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【艦これ】龍驤「足りなかったもの」その10【安価】(4)
ーー大本営
幹部「よく来てくれたね島風提督君。いや、よく逃げなかったねと言うべきかい?」
島風提督「…俺達は女幹部に監視されている。勝手な行動は身を危険に晒すだけだ」
幹部「菊月か……君も厄介な人物に目を付けられたものだね」
島風提督「……」
幹部「さて、本題に入ろう。彼女が君を認めたように私もその能力は認めよう。あの鎮守府で最後まで生き残っただけはある」
幹部「しかし君は問題行動も多い。所属していた艦娘を売り飛ばすなど言語道断だ」
島風提督「俺が悪いのは分かっている。その結果どういうことになったのかも自覚している」
幹部「ならば君の扱いはどうなるか分かるね?」
島風提督「……クビか」
幹部「大本営も鎮守府も旧体制から抜け出すんだ。その為には君のような危険因子は排除しておきたい」
島風提督「俺はそれで構わない。だが五月雨達は…」
幹部「さっきも言ったように君の能力は認めよう。だからこのままクビというのは余りにも勿体ないんだ」
島風提督「…何をさせたいんだ?」
幹部「君を提督としてはクビにする。だが大本営非公式の遊撃隊として雇おうと思っている」
島風提督「……つまりタダ働きをしろと言うことか」
幹部「これまでのように安定した収入は無いし仕事が無ければ給料は払わない。だが壊すことが得意な君達にはうってつけの仕事じゃないか?」
島風提督「断ることはできないんだろう。仕事があるだけでも有難いと思うさ」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
601 : 以下、名... - 2019/09/21 19:24:02.81 lDxo4gzEO 304/515みんなに状況を話す島風提督
ーー
五月雨「明日から路頭に迷うよりマシだな」
大淀「非公式というのが気になりますけど…」
摩耶「大本営は責任を取るつもりが無いんだろ。死んでも知らねえってな」
長波「誰が相手でも全員ぶちのめしてやるよ!」
大鳳「私達が負けるなんてあり得ませんから」
島風「提督と一緒ならどこにだって行くもん!」
島風提督「…すまない」
五月雨「なんだぁ?お前が素直に謝るなんて珍しいこともあるんだな」
さみだれ「ここから引っ越すの?」
島風提督「そうなるみたいだ」
さみだれ「どこに行くの?」
五月雨「大本営の近くだろうな」
さみだれ「だいほんえい?」
大淀「さみだれちゃんには難しいですね…向こうでゲームしてましょう」
さみだれ「ゲーム……まいけるかとればぁ、どっちを選べばいいんだろ…」ガチャ
五月雨「…いつお前はクビになるんだ」
島風提督「今日だ。そして明日から遊撃隊として雇われることになる」
五月雨「それを早く言えよ!今から準備しねぇと間に合わねぇ!!」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
607 : 以下、名... - 2019/09/21 19:41:22.91 9zeh5HADO 307/515さみだれを学校に行かせたりは出来ないのかと五月雨
出来れば普通の人生を送らせてやりたいなあと
ーー
五月雨「おい、荷物はまとめたのか?」
島風提督「元々まとめる程も無い」
五月雨「そうだったな、あそこから逃げ出してここに来たんだ。あの鎮守府は文月に燃やされて灰になっちまったからお前の私物なんて殆んど無い」
島風提督「摩耶達は荷物がある。時間が足りないなら手伝うか」
五月雨「止めとけ、アイツらの荷物に触ると刺されるぞ」
島風提督「俺が相手でもダメか」
五月雨「お前だからダメなんだよ。お前がアイツらを病ませたからこうなってんだ」
島風提督「……」
五月雨「おい、さみだれを学校に行かせるのは無理なのかよ」
島風提督「無理だ」
五月雨「…そうかよ」
島風提督「さみだれは貴重な現代艦娘だ。人間の子どもに比べて成長速度も早いし、普通の学校生活は送れない」
五月雨「さみだれには普通の暮らしをさせてやりたかった」
島風提督「俺達が遊撃隊として雇われたのはさみだれのお陰だ。さみだれが居なければ俺はクビになって、五月雨達は最悪解体だった」
五月雨「分かってるから口に出すんじゃねぇよ」
島風提督「…あぁ」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
612 : 以下、名... - 2019/09/21 19:57:45.69 chp0mNk0o 310/515艦娘でもなんでもいいからせめて家庭教師でも入れられないかと考える五月雨
ーー
五月雨「学校が無理ならせめて家庭教師とか…とにかくさみだれには勉強させなきゃいけねぇ」
五月雨「成長速度が早いならその分色々学ぶことも多くなる。このままじゃさみだれは何も知らない大人になっちまう」
五月雨「アイツには不幸になって欲しくねぇんだよ。こっちはどうなってもいいからさみだれだけは幸せになって欲しい」
五月雨「…これしかねぇのか。さみだれを幸せにするには」
五月雨「幹部に連絡……するか」
ーー
幹部『さみだれ君を大本営に預けたいというなら喜んで受け入れよう。だがそうなると君達は自由に会えなくなる』
五月雨「そんなのは分かってんだよ、覚悟の上だ」
幹部『もし預けてくれるならさみだれ君の安全は保証するし、相応の対応も約束する。勉強を教えて欲しいというなら全力で取り組む』
五月雨「だから預けるって言ってんだろ。明日遊撃隊の拠点に行く時に大本営に寄ってさみだれを預ける」
幹部『……明日までは時間がある。よく考えてからでいい』
五月雨「考えた結果がこれなんだよ……!」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
621 : 以下、名... - 2019/09/21 20:32:49.93 STbr3YuIO 313/515家族会議になる
半べそをかいて一緒にいたいと言うさみだれを立派な大人になるためには必要な事と諭す五月雨
ーー翌日、大本営
さみだれ「嫌だ!パパとママと離れたくない!」
五月雨「さみだれが立派な大人になるためには必要な事なんだよ」
さみだれ「ううううぅ~~!」グスッ
五月雨「半べそかいてもダメだ。おら、早く向こうに行け」
さみだれ「いーやーだーー!」
島風提督「……」
五月雨「お前も黙ってないで何か言え。これはさみだれの為なんだよ」
島風提督「…さみだれ、あの建物の中に行くんだ」
さみだれ「イヤだイヤだ!行くならパパとママと一緒じゃなきゃイヤ!」
五月雨「こいつ…迷惑かけんじゃねぇって……」
大淀「あの、やっぱり…」
五月雨「クソメガネは喋んじゃねぇ。これはこっちの問題なんだよ」
摩耶「大本営に預けるのが本当にさみだれの為なのかよ?」
島風提督「俺達は明日死んでもおかしくない状況になる。さみだれだけでも安全な場所に置いておきたい」
大鳳「私達が負けるはずありません」
五月雨「ならお前は深海棲艦の成虫とかいう化物に勝てんのか?」
島風「でも……」
五月雨「早く行けさみだれ!」
さみだれ「ううう…うううぅぅぅぅ~!」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
625 : 以下、名... - 2019/09/21 20:53:34.89 9zeh5HADO 316/515島風提督
パパは悪い人なんだ…だから…とついに自分から話す
慌てて止めようとする五月雨
島風提督「さみだれ聞いてくれ、パパは悪い人なんだ…」
五月雨「それ以上喋るんじゃねぇ!!」
長波「おおっと動くなよ」ガシッ
摩耶「五月雨はこっちに任せとけ」バッ
五月雨「むぐっ!!ぅぅぅぅーー!!」
さみだれ「なに…?なんなの……?」
島風提督「さみだれは島風は好きか?」
さみだれ「…うん、好き。めがねもやんでれも皆好き」
島風提督「そうか…実はな、まだ他にも仲間が居たんだ」
さみだれ「ほんとに?なら会ってみたい!」
島風提督「それは無理だ。なぜならパパが売ってしまったんだよ」
さみだれ「え……?」
島風「さみだれちゃん聞いて、私も悪いの!私が手と足を怪我しちゃったからそのせいで…!」
さみだれ「え、え?」
島風提督「パパはそのせいで一人の艦娘を殺してしまった。命を奪ってしまったんだよ」
島風提督「さみだれはパパと離れるべきだ。もしかしたらさみだれも死んでしまうかもしれない」
さみだれ「パパ……?」
島風提督「パパの事は忘れていい。だからさみだれは幸せになりなさい」
五月雨「むぐぐぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーー!!」
さみだれ「……」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
631 : 以下、名... - 2019/09/21 21:11:18.79 Q3EB9RVIO 319/515武蔵も売っちゃったの?帰ってこないの?
私も売られるの?
さみだれ「むさしも売っちゃったの?帰ってこないの?さみだれも売られるの?」
島風提督「さみだれは売るんじゃない、安全な場所に引っ越すんだ」
さみだれ「ならパパとママも一緒に……」
島風提督「…無理だ。さみだれ、悪いことをした人は捕まるんだよな?」
さみだれ「うん…ぐらせふで覚えた」
島風提督「そのゲームで人を殺したことがあるキャラクターはどうなった?」
さみだれ「みんな…死んでた」
島風提督「いずれパパもそうなってしまうだろう。その時さみだれも一緒に殺されたくないんだ」
さみだれ「でも……」
武蔵「提督、後は任せろ」ひょいっ
さみだれ「むさし……!」
大鳳「やっと現れたと思ったら…よくここが分かったわね?」
武蔵「幹部とかいう奴に聞いたからな」
大淀「そもそも今まで何を…?」
武蔵「生でカブトムシを食べて腹を壊していた」
島風提督「…さみだれを頼む」
武蔵「言われなくても分かっている」
武蔵「行くぞさみだれ、ここは森も近いし虫も取り放題だ」
さみだれ「パパ…ママ……」
島風提督「…武蔵は大本営に残るのか」
武蔵「さみだれの監視役だろうな」
大淀「素手で海を割る監視役…」
武蔵「さみだれは私と大本営が責任を持って面倒を見る。お前達は自分の仕事をしているんだな」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
640 : 以下、名... - 2019/09/21 21:28:05.85 /v/8Lth/0 323/515さみだれちゃんにつきっきりで勉強を教える武蔵
さみだれ「パパ、ママ!さみだれが助けてあげるから!」
島風提督「さみだれ…」
さみだれ「ゲームだって皆死ぬわけじゃないもん!とればーもまいけるも生き残る選択肢はあったもん!」
さみだれ「絶対助ける方法考えるから!考えられるくらいたくさん勉強するから待ってて!」
武蔵「……」スタスタ
さみだれ「パパママ大好き!!ぜったい忘れないから!!」
島風提督「さみだ…れ……ぐぅぅ……!!」
五月雨「……!!」ボロボロ
摩耶「…あたし達も行くぞ」
長波「……そうだな」
ーー大本営
幹部「さみだれ君は練習艦の子達が面倒見てくれる。彼女達に任せておけば心配はない」
武蔵「さみだれを実験台にするようなことがあれば分かっているな?」
幹部「勿論さ、そんなことは絶対にしない」
武蔵「信用ならないな。お前達が艦娘を実験台にしているのは知っているんだぞ?」
幹部「あれは実験……そうだね、実験という形になる。だが協力してくれた彼女達に不利益が起こったことは無い」
武蔵「それはたまたまだ。次に実験台にされる艦娘が死ぬ可能性だってある」
幹部「勿論そうだ。だがそうならないように最善を尽くしている」
武蔵「言葉だけならなんとでも言える。説得力の無い言葉を吐くな」
幹部「…すまないね」
武蔵「私には記憶が無い、だが何かをしていたのは覚えている。まるで誰かに操られていたように、私は操り人形だった」
武蔵「私には力があった。素手で海を割りこの拳は山をも砕く」ギチッ
武蔵「だが私に自我が目覚めた時、カブトムシを食べていた。何を言っているか分からないだろうが私も分からない」
武蔵「そんな私でも分かることはある。お前は艦娘を実験台にする悪人だ」
幹部「そこまで言うなら見ていくかい?ちょうど治療を終えた艦娘がいるんだ」
武蔵「ほう」
幹部「彼女は精神疾患と重い窃盗症を患っていた。この治療で彼女がどうなったかをその目で確認して欲しい」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
650 : 以下、名... - 2019/09/21 21:56:01.93 Q3EB9RVIO 327/515窃盗への衝動が消えて後ろ向きな自虐がなくなっていた
ーー
陽炎「貴女が武蔵…」
武蔵「コイツの髪の毛が金色になっているぞ?」
幹部「髪色が変わってしまうのがこの実験の唯一のデメリットだね」
武蔵「気分はどうなんだ」
陽炎「…凄く晴れやかだわ。もうモノを盗もうとは思わないし、モヤモヤしていたものも無くなったの」
武蔵「健康に問題は」
陽炎「今のところは無いわね」
幹部「経過は順調そうだね」
陽炎「それだけじゃないわ、私に仕込まれていた爆弾も取り外せそうなの」
武蔵「なに?」
幹部「爆発物は神経に絡み付いていたんだが、それが取れてきているんだよ」
陽炎「私はこの実験を受けてよかったと思ってるわ。あのままだと私は自分に負けて自死を選んでいたと思う」
幹部「これで全ての傀儡艦娘が救えるかもしれない。希望の光が見えてきたよ」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
655 : 以下、名... - 2019/09/21 22:28:10.89 /v/8Lth/0 330/515ついに摘出手術成功!
ーー
漣「幹部さんから連絡が来ました、陽炎さんの手術は成功したそうです!」
提督「そうか…!」
漣「これによって傀儡艦娘が救われる未来が見えてきましたね!」
提督「深海棲艦の幹細胞を移植するという前提があるが、その手術も危険は無い。この技術が確立すれば…!」
潜水新棲姫「明るいことだけでは無いぞ」
漣「…陽炎さんの治療が成功して喜んでるところなんですけどねぇ」
潜水新棲姫「傀儡艦娘には有数だ。そんな艦娘の為に高い金を出して研究しているのか?」
潜水新棲姫「何か裏がある。例えば艦娘の戦争への利用だ」
漣「それは旧大本営の考え方です。もうそんな事を考える輩は居ないんですよ」
提督「この治療は艦娘の為でもある。将来的には艦娘の欠陥を無くす治療に役立つはずだ」
潜水新棲姫「ワタシの予感が外れればいいな」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
664 : 以下、名... - 2019/09/21 22:57:09.67 T51qpf1So 333/515艦娘が戦うことしか知らないのであれば戦う以外のことを知ればいいという方針が大本営で掲げられる
訓練だけではなく希望者には様々な職業研修などを行わせたりして社会へ適応できるように改革をしていく
ーー
龍驤「大本営も大胆なこと考えるんやね」
幹部「旧大本営派の艦娘は戦うことしか知らないと言っていた。なれば戦う以外のことを知ればいいんだよ」
H幹部「訓練だけじゃなくてぇ、希望者には職業研修とかやらせて、社会へ適応できるようにしていくんですって」
龍驤「ほんまやったら艦娘は戦うだけの存在や。そこで例の手術の出番やね」
幹部「手術を行った艦娘は全ての数値が上がっていた。それは生物として新たな進化と言えるだろう」
H幹部「進化って言葉は好きじゃないわねぇ。無理矢理適応させただけじゃない」
幹部「効果はあったんだ、名称は気にする所じゃない」
H幹部「これだけじゃ足りないのは分かってるわよねぇ?」
幹部「当然だ、手術を受けても艦娘としての能力は保ったままなんだ」
龍驤「うっかり人間を傷付けてしまうってこともあるかもしれん」
幹部「旧大本営派の艦娘でこの提案に乗ってくれた艦娘は一定数居る。将来的にはもっと増えるだろうね」
龍驤「艦娘も女の子なんや。普通に幸せになる権利はあるんやで」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
670 : 以下、名... - 2019/09/21 23:21:30.02 chp0mNk0o 336/515島風提督とさみだれの情報を共有する幹部
ーー某所
幹部「さみだれ君は毎日頑張っている。早く君に会いたいといつも言っているよ」
島風提督「さみだれが…」
幹部「現代艦娘としての能力も凄まじい。ヘリを扱うことができるしソナーの感度も申し分ない。その他レーダーや電子戦も行えるようになった」
島風提督「…あの子を戦わせるのか」
幹部「そうならない為に備えているんだ。それに能力を開花させることは悪いことではないだろう?」
島風提督「さみだれには誰も傷付けて欲しくない。その為に俺はさみだれを託したんだ」
幹部「それは私も同じ気持ちだ。他の現代艦娘の子も戦場には立たせない」
幹部「そうだ、さみだれ君が勉強している様子の映像を見るかい?」
島風提督「…さみだれの事を共有するだけなら電話でも良かったはずだ。そうしないということは俺達に仕事があるんだな」
幹部「流石は島風提督君だ。その通り、君達に仕事だ」
島風提督「内容は?」
幹部「脱獄した艦娘の一部が海賊行為を行っているらしい。街にも被害が出ている」
島風提督「そいつらを倒せばいいのか」
幹部「無効化するだけでいい。そして捕まえて大本営まで連れてきて欲しいんだ」
島風提督「仕事がある以上は全力でやるだけだ」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
679 : 以下、名... - 2019/09/21 23:42:52.92 U3ujWcK5o 339/515捕まえた海賊艦娘「どうせ殺すんだろ早くしろ、自分なんか死んた方がマシなんだ…」
ーー
摩耶「一丁上がりっと」
長波「こんなゴミクズみたいな強さでよく海賊なんかできてたな」
大淀「皆さんが暴力的なだけじゃ…」
大鳳「何か言った?」
大淀「いいえなんでもありません!!」
海賊艦娘「どうせ殺すんだろ早くしろ……」
五月雨「残念ながらお前達は生け捕りだ。死ねなくて残念だったな」
海賊艦娘「自分達みたいなのは死んた方がマシなんだよ」
摩耶「それには同意してやるが死ぬのはあたし達の手を離れてからにしろ。金が入んねぇからな」
五月雨「民間人襲って生き延びるとはな。そこまでして生きたいか?」
海賊艦娘「私達は戦うことしか知らない。これ以外に道は無かった」
五月雨「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!コイツら幹部の言うことそのまま言ってやがる!」
摩耶「泥水啜って生活してたんならそれ以下はもうねぇよ」
長波「大人しく大本営で講習でも受けてろ」
大鳳「言っておきますが私達の仲間にはなれませんよ。提督の近くに他の女はいりませんから」
海賊艦娘「は……?」
海賊艦娘「こいつらは何を言ってるんだ…?」
大淀「なんでちょっといい感じの雰囲気になってるの…?何か心境の変化があったとか……?」ボソッ
五月雨「クソメガネ聞こえてんだよ。後でサンドバッグな」
大淀「ひいいい!やっぱり何も変わってなかった!」
五月雨(絶対にさみだれを迎えに行く。それがいつになるかわかんねぇけど、その時にその資格が無ぇと意味ねぇからな)
ーー
ーーある日、早朝
富士「……」
龍驤「こんな早朝からどないしたん?外に何かあんの?」
富士「なぜ貴女は起きていたの?」
龍驤「なんか眠れんくてなぁ。あ、司令官とラブラブしとったんと違うで」
富士「精神が不安定になりかけてるわ。霞に言って強めの薬を作ってもらいなさい」
龍驤「流石はウチらの母親ってとこやね、艦娘のことはなんでも分かるんや」
富士「母親を名乗った覚えはないのだけれど」
龍驤「実質そうやんか。それにあんたも否定せぇへんだし」
富士「……」
龍驤「もう行ってしまうん?」
富士「だらだらしていられないの。このままだと明日にでも世界が滅んでもおかしくないのよ」
龍驤「でも富士が消える必要は無いんと違うん?」
富士「私が生きていればあの子は目覚めてしまう。私が地獄に行ってもあの子は追いかけてくるでしょうね」
龍驤「富士が地獄になんか行くはずないやん!」
富士「そうね…貴女達を苦しめた私には相応の結末が待っているわ。地獄よりも下……永遠に苦しみ続けるの」
龍驤「そんなん誰も言うてないやん…」
富士「…さようなら。貴女も幸せになれるような世界にするわね」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
694 : 以下、名... - 2019/09/22 19:47:24.94 +rxYNdlWO 344/515漣も一言挨拶を
ーー
漣「富士さ~ん水臭いじゃないですか。一言挨拶していって下さいよ」
富士「…貴女は変な匂いがするのだけど」
漣「いや~夜通しうちの嫁としっぽりシてたんすよ。それでそろそろ寝ようかとしてた時に、誰かが工廠に近付いてるのを見つけましてね」
富士「海から行こうとしていたのよ。私はこれでも艦娘なのだから」
漣「艦娘って言ってもかなり古いというか超旧式ですよね?大丈夫なんですか?」
富士「問題ないわ、古いからといって不都合があるというわけではないもの」
漣「さいですか…」
漣「…色々お世話になりました」
富士「何のことかしら?」
漣「とぼけてくれてありがとうございます。漣の壊れてしまった心をなんとかしようとしてくれたのは富士さんです。貴女がいなければこうやって嫁と幸せな日々を過ごすことはできなかったんです」
漣「貴女にはどうお礼をすれば良いのか分かりません。こんな漣を見捨てないでくれて……」
富士「全ての艦娘は幸せになる権利があるの。勿論貴女だって」
漣「漣は裏切り者で嫉妬に狂ったクソ女です。死んでもおかしくなかったんですよ」
富士「…もう行くわ。さようなら」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
702 : 以下、名... - 2019/09/22 20:19:39.92 NGZkina00 347/515実験を受けた他の艦娘の経過も報告される
ーー
幹部『陽炎君の術後は順調だ、数日中には退院できるだろう。それに他の艦娘の手術も成功した』
提督「本当に良かった…!」
幹部『傀儡艦娘に対する処置は完成したと言ってもいいだろう。これで彼女達が爆発してしまうという危険性は無くなった』
提督「あとはうまく事情を説明してその手術を受けてもらうだけですね」
幹部『そこが難しいんだ。この手術の前には深海棲艦の細胞を移植しなければならないが、それが受け入れられるかどうかだ』
幹部『いずれは分かってくれるとは思うが、拒絶されても仕方がないんだよ』
提督「今動いている鎮守府はかつての大本営に反対していた人達です。彼らは艦娘を大事に扱っているはずですから、きっと分かってくれます」
幹部『うむ…そうだと信じたいね』
幹部『ところで今日富士君と話はできるかい?少し話してみたかったんだが…』
提督「それが……」
幹部『…そうか、もう行ってしまったのか』
提督「今朝…龍驤が気付いたそうです」
幹部『それが彼女の仕事というなら止めはしない。ただ…もう少し話はしてみたかったがね』
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
706 : 以下、名... - 2019/09/22 20:58:19.73 rH2ALthDO 350/515海を行く富士だったが艤装?の不調で立ち往生
これだから旧式は…と自嘲する
そんな事だろうと思ったわと龍驤や漣、皐月などが迎えに来る
そもそも一人で扉開いても願いは叶わないんじゃ?と漣
ーー海上
富士「補助装置…あの子はトリガーと名付けていたかしら?あれが無いと長距離移動もできないなんて。これだから旧式は…」
龍驤「やっぱり動けやんようになっとったか」
漣「そんな事だろうと思ってましたよ~」
富士「貴女達…」
皐月「僕も着いてきたよ!護衛は多い方がいいもんね!」
漣「富士さんの目的地まで曳航します。ゆっくり行こうじゃありませんか」
富士「…好きにしなさい」
龍驤「実はな、富士の艤装はどんなんか知ってたんよ。過去に夕張が作って…あれは大変やったわ」
漣「両舷合わせて22門の主砲。そんなクソ重い艤装まともに動くはずありません」
皐月「トリガーを10個くらい差さないとまともに動かないんしゃない?」
富士「10じゃ足りないわ、30は必要ね」
龍驤「ほんまやったら動くこともできへんねん。ここまで来れたのは流石本物の富士って所やろうね」
漣「そもそも一人で扉を開いても意味はないでしょう?漣達もお手伝いさせて下さい」
富士「扉は私一人でも大丈夫よ」
皐月「富士さんの話を聞く限り一人じゃダメな気がするけど?」
富士「それは扉を開くだけだからよ。私は扉を開いたあとその向こう側に行くわ」
龍驤「向こう側って何があるんよ?」
漣「理想郷がある!という単純な話では無いんでしょうな」
富士「ある意味理想郷で、ある意味地獄でもあるわ」
皐月「地獄……」
富士「私はそこで永遠に苦しむ。でもそれは私がしてきたことに比べれば可愛いもの」
富士「貴女達の因果も全て私が背負う。もう誰も…艦娘を不幸にさせないのよ」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
715 : 以下、名... - 2019/09/22 21:42:22.08 hWD+ypAmo 354/515富士さんの決意に押され黙っちゃうみんな
716 : 以下、名... - 2019/09/22 21:43:58.97 twqgzqjIO 355/515>>715
皐月「……」
龍驤「そこまで…考えてくれてたんやね」
漣「富士さんは本来神様のような存在なんです。こうやって姿が見えて体があること自体凄いことなんですよ」
富士「私は神様なんかじゃないわ。そんないいものだったら貴女達を全員幸せにしてあげられてたわ」
漣「漣は今幸せですよ」
富士「昔は不幸だったわ。それに消えた貴女の記憶は結局戻らなかったじゃない」
漣「……」
龍驤「ウチは……どうやったやろうな…」
ーー
富士「ここまででいいわ。貴女達は帰りなさい」
皐月「ここまで来たんだから最後まで…」
富士「帰りなさい」
皐月「……」
漣「せめて遠くから見守るのはどうでしょうか?」
富士「駄目よ、この海域から立ち去りなさい」
龍驤「…帰ろか。富士の決意は固いみたいやし」
漣「気が変わって帰りたくなったらすぐ連絡下さい。でも電探積んでましたっけ?」
皐月「僕のを積んでおくから、ね」ガチャッ
富士「…貴女達の事は忘れないわ」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
721 : 以下、名... - 2019/09/22 22:05:32.86 +rxYNdlWO 358/515扉が開かれたことを感じる菊月達
ーー足りないもの鎮守府
望月「…菊月」
菊月「あぁ、私も感じた」
曙「なに!?あたしは何も感じないわよ!?」
荒潮「私は感じたわ~」
多摩「おみゃーら下ネタ言ってないで仕事しろにゃ」
千代田「提督!なんでこの猫娘が秘書艦なのよ!私がやるって言ったじゃない!」
深海提督「そう言われてもな…」
多摩「ここの事を知ってるのは多摩達なんだにゃ。文句は聞かないにゃ~」
望月「あのさ、別に下ネタじゃないから。誰かが扉を開いて…」
多摩「そっち関係なのは分かってるにゃ。少しボケただけにゃ」
菊月「仕事はお前に任せている。私達はやるべきことがあるんだ」
多摩「もう何もないはずにゃよ。うまいこと言い訳してないで早く仕事手伝えにゃ」
菊月「……」
荒潮「そろそろ私は~孤児院に帰るわね~」
千代田「荒潮は何をしに来たのよ…」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
727 : 以下、名... - 2019/09/22 22:26:14.00 hWD+ypAmo 361/515龍驤漣皐月の帰り道
ーー
皐月「富士さん…扉の向こう側に行っちゃったのかな」
漣「漣達には分かりません。あれから富士さんがどの方向に行ったのかもさっぱりです」
龍驤「ウチら…何か変わったんかな?なにも変わってないように思えるけど……」
漣「扉が開くとルールが置き換わるんです。ですから漣達には変わったという認識が無いんですよ」
皐月「そもそも僕達が扉の事を知ってるのがイレギュラーなんだよね」
龍驤「……帰ろう。ウチらにできることはもう無いんや」
ーー
富士「私が扉を開く前に一つ、言っておかなければいけないことがあるわ」
富士「あの子の力は想像を絶するものだった。安価SSにおいて安価を自由に出せるというのはある意味神とも呼べる存在ね」
富士「だからあの子は勘違いしてしまった。自分は神である、何をしていいのだと思ってしまった」
富士「でもそれは間違いなのは知っての通り。あの子は二度も死んでしまう羽目になったのだから」
富士「『…私ではあの子に勝てない』この言い回しに疑問を持った人は居ないかしら?」
富士「よく考えて欲しいの。私はあの子の能力が公になる前から怯えて、言いなりになるしかなかったのよ」
富士「あの子の能力の正体は誰にも言っていなかった。それなのに私は知っていたのよ」
富士「あの子は私の妹だから。そう言ってしまえば全てだけど、本当の理由はそうじゃなかったのよ」
富士「私は富士であることを理解している。どういうことか分かるかしら?」
富士「私は創作された物語の登場人物であると自覚しているのよ」
富士「私は作者がどういうシナリオを考えていたのかも知っていた。だからあの子に怯えていたの」
富士「作者は何度もバッドエンドに舵を取ろうとしていた。でも貴女達がそのフラグをへし折ってくれたからこの結果があるの」
富士「本当にありがとう。お陰で最悪のシナリオから抜け出すことができた」
富士「なんとお礼を言えばいいか……それくらい感謝しているのよ」
富士「…本編に戻りましょう。扉は開かれたわ」
富士「私は世界の終わりを地球という惑星が寿命を迎えるまでのそうとしていた。そして不幸な艦娘を無くす」
富士「私が扉の向こう側に行ってしまえばもうこの物語には干渉できないはず」
富士「私の魂は……ここで終わり」
富士「富士もあの子も…存在しない艦娘は消えるべきなのよ」
富士「でも…あの子達の顔を見るのも悪く無かったわ。最後にいい思い出ができて良かった……」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
735 : 以下、名... - 2019/09/22 23:11:14.49 rH2ALthDO 366/515菊月達と合流した龍驤達が飛び込んできた
ウチらの世界の事をたった一人に押し付けて…それて幸せになんかなれないと
ギギギギギィ…
富士「扉が…開く……その向こうに…」
龍驤「ちょっと待ってぇや!!」
富士「!!」
菊月「どうやら間に合ったようだな」
望月「富士の座標が分からないとどうしようも無かったけど、よく仕込めたね」
漣「自然な流れで電探を積んでもらえましたからね」
皐月「僕の電探が役に立ったみたいだね!」
富士「貴女達……」
龍驤「ウチらの世界の事をたった一人に押し付けて、それで幸せになんかなれるわけないで!」
菊月「私達はまだお前を許していない。勝手に消えて無かったことにするな」
望月「とりあえず千代田達にも謝ってもらわないとね~」
皐月「富士さんは消えなくてもいいんだよ!」
漣「どうです?以外と慕われてたでしょ?」
富士「……私なんかの為に」
漣「富士さんだからこそですよ」
富士「でも私はもう願いを込めて扉を開いたの。もう願いは変えられない」
漣「いえいえ、変える必要なんて無いんですよ」
富士「え?」
皐月「富士さん!」
龍驤「あんたは全ての艦娘の幸せを願った。ほなあんた自身も幸せになれるんと違うか?」
富士「私が……」
菊月「お前は艦娘だ。神でもなんでもないただの艦娘なんだ」
望月「どっちかって言うと超能力があるあたし達の方が艦娘っぽくないよね~」
龍驤「富士、帰って来たらええやん。扉の向こうになんかいかんでええんやで」
漣「皆で帰りましょう。横須賀鎮守府へ!」
富士「……」
下1~3高コンマ この後の展開やその他起こったことなどを
743 : 以下、名... - 2019/09/22 23:35:52.90 a8AFexOFo 370/515>>737
737 : 以下、名... - 2019/09/22 23:13:07.96 +rxYNdlWO 371/515戦争の危機もなく、大本営では艦娘の社会進出についてのマイルストーンが練られている
ーー
幹部「……以上が艦娘が社会へ進出する為に必要な事項だ」
菊月「最初と比べると随分と具体的になってきているな」
幹部「各所を回って許可を取って…どれだけ大変だったか」
菊月「戦いを望まない艦娘を救うならそれくらいやって当然だ」
幹部「随分と簡単に言ってくれるね……」
菊月「私がやってきたことに比べれば可愛いものだ」
幹部「…そこまで言うならやってやろうじゃないか。私も本気だということを見せよう!」
菊月「心強そうだ、と言っておいてやる」
ーー横須賀鎮守府
漣「陽炎さんお帰りなさいパーティーの始まりだぁぁぁぁ!」
潜水新棲姫「うぉぉぉぉーー!」
陽炎「…私が音頭を取るんじゃないの?」
龍驤「漣が全部持っていきよったなぁ」
不知火「陽炎が帰ってきて嬉しいのですが…以前と比べてかなり眩しくなりましたね」
陽炎「細胞治療のせいで髪色が変わったのよ。変わる色に法則性は無いらしいんだけど、私は金色だったの!!」ギラッ
龍驤「全身金色の制服に金色の髪やろ?眩しくて仕方ないわ…」
陽炎「私は生まれ変わったのよ!もう誰にも迷惑なんかかけないから!」
不知火「こんな前向きな陽炎なんて見たことがありません。本当に治療が成功したんですね」
富士「随分と騒がしいわね」
龍驤「富士はこういうの苦手?」
富士「経験が無いからどうすれば良いか分からないのよ」
陽炎「どうするも何も皆で楽しく飲み食いすればいいのよ!」
不知火「何か食事を持ってきましょうか?」
富士「いい…自分でするわ」
漣「おらぁ~!主役がなにしてんすかぁ!」
陽炎「はいはい、今そっちに行くわよ」
不知火「不知火もお供します」
龍驤「行ってしもたか…なぁ富士、こんな光景見れてよかったやろ?」
富士「……えぇ、そうね」
龍驤「色んな国の情勢が安定しとんのも扉の影響なんやろ?これで明日世界が滅ぶなんてことも無くなった」
富士「そうね…」
龍驤「艦娘の社会進出も本格的に認められそうや。艦娘にも人権が認められる」
龍驤「傀儡艦娘の子らも救えるようになった。もう不幸な艦娘が一人で悲しむことは無い…とは言い切られへんのよね」
富士「私はそれを見届けたいの。消えることはいつでもできる、それが分かっただけでも十分よ」
龍驤「できればずっと見といてな。ウチらは皆幸せになってみせるで!」
富士「…ありがとう。こんな結果になるだなんて思ってもいなかった」
龍驤「…誰に話しかけてるん?」
富士「なんでもないわ。じゃあ私もパーティーに参加させてもらうわね」
ーー