ハリー「どう、と言われても……」
ロン「入学当初は天才だって持て囃されてたけど、」
ロン「いざフタを開ければ、基本のキ、物を浮かせる魔法もうまくいってないじゃないか」
ハリー「……」
ロン「炎を出す魔法も、占いも、魔法薬学も、全部ビリッケツじゃないか」
ハリー「……」
ロン「正直、ボクやネビルよりおちこぼれな人間がいるなんて思わなかったよ……」
ハリー「……」
ロン「唯一熱心に練習してるのは、肉体強化と、魔法に対する防御呪文だけ」
ハリー「……」
ロン「何でそんなに偏ってるのさ」
ハリー「うーん……何となく、としか……」
ロン「何となく?」
ハリー「相性っていうのかなぁ……なんか、そういうのしかやる気がしないんだ」
ロン「あっきれた!」
元スレ
ロン「ハリー、肉体強化魔法ばっかり覚えてどうするのさ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1380339643/
ロン「おかげで先生たちに怒られっぱなしじゃないか グリフィンドールの皆で庇うの大変なんだからね!」
ハリー「……ほんとゴメン……」
ロン「うん、まあハリーがイイ奴だから、ボクも皆も率先して庇ってるんだけどね」
ロン「でも、杖まで捨てちゃうのはどうかと思うよ」
ハリー「……」
ロン「杖を使うのがイヤだからって、呪文だけで魔法が使えるように練習までして」
ハリー「……」
ロン「おかげですっごく簡単な魔法だって、使えるようになるまで人の何倍も努力が必要じゃないか」
ロン「まったく理解に苦しむよ!」
ハリー「……なんか、杖って性に合わなくって……」
ロン「しかも、今はその呪文すらイヤがってるんだって?」
ハリー「……」
ロン「あのねぇ、杖もなく、呪文もなく、心で念じただけで魔法が発動できるようになるなんて……」
ロン「すっごく大変なことなんだよ?」
ハリー「うん……」
ロン「で、どうなの? 最近は寝る間も惜しんで練習してるみたいだけど」
ハリー「うん……とりあえず、これだけ」
ハリー「ふッ!!」
ググ…
ロン「……で、どうなったの……」
ハリー「右腕の筋力が倍に……」
ロン「えぇ!? それだけ!?」
ハリー「……これでも苦労したんだけどな」
ロン「あのねぇ、杖を使って浮遊呪文を使えば、もっと簡単に大きな力を出せるんだよ?」
ロン「そっちの方がよっぽど効率的じゃないか!」
ハリー「うーん……でも、なんか違うんだよなぁ……」
ロン「はあ……まったく強情なんだから」
ハリー「うん……」
ロン「ん、ちょっと待って その手の甲の傷は何?」
ハリー「ああ……拳立てだよ」
ロン「ケンタテって何? マグルの世界で自傷行為がブームだって聞いたことはあるけど」
ハリー「それは手首だよ…… これはトレーニングの痕さ」
ロン「トレーニング? 魔法の練習で傷をつくるなんて聞いたことないど」
ハリー「ああ、魔法の練習じゃないんだ」
ハリー「魔法で肉体強化したときに……実際に筋力とか体力とかが無いと、強化した体をうまく操作できないんだ」
ハリー「それに、魔法を使ったあとの筋肉痛やケガも防げるしね」
ロン「え? じゃあ何かい? 君は魔法の練習だけでなく、筋トレもしてるのかい? 徹夜で?」
ハリー「うん……あ、ランニングも」
ロン「あっきれた! それで翌日の授業では居眠りしてるんだから! まったくもう!」
ハリー「……ごめん」
ロン「まあ、ハリーらしいっちゃハリーらしいや」
ロン「ボクもハリーのそういうとこ好きだしね まあいいや そろそろ夕食だし行こうよ」
ハリー「うん」
ロン「今日の献立は何だろうね」
───
ロン「ワオ、このビーフステューは最高だね」
ハリー「……」ムシャムシャ
ロン「ハリー、相変わらず野菜も肉もバランスよく、って感じだね 長生きするよ」
ハリー「ホグワーツの食事はほんとに美味しいよ ダーズリー家は脂っこいものばっかりで……」
ロン「ああ、脂っこいのは僕も嫌いじゃないけど、あんまり続くと苦痛だねぇ」
クラッブ「肉!肉!」 ムシャムシャ
ゴイル「ケーキ!ケーキ!」 ガツガツ
ロン「……うん、ボクも野菜を取ろっかな」 モグ…
クラッブ「! おい、あいつ、今俺らを見てなかったか?」
ロン「……」 ビク
ゴイル「ん? ムシャムシャガツガツ そんなことよりもっと食おうぜ」
クラッブ「だな」 ムシャムシャ モグモグ
ロン「ホッ」
ハリー「ロン、気を付けなきゃ 揉め事はイヤだよ」
ロン「ごめんごめん」 ムシャムシャ
ハーマイオニー「肉ばかりを摂取すると怒りっぽくなる、という研究結果があるわ」
ロン「おや? ハーマイオニーじゃないか。」
ハーマイオニー「だから貴方も、そのビーフシチューに残してるニンジンもきちんと食べることね」
ロン「……」
ハリー(ハーマイオニーか……あんまり話したことないなぁ)
ハリー(確か学年一の才女だとか……)
ロン「しかし珍しいね、ハーマイオニーから話しかけてくるなんて」
ハーマイオニー「たまたま席が空いていなかっただけよ」
ハーマイオニー「でなきゃ貴方たちみたいなオチコボレの近くになんて座らないわ」
ロン「チェッ 相変わらずひどいや ハリー、ボクたちは大器晩成型なんだよ、なぁ?」
ハリー「うーん、実際オチコボレだから言い返せないなぁ」
ロン「まったく君って奴は…… あ、ニンジンいらない?」
ハーマイオニー「ふん」
ハーマイオニー「ハリー・ポッター」
ハリー「へ?」
ハーマイオニー「お噂はかねがね。 私が積み重ねたグリフィンドールの点数を切り崩すのがお好きなようね」
ハリー「……いやぁ……あはは……」
ハーマイオニー「他のお仲間たちはアナタのことをマスコットのように好いているようだけど……」
ハーマイオニー「私から言わせればオチコボレは寮のお荷物よ 私がマクゴナガル先生なら、素行不良で退学処分だわ」
ハリー「……」
ロン「おいおい、ボクはともかく、ハリーは決してお荷物なんかじゃないぜ」
ロン「ハリーは、まだ僕たち1年生が習ってない肉体強化魔法まで、本で独学して練習してるんだ」
ロン「魔法使いとしちゃ立派なもんだとボクは思うね」
ハーマイオニー「あら、その立派な魔法使いさんは、空中浮遊の授業のときに羽根を爆発させたのよね?」
ハリー(……恥ずかしい……)
ハーマイオニー「ま、これ以上私が積み上げてきた実績と信頼と量の点数を」
ハーマイオニー「貶めないでね?」
ハリー「……はい」
ロン「おいおい、素直に謝っちゃってどうすんのさ」
ハリー「え?」
ロン「そこはもっと言い返さなきゃ 『うるさいこのクシャクシャブロンド!』とかさ、どう?」
ハリー「いや……でも実際、ハーマイオニーみたいな優秀な人たちの足を引っ張ってるのは事実だしさ……」
ハーマイオニー「フン、当然」
ハリー「それに、クシャクシャブロンドはひどいよ とっても綺麗な髪じゃないか 可愛くて、似合ってるしね」
ハリー「まあ、これからは授業中居眠りしないように気を付け……」
バン!
タッタッタッタッ
ロン「おい、ハーマイオニーの奴行っちゃったぞ」
ハリー「えっ……」
ロン「もう、何か怒らせちゃったんじゃないの?」
ハリー「え……そんなこと言ったかな……」
ロン「後で謝っといた方がいいんじゃない?」
ハリー「うん……」
───
ロン「いやー、食べた食べた」
ハリー「食べすぎだよ、ロン」
ロン「料理がおいしすぎるのが悪いんだ。 ……でも、クラッブとゴイルみたいに太っちゃったらまずいな」
ロン「ふふ、僕もちょっとランニングに付き合おうかな」
ハリー「! 本当かい! 良かった! 最近一人だとちょっと寂しいし関節技の練習も……」
ロン「もちロン冗談さ!! ボクはこう、頭を使う方が得意だからね。 体を鍛えるのは君に任せるよ」
ハリー「そっか……」
ロン「安心しなよ 夢の中で声援送るから」
ハリー「うん……?」
クラッブ「おい、そのケーキ寄越せよ」
ゴイル「やーだよ、お前も持って来れば良かったのに」
クラッブ「持ってきたけどもう食っちまったんだよ」
ロン「うわ……」
ゴイル「ん?」 チラ
ロン「あ、あわわ……」 サッ
ハリー「おいおい、僕に隠れても……」
クラッブ「……オイ お 前 ェ 」 ゴゴゴゴ…
ロン「は、はいぃ!」
クラッブ「ケーキ、持ってねぇか」
ロン「……へ?」
クラッブ「 ケ ー キ 」 ズイ
ロン「も、も、持ってません」
クラッブ「……チッ 行け」
ロン「は、はい! ハリー、行こう!」
ハリー「うん……」
クラッブ「……あん? おい、待て」
ロン「!!」 ビクゥ!
クラッブ「お前……さっき俺たちにガン付けた奴だよなぁ?」
ロン「ッ!!?」 ビクッ
ゴイル「……あ゙? あぁ、思い出したぁ……」 ズイ
クラッブ「……」 ズイ
ロン「あ、ひ、……」 ガクガク
クラッブ「ちょうど腹減ってむしゃくしゃしてたし……」
ガシッ
ロン「ひ、ぐっ!? ゲホッ!?」 ジタバタ
クラッブ「一発……」 グ…
クラッブ「殴らせろォ!」 ブンッ!
ロン(もうダメだぁ──!!) ギュッ
ロン「…………」
ロン「……………」
ロン「……?」 パチ
クラッブ「……!?」 ググ…
ガシ…ッ…
ハリー「やめなよ」
クラッブ「こい、つ……!」 ググ…
クラッブ「!?」
クラッブ(う、腕が動かない……!?)
ロン「ハ、ハリー!!」
ハリー「ロン、逃げて!」
ロン「で、でも……」
ハリー「いや……僕がすぐに逃げ込めるように、寮の扉の太ったレディにそう伝えておいてくれ!」
ハリー「急いで!!」
ロン「ぅ、わ、分かった!」 ダッ
ハリー(良し……これでロンは無事だ……)
ミシ…ミシ…
クラッブ「ぐ……う、腕が……」
ゴイル「てめぇ!!」 ダッ
ハリー「!」
ハリー「えいっ!」 ドシン!
クラッブ「うわっ!?」 ヨロ…
ゴイル「うわ!? こっち来ん……」
ドシーン! ゴロゴロ…
ハリー「良しっ 逃げる!」 ダッ
クラッブ「ま、待てぇ!」
ゴイル「お、重……そこどけ……」 ジタジタ
ダッ ダッ ダッ ダッ ダッ
ハリー「え?」
ロン「はぁ……はぁ……」 タッタッタッ
ハリー「ロン、どうしてまだここにいるの?」 タタタタ
ロン「君が速すぎるんだよ!!」 ゼェ、ゼェ
ロン「あの二人は!?」
ハリー「ああ、二人とも今ごろカーペットの掃除をしてるさ」
ロン「……やれやれ。 魔法は使ったの?」
ハリー「え? ううん、今日は一回も使ってないよ。 夜のトレーニングに取っておきたいからね」
ロン「あっきれた!」
───
ロン「ふああ……もうこんな時間か……」
ハリー「おっと、じゃあ僕はそろそろ外で練習してくるよ」
ロン「……」
ロン「今日、ぼくも着いてっていいかい?」
ハリー「え? どういう風の吹き回しだい?」
ロン「いや、僕は一っっ切練習しないよ! そこまでストイックじゃないからね」
ロン「でも何だかハリーの練習を見たくなったんだ」
ハリー「へぇ? でも、こっちとしちゃ嬉しいよ さ、行こうか」
ハーマイオニー「 こんな時間にどこに行こうっていうの? 」
ハリー「! ハ、ハーマイオニー!」
ロン「ワーオ、えっと、僕たちはどこに行くワケでもないさ そう、夢の世界に行こうって話をしてたんだ」
ロン「つまりもう寝ようっていうこと。 そのフワフワのパジャマ素敵だねハーマイオニー。 さ、ハリー寝ようか」
ハーマイオニー「騙されないわよ。 どうせまた外で練習しようっていうでしょ」
ハリー「……」 タラ…
ハーマイオニー「図星みたいね」
ロン「君、相変わらず嘘ヘタだねぇ」
ハリー「ご、ごめん……」
ハーマイオニー「門限を越えた外出は寮則違反よ! 分かってるの!?」
ロン「まあまあ、そんなお堅いこと言わずにさ」
ハリー「……」
ハーマイオニー「ぜっったいに許さないんだから!」
ロン「……あちゃー……姫様は怒り心頭だってさハリー」
ハリー「……困ったなぁ……」
ハーマイオニー「これ以上寮の点数は削らせないわ……!」
ロン「もう、ボクたちばっかり怒って…… 姫様は絶対に寮則は破らないってことかい?」
ハーマイオニー「ええ、絶対に破らないわ!」
ロン「絶対に? 絶対に絶対?」
ハーマイオニー「ええ」
ロン「そうか…… あっ! ハーマイオニーの足元に巨大ナメクジが!」
ハーマイオニー「えっ!!?」 ビクッ
ロン「ハリー! 行くよ!」 ガシッ
ハリー「え?」 グイ…
ダッ!
ハーマイオニー「あ、ま、待ちなさい!!」
ガチャ
ロン「お姫様は寮則破れないんだろー? 来れるもんなら来てみろー」
ハーマイオニー「な゙……!!」
ロン「へへーん」
ハリー「ごめんねハーマイオニー。 見つからないようにするからさ」
ロン「じゃ、そういうことで」
ダッ
ハーマイオニー「くぬっ………!」 プル…プル…
───
ゴイル「それで……あのハリー・ポッターが……」
クラッブ「俺たちを……」
ゴ ゴ ゴ ゴ
ゴ ゴ ゴ ゴ
マルフォイ「……詳しく……」
マルフォイ「 聞かせてもらおうか 」
ゴ ゴ ゴ ゴ
ゴ ゴ ゴ ゴ
───
ハーマイオニー「もう! 待ちなさいったら!」
ハーマイオニー「こんな時間に森の入り口なんて……不気味よ!最悪!」
ハーマイオニー「いくら人目につかないからって、こんなとこまで来るなんて!」
ハーマイオニー「こんなとこで練習するより、図書室で本を読んだ方がよっぽど有意義だわ!」
ハーマイオニー「そもそも勉強ができないなら、もっと優秀な……わ、私みたいな……そう!例えば!」
ハーマイオニー「例えば私みたいな、優秀な人間に教えを乞うべきよ!」
ハーマイオニー「独学なんて非効率的だわ! その上、寮則違反して練習なんて言語道断よ!」
ハーマイオニー「人から尊敬される魔法使いになる為には、品行方正、質実剛健、清廉潔白であるべきだわ!」
ハーマイオニー「私みたいに、皆や先生から感心され尊敬される様に生きる方がいいに決まってる!」
ハーマイオニー「それをコソコソ隠れて練習なんて、人に言えないってこと? 不健全よ、間違ってるわ!」
ハーマイオニー「いい!? 聞いてるの!? ハリー!! ロン!!」
ロン(寮則守るんじゃなかったのかよ……)
ハリー(あんまり大声出すと誰かに気付かれちゃう……)
ハーマイオニー「もう! もっと暖かい恰好してくるんだった! こんなパジャマで外出なんて!」
ロン「ハリー! なんとか黙らせてよ! 僕の頭までどうにかなっちゃいそうだ!」
ハリー「何とかって……」
ロン「うーん、とりあえずパジャマでも褒めとけば!」
ハリー「わ、分かった……」
ハーマイオニー「それに変な虫だって多そうだし……もう!それもこれも二人のせい……」
ハリー「ハ、ハーマイオニー……」
ハーマイオニー「何よ!」 ムスッ
ハリー「えっと……えっと……」
ハリー(パジャマ……パジャマ……)
ハリー「とっても……かわいいね」
ハーマイオニー「──」
ロン「お、そろそろ森の入り口に着くぞー」
ハリー「えっと……いっつも……そんなに可愛いの?」
ハーマイオニー「──」
ロン「今日は月も明るいなぁ 暗いの苦手だから助かったよ」
ハリー「……ハーマイオニー?」
ハーマイオニー「……」 スタスタ
ハリー「……?」
ロン「おっ? 静かになったじゃないかー やるじゃんハリー」
ハリー「? うん……」
───
マルフォイ「……それで、いいようにやられたと……」
クラッブ「……はい……」
ゴイル「……で、ですが……」
マルフォイ「………最初にやられたのは、どちらです?」
クラッブ「え……」
マルフォイ「 最初にやられたのは 」
マルフォイ「 どちらです? 」 ニコ…
クラッブ「……」 ゾク…
ゴイル「ク、クラッブです……!」
マルフォイ「そうですか……」 ギシ…
クラッブ「あ、あ……で、でも……」
Diffindo
マルフォイ「 裂 け よ 」
ズ ッ バ ア ァァァ ア ア ァ ァ ン !!
ビチャ…グチャ ボタ…ボタ…ボタ…
ゴイル「ひ……ぁ……」 ジョジョジョ…
マルフォイ「……ふむ、聞いたことがあります。」
マルフォイ「天才と言われた少年──ハリー・ポッター」
マルフォイ「夜な夜な、外で魔法の訓練を行っているとか………♪」
───
ハリー「872……873……ッ」 ギシ…ギシ…
ロン「すごいねぇ よく続くもんだ」
ハリー「もう習慣だから……ねっ……」 ギシ…ギシ…
ハーマイオニー「……////」
ロン「何顔赤らめてんのさ あ、男の半裸を見慣れてないとかかい?」
ハーマイオニー「そ、そんなワケないじゃない!! 見慣れてるわよ!!」
ロン「その答えはその答えでどうかと思うよ」
ザッ
マルフォイ「 こんばんは 」
ハリー「……?」 ペコ…
ロン「あいつは確か……マルフォイ!」
ハーマイオニー「嘘……なぜスリザリンの天才がこんな所に……」
ロン「あ、ま、まさか……ハリーの外出のことを先生に言い付けるつもりじゃ……!」
マルフォイ「ふふっ……そんなつもりは毛頭ありません……」
マルフォイ「僕はただ、お礼がしたくって……」
ハリー「お礼……?」
マルフォイ「そう」 スッ
ハーマイオニー(杖……?)
ハリー「………」 ズキ、ン!!
ハリー(傷が……ッ!?)
Confringo
マルフォイ「 爆 発 せ よ 」 カッ
ハリー「皆逃げろおぉぉぉぉ!!!」
ドッ ガ ァァァアァァ ン!!!
パラ…
パラ…
ハリー「……ごほっ……皆無事か!?」
ガラ…
ロン「ああ……何とか……」
ヨロ…
ロン「ハーマイオニーが呪文で守ってくれたんだ……」
───
Impervius
ハーマイオニー「 守 れ ! 」
───
ハーマイオニー「にしても……」
ハーマイオニー「一体…… 一体何なの……?」
マルフォイ「ふふ……子飼いをコケにされてしまったものでね……」
マルフォイ「そのお礼、ですよ」
ロン「子飼い……?」
ロン「あ」
ロン(クラッブとゴイル……!)
ハーマイオニー「……心当たりがあるのね?」
ロン「言い訳のしようも……」
マルフォイ「ふふふ……にしても、」
ハリー「……」
マルフォイ「私の爆発魔法に対して、三人同時に防御とは……」
マルフォイ「流石ですね、ミス・グレンジャー」 フフ…
マルフォイ「しかし……私が用があるのはこのポッター」
マルフォイ「邪魔だては……しないでいただこう!」 ス…
ロン「ハーマイオニー……さすがの君でも、相手がマルフォイじゃ……」
ハーマイオニー「……てない……」
ロン「え?」
ハーマイオニー「私、ハリーを守ってないわ」
Lumos radius
マルフォイ「 光 よ 貫 け !」
シュゴォォォッ!
ハリー「……」 ダンッ!
サッ
マルフォイ(避け……!?)
ハリー「あ……」
ハリー「危ないじゃないか!!」
マルフォイ「……!」
ロン「すげぇ……ハリーのやつ……魔法を避けた……」
ハーマイオニー「そんな……一体どんな魔法を使ってるの!?」
Lumos
マルフォイ「くっ……光 よ……」
ハリー「……」 ギンッ
ハリー(杖の方向確認! 術者の口元確認! 呼吸確認! 予想軌道確認!)
ハリー(─── 来る!!)
ferus
マルフォイ「 砕け !」
カッ!
ドッゴォォォォオォ!!
パラ… パラ…
マルフォイ「……ふふっ……他愛ない……」
ガラ… ザッ
ハリー「だから……危ないって!!」
マルフォイ「……!?」
ロン「おぉーっと、直撃を避けて爆発をいなしている! ほぼノーダメージだ!!」
ハーマイオニー「ロン……?」
マルフォイ「馬鹿な……バカな……」
カッ ドゴーン! カッ ドガーン!
ロン「爆発の連打だ! これは厳しい!」
ハーマイオニー「ロン……?」
ハリー「くっ」 ダッ ダッ
マルフォイ「う、ああぁあっ……!」 カッ
ロン「しかし、一向に直撃はありませんねー」
ハーマイオニー「爆煙で狙いが定まってないですねー」
ロン「なるほどー」
ハリー「いい加減にやめるんだ……! 僕は……僕は戦いたくない!」
マルフォイ「認めない…… 認めないぞ……!」
マルフォイ「僕の魔法は最強なんだぁぁ!!!」 ググ…
ゴゴゴゴゴ……
ハリー(光が杖の先に集まっている……!?)
ハリー(ま、眩しい……!)
Lumos
マルフォイ「 光 よ……」 ググ…
gemini
マルフォイ「 散 れ ッッ……!!!」
シュゴォォォォォ!!
ハリー(よし……避けれる……!!) ダッ
カッ! ドゴォォォォン!
ハリー「え……?」
ハリー(何で後ろから爆発が……) クルッ
ハーマイ / オニー「……かはっ……」
ハリー「───え?」
マルフォイ「ククク……くはははははははぁぁ!!!」
ハリー「……」
───
ハーマイオニー「もう! ハリーったらまた寮則破って!」
───
ハリー「……」
───
ハーマイオニー「私も付いてくわ! 二人だけじゃ心配だもの!」
───
ハリー「……」
───
ハーマイオニー「ふふっ……ハリー」
───
ハリー「………ハーマイオニィィィィ───!!!」
ダッ
ハリー「ハーマイオニー!」 ガシッ
ハーマイ「……ハリー……ケホッ…」
ボタ…
ハリー「喋っちゃダメだ! 傷口が……」
ボタ… ボタ… ボタ…
ハーマイ「ハリー……ごめんね……」
ハーマイ「グス……本当に……本当に、足を引っ張ってたのは……私、だった……」
ハリー「もういい!! もう、喋るな!!」 ギュッ
ハーマイ「ハリー…… 私と、ロンがいなくなっても…… 」
ハーマイ「悲しまない、で…………」
ハーマイ「───」
ハリー「………」
ハリー「ハーマイオニー?」 ユサユサ
ハリー「ハー……」
ハリー「……」
ギュッ
マルフォイ「ククク……他愛もない……」
ハリー「………」
マルフォイ「……これで、もう防御呪文を掛ける奴はいない……」 ブツブツ
マルフォイ「終わりだポッター!!!」
ハリー「……」 ユラ…
ハリー「ハーマイオニー……ちょっとだけ……ちょっとだけ、メガネ、預かっててくれるかな……」 カチャ
スッ スチャ
ハリー「………」
マルフォイ「これで……これで貴様を倒せば……!」
マルフォイ「もう"あの方"の野望の障害は無い!!」
マルフォイ「くははははハハハハァァ!!!」
マルフォイ「終わりだポッダブぎ」
グシャ…
バ キ ィ ッ !!!
マルフォイ「───」 ズザッ ドザッ ドッ
ゴロゴロゴロゴロゴロ…
マルフォイ「ッ!? ぶ、ぁィ!?」 ヨロ…
ハリー「………」
フシュー…
フシュー…
マルフォイ「ぎ…ゲホッ……な、何だ……何の魔法……」 ドロ…
ハリー「魔法……?」
ハリー「そんなもの……ありゃしない……」
マルフォイ「……!」
ハリー「魔法も、奇跡も、そんなものありゃしない」
ハリー「唯一確かなもの……それは……」
ハリー「絶望と、筋肉だ」
マルフォイ「……」
ハリー「今から貴様に」
ハリー「叩き込む」
マルフォイ「───!!」 グ…
マルフォイ「フッ……ククク……」
マルフォイ「筋肉だぁ……? 笑わせるな!!」
ハリー「……」
マルフォイ「そんなマグルの戯言がぁ……高潔な僕の魔法にぃ……」 スッ
マルフォイ「通じるかぁ!!!」
カッ
ドゴォォォォォン!!!
マルフォイ「くははははぁ!! 木端微塵に……!」
ハリー「遅い」 ザッ
マルフォイ「ふぉ……」
ハリー「この杖だな」 ガシッ
マルフォイ「な゙……!?」
ボキッ
ハリー「これでもう、杖は使えない」
マルフォイ「あ、ひ、ヒ……!」
マルフォイ「ゆ、許し……」
ハリー「だが、杖はまた買えばいい」 ニコッ
マルフォイ「え……」
ハリー「買い直せば、また魔法は使える」
ハリー「だから」
ガシッ
マルフォイ「ぐ……!?」
マルフォイ(指を掴まれた……!?)
ハリー「こうする」
ボキバキベキバキィ!!
マルフォイ「あ゙ああぁぁぁああぁ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッッ!!?」
ハリー「これでもう」
ハリー「杖は持てない」
マルフォイ「ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒィ……」 ポロ…ポロ…
ハリー「でも」
マルフォイ「ひ、ィ……?」
ハリー「指はまた、治るかもしれない」
マルフォイ「あ、あ……」 フル…フル…
ハリー「だから」
ガシッ
マルフォイ「あ、う、腕はぁぁあ!! 腕だけはああぁぁああ!!!」
ボ キ ィ ッ !
マルフォイ「ああ゙ああ゙ああ゙あ゙あああ゙ッッ!!!」
ハリー「これでもう、杖は振れない」
マルフォイ「助け……たす……」
ハリー「でもまだ、呪文を唱えるかもしれない」
マルフォイ「へ……?」
バ ッキ ィ !!
マルフォイ「ひゃブっ!?」 ガハッ
ハリー「これでもう、呪文は唱えられない」
マルフォイ「ひゃ、ひ、ひゃふへへ……ひゃふへ……」 ポロ…ポロ…
ハリー「でも、まだ叫ぶことはできる」
マルフォイ「!!!」 フルフル… フルフル…
ハリー「知っているか…… 強呼気時の主作用筋は腹筋群だが……吸気時の主な動作筋では横隔膜だ……」
ハリー「一発で……壊れるかな」
マルフォイ「──!! ───!!!」 フルフルフルフルフルフル
ハリー「ッッ!!!」
ドッ
ゴ
マルフォイ「───………」
ズル…
ハリー「おい、何気絶しようとしてるんだ?」 パシッ
マルフォイ「ゲハッ……ひゃひ……?」 ゾ…
ハリー「言っただろう……『一発で壊れるかな』と 」
マルフォイ「───」 ゾク
マルフォイ「ぁ……ぃ゙、あ……」 ガクガクガクガクガク
ハリー「ちなみに」
ハリー「もう、壊れてるかどうか、良く分からないんだ」
マルフォイ「───!? ふぉ……」
ハリー「メガネをはずしちゃったからね。 よく見えないんだ」
ハリー「だから」
ハリー「僕の手の感覚が無くなるまで、撃ち続けよう」
マルフォイ「待゙っ…」
┣” ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
┣”ガ ┣”ゴ バキ メキィッ ドゴォ
┣”カ グシャ ブチ メキョ ┣”ガァッ!
┣” ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
───
ハーマイオニー「えへへっ、ハリーったらー!」
───
┣” ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
───
ハーマイオニー「もう……私がついてないとダメなんだから……」
───
┣” ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
───
ハーマイオニー「ハリー……私がいなくなっても……悲しまないで……」
───
ハリー「ああ゙ァ゙ァァあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ぁあ゙あ゙!!!!」
┣” ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ !!!
パラ… パラ…
ハリー「……はぁ……はぁ………」
マルフォイ?「………」 グチャ…
ハリー「なぁ……これでまだ……魔法は使えるかもしれない……」
マルフォイ?「……フォイ……」 ズル…
ハリー「いくらブチのめしても……お前はまた復活するかもしれない」
マルフォイ?「フォ……フォ……」
ハリー「でも……」
ハリー「 ハ ー マ イ オ ニ ー は も う 戻 っ て 来 な い ん だ 」
┣” ッゴ !!
マルフォイ?「────」 ズル…
ドシャ…
ハリー「……はぁ……はぁ……」 ヨロ…
ダンブルドア「……ハリー」
ハリー「ッ!」 バッ
ダンブルドア「おお……なんということじゃ」
ハリー「……」
ダンブルドア「……ふむ」 スッ
マルフォイ?「…フォ……」 ピクピク
ダンブルドア「どうやら死んではいないようじゃのー」
ハリー「はい……。 僕は……土壇場で、人を殺すことを躊躇ってしまった……」
ハリー「……ハーマイオニーがあんなことになったのに……」 ギュッ…
ダンブルドア「ミス・グレンジャーが……おお……」
ハーマイ「……」
concilio
ダンブルドア「 併わされ 」 パァァァ!
ハリー「えっ……!」
ズル… ズル… スゥゥゥ…
ハリー「肉体が……集まっていく……!」
ハリー「治るんですか!?」
ダンブルドア「……」 フルフル
ダンブルドア「肉体は再生する……しかし、一度失ってしまった命は取り返せないのじゃ……」
ハリー「そんな……」
ハリー「じゃあ……このまま目が覚めることもないと……?」
ハーマイオロー「───」
ダンブルドア「ああ、この肉体に宿っていた命は、今まさにこの世を離れようとしておる……」
ハリー「じゃ、じゃあまだ完全に死んではいないんですね!!」
ダンブルドア「……しかし、いつ完全に死んでもおかしくは無い……」
ダンブルドア「恐らくワシが全力を尽くしても、命をどうにかこの世とあの世の境で引き留めるのが精いっぱいじゃ」
ハリー「じゃあ……一体どうすれば……!」
ダンブルドア「ふむ…… 一つだけ、一つだけ方法があるかもしれん」
ハリー「!! 教えてください!! お願いします!!」
ダンブルドア「うーむ……しかし……この方法は……」
ハリー「お願いします!!」 お辞儀
ダンブルドア「……『賢者の石』じゃ」
ハリー「賢者の……石……?」
ダンブルドア「そう。 今、魔法界もその話題で持ちきりじゃがの……」
ダンブルドア「持つ物に栄光と永遠の命を約束する……伝説の石じゃ」
ハリー「そ、それは一体どこに……!」
ダンブルドア「言ったじゃろう……伝説じゃと」
ハリー「……!」
ダンブルドア「……というのが、これまでの建前じゃった」
ハリー「建前……とは?」
ダンブルドア「賢者の石は、グリンゴッツ銀行の中に保管されておる」
ハリー「! じゃあ、そこに行けば……!」
ダンブルドア「ああ……じゃが、実は既にある者たちも、賢者の石を狙って銀行へ向かっておるのじゃよ」
ハリー「!! まさか……」
ダンブルドア「そう……ヴォルデモート卿の一派じゃ」
ハリー「!!!」
ダンブルドア「わしもすぐに向かわねばならん……」
ハリー「……」
ダンブルドア「………行けば、二つの勢力の衝突は必至。
ダンブルドア「魔法界史上最悪ともいえる戦火になるかもしれん……」
ダンブルドア「……来るか?」
ハリー「 行 き ま す 」
ダンブルドア「フッ……その目、本当にリリーによく似ておる。 が、眼光は父親譲りじゃな」
ハリー「……! 両親のことを……?」
ダンブルドア「その応えは、勝利の後に語ろうぞ」 ザッ
ハリー「……はい!」 ザッ
ハリー「……」 ギュッ…
ハリー(待っててね……ハーマイオニー…… きっと帰ってくるからね……)
ハリーポッターと賢者の石
邂逅編
───
ロン「ハッ!」
ロン(何だ、夢だったのか……)
ロン(にしても変な夢だったなぁ……) ゴシゴシ
ゴソ…
ロン「ん?」
ハリー「あ、ごめんよ ロン 起こしちゃったかな」
ロン「いや、いいよ にしても、こんな時間にどうしたの?」
ハリー「ああ、いやちょっとね」
ロン「あ、また外で練習する気だね?」
ハリー「あはは、バレちゃったか」
ロン「まったくもう」
ロン「ハリー、遠距離狙撃魔法ばっかり覚えてどうするのさ」
完!