男「じゃあ生二つでー」
店員「アイ、ナマフタチュー」
先輩「お、コリアン?アンニョンー。サランハヨー」
店員「ウフフ」
男「なんでもうデキあがってるんですか…」
店員「ゴ注文、イジョウデスカー?」
男「んー。先輩なにか食べます?」
先輩「お前を食べたい」
男「蚕豆ください」
先輩「うぁー」
店員「オヒトチュデー、ヨロシカタデスカー」
先輩「ふたつでー」
男「あと唐揚げー」
先輩:生×1
男:生×1
男「かんぱーい」
先輩「しねー」ガチャーン
男「割れる割れる」
先輩「ゴクゴクゴクゴクゴク」
男「ゴクゴクゴクゴク」
先輩「んぷぇー」
男「死ねるー」
先輩「死ねるわー」
男「痩せましたね、先輩」
先輩「お前はやつれたな」
男「何か嫌なことありました?」
先輩「何も」
男「楽しいことは?」
先輩「ビールが美味しい」
男「よかったですね」
先輩「いいことなんてありません」
男「ゴクゴクゴク」
先輩「ゴクゴクゴクゴク」
先輩「んぷぇー」
男「ぷぇー」
先輩「まず嫌なことから聞く癖直せよ」
男「他人の楽しい話は…ちょっと興味が…」
店員「オ待タセシャシター、ソラマメデスー」
先輩「カムサハムニダー」
男「カムサハムニダー。あと生一つ」
先輩:生×2
男:生×1
男「高校時代から好きでしたよね」
先輩「えなに、愛の告白?クズの癖に?人生終わってるクズの癖に?」
男「蚕豆の話です」
先輩「男の屑エピソード大全集がいいなー」
男「蚕豆美味しいですよね」モグモグ
先輩「うん」モグモグゴクゴク
男(尿……)ガタッ
先輩「お、クズが立ったー」
男「ちょっと楽しいことしてきます」
先輩「ちゃんと射精できたら報告してな」
男「生頼んでおいてください」
先輩「ゴクゴク」
~女子トイレ~
男「……」チョロチョロ
男「ふぅ……」チョロチョロ
【回想:高校時代】
男『先輩、何読んでんの?』
先輩『え……かもめのジョナサン』
男『へぇ…。先輩ってさ、ヤラせてくれんの』
先輩『……えっ?』
男『援交。ヤッてるんでしょ?みんな言ってるよ。ねぇ、俺も金なら……』
【回想終り】
ガチャリ
男「中ジョッキ一杯で膀胱に圧力を感じるのは悲しい」
女性「えっ」
男「こんばんは」
男「戻りました」
先輩「ビールきてたよ」
男「…半分しかないが」
先輩「私は男山にした」
男「なんでもうギアセカンドなんですか」
先輩:生×2.5 日本酒×1合
男:生×1.5
先輩「うぁー」
男「あー」
先輩「辛いなぁ」
男「そうですね」
先輩「嬉しいことなんて、なくてさ。でも、ドラマ気取れるほど悲しいこともない」
先輩「淡々と、たんたんとしててさ、そういう日常に感動を覚えるほどの感受性もなくて」
先輩「したいこともなくて、前向きに行動できなくて」
先輩「だから、こうやって飲んで、飲んだくれてさ」
先輩「何も考えられなくなって、それでやっと、楽になれる」
先輩「飲んでいるときだけは、どうしようもない自分から解放される」
先輩「どうしようもないお前と、どうしようもない私がさ、今だけは許される」
男「何で普通に『この一杯のために生きてる』って言えないんですか」
店員「カラアゲデスー」
先輩「おっせ」
男「おっせ」
店員「ウフフ」
先輩「一の蔵一合」
男「生ひとつ」
店員「ニホンシュ、オ冷デヨロシカタデスカー」
先輩「ぐつぐつに沸かして」
男「冷でいいです」
男(煙草……)
シュボッ
男「……スフー」
先輩「一本よこせ」
男「禁煙してませんでしたっけ?」
先輩「してたけど終わった。今」
男「えぇー」
先輩「いいから寄越せ、そして豚は豚の言葉で話せ」
男「ホープライトですけどブヒ」
先輩「もらうブヒ」
先輩:生×2.5 日本酒×2合
男:生×2.5
先輩「いつか死ぬー、いつか絶対ー死ぬゥー」
男「爪楊枝で唐揚げ遊ばないでください」
先輩「刺殺」
男「ゴクゴクゴクゴク」
先輩「馬できた」
男「ゴクゴクゴクゴク」
17 : VIPに... - 2011/05/13 23:10:58.68 LX7uem2AO 15/207なぜ男は当たり前のように女子トイレで用を足してるんでしょうか・・・
先輩「女子トイレで尿垂らす癖やめろよ」
男「好きなんですよ、女子トイレ」
先輩「殴られても文句言えない」
男「いや僕は…、嫌悪されることでしか他者と関係を築けないというか」
男「無関心でいられるよりは嫌われていたいというか」
男「もっと言えば好かれるより嫌われていたいというか」
男「だから嫌がられるための習慣が身についてしまっているんです」
先輩「私はお前のそのパーソナリティを指して屑と呼ぶよ」
先輩「くーずくーず」
男「あー」
先輩「屑は屑らしく朝と夜の一日二回、両親と国と神に謝り、遍く他人に許可をもらってから呼吸をしろ」
男「うぁー」
先輩「ペニスに『僕は屑です』と刺青を入れて女子トイレに入る癖を直せ」
男「僕はー」
先輩「うん」
男「僕は…。もう…屑はいやだよぅ……」
先輩「うん」
男「本当は…普通にさ、馬鹿みたいにじゃ、なくてさ…」
先輩「でも、普通が、上手にできないのは悲しい」
男「普通が普通にできないくらいなら、最初から失敗していた方がマシだ」
先輩「うん」
男「先輩」
先輩「うん」
男「チューしていいですか?」
先輩「近うよれ」
店員「オ待タセシマシター」
男「あー」
先輩「うぁー」
先輩:生×2.5 日本酒×3合
男:生×3.5
男「細かすぎて伝わらない物真似ー」
男「ハウスオブザデッドの、ゾンビに襲われて助からず死ぬ一般市民ー」
男『ノー!ノーゥ!…アドワナダーイ…』
先輩「グビグビグビグビ」
男「徳利から直に飲むの止めてください」
男「っていうか先輩、唐揚げ食べないんですか」
先輩「肉嫌いなんだよ」
男「何で頼んだんですか」
先輩「頼んだのお前だろ」
男「そうでしたっけ」
先輩「そうだ痴呆。食え」
男「肉苦手なんですよ」
先輩「馬分解!」
男「わあ」
先輩:生×2.5 日本酒×3合 しそ焼酎×1
男:生×4.5
男「先輩、明日ヒマですか」
先輩「明日なんてこない」
男「それは知ってますけど。ヒマならどこか行きませんか?」
先輩「上野動物園禁止な」
男「行きましょうよー」
先輩「上野動物園好きすぎだろお前」
男「猿とカワウソと白熊とトラが見たいです」
先輩「独りで行ってこい」
男「切ない」
先輩「ゴクゴクゴク」
男「うぅ」
先輩「動物好きは人間嫌いってか?そういう陳腐なキャラ付けは嫌いだ」
男「動物も嫌いですけどね、まあ。臭いし」
先輩「二度と誘うな」
男「多摩動物公園…」
先輩「独りで行ってこい」
男「切ない」
先輩「ゴクゴク」
先輩:生×2.5 日本酒×3合 しそ焼酎×2
男:生×5.5
男「ヒマじゃないんですか?」
先輩「ヒマだけど、明日も意識を保てるような飲み方は私の前では許さない」
男「僕、そろそろ呂律が怪しいんですけど」
先輩「私の前では許さないっ!」
男「どうしようこの人かっこいい」
男「」
先輩「今の間なに」
男「尿意」
先輩「飲んでやるよ」
男「ちょっと切ないことしてきます」
先輩「ちゃんと射精できたら報告してな」
~男子トイレ~
男「間違えた」
~女子トイレ~
男「……」チョロチョロ
男「……ふぅ」チョロチョロ
【回想:高校時代】
男「卒業おめでとうございます」
先輩「ありがとうございます」
男「……この先、どうするんですか」
先輩「何も考えてません」
男「あー」
先輩「そして貴方には何も教えません」
男「傷つく」
先輩「まぁ…、都会にでも…行こうかな、とだけ」
【回想終り】
男「あー。あーあー」
男「戻りました」
先輩「お酒を頼んだ」
男「ありがとうございます。……」
先輩「何見てる」
男「昔の先輩は愛らしかったな、と」
先輩「ちょっと救えないほどのペドフィリア」
男「そこまで昔じゃなくて」
男「高校生のころは、ほら、黒髪ロングのお嬢様風で」
男「眼鏡とかもかけちゃったりして」
男「図書館に咲く一輪の花」
先輩「キュアコミュ障」
男「自覚がおありとは」
先輩:生×3.5 日本酒×3合 しそ焼酎×1
男:生×5.5
男「それが今では」
先輩「煙草ちょーだーい」
男「どうぞ」
シュボ
先輩「すふー」
男「すふふー」
男「どれくらい飲みました?」
先輩「ビール3.5ジョッキ、 日本酒3合 しそ焼酎1杯」
男「ダウト」
先輩「あー」
男「焼酎1杯サバ読んでますね」
先輩「どうしようクズがキモくてウザい」
男「三重苦」
先輩「そしてサバ食べたい」
男「頼みなさいな」
先輩:生×3.5 日本酒×3合 しそ焼酎×2(訂正)
男:生×5.5
男「すみませーん、生ひとつー」
先輩「サバの冷静燻製一つ、あとタンタカタンひとつ」
店員「ゴ注文クリカエシマスー」
男「すふー」
先輩「ずぇふー」
女性「あのー……」
男「ゴクゴクゴク」
先輩「ゴクゴクゴクゴク」
女性「あ、やっぱり。すみません、さっきトイレで…」
男「すみません警察だけは」
女性「えっ」
女性「いえ…、このハンカチ、忘れていかれましたよね?」
先輩「これは恥ずかしい」
男「生まれてすみません」
女性「クスクス…、ちゃんとお渡しできてよかったです」
先輩「よく男なんぞに、わざわざ届ける気になったもんだ」
女性「いえ…、――、――」
先輩「ゴクゴクゴク」
男「ゴクゴクゴク」
先輩「んぇ?」
先輩「煙草ちょーだー」
男「一万円」
先輩「死ねー」
シュボ
先輩「ずはー」
店員「オ待タセシマシター」
男「はやい」
先輩「はやい」
先輩:生×3.5 日本酒×3合 しそ焼酎×3
男:生×6.5
先輩「あの子、なんて?」
男「セッ○スしましょうって」
先輩「どうしよう私同性同士なんて久しぶり」
男「ほんと見境ねぇなアンタ」
先輩「テメェだ糞屑」
先輩「女子トイレで女の子ひっかけるとか」
男「ゴクゴク」
先輩「あとハンカチ、女ものですね」
男「ゴクゴクゴク」
先輩「インポテンツの癖に」
男「おいおまえものごとにはいっていいこととわるいことが」
先輩「ゴクゴク」
男「……」
先輩「まさかまだ治って」
男「その話は許してください」
先輩「じゃあハンカチが誰のか」
男「いやそれも」
先輩「じゃあさっきの女の子の」
男「何この詰め将棋」
男「先輩なんか怒ってます?」
先輩「いや、男のリアル屑パフォーマンスを久々に見てドン引きしただけ」
男「……焼き鳥とお餅を注文しよう」
先輩「……根性ファイアー」
男「あっつう!鎖骨あっつぅ!!」
男「……」
先輩「ゴクゴク」
男「顔マネしまーす」
先輩「ゴクゴク」
男「ベヘリット」
先輩「ブッ」
男「……」
先輩「……」
男「……せんぷぁーい」
先輩「ブフーーーーッッッ!」
男(今日はじめて笑った…)
先輩「ゲホッ、ゴホッ、ウエェッグホ」
男「えげつない噎せ方しますね」
先輩「今のはちょっと許されざる顔だったわ…」
男「クリソツですよね」
先輩「親でも縁切るレベル」
男「っていうか、噴き出すならせめて横向いてください」
先輩「焼酎も滴るいい屑になった」
男「乳首の先までビショビショですが」
先輩「きめー」
男「誰のせいですか」
先輩「いやお前のせいだろ糞男」
先輩「あー」
男「うぁー」
先輩「さっきの女の子、可愛かったな」
男「そうですね」
先輩「お前、ちょっと呼んでこいよ」
男「先輩が呼んできてくださいよ」
先輩「……」
男「ゴクゴク」
先輩「煙草ちょうだい」
男「もうないです」
先輩「うぁー」
先輩「買ってこいよ」
男「面倒臭い」
先輩「なら作れよ」
男「無から煙草を産む簡単なお仕事ですか」
先輩「歩合制でな」
男「やった仕事決まったー」
先輩「まだ無職でしたかよお前」
店員「オ待タセシマシター」
先輩:生×3.5 日本酒×3合 しそ焼酎×4
男:生×7.5
先輩「何杯目だったっけ」
男「覚えてません」
先輩「嘘つけ変態。ねー店員さーん」
店員「ハイ」
先輩「私どれだけ飲んだ?」
店員「全部ヨ」
先輩「え」
店員「オネーサン、ゼーンブ飲ンジャッタ、一人デ」
先輩「え」
男「あ」
先輩「あれ?」
男「先輩、気にしちゃ駄目です、先輩、先輩」
先輩「いや、男も飲んでたよ。男はビールしか飲まなくてだからずっとビールで、でも一人で、おねーさん? 私か?私は何杯飲んだ?たくさんだ。なああの店員、何を言って」
男「気にしちゃ駄目だ。先輩、考えちゃ駄目です。何も考えない。酔って考えるな」
先輩「私は酔ってない」
男「なら飲むんだ。先輩、飲んでください。さあ飲んでください」
先輩「ゴクゴクゴク」
男「ベヘリットー」
先輩「ブフーーーーッ」
男「目に、目に入った焼酎が」
先輩「ゴホッ、グォホ、……おま、ふざけ……あ、あぁ」
男「先輩?」
先輩「あたま、いたい」
男「先輩」
先輩「そうだ。私は先輩だ。男の先輩で、男が先輩と言ったら私のことで、だから私は男のことをよく知っています。だけど、そうだ、男は唐揚げが好きだよ?だから唐揚げを頼んだんだ。でも肉は嫌いって言うから。肉が嫌いなのは私だよ先輩だよ。頭痛い。でも唐揚げ頼んだのは男だ。違う。頼んだのは私だ。でも食べなくて、爪楊枝を刺して馬にしました。誰が食べなかった。男だ。いや違う私が」
男「先輩、しっかりしろ。考えるな。笑え。飲め!」
先輩「飲んでるんだよ!!そうだ私が頼んだんだ。そうだ。頭が痛い。そうだ、あのときも、私が頼んだんだった。男に、お願いしますって、言ったんだった。そうしたら男は」
男「現実に戻るな!!」
先輩「現実って、なんだよ。なあ」
男「……」
先輩「なあ、何で私とお前が飲んでるんだ?」
男「これが、先輩にとっての現実のはずなんですよ。僕と先輩で、脳味噌腐るくらい飲んでそれで一緒にいて」
先輩「そうだ。そうです。私は男の先輩なんです。高校で一学年下だった男が私に声をかけてきてでもそれは体目当てだったんですけどね。私はカッコいいのに気持ち悪いなぁと思いました。でもとても気があって、それはお互いに傷を舐めあうような関係に安心感を抱くことのできる絶望を分かち合うことで心安らぐことのできる糞野郎同士だったからなんです」
男「飲みましょうよ、先輩。明日なんてない、って言ったのは先輩じゃないですか。何も思い出さないのが嬉しいんじゃないんですか。何も想像しないのが楽なんじゃないんですか。頼む、目を背けてください。現実なんか見ないでくださいお願いです」
先輩「私はとても居心地良く感じていましたが男さんには深入りするまいと心に決めていましたよ。私は駄目な子なんです。男さんは女性に対してとてもアグレッシブで、常に女性の匂いをさせているような人でした信じられない。いつかペニスをへし折ろう。そういえばさっきの可愛い子もわざわざハンカチを届けにきてくれたりして、今時ハンカチ落としてきっかけを作るなんて古風で愛らしい。愛おしい屑だな。まああのハンカチは私のなんだけど。昔から私のなんだけど」
男「それでもこんな糞みたいな現実に戻ろうとするんですか先輩は。その酔態で普通の人間気取りですか。先輩は駄目な子です。ならこれが現実ですね。僕が無類のスケコマシで常に盛ったメス臭をさせているような人間なので先輩は僕のペニスをへし折ろうとしたこともあって、それでも僕が落としたハンカチを届けにきてくれたりして。今時ハンカチを落としてきっかけを作るなんて古風で恥ずかしかった。でも嬉しかったですよ先輩。まああのハンカチは誰か知らない女のなんだけど」
先輩「それで一緒に動物園にも行って。男さんは動物園がなぜか大好きでしたね。二人で猿山の盛り狂った猿たちを見て日が暮れるまで酒を飲んで猿を見て、夜になったらセッ○スセッ○スセッ○スセッ○ス。私は猿山の猿のことを思い出していましたよ。男さんの肉棒を二度と放すまいと奥まで銜え込んでキャンキャン鳴いてモットモットと言いました。病み付きになってセッ○スの前には度々動物園に行くようにしましたね。セッ○スは頻繁にしましたけど好きだとは絶対に言わないようにしていました私。男さんが求めているのは体のだけの関係だったからです。でもこのまま一緒にいればいつか好きと言ってしまい、それで全てが台無しになると、私には予感がありました。だから私は男さんと距離を置くため都会に来たのです。だから――」
男「それで一緒に動物園とか行って。僕が動物園が大好きだったからですよね。二人で猿山の盛り狂った猿たちを見て日が暮れるまで酒を飲んで猿を見てさ、夜になったらセッ○スセッ○スセッ○スセッ○ス。先輩の喘ぎ声が猿山の猿みたいだと思いましたよ。僕の肉棒を二度と放すまいと奥まで銜え込んでキャンキャン鳴いてモットモットと言っていました。病み付きになってセッ○スの前には度々動物園に行くようにしましたね。セッ○スは頻繁にしましたけど好きだとは絶対に言ってくれませんでした先輩は。僕が求めているものが先輩の体だけだったからです。でも僕はこのまま一緒にいればいつか先輩のことが好きになってしまって、それを恐れていました。でも先輩は僕を置いて東京に行っちゃったんですよね。僕は捨てられました。もう会えないんですよ。だから――」
「「ここに男がいるはずがない!!!!」」
――――………
先輩:生×11 日本酒×3合 しそ焼酎×4
店員「ラストオーダーデスー」
先輩「…生で」
店員「オヒトチュデー、ヨロシカタデスカー」
先輩「一人でフタチュも飲むのかよ」
店員「ウフフ」
先輩「可愛い」
先輩:生×12 日本酒×3合 しそ焼酎×4
先輩「ゴクゴクゴクゴク」
【回想:池袋、某居酒屋】
先輩『お、コリアン?アンニョンー。サランハヨー』
店員『ウフフ』
先輩『…』
店員『ゴ注文、イジョウデスカー?』
先輩『蚕豆ください』
店員『オヒトチュデー、ヨロシカタデスカー』
先輩『ふたつでー』
先輩『あと唐揚げー』
【回想:女子トイレ】
先輩『中ジョッキ一杯で膀胱に圧力を感じるのは悲しい』
女性『えっ』
先輩『こんばんは』
先輩「普通が普通にできないくらいなら、最初から失敗していた方がマシ…。そうだな」
【回想:池袋、某居酒屋】
女性『いえ…、このハンカチ、忘れていかれましたよね?』
先輩『これは恥ずかしい』
女性『クスクス…、ちゃんとお渡しできてよかったです』
先輩『よく男なんぞに、わざわざ届ける気になったもんだ』
女性『いえ…、あなたが落としたんですよ?』
先輩『んぇ?』
先輩「帰ろう」
先輩「帰ろうな、男」
先輩「飲みすぎだろ、私も。お前も」
先輩「ここは私が払うよ」
先輩「無職はスッこんでろよ」
先輩「すみませーん、おかいけー」
先輩「……」
~川越街道~
先輩「ヨタヨタ」
先輩「マジックマッシュルームを知ってるか?」
先輩「違法ドラッグのヤツだ、当然」
先輩「服用すると幻覚が発現するらしい。……私は知らんよ」
先輩「それで、マジックマッシュルームの中毒患者の5人に1人は」
先輩「『小人に噛みつかれる』という幻覚を視るんだってさ」
先輩「おかしいよな。小人なんて、誰も視たことないはずなのにな」
先輩「うへへ……」
先輩「なあ、おい……」
先輩「う……っあ」
先輩「けろっぴ」ビシャビシャ
先輩「ぅぐ」
先輩「なあ、男……」
先輩(……いねえし)
先輩「ヨタヨタ」
先輩「うぁー」
先輩「……」
(あいたいなぁ……)
~先輩宅~
先輩「グゥ……」
先輩「……」
先輩「……」
先輩「……ハッ」
先輩「……おー」
先輩「……死ぬ」
男「おはようございます」
先輩「おは……死ね」
男「ええー…」
先輩「なに、おまえ……えー…何お前」
男「カタコトの先輩は三割増しだなぁ」
先輩(どうやって帰ってきたんだっけ……)
先輩(タクシーの記憶はないし)
先輩(歩いた記憶もないけど)
先輩「気持ち悪」
男「ひどい顔色ですよ」
先輩「いやだから何だお前」
先輩「何でいるの……」
男「先輩が呼んだんじゃないですか」
先輩「お前を呼ぶくらいなら裏の野良猫でも呼ぶ」
男「あの猫太りすぎてません?」
先輩「妊婦なんだよ」
先輩(携帯……、どこやったっけ)
先輩(……まあいいや)
男「お水どうぞ」
先輩「最近の幻覚は水も汲めるのか」
男「もうちょっと眠ってください。辛そうですよ」
先輩「辛くねえよ」
男「辛くないですか」
先輩「辛いよ糞馬鹿」
男「泣いてないですね」
先輩「泣いてねえよ」
男「ですよね、泣いてない」
先輩「ねえ」
男「はい」
先輩「動物園行こうよ」
男「いいですね、上野動物園」
先輩「猿とか白熊を見よう」
男「胸が弾みます」
先輩「そのあとはさ」
男「お酒を飲みに行きましょう」
先輩「…………そうだね」
男「お酒を飲んで、嫌なこと全部忘れましょう。きっと楽しい」
先輩「そうだね」
男「でも、まずは寝てください。体力赤ゲージでしょう」
先輩「うん」
男「じゃあ、水全部飲んで、目ぇ瞑って」
先輩「うん」
先輩「男ぉー」
男「はい」
先輩「いる?」
男「いますよ」
先輩「嘘だ」
男「そんな無茶な」
先輩「男どこー」
男「手を握ってあげます」
先輩「あ、いた」
男「いますよ」
先輩「何でいるの……」
男「うわ、うっぜぇ」
先輩「いるんだ」
男「ええ、ここにいますよ」
先輩「何て?」
男「だから、ここにいます」
先輩「……」
男「先輩…?」
先輩「男はここにいます」
男「僕はここにいます」
先輩「……」
男「……」
先輩「……」
男「……先輩?」
先輩「……スゥ」
男「……」
先輩「……」
男「……おやすみなさい」
84 : ◆i0Q6UoT0hI - 2011/05/17 21:27:02.68 fVfjkgCq0 72/207終ワリデスー
オチねぇ!
でもそんなもんだよね人生とかも!!
先輩「以下サシノミで1000を目指すスレ」
男「ここから超濃厚な飲み屋スレになります」
先輩「ご期待ください」
~池袋・某居酒屋~
店員「イラッシャイアセー」
先輩「うん」
店員「ゴ注文オ決マリデシュカー」
先輩「生」
男「生ふたつー」
先輩「出たな幻覚」
男「何ですかマジでもう」
先輩:生×1
男:生×1
男「かんぱーい」
先輩「ぶっつぶれろー」ガチャー
男「それ毎回やりますけど普通にジョッキ割れるんで止めてくださいね」
先輩「はい」
男「ゴクゴク」
先輩「ゴクゴクゴクゴク」
先輩「ぶぇー」
男「んぶぇー」
先輩「おっさんめ」
男「何か食べ物頼みます?」
先輩「適当に」
男「…肉駄目でしょ」
先輩「肉駄目」
男「肉以外で駄目なものは」
先輩「ドレッシング全般。あとつぶあんと魚卵と一部の果物系とお前」
男「人生楽しくなさそうですね」
先輩「楽しくないしな」
男「肉料理とサラダとデザートは駄目ですね」
先輩「あ蚕豆食べたーい」
男「マジ面倒臭い」
先輩「お前嫌いなものないの」
男「メンソール系ですかね。あと自分」
先輩「人生楽しそうだな」
男「楽しくないですけどね」
先輩「すみませーん」
店員「アイー」
男「蚕豆ふたつー」
店員「ソラマメガーオフタチュー」
先輩「あと生ふたつ」
店員「生ビールガーオフタチュー」
先輩「あと希望」
男「あと愛」
店員「ウフフ」
先輩「何考えてるか当ててやろうか」
男「止めてください」
先輩「『店員ちゃんおっぱいマジでけー』」
男「あれハンパない」
先輩「ちょっと別次元だわ」
男「何入ってるんですかね」
先輩「希望とか」
男「愛とか」
先輩「ゴクゴクゴク」
男「ゴクゴク」
先輩「っていうか、やっぱおっぱい大きい方が好きなの?」
男「好きか嫌いかで言うと、最高ですね」
先輩「ふーん」
男「……あっ、ち、小さいのも好きです。最高、微乳最高」
先輩「どこ見て言ってんだ腹立つなぁ」
先輩「巨乳になりたい」
男「もう育たんでしょう…」
先輩「何かあるだろ」
男「あー…。ベタですけど、乳製品とか」
先輩「じゃあカルーアミルクを頼もう」
男「さっき生頼んだじゃないですか」
先輩「ビールも飲む」
店員「オ待タセシマシター」
男「カムサハムニダー」
先輩「カムサハムニダー。あとカルーアミルクひとつとチーズ盛り合わせ」
店員「アイー」
男「必死じゃないか…」
先輩「あとおっぱい揉ませて」
男「駄目だこの人」
店員「チョットダケネ」
男「!」
先輩「!」
男「ちょっと先輩」
先輩「じゃあ失礼して」
店員「ウフフ」
先輩「……」モミモミ
男(がっつり揉んどる)
先輩「……」タプタプ
店員「モウイイ?」
先輩「あ、はい……すいません……」
男(負け犬の目だ……)
先輩:生×2
男:生×2
先輩「堪能した」
男「そういう店じゃねえですからここ」
先輩「そんなこと言って」
男「?」
先輩「羨ましかっただろ正直」
男「先輩のお花畑脳が羨ましいです」
先輩「おっぱい揉んだ手だぞー」
男「ゴクゴク」
先輩「触りたいだろー」
男「ゴクゴク」
先輩「間接パイタッチだぞー」
男「ゲフ」
先輩「嗅いでもいいぞー」
男「先輩指細いですね」
先輩「くんくん」
先輩:生×2 カルーア×1
男:生×3
先輩「うぁー」
男「あー」
先輩「煙草ちょうだい」
男「どうぞ」
先輩「悪いね」シュボッ
男「ゴクゴク」
先輩「すふー……」
男「ゴクゴク」
先輩「……女らしくなりたい」
男「ぶっ」
先輩「ばっちぃー」
男「……」ゴシゴシ
先輩「なあ、おい」
男「……」
先輩「目ぇ逸らすなハゲ」
男「ハゲてませんし」
先輩「うあー…」ゴクゴク
男「悩み事があるなら聞きますよ」
先輩「幻覚がずっと見えてて怖い」
男「入院なさいな」
先輩「あと女らしさが欲しい」
男「入院なさいな」
先輩「うぁー」ゴクゴク
男「うぁー」ゴクゴク
男「とりあえず、酒煙草は女らしくはないですね」
先輩「うん、それ以外で」
男「やる気ねえでしょ」
先輩「あるよー。あるよーやる気ー」
男「ゴクゴク」
先輩「ゴクゴクゴクゴク」
男「……。…あ、髪伸ばしたらどうです?」
先輩「ベリショ楽なんだよ」
男「昔はロングだったじゃないですか」
先輩「暗黒時代の話はやめろ」
先輩「他に何か」
男「そう言われましても……」
先輩「なんかあるだろ」
男「そもそも男性に聞いてる時点で終わってますよね……」
先輩「使えないなこの屑野郎」
男「女らしい人は屑野郎とか言いません」
先輩「おま○こ野郎」
男「最悪だ」
男「っていうか」
先輩「はい」
男「先輩は、喋り方がすでに女子力ゼロです」
先輩「喋りは関係ないだろ」
男「はい、それ」
先輩「?」
男「『だろ』は駄目です。完全にチンピラです」
先輩「どうしろと」
男「『でしょ』にしてみるとか」
先輩「関係ない…でしょ…」
男「ちょっと…いいんじゃないんでしょうか」
先輩「マジで?」
男「あ、それも『ほんとに?』で」
先輩「ほんとに?」
男「あ、きてる。女子力きてる」
先輩「ほんと?」
男「結構違うもんですよ」
先輩「じゃあ、喋り方直して、髪伸ばして」
男「それでスカートとか履いたり」
先輩「おおお」
男「あとは胸が膨らめば」
先輩「詰んだ」
男「ゴクゴク」
先輩「詰んだ」
男「……」
先輩「……」
男「ぁー」
先輩「……」
男「死にたいけど」
先輩「うん」
男「死にたくない」
先輩「うん」
先輩:生×2 カルーア×1 芋焼酎×1
男:生×4
先輩「……」
男「……」
先輩「煙草」
男「どうぞ」
先輩「どうも」シュボ
男「……」
先輩「…ふー…」
男「……」シュボ
先輩「……」
男「…すふー」
先輩「……あのさぁ」
男「はい」
先輩「しよっか」
男「は?」
先輩「セッ○ス」
男「……」
先輩「なぁ」
男「……急にどうしました?」
先輩「別に」
男「……」
先輩「しねえの?」
男「っていうか、勃ちませんし、僕」
先輩「あー」
先輩:生×2 カルーア×1 芋焼酎×3
男:生×5
先輩「あー……」
男「……」
先輩「……なんか、話聞かせて」
男「あー……」
先輩「……」
男「ゴクゴク」
先輩「……」
男「じゃあ……。…LSDって、知ってます?合成麻薬の」
先輩「小人の話?」
男「ありゃ」
先輩「お前から聞いたんだったか」
男「そうでしたっけね……」
先輩「ゴクゴク」
男「あー……」
先輩「……」
男「……じゃあ、幻覚つながりで……」
先輩「……」
男「古い話ですが、人が幻覚を視るとき、脳がどのように働くか、調べた実験があったそうです」
先輩「……」
男「脳波を調べたそうです。人体実験です。薬物中毒者を使って」
先輩「……」
男「……記録された、幻視者の脳波の波形は、ある種の波形と非常によく似ていたそうです」
先輩「……」
男「なんだか分かりますか?」
先輩「さぁ……」
男「性的興奮」
先輩「……」
男「特に、オーガズムのときの脳の動きと、非常に酷似していたといいます」
先輩「……」
男「気持ちいいんでしょうかね、幻覚って」
先輩「……」
男「そういえば、走馬灯……、今際の際に視る幻覚も、快感を伴う…」
先輩「……」
男「なんて、俗な話もありますね」
先輩「……」
男「気持ちいいんですってね。……死の恐怖を、忘れてしまうくらい」
先輩「私は…別に…」
男「誰も先輩のことなんて言ってませんよ」
先輩「……」
男「どうしました?」
先輩「別に……」
男「その表情…、ああ、青春時代を思い出すなぁ…」
先輩「……」
男「なぁ?」
先輩「おま○こやろーめ」
男「ははっ」
先輩:生×3 カルーア×1 芋焼酎×3
男:生×6
先輩「っていうか、その程度でキワどいトーク気取ってるからモテないんだよ。無職。ワキガ」
男「そういう心に刺さるのはやめてください」
先輩「はぁ……」ゴクゴク
男「ゴクゴクゴク」
先輩「煙草ー」
男「どうぞ」
先輩「……」シュボ
男「……」
先輩「……すはー」
男「……」
先輩「……なんか話聞かせて」
男「なんなのこの人……」
男「じゃー……さっき脳の話したんで、脳つながりで」
先輩「……」
男「ゴクゴク」
先輩「ゴクゴク」
男「えーっと。人間の脳は、数パーセントしか使われてないって話、聞いたことあります?」
先輩「うん」
男「脳の大部分は、普段は眠っているけど、そこには未知の可能性が秘められている……」
先輩「……」
男「あれ、間違いらしいです」
先輩「……」
男「最新の脳科学だと、人間は常時、脳を100パーセント、フル稼働できているそうですよ」
先輩「……」
男「つまり、僕や先輩は、脳みそ100パー使ってこの程度らしいんです」
先輩「……気が滅入る」
男「ひひひ」
先輩「……」
男「…ところで、『脳力開発』みたいなセミナー、流行りましたよね」
先輩「……」
男「週刊誌の広告なんかに。『貴方もみるみる天才に!』みたいな」
先輩「……」
男「ああいうのも、つまり結局、根拠のないものだったってことですね。詐欺とは言いませんが」
先輩「……」
男「……でも。ほんのときたま。本当に稀に」
先輩「……」
男「そういったセミナーから、本物の天才が…。あるいは非現実的な能力を持つ者が」
先輩「……」
男「輩出されることがあったそうです」
先輩「……」
男「彼らはいったい、何を『開発』したんでしょうね」
先輩「……」
男「……何を『開発』されたんでしょうね」
先輩「……」
男「……」ゴクゴク
先輩「……」ゴクゴク
男「……」
先輩「うぁー……」
男「……」
先輩「知的になりたいなー……」
男「聞いてないですよね全然マジで人の話」
男「生っていわれたら、なに想像します?」
先輩「なにって。ナニだろ」
男「ナニって何ですか」
先輩「ニヤついてんなよキモいな」
男「生といえば」
先輩「生といえば」
男「生ビール」
先輩「本番中出し着床ファック」
男「マジやめろ」
先輩「ナニがだよ」
店員「生オ持チシマシター」
二人「「マジやめろ!」」
店員「?」
先輩:生×4 カルーア×1 芋焼酎×3
男:生×7
男「何か食べたい」
先輩「頼めよ」
男「うぁー…」
先輩「……」
男「……」
先輩「……」
男「……」シュボ
先輩「……」
男「すふー……」
先輩「いや頼めよ」
男「すみませーん」
店員「アイー」
男「塩辛ひとつ」
店員「シオカラオヒトチュー」
先輩「浦霞一合」
店員「オヒヤデヨロシイデスカー」
先輩「うん」
店員「ゴ注文繰リ返シマスー」
先輩「……あっ」
男「どうしました?」
先輩「塩辛頼んだ?」
男「塩辛頼みました」
先輩「私、塩辛食えない」
男「えぇー…」
男「塩辛嫌いって、はじめて聞きました」
先輩「いや、嫌いってほどじゃないけど…」
男「なんですか」
先輩「この間、アニサキスの画像見たから」
男「……」
先輩「回虫が…胃の壁をうねりながら…」
男「……」
先輩「いつの間にか無数に増えてウゾウゾと……」
男「……」
先輩「食えない」
男「……」
男「想像しちゃった…」
先輩「頑張って食えな」
男「いやもう…、食欲わかないです…」
先輩「頼んだら食えよ」
男「先輩食べないなら、頼む前にそう言ってくださいよ」
先輩「頼む前に訊けよ糞男」
男「糞先輩」
店員「オ待タセシマシター」
男「ひっ」
先輩「ひぃっ」
店員「?」
先輩:生×4 カルーア×1 芋焼酎×3 日本酒×1
男:生×8
男「モグモグ」
先輩「……え、あ、結局食うんだ塩辛」
男「ええまあ。よく考えたら死んでも困りませんし。別に全然」モグモグ
先輩「なるほど」
男「モグモグ」
先輩「私にも頂戴」
男「どうぞ」
先輩「モグモグ」
男「グビグビグビグビ」
先輩「ずいぶん飲むね」
男「アルコール消毒」
先輩「なるほど」
男「グビグビ」
先輩「グビグビグビグビ」
先輩「酒が来ない…」
男「……」
先輩「…なんか話してよ…」
男「……昔話でもしましょうか?」
先輩「やめて」
【回想:高校時代】
先輩『……最低っ……』
男『最低ですか』
先輩『最低!』
男『それだけ?』
先輩『……っ』
男『教えてあげようか、先輩。そういうときはね。”死ね”って言うんですよ。”糞野郎”って言うんですよ。”このおま○こ野郎”って言うんですよ』
先輩『…死ねっ!死ね!死ねこの…糞野郎!!』
男『おま○こ野郎、は?』
先輩『……っ、人間の屑…!』
男『…可愛いなぁ。ゾクゾクするなぁ』
先輩『……』
男『ひひひ』
【回想終わり】
先輩:生×4 カルーア×1 芋焼酎×3 日本酒×2
男:生×9
店員「生デスー」
男「……死にたい」
店員「男山デスー」
先輩「いいよ死んでマジで」
男「無防備に回想掘り返すんじゃなかった…」
先輩「人のトラウマ勝手に黒歴史にしてんじゃねーわよ屑。死ね」
先輩「反省してんだ、一応」
男「反省というか、更生というか」
先輩「よかったな」
男「どの道屑ですけどね」
先輩「ぁー……」
男「……」
先輩「二軒目行くか?」
男「……お金ないでしょう」
先輩「ないことはない」
男「またそんな」
先輩「働いてるしな」
男「え」
先輩「ん?」
男「……え、あ、ああ」
先輩「なんだよ」
男「売春はノーカンですよ?」
先輩「はっ倒すぞお前」
先輩:生×4 カルーア×1 芋焼酎×3 日本酒×3
男:生×10
先輩「……」ゴクゴク
男「……」ゴクゴク
先輩「…二軒目どうする?」
男「先輩宅で」
先輩「……エロい」
男「違います」
男「飲んだら出ますか?」
先輩「……」
男「先輩?」
先輩「……ずっと、酒だけ飲んで、酔っ払っていられたら…」
男「……」
先輩「ずっと、こうしていられたらいいのに……」
男「ずっと飲んでたら、死んじゃいます」
先輩「それでいいよ…」
男「……」
先輩「あぁ、それがいいなぁ……」
男「先輩」
先輩「分かってるよ…。言うほど飲んでない……すんませーん!」
店員「アイー」
先輩「お会計ー」
店員「アリガトゴジャイマスー」
先輩「お前もちょっとは出せよ?」
男「……」
先輩「黙んな馬鹿」
店員「300円ノ、オ返シデスー」
男「なんか、すみません。ごちそうさまです」
先輩「いいよ」
店員「マタ来テネ?」
先輩「え」
先輩「あ」
店員「ウフフ」
先輩「ウフフ」
男「ウフフ」
~池袋・西口~
先輩「うぁー……」ヨタヨタ
男「……」ヨタヨタ
先輩「……あ」ヨタヨタ
男「……」ヨタヨタ
先輩「猫だー。ねこねこー!」ダッ
男「レジ袋です、先輩、待って、先輩!待って!!」ダッ
~川越街道~
先輩「……」ヨタヨタ
男「……」ヨタヨタ
先輩「……」ヨタヨタ
男「……」ヨタヨタ
先輩「……」
男「……先輩?」
先輩「うっ、え」
男「……」
先輩「うぇぇ」バシャバシャ
男「大丈夫ですか」
先輩「えっぐ、んっ…」
男「……」
先輩「うぇぇ」バシャバシャ
男「背中触りますよ」
先輩「あっ、うぁぁ、うっ、えぇぇ」
男「先輩」
先輩「……もうやだよぉ」
男「指入れますよ」グイ
先輩「うぇぇぇ」バシャバシャ
男「立てますか?」
先輩「もう…やだ…」
男「……」
先輩「うんざりだ」
男「先輩」
先輩「うんざりなんだ、こんな毎日…」
男「……」
先輩「目を逸らしたくて、飲んでも、酔い潰れても」
男「……」
先輩「私は駄目だ。駄目だよ。辛い」
男「……」
先輩「怖いよ……」
先輩「みんなそうなんだろ…」
男「……」
先輩「辛いのに、怖いのに」
男「……」
先輩「何も楽しいことなんてないのに、楽しい、楽しいって誤魔化して」
男「……」
先輩「本当は空っぽのくせに」
男「……立てますか」
先輩「お前だってそうだ…」
男「……」
先輩「うんざりしてるんだろ」
男「……」
先輩「糞みたいな私にさぁ!」
男「僕は」
先輩「……」
男「先輩のこと好きですよ」
先輩「……」
男「……」
先輩「ありがとう」
男「……」
先輩「…でも、なにも変わらないんだ、結局」
男「……ええ」
男「立てますか?」
先輩「……」
男「おんぶしますよ」
先輩「うん」
男「よっこい」
先輩「しょういち」
~先輩宅~
男「着きましたよ」
先輩「ベッドー」
男「はいはい」
ドサッ
先輩「投げるな」
男「はいはい」
先輩「ビールー」
男「キッチンどこですか?」
先輩「あっちー」
男「どっち」
シュー
先輩「なんか聴こえる」
男「冷蔵庫ビールばっかりですね。どうぞ」
先輩「なんか聴こえない?」プシッ
シュー
男「ああ、ガスの」
先輩「んぇ?」ゴクゴク
男「なんでもないです。飲んだら休みましょうね」
先輩「うん」ゴクゴク
シュー
先輩「残りあげる」
男「いただきます」ゴクゴク
先輩「はぁ……」
男「眠い?」
先輩「ん」
男「寝ていいですよ」
先輩「ん」
男「……」
先輩「……」
シュー…
男「……先輩」
先輩「……」
男「寝ました…?」
男「……」
先輩「……」
男「……分かって、ます」
先輩「……」
男「独りは、いやなんですよね…」
男「先輩」
先輩「……」
男「だいじょうぶ、ですから……」
先輩「男ぉー…」
男「うぉ」ビクッ
先輩「抱いてー」
男「勃ちませんって僕」
先輩「黙って抱けよ馬鹿」
男「はいはい」ギュ
先輩「……」ギュ
先輩「こうしてると…」
男「落ち着く?」
先輩「全然」
男「……」
先輩「脱がせて」
男「はいはい」
男「細…」
先輩「しょーがないな、ってなるよ」
男「ん?」
先輩「こうしてるとさ」
男「……」
先輩「動物園で、迷子になったことあったじゃん」
男「ええ」
先輩「私がずっと、サルを見ていて」
男「僕が勝手に、キリンの檻に行っちゃって」
先輩「独りぼっちになってさ」
男「……」
先輩「心細くて、泣きたくて」
男「……」
先輩「でも、檻を見てたら」
男「……」
先輩「檻の獣を見てたら」
男「……」
先輩「しょーがない、って思ったんだ。今みたいに」
男「……」
先輩「悲しいけど、悲しいのが普通で。心細いのが自然で」
男「……」
先輩「独りなのも、不安なのも、全部しょーがない、って」
男「……」
先輩「きっと檻の動物も、しょーがないって」ギュ
男「しゃべらなくていいですよ」ギュ
先輩「ん」
男「眠くない?」
先輩「たぶん眠い」
シュー…
男「おクスリ使う?」
先輩「いらない…」
男「じゃ、目、瞑ってください」
先輩「……」
先輩「……」
男「……」
シュー…
先輩「……」
男「……先輩」
シュー……
男「先輩」
先輩「……」
男「先輩!」
先輩「ふぇ?」
男「なに放心してるんですか……」
先輩「あえ?」
男「…大丈夫です?」
先輩「ここどこ」
男「どこって。上野動物園ですよ」
先輩「んんー?」
~上野動物園~
先輩「んんんー?」
先輩「……なんで」
男「なんで、って…、約束してたじゃないですか」
先輩「なに?」
男「約束ですってば。約束。忘れました?」
先輩「ああ。いや。うん、そうだ。約束だ。約束をしていた」
先輩「一緒に、動物園に行こうって」
男「行きましょうか」
先輩「行こうか」
~上野動物園:表門~
先輩「…上野動物園は表門の前に階段があって」
男「はい」
先輩「これが結構キツい…」
男「正直キツい…」
先輩「最初はグー」
男「え」
先輩「じゃーんけーん」
男「パー」
先輩「チョキ」
男「あ」
先輩「ち、よ、こ、れ、い、と」
男「あぁぁ?」
先輩「負けた方がチケットオゴりな」
男「ああぁぁぁ!?」
先輩「…大人二枚」
男「あざっす」
先輩「どうしてこうなった……」
男「あとでビールを買ってあげます」
先輩「やった」
~東園~
男「パンダいるんでしたっけ?」
先輩「どうだっけな」
男「パンダ好きですか?」
先輩「別にー」
男「じゃあスルーで」
先輩「うん」
先輩「カワウソだー」
男「泳いでる」
先輩「可愛いなあ」
先輩「ライオン」
男「ライオン」
先輩「シロクマ?」
男「ホッキョクグマ」
先輩「立った」
先輩「サルだー」
男「ニホンザル」
先輩「うあー」
キー キー
先輩「…えへへ」
先輩「……」
先輩「……」
先輩「……」
先輩「…あっ」
先輩「男?」
先輩「男ー?」
先輩「おとっ……」
男「なんでそっち探すんですか…」
先輩「あ」
男「はい」
先輩「いた」
男「いますよ」
先輩「ヤギ撫でに行こうぜ」
先輩「おーい?」
男「……」
先輩「行かないのー?」
先輩「おい?」
男「―んぱ―」
先輩「どこ行くんだよ、おい!」
男「さ――」
先輩「なに!聴こえない!おーい!」
男「――、――」
先輩「どこ行……、聴こえねえって!おい!」
男「―、―、―、―」
先輩「おい、男!おい!」
先輩「…おい!」
先輩「……あ」
~病室~
先輩「ぁー……」
……気が、ついたのか!
先輩「…どこ?」
大丈夫だ、もう大丈夫。俺のこと、分かるか?
先輩「とーさん…?」
よかった…、よかっ、あっ…あぁぁ……
先輩「かーさん…?」
父親「心配かけて……いや、今は、休むんだ」
母親「よかった……本当に、よかった……」
先輩「……あ」
父親「もう、何も心配要らない。大丈夫だから」
先輩「……男は?」
母親「……」
先輩「ねえ」
父親「今は、休みなさい」
先輩「……」
父親「何も心配要らないから」
先輩「……」
父親「話は全部、目が覚めたらにしよう」
先輩「……はい」
~病室:夜~
先輩「眠くねー」
先輩「昼間寝すぎて眠くねー」
先輩「あー…」
先輩「お酒飲みたい……」
男「僕ビールがいいです」
先輩「……」
男「……」
先輩「うおおおお出やがったあ」
男「何なんですか何なんですかマジでもう」
男「ひどいザマですね」
先輩「まあな」
男「……」
先輩「……なあ」
男「『動物園』は」
先輩「……!」
男「楽しかったですか?」
先輩「……」
男「ひひひ」
男「死に損ないましたねぇ」
先輩「うん」
男「どうするんですか?」
先輩「どうしよう」
男「これ、あげます」
先輩「なに?」
男「カミソリ」
先輩「ありがと」
先輩「……」
男「使わないんですか?」
先輩「……」
男「やめたいって、やめてくれって、ずっと思ってるのに。んふ。もうやめてもう」
先輩「…楽しかったよ」
男「は」
先輩「『動物園』さ」
先輩「すごく楽しかった」
男「はい」
先輩「愛を感じた」
男「そうですか」
先輩「でも、お前がさ」
男「僕?」
先輩「言ったんだ。思い出した。お前が、最後に」
男「……」
先輩「いや、お前じゃないのか。言ったのは、幻覚じゃない男で。いや、どうでもいいや」
男「……」
先輩「言ったんだ…」
男『―、―、―、―』
先輩『おい、男!おい!』
男『さよなら』
先輩『……あ』
先輩「言ったんだよ…」
男「……」
先輩「だから、さ……」
男「先輩は…」
先輩「うん…」
男「それで、いいんですか?辛いくせに、もう嫌なくせに」
先輩「……」
男「独りでなんて、生きていけないくせに」
先輩「……」
先輩「しょーがないんだ」
男「……」
先輩「駄目でも糞でも死んじゃっても」
男「……」
先輩「しょーがないよ」
男「……」
先輩「独りで行くさ。『動物園』も」
男「…結局、先輩は、僕のことを見捨てるんですね」
先輩「…」
男「いつも」
先輩「お前のことなんて知るかよ」
男「ひどいなぁ」
先輩「くひひ」
男「でも」
先輩「ん?」
男「よかった」
先輩「……」
男「消えてあげます」
先輩「……ごめんな」
男「まあいつか、気が向いたら」
先輩「うん」
男「気が向いたら、また飲みましょう」
先輩「池袋の、あの飲み屋で」
男「ウフフって言って」
先輩「ウフフ」
男「それじゃ、先輩」
先輩「うん」
男「さよなら」
先輩「さよなら」
先輩「……」
先輩「……」
先輩「……」
先輩「あ」
先輩「カミソリ」
先輩「輪廻転生っていうのは」
先輩「輪廻と転生、ふたつの概念からできている」
先輩「廻って、転がる」
先輩「ヒンドゥー教の考え方では、輪廻の順番は決まっていて」
先輩「死んだらまず、月に行くことになっている」
先輩「次に雨になって、地面に降り注ぎ」
先輩「雨は植物に吸い上げられ、実を結び」
先輩「それを食った男の血肉になって、スペルマになる」
先輩「スペルマが女のアレに注ぎ込まれて」
先輩「着床し、命になり」
先輩「そして再び誕生する」
先輩「そうして、ぐるぐると」
先輩「セッ○スして、死んで、ぐるぐると」
先輩「セッ○スして………死んで……繰り返して……」
先輩「いつか……また……」
先輩「…………」
~池袋・某居酒屋~
店員「イラッシャイアセー」
先輩「アンニョンー」
店員「アニョンー」
先輩「またきたよ」
店員「ウフフ」
店員「ゴ注文、オ決マリデシュカー」
先輩「生で」
先輩「…じゃあ、生二つ」
おわり
256 : ◆i0Q6UoT0hI - 2011/06/15 23:07:52.02 CgYYC2DT0 207/207
オチたー(オチてない)!!!!!!!!
読んでくださった方、ありがとうございます。
コメント下さった方、うれしかったです。ありがとうございます。
色々と説明を省いたり、曖昧にしていて、非常に読みにくくてごめんなさいでした。
ちゃんとまとめてkindleかなんかで出してよ。
いや掲示板でしか映えないかな、、