1 : VIPに... - 2013/12/07 07:29:03.52 /G+kbwvm0 1/33

「小鳥さん。俺、あいつらに復讐します!」

小鳥「何ですか、いきなり」

「あいつら、俺が買ってきた甘栗を全部食べちゃったんですよ!」

「ひどいと思いませんか!?」

小鳥「まあ、そうですね」

「だから復讐です!」

「俺、鬼になります!」

「あいつらが嫌がることをリサーチして……」

「容赦なく、それを実行します!」

2 : VIPに... - 2013/12/07 07:31:57.06 /G+kbwvm0 2/33

小鳥「と、いうことがあったのよ」

小鳥「人畜無害なプロデューサーさんだから、滅多なことはしないと思うけど、」

小鳥「みんな、一応、気をつけておいてね」

アイドルたち「はーい」

アイドルたち「……」

アイドルたち(あれ? もしかして、これはチャンスじゃね?)

3 : VIPに... - 2013/12/07 07:34:13.07 /G+kbwvm0 3/33

「最初のターゲットは亜美真美だ」

「あいつら、猿みたいに甘栗を食べ散らかしやがって……!」

「絶対に許せん!」

「と、いうわけで、早速、奴らの弱点を調査してみよう」

「なあ、亜美真美。お前らが嫌なことって何だ?」

亜美「えー? 嫌なことー?」

真美「うーん、そうだねー」

5 : VIPに... - 2013/12/07 07:38:16.53 /G+kbwvm0 4/33

亜美「亜美は、駄菓子詰め合わせを見るのが嫌かなー」

亜美「剣山みたいになってるチュッパチャップスがあるじゃん?」

亜美「あれを見ると、うえっ、ってなっちゃって」

「なるほど……真美は?」

真美「真美はねー、プリクラが嫌いかな?」

真美「特に、スーツ着た人とは絶対に撮りたくないなー」

真美「もう、絶対に嫌だね、うんうん」

「そうか……分かった、気をつけるよ」

亜美「うん」ニヤニヤ

真美「そうしてね」ニヤニヤ

6 : VIPに... - 2013/12/07 07:40:43.55 /G+kbwvm0 5/33

「くくく、バカな双子め」

「しょせんはお子様ということか」

「手の内をさらけ出すことの怖さを知らないと見える」

「さて、こうしてはいられない」

「亜美に駄菓子詰め合わせを買ってやり、」

「真美とプリクラを撮りまくるぞー!」フハハー

7 : VIPに... - 2013/12/07 07:44:25.20 /G+kbwvm0 6/33

~後日~

亜美「うあうあー。こんなに駄菓子を用意するなんてー(棒)」

真美「嫌って言ったのにプリクラ撮ってー(棒)」

双子「「ちくしょー、覚えてろよー(棒)」」スキップ

「……ふっ」

「思い知ったか、俺の怒り」

「俺だってやる時はやるんだぞ」キリッ

8 : VIPに... - 2013/12/07 07:51:32.57 /G+kbwvm0 7/33

「さて、次は春香の番だな」

「俺の甘栗に手を出しやがって……」

「絶対に、後悔させてやる」

「よし……こほん。なあ、春香。お前が嫌なことって何だ?」

春香「えっ、私ですか?」←嬉しそう

春香「そうですね……しいて言えば、ディズニーランドに行くことですかね」

春香「それも、頭にPのつく名前の人とは、絶対に行きたくありませんね!」

「そうか。分かった、気をつけるよ」

9 : VIPに... - 2013/12/07 07:54:37.19 /G+kbwvm0 8/33

「バカめ。かかりおったわ」

「しょせんは小娘ということか……他愛もない」

春香「プロデューサーさん! ぷーさんと写真を撮りましょう! ぷーさんと!」

春香「あれ、私、絶対にやりたくなかったんです!」

「おお、そうか」

「それはやらなくちゃ……いけないよなあ」ニタリ

春香「はい!」ニパー

10 : VIPに... - 2013/12/07 08:01:07.14 /G+kbwvm0 9/33

「うおお……! これがホーンテッドマンションか」

「こ、怖くない……怖くないぞ」

春香「きゃああっ!」ガバッ

「どどどどうした、春香!?」

春香「鏡の真ん中に! 鏡の真ん中に!」

「うおっ!? 幽霊がー!?」

11 : VIPに... - 2013/12/07 08:09:59.40 /G+kbwvm0 10/33

春香「あー、今日は一日、色んなところを回りましたねー」

春香「とっても楽しかった……っとと、とってもグッタリしました!」

「そうかそうか」

春香「甘栗を勝手に食べちゃってごめんなさい」

春香「これに懲りて、今後は気をつけますね」ペコリ

「うむ、分かればよろしい」

春香「それじゃ、プロデューサーさん。また明日です!」

「おーう、気をつけて帰れよー」

「……よし! 大成功!」

「ふふふ、次もこの調子で行くぞ」

20 : VIPに... - 2013/12/07 09:20:42.05 /G+kbwvm0 11/33

美希「デートがキライなの!」

「は?」

美希「美希ね、デートがキライなの」

「うん、だからどうした……っ!」

(おやおや、これはこれは)

(策を弄せずして、獲物が自分から飛び込んできたわ)

(くくく……このチャンス、逃がさん!)

「そうかー、美希はデートが嫌いなのかー」

「でも、苦手は克服しないとな!」

「今度の日曜、一緒にデートに行こうな」ニタリ

美希「うんっ!」

21 : VIPに... - 2013/12/07 09:24:05.19 /G+kbwvm0 12/33

「昼は映画を観よう」

マイケル『オー、ジュテーム』

ダリア『メルシー』

美希「あまーい恋愛映画なの」

美希「ちょっぴりアダルトで、ドキドキって感じ」

「ほうら、これでも喰らえ」

美希「美希、キャラメルポップコーン大好きなの!」

23 : VIPに... - 2013/12/07 09:27:54.46 /G+kbwvm0 13/33

「自然公園でぶらぶらしてみるか」

美希「ぶらぶらするの」

「芝生にシートをひいて、ゴロゴロしてみたり」

美希「まったりするの」

「手製のおにぎりをふるまってみたり」

美希「とっても美味しいの!」

「とどめとばかりに膝枕だ」

美希「あふぅ。幸せなの……zzz」

「くくく。拒絶反応か? あっさり気絶しやがった」

24 : VIPに... - 2013/12/07 09:30:50.64 /G+kbwvm0 14/33

「だが、俺も業界の鬼と恐れられた男だ」

「このP、けっして容赦はせん」

「さあ、美希よ。味わうがいい」

「お前のために用意した――」

「100万ドルの夜景と、豪華フランス料理のディナーだーっ!!!!」

美希「ゆ、夢のようなの!!」

25 : VIPに... - 2013/12/07 09:33:49.54 /G+kbwvm0 15/33

美希「とってもムーディーなのー……」ウットリ

「ふふふ……朦朧としてきたな」

「だが、これは悪夢じゃない」

「現 実 だ !」

「その証拠に、ほら。お土産も用意しました」

「小粒な宝石をあしらった」

「デート記念の、アクセサリー」ニヤッ

美希「ハニー!」

26 : VIPに... - 2013/12/07 09:38:56.70 /G+kbwvm0 16/33

~後日~

「あれ? 今日、美希はどうしたんですか?」

小鳥「何でも、(幸せすぎて)熱が出たそうです」

「うっ。そ、そうですか」

(やり過ぎたか?)

(い、いや。でも、こんなもんじゃ俺の復讐心は収まらない!)

(俺は鬼だ! 復讐の鬼だ!)

(非情に徹するんだ……!)

27 : VIPに... - 2013/12/07 09:43:20.66 /G+kbwvm0 17/33

「はいさーい!」

(……響)

(俺の甘栗を、ハム蔵みたいに頬をぱんぱんにさせて貪り食った女)

(そうだ、こいつだけは許せない)

(復讐するは我にあり)

(処断する。一切の躊躇なく!)

28 : VIPに... - 2013/12/07 09:45:13.97 /G+kbwvm0 18/33

「なあ、響」

「お前がされて嫌なことって何だ?」

「ど、どうしたんだ? 急に」

「なに、ちょっと気をつけたくてな」

「うっかり地雷を踏むのは、嫌だろう?」

「そうだけど……うー、次は自分かー」

「何か言ったか?」

「な、何でも! 何でもないぞ!」

29 : VIPに... - 2013/12/07 09:47:21.87 /G+kbwvm0 19/33

「さあ、教えてくれ、響」

「お前の嫌なことを」

「さあ。さあさあさあ!」

「うー、あー……そ、その」

「自分、頭をなでなでされるのが、」

「とってもイヤなんだぞ?」

「……そうか」

「でも、響」

「嫌なことは、克服しないとな?」

30 : VIPに... - 2013/12/07 09:49:11.16 /G+kbwvm0 20/33

「なでなで」

「うっ、うう」

「なでなで」

「ううー……」

「なでなでり」

「ふ、ふわっ」

「なーでなで」

「ううううぅ」

31 : VIPに... - 2013/12/07 09:51:43.84 /G+kbwvm0 21/33

「どうだ? 嫌か?」

「あぅ……って、な、なに!?」

「なでなでされるの、嫌かって」

「と、当然だぞ! 嫌で嫌でたまらないさー!」

「そうかそうか。じゃあ、まだ続けないとな」

「克服しないといけないもんな?」

「そうだぞ! じ、自分、完璧だからな!」

「弱点があっちゃいけないんだ!」

32 : VIPに... - 2013/12/07 09:54:28.79 /G+kbwvm0 22/33

「じゃあ、遠慮なく」

「たっぷりと、なでなでしてやろう」

「ああっ、ぷ、プロデューサー!」

「あごの下も」

「うっ」

「耳の裏も」

「ふわっ」

「うなじだって、なでなでしてやるぞ!」

「う、うぎゃー……!」(小声)

「プ、プロデューサーは、やっぱり変態だぞ……」(小声)

33 : VIPに... - 2013/12/07 09:57:12.01 /G+kbwvm0 23/33

~三十分後~

「zzz」

「終わった……」

「もう食べられないさー……zzz」

「響もまた、あまりの責め苦に気絶してしまった」

「えへ、そんな、やめるさ、プロデューサー……zzz」

「……夢の中でまで、苦しんでいるのか?」

「さすがにやり過ぎたか」

「いや、しかし、これは俺が望んだことだ」

「いや、しかし……」

34 : VIPに... - 2013/12/07 09:59:50.13 /G+kbwvm0 24/33

「虚しい」

「復讐は何も生まない。俺の心は満たされない」

「虚しさばかりが広がっていく……」

「――戻ろう」

「昔の俺に戻るんだ」

「みんなと笑い合っていたあの頃へ、戻るんだ」

「甘栗のことは、もう、忘れるんだ」

「そうだ。今こそ、大いなる赦しを抱こう――」

35 : VIPに... - 2013/12/07 10:03:51.50 /G+kbwvm0 25/33

~またまた後日~

春香「ふふふ、見て見て。この写真。プロデューサーさんとぷーさんとの3ショット」

「あー! いいなー! ボクにも早く声がかからないかなー」

美希「真くんは奥手なの! 美希みたいに、自分から声をかければいいの」

美希「そうしたら、幸せなデートが待ってるの……」ウットリ

雪歩「……そ、そうだね! 今こそ、勇気を!」

貴音「ええ。大きな一歩を、踏み出しましょう!」

36 : VIPに... - 2013/12/07 10:06:52.47 /G+kbwvm0 26/33

「おはようございまーす」

伊織「あっ、あいつが来たわ」

あずさ「あらー。タイミングがいいわね」

春香「プロデューサーさん! おはようございます!」

「おはようございまーす!」

「ああ、おはよう」

37 : VIPに... - 2013/12/07 10:08:40.37 /G+kbwvm0 27/33

雪歩「ぷ、プロデューサー!」

貴音「あなたさま。少々お話が……」

「あっ、抜け駆けだっ!」

「ん? 何のことかは知らんが……まあ、待て待て」

「まずは俺の話を聞いてもらおう」

アイドルたち「???」

38 : VIPに... - 2013/12/07 10:12:50.22 /G+kbwvm0 28/33

「みんな、デートしたり、プリクラをとったりするのは嫌いか?」

アイドルたち「っ!!」

雪歩「は、はいっ!」

「もう、だいっきらいです!」

あずさ「できれば、遠慮したいですね」

「撫でられたり、駄菓子をおごられたりするのもか?」

伊織「え、ええっ。止めてほしいわね、そんなの」

やよい「お菓子は自分で買うものかなーって」

39 : VIPに... - 2013/12/07 10:14:07.92 /G+kbwvm0 29/33

「そうか……やはり、そうだったのか」

「なら、俺がすることは一つだな」

アイドルたち(わくわく)

「みんな――」

「すまなかった!!」ドゲザー

アイドルたち「!?」

40 : VIPに... - 2013/12/07 10:16:26.97 /G+kbwvm0 30/33

「甘栗ぐらいで復讐だなんて、考えてみればおかしなことだったんだ」

「俺、もっと広い心を持つよ」

「みんなの嫌がることなんて絶対にしない!」

「デートもプリクラもなでなでも、絶対にしないからな!」

「それだけは覚えておいてくれ!」

アイドルたち「ちょーっ!?」

41 : VIPに... - 2013/12/07 10:20:26.81 /G+kbwvm0 31/33

「そんなのって、そんなのってないですよ、プロデューサー!」

「ああ、いまさらすぎるよな。でも、俺は」

雪歩「そういうことじゃないですぅ!」

「ああ、そうだな。言われたことしか気をつけられないようじゃ、まだまだ」

伊織「違うでしょ!? わ、私はまだ!」

「え? 伊織は甘栗食べてなかったのか!? それはすまなかっ」

貴音「あなたさまはいけずです!」

美希「もうハニーとデートできないなんてあんまりなの!」

春香「しまったー!? 読みを間違えたー!」

「うがー! もうわけがわからないぞー!!」

やよい「うっうー!」

42 : VIPに... - 2013/12/07 10:22:38.28 /G+kbwvm0 32/33

<ギャーギャー!

律子「やっぱりこうなりましたね」

小鳥「まあ、なるべくしてなったということで」

律子「プロデューサー殿の性格を考えれば、予想はできたでしょうに」

小鳥「うふふ」

小鳥「まあ、まだまだみんなもお子ちゃまってことですね!」ドヤァ

~劇終~

44 : VIPに... - 2013/12/07 10:24:49.19 /G+kbwvm0 33/33

~おまけのif~

小鳥「あー、私、結婚したくない! 結婚したくないです!」

「はあ、そうですか」

小鳥「……あれ?」

おしまい

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