ピロリーン
P「律子からメールか」
『風邪をひきました。休みます。差し迫った仕事はありませんが、~~の竜宮小町の撮影だけ立会いをお願いします』
P「律子が?珍しいな。・・・というか体調崩したのに仕事のことばかり・・・」
P「『大丈夫か?見舞いとかは・・・』」カチカチ
P「よし、送信っと」
元スレ
P「風邪ひいた律子をお見舞い・・・するべきだろうか?」」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1347791416/
ピロリーン
P「お、返信が来た」
『結構です』
P「・・・取り付く島もないな」
P「まあ律子に限って心配はいらないか。うん。実家住まいだし」
P「・・・・・・大丈夫だよな」
---秋月家
律子「ゴホッ、ゴホッ」
律子(くっ・・・私としたことが)
律子(まさか、声が枯れるほどの風邪をひくなんて)
律子(こんな情けない姿、プロデューサーに見せられないわ)
律子(それに・・・心配もかけたくない)
律子(確か、今日はみんなそれぞれ個々で仕事ね・・・休むことは竜宮のみんなにも連絡したし)
律子「ゴホッ、ゴホッ」
律子「と、とにかく寝るのよ、私・・・ケホッケホッ」
律子(そういえば・・・いつだったか事務所のみんながプロデューサーがお見舞いに来てくれたって言ってたわ)
律子(美希なんて大声で自慢してたし、春香は・・・絶対何かあったわよね)
律子(さらには担当アイドルでもない小鳥さんの家まで・・・)
律子(まったく、プロデューサーはみんなにいい顔して・・・女性の敵だわ)
律子(どうせ私はアイドルじゃないから、心配なんてしてないでしょうし)
律子(一人暮らしの小鳥さんと違って実家だから家族を頼れる)
律子(・・・まあ、今はみんな留守にしてるけど・・・)
律子(はあ・・・引退したとはいえプロデューサーに心配してもらえるアイドルのみんなが羨ま・・・)
律子「・・・しくなんてないわ!っ、ゲホッゲホッ」
律子(何してるのかしら、私)
律子「・・・寝ましょう」
律子(ああ、あずささんはスタジオにちゃんと着いてるかしら・・・また迷子になってないかしら・・・)
律子(伊織はスタッフさんに失礼なこと言ってないでしょうね・・・亜美もまたプロデューサーを困らせてらきゃいいけど・・・)
律子(プロデューサーは・・・きっと大丈夫でしょ)
律子(アイドルのみんなとは事情が違うし、現実的に考えれば、風邪くらいでお見舞いに来るはずない)
律子(お互い、いい大人ですし)
律子(そのかわり仕事のほうは、しっかりしてくださいよ)
律子(頼りにしてますからね)
律子(・・・)zzz
律子編、終了?
ガチャガチャ ゴソゴソ
ピト
律子(おでこが冷たい・・・母さんかしら)パチリ
P「あ、起こしちゃったか?」
律子「!?」
律子「プロデューサー!?」ガバッ クラッ
P「あ、起きるなって。寝てなさい!」ボスン
律子「な、なんで・・・」パクパク
P「一応言っとくが、秋月家に上がるとき、電話でご家族に許可取ったぞ。ていうか声、ひどいな」
律子「ええ、のどをやられちゃって・・・じゃなくて!どうして来たんですか!」
律子「う・・・ゴホッゴホッ」
P「まったく。とにかく落ち着けって」
P「ほら、背中さすってやるから」ナデナデ
律子「すみません・・・。それで、どうして来たんです?」
P「ん?ああ、そっちか」
P「律子が仕事を休むなんて重要な用件を、メールで済ますなんて変だと思ってな」
P「それに、父親が経営者って言ってたの思い出したんだ。それなら家族にも頼り辛いんじゃないかな、と思って。で、来てみたら案の定だ」
律子「ゴホッ・・・で、でも!竜宮の撮影はっ」
P「律子、今はもうお昼過ぎだぞ。ちゃんと見て、あちらさんにも挨拶してきたよ。仕事はしっかりしないと、律子にまた怒られちゃうもんな」
律子「ゴホッゴホッ・・・はあ・・・そうでしたか」
P「そう、大丈夫だって。あ、社長が林檎とか果物を預けてくれたんだ。剥いて持ってくるから待ってろ」
ガチャ バタン
律子「そう、竜宮は問題ない。よかった・・・」
律子(・・・・・・)
律子(それにしても)
律子(担当しているアイドルならともかく、ただの同僚の私を気にかけるなんて・・・)
プルルルルル
律子「プロデューサーの携帯から着信?相手は・・・あずささんから」
律子(私が出ても問題ないわよね)
ピッ
律子「もしもし、私です」
あずさ「あらー?律子さん?プロデューサーさんと一緒だったんですねー」
あずさ「ずいぶん声が辛そうですけど、具合はどうですか?」
律子「心配いりません。そんなことよりあずささん、撮影は大丈夫でしたか」
あずさ「ええ、ばっちり。カメラマンさんのお話がお上手で、伊織ちゃんも亜美ちゃんもずいぶんご機嫌でしたよー」
律子「はあ・・・あずささんからその言葉を聞けて安心しました」
あずさ「うふふ、律子さんはいつも心配しすぎなんですよ」
律子「あずささんも、遅刻せずに現場に到着できたんですね」
あずさ「・・・」
律子「あずささん?」
あずさ「・・・も、もちろんですよー。何言ってるんですかー」
律子「あずささん、本当のことを言ってもらったほうが助かります」
あずさ「えーっと・・・本当は遅刻・・・ぎりぎりでした」
律子「え?ってことは間に合ったんですか?」
あずさ「ええ、プロデューサーさんが私を見つけて、届けてくれたんです」
あずさ「プロデューサーさん、私がどこにいても見つけ出してくれるんです」
あずさ「まるで、運命の人みたいですよねー」
律子「・・・そうかもしれませんね。ただ、次は気をつけてくださいね」
あずさ「はーい。・・・あ、でもそういえば」
律子「今度は何ですか?」
あずさ「そんな大袈裟なことじゃないんですけれど・・・うふふ」
律子「それは聞いてから判断します。とにかく言って・・・ゲホッ・・・言ってください」
あずさ「それが・・・うふふ、今日はプロデューサーの様子が一段とおかしくて。朝に合流してからずっとそわそわしていたんですよー」
あずさ「時計をちらちら見たり、携帯をこまめにチェックしたり」
あずさ「まるで仕事より気にかかることがいるみたいで。体調を崩した誰かさんのこととか」
律子「・・・・・・」
あずさ「あのー、律子さん?差し出がましいかもしれないけれど、いいかしら」
あずさ「誰にってわけでもないけれど・・・病気のときくらい甘えてみてもいいんじゃないかしら?」
律子「・・・なんのことでしょう」
あずさ「律子さん、いつもしっかりしなくちゃって気を張ってるでしょ。でも、たまには立場とか意地とかそういうのを忘れて・・・ね?」
律子「・・・」
あずさ「・・・あら?聞いてます?律子さーん?」
コンコン
P「おーい律子。入るぞー」
律子「!」ビクッ
ピッ
ガチャリ
P「すまんすまん。果物ナイフ探してたら・・・って、なんだ電話してたのか。竜宮か?」
律子「え、ええまあ!やっぱり自分で聞かないと安心できないので」
P「そうか・・・頼りなくてすまんな・・・あ、林檎切っておいたぞ」コトリ
律子「いえ、そんなつもりは・・・ありがとうございます」
P「そうだ。今、家の電話に律子のお母さんから連絡があったよ。早く家に帰れるようになったらしくて、しばらくしたら様子を見に来るってさ」
律子「え?なんでまた家の電話に・・・携帯があるのに・・・ってあ、寝てたから気づかなかったんだ」
P「お母さんもそんなとこだろうって言ってたよ」
律子「そうですか」
P「・・・」
律子「・・・」
--------------あずさ「病気のときくらい―」
律子「あ、あの」
P「どうした?」
律子「・・・」カァー
律子「あ、あーん」
P「」
律子(だ、大丈夫よ!こんなのお見舞いのお約束みたいなのものよ!きっとアイドルのみんなも小鳥さんもやってもらったわ!)
P「あ、ああ。食べさせるくらいいいぞ!ほら、あーん」
パクッ
P「どうだ?」
律子「・・・おいしい、です」
P「はあ・・・それならよかったよ」
P「社長があんまり持たせたがるから、ちょっと不安だったんだ」
律子「ゴホッゴホッ・・・それって私なら大丈夫だろうってことですかー?」
P「怒るなって。ちゃんと先に毒見はしたからさ」
律子「ふふ。ならいいですけど・・・」
律子「・・・」アーン
P「はいはい、あーん」
パクッ
律子「・・・・・・」モグモグ
律子「なんだかプロデューサー、楽しそうですね」
P「え、そうか」
律子「そう見えます。人が風邪でつらいのに不謹慎じゃないですか」
アーン
パクッ
P「いや、俺はいつも律子に迷惑かけてばっかりだからさ・・・まともに借りも返せてないし」
P「それに・・・」ジーッ
律子「な、何ですか」
P「いやなんでもないよ」
P「ま、そういうこともあって、こうやって頼ってくれるのがうれしくてさ」ニコニコ
律子「またそういう誤解を生む発言を・・・だいたい私は聞いてるんですからね」
モグモグ
P「何が」
律子「風邪で弱っているアイドルたちの自宅へお見舞いという名目で押しかけて」
律子「看病という名目で手取り足取り優しくお世話してあげたようですねえ」
アーン
パクッ
P「表現の仕方に悪意を感じるな」
律子「でも事実でしょう」
P「同意しかねる」
律子「まったく。そうやって誰にでもいい顔してると、いつかズブリと刺されますよ」
P「そんなつもりはなかったんだけどな。以後気をつけるよ」
P「まさか病床から説教されるとはな・・・リンゴ、これが最後な」
律子「せっかく仕事も増えて順調なのに、スキャンダルなんてごめんですからね・・・」アーン
P「・・・はいはい、あーん」
パクッ
ドア ガチャ
律子母「ただいまー。体の調子はどう?会社の人にちゃんと挨拶はし・・・」
律子「」
P「」
律子母「・・・」
スーッ バタン
律子「ち、違うのよ母さん!これは本当にたまたま・・・!」
P「そうです!律子とはまだそういう関係でなくて!」
律子「え!まだって!?」
P「あ、いや、それは・・・」
P「・・・というわけだから明日もちゃんと休めよ」
律子「・・・はあい」
P「じゃあ俺はそろそろ仕事に戻るな」
律子「!」
律子「は、はい。わざわざありがとうございました・・・」シュン
P「ご家族も帰ってきてくれるみたいだし、大丈夫だよな?」
律子「だから!メールで言ったじゃないですか。『結構です』って」
P「ははは、まったくだ。やっぱり律子に心配は無用だったな」
律子「・・・はい・・・」
--------------------------------あずさ「たまには立場とか意地とかそういうのを忘れて・・・ね?」
P「じゃあ、お邪魔し・・・」スッ
律子「・・・!」
律子「ごほんごほん」
P「ん?」
律子「あれ、なんだか・・・ごほんごほん」
P「おいおい、大丈夫か」背中ナデナデ
律子「大丈夫ですって・・・仕事が残ってるんでしょう。私は大丈夫ですから、早く帰ったほうが・・・ごほんごほん」
律子「・・・ごほんごほん、ごほごほっ」
P「・・・やっぱりなんか心配だ・・・もう少し看ていくよ」
律子「もう・・・私は大丈夫だって言いましたからね」テレテレ
律子「ごほっごほっ////」ニコ
終。