昴「百合子って、本を読むのが好きなんだよな?」
百合子「はい、それはもうっ!」
昴「それじゃあ、そんな読書好きの百合子に……ほいっ」パサッ
百合子「? なんですか、これ? 本にカバー付いてますけど……」
昴「今大人気小説⚪×の最新作」
百合子「へえー……って、えええっ!?」ガタッ
昴「なんだよ、そんなに驚くものか?」
百合子「だだだ、だって! これ、何処のお店行っても売り切ればっかりで!」
昴「へー……俺には良くわかんないからそれ、百合子に譲るよ」
百合子「い、いいんですか!?」
昴「ああ。その代わり、読んだらちゃんと感想聞かせてくれよ」
百合子「昴さん……!」パアッ
百合子「〜〜〜〜っ!」バタンッ
昴「おお、百合子か。どうだった、感想は?」
百合子「何が……何が人気小説の最新作ですかぁっ! これ、只の……!」
昴「……エロ小説を興味津々に開く百合子、面白かったなあ」ニヤニヤ
百合子「〜〜〜っ!!」ポカポカ
昴「はは、そう怒るなって」
奈緒(百合子も、あの昴が小説買ってきたって時点で察して良さそうなもんやけどな……)
元スレ
昴「ゆりこー」百合子「どうかしましたか、昴さん?」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1412599351/
昴「百合子って、ダンスがちょっと苦手なんだっけ?」
百合子「はい……なので、ダンスレッスンのある日は少し憂鬱で……」
昴「成る程な……よし!」
百合子「?」
昴「百合子さえ良かったら、俺がダンスをやる前に必ず唱える魔法の呪文を教えてやるよ」
百合子「魔法の呪文……!?」ガタッ
昴「ああ。ちゃんと一字一句漏らさず口にすれば、どんな複雑なダンスでもすぐ自分のモノにしちまう優れものだ」
百合子「そ、そんな呪文が本当にこの世にあるんですか!?」
昴「勿論さ。百合子だけには特別に教えてやるから、ぜーったい誰にも教えちゃダメだぞ?」
百合子「昴さん……!」パアッ
百合子「〜〜〜〜〜っ!」バタンッ
昴「おお、おかえり。どうだった?」
百合子「昴さんの嘘つき嘘つき嘘つきぃっっ!!!」ポカポカ
昴「はは、そう怒るなって」
百合子「何がふなっしーの鳴き真似で自己紹介ですかぁ! 泣きたかったのはむしろこっちですよっ!」
昴「まさか本当にやるとは思わなくて……」
百合子「もう……もう、昴さんの言うことなんて絶対信じませんからぁっ!!」
未来(あの台詞、今までもう何回聞いたかなあ……)
昴「百合子はペン回しが得意なんだっけ?」
百合子「はい! 普通のペン回しから逆回転まで、一通りのことならなんでも出来ますよ!」フフーン
昴「……」スチャ
百合子「?」
昴「……せいっ」クルクルクルクル
百合子「!? 昴さんのペンが、語彙では表現出来ない程の奇怪な動きで、指の間を激しく回ってる……!?」
昴「どうよ?」
百合子「すす、凄いです昴さんっ! 私、そんなワザ初めて見ました!」
昴「何、コツさえ掴めば簡単さ。もしこのワザに興味があるなら、俺とキャッチボールをしてみるといい」
百合子「キャッチボール……?」
昴「そうだ。細かい雑念は捨てて、一度俺そのものになりきってみるんだ」
百合子「成る程……昴さんに、成り切る……」
昴「幸い、今日は時間がある。俺で良けりゃ、いくらでも百合子に力を貸すぜ?」
百合子「昴さん……!」パアッ
百合子「〜〜〜〜っ!」バタンッ
昴「おお、百合子か。どうだった、あれからペン回しの方は?」
百合子「出来ません!」
昴「だろうなあ」
百合子「というか……冷静に考えて、キャッチボールでペン回しが上手くなるわけないじゃないですかあっ!」ポカポカ
昴「はは、悪かったって」
奈緒(あいつ、ただ暇潰しに身体動かしたかっただけやな……)
昴「百合子っておはぎが好きなんだっけ?」
百合子「はい、大好きです!」
昴「そっか。それじゃあ」ゴソゴソ
百合子「?」
昴「ほい」スッ
百合子「え、これ……」
昴「百合子にはいつも世話になってるからな……これぐらいのお礼はさせてくれよ」
百合子「昴さん……!」パアッ
百合子「〜〜〜〜っ!」ジタバタ
昴「ああ。言い忘れてたけどそれ、一個カラシ入りのおはぎ混ざってるから」
百合子「〜〜〜か、辛いぃぃぃっ!!」
昴「ほれ、水」
百合子「あ、ありがとうございます……って、ちがーうっ!」ポカポカ
昴「はは。怒ったり感謝したり、忙しい奴だな」
百合子「もう昴さんなんて嫌いですっ! き・ら・いっ!」
昴「ゴメンって。今度は本物のおはぎやるから許してくれよ」ヒョイ
百合子「本当ですか!?」パアッ
奈緒(ちょろ過ぎるやろ)
百合子「はぁ……」
昴「珍しく浮かない顔だな」
百合子「あ、昴さん……」
昴「悩みがあるなら相談に乗るぜ?」
百合子「け、けど……」
昴「わかるぜ、その気持ち。他人相手に自分の弱味を晒すのは、少なからず抵抗があるってもんだ」
百合子「……」
昴「けど、俺達はもう只の他人なんかじゃない。同じ釜の飯を食った仲間じゃないか」
百合子「!」
昴「話してみなよ。気が楽になるぜ」
百合子「昴さん……!」パアッ
百合子「〜〜〜〜っ!」バタンッ
昴「おお、おかえり百合子」
百合子「昴さん……私のネタ帳のこと、事務所の皆にバラしましたね!?」
昴「あ、バレた?」
百合子「今まさしくネタにされてきましたよっ!」
昴「母親にガッツリ見られたんだから、もう誰にバレても同じことだろ?」
百合子「同じじゃないです!」
昴「『風の精霊達よ……また、貴方達の力を借りる時が来たようね……!』だっけ?」ププ
百合子「ち、ちがっ……! あ……あの文書は元々、CIAの陰謀で書かされてっ!」
奈緒(ネタ帳……?)
昴「百合子ー、一緒にレッスン行こうぜー」
百合子「……」ツーン
昴「あれ、百合子?」
百合子「……」ツーン
昴「ははぁ……また俺に悪戯されると思って、シカト決め込むつもりだな?」
百合子「……」
昴「なあなあ百合子ー」ユサユサ
百合子「……」
昴「こないだの事は俺が悪かったから、機嫌直してくれよー」ユサユサ
百合子「……」ツーン
昴「……」
百合子「」フフン
昴「ちぇ……もういいよ」スッ
百合子「!」
昴「俺、一人でレッスン行ってくるから。戸締まり宜しくな」
バタンッ
百合子「……」
百合子「」キョロキョロ
百合子「……」
百合子「」ジワッ
バタンッ
百合子「!」
昴「うっそー」
百合子「〜〜〜〜っ!」ポカポカ
昴「はは、ゴメンって。早く一緒に行こうぜ、レッスン」
昴「百合子ー」
百合子「なんですか、昴さん?」
昴「俺達って、同じ中学生だよな」
百合子「はい、3年です!」
昴「というか、タメだよな?」
百合子「はい、同い年です!」
昴「なら、なんでいつまでも敬語なんて使ってんだ?」
百合子「えっ!? そ、それは……」
昴「別にタメ口で話してもいいんだぜ? 俺、多少生意気な口きかれても気にしないし」
百合子「そ、そうですか……? じゃあ……」ゴホン
昴「まあ、気軽に名前でも呼んでみろよ」
百合子「えっと、昴さー……じゃなかった。すばるー」
昴「おう」
百合子「……」
昴「……」
百合子「〜〜〜〜っ!」ポカポカ
昴「まだ何も言ってないだろがっ!?」
奈緒(青春やなぁ)
昴「おーい、百合子居るー?」ガチャ
百合子「」スー スー
昴「……ん?」
百合子「」スー スー
昴「寝てるのか? 事務所で一人昼寝なんて、無防備な奴だな」
百合子「」スー スー
昴「急にサインの練習したいなんて言い出すもんだから、せっかく道具揃えてきてやったのに……ったく」
百合子「うーん……」ムニャムニャ
昴「……」
百合子「〜〜〜〜っ!」バタンッ
昴「おう、百合子。おはよう」
百合子「頭っ!」
昴「悪いのか?」
百合子「そうじゃなくて! 昴さん、私の額に『風』って落書きしたでしょ!?」
昴「似合ってるじゃんか。本物の風の戦士みたいでカッコいいぜ?」
百合子「全然カッコ良くないっ! 私この後ラジオの収録あるのに、スタッフさん達に馬鹿にされたらどうするんですかぁっ!?」
昴「お前のたまに出る中二病キャラで乗り切ればいいじゃん。『私は風の精霊シルフ……!』みたいな」
百合子「そんなのやだやだやだ! 早く取って取って取ってー!!」ジタバタ
奈緒(駄々っ子か)
昴「百合子ってさ」
百合子「はい?」
昴「将来、変な宗教の人とかに騙されて人生ダメにしそうなタイプだよな」
百合子「そそ、そんなことないですよ!」
昴「本当か?」
百合子「本当です!」
昴「それじゃあ今後、俺の嘘に一切引っかからないと心の底から誓えるか?」
百合子「そんなの余裕ですよ! 私、昴さん程度の嘘じゃ絶対引っかかりませんから!」フフーン
昴「ほう……」ニヤリ
奈緒(アカン)
昴「……」
百合子「うぐ……えっぐ……!」ポロポロ
昴「……」
百合子「ぐすっ……ひぐ……!」ポロポロ
昴「……百合子」
百合子「やだぁ……っ!」ギュウッ
昴「その……今の話なんだけど」
百合子「……事務所、辞めるなんて言っちゃいやだぁ……っ!」ポロポロ
昴「……」ポリポリ
奈緒(愛されとるなあ……)
昴「百合子ー」
百合子「あ、昴さん!」
昴「さっきコンビニでアイス買ってきたんだけど、良かったらお前も食べるか?」
百合子「いいんですか!?」
昴「ああ。どれでも好きなの取っていいぞ」
百合子「昴さん……!」パアッ
百合子「……?」モグモグ
昴「さて、俺も一本……」
百合子「昴さん」
昴「なんだ?」モグモグ
百合子「これ、普通のアイスですよ?」
昴「そりゃ、普通のアイスだからな」
百合子「心なしか、値段も全部微妙に高めだし……」
昴「たまには高いアイスも食べたくなってさ」
百合子「……」ジー
昴「……な、なんだよその目は?」
百合子「……ひょっとして、こないだ私を泣かせたこと気にしてます?」
昴「べ、別に……」
百合子「……」
昴「……」
百合子「……♪」モグモグ
昴「……な、何か言えよっ!」
奈緒(愛されとるなあ……)
百合子「うーん……」パラパラ
昴「急に勉強なんかして、どうかしたのか?」
百合子「あっ、昴さん! 実は来週に中間テストがあって……」
昴「ああ……そういや、俺の学校もそんな事言ってたっけ」
百合子「あんまり勉強は得意じゃないんですけど、ちゃんとやらなきゃ親にもプロデューサーにも怒られちゃうし……」
昴「成る程な……よし!」
百合子「?」
昴「百合子の勉強、俺も手伝ってやるよ!」
百合子「ええ!? そんな、悪いですよ!」
昴「言ったろ? 俺も来週テストだって」
百合子「で、でも……」
昴「幸い、教科書を見る限り範囲もほぼ一緒だしな。二人で力を合わせて、この山場を乗り切ってやろうぜ!」
百合子「昴さん……!」パアッ
昴「……」
百合子「……」
昴「百合子」
百合子「はい」
昴「悪いっ!」パンッ
百合子「昴さんも勉強ダメなんじゃないですかぁぁっ!」ブワッ
恵美(結局あの二人、同じページとずっと睨めっこしてただけだったね……)
奈緒(あいつらは頭の中身まで仲良しなんか)
昴「ゆりこー」
百合子「はい、なんですか昴さん?」
昴「あの有名小説の映画のチケット、親から二枚貰ったんだけry」
百合子「昴さん……っ!!」パアッ
昴「まだ何も言ってないだろが」
百合子「ってここ、野球場じゃないですかっ!」
昴「いいじゃん、映画館も近いし」
百合子「良くない!」
昴「せっかく奈緒が、タダで余った野球観戦のチケットくれたんだしさ。映画はこの後でもいいだろ?」
百合子「やだやだ! 早く映画見たいーっ!」ジタバタ
昴「ちょ、あんまり暴れるなって!?」
百合子「だってだって! 私、今日の映画すっごい楽しみにしててっ!」
昴「わ、分かった分かった! 早目に球場出るから、それでいいか?」
百合子「早目ってどれぐらいですか?」
昴「えーと……大体5回ぐらいまで、かな」
百合子「……」ムー
昴「ゆ、許せって! 映画館行ったら、ジュースでもなんでも奢ってやるから!」
百合子「……キャラメル味のポップコーン」ボソッ
昴「ラージで買ってやらぁっ!」
奈緒(こうしてみると、拗ねた彼女を彼氏が必死に宥めてるようにしか見えんなあ……)
百合子「ふぁーあ……」
昴「なんだよ、寝不足か?」
百合子「あ、昴さん……」
昴「どうせまた、夜遅くまで小説でも読み込んでたんだろ」
百合子「ち、違いますよ!」
昴「違うのか?」
百合子「……よ、読んでたって言ってもほんの少しですもん」
昴「やっぱ夜更かししてんじゃねーか」
百合子「だってしょうがないじゃないですか! すっごく面白い小説が、私の手の届く場所に置いてあると思うと……」
昴「気になって中々寝付けない、と」
百合子「はい……」
昴「それじゃあ、今日辺りウチにでも泊まりにきたらどうだ?」
百合子「え?」
昴「俺の家皆寝るの早いし、本も殆どないからグッスリ眠れると思うんだけど」
百合子「い、いいんですか?」
昴「おいおい。まさかこの俺が、仲間の頼みを無下に断るような甲斐性なしに見えるのかよ」
百合子「昴さん……!」パアッ
百合子「……」シパシパ
昴「……」シパシパ
星梨花「あのー……」
昴「おお、星梨花か……」シパシパ
百合子「おはよう、星梨花ちゃん……今日も可愛いね……」シパシパ
星梨花「お、お二人とも……そんなに目をシパシパさせて、どうかなさったんですか?」
昴「いやあ……昨日、百合子のイビキが煩くてさあ」
百合子「ちょっと!? 私、イビキなんてかいてないですよっ!」
昴「夜中騒ぎまくってたのは事実だろ?」
百合子「あ……あれは、私が寝てる間に昴さんが鼻摘んだりくすぐってきたり、布団の上からダイブしてきたのが原因で……!」
星梨花「あ、あの……け、喧嘩はしないで……!」オロオロ
昴「何が『昴さんと一緒ならいい夢見れそうです』だよ。夢どころか一睡も儘ならなかったぜ」
百合子「寝かせてくれなかったのは昴さんじゃないですかぁっ!」
昴「途中、寝ぼけて俺の布団入ってきたのはどこのどいつだよ」
百合子「寒かったんですもん!」
昴「そりゃ、お前が俺の毛布鼻水で1枚ダメにしたんだもんな」
百合子「泣く程怖い怪談話をしてきた、昴さんにも問題あると思うんですけどっ!」
昴「まさかあの程度の話で、鼻水垂らすほど怖がるとは思わないだろがっ!」
百合子「昴さんだってその後の私の怪談話に怯えて、夜中私の胸に顔埋めてきたクセに!」
昴「枕かと思ってたんだよ!」
百合子「どうやったら枕とおっぱいを見間違えるんですかっ!」
昴「というか、そもそも最初に抱き着いてきたのはお前だろっ!」
百合子「いーえ、先に私を抱き締めてきたのは昴さんですっ!」
昴「いーや、先に俺に抱き着いてきたのは間違い無く百合子だったね!」
百合子「昴さん!」
昴「百合子!」
百合子「ぐぬぬ……!」
昴「うぬぬ……!」
星梨花「あ、あはは……」
小鳥「……」ガンッ
未来(小鳥さんが、涙を流しながら事務所のカベを殴打してる……)
奈緒(ああいう会話、してみたかったんやろなあ……)
ザーッ
百合子「うー……」
昴「雨か。久しぶりに降ってきたな」
百合子「どうしよう……私、傘忘れてきちゃいました」
昴「親に迎えに来て貰えばいいじゃん」
百合子「ウチの親、今日は仕事で遅くなるらしくて……」
昴「ふーん……じゃあ、ほい」スッ
百合子「?」
昴「傘。一本余ってるからやるよ」
百合子「え……?」
昴「なんだよ、そんな顔して。別に変な仕掛けなんかつけてないからさ」
百合子「……あの。昴さんはまだ……」
昴「俺はもう少し事務所に残ってくよ。別に早く帰ってもやることないし」ハハッ
百合子「……わかりました! 傘、どうもありがとうございます!」
昴「おう、気を付けて帰れよ」
バタン
昴「……」
ザーッ
昴「……さて、と」
ザーッ
昴「どうしたもんかなあ。駅までは結構距離あるし、流石にこの雨の中を走って帰るのは……」
百合子「わっ!」
昴「おわっ!?」ビクッ
百合子「ふふっ。私、昴さんがそんなに驚いた顔してるの初めて見ました!」
昴「ゆ、百合子!? お前、先に帰ってたんじゃ……」
百合子「傘がない人をそのまま帰す程、甲斐性なしな女に見えますか?」フフーン
昴「……普段鈍いクセに、どうしてこういう時だけ鋭くなるかなあ」
百合子「一応、理由はあるんですよ?」
昴「?」
百合子「知ってました? 昴さん、他人の為に嘘ついてる時はちょっとだけ優しい顔になるんです」フフッ
昴「……」
百合子「普段もそのぐらい分かりやすかったら、私も助かるのになぁ……」
ダキッ
百合子「……へっ!?」
昴「……相合傘もいいけどさ」
昴「……少しの間だけこうして、雨が止むのを待つのも悪くないよな」
百合子「……」
ザーッ
百合子「……」
百合子「……先にくっ付いてきたのは、昴さんですからね」ギュウ
昴「はいはい……」ギュウ
百合子「〜〜〜〜っ!」バタン
昴「おお、百合子か。昨日振りだな」
百合子「昴さん、また私の小説にラクガキしたでしょ!?」
昴「ダメなのか?」
百合子「当たり前ですっ! これ、図書館から借りた本なのにどうするんですかぁっ!」
昴「消そうと思えば消せるぜ? シャーペンで書いたんだし」
百合子「そういう問題じゃないです! 昴さんも消すの手伝って下さいっ!」
昴「なんでだよ?」
百合子「逆になんで手伝わないんですかっ!?」
ギャーギャー
星梨花「……」
奈緒「そんな不思議そうな顔して、どうかしたか星梨花?」
星梨花「あの、奈緒さん」
奈緒「んー?」
星梨花「昴さんはいつも、百合子さんに意地悪してますよね?」
奈緒「しとるなあ」
星梨花「それで百合子さんはいつも、怒りながらも昴さんと一緒に居ますよね?」
奈緒「一緒におるなあ」
星梨花「あれは一体、どういうことなんでしょう?」
奈緒「……」
星梨花「本当の友達同士なら、毎日もっと仲良く接しててもいいと思うんですけど……」
奈緒「そうか……星梨花ぐらいの歳になると、そろそろ本格的に経験あるかもしれんな」
星梨花「?」
奈緒「よう見とき、星梨花」
百合子「手伝ってー!」ユサユサ
奈緒「好きな男からちょっかい出されて……」
昴「はは、また時間のある時な」ユサユサ
奈緒「好きな女にちょっかい出すバカップルってのは、大体あんな感じやで」
おしまい