【閲覧注意】
元スレ
穂乃果「あなたは…誰なの?」ヴィオラ「……」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396885488/
・ラブライブ!×魔女の家
・グロ、死亡描写あり
人によっては不快感を感じるかもしれません。
ホラー要素が苦手な方はスレを閉じることをお勧めします。
穂乃果「はぁ~今日も授業疲れた…」
海未「何をどうしたら疲れてるのですか?殆ど寝ていましたのに…」
穂乃果「寝疲れだよ!」
海未「自信ありげに答えないでください!」
ことり「あはは…でもそのおかげで今日の練習も頑張れそうだねっ」
穂乃果「うんっ!今日も張り切って行こうよ!」
海未「全く穂乃果は…」
ガチャ
穂乃果「こんにちはー!」
凛「あ、穂乃果ちゃん達お疲れー」
海未「おや、もう全員集まっていたのですね」
真姫「たまたま早く終わったのよ」
絵里「私たちも今日は生徒会の集まりが無かったらかすぐに部室に来ることができたわ」
にこ「やっぱりここが一番落ち着くわねー」
希「それ、何だか引きこもりみたいな言い方やんな」
にこ「うるさいわね!誰が引きこもりよ!」
凛「にこちゃんが言うとリアリティありすぎて冗談にならないにゃー」
花陽「り、凛ちゃんそういう事は思ってても黙っておいたほうが…」
にこ「こらー!その話もうやめなさーい!」
ことり「えへへ…今日も賑やかだね」
海未「少しハメを外しすぎな気もしますが…ラブライブまでの時間も迫っていていますので適度な緊張は持って
頂きたいですね」
絵里「はーい、じゃあみんな今日の練習メニューを言うわよー」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
穂乃果「あー疲れたー」
ことり「いい汗かいたねー」
花陽「も、もう動けない…」
にこ「なっさけないわねー、もうちょっとにこの機敏さを見習いなさいよー」
真姫「にこちゃん足が笑ってるわよ」ツン
にこ「ひぎぃ!」
希「にこっちはもうちょっとスタミナをつけないといかんね。今度みんなでマラソンでもしよっか」
花陽「ま、マラソン…」
凛「いいね!やろうよー!」
絵里「いいアイデアね、ライブは体力勝負だから持久力を鍛えることは基本だわ」
海未「では練習メニューに加えておきましょう。これからも厳しくいきますよ」
穂乃果「ひえぇ…お手柔らかにぃ…」
絵里「…ん?誰ー?こんなところに手紙落としたのー」
ことり「手紙?」
凛「もしかしてラブレター!?」
にこ「ちょっとやめなさいよー自分はモテるわよアピール」
絵里「私のじゃないわよ…それにモテるって」
希「宛名は書いてある?」
絵里「ええっと…ないわね」
穂乃果「ちょっと中身見てみようよ」
海未「ダメですよ。勝手に見てしまっては…」
穂乃果「でも見ないと誰の手紙なのか分からないじゃーん」
海未「それはそうですが…」
真姫「いいんじゃない?持ち主に渡す時ちゃんと説明すれば」
絵里「うーん…書いた人には悪いけど少し拝見させてもらいましょう」
穂乃果「うわぁどんな内容なんだろう~」
海未「穂乃果、悪趣味ですよ」
凛「オープンにゃー!」
『遊びに行くのはかまわないが、あまり森の奥には
近づかないようにな。早く帰ってくるように。
父より 』
ことり「…?」
凛「んんー?」
にこ「何これ?ラブレターじゃないじゃん」
海未「そうですね…というよりこれは」
穂乃果「ねーねー何て書いてあるのー?穂乃果にも見せてよー」
花陽「あっ穂乃果ちゃん危ないよぉ」
真姫「…ねぇ、それより何でこの手紙、破れてるのよ…?」
ことり「あっ、ホントだ」
海未「凛…もしや貴女」
凛「違うよ!?最初っから破れたままだったよ!」
絵里「とすると…誰かのイタズラの後かしら?」
真姫「イタズラ?」
希「この手紙がドッキリか何かに使われた後で、そのまま捨てられたって考えるね」
穂乃果
「でもなんで私たちの部室に?」
にこ「どうせ適当にどこにでもいいから投げつけたんじゃないの?全く迷惑な話ねー」
花陽「でも、そう考えるとちょっと嫌だね…」
凛「そうだよー。せっかく誰かのラブレターだと思ったのに…」
海未「そこではないでしょう…これは処分しておきましょう」
穂乃果「そうだね、穂乃果捨ててくるよ」カサッ
ゾクッ
穂乃果「…!?」ブルッ
ことり「穂乃果ちゃん?」
穂乃果「…えっ?」
海未「どうしたのですか?固まって…」
穂乃果「う、ううん何でもないよ!」
海未「…?」
絵里「さっ、問題も解決した事だし、今日はもう遅いから帰りましょう」
にこ「さんせー。私先に帰るわよー」
凛「凛も今日はかよちんと真姫ちゃんと緒にラーメン食べに行く約束があるんだにゃ!行こうかよちん!」
花陽「うんっ、じゃあねみんな」
真姫「それ、気味悪いからさっさと捨てといてね」
希「気をつけて帰るんやで」
穂乃果「ばいば~い」
海未「では私たちも帰りましょう」
ことり「そうだね。穂乃果ちゃん一緒に帰ろうっ」
穂乃果「うんっ」
-その夜-
穂乃果「んー!今日もいっぱい動いたなー」
穂乃果「そろそろライブも近いし早めに寝ないと…」
穂乃果「体調管理は基本中の基本です!って海未ちゃんに言われちゃうしね…」
穂乃果「さーて明日の準備を…」カサッ
穂乃果「…えっ」
穂乃果「この手紙…確か部室のゴミ箱に捨てたはずだよね?」
穂乃果「何で穂乃果の鞄の中に…」
ゾクッ
穂乃果「うっ!…ま、またっ…」
穂乃果「き、気持ち悪い…窓から捨てちゃえっ」ガララッ
穂乃果「えいっ!」ポイッ
穂乃果「…ふぅ」
穂乃果「勘弁してほしいよもう…穂乃果ホラー苦手じゃないけど実体験は流石に怖いよ…」
穂乃果「ううっ…何か怖くなってきた!寝る!もう寝る!おやすみなさーい!」
穂乃果「…怖くて寝れない」
穂乃果「うぅ…こういう時はアルパカを数えてさっさと寝ちゃおう」
穂乃果「アルパカが一匹…アルパカが二匹…」
穂乃果「ぐう」Zzz…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
-森-
穂乃果「……」
穂乃果「…ん、んぅ…」
穂乃果「あれ…ここどこ?」
穂乃果「…えっ」
ガバッ
穂乃果「な、なにこれ…!?」
穂乃果「木がいっぱい…森かな」
穂乃果「…何で森の中に?」
穂乃果「もしかして夢なのかな…」グニッ
穂乃果「…痛い、夢じゃない」
穂乃果「夢、じゃない…?」
穂乃果「どういう事…?穂乃果確か自分の家で寝てたよね…」
穂乃果「だったどうしてこんな所に…」ガサッ
穂乃果「!?」
ヴィオラ「……」
穂乃果「だ…誰?」
ヴィオラ「……」
穂乃果「……」
穂乃果(何も喋ってくれないなぁ…もしかして日本人じゃないのかな?)
穂乃果「ハ、ハロー!」
ヴィオラ「……」
穂乃果「あの、私高坂穂乃果って言うんだけど…あなたの名前はなんて言うの?」
ヴィオラ「……」
穂乃果「……」
穂乃果「えっと…どうしよう」
穂乃果「取り敢えずここから出ないと…」ガサッ
ヴィオラ「……」テクテク
穂乃果「…!?」
穂乃果「穂乃果と同じ方向に歩いてる…?」
ヴィオラ「……」ピタッ
穂乃果(…穂乃果が止まったらこの子も止まっちゃった)
穂乃果「…何だか気味悪いなぁ」
穂乃果「ねぇ、イタズラならちょっと止めてほしいなぁって…」
スルッ
穂乃果「…すり、抜けた?」
ヴィオラ「……」
穂乃果(ヤダ…怖い…)
穂乃果「もしかして、幽霊…?」
穂乃果「……」
ヴィオラ「……」テクテク
穂乃果「うぅ…何がどうなってるの…?」
ヴィオラ「……」テクテク
ヴィオラ「……」ピタッ
穂乃果「なに、コレ…?」
穂乃果「薔薇…でも。これって大きすぎるよ!」
穂乃果「ここからは通れない…のかな」
キランッ
穂乃果「…!」
穂乃果「あっちで…何か光ってる!」
【マチェットを 手に入れた】
ヴィオラ「……」
穂乃果(穂乃果が拾おうとしたら、あの子が拾っちゃった)
穂乃果「…マチェットって何だろう?」
穂乃果「これ、カッターみたいにして使えるかも!」
ヴィオラ「……」テクテク
穂乃果「…バラが茂ってる方に行こうとしてる」
穂乃果「何で穂乃果の考えてる事と同じ行動をするの…?」
ヴィオラ「……」ガキンッ
穂乃果「…ダメだ。茎が固くて切れない」
穂乃果「やっぱりここからは出られないんだ…じゃあ」
ヴィオラ「……」テクテク
穂乃果「…うん、上に行くしかないよね」
ヴィオラ「……」ピタッ
穂乃果「あっ…こんな所に立て札があったんだ」
穂乃果「えっと…」
【 ↑ ……の家 ↓ 森の出口 】
穂乃果「…やっぱりあのおっきな薔薇の向こうが出口なんだ!」
穂乃果「何で通れないんだろう…」
穂乃果「…もしかして、閉じ込められてる?」
穂乃果「…それに、この『……の家』って」
穂乃果「文字が掠れて見えない…誰か住んでるのかな」
ヴィオラ「……」テクテク
穂乃果「……」テクテク
穂乃果「…!また薔薇だ!」
穂乃果「でも今度は小さい…これって」
ヴィオラ「……」シャッ
ザクッ ザクッ
バサッ…
穂乃果「切れた!」
パキンッ!
穂乃果「ひゃ!?」
【マチェットは壊れてしまった。】
ヴィオラ「……」
穂乃果「…壊れた」
穂乃果「錆びてたからかな…?」
穂乃果「もっと使い道があると思ったんだけどなぁ…」
穂乃果「…ここから先に、進むんだよね?」
ヴィオラ「……」
穂乃果「…すごく嫌な予感がする」
穂乃果(でも、向こう側にはいけないし…)
穂乃果「…うん、行ってみよう」
ヴィオラ「……」テクテク
――――――――――――――――
ヴィオラ「……」テクテク
穂乃果(…この子、穂乃果が思ってる方に歩くし、考えてる事をやってくれる)
穂乃果「もしかして…この子は穂乃果の分身?」
穂乃果「あはは…流石にそれはないかな」
穂乃果「でもそれだと…ん?」
黒猫「」
穂乃果「…猫?」
ヴィオラ「……」
穂乃果「野良猫かな?」
穂乃果「でもよかったぁ…動物も何もいないからてっきり穂乃果とこの子だけなんじゃないかって」
黒猫「…あれ?どうしたの?」
穂乃果「ひゃあっ!?」
ヴィオラ「……」
黒猫「………」
黒猫「ふーん。花が出口をふさいじゃって 出られないんだ。」
穂乃果「ね、猫が喋って…」
ギ ィ ィ ィ …
穂乃果「ひっ…!」
穂乃果「…と、扉が勝手にっ…!」
黒猫「入ってみたら?」
穂乃果「えっ…」
黒猫「どうせ、ここから出られないんだし。」
ヴィオラ「……」
穂乃果「ね、ねぇ…それってどういう」
プツン
――――――――――――――――
-???-
穂乃果「…あれ?」
海未「ほ、穂乃果!」
ことり「穂乃果ちゃん!」
穂乃果「えっ…?海未、ちゃん?…ことりちゃん」
真姫「よ、よかった!こっちに来てくれた!」
凛「もうっ!みんなずっと穂乃果ちゃんの事呼んでたのに全然反応してくれないからすごく怖かったんだよっ!」
花陽「よ、よかったぁ…うっ…ぐすっ…」
穂乃果「真姫ちゃん…みんな…?どうしてっ…」
絵里「…それはこっちが聞きたいわ。私達はてっきり穂乃果だけがこの状況を知ってると思ってたの」
希「でも、穂乃果ちゃんのその反応からして…何も知らないみたいやね」
にこ「なによここ…何が一体どうなってるのよっ…!」
穂乃果「ね、ねぇ…穂乃果をずっと呼んでたって」
海未「…先程、この部屋全体がモニターのようになっていて」
ことり「そこに、森の中で歩いてる穂乃果ちゃんが映ってたの」
穂乃果「…えっ?」
絵里「信じられないと思うけど、本当なの」
花陽「え、えっとね…まるで私達もそこにいるみたいにすっごくリアルで…」
凛「でもこっちから呼んでも全然聞こえてなかったね…」
穂乃果「…そうなんだ」
真姫「ねぇ、さっきまで何してたのよ?」
穂乃果「えっ?」
真姫「ずっと一人でウロウロして…なにか思い立ったように薔薇を切り出して」
穂乃果「それは出口が…えっ」
穂乃果「ちょ、ちょっと待って!」
真姫「きゃっ…!な、何?」
穂乃果「今…一人でって言った?」
真姫「言ったけど…」
穂乃果「ひとりじゃないよ!穂乃果ずっと女の子の後ろにいたんだよ!」
穂乃果「それにバラを切り裂いたのは穂乃果じゃ…」
海未「ほ、穂乃果…貴女は一体何を言っているのですか?」
穂乃果「海未ちゃんも見てたよね?穂乃果ずっとあの女の子と二人で…」
絵里「…真姫の言っている事は本当よ」
絵里「穂乃果、貴女は一人で彷徨いて…一人で薔薇を引き裂いてた」
穂乃果「そ、そんな…」
ことり「えっと…穂乃果ちゃんの他にも誰かいたの?」
穂乃果「…うん」
穂乃果「白いワンピースを着た…金髪の女の子」
希「……」
花陽「そ、そんな子いたかな?」
凛「ううん?凛は見てないよ」
にこ「ね、ねぇ…その女の子、本当にいたの…?もしかしたら最初っからいなかったとか…」
真姫「や、やめてよ…!」
穂乃果「…穂乃果にもよく分からない」
穂乃果「でも、確かに一緒にいた筈…」フッ
ヴィオラ『……』
穂乃果「っ!?」
穂乃果「な、なんでっ…!」
海未「これですっ!さっきと同じように映っています!」
ことり「そ、それよりもあれっ…!」
真姫「白いワンピース…金髪」
花陽「さっき穂乃果ちゃんが言ってた…!」
にこ「穂乃果!あの女の子で間違いないわよね!?」
穂乃果「う、うんっ!でも…」
ヴィオラ『……』テクテク
穂乃果「…何、してるの?」
ヴィオラ『……』テクテク
穂乃果「家の中に入った…」
海未「…小さい家ですね」
絵里「…ん?ねぇちょっと見て」
花陽「えっ?」
絵里「この部屋の真ん中…何かで汚れてるわよ」
穂乃果「…あっ本当」
ダンッ!
ダンッ!
ダンッ!
ダンッ!
ダンッ! ダンッ!
ダンッ!
ダンッ!!
穂乃果「…え?」
…いきなり連れてこられら森の中 大きな家に小さな部屋。
少女が部屋の中心に立つと、突然部屋が動き出す。
勢いよく動き出す壁、それは小さかった部屋をさらに圧縮させる。
やがて壁は少女の場所までたどり着き、止まることなく―
ぐちゃっ
―…少女の身体を肉塊に変えた。―
穂乃果「あ…あっ…ああああああああっ!!」
海未「いっ…いやあああああああああああっ!!!」
ことり「きゃああああああああああっ!!!」
やがて部屋は元の姿へと戻る。まるで何もなかったかのように。
少女だったものは骨を砕かれ 内蔵が破裂し 重力に任せその場に音を立てて落ちていった。
ボトッ ベチャ
花陽「うっ…げっ…おえぇっ…!」
凛「あっ…やっ…やだっ…」
真姫「な…何よ…これっ…!」
にこ「なっ…何が起こったって言うのよおおっ!?」
絵里「ひ、人がっ…!つぶっ…潰れてっ…!」
希「なんで…何が…こんな…こんなのっ…!」
―しばらくすると少女の肉塊は青紫の粒子へと変化し、跡形もなく消えた。
その場に 血の跡だけを残して…―
.
穂乃果「な…なに…これっ…」
穂乃果「死んだの…?女の子が…?」
穂乃果「あの…場所に…立ったから…?」
穂乃果「なんでっ…!どうしてっ…!」
にこ「出てきなさい!いるんでしょ!?私たちをここに連れて来た犯人!」
にこ「私達に…こんな物見せてっ…!何がしたいって言うのよぉ!!」
凛「に、にこちゃん…」
にこ「出てきなさいよぉ!ここから出しなさい!出せ!出してっ!出してええええ!!!!」
にこ「いやだぁ…家に帰りたいっ…帰してよぉ…」
希「にこっち…」
穂乃果「…海未ちゃん、大丈夫?」
海未「ひぐっ…うっ…だ、大丈夫…です…」
ことり「どうして…どうして…こんな事にっ…」
穂乃果「分からないよ…穂乃果だって…何が起こってるのか…」
真姫「ね、ねぇ…!みんなっ…!」
真姫「絵里がっ…絵里がいない!」
穂乃果「えっ!?」
希「絵里ち…!?どこっ!?どこに行ったの!?」
にこ「ちょ、ちょっと!冗談やめなさいよ!有り得ないでしょ!?」
凛「そ、そうだよ…きっとこの部屋の片隅に座って震えてるだけで…」
花陽「あっ・・・ああ・・・あああああああああああっ!!!」
穂乃果「かよちゃん!?」
花陽「ま、前っ…前にぃっ!」
絵里『………えっ?』
.
絵里『な、なんで!?どうして私がっ…!』
絵里『みんなっ…!みんなどこっ!?何処にいるの!?』
希「絵里ち!絵里ちこっち向いて!返事して!」
海未「聞こえていない…?」
ことり「これって…もしかして」
穂乃果「穂乃果と……同じ、なの?」
【To Be Continued…】
-森-
絵里「ど、どうして私が…」
絵里「さっきの穂乃果の状況が…今の私だって言うのっ…?」
絵里「一体何がどうなって…」
絵里「…っ!?」
ヴィオラ「……」
絵里「あ、あなたっ…な、なんで…どうしてっ…!?」
絵里『…!……!』
真姫「今度は絵里が…何でっ…」
にこ「分からないわよっ…どうしてこんな事に…」
海未「しかし…現にここから絵里が消え、こちら側から絵里が見えている」
花陽「つ、つまりこれって…」
凛「凛たちも…あっちに行く事になるの…?」
ことり「そ、そんなっ…」
にこ「い、嫌よっ!にこあんな所行きたくないっ!」
海未「私だって行きたくありませんよっ!でも穂乃果がこっち側に来てもう安心だと思ったら…」
海未「結局私たちもここから出ることが出来なかったじゃないですかっ!」
海未「そして絵里が消えて…今度は絵里が穂乃果と同じ状況に陥ってしまった…!」
「つまり…ここから私達が脱出出来ない限りっ…!」
.
-森(……の家 前)-
ヴィオラ「……」
絵里「どうして…あなたがここに…」
ヴィオラ「……」
絵里「…答えてはくれないのね」
絵里(どういうことかしら…彼女はさっき、この家の扉から入って…あの部屋に)
絵里(でも私がここに来て、彼女がまだ生きている…)
絵里(……)
絵里「この場所は、穂乃果があの部屋に戻ってきた?場所よね…?」
絵里「えっと…穂乃果は確かここにいる黒猫に話しかけてた筈」
絵里「それなら…」
黒猫「」
絵里「あ、いたわ。…ねぇ、ちょっと聞きたいことがあるのだけど」
黒猫「……」
絵里「…?」
絵里(喋ってくれないの…?穂乃果の時は喋っていたのに…)
ヴィオラ「……」
絵里「…いつまで経ってもさっきの場所には戻らない」
絵里(この子も全然…いや、私が動こうとしないから動かないの?)
絵里「…このままじゃ埒があかないわ」
絵里「つまり…」
ヴィオラ「……」テクテク
絵里「…入るしかないのね。この屋敷に」
-…の家 入口 -
ヴィオラ「……」テクテク
絵里「…ここは」
絵里(部屋には照明が二つ…その間に扉)
絵里(確かさっきの映像には部屋の真ん中が汚れていた筈だけど…この部屋にはないわ)
絵里(つまりさっきの部屋は実際にはないの?それとも…)
ヴィオラ「……」ガチャ
絵里「…予想が的中していなければいいのだけど」
――――――――――――――――
-小部屋-
ヴィオラ「……」ガチャ
絵里「っ…!やっぱり」
絵里「この扉が…この部屋の入口だったのね」
絵里(確かにこの部屋の真ん中に彼女が立ったときに…)
絵里「…!」
絵里「これっ…ただの汚れじゃない…血の跡じゃないのっ…!」
絵里(どういう事…?つまりさっき見た映像は本物だって言うの…?)
絵里「でも…彼女はここに…」
ヴィオラ「……」
絵里(振り向きもしない…何も動揺してない…)
絵里(まるで自分に意思がないみたいだわ…)
絵里「…取り敢えず、この場所は避けて通りましょう」
絵里「でも他に扉らしきものはないし…その前の部屋にも特に道らしきものなんて…」
絵里「…ん?」
絵里「…部屋の血痕に気を取られて、全然見えてなかったわ」
絵里「何よ…この見てくださいと言わんばかりの、張り紙…」
【わたしの へやまで おいで】
絵里「…部屋?部屋なんて何処に」
ボッ
絵里「ひっ…!」
絵里「か、紙が…燃えてっ…」
絵里「ほ、他に何か変化したものは…!」
ヴィオラ「……」
絵里「…何も、無い」
ヴィオラ「……」
絵里「…はぁ、もう意味が分からない」
絵里「取り敢えず、さっきの部屋に戻って…」
ガチャ
絵里「!?」
絵里「えっ…どうして…っ」
絵里「ここ…さっきの部屋じゃないっ…!」
絵里「ここにあったのは照明だけの筈…」
絵里「花瓶なんて…なかった!」
-最初の部屋-
ヴィオラ「……」
絵里「な、何が起こって…」ドンッ
絵里「痛っ…えっ?」
絵里「さ、さっき開けたはずの扉が消えてる…!」
絵里「なんで…壁にっ…!」
黒猫「」
絵里「ひっ…!」
絵里(さっきの黒猫!?どうして此処に…!)
ヴィオラ「……」
黒猫「やぁ。」
絵里「しゃ、喋った…?」
ヴィオラ「……」
黒猫「面白そうだからついてきちゃった。」
絵里「つ、ついてきたって…」
黒猫「ところで 今どっから出てきたの?」
絵里「そんなの、私が聞きたいくら」
プツン
-???-
絵里「…え?」
希「え、絵里ち!」
真姫「戻って来れたの!?」
絵里「えっ…何で…どうして…?」
希「絵里ちっ!」
絵里「きゃっ…の、希」
希「よかった…本当に…っ…よ、よかっ…!」
希「うっ…うち…絵里ちがっ…さっきみたいにっ…なるんじゃ…ないかってっ…!」
絵里「希…」
穂乃果「絵里ちゃん」
絵里「…穂乃果」
絵里「ごめんなさい。あなたの言っていた事は本当だった」
穂乃果「え?」
海未「ど、どういう意味ですか…?」
絵里「…ねぇ、私があっち側にいる時、こっちから見た私は…」
ことり「えっと…うん。ずっと一人だったよ」
絵里「…そう」
真姫「ねぇ…そ、それってもしかして…」
絵里「…うん、いたの。白いワンピースの女の子」
穂乃果「…!」
にこ「で、でもさっき死んだはずじゃ」
絵里「そうね…確かに私達は見た。あの子が死ぬ所を」
絵里「……」
絵里「でもいたの。ずっと私の前を歩いてた」
絵里「私の思考、行動全てを読み取って彼女は動いていた」
絵里「まるで…私が彼女を動かしてるような…不思議な感覚だったわ」
穂乃果「うん…うんっ!穂乃果と一緒だよっ!」
真姫「どういう事…私達には何も見えなかったのに…」
絵里「私にも分からない…でも確かに」
「きゃああああっ!!」
海未「凛!?」
凛「か、かよちんがっ…かよちんが!」
凛「かよちんがあの中にっ!」
-最初の部屋-
花陽「…う、嘘…だよね?」
花陽「花陽はさっき、凛ちゃんと一緒にいて…」
花陽「ずっと…ずっと凛ちゃんの手を握っててっ…!」
花陽「それなのに…それなのにっ…!」
ヴィオラ「……」
花陽「あっ…や、やだっ…いやだっ…だ…誰かっ…!」
-???-
花陽『…!…!!』
凛「かよちんっ!かよちんっ!」
真姫「こ、今度は花陽がっ…」
ことり「や、やっぱり…ここにいる全員が…あっちにっ…!」
にこ「い、嫌よ!にこあんな所行きたくないっ!」
にこ「ねぇ!どうにかして此処から出られないのっ!?」
穂乃果「そ、それが分かってたらこんな所にっ…!」
絵里「……」
希「絵里ち?」
絵里「…みんな、一つ聞いて欲しい事があるの」
海未「な、何か分かったのですか!?」
絵里「確証はないけど…憶えておくことに越したことはないわ」
真姫「それで十分よ…早く言って」
絵里「…私も穂乃果も、あの黒猫に話しかけたらここに戻って来ることが出来た」
絵里「そうよね…穂乃果?」
穂乃果「う、うん…」
絵里「やっぱり…」
にこ「どういう意味よ?一人だけ納得してないで私達にも説明しなさいよ」
絵里「つまりこの黒猫は、あっちとこの部屋を繋げるキーパーソン」
絵里「黒猫に話しかける事によって、あの世界での探索を終えることが出来る」
絵里「そして次の相手と交代して、自分はこの部屋に戻る…」
絵里「…ここまでが私の考えよ」
海未「…つまり、黒猫に話しかけるという事は」
希「他の誰かに先を任せるってこと…」
絵里「えぇ、そういう事ね」
穂乃果「そ、そんな…」
絵里「厄介なのが、一度話しかけた場所の黒猫は二度と話しかける事が出来ない」
絵里「穂乃果が居た場所の黒猫に話しかけてもこの場所に戻れなかった…これは確証済みよ」
ことり「あれ?でもぉ…」
真姫「どうかしたの?」
ことり「えっとね、穂乃果ちゃんと絵里ちゃんが入れ替わる前に、その…あの映像が映ってから入れ替わったよね?」
ことり「でも…絵里ちゃんとかよちゃんはすぐに入れ替わったのはどうしてかなぁって…」
凛「そ、そうだよっ!かよちんは凛とずっと手を握ってたんだよっ!」
凛「でも…絵里ちゃんがこっちに来て…気が付いたらいなくなっててっ…」
絵里「…見せしめ」
穂乃果「えっ…」
絵里「あの少女は死んだと思ってたけど…生きていた」
絵里「でもそれはあの子だからであって、私達が死んでも生き返るという証明にはならない」
にこ「な、なによっ…それって!」
「つ、次はお前達がこうなる番だって…私達に伝えたとでも言いたいの!?」
海未「…そう、考えるのが妥当かと」
真姫「ふさげないでよっ…!有り得ないわこんなのっ!」
真姫「私達にこんな事させてっ…何がしたいって言うのよっ!」
絵里「…分からないわ。でも今私達が出来ること、それは…」
凛「…っ!」
ことり「り、凛ちゃん!?」
凛「聞こえる!?私たちをここに連れ込んだ人!」
凛「かよちんの次は凛が行くにゃ!」
穂乃果「り、凛ちゃん!」
凛「その代わりかよちんは殺さないでっ!」
凛「凛はどうなってもいいからっ!…かよちんはっ…かよちんはっ!」
海未「凛!」
凛「何するの海未ちゃんっ!放してっ!」
海未「ふざけないでくださいっ!自分を犠牲にして花陽を助けるなどとっ…!」
凛「じゃあどうしたらかよちんは無事に帰ってくるの!?教えてよっ!」
海未「いい加減にして下さいっ!」
凛「っ…!」
海未「今は…花陽が無事に帰ってくる事を祈るしか出来ません」
海未「それしか…出来ないんです…」
凛「うっ…ぐすっ…ひっくっ…かよちんっ…かよちん…」
穂乃果「……」
-最初の部屋-
ヴィオラ「……」
花陽「……」
花陽(行かなきゃ…進まなきゃ)
花陽(進まないと…何も変わらない…)
花陽「……」
ヴィオラ「……」テクテク
花陽「うぇ…えぐっ…ぐすっ…怖いよぉ…っ」
ヴィオラ「……」
花陽「…ここから絵里ちゃんは入って来た。けど…」
ヴィオラ「……」ガチャガチャ
花陽(…開かない。閉じ込められてる)
花陽(ここから外には出られないんだ…)
花陽「……」
花陽「右と左に扉が二つあるけど…どうしよう」
花陽(本当はどっちにも行きたくない…けど)
ヴィオラ「……」テクテク
花陽「行かなきゃ…帰れない…っ」
-渡り廊下-
チッ
チッ
ヴィオラ「……」テクテク
花陽(こっちは…渡り廊下なのかなぁ…)
花陽(目の前に扉と、北側に廊下があって…)
花陽(うぅっ…時計の音がすごく不気味だよぉ…)
花陽「ま、まずは出てすぐ目の前の部屋に入ってみるね…?」
ヴィオラ「……」
花陽(何も喋ってくれない…花陽嫌われてるのかな…?)
-東側 小部屋-
ガチャ
ヴィオラ「……」
花陽「…!」
花陽「ここは…」
ヴィオラ「……」
花陽「小さな部屋に…かごが置いてあるよ…」
花陽「かごの中に…くまのぬいぐるみ?」
花陽「ど、どういう事だろう…」
花陽「あっ…張り紙が」
【くまを かごに】
花陽「…?」
花陽(くまを…かごに?)
花陽(えっと…もうクマのぬいぐるみはかごの中に入ってるよね?)
花陽(どういう意味だろう…)
花陽「…ちょっとかごの中、調べてみるね?」
ヴィオラ「……」
花陽「…!」
花陽(大きなくまのぬいぐるみ…だけど、まだ入りそう…!)
――――――――――――――――
-北側 小部屋-
ヴィオラ「……」
花陽「…北に進んでを歩いたら、また部屋があったよ」
花陽(何だろう…この部屋)
花陽(プレゼントの箱がいっぱい…それに)
花陽「日記帳…?」
ヴィオラ「……」
花陽(読んだほうがいいのかな…?)
花陽「うぅ…怖い内容じゃありませんようにっ…」
― 私は 病気だから ―
― 誰も 私と 遊んでくれなかった ―
― お父さんもお母さんも ―
― 私を 愛してくれなかった ―
ヴィオラ「……」
花陽「この日記…この屋敷に住んでる人の日記かな?」
花陽「えっと…これはあなたの日記なのですか…?」
ヴィオラ「……」
花陽(ううっ…答えてくれないよぉ…やっぱり嫌われてるのかなぁ…?)
花陽「でも、日記の内容は…とっても可哀想」
花陽「病気だからって、愛してくれなかっただなんて…」
花陽「…えっと、他には…」
花陽「…!」
花陽(あったっ…!プレゼントの箱の山に…くまのぬいぐるみ!)
ヴィオラ「……」ゴソゴソ
花陽「あっ…花陽が取ろうと思ったけど…取ってくれてるんだね」
花陽「ありがとう…えへへ」
【テディベアを手に入れた。】
花陽「じゃあ、これをさっきの場所に…」
ガコンッ
花陽「ぴゃあ!?」
ヴィオラ「……」
花陽「び、びっくりしたぁ…箱が落ちただけ…」
――――――――――――――――
-東側 小部屋-
ヴィオラ「……」グイグイ
花陽「あ、あれ…?入らないよぉ…?」
花陽(このくまさん…大きすぎて入らないんだ)
花陽「ど、どうしよう…」
ヴィオラ「……」テクテク
花陽「・・・戻って他のぬいぐるみを探すしかないのかなぁ…?」
――――――――――――――――
-西側 作業台-
ヴィオラ「……」
花陽「こ、ここって…!」
花陽(一番最初の部屋の西側にも扉があったけど…)
ヴィオラ「……」
花陽「な、なに…?この…ハサミ…っ」
ヴィオラ「……」ジャラッ
花陽(鎖で繋いで机の上に置いてある…持ち出すことは出来ないね)
花陽「でも、何に使うためにあるんだろう…」
『くまを かごへ』
花陽「あっ…はぁ…っ!」
花陽「も、もし…もしかしてぇ…っ!」
ヴィオラ「……」
花陽「ほ、本当にっ…切るの…?」
ヴィオラ「……」スッ
花陽「…っ!」
ザクッ…ザクッ…
ブシュッ…ジャキッ…
花陽「ひっ…ひいっ!」
花陽「お、音がっ…!わ、綿を切る音じゃないっ…!」
ヴィオラ「……」
ポタ…ポタッ…
花陽「あ…血っ…血がっ…!」
花陽「ひ、あ…ああああっ…!!」
【テディベアの胴体を手に入れた。】
ヴィオラ「……」
花陽「ひっ…やめてぇっ…それをこっちに向けないでっ…!」
花陽「は、早くかごに入れっ…入れに行かないとっ…!」
べたっ
花陽「ひゃあああっ…ぁ…!!」
花陽「血っ…!血のっ…!くまのっ…手がっ…!壁っ…壁にっ…!」
花陽「ごめっ…ごめんなさいっ…ごめんなさいっ!」
花陽「やだっ…もうやだよぉっ…あっ…えぐっ…!」
――――――――――――――――
-東側 小部屋-
ヴィオラ「……」
花陽「はぁっ…はぁっ…!うぐっ…ぇ…」
花陽「ふう……ふぅーっ…」
花陽「……」
花陽(くまの手足を切り取ったから…かごの中に…)
ヴィオラ「……」グイッ ギュッ ギュッ
花陽「ひぃっ…!む、無理矢理…入れてるっ…!」
カチッ
花陽「…!」
花陽(どこかでカギの開く音がした気がする…!)
花陽「…あっ、もしかして入口の鍵が開いたのかな?」
花陽「こ、ここから出られるかもっ…!」
花陽「え、えっとぉ…!い、行ってみよう…?」
ヴィオラ「……」テクテク
花陽「ほっ…よかったぁ…これでこの家から出られ」
ズズッ
ヴィオラ「……」
花陽「…えっ、今、かごが動いて」
バタンッ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
-最初の部屋-
花陽「っ…はあっ…!ぎゅぅ…っ!」
花陽「はぁっ…はぁっ…!」
ヴィオラ「……」
花陽(さ、さっきと…空気がっ…違う!)
花陽(怖いっ…ぁ…やっ…やだっ…!)
ガチャンッ!
花陽「ひゃあっ!?…あっ…か、花瓶っ…!」
花陽「もう嫌だよぉ…っ!早く…早く入口にっ…!」
ズンッ
花陽「…えっ?」
一瞬の出来事だった。
入口に向かって一直線に進もうとすると、何かが落ちた音がした。
それは余りにも大きく、一目見ただけではそれが何かを認識する事ができなかった。
しかし徐々に迫り来る『それ』を理解することより先に体が動いた。
先ほどの自分の行動を思い出す。
テディベアを持ち出し
手足を切り取り
籠の中に無理矢理ねじ込んだ。
胴体のみとなったテディベアは、あたかも生き物であるかのように血に染まっていた。
もし喋ることができたなら、テディベアは悲鳴を上げていたのかもしれない…。
もうテディベアは見たくない。
思い出したくない。無かったことにしたい。
血の手形はあのテディベアの怨念だ。私を恨んでいる。
そして、それは形になって現れた。
血の色に染まった目をした巨大なテディベアが 私を押し潰そうと追いかけてきた。
ドンッ
ドンッ
ドンッ
ドンッ!!
花陽「きゃああああっ!!ああああっ!!!」
花陽「いやああっ!来ないでっ!来ないでぇっ!!!」
花陽「ごめんなさいっ!ごめっ…えぐっ!ごめんなさいっ!!あああっ!」
花陽「やだああっ!!いやあああああっ!!!」
花陽「あああああああっ!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・
――――――――――――――
-渡り廊下-
バタンッ!
花陽「はぁっ…!はぁっ…!うっ…げほっ!げほっ…」
花陽「う…うっ…あっ…あっ…あぁ…」ポロポロ
花陽「ごわがっだ…っ…えっ…っぐ…」
花陽「花陽…し、死んじゃうかってっ…ひっ…ぇぐ…」
ヴィオラ「……」
花陽「うぅっ…あなたは…何でっ…平気なのぉ…っ」
-西側 作業台-
ヴィオラ「……」テクテク
花陽「……」
花陽(入口…鍵がしまってた)
花陽(さっきので開いたと思ったのに…どうして…どうして…)
花陽(いやだ…先…進みたくないよぉ…)
ガチャ
ヴィオラ「……」
花陽「誰もいない…」
花陽(花陽を襲ってきた…あのくまは…どこにいったの…?)
花陽「…ここにも扉がある」
花陽「じゃあ…さっきの鍵の音は…ここの扉だったの…?」
花陽「…まだ、終わらないんだ…」
花陽(進みたくない…)
花陽(でも…進まないと…みんなの所に…)
ぼとっ
花陽「ひゃあっ!」
花陽「あ…あぁっ…!これ…これぇっ…!」
花陽「な、なんで…どうしてっ…!」
花陽「いやだっ…やだっ…やめてぇっ…!」
花陽「もういやっ…やだぁ!」
ガチャ…バタンッ
ヴィオラ「……」
ヴィオラ「」
-食堂-
花陽「はっ…!はっ…!はぁっ…!」
花陽「えぐっ…どこぉ…?何処にっ…ひっくっ…行けばっ…」
花陽「凛ちゃん…えぐっ…みんなぁ…」
花陽「誰か…誰か助けてぇ…あっ…あっ…」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・
-厨房-
花陽「はっ…はっ…はぁっ…っ」
花陽「あれ…ここ…どこぉ…?」
花陽「…あの子もいない…っは、はぐれて…」
トントントン…
トントントン…
花陽「…え」
花陽「ほう、ちょうが…勝手に…動いてる」
「……」
花陽「だ…誰か…いる…の」
「ああ いそがしい いそがしい。」
花陽「…え?」
「ああ いそがしい いそがしい。」
トントントン…
トントントン…
花陽「……」
花陽「手伝って…あげたらいいの…?」
「ああ いそがしい いそがしい」
花陽「え、えっと…わ、私…」
花陽「お、お手伝いしますっ!」
花陽「花陽が…手を貸してあげますっ…!」
花陽「だ、だからっ…ここから出る方法を…!」
「ああ ありがとう。」
ぐいっ
花陽「…え」
「ちょうど ''て'' が 足りなかったんだ。」
…見えない何かが花陽の腕を掴む。
突然の出来事に困惑する花陽をよそに、それは腕をまな板に押し付けた。
そして、先程音を鳴らすためだけに振っていた包丁を持つと
花陽「えっ…ぁ…」
…花陽の手にそれを添えた。
花陽「ぁ…う…あっ…?」
…さっき、この人は何と言っただろうか?
『ちょうど ''て'' が 足りなかったんだ。』
…ああ、そうだ。手が足りないと言ったんだ。
だから手伝って、終わったら話を聞いてもらおうと思った。
終わったら…?
何が終わったら?
腕を掴まれて、まな板に手を押し付けられて、包丁を振り上げて
何 を す る の ?
花陽「ぁ…や…やだっ…!やだっ!いやぁ!」
花陽「放してっ!放して下さいっ!いやっ!いやああああっ!!」
花陽「許してぇっ!やだ…やだあああああっ!!」
花陽「いやだぁっ!やめてぇ!はなっ…はなしっ…!」
…まな板に押さえつけられた花陽の手は、指が動かない様に固定される。
見えない'それ'は包丁を花陽の第一関節に添えて、皮残りの無いように力を込め
ごりっ
- いっきに指を 切断した。-
花陽「い゛っ…ぎゃああああああああっ!」
ぶしゅ…ざぐっ…
骨を砕く鈍い音をならしながら、見えない何かが花陽の指を一つ一つ丁寧に切り落としていく。
花陽「あがっ…ぎっ…あああああああっ!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ
゛っ!!」
第一関節を切り終えると、まな板の端に追いやり次の関節に刃を置いた。
花陽「い゛や゛た゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!ゆ…ゆる…じっ゛…!ぎゃあああああああっ!!!」
ごりっ…ごりっ…!
花陽「がぁっ…!ぎっ…あっ…ぁ…!」
やがて全ての指を切り終えると、最後だと言わんばかりか、指を失った手首に刃を向ける。
花陽「い…たぃ…ぃだい゛よぉっ…ぃ゛」
花陽の許しを請う悲鳴は、それには届かず、ただ厨房に響き渡るだけの結果に終える。
刃は既に手首を貫通させ、切りにくい関節部分を力任せに押し込んでいく…
花陽「はがっ…い゛い゛っ!?ぁあ゛ああっ!!」
気が狂う程の激痛と共に、切断してはいけない動脈を鈍らの刃で強引にねじ込まれる。
骨が軋む音が体内から聞こえる 中で破裂しているかのように腕が震える。
残りの肉と皮が引き裂かれる感触が花陽の全身を響かせた。
ぶしゃ…ぁ…
花陽「がっ…はっ…ぁ…」
…花陽は手を失った。
凛「いやあああああああっ!!かよちんっ!かよちんっ!!!」
海未「て…手っ…手がっ!花陽のっ…!手がっ…!」
ことり「いやあああああああああっ!!やめてっ!やめてえええええええっ!!!」
絵里「い、嫌っ…!こ、こんなの…こんなっ…あ、あああああああっ!?」
ぼたっ ブシュ
ぼたっ
花陽『あ゛…だ…れ…か…たづ…げ…で…ぇ…』
花陽『どま゛ら゛な゛い…ぢがっ…ぁ…とまら…ない』
花陽『り゛ん゛…ちゃん……み…ん…な…ぁ…』
にこ「いやぁ!花陽っ!花陽っ!!」
真姫「押さえてっ!腕を押さえて血を止めてっ!お願いっ!お願いっ!!」
希「花陽…ちゃん…あっ…!嫌…っ!こんなんっ…み、見たくないっ…!」
花陽『い゛や…い゛やぁ…ぁ……』
花陽『し…に…たく…な…っ……』
花陽『……』
穂乃果「か…かよ…ちゃん…っ…!」
穂乃果「かよちゃん!かよちゃんっ!!返事してっ!」
穂乃果「かよちゃんっ!!」
ブツンッ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
絵里「ぁ…き、消えっ…!」
にこ「な…なによっ…なによっ!今のっ…!」
にこ「何がどうなってるのよぉ!?」
凛「かよちんっ!!!ねぇ返事して!かよちんっ!」ドンッドンッ
凛「いやあああああっ!!お願いっ!かよちんを戻してええええっ!!!」
凛「ねぇお願い!お願いしますっ!!いやああああああああああ!!!!」
海未「は、花陽はっ…!花陽はどうなったのですかっ!?」
真姫「知らないっ…こんなのっ…知らないっ!!」
穂乃果「あっ…やだっ…やだぁ…!」
ことり「もう許して下さい…お願いします…お願いします…っ!」
希「本当に…し、死んで…しまったの…?」
穂乃果「こんなっ…こんなの…絶対嘘だよっ…!」
穂乃果「だってっ…!こんな事がっ…現実に起こるわけっ…!」
穂乃果「もういいよっ!もう夢から覚ませてっ!」
穂乃果「こんな夢っ…すぐに忘れてやるっ!」
穂乃果「早く覚ましてよっ!はやっ」
グ ニ ャ ア …
穂乃果「…えっ?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
穂乃果「……」
穂乃果「んっ…ぁ…?」
穂乃果「ここ…穂乃果の家…」
ガバッ!
穂乃果「家!穂乃果の家だよねっ!」
穂乃果「よ…よかった!夢だー!夢だったんだ!」
穂乃果「わーい!夢だから怖くない!怖くないぞー!」
穂乃果「やったー!あはははははっ!」
バタンッ
雪穂「お姉ちゃん朝からうるさいよっ!」
穂乃果「ごめんごめん!あはははっ!!あははは!」
雪穂「うっ…あ、頭でもおかしくなったの…?」
-音乃木坂-
穂乃果「るんるんるーん♪」
穂乃果「さぁー今日も張り切って練習するぞー!」
穂乃果「あっ!おーい海未ちゃーん!」
海未「……」
穂乃果「うっみちゃーん!」
海未「きゃ…ほ、穂乃果…」
穂乃果「あれ?どうしたの?何だかすごく顔色悪いよー?」
海未「え、えぇ…実は…昨日の夢見が悪くて…」
穂乃果「海未ちゃんも!?実は穂乃果もなんだよー!」
海未「ほ、本当にですか…?」
穂乃果「うんうんっ!でも夢でよかったよー!」
穂乃果「だってかよちゃんが死んじゃうなんて縁起でもないよ!ぷんぷんっ!」
海未「…ほ、穂乃果」
海未「何故…私の夢の内容を…」
穂乃果「…えっ?」
穂乃果「う、海未ちゃん何言って」
「あ、穂乃果ちゃん!海未ちゃん!」
穂乃果「あ、かよちゃんの声だ!」
穂乃果「かよちゃん!おはよー!今日も…」
ドサッ…
穂乃果「……」
海未「あっ…あっ…あああっ…!」
海未「あ、あなたっ…!な、何故っ…!」
「えっ?ど、どうかしたの?海未ちゃん?」
ヴィオラ「花陽の顔に…何か付いてるのかな?」
【To Be Continued…】
――――――――――――――
-放課後、部室-
絵里「…みんな、集まってるわね」
海未「……」
希「……」
凛「っく…ヒック…ぅ……」
ことり「……」
穂乃果「……」
絵里「…その後、花陽は?」
真姫「…今日は練習が休みってことにして、帰らせたわ」
絵里「そう…」
にこ「……あれのどこが花陽だって言うのよ」
海未「…っ」
真姫「ちょっとにこちゃ…」
にこ「だって!おかしいじゃないのよっ!」
にこ「声は花陽なのに!姿形はまるっきりアイツじゃないっ!」
にこ「私たち以外の周りは気にもとめないで普通に話しかけてるし!」
にこ「まるでにこ達がおかしいみたいじゃないのよぉ!」
にこ「あんなの花陽じゃないっ!花陽は昨日殺されたのよっ!」
穂乃果「にこちゃん!」
凛「もうやめてぇっ!!」
ことり「凛ちゃん…」
凛「もうっ…やめてよっ…ぅ…っ」
にこ「……」
穂乃果「……」
絵里「…みんな、頭が混乱して状況が掴めていないのよ。…私も含めて」
絵里「だからこそ、情報を整理して考える時間が必要だと思うの」
絵里「こんな事になってしまったからこそ…ね」
希「…うん、うちもそれがいいと思う」
希「もしかしたら、またあの部屋…世界に閉じ込められるかもしれない」
希「その前に少しでも対策があれば、昨日のような惨劇は起こらない」
希「…どうかな?」
真姫「…賛成。反対する理由がないわ」
海未「右に同じです」
ことり「うん…」
にこ「…凛、ごめんなさい。あんたが一番辛いの知ってて、にこ…」
凛「……」フルフル
穂乃果「…凛ちゃん」
絵里「…さて、まずは状況の整理からしていきましょう」
絵里「私達は昨日の夜、全員が同じ夢を見た」
絵里「これは合ってるかしら?」
ことり「うん…ことりもはっきりと覚えてるよ」
真姫「って言うより、本当にあれは夢だったのかしら…?」
絵里「そうよね…痛みもあったし、自分が物に触っている感覚もあった」
絵里「あんなリアルな夢、今までに見たことないわ」
希「それに、全員が同じ夢をみるってのも普通は有り得ないと思うんよ」
希「似たような夢を見たとしても、それが9人全員同じ場所で、しかも互いに認識してる」
希「…これを夢の一言で終わらせるには、少しスピリチュアルが過ぎるんやない?」
海未「そうですね…普通の夢ならまだしも、あんな残虐非道な物を見せられては…」
絵里「…つまり、こういうことかしら」
絵里「私達は何かの意志によって意図的にあっちの世界に招かれた。」
絵里「理由は分からないけど…あっちの世界は、私たちに殺意を向けている。」
絵里「…私達は、あの屋敷を探索する事を強いられてる。」
にこ「…うん、そんな感じじゃないの?」
凛「誰が凛たちを…」
絵里「それは後にしましょう。手がかりのない今の状況じゃ犯人を探すのは難しいと思うわ」
海未「…そうですね。今はこんな事になってしまった原因を探るべきです」
穂乃果「うん、そうだね」
絵里「じゃあ次。海未も言ってくれたけど、私達がどうしてあの世界に行くことになったのか、その原因…」
絵里「昨日の出来事で、何か心当たりがある事と言ったら…」
希「…あの変な手紙があったことくらいかな?」
にこ「手紙…?あぁ、あのイタズラの事ね」
海未「確かあれは穂乃果がゴミ箱に捨てた筈ですが…」
絵里「…今日、部室のゴミを回収した時に手紙らしきものは見当たらなかったけど」
ことり「穂乃果ちゃん、ちゃんと捨てた?」
穂乃果「…うん。捨てたよ。捨てたけど」
穂乃果「昨日、穂乃果の鞄の中に入ってた」
「「………!」」
.
真姫「…ちょっと、それどういう事よ?」
にこ「アンタ、間違えて鞄の中に入れてただけじゃなかったの?」
穂乃果「ち、違うよ!本当に部室のゴミ箱に捨てたもん!」
穂乃果「でも、どうしてか穂乃果の鞄の中に入ってて…」
絵里「…その手紙はどうしたの?」
穂乃果「気味が悪かったから、そのまま家の窓から捨てちゃった」
海未「…その手紙、今朝家の近くに落ちている事を確認しましたか?」
穂乃果「えっ?ううん…そんな事全然気にしてなかったから」
海未「……」
穂乃果「…海未ちゃん?」
海未「…穂乃果、鞄の中身を出してみてください」
穂乃果「えっ?」
海未「……」
穂乃果「…ま、まさかそんな事ある訳ないじゃーんっ!」
穂乃果「そんなホラーみたいな事が現実に起こるわけ…」ガサゴソ
ペラッ
穂乃果「…ぁ…あっ…あああっ!!!!」
穂乃果「なんでっ…ど、どうしてっ…!」
真姫「ほ、穂乃果っ…」
にこ「あ、あんたまさかっ…」
穂乃果「…っ!本当だよっ!本当に昨日窓から捨てたんだよっ!」
穂乃果「その前にも部室のゴミ箱に捨てたのにっ!なんでっ…!どうしてっ…!」
海未「……」カサッ
真姫「…海未?何してるの?」
海未「……」ビリッ ビリッ ビリビリッ
凛「う、海未ちゃんっ!?」
.
パラパラ…
海未「……」
にこ「ちょ、ちょっと!あんたなんてことしてっ…!」
海未「…どうやら、穂乃果の言っていることは本当のようですね」
絵里「えっ?」
海未「…花陽の席を見てください」
凛「…っ!えっ…ええっ!?」
ことり「て、手紙がっ…!」
真姫「し、信じられないっ…さっきまで、何も無かったのにっ…!」
海未「……」
絵里「…これではっきりしたわね」
穂乃果「だからずっと言ったのに…」
希「ごめんね穂乃果ちゃん。こんな状況だから、みんな疑り深くなるんよ」
希「許してあげて?」
穂乃果「むー」
にこ「わ、悪かったわよ…」
絵里「はいはい、いい加減話を進めるわよ」
絵里「…私たちが昨日見つけたこの手紙」
絵里「捨てても、破っても私たちの前に現れる…」
絵里「私はこの手紙が昨日の出来事に関連してると思うのだけど、みんなはどう思うかしら?」
海未「…恐らくは、確定でしょうね」
海未「その手紙が私たちの前に現れたのは昨日の事です」
海未「そして、あちらの世界に連行されたのはその後の出来事」
海未「…二つが繋がっていないとは考えにくいですね」
穂乃果「そうだね…今までこんな事一度もなかったもん」
絵里「これで原因ははっきりしたわね」
にこ「じゃあ、次は誰がこんな事をしてるのかについて?」
絵里「…どうかしら?誰か心当たりのある人はいる?」
ことり「……」
凛「……」
真姫「……」
希「…誰も分からないみたいやね」
絵里「当然よ。分かってる方がおかしいもの」
にこ「…見つけたらタダじゃおかないわよ」
凛「かよちん…っ」
穂乃果「えっと、次はどうするの?」
絵里「そうね…じゃああの世界での話をまとめてみましょう」
絵里「まず、あっちではあの大きなお屋敷がある場所に私たちの中の一人…と、あの女の子」
絵里「それ以外の人間が閉じ込められている小さな部屋がある場所…この二つに分かれているわ」
希「やっぱり、あの部屋と屋敷は全然別の場所にあるのかな?」
絵里「そう考えていいと思うわ」
絵里「あの小部屋、外部との接触が全く出来なかったもの」
真姫「ただずっと森と屋敷の中を探索する様子を見せられただけだったわ」
海未「…まるで選手の控え室のようです」
にこ「実際控え室なんじゃないの?入れ替わりもあったんだし」
絵里「えぇ、私もそう思うわ」
ことり「じゃあ…私達は絶対誰かがあの家に行かなきゃいけなかったの?」
穂乃果「そう…なんだと思う」
希「…そしてそれは、今日の夜にも起こりうる」
.
凛「……」ブルッ
真姫「嫌っ…行きたくない…っ」
穂乃果「そ、そうだっ!今日の夜みんな寝ないで起きてたら」
海未「…それを何日もずっと続ける気ですか」
穂乃果「うっ…で、でも昼間授業中とかに寝れば…」
海未「はぁ…それが許されるのだとしたら穂乃果だけですよ」
穂乃果「うぅ…」
絵里「…それに、このままだと花陽を元に戻す方法も分からないわ」
絵里「いずれにしても、私達はまたあの世界に行かなければならない」
穂乃果「…うんっ。そうだね。このままでいい訳がないよ」
穂乃果「絶対に、かよちゃんを元に戻さないと…!」
凛「穂乃果ちゃん…」
にこ「で、でもっ…もしかしたら今度はこの中の誰かが…」
絵里「そうならない為にも事前準備は必要ね」
ことり「事前準備…?」
絵里「私なりにあっちの世界での仕組みを出来るだけまとめてみたわ…。みんなにこれを読んで欲しいの」
海未「す、凄い…流石絵里ですね」
絵里「あの世界から戻ってこられたのが私と穂乃果だけだったから…」
穂乃果「えへへ…穂乃果全然役に立たなかったけどね」
絵里「そんな事ないわよ…さぁ、みんな注目して」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
絵里「…こんな所かしら?」
ことり「うんっ、分かりやすくて全部覚えたよ~」
真姫「…これで、誰も死ななければいいんだけど」
にこ「……」
穂乃果「行こう…かよちゃんを元に戻す方法を探しに!」
穂乃果「ずっとこのままだなんて…いい訳ないよっ!」
穂乃果「私達は、9人で一人なんだから!」
凛「うんっ…絶対に見つけてやるにゃー!」
絵里「…辛いのはみんな一緒。μ'sは9人全員が心で繋がってるもの」
絵里「一人の悲しみはみんなの悲しみ…でもそれを乗り越えることができるのも」
絵里「仲間がそばにいるから…でしょ?」
ことり「うんっ…!」
海未「正直、まだ何も分かっていない事だらけで不安ですが…」
海未「それでも、みんながいるから私は頑張れます」
穂乃果「そうだよっ!私達はみんな同じグループで、仲間でっ!」
穂乃果「''友達''だかr…!」
ゾ ワッ…
穂乃果「……え?」
真姫「…穂乃果?」
穂乃果「……」
にこ「…おーい、どうしたのよー?」
穂乃果「…えっ?あっ、ううん。何でもないよ」
海未「…穂乃果、何だか顔色が優れていないようですが」
穂乃果「ぜーんぜんへーき!ほらっ!いつもの穂乃果だよっ!」
絵里「…あまり無理はしないで、今日はこれで解散にしましょう」
絵里「もしあるとするならば、今日の夜…また会いましょう」
希「そうやね…」
穂乃果「……」
穂乃果(昨日と同じ…すごく、嫌な感じ)
穂乃果「気のせい…だよね」
――――――――――――――――
-夜 穂乃果の部屋-
穂乃果「……」
穂乃果「部室ではあんな事言ったけど…」
穂乃果「……」
穂乃果(…やっぱり、怖い)
穂乃果(次は誰からだろう?)
穂乃果(もし、また穂乃果だったら…)
穂乃果「……」
穂乃果(…っ)バサッ
穂乃果(お願いすることは、二つだけ)
穂乃果(かよちゃんが元に戻る事)
穂乃果(そしてもう一つは…)
「みんな、生きて帰ってくること。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
――――――――――――――――
-???-
穂乃果「……」
穂乃果「…っ」
穂乃果(やっぱり…来ちゃた)
海未「…穂乃果」
穂乃果「あ、海未ちゃん」
ことり「ことりもここにいるよぉ~」
海未「ここにいる、という事は…私たちではないようですね」
穂乃果「他のみんなは?」
絵里「……ここよ」
希「予想的中…今夜もここで過ごさないといけないみたいやね」
凛「今回は凛でもなかったよ」
にこ「……」
穂乃果「にこちゃんもいる…ってことは」
真姫『…!……!!』
穂乃果「真姫ちゃん…っ」
・・・・・・・・・・・・・・
-最初の部屋-
真姫「嘘でしょ…よりによって私だなんて…」
真姫「は、8人もいたのに…」
真姫「やだ…怖いっ…」
ヴィオラ「……」
真姫「きゃああっ!!」
ヴィオラ「……」
真姫「あ、アンタ…いつからそこにいたのよっ!」
ヴィオラ「……」
真姫「何か言ってくれてもいいじゃない…」
真姫(何なのこの子…不気味だわ)
真姫「…ねぇ、ちょっと」
ヴィオラ「……」
真姫「振り向いてもくれない…なんなのよもうっ」
ヴィオラ「……」
真姫「…取り敢えず。先に行かなきゃ」
真姫(確か花陽はこの先にある扉で食堂みたいな所に出たわよね…そこまで行ってみようかしら)
-西側 作業台-
ヴィオラ「……」ガチャガチャ
真姫「えっ…?」
真姫「な、何で開かないのよっ!」
真姫「え?どうして?昨日花陽が開けた筈じゃ…」
ヴィオラ「……」
真姫「ちょっとっ!何か言いなさいよ!どうしてこの先の扉が開かないのよ!」
ヴィオラ「……」
真姫(…自分で調べろ、って言いたいの?)
-???-
真姫『……!?』ガチャガチャ
ことり「こ、これって…どういう事なのかな?」
希「昨日花陽ちゃんが開けたはずの扉が開いてない…それに」
にこ「…え?何?」
絵里「…血の跡がない」
凛「あっ…!ほんとだっ!」
絵里「ハサミに手形に…あれだけあった血の痕跡が一つもないわ」
海未「はい…それに真姫が最初に現れた場所にも違和感を感じます」
海未「あの場所は確か、花陽が探索を開始した場所です」
ことり「てことは、つまり…」
穂乃果「……時間が、戻ってる」
――――――――――――――――
-西側 作業台-
ヴィオラ「……」ザシュッ…! ザシュッ…!
真姫「うっ…」
真姫(何これ…意味わかんない)
真姫(これじゃ花陽とやってる事と一緒じゃないっ…!)
真姫(…じゃあ、私も)
真姫「…っ!」ブルッ
ヴィオラ「……」
真姫「…絶対に、死なないんだからっ…!」
ドンッ
ドンッ
ドンッ
ドンッ!!
真姫「はぁっ…!はぁっ…!はぁっ!」 ダッダッダ…
バタンッ!
ヴィオラ「……」
真姫「はっ…はぁっ…!うっ、げほっ!げほっ…!」
真姫「…っ、ふぅ…」
真姫(何もかもが花陽と一緒…って事は)
真姫(花陽が黒猫に話しかける前に…死んじゃって)
真姫(それまでの経緯が全部消えてるって事…?)
真姫「…じゃあ、この先は」
ヴィオラ「……」テクテク
真姫(花陽と同じ行動をすれば、死んじゃう)
真姫(気を引き締めないと…)
-西側 作業台-
ヴィオラ「……」
真姫「…確か、ここに」
ぼとっ
真姫「きゃっ…!」
真姫「…これ」
真姫(さっきこの子が切り取ったテディベアの手足…)
真姫(花陽はこれを気味悪がってそのまま放置してた。けど…)
ヴィオラ「……」
真姫「何してるのよ…早く拾ってよ」
真姫(何か、使えるのかも)
【テディベアの手足を手に入れた。】
ヴィオラ「……」
真姫「…このまま進めば、次は食堂ね」
真姫「必ず…必ず生きて帰ってやるんだから…」
-食堂-
ヴィオラ「……」テクテク
真姫(…花陽はここを一目散に駆け抜けて行ったけど)
真姫「周りをよく見てみれば…すごく色んなものが置いてあるのね」
真姫「それにっ…酷い臭い…う゛えぇ…」
真姫「……周りを調べないと」
真姫「何か、ヒントになるようなものは…」
真姫「…!」
真姫「あるっ…机に紙が一枚…そしてこっちには貼り紙…!」
【どくみを しろ】
真姫「…どくみ?」
真姫「どくみってあの毒味よね?何を毒見しろって言うのよ…」
真姫「…机の上には、蝋燭と、空のティーカップとポットしかないし」
真姫「…ん?」
ヴィオラ「……」テクテク
真姫「うっ…な、何よ、これ…」
真姫「気持ち悪いっ…酷い臭いっ…!」
ヴィオラ「……」
真姫「…頭蓋骨を模った器に、明らかに毒が入ってると思われる変な色のスープ」
真姫「まるで御伽話に出てくる魔女の実験のみたいね…」
真姫「…これを、毒見しろって事?」
真姫「冗談言わないでよ…こんなの飲めるわけないじゃない」
真姫(…毒見の方法って、確か人体に含ませるだけじゃない筈よね)
真姫(何か周りに使えるものはないかしら…?)
ヴィオラ「……」
真姫「ダメね…何も使えそうにない」
真姫「ここは後回しにするわ」
ヴィオラ「……」
真姫「えっと、貼り紙には何が…」
【こっくはいそがしい てをかしてやれ】
真姫「こっく、って…!」
真姫(あの、包丁を動かしてた透明人間の事…?)
真姫「……」
真姫(そのまま手を貸す…って意味じゃ無い事は、わかってる)
真姫(だとしたら一体…)
真姫「…!」
真姫「そういう事ね…ふーん」
真姫「ほんっと…くだらないわ…っ」
-厨房-
カサカサ…
カサカサ…
ウゾ
ウゾ
真姫「うっ…何よここ」
真姫「虫だらけじゃない!少しは清潔にしたらどうなのよっ!」
真姫(ううっ…早く出たい)
シャクッ
真姫「ひぃっ!!ふ、踏んだっ…!」
真姫「気持ち悪いっ…!は、早く用事済ませなきゃ…」
トントン
トントン
「ああ いそがしい いそがしい」
ヴィオラ「……」
真姫「……」
真姫(見えないコックが包丁を動かしてる…)
真姫(花陽はこいつに…)
真姫「…っ」
真姫(落ち着いて…感情任せに動いてはだめ…)
真姫(きちんと状況の確認をしないと…)
真姫(汚い台所に…食器棚、あとさっき鍵がかかってる扉もあったわね)
真姫「…机の上に何かあるわ」
真姫「料理のレシピ…?取り敢えず読んでみようかしら」
ヴィオラ「……」ペラッ
真姫「…『貴族の食卓』」
真姫「………」
真姫(昔の富裕層は、銀製の食器を好んで使っていた)
真姫(手入れの大変な銀製の食器を使う事で、経済力を示してたのね)
ヴィオラ「……」
真姫「…ふーん、そういう事ね」
真姫「で、銀は毒に反応して色が変わる、と…」
トントン
トントン
「ああ いそがしい いそがしい」
真姫「……ねぇ」
真姫「あなた…手が足りてないのでしょ?」
真姫「あげるわよ…これ」
「ああ ありがとう」
「ちょうど ''て'' が 足りなかったんだ。」
真姫「……そう」
「お礼にこれをやるよ。」
【銀のカギを手に入れた。】
.
-食堂-
バタンッ
ヴィオラ「……」
真姫「……」
真姫「何が…手を貸してやれよ」
真姫「こんなの…ただの言葉遊びじゃないっ…」
真姫「こんな事で…花陽はっ…!」
ヴィオラ「……」
真姫(…でも、もし私が昨日の花陽と同じ立場なら)
真姫(ここまでの答えにたどり着くことが出来たのかしら…?)
真姫(あんな怖い思いして…頭が全然回らない状態で…)
真姫「…ごめんね、花陽」
真姫「あなたの死は…絶対に無駄にしない」
ヴィオラ「……」
真姫「…'銀'の鍵っていうくらいだから、ここに入れてもいいわよね?」
真姫(さっき開かない扉に使ったらひどい目にあったし…て言うより、ゴキブリが落ちてくるってタチ悪過ぎじゃないの!)
真姫「…ねぇ、入れてよ」
ヴィオラ「……」トプンッ
真姫「…!」
真姫「鍵が黒く変色した…つまり毒が入ってる!」
カチッ
真姫「…今、鍵が開いた音がしたわね」
真姫「きっとさっきの扉…行ってみようかな」
ガシャンッ
真姫「ひっ…!」
真姫「…わ、ワインボトルが落ちただけ?」
真姫「もうっ!なんなのよー!」
真姫「びっくりさせないでよっ!このっ!このっ!」 グシャ グシャ
ヴィオラ「……」
-厨房-
ヴィオラ「……」
真姫「…あれ?」
真姫(さっきのコックがいない…何処行ったのよ)
真姫「変に動かないでよ…怖いじゃない」
ヴィオラ「……」ガチャ
真姫「…ここから先は、全くの初見ね」
真姫「慎重に進まないと…」
-階段-
ヴィオラ「……」テクテク
真姫「…何か、普通ね」
真姫「何か仕掛けでもあると思ったのだけど」
「……」 フッ
真姫「…えっ?」
真姫「い、今…何かいた…」 スッ
真姫「!? ま、窓にもっ!」
ヴィオラ「……」ガチャ
-渡り廊下-
ヴィオラ「……」テクテク
真姫「もうっ…なんなのよっ…」
真姫「こんなの…怖がるなってのが無理よぉ…」
黒猫「」
真姫「…あ、あれはっ…!」
ヴィオラ「……」
真姫「黒猫…って事は、私っ…!」
【猫の置物がある。】
黒猫「…なんちゃって。」
真姫「……」イラッ
プツンッ
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
-???-
真姫「…っっとにムカつく!今度あったら文句言ってやるんだからーっ!」
ことり「ま、まぁまぁ…無事に戻ってこられたから、ねっ?」
真姫「何かの罠かと思って心臓止まりそうだったわよ!ほんっと信じられない!」
絵里「真姫、お疲れ様。…何か分かったことはあったかしら?」
真姫「…得に何もないわ。幽霊が二人いたくらいよ」
絵里「そう…」
真姫「…でも、直感でわかる」
真姫「この屋敷…絶対おかしいっ…」
穂乃果「……」
凛「真姫ちゃん!」
真姫「…ただいま、凛」
凛「おかえりっ…!無事でよかったっ…」
真姫「うん…花陽が守ってくれたの」
凛「かよちんが…?」
真姫「あの子が私たちの為に進んでくれたから…私は戻ってくることが出来たの」
真姫「花陽に感謝しないと…それに、絶対に元に戻して…」
凛「……かよちん」
にこ「…おかえり」
真姫「ただいま」
にこ「どう……怖かった?」
真姫「こ、怖いだなんて…この真姫ちゃんに怖いものなんてないに決まってるでっしょー?」
にこ「…そっか」
真姫「ちょ、ちょっと…そんなに沈まなくてもいいじゃない」
にこ「……」
真姫「……大丈夫だから」
真姫「慎重に考えて、落ち着いて行動すれば…絶対戻って来れる」
にこ「……」コクン
海未「…さて、今ここにいないメンバーは」
希『…………』
ことり「…もう行っちゃってるね」
絵里「……希」
穂乃果「大丈夫だよ、絵里ちゃん」
穂乃果「希ちゃんは私達の中でもすっごく頼りになる女の子だもん」
穂乃果「絶対に戻ってくる」
凛「そうだにゃー!希ちゃんが簡単に倒れる訳ないよ!」
海未「…絵里、希の無事を祈りつつ見守りましょう」
絵里「えぇ、そうね」
絵里(……)
絵里(絶対に死んじゃダメよ…希)
-渡り廊下 甲冑の前-
希「…今度はうち、なんやね」
希「あはは…いざ自分の番ってなったら、やっぱり怖いなぁ」
希「絵里ちも自分の時はこんな気持ちだったのかな?」
希「……」
希「うー!あまり暗いのはうちの性分には合ってない!」
希「今を精一杯生きる事が大事やんな。気合入れて頑張ろっ!」
希「…ねっ?あなたもそう思わないー?」
ヴィオラ「……」
希「まず、周りの探索をしてみよっか」
希「……」キョロキョロ
希(扉が三つ…一つは蜘蛛の巣が張って少し不気味やね)
希(それにこの甲冑、なーんか怪しい…)
希(今にも動きそうって感じやんなぁ)
希「……」
ヴィオラ「……」テクテク
希「うんうん、まずは怪しい所から行ってみるのが定番!」
-倉庫 樽置き場-
ヴィオラ「……」ゴソゴソ
希「うーん、どれも同じ樽ばっかりやんなぁ」
希「それに蜘蛛の巣が至る所張ってるから少し気持ち悪い…」
希(何かありそうと思ったけど…違ったかな?)
希「…ん?」
希「…貼り紙、やね」
希「見ておくことに越した事はないし、読んでみようか」
【くもは めがわるい】
【いろまでは わからないだろう】
希「…くも。いろ…」
希「これだけじゃ何も分からないなぁ…もうちょっと探索を」
希「…ん?」
希「…あれは」
希(他の蜘蛛の巣の何倍もの大きさ…その真ん中に蝶が捕まってる)
ヴィオラ「……」
希「…蜘蛛は、目が悪い。…色までは分からないだろう」
希「つまり、蜘蛛の目を欺けって事なのかな…?」
希「だとしたら…まだこれには触らない方がええんやろうね」
希「っと、ここは後回しにして次の場所に…」ゲシッ
希「きゃっ!」
ヴィオラ「……」
希「いたた…樽に突っ掛った」
希「…ん、これって」
【ロープを手に入れた。】
ヴィオラ「……」
希「…不幸中の幸いって事かな?」
希(でもロープ…何に使うんやろ?)
希(窓から脱出!…ってするには短すぎるし)
希「…取り敢えず、持っていこうか」
希「備えあれば憂いなし♪ってね」
ヴィオラ「……」テクテク
希(本当に何も喋らないんやんなぁ…うちの声聞こえてるのかな?)
ヴィオラ「……」ガチャガチャ
希「…ここは開かない、かぁ」
希「…ん?」
【ちょうを すくえ】
希「…ふむふむ、なるほど」
希「要するに、あの部屋の蝶を放してあげないと先に進めない」
希「…そうすると他の部屋は、蝶を助けるための用意されている」
希「こう考えたほうがいいみたいやね」
ヴィオラ「……」
-書物庫-
ヴィオラ「……」
希「こ、ここはっ…!」
希(本が一杯…ここは書物室みたいやね)
希(これはいけそう…色んな事を理解するチャンス)
希「…ちょっと待っててなー」
希「……」パラパラ
希「うーん…コレといって役に立つものはないなぁ」
希「でも虱潰しに探してみるのも…」
希「あれ?」
希「…ここ、妙な気を感じるなぁ」
希「……」
希「」ペラッ
ヴィオラ「……」
『魔女の家』
希「…!」
希(魔女の…家?)
希(何やの、これ…)
希「……」ペラッ
~魔女の家の扉は カギでは開かない。
何かがカギになっている。
希「…うん、うちの予想通りやんな」
希「……つまり、仕掛けを動かすことで扉が開く」
希(そしてここが『魔女の家』…って事で間違いないみたいやね)
希(…他の本も読んでみようか)
希「魔女の家、その2」ペラッ
~魔女の家は 魔女の力によって 姿かたちを変える。
希「その3」
~魔女の家は 人間を喰らう。
食われた人間の魂は 悪魔に捧げられる。
希「…その4」
~魔女の家は 意志を持つ。
魔女の家の住人は 悪魔に喰われた魂の残骸であり
意志を持たない。
.
希「……」
希「段々と分かってきた…でも」
希「巻が進むにつれて何の事を言ってるのか…よく分からないなぁ」
希(それに、なんやろう…このもやもやする感じ)
希(まるで、まだ知らなくていい事を知ってしまった。…そんな感覚)
希「…まだ続きがあるのかな?」
ヴィオラ「……」テクテク
希(…この子は、何も関心を持ってない…持とうとしてない)
希(もしかして、この子が)
希「…次はこの本棚やね」
希「」ペラッ
『笑い話』
希「…魔女の家の続きじゃない?」
希「取り敢えず読んでみよっか」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
希「……何やの、これ」
アッハッ!
ハッ!
ハッ!
ハッ!
ハッハ~ッ!
希「っ!」
希「…今、椅子が笑ったよね」
ヴィオラ「……」
希「……」
希「ブラックジョークにしても全然笑えないけど」
希「少なくとも、あなたにとっては面白いってことなんやね」
ヴィオラ「」ゴソゴソ
希「……おかしい」
希(確かにこの本棚にも読める本がある気がする…でも)
希「…読めない」
希「うーん、これはこれでもやもやするなぁ」ペラッ
希「…ん?」
ヴィオラ「……」ペラッ
希「新聞の切り端…何かに関連する事かな?」
希「…読んでみよっか」
~×月×日、×××区にて、××さん宅が全焼。
焼け跡から、××さんと、その妻××さんの遺体が発見された。
~遺体には刺し傷があり
何者かが二人を殺害後、建物に火を放ったとみられている。
~また、事件後、××さんの一人娘である
エレンちゃん(当時七さい)が行方不明になっており
警察は
希「……これは」
希(まるで推理小説の仕込みみたいな…そんなあからさまな手がかり)
希(建物っていうのは、この家の事で……この子がエレンちゃん?)
ヴィオラ「……」
希「…取り敢えず、ウチがする事は一つ」
希「生きて帰って、この事をみんなに知らせる事」
ヴィオラ「……」
希「さて…ここはもう調べ尽くしたかな?」
希「次は…ん?」
「あーあ、本の整理がうまくいかないや。」
「なにかしばるもの ないかな…。」
希「……」
希(見えない何か…花陽ちゃんの時と一緒)
希(落ち着いて、慎重に行動しないと…)
ヴィオラ「……」
希「縛るもの…って言ったら、これしかない」
希(でも、本当に渡していいのかな)
希「……」
「あっ。」
「それくれるの?」
希「……」コクリ
「ありがとう!
…これあげる。」
【読むと死ぬ本を手に入れた。】
希「…っ!」
希「…なに、これ」
希(今までのどの本よりも禍々しい気を感じる……これは、やばい!)
希「……」
「…」
希「…ありがとうなー♪」
希「本の整理、頑張ってね」
ヴィオラ「……」
――――――――――――――――
ガチャ
希「ふぅ…次は」
ギッ
ギッ
ギッ…
希「…甲冑が動いてどこかに」
希「……」
希「スゥー…ハァーッ」
希「うん…じゃあ、次に行こうか」
ヴィオラ「……」
-展示室-
ヴィオラ「……」
希「…ここは」
希(ガラスケースが二つ…その中には、昆虫の模型…?)
希(昆虫…もしかして)
ヴィオラ「……」ガチャ ガチャ
希「あった…蝶の模型」
希「でも、ここは開かない…つまり何処かに仕掛けがある」
希「それを探さないと…」
希「えっと、部屋はこっちにも…」
ガチャンッ!
希「っ…」ピクッ
希「何の音…?」
希「……」
ヴィオラ「……」
希「ガラスケースにひび割れしてる」
希「そ、それに…何?これ…」
ヴィオラ「……」
希「…うっ」
希(これ…どう見ても人間の生首やん)
希(虫だけじゃなくて、人間まで標本にする……魔女って言うのは、本当かもしれんね)
希「…それよりも、ここの部分からヒビが入ってる事は…これ」
希「……」
ヴィオラ「……」
希(どうしよう…もうここ以外に進める所はない)
希(でも…)
希(……)
ヴィオラ「……」テクテク
希「…神様。どうか、ウチの事をお守り下さい」
・・・・・・・・・・・・・・・・
ヴィオラ「……」
希「不自然な場所に置いてある本棚、そして」
希「この本一冊分の隙間…そういうことなんやね」
希「……お願いしてもええ?」
ヴィオラ「……」ゴソゴソ
ゴトッ
希「…!」
希「今のは、ガラスケースの方から聞こえた…」
希「…ケースが、外れた」
ォ
ォ
ォ
オォ…
希「……」
ドクンッ…
.
…不意に、希の心臓が激しく動悸を起こし始める。
今までに経験した事のない緊張感が押し寄せ、全身に重しを括りつけたかのように体が思う様に動かなくなる。
先に呼吸を整え、不安で揺らいでいた心を落ち着かせた…が、それも無駄になってしまった。
仕掛けを動かした後、明らかに周囲の空気が変わるのを感じたのだ…。
もしかすると、自分は選択を誤ったのかもしれない。
もっと周囲を調べ、慎重に事を運ばなければいけなかったのかもしれない。
そんな思考を巡らせながらも、早まった行動に対する後悔をせず、冷静に次に起こる事を予測する。
仕掛け…ガラスケース…生首…ひび割れ
そこから導かれる答えを出すのにはそれ程時間を費やさなかった。
希「……っ」
希「…く…ぅ…」
希「はぁ…はぁ…っ…」
希「……」グッ
希は身構えた。今から起こる出来事に備える為に。
一歩、二歩と少しずつ足を動かしていく…
恐怖、
そして、恐れていた事が現実に起こる
物理法則を無視した動きをした生首が、希に向かって飛び出してきた。
.
ゴォォォォォォォォォ…!
希「ひぃっ!」ダッダッダッダ!
希「あっ…はっ…はぁっ…はぁっ!」
希「い、いやっ…!こっち!こっちに来んでっ!」
希「いやっ…いやぁっ!!」
希の声など聞く耳持たぬという勢いで迫り来る人の頭部
それは希の頭に狙いを定めて襲いかかってきた。
それはまるでヒトの下部を求めている行動のようだった。
足のない物体が、自らの顔に向かって飛んでくるという現実味のない出来事が希の恐怖心をさらに募らせていく。
希「い、いやっ!やめっ!やめてっ!」
希「うわああああああああっ!!!」
ガチャ…バタンッ
――――――――――――――――
希「はぁっ…!はぁっ・・・!」
希「ぐっ…はっ…ふぅ…」
希「はぁー…はぁーっ…」
希「…もう、追ってこない」
希「……」
ペタン
希「は、はは…」
希「ウチ…生き残ったん…」
希「そっかぁ…そっか…」
希「……あはは」
希「……うっ…グスッ…っ」
ヴィオラ「……」
希「…あなたはすごいね、あんなに走っても、汗一つかかないだなんて」
-展示室-
ガチャ
ヴィオラ「……」
希「……もう、いないみたいやね」
希(でも、また襲いかかってくるかもしれない)
希(ちゃんとルートを確保しつつ…ケースの前に)
ヴィオラ「……」ガコン
希「やった…これであの部屋に行ける」
【蝶の模型を手に入れた。】
希「……」ガクカク
希「あっはは…膝が笑ってる」
希「やっぱり、うちも女の子やんなぁ…怖いものは、怖いね」
希「…でも」
ヴィオラ「……」テクテク
希「だからこそ、みんなの所に早く行かんとね」
-倉庫 樽置き場-
ヴィオラ「……」ガサゴソ
希「…うん、蝶を外してあげて…そしてこの模型を」
希「…よし」
【蝶を手に入れた。】
希「…これで、ここで出来ることは終わった筈。」
希「だけど…仕掛けが動いた音はしてない」
希「…うーん、まだ見てないところは…」
バキッ!
希「きゃっ…!」
希「…床が崩れただけ」
希「……余りにもタイミングが良すぎる、そう思わない?」
ヴィオラ「……」
――――――――――――――――
-渡り廊下 甲冑前-
ガチャ
希「…ふぅ」
希「ん?」ヒラヒラ
…蝶は手のひらから飛び立ち、壁の外へとすり抜けていった。
ガチャ
希「…!」
希「今の音…扉が開いたのかな?」
希「…ちょうをすくえ。ちゃんとできたみたいやんな」
希「……ふふっ」
希「あっ…まだまだ!ここからが肝心!」
希「黒猫を見つけるまで安心は出来んよ!」
ヴィオラ「……」ガチャ
希「さぁ、レッツゴー!」
-階段-
ヴィオラ「……」ジャリ
希「…階段に土嚢が散らばってて、歩きにくいなぁ」
希「でも苦労して切り開いた道だから、ちゃんと通っていかんとね」
ヴィオラ「……」
希「さて、次は何があるのかな…?」
-通過口-
ヴィオラ「……」
希「あれ?ここは…何もない」
希「…このまま先に進めって事?」
黒猫「」
希「…どうやら、そうでもなさそうやんな」
ヴィオラ「……」
黒猫「やぁ。」
希「……」
希「えっ、それだけ…」
プツンッ
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
――――――――――――――――
-???-
希「…あ」
絵里「希っ!」
希「絵里ち…」
ギュウッ
絵里「あぁ…よかった…生きて帰ってきてくれてっ…!」
希「…うん、ただいま」
絵里「大丈夫?怪我とかしてない?」
絵里「もし具合が悪いならすぐに横になって…」
希「絵里ち、ウチは大丈夫。それより…」
希「ありがとう。ウチの事、心配してくれて」
絵里「もうっ…当たり前じゃない」
絵里「……副会長のいない生徒会だなんて私嫌なんだから」
希「…そっか、ふふっ」
穂乃果「希ちゃん!」
凛「よかった~!あの生首に襲われたときは死んじゃうんじゃないかって」
希「あー、ウチの事信用してなかったなぁ~?」
凛「えっ!?そ、そういう意味じゃ…」
希「うりゃー!」ワシワシ
凛「いやーっ!!」
真姫「もうっ…希は相変わらずね」
にこ「…本当にそう思う?」
真姫「えっ?」
にこ「誤魔化してるのよ…みんなが不安にならないように」
にこ「あんなに怖い思いした癖に…」
真姫「……」
絵里「…次は、誰かしら?」
ことり「あっ…あっ…」
穂乃果「ことりちゃん?」
ことり「さ、さっき…ことりの前にいたはずの」
ことり「う、海未ちゃんがっ…!」
穂乃果「…えっ!」
海未『………!』
穂乃果「…今度は、海未ちゃん…!」
-通過路-
海未「……ついに、私の番が回って来てしまいました」
海未「ゆくゆくはこうなるとは思っていたのですが…これは」
海未「…少し、ショックが大きいですね」
海未「……」
ヴィオラ「……」
海未「初めまして、園田海未と申します」
海未「少しの間ですが、どうぞ宜しくお願いします」
ヴィオラ「……」
海未「…さて」
海未(今までとは違い、扉がありません)
海未(これは、何か意味があるのでしょうか)
海未「……」キョロキョロ
海未「…!」
海未「この明かりの下の壁、血の跡が…」
海未「そして、この先の道からまっすぐに、血痕が残っている」
海未「……」
海未(絵里や花陽、そして希の時にも感じていましたが…)
海未(血痕のある場所には、必ず罠が張られていました)
海未(そしてそれは、どれもが死に直結するものばかり)
ヴィオラ「……」テクテク
海未「…いつでも走れる準備をしておいたほうがいいみたいですね」
-渡り廊下-
海未「さて、この廊下をっ…!?」
ヒュンッ!
海未「きゃあっ!」サッ
海未「はっ…はぁっ…!」
海未「い、今のは…っ!」
海未(僅かに見えた…あれは紛れもなく、ナイフっ…!)
海未(もし、あの場で咄嗟に避けていなければ…!)
海未「……」
海未(いつまでもここにいたら危険です)
海未(ここは…自分の眼を信じるしか、ない)
海未「…はっ!」ダッ!
ヒュンッ
ヒュンッ
ヒュンッ!
海未「うっ…!」
海未「はぁっ…!はぁっ…!ああっ!」ダッダッダッ
ヴィオラ「……」ダッダッダ
-通過路-
ヴィオラ「……」
海未「はぁ…はぁっ…」
海未「な、何故…私だけ初めから…」
海未(……文句を言っても仕方ありません)
海未(ここからは本当に慎重に進まなければ…)
海未「…おや」
黒猫「」
海未「えっ…も、もう終わり。ですか…?」
ヴィオラ「……」
黒猫「やあ。」
海未「…こ、この猫は」
黒猫「そういえばこの家ってね、魔女の家なんだよ。
…知ってた?あ、そう」
海未「…魔女の、家」
プツンッ
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
-???-
海未「……」
穂乃果「う、海未ちゃん!」
海未「穂乃果…」
ことり「うえ~んっ海未ちゃぁんっ!」
穂乃果「よかったっ…ナイフが飛んできた時一瞬何が起こったのか分からなくてっ…!」
海未「す、すみません…こんなに早く帰ってきてしまって」
ことり「そんな事ないよぉ~!もしことりだったら絶対あの場所で絶対死んでたよぉ!」
海未「こ、ことり…少し落ち着いて下さい…」
絵里「…さて、次は誰が」
絵里「…って、あら?」
にこ「どうしたのよ」
絵里「いや…えっと…あれ?」
真姫「ちょっと、言いたい事があるなら言いなさいよ」
希「……!」
凛「えっ?み、みんなどうしたの……え、みんな?」
ことり「こ、これって…」
海未「もしかすると…!」
穂乃果「み、みんない」
グ ニ ャ ア
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・
――――――――――――――――
チュン… チュン
穂乃果「……」
穂乃果「え……えっ?」
穂乃果「穂乃果の…家」
ガバッ
穂乃果「も、戻ってこれた!?」
穂乃果「えっ…?どうして…?どういう事…?」
ピリリリ
穂乃果「!」ピッ
穂乃果「も、もしもしっ!」
海未『穂乃果っ!…あぁ、よかったっ…!』
穂乃果「海未ちゃん!穂乃果達…戻ってこれたんだよねっ!?」
海未『詳しくは学校で…全員が戻ってきていのか心配ですから』
穂乃果「うんっ!分かった!」pi
穂乃果「……」
穂乃果「生きて…帰って来れてんだね」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
…その後、みんな元の世界に戻ってることを確認できてみんなで喜んだ。
でも、やっぱりかよちゃんはそのままで…まだ何も終わってない事を穂乃果たちは知った。
今日も部室で会議がある…いつになったらこの悪夢が終わるんだろう?
あの家から外に出る事が出来たら?
私達をあそこに閉じ込めた犯人をやっつけたら?
それとも…みんなあの家で死んでしまったら?
穂乃果(……こんな事、考えたくないのに)
穂乃果(悪い方、悪いほうに考えちゃう…)
穂乃果(どうして…)
穂乃果(どうしてこんな事になったんだろう?)
穂乃果(穂乃果…何か悪い事したかなぁ)
穂乃果(何か…なに、か…)
穂乃果(………)
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「……」
「ねぇ、そろそろ諦めたら?」
「今度の人間、すごく頑張ってるよ?このまま最後まで進ませていいの?」
「……」
「まぁ、別に私はどうでもいいのだけど」
「でも 自分がどれだけ無駄な事してるのか分かってる?」
「……」
「えっ?…無駄かどうか分からない?」
「……ふふっ、」
「面白いね 何も分かってない''魔女''と話すのって」
「だって おかしいもの。今の×××ちゃん」
「私と 同じ事をして 私と同じように家を作って」
「私と同じように騙されてる。」
「怖いよね。何も知らない事って」
「恐ろしいよね。人間も 魔女も 悪魔も。」
「……」
「でも、いいよ。」
「どうせ、次に××が枯れたら終わりなんだから」
「それまでは 一緒に遊んであげるね」
「だって、私達 ''友達''だもんね。」
「ねぇ。」
【ヴィオラちゃん。】
.
穂乃果「……っ!?」ガバッ
ことり「…へっ?」
海未「ほ、穂乃果…一体どうしたのですか?」
穂乃果「…何、今の」
ことり「えっと…穂乃果ちゃん、お昼食べれそう?」
海未「随分と疲れている様子でしたから、声をかけずにいたのですが…」
穂乃果「……」
海未「穂乃果?」
穂乃果「あ、ううん。もう大丈夫だよ」
ことり「…穂乃果ちゃん、あんまり無理しないでね?」
海未「そうですよ。これから全員で話し合いを…」
ダッダッダッダッダ…!
バタンッ!!
.
にこ「はぁっ…!はぁっ…!」
ことり「えっ…に、にこちゃん?」
にこ「さ、三人ともっ!今すぐ部室に来てっ!」
海未「えっ…?会議は放課後のはずでは」
にこ「そんなの待ってられないわよっ!早く来なさいっ!」
穂乃果「に、にこちゃん一体どうし…」ガシッ
穂乃果「…えっ?」
にこ「……見つけたのよ」
「あの……手紙の正体をっ!!」
【To Be Continued…】
続き
穂乃果「あなたは…誰なの?」ヴィオラ「……」【2】