1 : 以下、\... - 2014/12/09 23:02:04.76 oOcpzjeFM 1/43

「なんだい。赤ずきんや」

赤ずきん「どうしておばあさんのお耳は、そんなに大きいの?」

「これはね、お前の声が良く聞こえるようにだよ」

赤ずきん「そうなの」

「そうだよ」

赤ずきん「どうしておばあさんのお口は、そんなに大きいの?」

「それはね。……お前を食べるためさ!」ガバッ

赤ずきん「>>5」

元スレ
赤ずきんちゃん「ねぇ、おばあさん」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1418133724/

5 : 以下、\... - 2014/12/09 23:05:41.74 EZNi6GUs0 2/43

キャオラッッ

9 : 以下、\... - 2014/12/09 23:08:31.40 oOcpzjeFM 3/43

赤ずきん「キャオラッッ」

「……っ!?」

赤ずきんの放った蹴りは、狼の頬スレスレをかすめた。

赤ずきん「……わざと外してやったが、次はもうないものと思え」

トントンとつま先で軽く跳び、赤ずきんは構える。

「>>11」

11 : 以下、\... - 2014/12/09 23:12:14.54 KLLD6mis0 4/43

狼牙風々拳

12 : 以下、\... - 2014/12/09 23:16:42.12 oOcpzjeFM 5/43

「狼牙風々拳」

呟くように言うと、狼は滅茶苦茶に殴打と蹴撃を繰り出した。
赤ずきんはそれを鼻で笑い跳躍し、渾身の回し蹴りを狼の胸部に叩き込む。

「がふっ……!?」

壁を突き破り、狼は屋外へと投げ出された。

赤ずきん「ふん……。狼牙風々拳は武術を極めた人間ならではの技。狼である貴様に扱えるわけがない」

狼が開けた大穴から外へ飛び出すと、
赤ずきんはとどめの>>14を狼に向けて放った。

14 : 以下、\... - 2014/12/09 23:24:22.91 5o7OceWt0 6/43

すごいぱんち(あいてはしぬ)

15 : 以下、\... - 2014/12/09 23:27:40.91 oOcpzjeFM 7/43

赤ずきん「すごいパァンチ!」

「……ッ!」

仰向けに倒れる狼の腹部に、赤ずきんの拳がめり込んだ。
爆炎のごとき砂埃が舞い、視界が一瞬で失せる。

赤ずきん「他愛のない」

おもむろに頭巾を脱ぐと、赤ずきんは狼の血で汚れた拳をそれで拭った。

17 : 以下、\... - 2014/12/09 23:30:14.18 oOcpzjeFM 8/43

赤ずきん「ひとつ、答えろ」

砂埃が晴れ、大きく抉れた地面に横たわる狼の姿が浮かび上がる。

赤ずきん「おばあさんはどこだ」

か細い呼吸を繰り返す狼に、赤ずきんは氷のように冷たい声を吐いた。

赤ずきん「どこだ。答えろ」

「>>19」

19 : 以下、\... - 2014/12/09 23:33:59.87 beOrLtM10 9/43

滋賀

21 : 以下、\... - 2014/12/09 23:37:06.12 oOcpzjeFM 10/43

赤ずきん「滋賀……」

それはどこ?
言いかけて、赤ずきんはその言葉を飲み込んだ。
地理に疎いことを狼にばれるのが、なんだか気恥ずかしかったからだ。

赤ずきん「なるほどね……、おばあさんは滋賀に……」

虫の息で横たわる狼を置いて、赤ずきんは>>23で滋賀に向かうことにした。

23 : 以下、\... - 2014/12/09 23:41:53.24 79wnieeL0 11/43

ホバーボード

24 : 以下、\... - 2014/12/09 23:45:53.49 oOcpzjeFM 12/43

赤ずきん「こっちの準備はOKよ!」

「それじゃあ発進」

ぶるるるるるる。
独特のエンジン音を奏で、狼の所有するモーターボートが海上をゆっくりを進みだした。

「つーかそれ独立して走れるんだから、俺いらないんじゃないの?」

赤ずきん「途中で転んだらどうするのよ! サポートは任せたからね!」

「それならこっちに乗ればいいのに……」

25 : 以下、\... - 2014/12/09 23:48:30.97 oOcpzjeFM 13/43

赤ずきん「滋賀!」

「まだここは福井だよ。滋賀まではもうちょっと」

赤ずきん「なんでわざわざ福井経由するのよ!」

「君が飛行機嫌がるからでしょう……。滋賀まですぐだから」

赤ずきん「まったく! 使えないわね!」

「……」

27 : 以下、\... - 2014/12/09 23:50:23.40 oOcpzjeFM 14/43

赤ずきん「今度こそ滋賀!」

「そうだね」

赤ずきん「おばあさんはどこ!?」

「琵琶湖だよ」

赤ずきん「琵琶湖!? 鳥人間コンテストで有名な!?」

「うん」

赤ずきん「ああ。うちのおばあさん鳥人間だものね」

「そうだね」

28 : 以下、\... - 2014/12/09 23:51:51.57 oOcpzjeFM 15/43

赤ずきん「おばあさん!」

おばあさん(鳥人間)「赤ずきんや!」

二人は抱きしめ合った。感動の再開である。

「へへっ……。歳取ると涙もろくなっていけねぇや」

狼の目には光るものがあった。

赤ずきん「ところで。おばあさんはなんで琵琶湖へ?」

おばあさん「それはね。>>30だからだよ」

30 : 以下、\... - 2014/12/09 23:55:04.69 aPTFhVX+0 16/43

存在

31 : 以下、\... - 2014/12/09 23:57:34.48 oOcpzjeFM 17/43

赤ずきん「存在?」

おばあさんは何を言っているんだろう。
赤ずきんの頭にたくさんの疑問符が湧いた。

赤ずきん「存在って……。どういうこと?」

そのまま、質問にしてぶつける。
おばあさんは無表情のまま口を開いた。

おばあさん「私が琵琶湖に来たわけじゃないんだよ。私はね、琵琶湖そのものなんだよ」

赤ずきん「なんですって……!?」

32 : 以下、\... - 2014/12/09 23:59:14.66 oOcpzjeFM 18/43

赤ずきんは当惑した。
よく考えれば、おばあさんはかなりの高齢である。
妄言の類が始まっていてもおかしくはないのだ。

赤ずきん「おばあさん……。何を言っているのよ……」

無表情で佇むおばあさんに、赤ずきんは恐怖を感じていた。

琵琶湖そのもの……?

赤ずきん「どういうことなのよ……」

33 : 以下、\... - 2014/12/10 00:00:38.19 QFzFjNK8M 19/43

「危ない! 赤ずきん!」

狼の声で我に返った。
赤ずきんはその身を伏せる。

赤ずきん「うわ……っ!」

突如風を感じ、周囲の木々がなぎ倒された。

赤ずきん「おばあさんっ!!!」

鳥人間のおばあさんが、羽を広げて上空を舞っていた。

35 : 以下、\... - 2014/12/10 00:03:00.89 QFzFjNK8M 20/43

おばあさん「分からないのも無理が無いだろうねぇ……」

赤ずきん「ぐう……っ!」

「……っ」

おばあさんを中心に、とてつもない突風が巻き起こっていた。
琵琶湖の湖面は時化の海上のようだったし、
緑樹は台風の直撃を受けたかのように薙いでいた。

おばあさん「私は”存在”しているんだよ。この場、この時にね……」

赤ずきん「おばあさん……っ!」

36 : 以下、\... - 2014/12/10 00:05:19.92 QFzFjNK8M 21/43

「話し合いが通じる相手じゃねぇ! ここはいったん引いて……」

言いかけた狼を、赤ずきんが強いまなこで制した。

赤ずきん「退いてどうするのよッ!? あれは……、あそこにいるのは……。私のおばあさんなのよッ!!!」

「赤ずきん!」

必死に叫ぶ狼の制止も聞かず、赤ずきんは嵐の渦中へと飛び込んでいった。

おばあさん「おいで……、赤ずきん……。私の孫よ……」

赤ずきん「そこで待っていろッ! おばあさんッ!!!」

37 : 以下、\... - 2014/12/10 00:08:36.91 QFzFjNK8M 22/43

「なんだよ……、ありゃあ……」

呟くように言った狼は、驚愕に目を大きく見開いていた。
赤ずきんの背中に、何やら巨大な白いものが見える。

おばあさん「おやおや……。お前も目覚めたようだねぇ……」

赤ずきん「この穢れた血筋……! 私の代で終わらせてやる……!」

琵琶湖の上空。
吹き荒れる嵐の中で笑う、鳥人間のおばあさん。

そこへと飛び立つ赤ずきんは、
背中で天使の白い羽をはばたかせていた。

38 : 以下、\... - 2014/12/10 00:11:24.42 QFzFjNK8M 23/43

おばあさん「あんまり子供が調子に乗るもんじゃないねぇ……」

赤ずきん「くっ……!」

おばあさんが力強く羽を振ると、あたりにいくつもの竜巻ができた。
赤ずきんはそれに飲まれないよう、必死に翼を動かし続ける。

おばあさん「天使と鳥人間。どちらが強いか、ここではっきりさせようじゃないかッ!」

赤ずきん「ああっ!」

おばあさんが大きく目を剥くと、赤ずきんは荒波の琵琶湖へと真っ逆さまに落ちていった。

「赤ずきんーーーっ!!!」

39 : 以下、\... - 2014/12/10 00:14:56.61 QFzFjNK8M 24/43

私はここで死ぬのだろうか。
湖面が、白く泡立つ波が、眼前へと迫る。

暴風の中で、自分の翼は役に立たないようだった。
どう羽ばたいても落ちるスピードは変わらなかったし、
何より生えたばかりの翼は、あまり言うことを聞いてくれない。

ここまでか。

諦めかけた赤ずきんは、誰かの声を聴いた気がした。
懐かしいような、そうでないような。

赤ずきん「……こんなところで、死ぬわけにはいかない」

生と死のはざまの中で、赤ずきんは>>41の能力に目覚めていた。

41 : 以下、\... - 2014/12/10 00:17:43.33 yuC7D49h0 25/43

滋賀県の県庁所在地を彦根にする

43 : 以下、\... - 2014/12/10 00:20:45.99 QFzFjNK8M 26/43

おばあさん「うふふふふ……。こんなものか、赤ずきん……」

赤ずきん「どこを見ているの!? 私はここよ!」

おばあさん「何ィ!?」

はるか上空で笑うおばあさん。
その、さらに上。

大きな白い翼をはためかせて、赤ずきんは不敵な笑みを浮かべていた。

赤ずきん「今、滋賀県の県庁所在地は彦根になった……。ここからは……、私の番よ!」

おばあさん「そんな……、馬鹿な……っ!」

44 : 以下、\... - 2014/12/10 00:24:16.04 QFzFjNK8M 27/43

おばあさん「そんな……。滋賀県の県庁所在地は大津のはず……。ああ……、私の法則が……、私の”存在”が乱れる……」

頭を掻きむしりながら、おばあさんは呻くように呟いた。
そこに向け、赤ずきんは全力で突進する。
       ポールスター
赤ずきん「”永久不滅の座標点”! それが私の能力よ!」

力なくうなだれるおばあさんの腹部を、赤ずきんは右の拳で貫いた。

赤ずきん「……覚えておきなさい」

45 : 以下、\... - 2014/12/10 00:26:25.73 QFzFjNK8M 28/43

「赤ずきん! 大丈夫か!」

嵐がおさまり、凪のようになった琵琶湖のほとりを、狼が不恰好に駆けてきた。
赤ずきんは、血に染まった拳を頭巾で拭いながら、憔悴しきった顔に笑みを浮かべる。

赤ずきん「ええ、なんとかね……」

狼にそう答えながら、湖面に浮かぶおばあさんを振り返る。

赤ずきん「さすが私のおばあさん。恐ろしい、相手だったわ」

48 : 以下、\... - 2014/12/10 00:28:25.14 QFzFjNK8M 29/43

赤ずきん「あっ……」

「赤ずきん!」

ふらりとよろめき、地面に膝をついた赤ずきんに、
狼が必死に駆け寄った。

赤ずきん「ふふ……、無様ね……」

今さらになって恐怖がこみ上げてきたのか、
赤ずきんの足は、ガクガクと震えていた。

49 : 以下、\... - 2014/12/10 00:31:09.27 QFzFjNK8M 30/43

赤ずきん「どうしたの? 狼……」

自身の肩に手を乗せた狼が、何やら呆然と琵琶湖を眺めているのに気付いた。

赤ずきん「何か見つけ」

言いかけ、琵琶湖へと視線を送った赤ずきんは、狼同様固まってしまう。

そんな馬鹿な。
あれを食らって、生きているわけがない。

赤ずきん「あ……、ああ……」

震えがさらに激しくなった。
湖面に浮かぶ影に、心中を占める感情は絶望。純粋な絶望だった。

おばあさん「赤ずきん……。よくもやってくれたね……」

50 : 以下、\... - 2014/12/10 00:34:39.59 QFzFjNK8M 31/43

大きく開いた腹部の孔から、大量の血液と湖水を垂れ流しながら、
ゆらゆらと体を揺らめかせて、おばあさんが羽音をたてさせ湖上に浮いていた。

おばあさん「次はこうはいかないよ……。悪ガキにはお仕置きをしないとねぇ……」

赤ずきん「ひっ……、ひっ……」

もう悲鳴も上げられなかった。
身体は震え、顔は雪のように、白い。

「に……、逃げるぞ……」

お互いに震える手を取り合いながら、狼と赤ずきんは立ち上がる。
おばあさんはそんな二人を見て、邪悪な笑みに顔を歪ませた。

おばあさん「誰が逃がすものかい……。私の能力>>53……、受けて、死んでおいきよ……」

53 : 以下、\... - 2014/12/10 00:37:53.70 yuC7D49h0 32/43

ひこにゃんをあずにゃんに変える

56 : 以下、\... - 2014/12/10 00:41:19.51 QFzFjNK8M 33/43

赤ずきん「に、逃げない……」

ガクガクと震える足を手で押さえ、赤ずきんは大きく翼を広げた。

赤ずきん「私は……、絶対にもう……、逃げない……」

大きく羽ばたき、中空へと舞う。

「赤ずきん!」

伸ばした手は届かなかった。
赤ずきんはおばあさんへ向け、翔ぶ。

赤ずきん「絶対にもう! 逃げない!」

おばあさん「馬鹿な子だねぇ……」

57 : 以下、\... - 2014/12/10 00:44:12.40 QFzFjNK8M 34/43

赤ずきん「!?」

何が起きたのだろう。
急に、身体が鉛のように重くなった。

赤ずきん「がぼっ!?」

苦しい。
湖面に激しく衝突し、口から鼻から水が入り込んでくる。

おばあさん「うふふふふ……。さっきのお返しだよ……」

激しく泡立つ湖を見て、おばあさんは笑う。
        アクイノカタマリ
おばあさん「”善意の欠片”……。もっと人気が出るようにって、マスコットを変えてやったよ……」

相変わらず、赤ずきんの落ちた場所から白いあぶくが立つ。

おばあさん「ひこにゃんを……、あずにゃんにねぇ……」

60 : 以下、\... - 2014/12/10 00:46:44.36 QFzFjNK8M 35/43

「なんだって……!?」

おばあさんの言葉に、狼は自分の耳を疑った。

ひこにゃんを……、あずにゃんにだと……?

いくらBDBOXが出たばかりとはいえ、知名度でははるかにひこにゃんに劣るはずだ。
それを、なぜ……。

狼の頭は混乱し、思考は迷走を繰り返していた。

おばあさん「うふふ……。滋賀県の未来は……、あずにゃんにかかっているんだよ……」

湖面がひときわ大きく泡立ち。
そして。静かになった。

61 : 以下、\... - 2014/12/10 00:50:02.26 QFzFjNK8M 36/43

絶望。悲観。恐怖。

狼の心中は、あらゆる負の感情で埋め尽くされていた。
赤ずきんも殺られた。
眼前の敵に、打つ手立てはない。

がっくりとうなだれ、狼は自分の死を待つことしかできなかった。

おばあさん「うふふふふふふふ……。素直な子は好きだよ。あずにゃんとともに、心中するがいい」

ばさり。
羽音を立てて、悪魔が近づいてきた。

63 : 以下、\... - 2014/12/10 00:52:48.64 QFzFjNK8M 37/43

「?」

おかしい。
急に静かになった湖面に、違和感を覚えた狼が顔を上げた。

相変わらず、おばあさんは湖上に浮かんでいる。
その足元。
奇妙なものを狼は見つけた。
呆然自失といった狼の表情が、ひきつった笑みへと変わる。

「はっは! やってくれるぜ、あの野郎……!」

おばあさんの足首を、何者かの手が掴んでいた。

64 : 以下、\... - 2014/12/10 00:55:35.37 QFzFjNK8M 38/43

ざばぁん!
大きな波音を立てて、天使が湖上へと舞い戻った。

おばあさん「なんで……、お前が……」

口を開くたび、腹部の孔がゴボゴボと音を立てる。
赤ずきんは不敵に笑いながら、それを眺めていた。

赤ずきん「いいじゃない……。あずにゃんでも……」

力強く拳を握りしめ、叫ぶ。

赤ずきん「年寄りがッ! あまり舐めるなよ、オタク文化をッ!」

65 : 以下、\... - 2014/12/10 00:58:54.06 QFzFjNK8M 39/43

おばあさんは奇妙な感覚にとらわれていた。
眼前で叫んでいる人間は、一人のはずだ。

しかし。

赤ずきん「毎クールごとに嫁が変わる!? はっ! ふざけないで! 私はね、変わらないわよ! 自信をもって言えるわ! いつなんどきでも、一人のキャラを愛し続けると!」

その背後に。
何人もの人影が見える。

……いや。
それは、何十、何百。千、万、億のうねりとなって、おばあさんへと襲い掛かった。

赤ずきん「あずにゃんも、唯も律ちゃんもムギも澪も! 全員まとめて私の嫁よッ!」

66 : 以下、\... - 2014/12/10 01:01:55.21 QFzFjNK8M 40/43

おばあさん「馬鹿な……。もう5年も前の……、旬を過ぎたアニメのはず……」

その身をボロボロと崩しながら、おばあさんは呻いた。

赤ずきん「旬を過ぎた、ですって?」

静かに笑い、そして赤ずきんは言った。

赤ずきん「そんじょそこらのにわかと一緒にしないで。私は毎年、みんなの誕生日を祝っているわよ」

キラキラと輝く光に飲まれながら、おばあさんも笑みを浮かべたように見えた。

赤ずきん「それこそ赤ずきんちゃんのように、時代を超えて愛されていくものなの」

67 : 以下、\... - 2014/12/10 01:04:36.07 QFzFjNK8M 41/43

「大丈夫か!」

おばあさんが完全に消滅するのを確認してから、狼は赤ずきんに駆け寄った。
冷笑を浮かべ、赤ずきんは狼を睨む。

赤ずきん「あんた何もしてないじゃない。来た意味あったの?」

「それは……」

無理矢理連れてこられて文句を言われる筋合いはないのに。
狼はやや憤慨していた。

赤ずきん「はぁ。役立たずは胃袋に石を詰めて、湖に沈めてやろうかしら」

「それは絶対にやめて」

なんだか本当にそういうオチにされそうなので、狼は必死に懇願するのだった。

68 : 以下、\... - 2014/12/10 01:08:23.72 QFzFjNK8M 42/43

「やめてって言ったじゃん! なんで詰めるの!?」

赤ずきん「うるっさいわね! これしか思いつかなかったのよ!」

掻っ捌いた狼の腹腔から、ぎゅうぎゅうと石を詰めながら赤ずきんは叫ぶ。

赤ずきん「ちょうどいいじゃない! 湖もあるんだし!」

「やだやだやだやだぁ!」

どぼぉん!
赤ずきんが蹴り落とすと、狼は水底へと沈んでいった。
ぶくぶくと泡立つ湖面も、しばらくすると静かになった。

赤ずきん「これにて、一件落着ね」

尊い命を犠牲にして、一つの話が完結するのだ。
静かな湖畔に、赤ずきんの高笑いが、いつまでもいつまでも響いていた。

終わり

71 : 以下、\... - 2014/12/10 01:13:23.79 QFzFjNK8M 43/43

読んでくれた方、レスくれた方、ありがとうございました。

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