1 : VIPに... - 2014/05/13 04:10:08.27 UcnHAPnm0 1/37

貴音「なにもそこまで驚かなくとも」

「だって寝てたと思ってたから」

貴音「目覚めてしまったのです」

「ごめん」

貴音「早く布団に戻りましょう、怖いわけではありません」

「すぐ戻るから先にいってて」

貴音「怖いわけではないのです」






貴音「えぇ、怖いわけでは」

「怖いんじゃん」

2 : VIPに... - 2014/05/13 04:14:17.08 UcnHAPnm0 2/37

貴音「ところで響はなにを」

「うん」

貴音「まさかわたくしに隠れて夜食を」

「そうそう」

貴音「なんと」






貴音「これは目覚めて正解でしたよ」

「」

3 : VIPに... - 2014/05/13 04:15:14.62 UcnHAPnm0 3/37

貴音「お水を飲むなんて珍しいですね」

「最近はまってるんだ」

貴音「それは初耳」

「うん」






貴音「ではわたくしにも一杯」

「えっ」

4 : VIPに... - 2014/05/13 04:16:07.74 UcnHAPnm0 4/37

貴音「くださいな」

「おいしくないぞ」

貴音「なんと」



貴音「おいしくないのに飲むのですか」

「健康だから」

貴音「健康のために」

「そうそう」

5 : VIPに... - 2014/05/13 04:16:49.35 UcnHAPnm0 5/37

貴音「構いません、いただけますか」

「えっ」



貴音「独り占めとはいけずですよ」

「高いから」

貴音「なんと」

「やっぱり自分飲むのやめようかななんか寒いし」

貴音「えっ」

6 : VIPに... - 2014/05/13 04:17:30.88 UcnHAPnm0 6/37

「はい」ジャア

貴音「高級なのでは」

「ほら戻ろうよ」

貴音「もったいないではありませんか」

「まだまだたくさんあるから」

貴音「それなのにわたくしはいただけないのですか」

「いや」






貴音「では見るだけでも」

「眠いから布団いこうってば」

7 : VIPに... - 2014/05/13 04:18:33.58 UcnHAPnm0 7/37

貴音「気になってわたくしは眠れません」

「身体冷えちゃうから」

貴音「そうですか」

「ほら早く」






貴音「ではこうすれば」ギュッ

「」

8 : VIPに... - 2014/05/13 04:19:24.17 UcnHAPnm0 8/37

貴音「こんなに震えて」

「実は水道水だったんだ」

貴音「なんと」



貴音「どうして嘘を」

「ごめんだから布団いこ」

貴音「もう少しいいではありませんか」

「自分もう眠たいから」

9 : VIPに... - 2014/05/13 04:20:11.90 UcnHAPnm0 9/37

貴音「寂しいのでしょう」

「今は布団が好き」

貴音「でもわたくしも寂しかったのですよ」

「わかりました」

貴音「響の家族達が皆居なくなってしまったことだって」

「調子悪くしちゃったから病院」

貴音「皆ですか」

「うん」

貴音「わたくしに一言あってもよかったではありませんか」

「次はそうするから戻ろ」

10 : VIPに... - 2014/05/13 04:21:04.83 UcnHAPnm0 10/37

貴音「わたくしとお布団どちらが大切」

「お布団」

貴音「えっ」






「貴音」

貴音「そうです冗談はいけずです」ギュウ

「」

11 : VIPに... - 2014/05/13 04:21:51.51 UcnHAPnm0 11/37

貴音「そんなに寒いのですか」

「戻りたいの」

貴音「ではわたくしがさすってあげましょう」スリスリ

「やめて」

貴音「こうすれば次第に暖かく」

「苦しい」

貴音「はて」






貴音「ぽけっとになにかありますね」

「」

12 : VIPに... - 2014/05/13 04:22:26.16 UcnHAPnm0 12/37

貴音「夜食ですかそれはいけません」モゾモゾ

「離して」ジタバタ

貴音「離しません」

「変態触るな」

貴音「響」






貴音「何ですか、これ」

「っ」

13 : VIPに... - 2014/05/13 04:23:00.84 UcnHAPnm0 13/37

貴音「響」

「おくすり」

貴音「そのようですね」

「返して」

貴音「何の薬ですか」

「普通の」






貴音「内科」

「そう」

14 : VIPに... - 2014/05/13 04:23:37.11 UcnHAPnm0 14/37

「もう寝ようってば」

貴音「処方箋は何処に」

「えっ」

貴音「貰ったはずですが」

「捨てちゃった」

貴音「何故」

「違う間違って捨てちゃった」

貴音「そうですか」






貴音「ではこちらはわたくしが預かります」

「やめろォ!!」

15 : VIPに... - 2014/05/13 04:25:29.54 UcnHAPnm0 15/37

貴音「今日の響は嘘ばかりですね」

「返して!!」

貴音「響」






貴音「気がつかないとでも思っているのですか」

「っ!?」

16 : VIPに... - 2014/05/13 04:26:09.06 UcnHAPnm0 16/37

貴音「他には」

「し、知らない」

貴音「響」

「知らないってば!!」






パァン

「あがっ」

貴音「早くしなさい」

17 : VIPに... - 2014/05/13 04:27:00.67 UcnHAPnm0 17/37

「の中」

貴音「聞こえません」

「冷蔵庫の中」

貴音「自分で出しなさい」






「こ、これ」

貴音「はい」

18 : VIPに... - 2014/05/13 04:27:59.56 UcnHAPnm0 18/37

貴音「これで全てですか」

「うん」

貴音「そうですか」

「ごめんなさい」

貴音「えぇ」ガサゴソ

「た、貴音? 台所には無」






貴音「どうしてわたくしは刃物など」

「えっ」

19 : VIPに... - 2014/05/13 04:28:36.81 UcnHAPnm0 19/37

貴音「手にしなければならなかったのでしょうね」

「貴音」

貴音「悪いのは響です」

「た、助けて」

貴音「寒くなんてないのでしょう」

「電話……!!」






バキッ

貴音「響のせいでわたくしも犯罪者に」

「うあっ」

20 : VIPに... - 2014/05/13 04:29:12.29 UcnHAPnm0 20/37

貴音「人の身体は思う以上に柔らかいと聞きます」

「助けてぇ!! だれかぁ!!」

貴音「それは楽しみでもあり、また不安でもあり」グッ

「やだやだやだやだ!! お願いだからぁ!!」






貴音「他には」グイッ

「ああああ!!」

21 : VIPに... - 2014/05/13 04:29:48.41 UcnHAPnm0 21/37

貴音「早く!!」

「トイレの棚……!!」

貴音「……はい」

「お願い助けて」

貴音「わかりました」






貴音「あちらの世界で逢いましょう」グッ

「だれか!! だれかぁ!!」

22 : VIPに... - 2014/05/13 04:30:20.57 UcnHAPnm0 22/37

貴音「さようなら、響」

「……裏!!」






「テーブルの裏、です……!!」

貴音「はい」

23 : VIPに... - 2014/05/13 04:30:50.62 UcnHAPnm0 23/37

貴音「手を染めずに済みました」

「あっ……、うあっ……」ヘタッ

貴音「本当ですね、ありました」ベリッ

「はあっ、うっく」

貴音「後でトイレにも取りに行きますからね」






「うわあん、あうあうあう!!」ポロポロ

貴音「はい」

24 : VIPに... - 2014/05/13 04:31:18.95 UcnHAPnm0 24/37

「うわあん、あうあうあう!!」

貴音「あっ」



「うわあん、あうあうあう!!」

貴音「……雑巾は何処にありましたでしょうか」



「うわあん、あうあうあう!!」

貴音「すぐにシャワーに、いやその前に拭かなくてはいけませんか」

25 : VIPに... - 2014/05/13 04:31:50.06 UcnHAPnm0 25/37

「……はーっ、はーっ」

貴音「響?」



「はっ、ひうっ、ひっ」

貴音「響、落ち着きなさい」

「ひっ、ひいっ、ひぐっ」ポロポロ

貴音「……今度は紙袋ですか」






「ふーっ、ふーっ、ふーっ」

貴音「ビニール袋ですが何とかなるでしょう」

「ふーっ、ふーっ」

貴音「何よりも落ち着くことが大事です」

26 : VIPに... - 2014/05/13 04:32:16.01 UcnHAPnm0 26/37

貴音「ほら、足を上げなさい」

貴音「濡れたままでは気持ち悪いでしょうに」

貴音「右足もです」






貴音「転ばないように気を付けて」

27 : VIPに... - 2014/05/13 04:33:10.28 UcnHAPnm0 27/37

キュッ

貴音「自分で洗えますか」



貴音「響」



貴音「頭を下げてください、頭を流します」






「はっ、はうっ、ふうっ」

貴音「深呼吸を、響」

28 : VIPに... - 2014/05/13 04:34:19.01 UcnHAPnm0 28/37

「くふっ、はあっ、んっ」

貴音「落ち着いて深呼吸を」



「うぐ」ヒクン






「えくっ、かはっ、うえええ」ビチャビチャ

貴音「……全て出してしまいなさい」

29 : VIPに... - 2014/05/13 04:35:05.85 UcnHAPnm0 29/37

「おえっ、げほっ」

貴音「大丈夫ですから」



「ごめんなさい」

貴音「……響」

「ごめんなさい」

貴音「えぇ」

30 : VIPに... - 2014/05/13 04:35:42.44 UcnHAPnm0 30/37

貴音「何故、響は謝り続けているのでしょうか」



貴音「何故、響が謝り続けているのでしょうか」



貴音「何故、響に謝り続けているのでしょうか」






貴音「何故」

31 : VIPに... - 2014/05/13 04:36:14.24 UcnHAPnm0 31/37

貴音「なにゆえ」

「だって、すごい久々だから」

貴音「大丈夫ですよ、一年前と変わりありません」

「み、みんなも?」

貴音「仕事の量も」






「……ダメじゃん」

貴音「頑張ってはいるのですよ?」

32 : VIPに... - 2014/05/13 04:36:49.34 UcnHAPnm0 32/37

「止まんない」

貴音「……違う震えではないでしょうね」

「ち、違うぞ!!」

貴音「本当に?」

「この前はたまたま出ちゃっただけ!!」

貴音「そうですか」






「これからは、違うから」

貴音「はい」

33 : VIPに... - 2014/05/13 04:38:02.64 UcnHAPnm0 33/37

貴音「今日、夢を見ました」

「うん」

貴音「あの時のです」

「恥ずかしいな」






「ごめん」

貴音「まったく、夢の中でも迷惑をかけるとは」

34 : VIPに... - 2014/05/13 04:38:31.69 UcnHAPnm0 34/37

「貴音」

貴音「申し訳ありません」

「なんで」

貴音「わたくしも分からなかったのです」

「謝らないでよ」






貴音「ごめんなさい」

「こっちこそ、ごめんなさい」

35 : VIPに... - 2014/05/13 04:39:34.06 UcnHAPnm0 35/37

「誰がいるかな」

貴音「全員です」

「えっ」






貴音「わたくしが知らせましたから」

「そっか」

貴音「はい」

36 : VIPに... - 2014/05/13 04:40:03.93 UcnHAPnm0 36/37

「でもみんな集まっちゃうなんてホントにお仕事無いんだね」

貴音「言うものではありませんよ」

「んふふ」



貴音「本当に違う震え、ですよね?」

「この階段見たら、もっと緊張してきた……」






貴音「響」

貴音「先程のは嘘です」

貴音「皆、今では有名アイドルですよ」

37 : VIPに... - 2014/05/13 04:41:55.12 UcnHAPnm0 37/37

ガチャ

「……おはようございます」

「うわっ」

「ホ、ホントにみんないるんだね」



「あの、えっと」



「ただいま」






「ちょ、ちょっと!! 抱きつくな!!」






「うぎゃあ」


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