1 : ◆yfWmR9mD4k - 2013/10/21 23:12:59.27 m5fhn4Ulo 1/45※アイドルマスターシンデレラガールズのSSです
※注意※
若干の百合要素あり
苦手な方はご注意ください
元スレ
モバP「いつものコンビを入れ替えてみる」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382364779/
――――――――――――事務所
P「うちはアイドル事務所。それぞれ仲がいいのがモットーだ」
P「この事自体になんら問題はない」
P「だけど、特定の人間だけ仲がいいのは、すこし勿体無い気がする」
P「たまには違うアイドル同士で仲が良くなる必要があるよな」
P「どうしたものか……」
P「よし……ここらで仕掛けてみるか」
――――――――――――昼、テレビ局控室
スタッフ「和久井さん、今日もありがとうございました」
留美「いえいえ、こちらこそ」
スタッフ「来週は報道特番ですので、早めにスタジオ入りお願いしますね」
留美「わかりました。必要な資料等は事務所にFAXお願い致します」
スタッフ「了解しました。それでは……」
ばたん
留美「ふううぅ……疲れた」
留美「これで生放送は終わり……っと」
留美「あとはいつものように、向井さんに送ってもらって帰るだけね……」
こんこん
留美「来たわね……どうぞ」
夏樹「ど、ども~」
留美「あら、木村さん? どうしたの? あなたも収録?」
夏樹「いやあ、Pさんから和久井さんを迎えに行けって言われまして……」
留美「そうだったの? 向井さんは?」
夏樹「拓海のや……む、向井はちょっと別件の仕事が入って」
留美「そう……」
夏樹「すいません……」
留美「別に謝る必要無いわ。私がお願いしてたんですもの。バイクで来たの?」
夏樹「はぁ……一応。向井のとは違って、乗り心地がいいかわかんないすけど」
留美「迎えに来てもらえただけでも感謝だわ。ありがとう」
夏樹「い、いえ、そんな……」
留美「今すぐ支度するわ。少し待っててくださる?」
夏樹「は、はい」
夏樹(アイドルなのに報道番組のキャスターか……すげーな、この人)
――――――――――――交差点、信号待ち
留美「ねえ、木村さん?」
夏樹「はい、なんですか?」
留美「この後の予定は?」
夏樹「んー、特にないっすね」
留美「じゃあ、そこのカフェで一息入れましょう」
夏樹「え? でも……」
留美「わざわざ来てくれたんですもの。奢らせてちょうだい」
夏樹「は、はい」
――――――――――――カフェ
店員「いらっしゃいませ、ご注文はお決まりでしょうか?」
留美「木村さんは何にするの?」
夏樹「え、えっと……」
夏樹(見たことねーもんばっかりだ……)
夏樹「じゃ、じゃあ……アメリカンのホットで」
店員「かしこまりました」
留美「私はいつものハーブティーで」
店員「かしこまりました」
夏樹(オープンカフェってのか? こういうところあんまこねーからな)
男「なあ、あれって……」
女「あっ、和久井留美じゃない? すごい綺麗ねー」
男「一緒にいるやつ誰だろ?」
女「イケメンねえ……彼氏じゃない?」
夏樹「……」ズーン
留美「気にしないで」
夏樹「えっ?」
留美「周囲の声なんて気にすることないわ。私達はそのままでいいのよ」
夏樹「は、はい……」
留美「こういう仕事ですもの。多少の色眼鏡は仕方ないと割り切ることよ」
夏樹「あ、あの……和久井さ」
留美「留美でいいわ。みんなそう呼んでるし」
夏樹「る、留美さん……」
留美「何かしら?」
夏樹「その……どうやったら、そんなにカッコイイ女の人になれるんですか?」
留美「あら? 私からしたら貴女も十分カッコイイわよ?」
夏樹「アタシはほら……その……こんなナリしってから」
夏樹「さっきみたいにヤローに間違われるし……留美さんみたいな知的な女性って無理かな……って」
留美「……」
夏樹「変なこと聞きましたね。すんません、忘れてください」
留美「……ねえ、木村さん。私も聞いていい?」
夏樹「は、はい」
留美「私もロックを目指すこと、できるかしら?」
夏樹「え? そりゃあ、出来ますよ。留美さん、歌も上手いしその気になれば出来ます」
留美「そう」
夏樹「ロックは別に資格とかそういうの無いですし、目指そうと思えば誰だってできます」
留美「でも、私は貴方のようにロックに触れた時間は多くないわよ?」
夏樹「アタシはたまたま、ガキの頃から聞いてただけっすよ。留美さんが今からやって無理なことないです」
留美「ありがとう。その答えが私のさっきの答えよ」
夏樹「へ?」
留美「あなたが幼少期からロックに触れていたように、私も前の仕事柄、経済や海外情勢に詳しかった。ただそれだけよ」
留美「だから、今回のようなキャスターのお仕事を頂けてるの。別にカッコイイと自覚したことはない」
留美「木村さんも勉強すればきっとそういう仕事につけるわ」
夏樹「そうですか……?」
留美「ただし、猛勉強が必要になるけどね。それは私が貴方以上にロックを聞きまくるのと同じことよ」
夏樹「……」
留美「隣の芝は青いとでも言うのかしら? 人は誰しも自分にないものを持ってる人に憧れを抱くものよ」
留美「あなたが私をカッコイイと思うのと同様に、あなたもまた違う人達からはカッコイイと思われてるの」
夏樹「そ……そうなんすかね?」
留美「自信を持ちなさい。そして、同じことを聞いてくる人がいれば貴方もきっとこう答えるはずよ」
夏樹「あ、ありがとうございます」
留美「ふふふ……この話をするのはこれで二度目ね」
夏樹「そうなんですか?」
留美「そう。最初は向井さんだった」
夏樹「拓海も……」
留美「あなた達はもっと素敵になれる。私が保証するわ」
夏樹「な、なんか照れるな……」
――――――――――――事務所前
夏樹「到着です。お疲れさまでした」
留美「助かったわ、木村さん」
夏樹「夏樹です」
留美「えっ?」
夏樹「皆そう呼んでるんで。苗字だとなんかくすぐったいって言うか」
留美「ふふふ、わかったわ……ありがとう夏樹ちゃん」
夏樹「これぐらいお安い御用ですよ」
留美「そうだ、ほっぺを出してくれる?」
夏樹「へ? こうですか?」
ちゅっ
夏樹「な、な、な、な、な……なにを!?」
留美「いつものお礼。向井さんにもしてるのよ?」
夏樹「へ? へ? えええええっ!!」
留美「今はこんなお礼しか出来ないけど。いつでも頼って頂戴ね」
夏樹「……」
留美「それじゃ、先に行くわ」
夏樹(やべえ……ドキドキする)
――――――――――――夕方、新幹線車内
涼「……」シャカシャカ
李衣菜「……ねえ、涼ちゃん?」
涼「♪~」シャカシャカ
李衣菜「涼ちゃんってば!!」
涼「うおっ!! なんだよ、リーナ?」
李衣菜「せっかくだからお話しようよ?」
涼「さっきまでずっと仕事で一緒だったろ?」
李衣菜「そうだけどさ……一人じゃつまんなーい」
涼「わーったから、引っ張るなって!」
李衣菜「今日はお客さんいっぱい来てくれたよね!?」
涼「誰かさんは最初、地方のライブハウスは嫌だと駄々こねてたけどな」
李衣菜「MCも盛り上がってたよね!?」
涼「誰かさんはカミカミだったけどな」
李衣菜「ライブもすごく盛り上がったよね!?」
涼「誰かさんがすっ転んでギターアンプからコード抜いちまったけどな」
李衣菜「……」
涼「……」
李衣菜「涼ちゃーん、意地悪言わないでぇええ!」ポカポカ
涼「わかったから、叩くなって!」
李衣菜「涼ちゃん……あのさ」
涼「ん?」
李衣菜「聞きたいことあるんだけど?」
涼「なんだよ?」
李衣菜「『ロック』って……なんだろうね?」
涼「それなら夏樹に聞きなよ。今更アタシに聞くまでもねーじゃん?」
李衣菜「違うの。そうじゃなくって……よくわからない」
涼「イマイチ、話が見えねーな……」
李衣菜「なつきちの言うロックが、私にはわかんないの」
涼「と、言うと?」
李衣菜「去年の年末にさ、なつきちとカウントダウンライブ行ったんだ」
涼「あー、なんかそんなこと言ってたな」
李衣菜「ライブ自体は盛り上がったんだけど、しばらくしたら、巴ちゃんが乱入してさ」
涼「……なかなか豪快だな」
李衣菜「そんで、いきなり演歌を歌い始めたの」
涼「……」
李衣菜「でもね、すごく盛り上がって、なつきちも『ロックだな』って……」
涼「まあ、ある意味な」
李衣菜「おかしいじゃん? 演歌とロックって違うのに」
涼「んー……」
李衣菜「でね、次の日、私も巴ちゃんに衣装借りて、なつきちに見せたの」
涼「なにやってんだか……」
李衣菜「そしたら、なつきち、『わかってねー』だって!」
涼「まあ……そう言うだろうな」
李衣菜「どうして? 何がロックなのか、さっぱりだよ!?」
涼「うーん」
涼「あのなあ、リーナ」
李衣菜「ん?」
涼「お前の言うロックってのは、ギターがジャカジャカ鳴って、ドラムがドンドン響けばいいと思ってないか?」
李衣菜「違うの?」
涼「半分合ってる。だけど半分違う」
李衣菜「??? どういうこと?」
涼「お前が言ってるのは音楽の1ジャンルとしてのロックだ」
李衣菜「うん」
涼「だけど夏樹が言ってるのは、ジャンルを超えた……こう、なんていうか……魂みたいなもんなんだよ」
李衣菜「魂? 涼ちゃんが見る映画に出る、青白いフヨフヨ浮いてる奴?」
涼「そりゃ、人魂だバカ。そうじゃなくて、スピリットというか……ソウルってのかな?」
李衣菜「うーん……よくわかんない」
涼「そりゃそうだ。アタシにだってよくわかんねえからな」
李衣菜「涼ちゃんもわかんないの、私にわかるわけ無いじゃん」
涼「そうだよ。誰にもまだわかんねえ。アタシも夏樹も……今はその答えを探してんだよ」
李衣菜「……答えを?」
涼「厄介なのは、それには正解がなくて人それぞれ違うってとこだ」
李衣菜「そうなの?」
涼「そうさ。アタシと夏樹では多分答えは違ってる」
涼「ジミ・ヘンドリックスやカート・コバーンだって違うロックの答えを持ってたはずさ」
李衣菜「……蚊と小判?」
涼「……聞く気がねえなら寝るわ。おやすみ」
李衣菜「うそうそ! ごめん涼ちゃん! 初めて聞く名前だから戸惑っただけだよ」
涼「ったく……」
李衣菜「じゃあ、巴ちゃんの歌には魂があると?」
涼「歌ってるジャンルは違えど、夏樹が求めるロックに近いものを感じたんだろうな」
李衣菜「なるほど……じゃあ、私も演歌で」
涼「そこがブレてんだよ」
李衣菜「えっ?」
涼「巴にしか出せないものを、お前が付け焼き刃で真似ても出せっこないだろ」
涼「それをあの夏樹がロックだなんて絶対いわねーよ」
李衣菜「そっか……」
涼「今はとりあえず、リーナ自身の追い求めるロックを探す所から始めりゃいいさ」
李衣菜「……」
涼「まあ、なんかあったら手伝ってやるから、な?」
李衣菜「……涼ちゃん」
涼「ん?」
李衣菜「……優しい」
涼「ばば、ば、バカやろっ! 何言ってんだよ!?」
李衣菜「涼ちゃんって……最初、怖いなー、ヤンキーなのかなー、刃向かったらボコボコにされるのかなーって思ってた」
涼「……それで褒めてんのか?」
李衣菜「でも、相談してよかった! ありがとう!」
涼「……あ、ああ」
李衣菜「もう寝るんでしょ? じゃあ、静かにしてるよ」
涼「……リーナ」
李衣菜「ん?」
涼「お前のヘッドフォンのプラグ貸しな」
李衣菜「えっ? どうして?」
涼「アタシのiPod貸してやるから……その中の曲、聞いてみなよ。ヒントになるかもな」
李衣菜「いいの? 本当に?!」
涼「その代わり静かにしてるんだぞ」
涼(珍しくアツくなっちまった……らしくもねえ)
涼(でも、それはアタシ自身にも言えることなんだよな)
涼(アタシの求めるロックも、どこにあるかわかんねえけど)
涼(何か吹っ切れた気がする)
涼(あんがとな。リーナ)
李衣菜「……」
涼「リーナ?」
李衣菜「……ぐぅ……Zzz」
涼「人を枕に寝ちまいやがった……しょうがねえな」
涼「…………ちょっと……いい匂いがする……」
涼(って! 何言ってんだよ! アタシのバカ!!)
――――――――――――夜、事務所
がちゃ
拓海「ただいまーっと……すっかり遅くなっちまった……」
拓海「さすがに一人の現場はしんどかったな……ん?」
拓海「応接室から光が漏れてる……誰だ?」
拓海「おーい、誰かいんのか?」
小梅「ひぃっ……!」
拓海「おわっ!……なんだ、小梅か……何やってたんだ?」
小梅「……え、映画……見てたの……」
拓海「ああ、例のホラー映画か……一人でか?」
小梅「……う、うん……」
拓海(どうも、こいつは苦手なんだよな……)
拓海「もう夜遅いぞ。早く帰るぞ」
小梅「りょ、涼さん……待ってる……」
拓海「涼を待ってたのか……あいつなら、まだまだかかるって連絡あったぞ」
小梅「そ、そうなの……?」
拓海「まあ、おめーも13歳とはいえ、まだガキだ。そろそろ帰らねえと」
小梅「う……うん……」
拓海「涼となんか約束してたのか?」
小梅「ううん……でも、い……一緒に……行きたいとこ……あった」
拓海(買い出しか何かか?)
小梅「…………」
拓海「……わーったよ。ついていってやるから」
小梅「え……」
拓海「ほら、メット被れ。場所は指示しろよ」
小梅「い、いいの……?」
拓海「女に二言はねえ。いくぞ」
小梅「う……うん!」
――――――――――――山奥、トンネル前
拓海「…………」
小梅「こ、ここ……来たかった……」
拓海「……真っ暗だな」
小梅「うん……」
拓海「……誰もいねーぞ」
小梅「い、いま……使われて……ない」
拓海「……ここで……何すんだよ?」
小梅「あ、歩く……」
拓海「……どこまで?」
小梅「……む、向こうまで」
拓海「……どれぐらいの長さなんだ?」
小梅「せ……1000m」
拓海「……バイクで行こうぜ」
小梅「だ、だめ……みんな……おどろく……」
拓海「みんなって誰だよ!!!」
小梅「…………」
すたすた
拓海「お、おい! どこ行くんだよ!!」
小梅「ひ、一人で……行く……」
拓海「バカ言ってんじゃねーよ!! あぶねーだろ!!」
小梅「む、向井さんは……待ってて……」
拓海「そんなことできっかよ!!」
小梅「で、でも……」
拓海「これ……涼も行くつもりだったのか?」
小梅「ま、前に……誘ったけど……苦手って……言ったから」
拓海「だろうな……」
小梅「涼さん……無理って……いったとこ……向井さん……もっと無理……」
拓海「あ゛? 涼と一緒にすんじゃねーよ! あたしも行くぞ!」
小梅「ほ、本当……?」
拓海「おう」
小梅「こ、怖くない……?」
拓海「たりめーよ。天下無敵、喧嘩上等の向井拓海様だぞ? 怖えーもんなんてねーんだよ」
小梅「す、すごい……えへへ……う、嬉しい」
拓海(とは、言ったものの……薄っ気味悪ぃとこだな)
拓海(まあ、幽霊なんざ迷信よ。チャッチャとすませて帰るぜ)
――――――――――――トンネル内
拓海「……真っ暗だな。電気つかねえのか?」
小梅「も、もう……使われてないから……で、電気……きてない」
拓海「そ、そうだったな……」
拓海(うううう……気持ち悪ぃぜ……)
小梅「…………む、向井さん」
拓海「な、なんだよ……」
小梅「む、無理しなくて……いいよ?」
拓海「べ、別に無理なんかしてねえ」
小梅「わたし……ひとりで……大丈夫」
拓海「そんなことできるかよ。怖いからちびっ子ひとりで行かせたなんざ、向井拓海の名折れだ」
小梅「……」
拓海「それに、もし涼の耳にそれが入ったら……」
涼『え? え? なになに? 拓海でもオバケこわいんだ? へー(笑)』
拓海「……ムカツク」イライラ
小梅「りょ、涼さん……明るくなった……む、向井さんに会って……仲良しだし……」
拓海「は? ジョーダンやめてくれ。ケンカばっかしてるよ」
小梅「む、向井さんも……柔らかく……なった」
拓海「なんだよ? アタシ、そんなに尖ってたか?」
小梅「ううん……でも……いつも……イライラしてて怖そう……だった」
拓海「……」
小梅「だけど……本当は……優しい……ひと……わかる」
拓海「や、やめろよ! 今更、何言ってんだよ!」
小梅「わ、わたし……ともだち……つくるの……にがて」
小梅「みんな……こんな風に……きてくれない」
小梅「こんな怖いことしたり……ホラー映画みるの……きもちわるいって」
小梅「先生から……も……やめなさいって……」
拓海「……そうか」
小梅「……」
拓海「……わかるよ」
小梅「え……」
拓海「あたしも気に入らない奴がいたらぶん殴り、気に入らないことがあるとバイクでかっ飛ばしてさ」
拓海「だからクラスの連中も、先公もビビっちまって……」
小梅「……」
拓海「だけど、あたしはそれを否定しない。バカだなとは思ったりするけど、やらなきゃよかったなんて思わねえ」
拓海「小梅もそうだろ?」
小梅「う、うん」
拓海「外野の言うことなんざ気にすんな。お前の今やりたいことやれよ。我慢すんじゃねえぞ」
拓海「それに、友達なら涼や夏樹、あたしがいるだろ?」
小梅「む、向井さん……」
ぎゅっ
拓海「なんだよ、急に抱きついてきて?」
小梅「えへへ……向井さん……あったかい」
拓海「や、やめろよ……ったく」
拓海(偉そうなこと言ったけど)
拓海(あたしもこいつのこと、苦手なんて思ってたんだよな……)
拓海「小梅」
小梅「んー?」
拓海「すまねえな」
小梅「???……ど、どうしたの?」
拓海「なんでもねーよ」
拓海「見ろよ、小梅! 向こうに光が見えるぞ?!」
小梅「ほ、ほんとうだ……」
拓海「もうすぐゴールだよな!! よっしゃあ!!」
きゅっ
拓海「どうした? いきなり手をつないできて?」
小梅「一緒に……ゴール……したい」
拓海「そっか……いいぜ」
拓海(なんだかんだ言っても子供だな。可愛いとこあるじゃねえか)
小梅「みんな……一緒……さ、三人で……」
拓海「おう!!…………………………」
小梅「……」
拓海「…………………………三人?」
小梅「うん………私と向井さんと……………」
拓海「…………」ゴクリ
小梅「む、向井さんが……おぶってる………………………その子」
拓海「ぎゃあああああああああああああああ!!!」
だだだだだだだだだだ
小梅「む、向井さん……やっぱりいいひと……あの子も……すきになってくれた」
――――――――――――後日、事務所
がちゃ
夏樹「おはよーっす」
涼「おっはー」
拓海「おう」
夏樹「なんか……お前らに久々会ったような気がする」
涼「アタシも……一日しか空いてないのにね」
拓海「まあ、たまにはいいだろ。こういうのも」
夏樹「そういや、涼。お前、だりーに何か言ったか?」
涼「別にー、どうしてさ?」
夏樹「なんかさ、昨日電話があって『私、生まれ変わるから!』って興奮しながら言ってたから」
涼「そう……いいことじゃん」
夏樹「今日もさ『なつきち、タワレコに演歌コーナーってあったっけ?』って聞いてきて」
涼(あちゃー……やっぱ、わかってねーな)
涼(…………まあ、それがリーナらしいか)
涼「あ、そうだ! 拓海、あんた小梅のミステリーツアーに付き合ってあげたの?」
拓海「お……おうよ! あんなもん屁でもねえや!! はははは」
涼「ほええー。アンタ見かけによらずすごいんだね? 小梅も喜んでたよ」
拓海「ま、まあな……」
拓海(ビビって走りだしたのは内緒にしてくれたのか……)
涼「んでさ、来週アンタとあたしと三人で墓地巡りしたいって……」
拓海「ぜってえええええいかねええええ!!」
拓海(昨日から背中の寝汗がすげえんだよ……)
拓海(これ以上は勘弁してくれ!)
拓海「おう、夏樹。お前、和久井の姐御を迎えに行ってくれたんだってな」
夏樹「まあな」
拓海「あの人に渡すメットには、ちゃんと中にハンカチ入れとけよ」
夏樹「そうなのか?」
拓海「そりゃそうだろ。あの人、あたしらと違ってメイクやヘアスタイル気合入ってんだ」
拓海「蒸れて台無しになっちまうだろ?」
夏樹「お、おぅ……今度から気をつけるよ」
夏樹(どこまでに大切にしてんだよ……ったく)
夏樹(まあ、気持ちもわかるけどな)
涼・拓海・夏樹(やっぱ、慣れてねーとダメだな)
涼・拓海・夏樹(でも、まあ…………可愛かったからいいか)
おわり
51 : ◆yfWmR9mD4k - 2013/10/22 00:09:02.56 BAq7v68zo 45/45これで終わりです。
長時間ありがとうございました。