『100人以上の女の子から~、選んでっ!』
『よろしくお願いしますぅ!』
『うぅ~んっ、選んでっ!』
『ワンッ!』
『君だけのアイドルをプロデュース!アイドルマスター、シンデレラガールズ!』
『モバゲーで検索!』
凛「ふーん。ゲームのCMにも出てるんだ」
ハナコ「わふっ」
元スレ
凛「アイドルだって。すごいねハナコ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368859331/
凛「(私は渋谷凛、15歳。実家は花屋)」
凛「(家の手伝いをしていたある日、その人は私の前に現れた)」
凛「(彼は一言『アイドルをやらないか?』と私に尋ねてきた)」
凛「(私が答えに迷っていると『大丈夫、彼女なら間違いなく売れる』と後押ししてきた)」
凛「(その彼女は今、私に抱かれながら事務所に入ろうとしている)」
凛「(通学のついでに彼女の送り迎えをするのが、私の仕事)」
凛「(………どうしてこうなったのか、正直私にもよく分からない)」
ガチャッ
凛「おはようございます」
P「渋谷さん、お待ちしてましたよ」
凛「ほら、着いたよハナコ」
ハナコ「ワンワンッ!」ペロペロ
ちひろ「はい、おはようハナコちゃん」
P「ハハハ、おはようハナコ。今日も元気だな」
凛「(……どうもプロデューサーさん達には、ハナコが何を言っているのか分かるらしい)」
凛「(飼い主の私には全然分からないのに。不思議なこともあるものだ)」
凛「じゃあ私はこれで」
P「あぁ渋谷さん、ちょっと」
凛「?」
P「今度、彼女の初ライブをやる予定なんですよ」
凛「ライブですか?」
P「えぇ。ですからこのチケットをどうぞ」スッ
ちひろ「最前席なんですよ。是非見にいらして下さいね」
凛「(飼い主の特権だろうか、タダでライブチケットをもらえた)」
凛「(ライブのある日は丁度学校も休みなので、私はハナコの晴れ姿を見にいく事にした)」
~ライブ当日~
ガヤガヤ ザワザワ
凛「(初ライブとはいえ、周りは満席状態に近い)」
凛「(それだけハナコに人気があるって事なのかな)」
P「よーし、行くぞハナコ!」
ハナコ「ワンッ!」
凛「(あ、ハナコだ)」
みく「ふっふっふ……カモがネギしょってきたとは、この事にゃ~♪」
P「前川みく、君にLIVEバトルを申し込む!」
みく「ここはみくのホームにゃ。アウェーでLIVEバトルを仕掛けるその愚かさ……」
みく「存分に思い知らせてやるにゃ~!」クワッ
ハナコ「ウウウ~……!」
みく「フシャー!!」
凛「(ハナコと前川みくと呼ばれたアイドルは、互いに威嚇し合っている)」
凛「(……確か私はライブを見に来たはず……なのだが)」
P「……足だ!特訓の成果を見せろ、ハナコ!」
ハナコ「ワンッ!」
みく「にゃっ!?」
チョロロロロロロロロロロロロロ…
みく「」ビチャビチャビチャ
ハナコ「………わふっ」ブルルッ
P「決まった……!」
凛「えっ」
「前川みく、戦意喪失によりライブ続行不可能と見なし、勝者渋谷ハナコ!」
ウオオオオオオオオオオオオオオ!!!
凛「(ハナコが彼女の足にマーキング……と言うか、粗相をした)」
凛「(周囲で歓声が上がる……え?勝ち?……一体何に勝ったのこれ?)」
P「よくやったな、ハナコ!」
ハナコ「ワンッ!」
みく「よ、汚された……みくが、みくが汚されちゃったにゃあ……」ヘナヘナ
凛「(――ハナコの初ライブから半月程経ったが、私の近況は特に何も変わっていない)」
凛「(あれからハナコは順調に仕事をこなしているらしく、TVでの露出も徐々に増えてきた)」
凛「(先程見たCMも、きっとその一つなのだろう)」
凛「(……ライブの内容はともかくとして、ハナコの活躍は飼い主の私としては誇らしい限りだ)」
ガチャッ
凛「おはようございます」
奈緒「おう、おはよっす……ってあんた、見ない顔だな」
奈緒「もしかして、渋谷ハナコ?」
凛「いえ、違いますけど。ハナコはこの子です」
奈緒「そ、そっか。ならいいんだ……えっ?」
ハナコ「ワンッ!」
ガチャッ
加蓮「ねぇ、ちょっと!本気で言ってるの?」
P「あぁ、本気も本気だ。今日からは、彼女達と一緒にユニットを組んでもらう」
加蓮「彼女達って……」
奈緒「よぉ、加蓮」モフモフ
ハナコ「ワンッ!」
凛「おはようございます、プロデューサーさん」
P「あぁ、おはようございます渋谷さん。丁度今彼女に説明をしていたところでね」
加蓮「……ふーん」マジマジ
凛「……私に、何か?」
加蓮「奈緒はともかく、この子と会うのは初めてなんだけど」
P「そりゃそうだ、今週まで活動時間が違ったんだからな」
奈緒「お、おいバカッどこ舐めて……や、やめあはははははははっ!」モフモフ
P「さっきも言った通り、加蓮、奈緒……そしてハナコの三人で活動していくからな」
P「ユニット名は……」
ハナコ「ワンッ!」
P「あぁ、そうだ」
奈緒「へぇ、いい名前じゃん」モフモフ
凛「え?……い、今何て?」
加蓮「トライアドプリムス。ちゃんと人の話くらい聞いときなよ」
凛「(人の話と言うか、犬の話と言うか……)」
加蓮「……って言うか、想像してたのと全然違ったなぁ。結構普通なんだね」
凛「えっ?」
加蓮「アンタが渋谷ハナコなんでしょ?噂は聞いてるよ」
凛「……噂?」
加蓮「なんでも初ライブで、前川みくを立ちションで退けたアイドルだとか……」
凛「いや、全然まったく違いますけど」
加蓮「えっ?」
奈緒「ハナコはこっちだよ、加蓮」モフモフ
ハナコ「ワンッ!」
加蓮「!?じゃ、じゃあアンタは……?」
凛「私はハナコの飼い主です」
加蓮「冗談でしょ?正気?」
P「さっきから何度も言ってるだろう、本気だと」
加蓮「犬と組めって言うの!?」
P「彼女の実力は本物だ。俺が保証する」
加蓮「いや、実力以前の問題だと思うんだけど」
奈緒「なんだよ加蓮、コイツじゃ不満だってのか?」
加蓮「いやいやいや、奈緒まで何言ってんの?普通にダメだよねこれ?」
凛「(……何だろう、ようやくまともな人に出会えた気がする)」
ハナコ「クゥーン」
加蓮「あ、アンタがそんな事言ったってね、ダメなものは、ダメ……」
クラッ
加蓮「っ!」フラッ
P「!大丈夫か、加蓮?」
加蓮「こ、これ位、全然平気……何でもない、から……」
パタリ
奈緒「お、おい加蓮!?」
凛「すごい熱……!」
P「道理で顔が赤かった訳だ……どうしてこんなになるまで黙ってたんだ?」
加蓮「……言える訳、ないでしょ……?」
加蓮「最初は、適当だったのにさ……いつの間にか、アイドル……続けたいって思って……」
加蓮「でもやっぱり、ダメだね……アタシ、身体弱いし……体力ないし……」
加蓮「すぐ病気、かかっちゃうし……ユニットなんか、組めないよ」
加蓮「こんなんじゃ……絶対皆の足、引っ張っちゃうから……」グスッ
奈緒「加蓮、お前……」
ハナコ「ワンッ!ワンッ!」グイグイ
凛「な、何?」
P「そこのスタドリを取ってほしいそうだ」
凛「……スタドリって、これ?」
ハナコ「ワンッ!」ガシッ
グビグビグビ
凛「あ、ちょっと……ハナコ!?」
奈緒「スタドリ飲んで何する気だコイツ……!?」
ハナコ「ワンッ!」ダッ
加蓮「……えっ?」
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
加蓮「あっ、え……ち、ちょっと何すんっ……ひゃあぅっ!?」
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
加蓮「し、しょんなとこ舐めひゃ……ひ、ゃめへぇっ……ぁ、やぁっ!」
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
奈緒「お、おい!プロデューサー!」
P「あ、あぁ。これは……」
凛「(ハナコが物凄い勢いで全身を舐め回してる……)」
ちひろ「どうやらスタドリによるヒーリングを試みているようですね」
凛「(突然現れて何を言い出すんだろう、この人は)」
ちひろ「単なる経口摂取では、効果が出るまで時間がかかりますから」
ちひろ「彼女の全身に、口に含んだスタドリを一生懸命染み込ませようとしているんですよ」
奈緒「……し、舌で?」
ちひろ「はい。舌で」
凛「(んなアホな……)」
P「そんなやり方があったとは……ハナコ!後は俺に任せろー!」バリバリ
P「」ズタボロ
ちひろ「……どうやら、終わったみたいですね」
ハナコ「ワンッ!」
加蓮「グスッ……よ、よくも、ひゃってくれたね……この、バカ犬ぅ……っ!」
奈緒「……おい加蓮、もう大丈夫なのか?」
加蓮「もう大丈夫かって?そんなの……」
加蓮「あ、あれ……全然苦しくない」
凛「えぇっ!?」
加蓮「むしろ今までより、身体が軽くなって……ど、どういうこと?」
ちひろ「彼女が効率的にスタドリを使ったおかげですよ」
ハナコ「クゥーン」
加蓮「あ、アンタ……」
奈緒「なぁ、これでもまだハナコを認めないってのか?」
加蓮「………」
P「トライアドプリムス……良いユニットになりそうだな」
凛「(……ほ、ホントにこれで良かったのかな……?)」
凛「(トライアドプリムスのリーダーには、なんとハナコが選ばれた)」
凛「(プロデューサーさんの指名ではなく、奈緒さんと加蓮さんの推薦だ)」
凛「(その後はテレビCMのみならず、グラビア撮影、全国ツアー等でファンを増やしていき……)」
凛「(聞けば誰もが名前を知っている、そんなアイドルユニットに成長していった)」
凛「(ハナコの目覚ましい活躍は、確かに私も嬉しいのだけれど……)」
凛「(何故だろう。ものすごい不条理、理不尽さを感じる)」
凛「(アルティメット・クール……通称UCと呼ばれる、アイドル達のトーナメント)」
凛「(私は今、ハナコの飼い主としてプロデューサーさんの付き添いをしている)」
凛「(大事なLIVEバトルの決勝戦を前にして、身近な場所でハナコの応援をしてほしいらしい)」
P「渋谷さんがいれば、ハナコもいざという時に緊張しないでしょう」
凛「はぁ」
P「今回ばかりは、より万全の態勢で臨みたいんです……何しろ、相手が相手でね」
P「ここまできたら、負けられないよな!」
加蓮「そんなの当たり前でしょ!」
奈緒「優勝するのはアタシ達だって事、皆に教えてやろうじゃねーか!」
ハナコ「ワンッ!」
P「よし!行ってこい!」
凛「(舞台に上がっていく彼女達を見送る私)」
凛「(二人と一匹の私の犬が、ステージに……)」
幸子「フフン、決勝の相手はやっぱりトライアドプリムスですか……」
幸子「愚かですね。結局はボクのプロデュースする『ザ・勝ち組ーズ』が、一番クールだと言うのに」
幸子「ま、一番カワイイのはもちろんボクに決まってるんですけどね」ドヤァ
幸子「さぁ皆!全国のお茶の間に、誰が一番クールなのか……」
幸子「それを、分からせてあげましょう!」ビシッ
アナスタシア「ダー。報酬の肉じゃが、忘れないでね」
蘭子「悪姫たる私が、このような匹夫に使役されるなどと……!」
楓「よろしくピース」
奈緒「加蓮!ロシア人はアタシに任せろ!」ババッ
加蓮「ハナコ!あの25歳は、あなたが!」ダッ
ハナコ「ワンッ!」シュタッ
楓「……ふふふ」ゴゴゴゴゴ
ハナコ「ウウウ~……!」
凛「(これだけは言える。私の知ってるLIVEバトルと違う……うん、全然違う)」
P「ハナコ、最初から全力全開で行け!アレをやるんだ!!」
ハナコ「ワンッ!」
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
凛「(また物凄い勢いで全身を舐め回して……って言うかあれ、特技にしたんだ)」
P「やったか!?」
幸子「おやおや、もう使ってきたんですか?まるで節操がありませんね」ヤレヤレ
P「……何っ?」
幸子「幾人ものアイドルを舐め回し、戦意喪失させてきたその技……」
幸子「一番カワイイこのボクが、対策を取っていないとでも?」ドヤァ
ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ
楓「……こいかぜ」ペチッ
ハナコ「キャインッ」
凛「あっ」
P「ハナコ!!」
楓「その舌の動き……まさに舌(ぜつ)妙、ですね」
楓「が、効きません」フンス
P「そ、そんなバカな……!?」
幸子「フフン、どうですか?楓さんは、思考と身体を分離させる事が出来るんです」
凛「思考と身体を、分離?」
幸子「どのような刺激を身体に受けたとて、思考が上の空ではそれも届かない……」
幸子「そう!一番セクシーなこのボクの指示さえ、聞きやしないほどにね!」ドヤァ
P「クソッ!……今のハナコは、ながらプレイ中にガン無視されてる男だと言うのか……!」
凛「(例えが気持ち悪いんだけど……)」
楓「(肉じゃがもいいけど、やっぱり焼き鳥よね……)」ジュルリ
楓「金風の舞」ポカッ
ハナコ「キャンッ」
楓「神秘のオーラ」パシン
ハナコ「キャインッ」
P「いかん……こ、このままでは、ハナコが……!」
幸子「そろそろ一番天使なこのボクに、勝ちを譲っては?」
幸子「この光景にはボクも心が痛みます。だってボクは、心ある天使ですからね!」ドヤァ
凛「(人の犬を叩いたりはたいたりして……何なのあの人?)」イライラ
「もういい。そこまでだ」
楓「?」
P「!?」
凛「……?」
幸子「……そ、その声は……!」
武田「そう、僕だ」ババァーン
凛「……誰?」
武田「僕は武田蒼一。アルティメットクールの主催者にして、審査委員長だ」
武田「早速だが輿水くん。このLIVEバトルは……君達の、負けだ」
P「えっ!?」
幸子「な……ど、どうしてですか!?」
幸子「今の今まで、ボク達の方が優勢だったはず……!」
武田「確かに、君のユニットには僕も大いに興味が沸いた」
武田「その構成も、君のプロデューサーとしての手腕も、若輩ながら光るものがあった」
幸子「だ、だったら何故!?」
武田「敗因を挙げるならば、そうだな……」
武田「暴力はいけない」
幸子「あ」
武田「こればかりは空気など読むな、とは行かないんだよ」
武田「BPOでこれ以上、番組の趣旨についてとやかく言われるのは避けたいのでね」
P「そ、それじゃあ……」
武田「優勝は君達、トライアドプリムスだ」
奈緒「アタシ達……優勝したのか?」
加蓮「ほ、ホントに!?夢じゃ、ないよね……?」
ハナコ「ワンッ!」
P「……お前達、本当によくやったな!」
「「「プロデューサー!(ワンッ)」」」
幸子「ぼ、ボクが……一番セクシーなこのボクが、負けるなんて……!」プルプル
武田「安心したまえ。ただ負けただけだ」
幸子「……負けただけ?」
武田「あぁ。君達には、この番組最高の栄誉を与えよう」
アナスタシア「パチムー?……なぜ?」
武田「彼らよりも君達の方が、これから別撮りのメインイベントに対するリアクションが良いと判断したからだ」
楓「(焼き鳥にはもちろん、焼酎と併せて……そう、熱燗で)」ワクワク
蘭子「まさか、これは……神々の黄昏(ラグナロク)……!?」
武田「さぁ輿水くん、君もこちらに」
幸子「ぼ、ボクもですか?」
武田「もちろんだとも……では、始めるとしよう」
武田「――会場の諸君!君達が彼女達に求めるものは、何だ!?」
「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」
「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」「野球拳!」
幸子「!?」
武田「そう、お色気野球拳だ……あの頃は良い昭和だった。掛け値なしにね」
武田「さぁ、この勢いで裏番組をブッ飛ばそうじゃないか!」
凛「(こうしてハナコ率いるトライアドプリムスは、この権威ある歌番組で優勝を勝ち取り……)」
凛「(彼女達は、名実共にトップアイドルの座をいただくことになった)」
凛「(……それから間もなくして私が事件を知ったのは、奈緒さんの電話からだった)」
奈緒『なぁ、今日の新聞見たか!?』
凛「新聞?」
奈緒『いいから、一面を見てみろ!』
凛「一面って……」ピラッ
“熱愛発覚!?渋谷ハナコさん、お相手は担当のプロデューサー”
凛「」ブッ
奈緒『……ハナコの飼い主さん。あんた、これ知ってたか?』
凛「し、知らないよ、こんなの……!」
奈緒『お、丁度TVで記者会見が始まりそうだぞ!』
凛「………」ポチッ
パシャパシャパシャパシャパシャパシャ
小鳥『765テレビの音無です、質問よろしいでしょうか』
P『はい』
小鳥『ハナコさんが朝方、あなたの自宅から出てきたのは何故でしょうか?』
P『えぇー、スケジュールの都合上で、彼女とは一晩だけですね……』
小鳥『「ゆうべはおたのしみでしたね」そういうことなんですか!?』ガタッ
P『い、いえ、そう言う訳では……』
ハナコ『ワンッ!』
小鳥『えぇっ!?』
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ
P『お、おい、ハナコ……その話はまだ』
ハナコ『ワンワンッ!』
P『しかし……』
小鳥『あ、アイドルを引退される、という事はつまり……』
凛「引退するの!?」
ハナコ『ウー……ワンッ!』
小鳥『私達、結婚しますって……け、結婚!?』
パシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャパシャ
凛「」
P『……えー。会見は、以上にしたいと思います』
小鳥『ち、ちょっと待って下さい!式はいつ頃に!?』
『――このようにして会見でアイドルの引退、そして結婚発表を行った渋谷ハナコさん』
『ハナコさんをよく知ると言われる、M.M氏はこう語る……』
M.M『あの子はどこかしこにマーキングしてるからにゃあ~』
M.M『(ピー)はいつかこうなると思ってたのにゃ!』
M.M『今までにも彼女は色んなアイドルに手を、というか舌を出してきたけれど……』
M.M『結局はメスい(ピー)ったって事にゃ。とんでもない淫乱ビッ(ピー)ゃ!』
(※プライバシー保護の為、音声を変えています)
瑞樹『えー、と言う訳なのですが……』
瑞樹『今日は元アイドルで現在は一児の母である、日高舞さんにお越し頂きました』
舞『はいどうも~』
瑞樹『日高さんは、この突然の発表をどう思われますか?』
舞『別にいいんじゃない?本人の希望なんでしょ?』
舞『周りがとやかく言う事じゃないと思うんだけど』
瑞樹『それは……』
舞『アイドルである前に一人の人間、女の子なんだし。皆もっとあれ位、素直になるべきよ』
凛「(いや、犬なんですけど)」
舞『自分が欲しいと思ったものなら、自分で駆けあがって、ぶんどって来なきゃ』
舞『それがトップアイドルの座であれ、惚れた男であれね。思い立ったが吉日って言うじゃない?』
瑞樹『……わかるわ。それ、すごくわかる』
舞『でしょ~?』
瑞樹『あっ……え、えー。それでは次のニュースです――』
凛「(この発表の後、あのプロデューサーさんから連絡が来た)」
凛「(飼い主としては、ハナコが自分で決めたことならと、彼の申し出を受け入れる事に……)」
凛「(……色々とおかしい。なぜこうもあっさり結婚を許したのだろうか、私は)」
~式当日~
クラリス「――渋谷ハナコを妻とし、健やかなる時も、病める時も……」
クラリス「富める時も貧しき時も、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
P「誓います」
クラリス「汝渋谷ハナコは、彼を夫とし、健やかなる時も、病める時も……」
クラリス「富める時も貧しき時も、死が二人を分かつまで、愛し合うと誓いますか?」
ハナコ「ワンッ!」
凛「(一体何をどう転べばこうなるのだろう)」
リンゴーン リンゴーン
奈緒「ハナコー!幸せになれよぉー!!」
加蓮「おめでとう。今のハナコ、とても綺麗だよ」
ちひろ「挙式の費用は全額私が出しました」キリッ
クラリス「これだから冠婚葬祭はやめられませんね」モグモグ
小鳥「ブーケ!ブーケはまだ投げてないわよね!?」
P「渋谷さん……俺、絶対ハナコを幸せにしてみせます!」
ハナコ「ワンッ!」
凛「(私の目に映るこのとても不釣り合いな二人は、すごく幸せそうだった)」
凛「(その姿は眩しすぎて私には見てられない。色んな意味で)」
凛「(そう、とても眩しくて……眩しくて)」
凛「(目も開けられないほど、眩しく――)」
凛「(―――)」
―――――
―――
―
チュンチュン…
凛「……ん……」
ハナコ「わふっ?」パタパタ
凛「んぅ……へぁっ!?」
ガバッ
凛「ちょっと……もう、私の頭の上で寝ちゃダメでしょ?」
ハナコ「クゥーン」
凛「(私は渋谷凛、15歳。実家は花屋)」
凛「(アイドル候補生としてレッスンを受けていたある日、その人は私の前に現れた)」
凛「(彼は私に会うなり『今日から俺が君のプロデューサーだ』と言ってきた)」
凛「(そして『大丈夫、君なら間違いなく売れる』とも後押ししてきた)」
凛「(今朝のあれは……夢、なのだろうか)」
凛「(それにしては、鮮明に内容を思い出せる……)」
ガチャッ
凛「おはようございます」
奈緒「おう、おはよっす……ってあんた、見ない顔だな」
奈緒「もしかして、渋谷凛?」
ハナコ「ワンッ!」
奈緒「あれ?凛ってこっちか?」
凛「違います。この子はハナコです」
奈緒「だよなー、あはは」
ガチャッ
加蓮「ねぇ、ちょっと!本気で言ってるの?」
P「あぁ、本気も本気だ。今日からは、彼女達と一緒にユニットを組んでもらう」
加蓮「彼女達って……」
奈緒「よぉ、加蓮」モフモフ
ハナコ「ワンッ!」
凛「(私は彼女達のことを知っている。まだ会ったことも無いのに)」
凛「(……何故だろう。このやり取りにデジャヴを感じる)」
凛「おはよ、プロデューサー」
P「あぁ、おはよう。今加蓮に説明をしていたところだよ」
加蓮「……ふーん」マジマジ
凛「……私に、何か?」
加蓮「奈緒はともかく、この子と会うのは初めてなんだけど」
P「そりゃそうだ、今週まで活動時間が違ったんだからな」
奈緒「お、おいバカッどこ舐めて……や、やめあはははははははっ!」モフモフ
P「さっきも言った通り、凛、奈緒……そして加蓮の三人で活動していくからな」
P「ユニット名は……」
凛「トライアドプリムス」
奈緒「へぇ、いい名前じゃん」モフモフ
P「?……あれ、凛にはもう話してたっけ?」
凛「う、うん」
凛「(間違いない。私が見た夢の内容と、現実の展開が完全にダブっている)」
凛「(違いは、私がアイドルであるか、ハナコがアイドルであるかというだけ……)」
加蓮「……想像してたのと、全然違うなぁ。結構普通なんだね」
凛「えっ?」
加蓮「アンタが渋谷凛なんでしょ?噂は聞いてるよ」
凛「……噂?」
加蓮「なんでも初ライブで、前川みくを立ちションで退けたアイドルだとか……」
凛「いや、全然まったく違いますけど」
加蓮「えっ?」
P「ハハハ、立ちションをかましたのはそっちのハナコだよ」
奈緒「こら、アイドルにそんなことしちゃダメだろー?」モフモフ
ハナコ「クゥーン」
凛「(現実ではライブが終わった後、悔しがる前川みくに絡まれて……)」
凛「(私のそばに駆け寄ったハナコが、彼女に立ちションをしたのだ)」
凛「(流れは違っているが、大体あっている。だけど私は断じて立ちションなどしていない)」
凛「(……そう、私は断じて、立ちションなど、していない)」
加蓮「私にユニットなんて……無理だよ、そんなの」
P「いや、君の実力は本物だ。俺が保証する」
加蓮「実力以前の問題だと思うんだけど」
奈緒「なんだよ加蓮、コイツじゃ不満だってのか?」モフモフ
加蓮「その犬は関係ないでしょ!……そうじゃなくて!」
凛「(……となると、この後彼女は……)」
P「どうしてそう卑屈になるんだ」
加蓮「私の事は、私が一番良く分かっ、て……」
クラッ
加蓮「っ!」フラッ
P「!大丈夫か、加蓮」
加蓮「ほ、ほらね……私、体力はからっきし……」
パタリ
奈緒「お、おい加蓮!?」
凛「やっぱり、すごい熱……!」
P「道理で顔が赤かった訳だ……どうしてこんなになるまで黙ってたんだ?」
加蓮「……言える訳、ないでしょ……?」
加蓮「最初は適当だったのにさ……いつの間にか、アイドル……続けたいって思って……」
加蓮「でもやっぱり、ダメだね……私、身体弱いし……」
加蓮「すぐに病気、かかっちゃうし……ユニットなんか、組めないよ」
加蓮「こんなんじゃ……絶対皆の足、引っ張っちゃうから……」グスッ
奈緒「加蓮、お前……」
ハナコ「ワンッ!ワンッ!」グイグイ
凛「………」
凛「(夢では確かこの時、ハナコはスタドリを口に含んで……)」
凛「(彼女を……………)」
凛「ちょ、ちょっと待って」
P「どうした、凛?」
凛「……私にやれってか。舐め回せってか」
ハナコ「ワンッ!」ハフハフ
凛「いや、ワンッ!じゃなくてさ。ご丁寧にスタドリ持ってきてるし……」
P「奈緒、ちひろさんに加蓮のことを知らせてくれ!彼女は俺が病院に連れていく」
奈緒「わ、分かった!」ダッ
凛「(ほら、私が特に何もしなくても、事態は解決に向かって……向かって……)」
凛「ま、待って!」
P「ん?」
凛「(確かこのイベントをこなした後、ハナコは……)」
凛「(そう、ユニット結成後はトントン拍子に大成功、トップアイドル一直線で……)」
凛「(その後は、彼……プロデューサーと…………け、けっ……)」
P「何だ、一体どうしたんだ凛!?」
凛「(……も、もしかして……)」
凛「(今ここで彼女を舐め回さなければ、あの未来は無いと言うの……!?)」
ハナコ「ワンッ!」コクリ
凛「(スタドリを口に含んで、その……全身を舐め回せば、明るい未来が待っている……)」
凛「(代わりに人として大事な何かが失われるだろう。確実に)」
凛「(……ハナコが私の代わりに舐め回すと言うのは……)」
ハナコ「………」ブンブン
凛「(はじめてハナコに拒否された。どうやら本当に私がやらないと駄目らしい)」
加蓮「……はぁ、はぁ……」ケホケホ
P「……なぁ凛。加蓮もキツいんだよ……何で呼びとめたんだ?」
凛「え、えっと……その……………わ、私っ……!!」
未央「さぁーて、ここに来て究極の選択を迫られるしぶりん!」
未央「……舐めるのか!?ガチで舐め回しちゃうのか!?」
卯月「スタドリに病気を治す効果があるなんて、とってもオカルトですね!」
未央「しかしホント、どんなプレイだよって話だよね!」
卯月「でも、いざ本番という時には使ってもらいたいアイテムですよね!スタドリだけに!」
未央「もー、しまむーったらエッチなんだからっ!」バシーン
卯月「さて次回!アイドル伝説ペロ凛、第二話!」
未央「『先にシャワーを浴びてきて、加蓮』」ボソッ
卯月「私、来週も頑張ります!見てて下さいね、プロデューサーさんっ!」ギュッ
おわり
91 : VIPに... - 2013/05/18 19:10:57.80 du1yEAjHo 65/68何が何だかわからない・・・・・・
92 : VIPに... - 2013/05/18 19:13:50.60 GH+P4i8W0 66/68ほんとに終わり?
93 : VIPに... - 2013/05/18 19:21:09.71 qhA+N2Svo 67/68着地点どうするかって考えたら
うづみおにブン投げる他なかったんだ、すまない
96 : VIPに... - 2013/05/18 20:42:25.14 RV6Syj3d0 68/68なんだったんだwww