―仕事先のスタジオにて―
ハイ オッケーデース! アリガトウゴザイマシタ
P「お疲れ、智絵里」
智絵里「お疲れ様です、プロデューサー」タッタッ
P「すまんな急に撮影が入って、改装中のスタジオしか確保できなくて」
智絵里「いえ、お仕事がいただけるのは嬉しいですから」ニコ
P(ええ子や……)ホロリ
元スレ
モバP「言わぬがクローバー」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1443005417/
智絵里「で、でも私なんかで本当に良かったんですか……?撮影のお仕事だったら卯月ちゃんとか、美穂ちゃんの方がいいと思いますけど……」
P「何を言ってるんだ。お前があの2人より見劣りするなんて、俺だけじゃなくてここにいるスタッフ全員思ってないぞ」
智絵里「そ、そうですか、ありがとうございます……」モジモジ
P「それに良い笑顔で笑うようになった。最近の智絵里は風格が出て来たというか、儚げな雰囲気を持ちつつも芯の強さを感じるよ。先方も大変満足していたし、今日の仕事をお前に頼んで本当に良かったと思ってる」
智絵里「そう言ってもらえると、嬉しいです。えへへ……」テレテレ
ヒュウ~
P「しかし改装中とはいえ、このスタジオ隙間風がひどいな。仕事も終わったし、さっさと撤収しよう。早く着替えておいで」
智絵里「わかりました。すぐ支度してきますね」ペコリ
タッタッタッ…
P(帰りに喫茶店にでも寄って、何か美味しいケーキでも食べさせてやるかな。予定外の仕事なのに嫌な顔もせずに頑張ってくれたし、智絵里は遠慮するだろうけど次の仕事の下見とでも理由をつけて……)ブツブツ
グラグラ… ガタタ…
スタッフ「危ないっ!! 」
P「え……?」
P(スタッフの声に気付いて前を向くと、スタジオの脇に設置されていた足場が隙間風に吹かれてバランスを崩し、作業中の壁材や工具と共にビルの解体現場のように崩れていくところだった)
P(そして崩れ落ちていく足場のちょうど真下に智絵里がいて―――――)
智絵里「あ……」
P「智絵里いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっっっっっっ!! !! !! !! !! !! 」
ガラガラガラガラドガシャ―――――ンッッッ!! !! !! !! !! !!
P「あああああああああああああああああああああああっっっっっっ!! !! !! !? !? !? 」
P(俺の目の前で、智絵里は足場に押しつぶされた)
P「智絵里いいいいいいいいっっっ!! !! !! うわあああああああああっっっ!! !! !! 」
スタッフ「危ないですよプロデューサーさん!まだ崩れる危険性がありますし!」
P「離せえっ!! 離してくれえっ!! 智絵里があの下にいるんだあっ!! 」
カメラ「気持ちはわかりますけど、レスキュー隊の到着を待たないと!」
P「待ってられるかあっ!! すぐに助け出さないと智絵里が、智絵里があっ!! 」
P(スタッフ達の制止を振り切って、俺は必死に足場を掘り起こした。壁材の瓦礫で手が切れて血が出ようとも、足を滑らせて派手に転ぼうとも、瓦礫の下にいる智絵里を助けたい一心で掘り起こした)
カサ…
P「これは……?智絵里が着ていた衣装!? 待ってろ智絵里、すぐ助けてやる!」
ズル…
P「あ…… そ、そんな……」
P(衣装は無残に破れていて、血がべったりとついていた。近くには智絵里がいつもつけている四葉のクローバーのネックレスや、ブレスレットが落ちていた)
P「智絵里…… ちえりぃ…… う、ううぅ……」
P(まだ智絵里の温もりが残っている衣装を抱きしめて、俺は瓦礫の中で泣いた。俺のせいだ、俺がこんなスタジオで仕事を入れたから、それで智絵里が……ほんの数分前まで、俺の目の前で天使のような笑顔で笑っていたのに……)
P「智絵里、ごめんなぁ…… ちえりぃ……」
『あ、あの、Pさん……』
P(ふと、どこからか智絵里の声が聞こえた気がした。手元には血がついた衣装とクローバーのネックレスがある。そういえばこのネックレス、いつも智絵里が肌身離さず着けていたな。智絵里の魂がこもってるのだろうか……)
『き、きこえてるかな?おーい、おーい……』
P「ああ、よく聞こえているよ智絵里、俺のせいでこんな姿になってしまっても、お前は恨み言ひとつ言わずまだ俺をPさんって呼んでくれるんだな……」
『よ、よかった、壊れてなくて。Pさん、聞こえてるんですよね?』
P「……?何だかやけにはっきりと聞こえる幻聴だな。まるで智絵里がすぐ近くで俺を呼んでいるような……」
『こっちです、スタジオのカメラさんがいた足下です…… スタッフさん達に気がつかれないように、こっそり来て下さい』
P「カメラさんがいた足下って、確か……」
P「なっ!? 」ギョッ!!
P(俺がふと視線を上げると、まるでモグラ叩きのモグラのように、智絵里が頭を半分地面から出してこちらを見ていた )
P「ちえ……っ!! 」
『しーっ!静かにしてください!私今、は、はだかなんです……!』
P(地面から頭を半分だけ出した智絵里が真っ赤になって照れている。見間違いじゃないよな?それに裸って、一体どういう状況なんだ……?)
『と、とにかく、詳しい話は後でしますから、近くにある私の衣装と、し、下着を探して、こっちに持って来てください……』
P(智絵里はそう言うと、さっと地面に引っ込んでしまった。俺は何が何だかよくわからないまま瓦礫の中から智絵里のブラとショーツを掘り起し、周囲にいるスタッフ達や到着した救急隊に気づかれないように、衣装と共に智絵里が顔を出していた小さな穴の中に押し込んだ)
『ありがとうございました。じゃあ私は不自然にならない程度に、救急隊の人達に発見されますから、Pさんは安全な所で待っていてください……』
P「あ、ああ、わかった……」
P(だんだん冷静になってくると、さっきから聞こえていた智絵里の声はどうやら四葉のネックレスが発していたらしい。これは通信機だったのか)
P「な、なあ智絵里、ひとつだけ聞いていいか……?」
ネックレス『はい?なんですか?』
P「とりあえず無事、なんだよな……?どこかケガとかしてないのか……?」
ネックレス『ちょっとひざをすりむいちゃいましたけど、大丈夫ですよ』
P(智絵里の元気な声が聞こえて一安心する。現状はわからないことだらけだが、それが確認出来ただけで俺は神様に感謝した―――――)
***
P(レスキュー隊が救助作業を始めて20分後、瓦礫の下から智絵里が発見された)
P(運よく瓦礫の隙間にいて助かったようで、気を失っていたが奇跡的にほぼ無傷の状態だった…… ということになっている)
P(智絵里は一応病院に搬送されて精密検査を受け、医師や看護師がいなくなった後、俺と2人きりになってから事情を話してくれた)
智絵里「実は私……、忍者なんです」
P「…………」
P「…………は?」
智絵里「す、すみません、今まで騙して…… 怒りますよね……」シュン
P「いや、怒ってないが、忍者ってあの、あやめが好きな忍者か……?」
智絵里「はい、その忍者です。あやめちゃんは忍者じゃないですけど……」
P「まあ、それはわかっていたが。じゃあお前が本物の忍者アイドルなのか」
智絵里「しゅ、手裏剣は投げられませんけど、私下手だから……」
P(瓦礫に押しつぶされそうになった瞬間、智絵里は『土遁の術』で穴を掘ってやりすごしたらしい。原理も説明してくれたが、俺は忍者に詳しくないので聞いてもよくわからなかった)
智絵里「土遁の術を使う時は『空蝉の術』も使わないといけなくて、どうしても一度裸にならないといけないんです。それでどうしても、衣装と下着をあそこに残さないといけなくて……」カアア
P(ちなみに智絵里の衣装にべっとりついていた血は、瓦礫で手の平を切った時の俺の血だった。どれだけ焦っていたんだ俺は……)
智絵里「ほんとはこっそり戻って服を着てから発見されるつもりだったんですけど、Pさんが私の服を持ってずっと泣いてたから、戻れなくて……」
P「す、すまん、邪魔してしまったな……」
智絵里「い、いえ!Pさんは悪くないです!それに私なんかの為にあんなに泣いて、すぐに無事ですって言わないとって思いましたし……!」アタフタ
P「でも本当に無事で良かった…… もしあの時智絵里が死んでいたら、俺はもう二度と立ち直れなかったよ……」グス
智絵里「心配をかけてすみません。私は元気ですから。い、いぇい♪」
P(俺を泣きやまそうと、智絵里は一所懸命明るく振る舞ってくれた。そうだな、智絵里が一番怖い思いをしたのに、気を遣わせたらいけないな!)
智絵里「でも、アイドルは…… 辞めることになると思います……」
P「ど、どうしてだ!? 」
智絵里「忍の掟で、一般の人に正体を知られてしまったら、その場所を去らないといけない決まりがあるんです。忍者は忍んでこそ忍者ですから……」
P「奇跡的に無傷で助かったってことになってるじゃないか!それに俺が秘密にしておけば誰にも……」
智絵里「忍者にはわかってしまうんです。既にお里にも知られているでしょう。忍者の耳はとっても疾いですから……」
P(四葉のネックレスは忍の里と定期的に連絡を取る道具でもあるらしい。連絡がないとなれば、何かあったと気付かれるのは時間の問題だとか)
智絵里「お父さんは忍の里のエリートで、私は落ちこぼれだったからずっと迷惑をかけていました。それで少しでもお父さんに認めて欲しくて、アイドルを頑張っていたんですけど、こうなっちゃったらもう……」ジワ…
P「智絵里……」
智絵里「せっかくPさんに褒めてもらったのに…… やっと最近アイドルのお仕事が楽しくなってきたのに…… やめたくないよう……」ポロポロ
P「……やめさせないさ」ギュ
智絵里「あ……」
P「アイドルも忍者も関係ない、俺は智絵里が無事で本当に嬉しかったんだ。それで智絵里を二度と危険な目に遭わせないと誓ったんだ」
智絵里「P、Pさん、あの、それって……」カアア
P「俺はお前の(アイドルとしての)幸せを守る為なら、どんなことでもやってやる。たとえお父さんが相手でも、絶対にお前を(Pとして)離さないさ」
智絵里「ひゃあああああ~!! 」バタバタ
P「す、すまん、苦しかったか?」パッ
智絵里「あ…… いえ、あの、その……」モジモジ
P「?」
智絵里「ふ、ふつつか者の忍者ですが、よろしくお願いします……」ペコリ
P「ああ、忍者でも智絵里は智絵里だ。これからもよろしくな」ナデナデ
智絵里(Pさんの手、温かいな……)ポー
***
P(それから俺は、智絵里と一緒に三重の実家に事情説明に行った。智絵里の父親は最初は智絵里を絶対に連れ戻すとアイドルを続ける事に反対していたが、俺の必死の説得と智絵里の母親のとりなしもあって、忍者の存在を絶対外部に口外しないことを条件に智絵里がアイドルを続ける事を許してもらえた)
P「智絵里のアイドルとしての頑張りがあったから許してもらえたんだろうな。必ずトップアイドルにすると約束したし俺も頑張らないと」カタカタ…
P「よし、終わり!少し休憩入れるか」ノビー
風香「お疲れ様です、Pさん」ヒョコ
P「おう、来てたのか風香。今日はオフじゃなかったか?」
風香「す、すみません、お邪魔だったでしょうか?」
P「邪魔なんてとんでもない。それでどうしたんだ?」
風香「は、はい、この前のお仕事で覚えたケーキを作ってみたので、よかったらどうですか……?」
P「おお!カップケーキか。これは美味そうだな」
風香「普段あまり料理しないので、自信はありませんせんけど……」
P「風香が作ったなら美味しいに決まってるさ。いただきまーす♪」パクッ
風香「…………」ジー
P「うん!美味いぞ!甘さもちょうどいい!」モグモグ
風香「…………ごめんなさい」ボソッ
P「ん?何か言ったか風香?せっかくだしお前も一緒に食べたら……」
P「あ、あれ…… 体が痺れて…………?」グラ
風香「毒じゃありませんから安心して下さい。一時的に動けなくなりますけど」
P「ふ、風香……?お前、ケーキに、何か、入れたのか……?どうして、こんな……」
風香「こうでもしないと、Pさんは本当の事を言ってくれないと思ったから……Pさん、智絵里ちゃんのことで隠してることがありまよね?」ジロリ
P(な、何で風香がそのことを知ってるんだ!? )ギクッ!!
P「な、なんの、ことだ……?智絵里の、実家には、先週、行ったが……」
風香「伊賀の里ですよね?伊賀の人達に脅されたんですか?」
P(伊賀の人達……?その言い方だとまるで……)
風香「あ、言い忘れてましたけど私も忍者です」
P「なん……だと……?」
風香「甲賀の忍者として、伊賀の人だけにはPさんを渡すわけにはいけません。今まではアイドルとして勝負していましたけど、智絵里ちゃんが正体を明かしたからには私も忍者として勝負します」
P「だ、だが、智絵里は、これからも、アイドルとして、頑張るって……」
風香「忍者の言う事を信じるんですか?智絵里ちゃんは見た目は可愛らしくて儚げに見えますけど、それは世間を欺く仮の姿なのかもしれませんよ? 伊賀の忍者は業界ではとびきりのエリートなんですから」
P(忍者に業界とかあるのか……)
風香「とにかく、今までは私も静観してましたけど、こうなってしまったからには私も戦います!アイドルとしても、忍者としても……」シュルリ
P「ちょ、ちょっと、待て、なぜ、服を、脱ぐんだ……?」
風香「色香の術はくノ一の基本ですよ?私も実際に誰かに使うのは初めてですけど、ぴ、Pさんになら……」カアア
P(恥ずかしいなら無理しなくていいのに……)
智絵里「ぴ、Pさん!」バァン!!
P「ち、智絵里、これは、ちがう、んだ……」
智絵里「風香ちゃん、もしかして……」
風香「……人払いしたはずなのに、これだから伊賀の人は」テキパキ
P(あ、色香の術は終了か……)ショボン
智絵里「Pさんに何をしたんですか……?」
風香「智絵里ちゃんがやったことに比べれば大したことはしてませんよ。忍者は一般人に正体を明かしてはいけないのは鉄則なのに、一体どういうつもりなんですか?」ジロリ
智絵里「あ、あれは事故で……」
風香「忍者の言う事を忍者が信じると思いますか?この際ですから、はっきりとさせておきましょう」スチャ
P(あれは…… 万年筆のペン先?)
風香「智絵里ちゃんとはアイドルとして勝負がしたかったんですが、こうなってしまったからには仕方ありません。お手合わせ願います!」シュバ!!
智絵里「くっ!」サッ!!
カカカッ!!
P(風香がペン先を手裏剣みたいに投げて、智絵里がそれを紙一重で交わした! まさかここでおっぱじめるつもりなのか!? )
P「お、お前、達、やめ……」
智絵里「……外に出ましょう。屋上で相手してあげます」ス…
風香「その気になってくれましたか。では参りましょう」シュン!!
智絵里「Pさん、すぐ終わらせきますから」シュン!!
P「き、消えた……?」
P「と、とにかく、2人を、とめないと…… くそ、体が、しびれて……」
まゆ「お困りのようですねえ?」ニュ
P「うお!? い、いたのか、まゆ……」
まゆ「はい♪ あなたのまゆですよお♪」ニッコリ
P(いつからいたんだ…… さっきの風香と智絵里の会話を聞かれていればまずいことになるんだが……)
まゆ「Pさん、ちょっと失礼しますねえ」マジマジ
P(そう言って、まゆは俺の顔を観察して口の中や瞼の裏もチェックした)
まゆ「ただの痺れ薬みたいですね。この丸薬を飲めば治りますよ」ヒョイ
P「んん!? 」ゴックン
P「な、なんだこれ!? にがっ、めちゃくちゃ苦いぞ!」ペッ、ペッ
まゆ「良薬口に苦し、ですよ。痺れは取れたでしょう?」クス
P「……本当だ。元通りになった」ケロリ
P「……なあまゆ、もしかしてお前も」
まゆ「はい♪ 忍者ですよぉ♪」
P(なんてこった、まだ他にもいたのか……)
まゆ「まゆは黒脛巾組(くろはばきぐみ)と呼ばれた忍の末裔です。伊達正宗様がお作りになった忍の集団で、伊賀や甲賀に比べれば知名度はそれほど高くはないみたいですねえ」
P「初耳だな。不勉強ですまない」
まゆ「いいんですよお、忍者は忍んでこそですから♪ 智絵里さんも風香さんもまだまだ修行が足りませんねえ」
P「お前も俺にそんな簡単に正体を明かして良かったのか?忍者は自分の正体を知られたらいけないんだろ?」
まゆ「実はその掟、ひとつだけ例外があるんですよお」
P「例外?」
まゆ「はい。『自分の正体を明かすことを禁ずる。ただし正体を明かした者を一族にするのならその限りではない』どこの忍者も一緒だと思います」
P「一族にする?俺は忍者にはなれないが……」
まゆ「忍者の一族は全員忍者とは限らないですよ。つまり家族になりさえすれば、まゆ達は自分の正体を明かしてもいいんです」
P「つまりそれって……」
シュルルルルルル
P「ぐわっ!? リボンが手足に巻きついて……」
まゆ「まゆは白兵戦は得意ではありませんが、Pさんを縛り上げるくらいなら出来るんですよお?うふふ……」ジリジリ
P「ま、まゆ?何をするつもりだ……?」
まゆ「風香さんも言ってましたけど、智絵里さんが正体を明かした以上は戦争は避けられないんです。まゆも戦わないわけにはいけません」シュルリ
P「よ、よせまゆ、まさかお前も……」
まゆ「土遁の術を使ったということは、智絵里さんはPさんに裸を見せたということですよねえ。それならまゆも、が、がんばら、ないと……」カアア
P(いや、だから恥ずかしいなら無理しなくてもいいのに。第一ここでお前が裸になったとして、俺がはいそうですかと襲いかかるわけにいかんだろ)
早苗「はーいそこまでよー」ガチャ
P「げぇ!? さ、早苗さん!? 」ギョッ!!
まゆ「っ!? くっ……」シュン!!
早苗「軒猿(のきざる)のあたしから逃げられると思う?」ガシッ!!
まゆ「なっ!? の、のき……!? 」
早苗「ちょっとおいたが過ぎたかな~?ねんねしましょうね♪」バシッ
まゆ「きゅう」バタン
P「早苗さん、もしかしてあなたも……」
早苗「そ、忍者なの♪ 軒猿って忍者狩りが得意なのよね」ポイ、ポイ
智絵里「くぅ」ゴロン
風香「うーん…」ゴロン
P「智絵里と風香まで……」
早苗「屋上で忍術使ってバトってたからとりあえずシメといたけど、若い子達は元気ねえ。もっとレッスン増やしてもいいんじゃない?」ケラケラ
P「助かりました…… ありがとうございます」
早苗「いいのよいいのよ、忍者のことは忍者が一番知ってるんだから。ところでまゆちゃんのシャツのボタンが全部外れてるのはどうして?」ジロリ
P「え!? あの、それは……!! 」アタフタ
早苗「まぁ、今回は不問にするわ。でもP君も忍者の前で油断しちゃダメよ?」
P(つい最近までみんな普通の女の子だったんだけどなあ……)
―――
P「それで、お前達のこれからについてだが……」
智絵里「ぐす……」セイザ
風香「うぅ……」セイザ
まゆ「どうしてまゆまで……」ブツブツ
早苗「まゆちゃ~ん?ちゃんと反省してる~?」
まゆ「も、もちろんしてますよお!」ビクッ!!
P「智絵里には言ったが、忍者でも関係なく、俺はこれからもお前達に変わらずに接するつもりだ。だからお前達が傷つけあう姿は見たくない」
風香「すみません……」
P「忍者の事情は俺にはわからないが、その事情を事務所に持ち込むようなら俺もプロデューサーとして然るべき対応を取らせてもらう。この意味わかるな?」
智絵里「そ、そんな…… 捨てないでください……」ウルウル
P「あ、あくまで仮定の話だ、俺だってそんなことはしたくない……」アタフタ
まゆ(伊賀の人だから警戒していましたけど、それほどでもなさそうですねえ。でもまさか早苗さんが軒猿だったなんて……)チラ
早苗「言っとくけどあたし、女の子には優しくするけど忍者には容赦しないわよ? よーく覚えといてね♪」ウィンク☆
まゆ「ひっ……」ゾク
P「とにかく、戦うならアイドルとして戦ってくれ。はい、仲直りしよう」
風香「ごめんなさい、智絵里ちゃん……」ペコペコ
智絵里「わ、私の方こそドジして他の忍者さん達に迷惑かけて……」ペコペコ
まゆ「あれ?なんでまゆも謝っているのでしょう?」ペコペコ
早苗「めでたしめでたしね♪ あたしも女の子シメたくないし」
P「しかしまさか事務所に4人も忍者がいたとは思いませんでしたよ。早苗さんは何となく只者じゃない気がしてましたけど」フウ
早苗「ん?もっといっぱいいるわよ?」キョトン
P「え」
早苗「忍者って大名や将軍お抱えのスパイみたいなものだから、日本全国に末裔がいるのよ。あたしの軒猿も上杉謙信が作ったんだし、P君が知らないだけで忍者って結構身近にいるのよ」
P「じゃ、じゃあ智絵里や風香やまゆ達以外にも……?」
早苗「まあね。忍者同士正体を一般人にバラしたらいけないってルールがあるから言えないけどね。まあ、こんな事は滅多に起きないし、あたしがいるうちは起こさせないから気にしなくていいわよ」
P「誰が忍者なんだ……?疑心暗鬼になりそうです……」
早苗「女の子の秘密のひとつくらい見逃してあげなさいよ。それに忍者は忠義を誓った相手には尽くすから、お嫁さんにするならいい物件よ♪」
おわり
51 : 以下、名... - 2015/09/23(水) 20:29:44 Vw5SZnkM 47/47
実在したかどうかは別として、忍者はロマンがありますね。智絵里みたいな一見普通の女の子が忍者だったりしたら面白いなと思って、それなら風香も、ついでにまゆもと想像しながら書きました。調べれば調べるほど忍者は面白い。では