1 : VIPに... - 2013/05/15 18:22:58.50 AKORdv7Wo 1/17

「えい」フリフリ

「? なにかけてんだ」

「柚子胡椒」
「えへへ、アタシと同じ名前だなーって♪」

「…楓さんに今度教えてあげるといいぞ」

「? 分かった」

元スレ
喜多見柚「イチバンボシ」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1368609778/

2 : VIPに... - 2013/05/15 18:24:46.89 AKORdv7Wo 2/17

「いただきまーっす」

「おあがり」

ズルズル…

「んーおいしい。あったまるねぇ」

「…たしかに、にゅうめんに柚子胡椒は合うよなー…あ、俺もにゅうめん食べたくなって来た」

「でもPサンお茶漬け頼んじゃったじゃん」

「うん。だからちょっと頂戴」

「えー」ブー
「ってのは、冗談、冗談。器貸してー」

「サンキュ」

「いえいえー♪」

3 : VIPに... - 2013/05/15 18:27:16.17 AKORdv7Wo 3/17

店員「おまたせしましたー」

「お、来た来た」ズルズル…
「うん。やっぱさっぱりして締めにいいな」

「そうだねっ」

「お前は飲んでないだろ」

「雰囲気雰囲気」ズルズル

4 : VIPに... - 2013/05/15 18:29:03.08 AKORdv7Wo 4/17

「なんだか豪華だねー」

「具がいっぱいだな。家だと面倒で、こんなに用意する気にならんし」

「それはお茶?」

「…たぶん、昆布茶じゃないか。飲む分にはあれだけど、お茶漬けにするのにはさっぱりしていいぞ」

「詳しいね。さすが飲んだくれP♪」ズルズル

「人聞きの悪い…あの人たち、俺が見てないとそれこそ飲んだくれちまうからなぁ…」ハア

5 : VIPに... - 2013/05/15 18:31:38.63 AKORdv7Wo 5/17

「今日はだれと来てたの?」

「和久井さん、川島さん、三船さん…と、ルキトレさんだな」

「? ルキトレさんって、お酒飲めないよね?」

「ああ。だからかわいそうに、川島さんに絡まれてたな」

「あちゃー」

「…よしっと。頂きます」

「ご飯の最中にもう一度頂きますをするのもおかしいね」ケラケラ

「…たしかに」ズズ…

6 : VIPに... - 2013/05/15 18:33:35.28 AKORdv7Wo 6/17

「ねーPサン、アタシもお茶漬け食べたいなー」

「そうか? じゃあ取り分けて…」

「そのまま器ごとちょーだい?♪」

「…別にいいけど。はい」

「ありがとー♪」ヒョイ

(…せっかく反対側を向けて渡したのに、俺が口をつけた方からすするんだな…)

「ン、おいしいかも…ほんとだね。さっぱりしてる」モグモグ

「だろ?」

「まー出してくれたのはお店の人だけどねー」ケラケラ

「仰る通りです」

7 : VIPに... - 2013/05/15 18:35:33.87 AKORdv7Wo 7/17

「ありがとー。おいしかった」ヒョイ

「おう」
「…それで?」パク

「ン?」

「…どうして雨の中、あんなところに突っ立ってたんだ?」

「…それは…」

「和久井さんたちをタクシーに乗せるようと思って表に出なけりゃ、気づかなかったかもしれない」
「…なにか、あったのか?」

「……」ズルズル…
「別に、なにかあったってことも、ないけどね」

「…そうか?」

「うん」

8 : VIPに... - 2013/05/15 18:37:59.46 AKORdv7Wo 8/17

「雨が降るとさ、寒いよね」

「夜だしな」

「うん。…それでね? 傘を差して、ぽてぽてーって、一人で歩いてると、なんだか急に凍えて来て」
「ぶるぶるってなって、フードをしてみたんだけど治んなくて」

「…」

「……それで、気がついたらしゃがみ込んでて。足が動かなくなっちゃったんだー」

「…柚」

「ねえ、Pサン? …アタシ…は、」

「柚」

「……なに?」

「そろそろ出ようか。もう食べ終わっただろ?」

「…ン、そうだね。そうしよっか」

9 : VIPに... - 2013/05/15 18:40:08.96 AKORdv7Wo 9/17

「ご馳走さまー。あったまったー」ポカポカ

「それはなにより」

「ひょっとして、Pサンはこのあとアタシのことを家まで送ってくれたり?」

「自分で言うのか、それ」
「残念でした。俺も飲んだからな。そうするとしても、代行運転を呼ぶしかない」

「そっかー」

10 : VIPに... - 2013/05/15 18:43:15.15 AKORdv7Wo 10/17

「うん。だからまあ、とりあえず事務所まで一緒に歩くか?」
「それからタクシーを呼んでもいいだろ」

「うん」


テクテク


「ちょっとだけ…雲が切れて来たね」

「上を見ながら歩くと転ぶぞ」

「ほら。涙がこぼれないようにね?」テヘ

「…そうか」

11 : VIPに... - 2013/05/15 18:45:31.65 AKORdv7Wo 11/17

「えいっ」ヒョイ

「…落っこちないようにな」

「うん」テクテク

「…器用なやつ。猫みたいだな」

「そう? けっこうPサンには懐いてるつもりなんだけどにゃ~」

「はいはい」

「あ、オンナノコの台詞をそんな風に聞き流しちゃだめなんだよー。アタシ以外の子にそんなことしちゃだめだよー」メッ

「…了解」

12 : VIPに... - 2013/05/15 18:47:43.95 AKORdv7Wo 12/17

「ねえPサン」

「ん?」

「ほら、上見て。星がきれいだよ」

「…」



何の気なしに上を見上げると――塀の上から俺を見下ろす柚の顔が、目と鼻の先だった。

いたずらっぽく舌を出す彼女と不意打ちで目が合った。



「てへ」

「てへじゃねえよ」

13 : VIPに... - 2013/05/15 18:49:57.16 AKORdv7Wo 13/17

「…そうだな」スッ

「ン?」

「たしかに、一個だけずいぶんキラキラしてる星があるな。おかげでその星しか目に入らなかったけど」

「……」
「…うわ、臭い台詞…」

「うわってなんだよ」

14 : VIPに... - 2013/05/15 18:51:40.14 AKORdv7Wo 14/17

「なあ。いま俺は、柚に言われなければ星に気がつかなかったんだ」

「? うん」

「そんなもんだよ。どんなに輝いていたって、遠いとけっこう気づかないもんだ」
「もっと近づいて、声をかけて、上を見上げてもらう努力をすればいい。なにも持って生まれたもんが全部じゃないしな」

「…それ、微妙にフォローになってないんじゃないカナ…」

「え、そう?」

「…うん…まあ、いいけどさ」

15 : VIPに... - 2013/05/15 18:53:20.34 AKORdv7Wo 15/17

「はー。Pサンってば…もう」
「なんか、なに悩んでたのか、分かんなくなっちゃったよ…てへ」

「それでいいんじゃないか?」

「そう?」

「うん。悩んだって仕方ないさ。反省することは必要かもしれないけれど、…上手く行かないなって思い煩うのはよくないよ」

「…うん。そうだね。そーかも」

16 : VIPに... - 2013/05/15 18:55:55.37 AKORdv7Wo 16/17

「アタシ、もうちょっとだけ――頑張ってみる」

「そっか」

「だからま、ぼちぼち応援しててね」

「ぼちぼち、な。了解」

「ありがと。よろしくー」ニヘラ

17 : VIPに... - 2013/05/15 18:57:23.38 AKORdv7Wo 17/17

終わりです。
ウッヒョーってノリで書いたら短かった…またちゃんとした柚ちゃんSSそのうち書きたいです…。

では、お読み頂いた方には感謝です。柚ちゃん可愛い!

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