」

マオ「くしゃみが止まらなそうだな」

戦士「で、その街まであとどれくらいなわけ?」

マオ「あの山を越えなければならないそうだ」

戦士「……は?」

遊び人「……デカすぎるわぃ」

マオ「行くぞ」

戦士「おいマジかよ…… あんな山登んのかよ」

マオ「魔物も数多く出るそうだ」

魔法使い「……だからポルトガからバハラタへは行けないのね」

遊び人「それで黒胡椒が貴重だと」

戦士「このお使いめんどくさすぎだろ! 海に戻りてえええええ」

687 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 19:23:06.11 VY2S+i+bo 385/671

遊び人「ほいっ、ほいっ、ほいっと」

戦士「なんで……婆さんが……一番……元気なんだよ!」

魔法使い「……もう歩けない……疲れた……」

遊び人「情けないのぅそれでも若者か!」

マオ「ババアが元気すぎるんだ。 大丈夫か魔法使い」

魔法使い「……ありがと……でも少し休みたい」

戦士「賛成だぜ……こんな状況で歩いても効率が悪いだけだ」

マオ「そういうことだババア」

遊び人「ババア言うな糞ガキ」

688 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 19:27:59.39 VY2S+i+bo 386/671

戦士「よっこらせっと」

戦士「あー……まだ頂上までだいぶあるなぁ」

魔法使い「……空でも飛びたい」

戦士「最高だねそれ」

遊び人「地べたを這いつくばって旅するのがいいんじゃろうが」

戦士「わけえよ婆さん本当は歳誤魔化してんだろ」

遊び人「ふぉっふぉ。 まだまだ若いもんに負けないってことじゃな」

マオ「だったら貴様も少しは戦闘に参加したらどうだ」ジャギッ

遊び人「そんな怖い顔で鎌を突き立てるな……危ないじゃろうが」

689 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 19:34:19.72 VY2S+i+bo 387/671


…………………………

魔法使い「……ねぇ、あれ」

戦士「人が倒れてる!」

遊び人「なんじゃと!? こんなところでか?」

マオ「…行くぞ」


マオ「大丈夫ですか? 目を開けて」

青年「あぁ……あなた方は…?」

マオ「旅の者です。 どうしたんですか」

青年「はっ! そうだ! タニアは!?」

戦士「待て、落ちつけよ」

青年「あぁ……すいません」

青年「僕はグプタ。 バハラタで胡椒屋をやっています」

グプタ「恋人のタニアとポルトガへ行った帰りに盗賊に襲われまして…… タニアを……連れ去られてしまったんです」

グプタ「お願いします! タニアを助けてください!!」

戦士「へっ任せな兄ちゃん」

遊び人「恋人の仲を引き裂くとは…… 電気あんまの刑じゃな」

マオ「任せてください。 そこでもしタニアさんを無事に解放することが出来たら私たちに胡椒を譲っていただけませんか?」

グプタ「胡椒ですか?」

マオ「えぇ。 実は私たちは黒胡椒を求めて旅をしている途中でしてね」

グプタ「そうでしたか! それなら是非! タニアをお願いします!!」

マオ「任せてください」

690 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/08/30 19:42:17.21 VY2S+i+bo 388/671

マオ「問題は盗賊たちがどこへ行ったかだな」

グプタ「それについては心当たりがあります」

戦士「マジかよ話がはええじゃん」

グプタ「バハラタとポルトガの中間の山のふもとに実は盗賊のアジトがあるそうなんです。 バハラタからポルトガのその重要な道を盗賊が陣取っているせいでなかなか2国の間で貿易がうまく行かなくて……」

遊び人「なるほど、うまい位置にいることで無謀にもそこを通ろうとした人を攫いやすくするということか」

グプタ「えぇ。 バハラタでは有名なんです」

マオ「よし、ではアジトに攻め入るぞ」

戦士「おっしゃあ! 腕が鳴るぜ」

魔法使い「……人攫いなんて許せない」

遊び人「これはやっぱり電気あんまの刑じゃな」

700 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 17:46:25.54 ZhMNzKwto 389/671

遊び人「アジトっていうからなにかと思ったら家か」

戦士「いや婆さんよく考えてみろよ。 こんな辺鄙なところに家が一軒あるってだいぶ怪しいぜ?」

魔法使い「……しかも豪邸」

遊び人「……許せんのぅ」

戦士「婆さんのキレポイントわかんねえよ……」

遊び人「とりあえず突撃じゃ! 豪邸に住む悪党を懲らしめるぞ!」

戦士「ちげぇだろ!」

魔法使い「……私たちは人助けにきたはず」

遊び人「おぉそうじゃったわい」

マオ「ババア少し黙っとけ」


グプタ「みなさん……! タニアをお願いします!!」

魔法使い「……任せて」

戦士「大船に乗ったつもりでいな兄ちゃん!」

701 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 17:49:37.01 ZhMNzKwto 390/671

遊び人「お邪魔しまー…… ッ!?」

戦士「婆さん一人で突っ込むとかアホか!?」

魔法使い「………お前は…!」



勇者「あら、こんばんは戦士ちゃん♪ うふふ……」


703 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 17:56:24.93 ZhMNzKwto 391/671

盗賊「てめぇッ! 俺たちに何の恨みがあるんだってんだ!!」

勇者「んもーうるさいなぁその口。 大声出しちゃ、めっ」


ぐさっ!!


盗賊「ごぼっ…!?  ぁ………ぁ………」


勇者「あ、いけないちょっと口を塞ぐつもりが壁に串刺しにしちゃったー剣が折れちゃう」

勇者「いよっ…っと」


ゴリッ

シュンッ


勇者「うーんちょっと頭を足で抑えて剣を抜こうとしただけなのに頭粉々になっちゃったなぁ」

勇者「種食べすぎても問題だなーいきなりこんな力強くなっちゃうなんて」


戦士「勇者……! お前……なにやってんだ!」

勇者「んー? なんでもないよー?」

盗賊B「なんでもないのになんで俺らを殺すんだよ! 俺らが何をしたっていうんだ!!」

勇者「だからうるさいってば」


ひゅッ!!



勇者「次何か喋ったら身長が半分になっちゃうよ?」

盗賊B「ひっ!?」

勇者「あーぁ……喋っちゃった」



ザシュッ!!!



勇者「んもーうるさいって言ってるのになーなんで分かんないのかな?」

戦士「………狂ってやがる」

勇者「んふふ♪」

704 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:01:38.03 ZhMNzKwto 392/671

ガンダタ「てめぇか俺の手下どもをヤってくれたってやつは」

勇者「んー? なんのことかなーよくわからないなー」

ガンダタ「とぼけんじゃねえよ。 ナジミんとこの塔で散々痛ぶってくれたようじゃねえか」

勇者「あーあの時の盗賊さんたちかー。 君たちなんだねー弱すぎて気付かなかったよ」

ガンダタ「いい度胸だ姉ちゃん。 俺にそこまで舐めた態度取ってくれるたぁ大した度胸だよ」

勇者「よく喋る人だなぁ。 殺しの最中に喋っていいのは強い人だけなんだよ?」

ガンダタ「安心しろここで一番つえぇのは俺だ」

勇者「あはははそっかそっか。 うんうん筋肉モリモリですごそうだもんね!」



マオ(一番強いのは私だが)

魔法使い(マオ今一番強いのは自分って思ってそう)

705 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:07:23.77 ZhMNzKwto 393/671

勇者「あ、ねぇねぇ盗賊さん」

勇者「私ね、ここにすっごいお宝が隠されてるって聞いてきたんだけどさぁそれってどこにあるの?」

ガンダタ「知らねえな。 知りたきゃ


カンダタ「……かッ! ………カヒュー…………ヒュー………」

勇者「ん? 知りたきゃなに?」

カンダタ「………ヒュー………ヒュー…………」

勇者「ぜーんぜん分かんないよ! もーちゃんと教えてから死んでよね」

勇者「一撃で死んじゃうなんて思わなかったよ……もうがっかりあーテンション最悪」

戦士「お、おい勇者!!」

勇者「なぁに戦士ちゃん。 私もう漁ったら帰るよ。 もー本当にありえないつまんない……」スタスタ


戦士「お、おい」

遊び人「やめるんじゃ戦士! 刺激するな!」

戦士「だけど!」

遊び人「だけどなんじゃ!? お前は今一瞬でもあやつの動きが見えたのか!?」

遊び人「下手に刺激してみろ! 殺されるぞ!!」

戦士「………ちっ」

マオ「…………」

706 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:09:16.75 ZhMNzKwto 394/671

グプタ「待ってください! タニアは!?」

魔法使い「……ここにはいないならきっと奥にいる」

グプタ「タニア!!」ダッ

遊び人「待つんじゃグプタ!!」

戦士「一人で行かせたらそれこそ勇者に殺されちまうぞ!」

遊び人「ええいどいつもこいつも!! 追いかけるぞ!!」

マオ「…………」

707 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:15:44.97 ZhMNzKwto 395/671

勇者「あったー! これだよね!? カギがかかった一番おっきい宝箱だもんね!」

勇者「カギなんて持ってないよもー…… ブッ壊しちゃえばいいか」

勇者「えいっ!」

勇者「あははは宝箱が上無くなっちゃった変な形」

勇者「ん? 中身は……剣?」

勇者「ふむふむ……なかなかかっこいい形だねぇこれ」

勇者「気にいったよ! ありがとう盗賊さんたち!」

勇者「あー……なんかテンションあがってきちゃった」

勇者「らん♪ らららーん♪」


勇者「ん? なんか聞こえるな」


「………て…………………ぃ………………」


勇者「あっちの方かー」

勇者「んー人の声だねぇ……どうしよっかな」

勇者「この剣も試し切りしたいし人助けも悪くないし………」

勇者「きっと盗賊に閉じ込められちゃったんだねーかわいそうに」

勇者「よし、決めた!」

勇者「解放してあげてーそれから殺そう♪」

勇者「きっといい顔が見れるぞーきゃー楽しみ♪」

708 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:20:40.94 ZhMNzKwto 396/671

勇者「こんばんは♪」

タニア「……あなたは!?」

勇者「んー? 通りすがりの正義の味方だよー」

タニア「お願いします! ここから出してください!!」

勇者「いいけどなんでこんなところにお姉さんいるの」

タニア「恋人のグプタと一緒に

勇者「あーごめんやっぱりいい……どうでもいいや」

タニア「……は、はぁ」

勇者「じゃ、ちょっと離れててね? いくよ」

709 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:24:11.40 ZhMNzKwto 397/671


グプタ「タニアーーーーーー!!!」

勇者「ん?」

タニア「……グプタ……? グプタなの……?」

グプタ「タニア!」

タニア「グプタ!? どうしてここに!?」

グプタ「君が連れ去られて……もしかしたらと思ってここに来たんだ!!」

タニア「そんな……盗賊たちは!?」

グプタ「それが


勇者「あーそれなら私が皆殺しにしたよ♪」


タニア「……へ?」

勇者「みんなよわっちくってさー斬ってもなーんも楽しくないの」

勇者「腸やら脳みそやらぶちまけて汚いしさーもう最悪」

グプタ「………」

勇者「でも弱いくせにいいモン持ってたよー! 見てこの剣! かっこいいでしょ!」

グプタ「あんた……なにを……」

勇者「だからさーちょっと試し切りしたくなっちゃって!」

タニア「……! グプタ! 逃げてェ!!」

勇者「ちょっと殺させてよ、ね?」

710 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:31:26.29 ZhMNzKwto 398/671

勇者「あははは」

グプタ「……ッ!」

タニア「グプタぁー!!」



キンッ!!!



勇者「もー邪魔しないでよー」

戦士「ぐぅっ!!」

勇者「はぁ……そのまま潰れちゃえば」

戦士「重ェ…なんだこの力は」

勇者「あははー逃げないと肩壊れちゃうよ? まぁ力抜いて瞬間顔がふたつになっちゃうけどねー」ギリギリ

戦士あぁああぁぁ!! やれ! 魔法使い!!」


魔法使い「……メラゾーマ」



ゴオオォォォォォォンッ!!!


勇者「なになに? やるの? いいよぉー! 楽しそう!!」

勇者「ちょっとどいて」ゲシッ

戦士「がぁッ!?」


スパン


魔法使い「……!?」

711 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:39:39.74 ZhMNzKwto 399/671


勇者「あははは魔法まで斬れるようになっちゃったよ私」

遊び人「こっちじゃグプタ!」

グプタ「はい!!」

勇者「んー? なんでー逃げちゃうの? まぁ弱いやつには興味ないからいいんだけどさ」


魔法使い「……あなたの相手は私たち」

遊び人「そういうことじゃ! 睡眠魔法、ラリホー」


勇者「ん、眠くなるのは嫌だなぁ、えいっ」ブン

魔法使い「……剣を投げた?」

遊び人「くっ…! 危ないわっ!」


ガシッ


勇者「誰も投げた剣で殺すなんて言ってないよ?」

遊び人「しまった…!」


勇者「…ッ!?」


シュンッ



勇者「動かないでよー? 動いたら戦士ちゃんの心臓握り潰すよ?」


マオ「…………」


魔法使い「……マオ?」

712 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:44:41.64 ZhMNzKwto 400/671


勇者「あんたヤバい匂いがぷんぷんするよー! 一体何人殺してきたの?」

魔王「さぁな」

勇者「ねぇねぇ本当に君人間? もうさ、溢れてるよヤバさが! ヤバすぎるよーゾクゾクしちゃう!!」

魔王「お前を見ていると何故だか滾ってしまうのだ」

勇者「え、なに? 私で興奮しちゃった? いいよ? 私は君になら抱かれても全然いい!」

魔王「ふん、下品な女だ」

勇者「そんなこと言わないでよつれないなぁ。 君の圧倒的な強さでもう私……我慢出来ない……」

戦士「ぐぅっ……!! がっ……!!」

魔王「…………」


シュンッ


勇者「ひゃぁぁぁぁぁ!!!」


ブォン!!!


勇者「うわぁっ!!」

魔王「ふん、戦士は返してもらうぞ」

勇者「あっぶなぁ!! 何今の!? あんなの直撃したら蒸発しちゃうよ!」

714 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:48:48.89 ZhMNzKwto 401/671


勇者「君ほんとにすごいよーゾクゾクする!!」


カンッ!!


勇者「初めて私の攻撃についてこれる人だよ!!」


ガンガンガンガガンガンガンガン


勇者「うっそぉ! すっごーい!!」

魔王「…………」



ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ



魔王「邪魔だ」

魔王「暗黒束縛魔法」

勇者「はぁっ!!」


ザンッ


魔王「……私の魔法を斬り伏せるとは」

勇者「……ヤバかったよ今のは」



魔法使い「……なにが起きてるのかまったく分からない」

戦士「いててて………改めて思ったけどマオの動きやばすぎじゃね……あーいてて」

遊び人「あやつ……」

716 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:53:38.85 ZhMNzKwto 402/671

勇者「これならどう!?」

魔王「貴様の動きは直線的すぎるぞ?」


ガンッ
ゴッ


勇者「がぁッ!!?」

魔王「だからこうやって簡単に予測できない蹴りが入るのだ」

勇者「うぅー!! いったぁ………」

魔王「逃げるなよ、勇者」シュンッ


ガンッ!!!


勇者「うー……なんて馬鹿力」ギリギリ

魔王「お前が言うか?」

勇者「こっち……くんなっ!!」ガンッ


718 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 18:57:32.25 ZhMNzKwto 403/671

勇者「……ははは、楽しい」

魔王「そうかそれはよかった」

魔王「ならばこの戦いの中で死ぬが良い」

勇者「あははは! それもいいかもねぇ!!」


ガンッ!!


勇者「防御かたっ……」

魔王「暗黒火炎魔法」



ゴオォォォオオオオオオオオオオオ


勇者「やばいねこれ! 来たれ雷撃、ライデイン!!」


ゴオオオオオオオオオオオオオン!!!!






戦士「な、なぁ!? ここやばくないか!?」

遊び人「にげるぞおおおおおお」

721 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 19:03:00.33 ZhMNzKwto 404/671

魔王「…………!」


ブォン


勇者「ふんっ!!」



ガァンッ

ギリギリ


勇者「ねぇ、あんた名前は?」

魔王「名など聞いてどうする? お前はここで私に殺されるのだぞ」ガキンッ ブォン

勇者「ひぃっ!!」

勇者「あぶない! 早すぎだよ!!」


魔王「貴様に名乗る名などない」

勇者「あっそ。 でもなんとなく検討がつくよ」

魔王「ほう?」

勇者「私とあんたは惹かれあう運命だ」

魔王「言っている意味が分からんな」

勇者「私ね、君が近くにいるとき、意味が分からないほど胸がドキドキするんだ」

魔王「………」

勇者「異常だよこれは。 見えない力に引き寄せられてるような、言葉に出来ないなにかがあるんだ」

魔王「だからなんだ」

勇者「だーかーらー。 勇者が惹かれるものなんてひとつしかないでしょ?」

魔王「…………検討がつかんな」

勇者「あ、そ」

722 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 19:05:12.76 ZhMNzKwto 405/671

勇者「ま、君の正体なんてどうでもいいよ!!」


シュッ


勇者「戦って楽しければ誰だっていいよ!!」

魔王「……攻撃が直線的すぎると」

勇者「まだ思ってるの?」クイッ


シュッ


魔王「…………」

勇者「あははー! 初めて下がらせたよ」

魔王「…………」

勇者「ちょっとは見直してくれた?」

723 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 19:09:40.54 ZhMNzKwto 406/671


魔王「どうでもいい」

魔王「暗黒即死魔法」



「…………………」


勇者「なに……?」


「…………………」


勇者「なに……?」


「…………………」

勇者「なに? なに? なに? なに?」

「…………………」

「なになになになになになになになになになになになになになになに」

勇者「やめてええ!!! 入ってこないで!! 私の中に来ないでえええ!!!」

「ああああああああああああああああああああああああああああああ」

勇者「いやあああああ!!!!」

「あ」

「ああははははははははははははははははは」

勇者「やばい! やばいやばい!! 死ぬ!! 殺される!!」ガタガタガタ


勇者「転移!! ルーラ!!」

724 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 19:11:55.79 ZhMNzKwto 407/671

勇者「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

勇者「なによ……今の……」

魔王「気に入ったか?」

勇者「なっ……?」

魔王「転移魔法など小賢しいものをよく使えるものだ。 伊達に勇者ではないということか」

勇者「なんて……ここに……」

魔王「さぁ? 惹かれあうからだろう?」ニヤァ

勇者「…………!!」

725 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 19:16:02.83 ZhMNzKwto 408/671

勇者「くそおおおおお!!!!!」ブォォン

魔王「遅いな」


勇者「来るなぁ!! 来るなぁ!!」

魔王「なにをそんなに怯えているのだ」

勇者「ちぃ!!」

魔王「先ほどまでの洗練された動きはどこへいった? 隙だらけだぞ」ゲシッ

勇者「ごぁッ!?!?」


魔王「哀れな勇者よ」

勇者「が……はぁっ……!うっ……」

魔王「次は逃がさんぞ?」


魔王「暗黒即死魔法」

727 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 19:21:47.47 ZhMNzKwto 409/671

勇者「ああああああああああああああああ!!!!!!」

魔王「さぁ抵抗しろ。 気を抜けば一瞬で死ぬぞ?」

勇者「はぁっ!! はぁっ!! はぁっ!!」

魔王「くっくっく……いい表情を浮かべるではないか」

勇者「来るなぁッ!! 来るなああああ!!!!」


勇者「あぁぁ……ママ……」

魔王「うん?」

勇者「ママ……ママ……?」

魔王「なにをみているのだ」

勇者「ママ……ママ……ママを……ママを殺さないでぇ……」

魔王「…………」

勇者「いやああああああ!!!!」

勇者「ママ、ママ、ママ、ママ、ママ、ママ、ママ、ママ、ママ、ママ、」

勇者「ママママママママママママママママ」

勇者「ああああいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」

勇者「ぎぎぎぎぎぎいぎぎぎぎぎぎぎぎいぎいぎぎぐぐぐごっぎががぎぐげごごごごお」

魔王「滑稽なものだな。 あれほど狂ったように笑っていた奴がまだ狂えるとは」

勇者「あぁ……あ……あぁぁ………」

728 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 19:24:55.59 ZhMNzKwto 410/671

勇者「ぁ………ぁ………」

魔王「よく耐えているものだ。 常人なら一瞬で死ぬというのに」

勇者「はは……あははは…………あはは………」スッ

魔王「………ん?」

勇者「あはははははははは」

魔王「…………」

勇者「あははははっはははははははははは」カチャッ

魔王「…………」



ズブリッ



勇者「あ…………」

魔王「……………」



バタッ




729 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 19:27:43.01 ZhMNzKwto 411/671

魔王「やっと死んだか」

魔王「暗黒即死魔法とは名ばかりだな。 全く即死ではない」

魔王「暗黒即死魔法などという名前はやめよう」

魔王「今度からは……暗黒自殺魔法とするか」

魔王「んっ……くっ……」

魔王「くふ……くふふ」

魔王「くははははは!!」

魔王「ふはははははははは!!!」

魔王「……いかん……勇者に当てられてしまったか……ぐふ……」

魔王「みんなのところへ……戻らねば……」

魔王「ふっ……ふふ……ははは………」



………………………………………………

736 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 20:10:53.80 ZhMNzKwto 412/671


タニア「あぁ……グプタ……」

グプタ「タニア……」

タニア「愛しているわ」

グプタ「僕もだよ」



クルクルクルクル



戦士「なにやってんだこいつら」

魔法使い「……ラブラブ」

遊び人「お主たちも負けておらんから安心せい」

魔法使い「…………」キョロキョロ

戦士「なにきょろきょろしてんだよそんなにマオが心配か?」

魔法使い「……うん」

戦士「うわっ、のろけられた」

遊び人「それはそうじゃろうなんていったって相手はあの狂人勇者じゃ」

戦士「だよなぁ……」

魔法使い「……マオ」

遊び人「そんな湿気た面をするでないわ。 ほれ、踊れ」

魔法使い「…………」タッタッタッタ

戦士「誘う踊りを真顔でやられてる図ってすごいぞ」

737 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 20:12:52.61 ZhMNzKwto 413/671

マオ「……なにやってんの」

魔法使い「……ッ!」バッ

戦士「あ、おかえり」

魔法使い「……おかえりマオ」ギュッ

マオ「ん? おぉ、ただいま」ナデナデ




タニア「グプタ!」

グプタ「タニア!」

むちゅううううううううううう



マオ「…………」

魔法使い「…………」

戦士「あははは……」

遊び人「やらんのか?」

マオ「誰がやるかッ」

738 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 20:16:46.72 ZhMNzKwto 414/671

戦士「勇者は?」

マオ「……殺したぞ」

魔法使い「…………」

戦士「そっか」

遊び人「…………」

マオ「ふふっ」

戦士「どした?」

マオ「いや、なんでもない。 バハラタにいくぞ」

魔法使い「……賛成」

戦士「うぃーっす」



タニアッ!!
グプタ!!



マオ「ぐふっ!」

戦士「うわっあれ見て笑ってんのかよマオ」

魔法使い「……意外」

マオ「いや……なんでもないんだ本当に」

遊び人「…………」

739 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 20:31:44.89 ZhMNzKwto 415/671

………………
…………
……

~バハラタ~


タニア「ありがとうございます」

グプタ「本当になんとお礼を言っていいやら」

マオ「いえ、構いません」

戦士「黒胡椒さえくれればいいんだって」

グプタ「そうでしたね、では僕の家まで来ていただいてもいいですか?」

魔法使い「……わかった」



「ぐああああああ」


遊び人「なんじゃ今の悲鳴は!?」

グプタ「ねぇ、今の声!?」

タニア「おじいちゃん!!」ダッ

戦士「なんだなんだ?」

マオ「……はぁ。 どうしてこう問題ばかり起きるんだ」

魔法使い「……マオ?」

マオ「分かっている。 行こう」

740 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 20:34:34.62 ZhMNzKwto 416/671

老人「ぐぅ………」

兵士「じゃあな老人」

タニア「おじいちゃん!!」

老人「タニア…!? いかん! こっちにきてはならん!!」


ザシュッ

ゴトリ



タニア「……ひっ!?」

タニア「いやああああああああ」

グプタ「タニア! まずい逃げろ!!」

タニア「いやああ! おじいちゃん! おじいちゃん!!!」

兵士「お前もすぐにおじいちゃんのところへいけるぞ」

タニア「いやあぁぁ……おじいちゃん……」

兵士「死ね」

グプタ「タニアぁぁ!!」

741 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 20:39:11.36 ZhMNzKwto 417/671


ゴギィッ!!


マオ「獲物に舌舐めずりとは三流のすることだぞ」

グプタ「マオさん…!」

魔法使い「……大丈夫?」

タニア「……おじいちゃん……おじいちゃん……」

グプタ「タニア……」

遊び人「……魔法使い、ついててやってくれ」

戦士「なにが起きてるか分からねえが人間が人間を殺してる。 ちょっと周り見てくる」

魔法使い「……分かった」


グプタ「タニア……ここは離れよう」

タニア「いやぁ! 離して!!」

グプタ「……タニア」

タニア「……うっ……なんで……なんでこんなことに……」ボロボロ

魔法使い「……よしよし」

タニア「…うっ……」

魔法使い「……ごめんね助けてあげられなくて」

タニア「うぅぅ……ひっく………」

魔法使い「……一緒に泣いてあげることしか出来なくてごめんね」

タニア「………ぐすっ……」

魔法使い「……いっぱい……泣いていいんだよ」

タニア「うっ……うわああああああああん……」


742 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 20:41:04.43 ZhMNzKwto 418/671

戦士「マオ! やべぇぞ街の人が一か所に固められてる!!」

遊び人「一気にそこで虐殺する気か!」

マオ「私がそこへ行く。 戦士と遊び人はツーマンセルで行動、兵士を見つけ次第止めてくれ」

戦士「了解」

遊び人「………わしに指図をするでないわ」


マオ(……くふふっ……これで心おきなく"人間"を殺せる!)

743 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 20:49:31.64 ZhMNzKwto 419/671


「い、命だけはぁ!!」

兵士「……へ、命だけは、なんだよ」ぶしゃぁっ




「た、たすけてくれええええ」

兵士「うるせぇな……」ブシャァ




「こ、子供だけは助けておくれよ! 慈悲の心も

兵士「ねえんだよ」ブシャァ




「ままー! ままぁー!!」

兵士「ママ? あぁ、首から上がないこれか?」ブシャァ



「あなた! やめて!」
「妻に手出しはさせん! うおおおおおお」

兵士「一般人がなんだというのだ」ブスッ

「ぐおおお!!」
「あなた!」

兵士「手出しはさせん? はっはっは! かっこいいじゃねえか」

「ぐあぁぁ」

兵士「お前たちはみんな俺の獲物なんだよ? 殺される運命なんだよ? 分かるか?」

「うぅっ………」

兵士「お前らは獲物! 俺たちは狩人ってわけだ! はーっはっははは!」


グシャァッ


マオ「………………」

744 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 20:54:23.14 ZhMNzKwto 420/671


…………………………………………


兵士「これで街人は全部か?」

兵士「そんなことはねえだろうよみんな逃げてるか殺されてる」

兵士「無傷なのはここの奴らだけか」

兵士「あーあーみんなガタガタ震えちまって……可愛そうに」

兵士「ま、今すぐ震えは止めてやるよ」

兵士「ははは! 命も止めちまうんだろ?」

兵士「ちげーねえや! あははははh

兵士「ん? おい、どうしt……ゴハァッ!!!」

兵士「……ひっ!?」


マオ「こんにちは諸君」

兵士「がっ……がっ……」

マオ「……んー……贓物を握りつぶすのは気持ちが良い……」

745 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 20:59:26.48 ZhMNzKwto 421/671

兵士「なんだてめぇ!!」

兵士「いくぞ! ぶっ殺せ!!」

魔王「あぁ……活きが良い」

兵士「おらぁっ!!」ブォォォン


ガシッ


魔王「活きだけ、な?」

兵士「なっ……! 剣を素手で止めた!?」

魔王「ふんっ」


ごしゃあああ!!


魔王「おっと? 顔面をパンチしたらミンチになってしまった……パンチミンチ……ミンチパンチ……うーむ」

兵士「なっ!! よくもおお!!!」

魔王「ふむ? 暗黒自殺魔法」

兵士「んぐっ!? ………………………………」ザシュッ

兵士「ひぃ!? おい! なにやってんだ!!」

魔王「……やはり勇者以外には即死レベルで自殺をしてくれる優秀な魔法だ」

兵士「な、なんなんだよ!!」

魔王「ふふ……楽しませてくれよ? 人間諸君」

746 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 21:03:48.72 ZhMNzKwto 422/671

兵士「……っ!」ジリ

兵士「…………」ジリ

兵士「…………」ジリ


魔王(数はおよそ20といったところか)


魔王「どうした? 来ないのか?」


兵士「くそ……!」

兵士「このやろおおおおおお!!」


ザシュッ


「おおぉぉっ………」ゴトリ


魔王「上半身だけになっても少しの間は叫んでいられるらしいぞ?」

兵士「ち、畜生……」

兵士「なんなんだよこいつ……」


兵士「やってられるか!」

魔王「なんだ? 逃げるのか?」

兵士「ひっ!?」

魔王「……ふん」グリッ

兵士「ああああああああ!!! 腕があああああああ!!!」

魔王「いい声じゃないか」ブチィ

兵士「ぎゃああああああああああああああああ」

魔王「可愛そうに腕が無くなってしまったのか」

兵士「あああああっ!!」

魔王「楽にしてやるぞ?」ガシッ

兵士「あっ……あっ………」ミシミシミシミシ


ゴギャアアアッ!!!


747 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 21:08:34.86 ZhMNzKwto 423/671


兵士「い、いやだ……死にたくない……」

兵士「くそ……くそ……」

魔王「さぁ? どうした? 逃げるのか? かかってくるのか?」

兵士「に、逃げられるかあんな化け物……」

兵士「死にたく、ねえよぉぉ」

魔王「……はぁ……なんとか言ったらどうなんだ」

兵士「ち、ちきしょおおおおおお!!!」ダッ

魔王「……戦うことも出来ない愚か者め」

魔王「暗黒浮遊魔法」


フワッ

兵士「う。、うわあああ!! なんだよ! なんだよこれぇ!!?」


魔王「……ふふ」


兵士「あっ……あっ……なんだ……なんだ!?」

兵士「う、うぅ…むぷ……むぷぷぷ……」


パァン!


兵士「なっ………」

兵士「中から爆発した……?」

兵士「も、もうやだ……」

魔王「ふはははははは!!」

748 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 21:14:36.78 ZhMNzKwto 424/671


魔王「軽い……実に軽い……」

魔王「命は軽い、そうは思わんかね諸君?」

兵士「………くそぉ」

兵士「一思いに殺してくれ……」

魔王「そう言われると、いたぶりたくなるのが性ではないか?」

兵士「……!!」


ゴンッ

兵士ぐっ!?」

ゴンゴンゴン

兵士「ぶ! おっ! ううぇぇぇ!!」


バババババババババババンッ!!!


ゴドンッ


魔王「全身で折れてない骨がないだろうな」


兵士「ひぃぃぃ……」

兵士「なんなんだよ……なんなんだよおおお!?」


魔王「どうだ? 先ほどまで狩人の気分を味わっていた獲物くんたち」

魔王「少しは、獲物の気持ちも分かったかね?」

兵士「あ……あぁぁ………」

兵士「正義の味方気取りかよ……えげつねえことしやがるくせに……」

魔王「私が正義の味方? そんなわけないだろう」

魔王「私は………………」

749 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/02 21:28:35.11 ZhMNzKwto 425/671

兵士「ひ、ひいいいいいいい」

魔王「残った兵士もお前だけになってしまったな?」

兵士「こ、殺せよおおおおお!? どうせ殺すんだろう!!?」

魔王「いやいや、最後まで生き延びた幸運なお前にチャンスをやろう」

魔王「今から俺の質問にすべて答えろ。 そうすれば……」

兵士「分かった! 分かったから!! 鎌を近づけないでくれええええ」

魔王「ではまずひとつ。 貴様等はなぜ街人たちを殺して周っている?」

兵士「め、命令されたんだ!!」

魔王「誰に?」

兵士「王様だ!! サマンオサの王様だ!!」

魔王「サマンオサ?」

兵士「ここから東の大陸にある国だ!!」

魔王「なぜそんな遠方からわざわざ?」

兵士「知らねえよ!! 王様の考えることなんか!!」

魔王「そうか……」

魔王「では最後の質問だ」ゲシッ


兵士「ごふっ!!!」


魔王「お前は生きたいか? 死にたいか?」グリグリ

兵士「……ぃ………ぎっ…………」

魔王「……時間切れだ」


ぐちゃっ


兵士「ぁ…………」

魔王「…………ふぅー」

魔王(命が尽きる瞬間の空虚な表情……)

魔王(絶望と苦痛に染まりきった目の輝き……)


魔王「御馳走様」

764 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 05:10:28.84 1RcRXAYZo 426/671

グプタ「ありがとうございましたマオさん」

マオ「いえ……気になさらないでください」

グプタ「ははは…… 街の者もみな感謝しておりました」

マオ「いえもっと来るのが早ければ……」

グプタ「そんな! マオさんのせいではありませんよ!」

マオ「私が勇者に手こずりさえしなければ」

グプタ「マオさん……」

765 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 05:13:20.65 1RcRXAYZo 427/671

マオ「ところで黒胡椒を売っていただきたいのですが」

グプタ「あぁそうでした!!」

マオ「お代はいかほどに?」

グプタ「そんなそんな! 命の恩人どころか街の恩人からお金なんて取れませんよ! ぜひ持って行ってください!」

マオ「しかし、それでは……」

グプタ「ポルトガの王様からの命令ですよね? 安心してくださいいつものことなので。 お金も後から頂けますし」

マオ「そうですか。 ではありがたく」

グプタ「はい! ありがとうございました!!」

766 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 05:16:49.06 1RcRXAYZo 428/671

タニア「魔法使いちゃん……ありがとうね」

魔法使い「ううん……気にしないで」

タニア「もういっちゃうの」

魔法使い「……うん」

タニア「寂しいわ……」

魔法使い「……大丈夫だよ、タニア。 また遊びに来るね?」ナデナデ

タニア「絶対よ? ぐすっ……」ギュッ

魔法使い「……うん」ギュ

767 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 05:20:33.50 1RcRXAYZo 429/671

タニア「ふふ、次会う時はきっとグプタと……」

魔法使い「……頑張って」グッ

タニア「うん! あの鈍感さんのお尻をひっぱたいてあげないとね」

魔法使い「……かわいい子供が生まれたら教えてね」

タニア「……絶対よ」

魔法使い「……また来る。 仲がいい2人を見に来るから」

タニア「……魔法使いちゃんもマオさんと仲良くね」

タニア「既成事実を作っちゃえばいいのよ」ボソボソ

魔法使い「……なっ///」


タニア「ふふ、またね! 魔法使いちゃん!」

魔法使い「……ばいばい」

770 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 11:33:21.28 gZS4OEijo 430/671

………………
…………
……

~ポルトガ~


国王「そうか! 御苦労だったな!」

マオ「はっ……」

国王「しかし試すようなことをして悪かったな。 かの山岳を超えるだけでなく、盗賊たちを壊滅し、街の危険まで救うとは……そなたたちこそ真の勇者だな!」

マオ「勿体なきお言葉……」

国王「約束通り船を渡そうではないか」

771 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 11:35:47.46 gZS4OEijo 431/671


………………………………

戦士「いぇーい!!」

遊び人「船じゃー!」

魔法使い「……わーい」

マオ「……ふん」

戦士「なんだよマオ元気ねえな」

マオ「……そうか?」

魔法使い「……国王とお話するの、いつもありがとね?」

戦士「あーそりゃ緊張もするよなー」

遊び人「わしらは後ろで黙ってればいいだけじゃからな」

マオ「いやいいんだそれは」

戦士「……ん?? そう?」


マオ「……偉そうな奴だ」ボソッ

魔法使い「……なに聞こえなかった」

マオ「いや、なんでもない」

772 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 11:49:15.22 gZS4OEijo 432/671


………………………………

遊び人「船を手に入れたはいいがどうするのじゃ?」

マオ「問題はそれだな。 次にどうするかを決めていないんだ」

戦士「そんなの適当にぶらぶらしてりゃいいじゃん」

魔法使い「……遭難する」

遊び人「それはさすがに遊び人もびっくりする遊び方じゃな」

旅人「おや? あなた達は冒険者なんですね」

マオ「む?」

旅人「失礼、私も魔王討伐のために旅をしている者なんですよ」

戦士「お、兄ちゃん1人で旅してんの!? すげーな」

旅人「ははっそんなことありませんよ。 船が手に入るという情報があってここまで来たのですが黒胡椒を持ってこいなんて言われちゃいまして」

遊び人「あーあれか」

魔法使い「……船がほしい旅人はみんなあれをやるんだね」

773 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 11:55:08.20 gZS4OEijo 433/671


旅人「なんだか話を聞いてると大きな山を越えなければならないとか?」

戦士「そうなんだよー馬鹿みたいにデカい山でさー。 超疲れたよ」

魔法使い「……でも山のふもとを迂回すれば楽に行ける」

旅人「ほう?」

マオ「私たちが山のふもとを牛耳っていた盗賊たちを壊滅させました。 なのでその道も安全に通れるのでそちらの方がバハラタまでは生きやすいでしょう」

旅人「なるほど! ありがとうございます!」

旅人「いやー助かっちゃいましたよあはは」

戦士「おう、じゃあ気をつけてな兄ちゃん」

旅人「はいありがとうございます。 みなさんもお気をつけて」

遊び人「あー待つんじゃ若いの」

魔法使い「……あなたは船を手に入れたらどうするの?」

マオ「せっかく船を手に入れたのに、情報が無くて困っていたんですよ」

旅人「あーなるほど! そうでしたか! そうですねぇ僕もあまり大きな情報はないのですが」

旅人「ここから北にまっすぐ向かうとエジンベアという国があるそうです。 そこには最後のカギが隠されているという噂ですよ」

774 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 11:59:03.88 gZS4OEijo 434/671


戦士「最後のカギだってよ」

遊び人「噂程度でしか聞いたことがないがな。 なんでもどんなカギでも開けられる魔法のアイテムだとか」

魔法使い「……便利」

マオ「そのカギがないと魔王城にも入れないぞ」

戦士「へ? そうなの? めっちゃ大事じゃんそれ」

魔法使い「……なんでマオそんなこと知ってるの?」

マオ「あぁ…… 一人旅をしていたらそういう話を聞いたんだ」

戦士「へーさすがマオだな物知りだぜ」

魔法使い「…………えっへん」

遊び人「なんで魔法使いが得意気なんじゃ」

775 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 12:06:20.40 gZS4OEijo 435/671


………………………………


ガヤガヤガヤ


遊び人「なんじゃか騒がしいのぅ?」

戦士「なんだなんだ?」

水着の女性「あら、綺麗な旅人さんたち! どうちょっとやっていかない?」

魔法使い「……なにをしているの?」

水着の女性「これから水着美少女コンテストをやるのよー! 参加してもらうだけで可愛いピアスもプレゼントしてるから良かったらどう?」

戦士「水着コンテスト!? なにそれおもしろそー!!」

遊び人「やるわいやるわい!!」

マオ「ババアもかよ」

水着の女性「ほんとー!? じゃあそこでエントリーシート書いてね♪ ち・な・み・に! 優勝賞品はきえさり草っていうレアアイテムなのよ!」

魔法使い「……きえさり草?」

水着の女性「そうなの! 食べると一定時間身体が透明になって見えなくなっちゃうの! すごいでしょ!」

戦士「へー」

遊び人「便利なアイテムじゃのぅ…… 浮気現場の尾行も堂々と出来るわけじゃ」チラッ

魔法使い「……む」

マオ「してねえよ浮気なんて……」

水着の女性「あはは、そうね色々役に立つアイテムだと思うわ! 水着は各自で好きなものを着てきてね! じゃあまたあとでねー♪」

776 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 12:31:39.77 gZS4OEijo 436/671

マオ「本当にやるのか」

戦士「楽しそうじゃんやろうよ」

マオ「私に言うのかそれを」

遊び人「ふぉっふぉっふぉ。 楽しみじゃのぅ何を着るかのぅ」

戦士「婆さんはやめといた方が良いだろ」

遊び人「何を言うんじゃ!? 楽しそうなことはやらねばならんじゃろうが!!」

魔法使い「……二人とも頑張って」


ガシッ


魔法使い「………」ビクッ

戦士「なにいってんだ魔法使い?」

遊び人「お主も出るに決まっておるじゃろう……?」

魔法使い「……いやです」

戦士「なんで!」

魔法使い「……そんな大勢の人が見てる前で見世物になりたくない!」

遊び人「なんでじゃ!!」

魔法使い「……いやなものはいや!」

戦士「マオ!!」

遊び人「お主はどうなんじゃ!!」

魔法使い「……止めるよう説得して」

マオ「…………えー」

マオ「いいんじゃね?」

魔法使い「……!!」

戦士「いよっし!!」

遊び人「ひゃっほーーーー」

777 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 12:41:55.94 gZS4OEijo 437/671

……………………………………

魔法使い「…………」

戦士「いい加減機嫌直せよ」

魔法使い「……だって」

戦士「いいじゃねえかマオも見たいって言ってたぞ?」

魔法使い「……マオはもういっぱい見たもん」

戦士「また魔法使いの身体見せられるチャンスじゃん」

魔法使い「……変な言い方しないで」ベシッ

戦士「いてぇ」

魔法使い「……はぁ。 いっぱい人がいる」

戦士「本当だな。 なんかちょっとしたさびれた企画かと思ったら………」



ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ



戦士「……なんかめっちゃ大きいんですけどこれ」

魔法使い「……綺麗な人いっぱい」

戦士「んなことねえって!! 魔法使いだって十分綺麗だよ!!」

魔法使い「……なんで上から目線なの」

778 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 12:46:49.46 gZS4OEijo 438/671

魔法使い「……はぁー」

???「……大丈夫ですか」

魔法使い「……へ?」

???「……大きなため息をついていたから」

魔法使い「……あっ…すいません」

???「……いえ。 緊張、されてるんですか」

魔法使い「……はい。 あまり人の前に立つようなことは……得意じゃなくて」

???「……分かりますそれ」

魔法使い「……あなたは?」

???「……私は……マ、マコです……」

魔法使い「……私は魔法使いです」

???「……お互い頑張りましょうか」

魔法使い「……はい」



戦士「なんだこの弾まない2人の会話」

779 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 12:48:54.01 gZS4OEijo 439/671

戦士「今の綺麗な人だったな」

魔法使い「……綺麗な髪だった」

戦士「胸もあるし。 ま、私ほどじゃねえけど」

魔法使い「…………」シュン

戦士「そんな気にするなよ! 揉んでデカくすりゃいいんだから!」バシバシ

魔法使い「……痛いしうるさい」

戦士「ほれほれ? こうやってマオに揉まれてんのか?」ムニムニ

魔法使い「……触んないで」

780 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 12:53:27.38 gZS4OEijo 440/671

司会「さぁ始まりました水着美少女コンテストおおおお!!!!」

司会「今年の輝く海に最も似合う水着美女は誰か!!」




ガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤガヤ




魔法使い「……戦士! すごい人!」

戦士「うわっ、まじかよ! なんだこの人の多さは!?」

魔法使い「……帰りたい」

戦士「弱気になるなって、な?」

マコ「……最初はステージを歩いていくだけだそうです」

戦士「あ、さっきの」

マコ「……その中から投票制で1回戦を勝ち抜きするみたい」

魔法使い「……そうなんだ」

戦士「へっ! 負けるのも癪だからな! 目指せ優勝だぜ!!」

魔法使い「……がんばって」

マコ「……魔法使いさん」

戦士「やる気なさすぎィ……」

790 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 14:16:57.46 gZS4OEijo 441/671


………………………………


魔法使い「…………」

戦士「機嫌直せって、な?」

魔法使い「……なんかマオに負けたのがムカつく」

遊び人「わしデザイン、モシャス、女装、完璧」

マオ「ババアの魔法も役に立つことがあるんだな」

戦士「でも確かになんか釈然としないよなー男に負けたんだもん」

遊び人「強くて顔も悪くは無くて女装も似合う。 いいではないか」

戦士「そこらへんの女の子より可愛いってのはダメだよな」

魔法使い「……うん」ベシッ

マオ「いたいぞ」

791 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 14:19:34.61 gZS4OEijo 442/671

遊び人「じゃがこのきえさり草はどう使えばいいんじゃ?」

戦士「誰にも見えないってのは使い道多そうだけどな」

遊び人「スロットの景品を奪ったり」

戦士「いい武器を持ち逃げしたり!」

マオ「…………」
遊び人「女湯を覗いたりー」

魔法使い「……マオはそんなこと言わないよおばあちゃん」

遊び人「本当は覗きたいんじゃろ?」

マオ「……ふん」

戦士「覗きたいってさ」

魔法使い「…………」

マオ「言ってないが」

魔法使い「……マオがどうしてもっていうなら……」

マオ「……!?」

戦士「うわー」

遊び人「罪な男じゃー」

792 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 14:30:45.42 gZS4OEijo 443/671

魔法使い「……しゅっこー」

戦士「ひゃっほーー!!」

マオ「動いたな」

遊び人「おぉー! これはすごいのぅ」

魔法使い「……思ってたより静か」

戦士「動いたああああ!! すっげーーーー!!」

遊び人「一人テンションあがり過ぎてうるさいがの」

マオ「……だが……思ってたよりゆっくりだな」

遊び人「それもまた船の醍醐味じゃろう」

魔法使い「……風が今日はあまりないから」


マオ「……竜巻魔法、バギ」


遊び人「な、なにやってるんじゃ!?」

魔法使い「うわわ!」

戦士「うおー!! すげー加速してるーーー!!!」

遊び人「こ、これはちょっとやりすぎじゃろう!?」

魔法使い「……あははは、でも楽しい」

戦士「いけいけー! もっとスピードだせー! ふぅー!!」

マオ「……ふふ」

遊び人「ま、いいか」

戦士「目指せ! 海を越えて! エジンベアー!!」

793 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 14:35:11.25 gZS4OEijo 444/671


戦士「なぁみろよ! 魚泳いでるぞ!」

マオ「大きいぞ」

遊び人「あれは魚ではないぞ。 イルカという動物じゃ」

戦士「へー! 動物が泳いでんのか! すっげーな!!」

魔法使い「……ジャンプしてる。 かわいい」

戦士「あはは! 近づいてきたぞ! こんにちはイルカさん!」

遊び人「好奇心旺盛じゃな!」

魔法使い「かわいぃー……」

戦士「お前たちはどこへ行くんだー!?」


クィークィー


戦士「おぉすげぇ! 返事してくれた!!」

魔法使い「……お利口さん」

794 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 14:38:53.54 gZS4OEijo 445/671


魔法使い「……海を滑ってるみたいで気持ちいい」

戦士「ほんと……いい風だなぁ」

遊び人「昼寝が捗るわい」

魔法使い「……ぽかぽか太陽」

戦士「ちょっと暑いけど……でも気持ちいい」

魔法使い「……マオおいで」ポンポン

戦士「たまには私とも寝ろよーほれほれ」

マオ「…………」

遊び人「なんともいえぬ顔をしておるのぅ」

魔法使い「……マオは私とがいいんだって」

戦士「いやいやもうそろそろ魔法使いには飽きてきたんじゃねえの?」

魔法使い「……そんなことあるわけない」

戦士「大人の魅力ってのが恋しくなるんだよ」

魔法使い「……むむむ」

戦士「………へへへ」

マオ「……はぁ」

遊び人「戦士も分かっててやるからたちが悪いのぅ」

795 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 14:42:07.97 gZS4OEijo 446/671


グラグラグラグラ


戦士「ん? なんだ?」

魔法使い「……波が立ってる」

遊び人「……天気はいいんじゃがなぁ」



ザバァッ!!!



戦士「なっ…!?」

マオ「大王イカか」

遊び人「危ない!!」


ビターーーーン


魔法使い「……なんておっきいの」

戦士「おい攻撃してきたぞ!!」

マオ「戦うぞ」

遊び人「じゃがまた海に入りおった!」

魔法使い「……どこから来るか分からない、注意して」

戦士「おう!!」

796 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 14:49:45.64 gZS4OEijo 447/671

ザバアアアアアアアアア

「ギェェェェェェェェェェェ」



戦士「魔法使い! 後ろだ!!」

魔法使い「……!!」

戦士「おっりゃああ!!」ザシュッ



「ギィィィィィィィィィィィ」


魔法使い「あ、ありがとう」

戦士「へっ、どんなもんだ」

遊び人「まだ来るぞ! 下にもぐっただけじゃ!」



ザバアアアアアアアアン


遊び人「こっちにきたか愚か者め! 拘束魔法!!」


ガシッ


遊び人「そのまま海から引きずりだしてやるわ!」

戦士「おぉ! 婆さんイカの1本釣りか!!」

魔法使い「……ダイナミック」



「ギ、ギゲゲエエェェェェェェェェェ」

ブウウウウウウウン



遊び人「こやつ! まだ動けるのか!」

戦士「婆さん! 伏せてな! おらあ!!」ガキンッ

戦士「ぐっ!! 負けるかあああ!!」ザシュッ


「ギェェェェ………」バタン



戦士「よっしゃ!」

魔法使い「……ほっ」



ザバアアアアアアアアアア


「ギエエエエエエエエエエエエエエ」


ブゥゥゥゥゥゥン



戦士「なっ!」

魔法使い「もう一体…!?」


797 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 14:53:02.63 gZS4OEijo 448/671


バシイイイイイイン


戦士「ぐあぁぁ!!!」ゴトゴト

遊び人「戦士! 回復魔法、ベホイミ!」

魔法使い「おばあちゃん! そっちに!」

遊び人「ぐっ!? しまった!!」



バシィィィィィィィィン


遊び人「ぐはっ!!」

魔法使い「おばあちゃん!!」

戦士「やべぇ!! 海に投げ出されたぞ!!」



ザバアアアアアアン


戦士「まずいまずいまずい!!」

魔法使い「大王イカが追いかけちゃった……」

戦士「海の中は……」ゴクリ

魔法使い「……おばあちゃんお願いあがってきて……!!」


マオ「ちっ」


ザブゥゥゥン


戦士「マオ!!」

798 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 14:55:41.32 gZS4OEijo 449/671

遊び人(くっ! この!! こっちに来るな!)

遊び人(海の中では……魔法の詠唱が出来ん!)

遊び人(なんとかして海面まで上がらねば!!)



「ギエエエエエエエエエエエエ」


遊び人(……!! この!!)


ガンッ


遊び人「……ッ!!」

遊び人(ま、まずい……このままでは……喰われる!?)

遊び人(ち、力が入らん……)

遊び人(あぁ……なんということじゃ……こんなところで……)

799 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 14:58:36.94 gZS4OEijo 450/671


「ギエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!!」


遊び人(ここまでか…!)


「ギャアアアアアアアアアアアア」


遊び人「……!!」


マオ「…………」キーン


ブゥン


「ギエエエエエ………ギギッ………」


ぶしゃあああああああああああ



遊び人「………!!」

マオ「…………」ガシッ

遊び人(こやつ……わしを助けに海まで…!?」

マオ「…………」

800 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 15:02:21.08 gZS4OEijo 451/671

遊び人「はぁ……はぁ…………」

魔法使い「おばあちゃん!」

戦士「大丈夫か!?」

遊び人「はぁ……はぁ……危うくイカに食われるところじゃったわい……」

戦士「婆さんが海にブッ飛ばされてからマオが海に飛び込んでよ」

魔法使い「……2人とも無事で本当に良かった……」ペタン

遊び人「あぁ……助かったわい。 礼を言うぞ若造」

マオ「……海に落ちるのはさすがにまずいからな。 さすがに手を出させてもらった」

魔法使い「……心配で思わず助けてしまったと言ってる」

遊び人「ふん、素直じゃないのぅ」

戦士「なら最初っから一緒に戦ってくれってんだ……」

801 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/06 15:07:24.41 gZS4OEijo 452/671


マオ「私がすべての敵を倒していたらみんな強くなれないだろう」

戦士「まぁ、確かに」

遊び人「時と場合は見極めてほしいもんじゃ」

マオ「あの状況ならみなで固まって対処すべきだった。 皆の位置が遠かったから前衛の戦士の動線が長くなりああいう結果になってしまったんだ」

遊び人「うぐ……」

魔法使い「……ごめんなさい」

戦士「ま、まぁ! そういう時だってあるって! みんながこれでひとつ学べたんだからいいじゃん! な?」

マオ「……そうだな」

魔法使い「……うん。 気をつける」

遊び人「さ! 気を取り直して昼寝じゃ!」

戦士「婆さんは先に身体拭いてこいよ」

遊び人「なーにこんなの寝てれば乾くじゃろうて」

魔法使い「……マオ」ポンポン

マオ「…………」

戦士「膝枕だぁ? あめえよ女なら胸枕ぐらいなー」

魔法使い「……戦士はうるさい」

戦士「なにをー!?」

魔法使い「……なに」

809 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/07 21:13:15.13 dYjJo5tno 453/671


ポツ


マオ「……うん?」

マオ「いつの間にか寝ていたのか……」

マオ「陽も傾いてきているし……かなり曇ってきたな」

魔法使い「……んぅ……マオ……?」

マオ「おはよう魔法使い」

魔法使い「……おはよ」ギュ

マオ「もうすぐ陽が暮れるぞ」

魔法使い「……保存食持ってくる。 ご飯にしよ」

マオ「そうだな」

魔法使い「……じゃあみんな起こしておいてね」

マオ「分かった」


マオ「おい起きろ」ゲシッ

遊び人「ぐえぇっ!!」

810 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/07 21:16:16.67 dYjJo5tno 454/671


戦士「しっかし本降りになってきたなぁ」

遊び人「航海を始めた最初の夜が雨とは……なんともいえぬ気持ちになるわい」

魔法使い「……雨強い。 風もある」

マオ「船が流されないか心配だな」

戦士「えー大丈夫なのかよ?」

マオ「普通なら大丈夫だと思うが…… さすがにシケてきたら徹夜で航海だな」

遊び人「帆船も楽じゃないのぅ」

魔法使い「……マオ、魔法でなんとかならないの?」

マオ「……出来るな」

戦士「出来んのかよ!!」

遊び人「なんでもありすぎじゃろお前」

811 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/07 21:20:13.54 dYjJo5tno 455/671

マオ「だが、そんなことをしたら旅の楽しみも薄れるだろう?」

戦士「まぁ、確かに」

遊び人「楽出来るならなんでもいいわい」

魔法使い「おばあちゃんは遊び人なのにあんまり遊ばないね」

戦士「そうかぁ!?」

遊び人「わしは楽をする遊びが仕事じゃ」

マオ「働かぬ者食うべからずだ」

遊び人「働かずして食う飯はうまいぞー」

戦士「ただのクズじゃねえか!!」

魔法使い「……ご飯はみんなで一緒に食べるのがおいしい」

遊び人「いいこと言うのぅ」

戦士「汗をかいた後の飯が最高だぜ」

マオ「………」

遊び人「若造はどんな飯がうまいと思うのじゃ?」

マオ「……うーむ」

戦士「魔法使いの作った飯だろ」

魔法使い「………!」ポン


マオ(人を殺した後に食う飯とはいえないな)

812 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/07 21:23:47.19 dYjJo5tno 456/671


ピカアアアアアアアアアアアン



魔法使い「ひっ…!!」

遊び人「うおぉぉ雷が落ちたぞ? 近いな」

戦士「さすがにビビったぜ!?」

魔法使い「……ま、マオ……」ビクビク

マオ「……雷もダメなのか」

魔法使い「…………」ブンブン

遊び人「情けないのぅ」



ドカアアアアアアアアアアアアアン



遊び人「うわっはっはっはデカいわい」

魔法使い「……………」プルプル

戦士「さすがに魔法使いじゃなくてもこえぇだろこれ」

マオ「………ふん」

遊び人「なんじゃ、若造。 魔法使いに寄られて鼻を伸ばしおって」

マオ「……黙れ」

魔法使い「…………」ビクビク

戦士「当の本人はそんな余裕なさそうだぞ」



ピカアアアアアアアアアアアアアン



魔法使い「………ッ!!」

戦士「今日魔法使い心臓止まるんじゃねえの」

813 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/07 21:27:42.81 dYjJo5tno 457/671


魔法使い「……ほんとにむり」ビクッ

戦士「小動物か」

遊び人「丸くなっておるしまさにそれっぽいわい」

魔法使い「……笑い事じゃない」

戦士「じゃあみんなで怖がるフリをすれば魔法使いも怖くなくなるかもな」

マオ「なんだその謎理論は」

遊び人「怖がるのがアホらしくなるかもしれんな」




ドガアアアアアアアアアアアアン



魔法使い「…………!!」ビクンッ

戦士「おわあああああああああああああああ!!!!」

遊び人「ぎゃーーーーーー!!! 雷ぃぃぃぃぃぃ!!」

マオ「…………」

魔法使い「……なにしてるの」

戦士「なにやってんだよ、ほらお前らもやるんだよ」

遊び人「その気にならんでどうする」



ドガアアアアアアアアアアアアアアアアン



戦士「うおおおおおおおおおあああああああああ!!!」

遊び人「死ぬーーーーー怖いんじゃーーーーー」

魔法使い「…………」

戦士「マオおおおおおおこええだろおおおおお!!?」

マオ「……怖いな確かに」


814 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/07 21:32:36.60 dYjJo5tno 458/671


戦士「って、おいおい外霧まで出てきたぜ?」

遊び人「……本当じゃな。 雷は幾分よくなったが」

魔法使い「……雷よりはマシ」

マオ「そうでもないぞ。 霧だと視界が悪い分、もし陸や浅瀬があっても気付かないで乗り上げてしまう危険だってある」

戦士「……え、それわりとヤバい感じ?」

魔法使い「……そうなったら一貫の終わり」

遊び人「まぁ、もし浅瀬に乗り上げても若造がなんとかするじゃろう」

魔法使い「……確かに」

マオ「お前らは私を何だと思っているんだ」

戦士「でもさーこんな大海原で陸とかあるかぁ?」

遊び人「常識で考えればないじゃろうな。 それにそんな大きなものなら見えることもあるじゃろうて」

魔法使い「……このまま進む?」

マオ「そうだな。 それに私は目が利く。 なにかがあっても見えるだろう」

戦士「やっぱりなんでもありじゃねえか」

815 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/07 21:36:15.38 dYjJo5tno 459/671


戦士「それよりもさぁ、霧が出てくると思うことがあんだよ」

遊び人「なんじゃ?」

戦士「……お化けが出そうだよな」

戦士「ヴァーーーーー」

魔法使い「……こっちに来ないで」

戦士「怖がる魔法使いにお化けは寄っていくぞぉ…… うらめしやぁーー」

魔法使い「……怖くないもん」ベシッ

戦士「本当にかぁー? 怖がらない魔法使いには……こうだー!」ガバァッ

魔法使い「うわっ…! ちょっと、やめて!」

戦士「こちょこちょこちょ!」

魔法使い「やめて! やめてってば! あはは!!」

遊び人「お化け関係ないじゃろそれ」

マオ「じゃれたかっただけだろ」

遊び人「うらやましいのか?」

マオ「……黙れ調子に乗り過ぎだ」


戦士「こちょこちょこちょ!!」

魔法使い「……いい加減に! して! メラ!!」

戦士「あっつ! あっついわ!!!」

816 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/07 21:40:38.41 dYjJo5tno 460/671


戦士「なぁ、おい、なんだあれ!?」

遊び人「ん? なんじゃ?」

戦士「窓の向こう! ほら!」

遊び人「うーん?」

魔法使い「……船?」

マオ「大きいな」

戦士「こっちに近づいてきてないか?」

遊び人「まさかそんなわけないじゃろう。 船と船で衝突を避けるために進路は被せないのが鉄則じゃろう?」

戦士「でもよぉ」

マオ「確かに近づいてきてるな」

魔法使い「……あっちの船でなにかあったのかもしれない」

戦士「なにかって、なんだよ」

魔法使い「……それは分からない」

遊び人「じゃが、もしなにかあったのだとしたら助けを求めてくるというのは分からんでもないな」

マオ「だが信号となるものもなにもないぞ」

戦士「うーん…… 一体なんだってんだ?」

魔法使い「……分からない」

マオ「とりあえずはこのまま維持し、ぶつからないように舵だけは取るぞ」

戦士「ラジャー、キャプテン」

817 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/07 21:46:21.87 dYjJo5tno 461/671


戦士「うっひゃああああでっけぇ!」

魔法使い「……近くで見ると圧倒的」

戦士「一体なんなんだろうな!? 軍艦か!?」

マオ「この船おかしいぞ」

戦士「へ?」

遊び人「……確かにおかしいな」

魔法使い「……どういうこと?」

遊び人「普通の船なら夜になれば明かりをつけるじゃろう?」

マオ「この船も一緒だ。 船首、マストの見張り台、あとは船内にも明かりは必ずある」

遊び人「じゃが、あの船には明かりなど一つも灯っておらんわい」

魔法使い「………?」

遊び人「それに……近くになって初めて分かったが……この船、異様なほどボロボロではないか?」

戦士「た、たしかに…… 帆なんかボロボロで穴だらけだ……」

遊び人「……これは、なにかあるぞ?」

戦士「なにかって……なんだよ」

遊び人「これは……もしかすると……」

魔法使い「……やだ、聞きたくない」ギュー


遊び人「幽霊船ってやつじゃないか?」


828 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 19:55:37.16 TlYU3h1jo 462/671


魔法使い「……なにも乗りこまなくたっていいじゃん」

遊び人「お宝があるかもしれないじゃろう! 金銀財宝! がっぽがっぽじゃ!」

戦士「あー……財宝はともかくガイコツならごろごろあるな」

マオ「この船員だったんだろう」

魔法使い「……もうやだ……帰る……」

戦士「あっはっは! ビビってたら心臓がいくつあってもたんねえぞ?」

魔法使い「……元はといえば戦士がお化けの話なんかするのがいけない」

戦士「えー関係ないだろ」

マオ「いいから行くぞ」

魔法使い「……やだ」

遊び人「じゃあ魔法使いはここで待っておれ」

戦士「じゃあなー」

魔法使い「……え?」

829 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 19:58:17.56 TlYU3h1jo 463/671


ガタガタ


魔法使い「……ッ!?」

魔法使い「な、なに……?」



・・・・



魔法使い「………?」

魔法使い「……待ってよみんな!」

魔法使い「……本当に置いていくなんてひどい」



ガチャガチャ



魔法使い「……え?」


ガチャガチャガチャ


魔法使い「……あれ、おかしいなドアが開かない」

魔法使い「………」


スッ


魔法使い「……ッ!?」

830 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:03:18.49 TlYU3h1jo 464/671


戦士「あれ、魔法使いは?」

遊び人「甲板じゃろう」

マオ「……本当に置いてきたのか」

戦士「骸骨があるだけだし甲板で待ってるってのは案外一番良かったりしてな」

遊び人「そのうち怖くなって追いかけてくるじゃろう」

戦士「とりあえず探索しようぜー」

マオ「まずはこの部屋から入るか」


ガチャ


戦士「……うへぇ骸骨さんが……」

遊び人「これは手を繋いでおるのか」

戦士「手繋いだまんま死ぬとかどんだけラブラブだったんだよ」

マオ「男と女かは分からんぞ」

戦士「同性愛!? うはーやめろよ」

遊び人「なしじゃなかろう?」

戦士「えー私はなしだな」

マオ「……とりあえずこの部屋には何もなさそうだ」

遊び人「奥にまだ扉があるぞ?」

戦士「いってみっか」

831 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:05:31.58 TlYU3h1jo 465/671


ガチャ


戦士「げっほげっほ! 埃っぽいな!」

遊び人「ここは寝室か…… ベッドしかないのぅ」

マオ「狭い部屋だ。 こんなところにベッド2つは窮屈ではないか?」

戦士「船の中のスペースだって限られてるからさ、仕方ないんじゃねえの」

遊び人「布団めくったら骸骨がぁーとかあるかのぅ?」

戦士「やめろよ……さすがにそれはビビるぜ」

マオ「……ここも何もなさそうだ、次の部屋へ行こう」

832 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:08:30.59 TlYU3h1jo 466/671


マオ「…………」

戦士「どうしたマオ?」

マオ「……その仲良し骸骨を見てみろ」

戦士「んー?」

遊び人「なっ……!?」

戦士「おいおい……まじかよ」

マオ「……片割れがいなくなっているぞ」

戦士「……どこ行っちまったんだよ」

遊び人「ちょ、ちょっと待て! 常識的に考えて骸骨がいなくなるとかありえんじゃろう!?」

マオ「そうだな」

戦士「いやーそもそも幽霊船が常識外れだからさ、なんか……なんでもありかなーって」

遊び人「なんでお主らそんなに冷静なんじゃ!?」

マオ「いいから行くぞ。 襲ってくるわけじゃないなら問題ない」

遊び人「魔法使いじゃないがビビってきたぞ……」

835 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:15:28.24 TlYU3h1jo 467/671


戦士「ここは?」

遊び人「食堂か。 大きなテーブルじゃな」

マオ「ここで船員が並んで飯を食っていたわけか」

戦士「楽しそうじゃん! 賑やかだったんだろうな」

遊び人「ここにはお宝はないじゃろう! さっさと行くぞ!」

戦士「なんだよーちょっとくらい観光しようぜ」

遊び人「観光なんぞするところか! お宝を頂いたらさっさと逃げるぞこんな気味が悪いところ」

マオ「……元気なババアだ」

戦士「分かったから押すなって出るからさ」

遊び人「うまい飯のひとつでも出るなら居座りたいがのぅ……」

戦士「それは贅沢言いすぎだって」

マオ「……階段があるぞ」

戦士「お! なんかありそうじゃん!」

戦士「婆さん階段急だぜ、手を……あれ」


・・・・


戦士「婆さん?」

836 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:18:19.16 TlYU3h1jo 468/671


戦士「おいマオ! 婆さんがいねえ!」

マオ「…………」

戦士「ちょっとやべえんじゃねえか!?」

マオ「そうだな、探すぞ」

戦士「手分けして探そう」

マオ「ダメだ危険すぎる。 気配を全く感じさせず人を連れ去ることの出来る能力など厄介すぎる」

マオ「そんな相手がいるかもしれないのに単独行動は自殺行為だ」

戦士「……そうだな」

マオ「まずは各部屋をしらみつぶしにしていく。 この階段を上がるぞ」

戦士「分かった」

837 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:21:50.31 TlYU3h1jo 469/671


マオ「…………」

戦士「操縦室か」

マオ「のようだな」

戦士「……敵の気配はねえな」

マオ「それみろ」

戦士「ん?」

マオ「舵が勝手に動いている」

戦士「うひゃー……心霊現象以外の何物でもないな」

マオ「…………」

戦士「この骸骨が船長さんか。 おいせんちょーこの船ヤバすぎだぜどうすんだよぉ」

マオ「いいから行くぞ次だ」

戦士「へいへい」


ブッブーーーーーーーーーー!!!!


戦士「おわぁっ!?」

マオ「……!」

戦士「なんだ今の音!?」

マオ「……汽笛か?」

戦士「はぁ…!? 誰が鳴らしたって言うんだよ!?」

マオ「そりゃ、幽霊だろう」

戦士「えぇ……」

838 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:27:34.52 TlYU3h1jo 470/671


マオ「ドア、開けるぞ」

戦士「おう、カバーは任せろ」


ガチャッ


マオ「…………」

戦士「どうした? なにかあったか」

マオ「……いや、宝物庫のようだ」

戦士「宝物庫!? お宝か!?」

マオ「といってもガラクタばかりだな。 どれも痛んでる」

戦士「なんだよ……じゃあ金目のものはなさそうか?」

マオ「一応調べてみる。 ドアを閉めろ、入口はそこしかないから何かが入ってきてもすぐに気がつく」

戦士「ほっ……ちょっと休憩がてら漁ってみるか」

マオ「魔法使いが心配だ。 すぐにいくぞ」

戦士「婆さんも心配してやれよ……」

戦士「ってこれ、お宝じゃないか?」

マオ「うん?」

戦士「これ、綺麗な剣だ。 まだ全然使えそうだぞ」

マオ「……飾り用の剣だろう? 実戦では使えないぞ」

戦士「でもいいじゃん持っていこうぜ。 高く売れるかもしれないしさ」

マオ「分かった」

戦士「よし、じゃ行こうぜ」

マオ「……開けるぞ」


ガチャ



839 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:34:32.53 TlYU3h1jo 471/671


マオ「……ッ!?」



シーン・・・・・・


マオ「やられた!!」

マオ「ありえない! 完全な密室だぞ!」

マオ「くそ! 魔力も気配もなにも感じなかった!」

マオ「……まずい」

マオ「敵が強すぎる…… 私が感知することが出来ないほど圧倒的な存在がいるとは」

マオ「脱出するか?」

マオ「元々はお遊びで始めた旅だ…… ここでやめるのもいいだろう」


マオ「いや……」

マオ「仲間が捉えられているなら…… 助け出すのが仲間というものだな」

マオ「それにパーティは守るって魔法使いに言ってしまったしな」

マオ「……助け出してみせるぞ」

840 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:37:37.09 TlYU3h1jo 472/671


ガチャッ

マオ「…………」



ガチャッ

マオ「……………」



ガチャッ

マオ「………………」




ガチャッ

マオ「……ここもいないか」




マオ「…………」

マオ「船内はすべて制圧した」

マオ「残るは甲板のみか?」

マオ「……もしそこにいなかったら……」

マオ「……くっ、考えるのはやめだ! 見つける前に諦めてどうする!」


マオ「……はぁ~……」

マオ「…………」



ガチャッ

841 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:39:53.58 TlYU3h1jo 473/671


戦士「あはははは!!」

遊び人「骸骨が酒を飲んでも流れ出るに決まっておるじゃろうが! わははは」

魔法使い「……おもしろい」



マオ「…………」


「へへ、次はライブの時間だぜぇ!?」

「聞いてってくれよな。 タイトルは……」

「海の上の病気でボーン・ボーン」



マオ「…………」

842 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:43:20.55 TlYU3h1jo 474/671


マオ「……なんだこれは」

遊び人「おぉ、遅かったな若造」

魔法使い「……おかえり」

マオ「なんなんだこの宴会騒ぎは」

戦士「あっはっは! こいつらおもしれえの!」

遊び人「この船の船員たちらしいぞ」

魔法使い「……航海中に全滅したらしい。 でもなんでか知らないけど毎晩骸骨の姿で目が覚めるんだそう」

戦士「そんで毎晩はしゃいでるらしいぜ!」

マオ「……は?」

遊び人「そこでわしらも一緒に楽しんでもらおうとここまで連れてきたらしいぞ」

マオ「……ありえないだろ」

戦士「こまけえこたぁいいんだよ! 飲もうぜほら!」

魔法使い「……楽しまなきゃ」

マオ「……なんだこれは」

843 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:45:42.19 TlYU3h1jo 475/671

「姉ちゃんたち、どっから来たのよ」

戦士「私らはアリアハンからだよ」

「アリアハンってぇとあの南の島か! かぁーそりゃ偉い長旅だったんだなぁ!!」

魔法使い「……色々ね」

「へぇー。 それにしてもこんなべっぴんさんばっかり連れてよぉ。 兄ちゃんもやるじゃねえかこのこのー」

マオ「…………」

遊び人「べっぴんだなんてうまいのぉ。 なかなか骨があるわい!」

「ま、骨しかねえけど! なーんちゃってな! あはははは!!」

マオ「………………」

844 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:50:56.63 TlYU3h1jo 476/671


遊び人「そういえば宝はあったのか!?」

戦士「いやー特になんも」

「はは、そりゃそうだろうな! この船はただの兵隊の船だからな。 ボロ切れくらいしかねえだろうよ」

マオ「……見つけたのはこの剣くらいだな」

魔法使い「……綺麗」

「良く見つけたじゃねえか兄ちゃん。 それ、持っていきな」

マオ「いいのか」

「おぉ、あたりめえよ」

戦士「やったぜサンキュー骸骨さん! こんな綺麗な剣見たことねえよ」

「へへっ、いいだろ? だがそれはただの飾りじゃないんだぜ」

魔法使い「……?」

「その剣はな、ガイアの剣って言うんだ」

戦士「ガイアの剣?」

846 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:55:14.59 TlYU3h1jo 477/671

「そう。 それを火山に投げ入れると、噴火して道を作れるっていう代物よ」

戦士「火山が噴火ぁ!?」

遊び人「死ぬじゃろうが!!」

「ははっ、俺らは元々それを遂行するための捨て身の部隊だったのさ」

魔法使い「……そうなんだ」

「おう、なんでもその剣で作の道は魔王城への道になるって話だぜ?」

戦士「魔王城の!?」

「本当かどうかは分かんねえよ? ただ俺らはそう説明を受けて……みんな世界のために死ねるならってんでよ……」

「ま、途中で病気になってみんな死んじまったけどな! あははははは!!」

マオ「…………」

847 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 20:58:22.04 TlYU3h1jo 478/671


「だから…… その剣を……使ってくれよ」

「俺らの悲願を…… 俺らの代わりに叶えてくれよ」

「骨からの……一生のお願いだ」

魔法使い「……もう一生を終えてる人から一生のお願いは聞けない」

戦士「へっ、そうだぜ。 そんなこと言われなくたって私らに任せろよ

遊び人「魔王はわしらが必ず倒してみせるわい。 安心して酒を飲んでおれ」

「へへっ…… ありがとうよべっぴんさんたち!」

「俺ぁ……嬉しくて涙が出ちまうよ……!」

「目ん玉ねえけど!」

戦士「ぶふっ!」

魔法使い「……いい話なところでそれはやめて…」プルプル

848 : ◆uXt/gTje0u4r - 2015/09/09 21:00:52.65 TlYU3h1jo 479/671


……………………………………


「じゃあな骨のある旅人さんたちー!!」

戦士「またなー!! あんまり飲みすぎるんじゃねえぞー!!」

魔法使い「……身体からすり抜けるだけなんだからね」

「へっ! 俺らの命! あんたらに託したぜ!」

戦士「おうっ!! 任せろー」

遊び人「達者での」





……………………
………………
…………



続き
王様「魔王を討伐して参れ」 魔王「分かりました」【後編】


記事をツイートする 記事をはてブする