1 : ◆6RLd267PvQ - 24/11/18 11:41:42 mlbz 1/27個人的に付き合いのあるとある創作者様とのお題交換会の作品です。
少しだけ長いので途中投下が止まったらおーぷんの投下規制ということで数時間空きます。完成はしているのでよろしくお願いします。
元スレ
高森藍子「路地裏のお気に入りのカフェ」
http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1731897702/
~とある路地裏~
藍子「はぁ…」トボトボ
高森藍子、16歳。アイドル。
常に柔らかな微笑みを絶やさず、ゆるふわ森ガールとも呼ばれ、お茶の間に親しまれる彼女の胸中は今、穏やかではなかった。
※どうでもいいけどナレーションボイスは郷里大輔さんイメージです。脳内再生可能な方は是非。
藍子「…やっぱり、大きい方が、いいのかなぁ…」
彼女の憂い顔の原因は、数時間前まで遡る。
そして、その数時間前の出来事から、歯車は動き出していた。
~~~
~赤坂ブーブーエス・番組収録中~
芸人『いやー、言うて我々もね、男ですから』
芸人B『我々とか言うなや、お前だけやろ!』
愛梨『何のお話なのかなぁ』
藍子『あ、あはは……あの、愛梨さんも困ってますから、その辺で…』
芸人『困ってるいうより、何やわからん顔しとるけどなぁ』
芸人B『やめや、セクハラで訴えられたら負けるでお前ホンマ』
愛梨『セクハラ?何がセクハラなんですか?』
藍子『あぁあ、もう、ストップ!いったんカメラストップですっ!』
芸人『いや、これ生放送やがな』
藍子『そ、そう言えばそうでした!あわわ、ど、どうすれば~っ』
愛梨『藍子ちゃん、汗びっしょりだよ?』フキフキ
芸人B『あ~……とまぁ、ウチのアホが引っ掻き回しといてアレですが、ここでVTR!…順番が違う?VTR言うたらVTRや!はよ出さんかい!』
芸人B、彼は、気遣いの男だった。
しかし、高森藍子は見逃していなかった。
彼の視線もまた、相方同様、十時愛梨のとある一部分に釘付けであったことを。
十時愛梨は、Fカップだった。
高森藍子は、AAカップだった。
~~~
~再び現在、路地裏~
藍子「結局何だかんだで皆、愛梨さんの胸ばかり見てるんだもん……男の人って、皆ああなのかしら…」
ニャーン
藍子「あ……ねこさん…」
ニャー?
藍子「ううん、ごめんね。心配しなくても、へっちゃらだから。…そう、大きさじゃないって、愛海ちゃんも言ってましたし!」グッ
ニャン♪
藍子「あ、そうだ。ねこさん、ちょっとだけそのままで……えいっ」
パシャリ
ニャー?
藍子「…うん、おめめがくりくりしてて、いい写真…♪」
藍子「……そうだ、写真……好きなものを撮って、デレぽでみんなに見て貰おうかな…」
生来、高森藍子は、争い事を好まない性格である。
それ故、無意識のうちに、内側に溜め込んでしまうことが多く、その都度癒しを求めて散歩をする習性があるのだった…が。
今回ばかりは、それが仇になった。
~~~
~事務所~
P「はぁ……」
裕子「ため息吐きたいのは、藍子ちゃんの方だと思いますけどね」ジトー
P「勘弁してくれ、共演者が何をどう喋るかまでは、流石にコントロールできないよ」
裕子「それでもこう…何かしてあげるべきじゃないんですか?」
P「何かって、例えば何だよ」
裕子「そりゃあ私なら、やっぱりさいきっくじゃないですか!こう、念じるんですよ、むむっと!」
P「お前はそれでいいかもしれんが…」ピロン
P「あ、デレぽの通知だ」スマホタプタプ
裕子「藍子ちゃん元気にな~れ~……藍子ちゃん元気にな~れ~…」ムムムー
P「ねこさんです、か……いつもより枚数が多いな……」
P(いつもなら投稿は事前チェックもするんだが……まぁ、流石に滅多なことにはな…藍子だしな)
裕子「藍子ちゃん、元気に、なぁれえ~!」ユラユラ
P「とりあえずそのふしぎなおどりをやめないか、MP吸われそうだ」
ピロン♪
藍子『路地裏のお気に入りのカフェ♪』
P「……どう見てもラーメン屋じゃないか」
裕子「元気になれーっ!むむむーっ!」
藍子『ラーメン屋さんにご飯を貰うねこさんです。このお店の人がお世話していたんだなぁ』ピロン
そこに写っているのは、カフェの写真だった。
P「ああ…あのカフェの通りかこれ!」ポンッ
裕子「元気に……はぁ……元気に…ふぅ…ひぇえ…」
P「はっはぁ、さては、猫を追っかけるうちに夢中になって写真を間違えたな?微笑ましいと言うか何と言うか…」
裕子「プロデューサー……ひ、ひどいじゃないですか……」
P「ん、何でそんな肩で息してるんだ」
裕子「念じていたに決まってるじゃないですか!たった一人で一生懸命藍子ちゃんのえなじーをフル回復させるべく、さいきっくめでぃてーしょんでですね!」
P「…もしかして、メディキュアとか言いたいのか?」
裕子「え、あ、それです!さいきっくそれです!」
P「メディテーションだと瞑想になっちゃうだろ…まあ、お前はいつも迷走してる様なモンだが」
裕子「なっ、失礼ですよ!たまにはストレートにさいきっくが届くかもしれないじゃないですか!」
P「まぁ、気持ちは届くかもな……ん?」ピロン
ピロン ピロン ピロン ピロン ピロン
裕子「ピロンピロンうるさいですよ、プロデューサーのスマホ、壊れちゃったんじゃないですか?」
P「いや、コレはデレぽの通知みたいだぞ…?」
裕子「あ、本当ですね、私のスマホも鳴ってました」ピロン
P「………え?」
裕子「どうしたんです?顔がうす汚いですけど」
P「せめて青いと言え……じゃなくて!」
ピロン ピロン ピロン ピロン ピロン
P「ものっそいバズってる…路地裏のお気に入りのカフェ…」ピロン
裕子「はぁ、別にいい事なんじゃないんですか?」ピロン
P「の、ラーメン屋…」ピロン
裕子「プロデューサーさんは一体何を…はっ!まさか、毒電波に頭を……!」ピロン
P「違う!画面よく見てみろ、ほら」ピロン
裕子「……路地裏のお気に入りのカフェ……あれ?」ピロン
P「な、ラーメン屋だろ、写真」ピロン
裕子「あはは、藍子ちゃんってば、うっかり間違えちゃったんですね、もう、おっかしいんだー♪」ピロン
P「呑気な顔で笑ってる場合じゃないかもしれんぞ…?」ピロン
裕子「へ?」ピロン
P「通知が」ピロン
P「止まら」ピロン
P「ないだろ」ピロン
裕子「そう」ピロン
裕子「言えばさっ」ピロン
裕子「きからずっ」ピロン
裕子「……」ピロン
裕子「だぁーっ!」ピロン
裕子「ピロンピロンピロンピロン!」
P「お前がピロンピロン言ってどうすんだ」
裕子「頭おかしくなりますよ!」
P「お前は元からおかしいから大丈夫じゃないか?」
裕子「ああ、確かに」ポンッ
P「とにかく……いくら何でもバズり過ぎてる」
裕子「わ、9999+になってますよ、☆マーク」
P「投稿されてからものの数分と経ってないぞ…?普段わりと過疎ってんのに何で急にこんな活性化したんだ、デレぽ」
裕子「不思議ですねえ……急にこんな元気になって…ん?」
P「どうした」
裕子「…あの…もしかして、私のせいとかだったりしちゃいますかね、これって」
P「だから何が……あっ」
裕子「あは……あはははは……」
堀裕子は、エスパーである。
本人が知ってか知らずかはともかく、エスパーなのである。
そして、その能力はよく、本人の預かり知らぬところで、まるでニアミスの様に発揮されるのだ。
最初は周囲も、ほんの偶然だと考えていたのだが、あまりに同様の事例が多発した為、本人も含め、何となくこれは堀裕子の能力によるものなのではないか、と思い始めていた。
裕子主観では、自分は最初からサイキッカーなので、能力が暴発してしまっただけ…という認識の差はあるのだが、今回それはひとまず置いておく事にする。
とにかく、緊急事態なのは、間違いなかった。
~~~
~路地裏の細い抜け道~
ニャーン
藍子「しっ……静かに…」
ザワザワ……ザワザワ……
藍子「ど、どうしていきなりこんな大騒ぎに……何か、事件でも起こったのかなぁ……」
ニャー?
藍子「うう…いつまでもこんな場所に閉じこもってちゃ、ねこさんも窮屈だよね……けど…」
ザワザワ……ロジウラノオキニイリノカフェ……ロジウラノオキニイリノカフェ…
藍子「…?」
パシャパシャ パシャパシャ!
藍子「ラーメン屋さんを撮ってる……あのお店、そんなに有名なお店だったかな…」
藍子「もしかしたら、やっぱり何か事件なんじゃ……ど、どうしよう、お世話してるねこさんだっているのに…!」
ニャーン
藍子「な、何かあってからじゃ……とにかく、原因を確かめなくちゃ……そうだ、スマホで……」
藍子「えっと……あれ?」
藍子「通知がこんなに……えっと……」タプタプ
藍子「………あっ、え」
藍子「……これ、原因、もしかして……?」
裕子「……えいっ」クチオサエ
藍子「むぐ!……うっふぉひゃん!?」
裕子「誰がそんなおサルさんみたいな名前なんですかね…とにかく、こっちです、こっち!」
藍子「ぷはっ……え、あの、お店が…このねこさんも…」
ニャーン
裕子「今プロデューサーがうまく情報操作する様に手回ししてます!お店にも連絡してますし、大丈夫ですから!」
藍子「あああ、私のせいでこんなことに~っ」
ニャンニャー
裕子「藍子ちゃんだけのせいじゃないですから!とにかくここは一度さいきっくテレポーテーションで離脱ですよ!ほら、走って!そこの通りに出ますよ!」
藍子「で、でもっ、私今日は変装とかしてないし、バレちゃう…」
裕子「ふっふっふ……こんな事もあると思いまして、今日のユッコは秘密兵器を持ってきちゃいました!」ジャーン
藍子「こ、これは……帽子と眼鏡とマスク…?」
裕子「肇ちゃんから変装用の帽子を、春菜ちゃんからは是非にと託されたメガネを、そしてあきらちゃんからマスクを貰って来たのです!」ドヤッ
藍子「全部借り物…」
裕子「これを使い、そしてこの場にこの美少女さいきっかーエスパーユッコがいるということは!禁断の超秘奥義、さいきっくインビジブルを使う条件を満たしているということに他なりません!」
藍子「ただの変装だよね」
裕子「ノリが悪いなあ藍子ちゃんは」
藍子「だって、ユッコちゃんはいるだけじゃない」
裕子「いいでしょー、いるだけで頼りになるスーパーさいきっかーですよ!ほら、とにかく走りますよ、さいきっく、ワープ!」グイッ ダッ
藍子「テレポーテーションじゃなかったのー?」トテテ
ニャーン
~~~
~事務所~
マキノ「……まぁ、こんなところかしらね」
泉「急に呼び出されたから何事かと思っちゃった」
晶葉「まぁ、我々3人が集ってしまえば、大衆への情報操作など造作もない事だがな!」
マキノ「デコイにブラフにフェイクニュース……まさかたった1つの投稿の為にここまでやる事になるとはね…相応の対価は必要よね、これ」
P「ああ、まぁ……今度、チョコレートサンデーなら奢るからさ…頼むよ」
マキノ「随分と安く見積もられたものね。言っておくけど、一度だけじゃ足りないわよ?」
P「俺のポケットマネー程度で騒ぎが収まるなら…安いもんさ…ははは…」
ありす「皆さん、お茶を買ってきました」
マキノ「ありがとう、横に置いておいて。お金はプロデューサーから」
ありす「はい、わかりましたマキノ先生。プロデューサー、540円ですよ」
P「……どうせなら俺の分も買ってきてくれりゃいいのに」チャリン
ありす「自分で行ってきてください。皆さん大忙しで手が空いているのはプロデューサーさんくらいです」タブレットタプタプ
P「お前だって暇そうじゃないか」
ありす「私は掲示板で情報操作をする役割があります、こういうのは慣れていますから」
P「本当か…?変なトコにアクセスしたりしてないよな」
ありす「年齢制限がかかっています、おかしなサイトにはひっかかりませんよ」タプタプ
P「ならまぁ……ん?」
ありす「どうかしましたか?」
P「この『苺の国の時計うさぎ』ってコテハン…」
ありす「な、見ないでください!」
P「何が変なサイトにはひっかからない、だ!普通に12ちゃんねるじゃないかこれ!」
ありす「12ちゃんは変なサイトじゃないです!精度の高い情報共有ネットワークサービスです!」
ギャーギャーワーワー!
裕子「ただいま戻りましたっ!さいきっく人助け、完遂です!みっしょんこんぷりーとです!」
藍子「はぁ…はぁ……ちょっと……息が……はぁ…」
ニャーン
P「無事に帰ってきたか……はぁ…」ホッ
~~~
そして、数日の時が過ぎた。
裕子「いやー、それにしても………今思い出してもスリルたっぷりな事件でしたね、アレは…」
都「なるほど……現場は狭い路地裏、密集する人、人、人……更に、一見して無関係に見えてしまうこのラーメン屋の写真……そのラーメン屋で飼われているという一匹の黒猫……」ハッ
裕子「都ちゃん?さっきから独り言が凄いよ?」
都「このニャン事件…謎はすべて解けてしまったかもしれません!……ズバリ、犯人はこの事務所の中に、しかも今、この瞬間に部屋にいる人物しかあり得ない!」ドンッ
裕子「うん、もう解決しちゃってるから大丈夫だよ?」
都「えっ!?!?」
裕子「えっ、じゃなくて」
都「……ま、まぁ、真の名探偵は事件が起こる前に全てを解決してしまう、とも言いますから?これくらいは朝飯前」
裕子「事件は起こったんだよ?」
都「えっ!???」
裕子「えっ、じゃなくて」
~~~
~路地裏~
藍子「この前はごめんね、ねこさん」
ニャン
藍子「それにしても、何だか…ドミノ倒しみたいな事件だったなあ…」ポーッ……
少女は、雲を眺め、独り言ちる。
藍子「……綺麗な秋晴れ…あっ、あの雲、何だかラーメンのレンゲみたいっ」パシャ
ニャー?
藍子「わかってるよ、今日は写真を投稿したりしません。……いいお天気……」
通行人「え、マジ?」テクテク
通行人B「マジマジ、ちょうどアレくらいなんだって」
藍子「……?」
藍子(何のお話してるんだろう)
通行人「十時愛梨のおっぱいってラーメン屋のどんぶりサイズなのかよ!」
通行人B「Fカップって言ったらそれくらいらしいぜ」
通行人「そりゃあ肩凝るよなあ……」
スタスタ……
藍子「………ラーメン屋さんの……どんぶり…」フルフル
ニャー?
ガラガラガラ!
店長「いらっしゃ……藍子ちゃん?どうした、そんな真っ赤な目で…何かあったなら話聞くけど」
藍子「……さい」
店長「え?」
藍子「コラーゲンたっぷりのチャーシュー麺ください!」
少女の瞳は、燃えていた。
~おしまい~
27 : ◆6RLd267PvQ - 24/11/18 15:12:17 mlbz 27/27以上。いただいたお題は「ラーメン」「高森藍子」でした。
お題交換のお相手に関しましてはXとpixivで。
では、お目汚し、失礼をば。