少女(こんにちは!私少女。魔法少女やってます)
少女(今日はお仕事で、大昔にとある吸血鬼が封印されたという洞窟の調査に来ています)
少女(かつては光の一族である魔法少女と死闘を繰り広げた闇の一族――魔族は、今では見る影もありません)
少女(なので、この調査も大した任務ではないのですが…まぁ、念には念をということで)
少女(駆け出し魔法少女である私が駆り出されたということです)
元スレ
金髪幼女「私こそ、死と闇を操る魔族が始祖、ドラキュラである」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1488369930/
少女「…しかし、何もないところですね」
少女(仕掛けもなく、分かれ道もなく、ただただ一本道が続く。もちろん、モンスターなんて現れない)
少女(わかっていたことだけど、やっぱりつまらないですね…)
少女(吸血鬼対策のためにしてきた鋼鉄の首巻きも無駄になりそうです)
少女(でもま、仕方のないことです。平和なのに越したことはありませんしね)
少女(さて、そろそろ最奥でしょうか…)
少女「結構この扉も錆び付いてますね」
少女(この扉の奥が、魔族が封印されている祠だと聞きますが…)
少女(魔族の侵入が出来ないように貼っている結界も、だいぶ弱体化しているようです)
少女(一応貼り直しをお願いしておいた方がいいですかね)
少女「…では、お邪魔しますか」
ギギギギギ…
「…クックック、よくぞ来たな魔法少女よ」
少女「…!」
「ついにこの日が来た。この常闇の封印から、私が完全に解放される日が…」
少女「…あなたは誰なんですか。この声は、一体どこから…」
「ククク…もう少し目線を下げてみろ」
少女「…?」
金髪幼女「ようこそ我が封印の間へ。私こそ、死と闇を操る魔族が始祖、ドラキュラである」
少女「………」
幼女「ククク…怯えて声も出せんか。まぁ、無理もない」
幼女「数百年ぶりの闇の始祖の復活…貴様らにとって、これほどの絶望はないだろう」
幼女「だが安心しろ、命までは奪わない。貴様には私のk」
少女「あー、もういいかな?」
幼女「…んっ?」
少女「全く…ダメだよー?あなたみたいな小さい子が、こんな所で遊んでちゃ」
幼女「お、おい、何を…」
少女「お名前、言える?送ってあげるから、一緒におうちに帰ろ?」
幼女「ちょっと待て貴様!!」
少女「ほーら、大丈夫。怖くないよー」ヒョイ
幼女「ひっ!?か、軽々と持ち上げるなぁ!」ジタバタ
少女「こらこら、暴れないの」
幼女「クッソ、なんだこいつ、ビクともしない…!?」
少女「わんぱくなのはいいことだと思うけど、程々にね?この洞窟、色々危険な噂が飛び交う危ない洞窟だから」
幼女「だから私は遊んでいるわけでは…!」
少女「分かってるよ。死と闇の始祖(笑)ドラキュラちゃんなんだよね?」
幼女「こ、こいつ……!」
幼女「あまり私を舐めるなっ!」クワッ
幼女(首筋に噛み付いて眷属にしてやるっ!)
ガィィイン
幼女「ぎゃあああああ牙があああ!!!」
少女「!?」
※降ろしてもらった
幼女「あ、頭が、がんがんする…」グルグル
少女「だ、大丈夫?」
幼女「だ、大丈夫なわけあるかっ!」クワッ
少女「!?…あなた、それ」グイッ
幼女「ふえっ!?」
少女「やっぱり…その牙、あなた魔族なんですか?」ムニムニ
幼女「にゃ、にゃいをふふ!はなへ!(な、何をする!離せ!)」
少女「そういえば、さっき首筋に噛み付いて来ました…もしかして、本当に吸血鬼…?」ムニムニ
幼女「はっひははほーひっへふはほ!(さっきからそー言ってるだろ!)」
少女「…なんてこと」ムニムニ
幼女「はやふはなへ~!(早く離せ~!)」
少女「そうだっ、封印の像は…」バッ
幼女「うにゃっ!」ドスン
少女「って、あーっ!封印が解かれてる!」
幼女「…い、いつか殺してやる…」頬スリスリ
少女「あなた、この封印…どうやって解いたんですか?」
幼女「ん?ああ…ふん、そんな陳腐な封印、少し暴れたら解けてしまったわ」
幼女「ククク…長年の封印で弱体化し、今ではこんな姿になってしまったが、本来の私はこんなものでは…」
少女「ダメじゃないですか!勝手に光の一族の封印を解いたりしちゃ」
幼女「えっ」
少女「この封印を解いてしまうことで、たくさんの人に迷惑がかかるんですよ」
幼女「えっと、あの」
少女「もう二度とこんなことはしないと約束してください。大魔族を自称するなら、魔族としてのモラルくらいは身につけてください」
幼女「…え、ご、ごめんなさい」
幼女「ってなんで私が謝らねばならんのだ!」
幼女「というか魔族としてのモラルってなんだ!」
少女「…封印が解かれたのはかなり最近のようですね」
幼女「勝手に話を進めるな!」
少女「あ、そういえばドラキュラさんって数百年前に封印されたんですよね?」
少女「どうして私の言葉がわかるんですか?吸血鬼には、まだ隠されたチカラが…?」
幼女「え?あぁ、それはだな…聞いて驚け」
幼女「私は封印をされていようとも、私の血を引く者とならば会話をすることが出来るのだ!」
少女「…ほう」
幼女「この封印が解けたのもそのチカラのおかげだな。ククク…市の図書館に魔術書を置いておくなど、なかなか舐められたものではないか…」
少女「ほうほう」
幼女「だから貴様らの操る言語を解することも出来るし、貴様らの社会の一般常識もきちんと身についている。どうだ!恐れ入ったか!」
少女「なるほど。闇の一族にそんなチカラが…これは対策を講じねば…」
幼女「あっ、待てっ!今言ったこと全部忘れろ!!」
幼女「…ふ、フンッ!まぁいい。貴様らが今さら私の真のチカラを知ったところで、私の持っている貴様らの情報量には遠く及ばん」
少女「……私たちの情報?」
幼女「ククク…我が子孫から伝え聞いているぞ、数百年前からの魔法少女と、光の一族についてはな…」
少女「例えば?」
幼女「ふっ、例えば二百年前、魔族が一丸となって光の巫女に奇襲を仕掛けるも、謎の魔法攻撃で返り討ちに遭った話…」
幼女「数十年前、とある大国の首相を洗脳して操ろうとするも、光の一族に事前に察知され秘密裏に処理された話…」
幼女「十五年前、各地に散らばる魔族を集めてクーデターを起こそうとするも、くっ、クーデターを起こす前に、広範囲爆撃であっさりと全滅した話…」グスッ
幼女「ろっ、ろぐねん、ろぐねんまえっ」エグッ
少女「わ、わかったわかったから泣かないでください!」
幼女「な、ないでないっ!」ヒック グスッ エグッ
幼女「……ぐすっ、そういうわけで私は貴様らのことは知り尽くしているのだ!」
幼女「私が本来の姿を取り戻せば、貴様ら全員けちょんけちょんにしてやる!」
少女「しかし、封印が解けたのならなぜ外に出ないのですか?どうやら、私がここに来るのを待っていたようですが…」
幼女「…う、それは、あれだ」
幼女「そこの扉…どう頑張っても開けられなくて…」
少女「………」
少女「結構あの扉に貼ってある結界も弱体化していたんですけどね…」
幼女「う、うるさいわ!こんな姿になってしまってから、体が思うように動かんのだ…!」
少女「まぁそういうことならいいですよ。あなたをここにずっと放置するわけにもいきませんし」
幼女「……えっ?」
少女「ここから出してあげます」
幼女「ほ……ほんとうか?」
少女「嘘なんてつきませんよ」
幼女「こ、こんなにあっさり……?」
幼女「…ククク、だがいいのか?私が現実世界へ出てしまえば、この世は混沌へと包まれるぞ」
少女「うーん、確かにそれは困りますね」
幼女「あっごめん嘘。何もしないから出してくださいお願いします」
少女「はいはい。でも一応念のため…」
ペタリ
幼女「………なんだこのシールは」
少女「下級魔族を人に堕とす封印です」
幼女「人に…?」
少女「詳しいことはよく分かりませんが、魔力の流れを抑えて、魔族の特性や諸々を殺してしまうモノだそうです」
幼女(そんなものをスーパーの半額シール感覚で…?)
幼女「というか下級魔族と言ったか貴様」
少女「まぁ細かいことはいいじゃないですか」
幼女「細かいことではない!」
少女「どうどう。落ち着いて落ち着いて」
幼女「これが落ち着いてられるか!『人間』などという下等な生き物に堕とされ、私の誇りはどうなる!?」
少女「色々思うところはあるでしょうが、まずは」
少女「数百年ぶりの外の世界を是非堪能してください」
幼女「う…………」
幼女(まぁ、そうだな…)
幼女(一大決戦に敗れ、このような洞窟に封印され、はや数百年…)
幼女(とりあえず、外に出れるこの喜びを噛み締めるとするか…)
少女「じゃ、行きましょうか、ドラちゃん♪」
幼女「なんだその呼び名は!」
幼女(だけどこいつだけは絶対殺す!)
頑張れ幼女!
一度定着した渾名はなかなか変えられないぞ!
18 : 以下、\... - 2017/03/01 21:26:32.347 rGeLqkQu0 16/16以上だ!
じゃあな!