鷺沢文香「…初めての、ライブ…」
P「緊張してるのか?文香」
文香「……人前は、苦手で…」
P「今日は顔見せみたいなモンだ。勝ち負けは気にせず気楽にやろう」
文香「…ですが……」
「大丈夫よ、文香ちゃん」
文香「あ……」
高垣楓「私もいっしょだから、安心してね」
文香「…楓さん……」
元スレ
鷺沢文香「…ほんの、お礼です………しおりだけに…」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371125987/
P「ま、楓さんがついてれば心強いだろ。
楓さんも、文香のフォローよろしくお願いします」
楓「はい、任せてください。先輩らしく、1000パーィセントの実力でがんばります」フフフッ
文香「………」
楓「さあ、いきましょうか。ファンの皆が待ってるわ」
文香「……ええと、はい…」
楓「もう、そんな不安そうな顔は、めっ」
文香「あっ……」
楓「初ライブは一度きりなんだから、楽しい思い出にしましょう、ね?」ニコッ
文香「………はい……」
………
……………
…………………
――――事務所
姫川友紀「プレゼント?楓さんに?」
文香「…はい……
楓さんには……ずっとお世話になっているので……」
友紀「確かに楓さん、随分ふみちゃんのこと気に入ってるからねー。
ふみちゃんの歓迎会の仕切りも楓さんだったし」
文香「……きのうのライブも、楓さんのおかげで、上手く行きましたし……
…日ごろの感謝も、こめて……」
友紀「いいじゃんいいじゃん!楓さんきっとよろこぶよー」
文香「……ですが、問題が……」
友紀「どったの?」
文香「……こういうとき、どんなものを贈ればいいのか、わからなくて……
…他人に贈り物なんて、経験がないので…」
友紀「あーなるほど。よっし!そういうことならこのユッキにまかせなさい!」
文香「…ありがとう、ございます……」
友紀「楓さんのよろこびそうなモノねぇー……あ、やっぱりお酒でしょ!」
文香「…お酒……買えません……」
友紀「あ゛……そっか、ふみちゃんまだ未成年だっけ」
文香「…はい……」
友紀「あ、じゃああたしが代わりに買ってきて……ってそれじゃあ意味ないか。
あと楓さんの好きなものって言ったら温泉かなぁ」
文香「温泉……」
友紀「まー温泉そのままもってくるのは無理だから、入浴剤とか?」
文香「……それは、ちょっと……」
友紀「そうかな?こういうのは気持ちの問題だよ!」
文香「…気持ち……」
友紀「そうそう!自分のことを考えて選んでくれたんだなって分かれば、
どんなものだって嬉しいはずだよ」
文香「…そう、ですか…」
………
……………
…………………
荒木比奈「気持ちが伝わる贈り物っスか?」
文香「……ええ……」
比奈「そっスねー。ベタな所で手作りのお菓子とかっスかね」
文香「……手作り……」
比奈「そうそう。クッキーとか」
文香「……あまり、手先が器用な方ではないので…
…作ったことも、ないですし……」
比奈「あーいや、ものの喩えッス。
あっ、形にのこるものでもいいかもしれないッスね」
文香「…形に、残るもの………?」
比奈「楓さんって結構カワイイところがあって、前にアタシ似顔絵を描いてあげたことがあるんスよ。
何のきっかけだったかはちょっと憶えてないッスけど」
文香「…はあ……」
比奈「スケブにサラサラッと描いただけだったんスけど、すごい喜んでくれたんス。
それで、この間ちょっと用があって寮の楓さんの部屋に行ったら、その絵が飾ってあって」
比奈「正直照れくさかったっすけど、あんなに喜んでくれたら絵描き冥利に尽きるってものッス」
文香「…………」
比奈「だから、気持ちの問題ってのも間違いじゃないと思うッスよ。
楓さんなら、どんなものでも大切にしてくれるッス」
文香「………そう、ですね……」
………
……………
…………………
――――女子寮
楓(―――ふぅ。遅くなっちゃった)
楓(夕飯食べ損ねちゃったし食堂でお夜食でも……あら?灯りが…)
文香「…おかえりなさい、楓さん……」
楓「文香ちゃん、まだ起きてたの?」
文香「…楓さんに、渡したいものがあって…待ってました……」
楓「渡したいもの?私に?」
文香「……これを…」スッ
楓「これは……栞?」
文香「……私、こんなものしか作れなくて…」
楓「文香ちゃんが作ったの?」
文香「…感謝を示すなら、手作りのものがいいと、比奈さんが……」
楓「感謝……」
文香「……ハルシャギク、という花なんです、それ…」
楓「ハルシャギク?」
文香「……花言葉は“上機嫌”というらしいです…」
文香「…楓さんは、いつも明るくて、楽しそうで……」
文香「……こんな私のことも、気にかけてくれて…」
文香「…アイドルを目指すことになって、不安なことだらけで…
……それはいまも変わらないんですが……」
文香「…それでも、ここまで私がやってこれたのは……
……楓さんの、おかげだと思うんです……」
文香「………だから、その…」
文香「…ほんの、お礼です………しおりだけに…」
楓「―――ふふっ」クスッ
文香「………すみません、変なことを言って……」
楓「ううん、違うわ。とっても嬉しいの」
文香「…楓さん………?」
ギュッ
楓「ありがとう、文香ちゃん。大切にするわね」ギュゥ
文香「!…………
……あの、楓さん……」
楓「私もね、昔は自分の意見をはっきり言うのが苦手だったの」
楓「だからかしら。文香ちゃんのことは放っておけなかったの。
―――なんとなく、昔の私みたいだったから」
文香「…楓さんが……?
……信じられません……」
楓「そう?でも……ううん、だから、文香ちゃんがこうしてくれたことがとても嬉しい。
私に、気持ちを伝えてくれたことがとても嬉しいの」
文香「…………」
楓「ありがとう、文香ちゃん」ギュゥ
………
……………
…………………
――――翌日
ブロロロロロ...
P「……へえー、文香がそんなことを」
楓「はい。私、とっても嬉しくて」
P「その栞は、今どこに?」
楓「ここに。手帳に挟んで、みんなに自慢してるんです」ホラッ
P「………あんまり大ごとにしたら文香がかわいそうですよ」
楓「むぅ、プロデューサーもちゃんと見てください」ホラホラ
P「今運転中ですから!わかりました、着いたらちゃんと見ますから!」
楓「でも、意外なこともあったんです」
P「意外?」
楓「あの文香ちゃんが、『しおりだけに、ほんのお礼』だなんて……、
ふふっ、どこで覚えてきたんでしょうね?」
P(どうかんがえても楓さんの影響だろ…………)
おしまい
16 : ◆r4vICyDKLo - 2013/06/14 00:13:37.96 ZxZFByPO0 15/15短いけどおしまいです。
書きたかったことの半分も伝わって無い気がするんだぜ……
では、HTML化依頼出してきます。
読んでくださってありがとうございます
※ちょっとだけ関係のある前作
モバP「文香が事務所に来て2カ月が経った」
https://ayamevip.com/archives/59233229.html
ちなみにハルシャギクっていうのは6月14日の誕生花です。楓さんおめでとう!