1 : 以下、名... - 2024/08/14 10:59:51.97 6avaHyFb0 1/20

p「ままならないですか」

「うん。もう動けない」

p「それなら休憩を挟んでから、最後までトレーニングを終わらせましょう」

「…」

p「15分後に再開です」

「プロデューサーの、鬼」

p「これが好きなんでしょう」

「うん」


元スレ
【学マス】広「ままならないね」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1723600791/

2 : 以下、名... - 2024/08/14 11:02:10.02 6avaHyFb0 2/20

p「ですが、見違えるほどの成長ですよ。準備運動すらままならなかったあの頃と比べればね」

「ふふ。今でも、体力の半分を持っていかれる」

p「このままではライブのやり方が限られます。しっかりしてください」

「プロデューサーは、いつだってわたしを元気にする言葉を知ってる」

p「学習したので」

「プロデューサーの得意分野」

p「あなたが言うと皮肉に聞こえる。不思議ですね」

「そんなつもりはないよ」

3 : 以下、名... - 2024/08/14 11:03:12.79 6avaHyFb0 3/20

「プロデューサーはこうして、休日までわたしの面倒に、費やしてくれる」

p「そういうものですよ」

「それでも芽の出ないわたしに、苛々しない?」

p「そうすればあなたはもっと喜びますか?」

「…どうかな」

p「性分ですので。気にせず、励んでください」

4 : 以下、名... - 2024/08/14 11:05:34.91 6avaHyFb0 4/20

「うん」

p「といいますか、それがあなたの強みでしょう?周囲の評価を気にせず自分の道を突き進める度胸こそが」

「それ、皮肉?」

p「どうでしょうか」

5 : 以下、名... - 2024/08/14 11:07:00.96 6avaHyFb0 5/20

「…昔のわたしを、知ってる人たちからは、今でも連絡が来るよ。今となってはもう、恨み言に近いかな」

p「鮮烈な才能だったのですね」

「あなたも、間違ってるとは思う?」

p「何が?」

「わたしがここにいること」

p「さあ。ただ、逆の立場で考えれば、彼らに同情すべきでしょうね」

「…そうかな?」

p「そうですよ」

6 : 以下、名... - 2024/08/14 11:07:57.51 6avaHyFb0 6/20

「わたしの進路なんて、他人事なのに?」

p「…他人事だからかもしれません」

「わたしの、勝手」

p「…」

「そう言ったら、プロデューサーはわたしを軽蔑する?」

p「いえ。まさにその通りなので」

「そうだよね」

p「はい。性癖は人それぞれですし」

「わたしのことマゾだと思ってる?」

7 : 以下、名... - 2024/08/14 11:08:33.85 6avaHyFb0 7/20

p「どうしたんですか?」

「プロデューサーは、わたしのことを理解してくれてると思ってたのに」

p「なんのことですか?」

「辛いことは、楽しい」

p「標語のように言われても」

「意地悪しないで」

p「嬉しくないんですか?」

「試行錯誤してる?」

8 : 以下、名... - 2024/08/14 11:09:13.89 6avaHyFb0 8/20

p「辛いことが楽しい人間は、一般的にマゾと分類されるのでは?」

「それはマゾの人に失礼」

p「それもそうですね」

「プロデューサーはそんな簡単に、人を分類してしまう人種?」

p「それが、あなたの括りですか?」

「…混ぜっ返し」

p「そういえば」

「なに?」

p「まだ一人でも交流が続いているのですか?」

「…」

9 : 以下、名... - 2024/08/14 11:10:03.55 6avaHyFb0 9/20

「一人でもって?」

p「はい」

「…連絡は来るって、さっき言ったけど?」

p「そうですね」

「何その質問」

p「言葉通りです」

「…」

「…そういえば、そろそろ15分経った?」

p「あと7分あります」

「…プロデューサーは、わたしの答えに何を期待していたの?」

p「期待なんてしてませんよ。そんなもの、あなたにするだけ無駄でしょう?」

「…」

「ねえ。プロデューサーは、わたしが間違ってると思うの?」

p「そんなこと、気にするんですか?」

「わたしは間違ってるのかな?」

p「全然。あなたはあなたの好きなようにすればいい」

p「あなたへ無理強いすることこそが間違いだ」

10 : 以下、名... - 2024/08/14 11:11:00.53 6avaHyFb0 10/20

「…そうだよね」

「…わたし、実は、そこまで人とずれてることをしてるつもりはない」

p「はい」

「苦しい壁を、不可能だって思うような崖を、登り続けて得られるものがある。途中で落ちようが、落ちまいが。結果を、重んじる人は、いるけれど」

p「はい」

「わたしが求めるものは、そこにはない。わかるでしょ?」

p「まあ、そうですね」

「…それとは、別の話?」

p「どういう話だと思っているんですか?」

「…」

p「突き詰めて言えば、あなたの言うことは間違ってないように思えます。理解はあまり得られませんが」

「どうして怒ってるの?」

p「怒ってませんよ。どうしてそう思うんですか?」

「…」

p「…おっと。もう時間ですね。トレーニングを再開しましょうか」

11 : 以下、名... - 2024/08/14 11:11:37.31 6avaHyFb0 11/20

「待って」

p「なんでしょう」

「もっと話そう。まだ再開したくない」

p「珍しいですね。まあ、構いませんよ」

「…」

p「…何をそこまで焦っているんですか?」

「そんな、顔してる?」

p「はい」

「…今日のプロデューサーのことが、わからないから?」

p「なるほど。では、何をお答えすれば疑問が解消されて、トレーニングに戻れますか?」

「…」

12 : 以下、名... - 2024/08/14 11:12:31.87 6avaHyFb0 12/20

「プロデューサーは…」

「プロデューサー…」

「…」

「わたしのこと、嫌い?」

p「はい?どうしてそうなるんですか…それが、質問ですか?」

「…いや…」

p「…」

p「というか、意外ですね」

「え?」

p「あなたにとって俺は、好きとか嫌いとか言う関係性上にあるんですね」

「…どういう意味?」

p「あなたに必要なのは理解者でしょう?期待をして評価する人間ではない」

「…評価されることは嫌いじゃないよ」

p「現状を把握し、叱咤激励を繰り返し、あなたの望む苦しい道を提供する者こそが、あなたの求める人間だ。違いますか?」

「…違わ、ないけど」

p「それならむしろ好きでいられても、邪魔じゃないですか?」

「そんなこと、ないよ?」

p「そうですか?しかし、それこそが、あなたが振り払った人たちだ」

「…」

「…わたしの能力が、好きな人たちでしょ?」

p「ええ。ですから、そう言っています」

「そうでしょ?」

p「あなたは本質的に、自分が作り上げたものに興味がない。それをどれだけ愛する人がいたとしてもね」

「…」

「…それ、は、悪い、こと?」

p「あなたが気にすることでは、ありませんよ」

「…プロデューサー」

p「なんですか?」

「わたしのこと嫌い?」

13 : 以下、名... - 2024/08/14 11:13:21.96 6avaHyFb0 13/20

「…」

「…あれ?」

「…」

「…プロデューサー、いない?」

「夢…?」

「夢だった」

「…」

「はーっ」

「…それは、そう。プロデューサー、怖かったし」

「すごい汗…」

「…」

「…夢?」

14 : 以下、名... - 2024/08/14 11:13:54.61 6avaHyFb0 14/20

p「もしもし」

「おはよう…プロデューサー…」

p「…何かありました?」

「事故とかじゃないから、安心して」

p「…はあ。驚かさないでください。いいですか?段差に気をつけて歩いてくださいね?」

「わたし、おばあちゃん?」

p「今日のレッスンのことで懸念事項でも?」

15 : 以下、名... - 2024/08/14 11:14:23.15 6avaHyFb0 15/20

「プロデューサー…」

p「…」

「プロデューサーは…」

p「…はい」

「…わたしのこと、好き?」

p「はあ?」

「こわい」

p「す、すみません…いえ、ですが、何を言ってるんですか?」

「…」

p「…寝ぼけてます?」

16 : 以下、名... - 2024/08/14 11:15:25.10 6avaHyFb0 16/20

「わたしのことが嫌いな人はね、たくさんいるよ」

p「…?」

「お世話になった人とか、元同僚とか、ここにくることで縁を切った人たち」

p「…」

「どうして怒ってるのか、よくわからなかったけど」

p「…」

「わたしに問題があったのかもって、今になっては思う」

p「そうでしょうか」

「わたしは、本当に、アイドルに向いてない」

p「…それはまあ、あなたほど向いてない人もいないでしょうが…だからこそ選んだのでは?」

「そうじゃない」

p「なにが」

「…どんどん怖くなる」

p「何がですか?」

「…だから、ね」

「…」

「わたしの中で満足して、ある日ふっと、みんなと、あなたの前から消えてしまう」

「そういうこと」

17 : 以下、名... - 2024/08/14 11:16:29.30 6avaHyFb0 17/20

p「それでもいいですよ」

「…今、それでもいいって言った?」

p「はい」

「いいわけなくない?」

「だって」

「ファンの人たち、がっかりするよ?」

「プロデューサーのことも、裏切ってる」

「許せないよね?」

「ずっと自分の夢よりも、わたしを、優先していたのに、勝手に飽きられて」

「あの」

「全部、無駄になった気分に、なるんじゃない?」

p「…」

p「ファンが惹かれたのは、あなたが道を歩んできたからだ。あなたが歩く姿をずっと見てきた」

p「結果だけが全てじゃない。俺は…」

p「…」

p「…だから、あなたが、いいんですよ」

「………」

p「まあしかし…現実問題としては、ファンの間で騒ぎになるでしょうね。そういった面をサポートするのもプロデューサーの仕事です」

「…」

p「くれぐれも消える前に声をかけてくださいね」

「…」

p「わかってますか?」

18 : 以下、名... - 2024/08/14 11:17:47.03 6avaHyFb0 18/20

「…プロデューサーは、本当に、優しいね」

p「そうですか?」

「…」

「わたしみたいな脆弱な命にまで」

p「命は平等ですから」

「ひどい」

p「他に吐き出したいことは?聞きますよ」

「ううん。もう大丈夫」

p「そうですか」

「プロデューサー」

p「なんですか?」

「大好きだよ」

p「俺も嫌いじゃありませんよ。それでは」

19 : 以下、名... - 2024/08/14 11:18:30.06 6avaHyFb0 19/20

「ふふ…照れ屋さん」

「…ふ」

「…」

「…」

「…わたし、は」

「好きでいられるかな?」

「好きでいたいな」

「あなたと一緒に、ずっと」

「…」

「大好きだよ、本当に」

20 : 以下、名... - 2024/08/14 11:22:07.92 6avaHyFb0 20/20

終わり
光景のライブがクッソ好き

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