ゴルゴ「・・・・・」
社長「そっ、そうです! ミスター東郷・・・・・・・」
社長「あなたにあの忌まわしい化け物の狙撃を依頼したいっ!」
シュボッ
社長「奇妙な依頼であることは承知の上です、しかしっしかし・・・・・奴にひと泡吹かせられる人間はあなたしかいない!」
ゴルゴ「・・・・・・・・・・・・・」
元スレ
ゴルゴ13「・・・・・・・くねくね・・・・・・・・・・?」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1341205068/
ゴルゴ「標的の特徴は・・・・・・?」
社長「山や田畑にあらわれ、見たものは気が違ってしまうという・・・・」
社長「それがくねくねなのです・・・・白くてくねくねしている、それだけしか・・・・・ゆえにやつの写真などは、ない・・・・」
ゴルゴ「それが、あんたの会社の裏金すべてを注ぎ込んで俺に依頼する、それほどの相手なのか」
社長「!! なっ、なぜそれを!」
ゴルゴ「・・・・・名も知らぬ依頼人のところへいきなり出向くほど・・・・俺は自信家じゃ、ない・・・・」
ゴルゴ「片田舎の一社長がする依頼としては、動機が弱すぎる・・・・・・」
社長「うう・・・・!」
ゴルゴ「特に、職と人生を賭してまでの依頼としてはな・・・・・」
社長「わ、わかりました、すべてをお話しします・・・・奴にやられたのは私の・・・兄なのです!」
社長「幼いころ、くねくねを見てしまった兄は、それ以来廃人同然なのです・・・・わたしは奴が憎い!」
社長「相手は化け物以上の存在ですっ! しかし、しかし・・・・倒せぬまでも私は一矢を報いたい! やつに人間の執念を見せたいのですっ」
社長「兄の気が違ってしまってから私は、その一念で必死に金を貯めました・・・・ようやく一企業の社長にまでたどりつき、いくらかの金を動かせるように」
ゴルゴ「・・・・・・・・・・」
社長「しかしそれでもあなたへの依頼金相場には程遠い・・・・私はなんでもやった・・・・汚職につぐ汚職です、次の決算で私は解任・・・この工場も人手にわたる・・・」
社長「やつに対抗できるのはあなたをおいて他にない! たのむ、引き受けてくれゴルゴ13!!」
ゴルゴ「・・・・・・話はそれだけか・・・・・」
ゴルゴ「この話はなかったことにしてもらおう・・・・・」
社長「!! そっ、そんなっ!」
ゴルゴ「俺は・・・・依頼人の嘘を許したことは、ない・・・・・」
社長「わ、わたしは嘘などついていませんっ!」
ゴルゴ「『知っていながら言わないこと』を、俺は嘘とみなす・・・・・」
社長「う・・・・」
ゴルゴ「これ以上を言わせる気なら・・・・・帰らせてもらおう・・・・・」
クルッ
社長「まっ、待ってくれミスター東郷! 確かに私には言っていないことがある・・・」
社長「前任者・・・・・私はあなたの前に一人の狙撃手をやといました!!」
社長「ドウデモイッチ・イワノフ・・・・・旧ソビエト軍人、オリンピックに入賞したこともある、凄腕の男でした」
社長「これが、今の彼の姿です・・・」
ピッ
イワノフ「あはははははははははははははは」クネクネクネクネクネクネ
社長「兄と同じです・・・・彼はおそらく、くねくねを補足した、しかし・・・・・」
ゴルゴ「・・・・スコープを覗いてしまった」
社長「そ、その通りです・・・・」
社長「これがすべてです、私は罪深い男だ・・・」
ゴルゴ「・・・・まだ、ある・・・」
社長「そ、それは・・・・」
ゴルゴ「死を決めた人間の目には独特の光がやどる・・・・・もっともそれは俺にはどうでもいいことだ・・・・・入金を済ませてもらおう」
社長「で、では!」
ゴルゴ「確認次第、『前任者』の失敗した村へ向かう・・・・・以上だ」
スタスタ・・・・・・
社長(恐ろしい男だ、ゴルゴ13・・・・それでも私は、罪を犯しすぎた・・・・・・あの世で待っている、兄さん)
ガチャ ターン
~岡留戸村~
ブロォオーーーー
地元爺「ん、みかけん車だな」
婆「ちょっと前にもへんな外人がきたけんの」
爺「民宿のほうへ向かうだぞ・・・・・」
婆「ろくなことになんね、そんな気がするだ」
爺「ご住職に相談しておくべえか?」
婆「なまんだぶなまんだぶ」
民宿 未亡人
ゴルゴ「予約した東郷だ」
女将「へいへい・・・・宿帳に記入しておくんな」
サラサラ
女将「デューク・東郷・・・・・へえ、雑誌ライターさん? こんな村に何のおもしろいもんもないよ」
ゴルゴ(・・・・・・・・・・・・・・やはり)
ゴルゴ(イワノフの名前が消されている・・・・・・)
女将「部屋はつきあたり、晩飯は7時でいいね?」
ゴルゴ「ああ、世話になる・・・・」
シュボ フー
ゴルゴ(・・・・・!)
ガラッ
ゴルゴ「庭にいるのは誰だ」
??「・・・・・・・・・」
ゴルゴ「出てこなければ人を呼ぶぞ・・・」
ガサガサ
青年「へ、へへっ、すまねえすまねえ、そうカッカするなって・・・やっぱり都会の人はかんがいいやな」
三下青年「お、おれあ、そこに住んでる三下雑魚男ってんだ、村じゃ三下の雑魚でとおってる」
ガシッ
ゴルゴ「何の用だ」
三下「いっ、いてええ、はなしてくれっ!」
三下(こ、この都会もんすげえ力だ・・・・!)
ゴルゴ「何の用かと聞いてるんだ・・・・」
三下「いて、いてて! 勘弁してくれって旦那!」
三下「めずらしく余所から人が来たから、つい気になってきちまってよ・・・・」
ゴルゴ(・・・・・)
三下「まったくつまんねーところだよ、じじばばばっかりだし、消防団の寄り合いしかオヤジどもには楽しみがねえ・・・そう睨むなって」
ゴルゴ「妙だな・・・少し前に、うちの会社のカメラマンが一人きたはずだが」
三下「あ、ああ、あの外人さんのことかい?」
ゴルゴ(・・・・・・・やはりイワノフはきていた・・・・)
三下「なんか、重そうな機材をもってやたら村ん中をうろうろしてたぜ! こんな田舎に撮るような写真があるのかね?」
ゴルゴ「奴はどこへ消えた?」
三下「さあね。ここの連中はしけた野郎ばっかりだからな! 居づらくなって帰ったんじゃねえのかい? あんたもすぐにいやになるぜ、こんな何もないところ」
ゴルゴ「・・・俺には仕事が、ある・・・・」
ゴルゴ「三下とかいったな・・・・・このへんに村を見渡せる高台はあるか?」
三下「あ、ああ、お寺さんの境内あたりが写真をとるにはいいんじゃねえか。ちょうど山のなかっぱらでよ! へへ、へへへ」
三下(こいつはおもしろくなってきやがったぜ! この旦那にはりついてりゃきっと面白いことがあるにちげえねえぜ!)
ゴルゴ「よし、明日はそこへ案内してもらおう・・・・頼めるか?」
三下「おう、どうせ退屈してんだ! かわりに今日は都会の話を聞かせてくれよ、いいだろ? 晩飯のあとに地酒持ってくるからよ、へへへ」
ゴルゴ「・・・・じきに日もくれるからな・・・」
三下「へへ、じゃあそういうことでたのむぜ旦那、へへ」
~一方、村長屋敷~
村爺「・・・・と、まあそんな風体のカミソリみてえなするどい目つきのおとこで・・・」
村爺「民宿に泊まって、三下と村のあちこちを歩き回っておりやす」
村長「うむ、よく知らせてくれた。しかしあの三下の若いのにも困ったもんだ」
爺「おっしゃる通りでがす。畑にもようでらんで、まるで今はやりのニートでがす」
村長(前回のこともある・・・・消防団をすぐに集められるようにしておくか・・・・)
村長(本寺から、『あの方』もよんでおくのがよかろうな・・・)
爺「村長どん、どんかしやしたでがすか?」
村長「い、いや、なんでもない。消防団長のダン吉に声をかけて、いつでも男数を集められるようにしておいてくれるか」
爺「わかりやした、帰りにでも寄っておきやす」
~民宿 ゴルゴの部屋~
コンコン
女将「お客さん、晩飯だよ。今日も山の幸ばかりでもうしわけないけど」
ゴルゴ「・・・・・・」モグモグ
女将「・・・・こういっちゃなんだけど無口なんだねえ、雑誌記者さんてのはそんなんで務まるのかい?」
ゴルゴ「・・・・・・」モグモグ
女将「ま、まあいいよ、こういい食いっぷりだと、あたしも久々に腕の振るいがいがあるよ・・・」
女将「そ、その、お酌でもしようかい? 客はあんただけだしさ」
スッ コポコポ
ゴルゴ(・・・・・) グイッ
女将「いい飲みっぷり、・・・死んだあたしの亭主にも毎晩こうして酌をしたもんさ・・・な、なにいってるんだろうね、湿っぽい話しちゃって、ごめんよお客さん」
84 : 以下、名... - 2012/07/02(月) 16:10:03.38 7FhA5LWj0 15/32来たー!
85 : 以下、名... - 2012/07/02(月) 16:11:09.61 k9v9mzEY0 16/32女将「おぉぉぉ~!忘れさせておくれ!おぉ~!」
86 : 以下、名... - 2012/07/02(月) 16:14:00.80 mgkXIg/dO 17/32女将「おお~~っ!あおお~~っ!男だよォ~っ!あんたは本物の男だよおぉ~~っ!ああ~~っ!」
女将「けどその酒癖が祟り目さ・・・・消防の寄り合いで飲みすぎて帰る途中で冷たくなってた。大きな声じゃいえないけどね、この村にきたせいで早死にしたようなもんさ」
ゴルゴ(・・・・・・・・・・・ジロッ) 目から妊娠ビーム
女将「あっ、ああ・・・・お客さん、今夜だけでも、あの頃の気分にさせておくれえっ~~~っ!」
ゴルゴ「・・・・・・・・・・・・・」パンッ パンッ
女将「おおおお、~~~~~!あんた! あんた! ! おぉ~!」
>>84
>>85
>>86
シュボッ フ----------ッ
女将「すごいよ、自分の体じゃないみたい……」
ゴルゴ「・・・・・・・ひとつ、聞きたいことがある」
ゴルゴ「イワノフもここへ来たのか?」
女将「!!」
女将「ああ、ロシア人のあの男かい・・・・・」
女将「荷物をおくなり、山へ行っちまって・・・・あの人、宿帳も日本語で書けなくてさ」
ゴルゴ「・・・・・そうか・・・・」
ゴルゴ(・・・・・イワノフの件に女将はからんでいない・・・・・・・)
女将「すぐにいなくなっちまって、宿代も払わずにさ。いい迷惑だったよ」
ゴルゴ「うちの『前任者』の不祥事だ。奴の金は俺がはらっていく・・・」
女将「もうもらったよ・・・お釣りがでるくらいにさ・・・・///」
ゴルゴ「・・・・・・」
女将「スー ス-」
ゴルゴ(・・・・)ムクッ
ゴルゴ(三下の言っていた高台・・・・・・・・)
ゴルゴ(おそらくはイワノフの狙撃地点でもあったはず・・・・・・・)
カシャ
カシャンッ
ジャキッ
ゴルゴ(・・・・行くか・・・・・)
??「おい!!」
??A「待てよ、こんな時間にどこ行くだ?」
ゴルゴ(・・・・・・・・待ち伏せか)
ゴルゴ「・・・・・取材だ・・・・」
消防団A「おまえに好き勝手されるわけにいかねえ」
消防B「おめがへんなうごきしたら、止めるように村長さんにいわれてるだ」
C・D・E「おとなしく袋叩きにあうだ!! しねえ!!」
ウオオオオオオオオオオオ
ドカ
A「ぐえっ」
バキ ビシィッ
B「うわわわ~~~!!」
C「ぐほっ」
ボキッ
メメタァ
D・E「ぎゃああ~~~~っ!」
陰でみている三下(すげえ・・・・・・やっぱり俺のみこみに間違いはなかったぜ!!!!!)
ダダーッ
~寺社 高台~
三下「旦那っ! 待っていましたぜ、へへ!」
ゴルゴ「・・・・・・・・・」
三下「やつらを一瞬でノシちまうなんて、やっぱり旦那だ! ここで旦那がなにかやるのはわかってたんだ、へへ! ぬけがけはなしだぜ!」
ゴルゴ「・・・・・・・・あれだ」
三下「んっ!? 夜は明け始めたけど良く見えねえな・・・なんだあのくねくねしている・・・・」
??「そこまでだ」
ゴルゴ(!!)
??「破ぁーーー!!」
ザウッ!!
ゴロゴロ
??「かわすとはな・・・・生きている人間にこれを撃つ時があるとは・・・・・むっ!」
ズキュズキューン ズキューン
??「破ぁ!!」
チュイーン
ゴルゴ(・・・・・・・・・・!)
三下「な、なんだあいつ・・・銃弾を気合いではじきとばしやがった!!」
T「殺生の道具で俺は倒せん」
ゴルゴ「・・・・・・・・・・」
T「あのくねくねしているのはな・・・・・人間様では手の出せない何かなんだぜ・・・・・・」
クネクネクネクネ
T「あんなものに銃を向けちゃいかん・・・・・・おまけにあんたも呼ばれているだろう」
ゴルゴ「・・・・・・・・」
T「 『死神』 と・・・・」
ゴルゴ「くっ・・・・・・・!!」
T「今日・・・あるべきところに帰るのは、あのくねくねじゃない・・・あんた自身かもしれないぜ・・・ミスター・ゴルゴ・サーティーン」
三下「ゴルゴ!? あの旦那が裏世界では最強と表世界で言われているゴルゴ13だったのかい?!」
ゴルゴ(・・・・・・・・!!!!)
T「だめだ、あんたの業はふかすぎる・・・・・・あんたの殺めた魂ごと成仏させる・・・・」
ゴルゴ「く・・・・!!」
ズキュン!! ズキューン !!
T「効かぬ! 破っ!!」
チューン チュイーン・・・・・
ゴルゴ(・・・・・・・!)
三下「駄目だ! 旦那の弾は気合いで全部はじかれちまう!寺生まれはつよすぎる!!!」
T「終幕だ・・・生きた死神・ゴルゴ13・・・ぬううううううう・・・・・破ぁぁぁぁあああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーっ!!」
女将「あんたーーーーーーーーーー!!」
T「なに!?」
T(民宿の女将さん・・・・・・!? いかん、制御が間に合わん!)
女将「あの人は殺させないよーーーっ!!」
三下「女将さん! 旦那ーっ!!!」
ゴルゴ「任務・・・・・・・遂行・・・・・・・・!」
ズダダダダダダダダダダダダダダダ
T(いかん!せめて軌道をまげて女将をまきぞえから救わねば・・・・・ぐ!?)
T(不覚! 弾を食らった・・・・・!)
T(いかん! このままでは俺の放った光弾が・・・・・・)
ゴルゴ「目的の違いだ・・・・」
三下「ああっ!! Tの放った光弾が・・・・・くねくねに向かっていくぞ~~っ!!」
ゴルゴ「・・・完了・・・・」
ドオ・・・・・・・ン
三下(なっ、なんてことだ!!! 旦那ははなから、くねくねを撃つ気なんてなかったんだ!!)
三下(追い詰められたふりをしたのも、Tの意識を女将さんにそらしたのも)
三下(すべてはTにくねくねを倒させるためだったんだ!)
ゴルゴ「終わりだ」スタスタ
T「ま、待て、ゴルゴ13・・・・おまえの目的はくねくねを狙撃することではなかったのか・・・・おまえのすべての動きは・・・・・」
ゴルゴ「・・・・・・・・・・俺自身が、スコープなしのアーマライトカスタムで奴を・・・・くねくねを撃つことも不可能ではなかった」
ゴルゴ「・・・・・が、より性能の高い武器があればそれを選ぶ・・・・・それだけだ」
T「しかしおまえは、現に俺に消滅させられるところだった・・・あれも演技だったというのか」
ゴルゴ「・・・・・・・」シュボッ
ゴルゴ「・・・・・・俺の生死は、関係のないことだ・・・・・・・・依頼を果たしたという事実があるだけだ」
三下(なんてことだ・・・や、やつは化け物だっ)
T「ふむ。今ここで闘えば、ゴルゴは倒せる・・・しかしその意味も今はなくなってしまったようだ・・・・マッチ一本火事の元」スタスタ
GもTも去った
後には三下青年の死体だけが残された
無駄に詳しかっただけにオチで消される
この運命から逃れられず彼の死体はさいとうたかを流に黒くなっていた
くねくねが消滅したかどうかは、誰にも確かめようがなかった 完
210 : 以下、名... - 2012/07/02(月) 18:15:05.33 6aJEUU9j0 31/32付き合ってくれた人ありがとう
SS初めて書いたけど難しいな
普段散文しか書かないからきつかったわ thx
219 : 以下、名... - 2012/07/02(月) 18:25:10.92 6aJEUU9j0 32/32ぶっちゃけ三下は途中どっかで殺すつもりだったけど無駄に生き延びた
けどこういうキャラは最後には死ぬのがゴルゴなので殺した 罪悪感はない