1 : VIPに... - 2013/05/29 04:24:20.28 nO8YoHBp0 1/58

―765プロ事務所 屋上

雪歩「…」

P「…」ガチャ

P「…ここにいたか」

雪歩「あ、プロデューサー」

雪歩「ふふ、主役が抜けてきていいんですか?」

P「主役はおれじゃないさ」

雪歩「…そうですね。プロデューサーはいつもそう言うんです」

雪歩「『がんばったアイドルの力だ!』って…ふふ」


2 : VIPに... - 2013/05/29 04:27:17.09 nO8YoHBp0 2/58


P「…」

雪歩「改めて…IA大賞受賞、おめでとうございます」

P「ああ…ありがとう」

雪歩「…」

雪歩「なんだか懐かしくなっちゃいました…」

P「…」

雪歩「…プロデューサー、覚えてますか?」

P「…なにをだ?」

3 : VIPに... - 2013/05/29 04:27:56.27 nO8YoHBp0 3/58


雪歩「私が…最後の日、プロデューサーに」

雪歩「ここで歌を歌ったこと…」

P「…忘れるわけないさ」

雪歩「ふふ、嬉しいです」

P「…」

雪歩「ねえ、プロデューサー?」

P「…」

雪歩「私を…プロデュースしてくれませんか?」

4 : VIPに... - 2013/05/29 04:30:09.76 nO8YoHBp0 4/58


―出会いの日

P『初めまして、今日から君をプロデュースすることになった!』

雪歩『…ええ!?』

雪歩『ぷ、ぷろでゅーす…プロデューサー、さん?』

P『ああ、今日から君のプロデューサーだ!』

雪歩『…ええと、あの、その…!』

P『?』

雪歩『ふ!ふつつかものですが!がんばりますぅ!』

雪歩『がんばりますので!』

P『あ、ああ…がんばろうな』

5 : VIPに... - 2013/05/29 04:31:20.03 nO8YoHBp0 5/58


―出会いから一日後

雪歩『挨拶なんて無理ですよぅ…』

P『ってもなぁ…やっぱり営業先に挨拶ぐらいはできるようにならないと』

雪歩『うう…やっぱりこんな私じゃ…私なんか…』

P『ちょ、ちょっと…萩原…さん』

雪歩『穴!掘って!!』ジャキン!

P『!?』

雪歩『埋まってますぅぅぅぅぅうううう!!』ザクザクザクザク…

6 : VIPに... - 2013/05/29 04:32:37.65 nO8YoHBp0 6/58



雪歩『で、電話ならなんとかだいじょうぶでしたぁ!』

P『うんうん!そうやって少しづつでいいから頑張ろうな』

雪歩『はい』

P『じゃ、戻ろうか萩原さん』

雪歩『あの!…ゆ、雪歩…で』

P『…え?』

雪歩『雪歩って…名前で、いいですぅ…』

P『…じゃ、戻るか雪歩』

雪歩『…はい!』

7 : VIPに... - 2013/05/29 04:34:21.45 nO8YoHBp0 7/58


―1ヶ月後

雪歩『ぷぷぷぷぷ、ぷろっ…』

P『お、落ち着け雪歩』

雪歩『むむむ、無理ですぅ!』

P『あちゃー…』

P『…!』

P『雪歩!』

雪歩『ぅ…はい…』

P『あのな…最初の一曲はおれのために歌ってくれないか?』

8 : VIPに... - 2013/05/29 04:36:03.89 nO8YoHBp0 8/58


雪歩『…は…え?』

P『MCもなにもいらん。取りあえずステージに出たらいきなり一曲歌ってくれ』

P『おれが観客席にいる。おれの姿を探しておれを見ながら歌うんだ』

雪歩『そ、それで…』

P『それで大丈夫だ。歌ってるうちに落ち着く』

雪歩『ほほ、ほんとですかぁ?』

P『大丈夫。おれを見て、いつものように歌うんだ…できるな?』

雪歩『は、はいぃ…』

P『一曲終わる頃にはステージに慣れてるさ…よし!』

P『いけ!雪歩!ステージデビューだ!』

雪歩『は、はい!行ってきます!!』

9 : VIPに... - 2013/05/29 04:37:14.14 nO8YoHBp0 9/58



P『やったな!雪歩!』

雪歩『はい!やりました!私ちゃんとできました!私…あれ?』ペタン

P『はは、今になって足の力が抜けたか?』

雪歩『えへへ…私まだドキドキしてますぅ!』

P『…そうか』

雪歩『みんなが声援をくれて、私の声に応えてくれて…』

雪歩『私、アイドルやってよかったですぅ!!』

P『…そうか!』

P『今日のライブは成功だ!大成功だよ!』

雪歩『プロデューサー…はい!ありがとうございますぅ!』

10 : VIPに... - 2013/05/29 04:38:13.63 nO8YoHBp0 10/58


―5ヶ月後

P『雪歩!この前のシングル…』

P『初動の売り上げが30万枚突破したんだ!』

雪歩『えーと…』

雪歩『それって…すごいんですか?』

11 : VIPに... - 2013/05/29 04:39:50.18 nO8YoHBp0 11/58


―6ヶ月後

P『すまん…』

雪歩『もぉ~なんでプロデューサーが謝るんですかぁ』

雪歩『まあぎりぎりトップ30に入れなかったのは残念ですけど…』

雪歩『でも私、そんなに落ち込んでませんよ?』

P『…』

雪歩『…正直、プロデューサーに初めて会ったころは』

雪歩『やっぱり私にはアイドルなんて無理なんだって思ってたんです』

P『え…?』

12 : VIPに... - 2013/05/29 04:42:48.30 nO8YoHBp0 12/58


雪歩『でもプロデューサーに会って、よし頑張ろうって…思ったら』

雪歩『今度は社長に、一年間でIA大賞を取るべし!なんて言われて…』

雪歩『そんなの絶対無理ですぅ!ってまた落ち込んじゃったんです』

雪歩『でもそんな私をプロデューサーはいつも励ましてくれて…』

雪歩『プロデューサーの言うとおりに頑張ってたらお仕事も増えてきて…』

P『雪歩…』

雪歩『プロデューサーのやっていることは間違ってません!わかってるから私は落ち込んでないんです!!』

雪歩『だからプロデューサーも落ち込まないでください!』

P『雪歩…ああ、わかったよ』

P『…ありがとな』

13 : VIPに... - 2013/05/29 04:44:17.30 nO8YoHBp0 13/58


―7ヶ月後

高木『祝!萩原雪歩くんアイドルアカデミー大賞ノミネート!』

『おめでとー!かんぱ~い!!』

P『よし、これからが本番だな!』

雪歩『はい!あの…プロデューサー?』

P『ん?』

雪歩『あ、あのもし…もしですけど私たちがIA大賞を取ることができたら…』

雪歩『取れたら…私のことを…その…ずっと…!』

高木『…君ぃ、ちょっといいかね?』

P『あ、はい!…雪歩すまん、あとでな』

雪歩『は、はぃ…』

14 : VIPに... - 2013/05/29 04:45:22.85 nO8YoHBp0 14/58


―8ヶ月後

雪歩「す、すいませぇん…」

P「いいって…次は気を付けような」

雪歩「はい…やっぱりプロデューサーがいないとだめですね…えへへ…」

P「…」

P「雪歩、話がある……」


15 : VIPに... - 2013/05/29 04:46:14.21 nO8YoHBp0 15/58




雪歩「……海外…けん、しゅう……?」

P「…」

16 : VIPに... - 2013/05/29 04:47:19.95 nO8YoHBp0 16/58


―9ヶ月後

雪歩「すいません…」

P「…この前も同じミスだったな?」

雪歩「…そ、そうでしたか?」

P「…雪歩」

雪歩「…」

雪歩「…私、やっぱりプロデューサーがいないと…じゃないと…」

P「…」

17 : VIPに... - 2013/05/29 04:48:31.49 nO8YoHBp0 17/58


―10ヶ月後

雪歩「ダメ…!ダメです…やっぱりプロデューサーがいなくなるって考えると…うぅ…!」

P「雪歩…」

雪歩「だって…だって私、プロデューサーのことぉ…!」

P「雪歩!」

雪歩「…!!」

P「それ以上は言っちゃいけない…雪歩はアイドルなんだ」

雪歩「…そんなの!」

P「そしておれは…プロデューサーだ」

P「…プロデューサーなんだ」

雪歩「うぅ…うぐ……私…わ………!」

18 : VIPに... - 2013/05/29 04:50:17.86 nO8YoHBp0 18/58


―11ヶ月後

P「トップアイドルにするっていう約束…守れなかったな」

雪歩「…」

P「…すまん」

雪歩「…行ってしまうんですね」

P「…すまん」

雪歩「…私、待ってます」

P「…」

雪歩「待ってますから」

19 : VIPに... - 2013/05/29 04:51:49.44 nO8YoHBp0 19/58


―1年1ヶ月後

雪歩「あの、律子さん」

律子「ん…なぁに?」

雪歩「私に…アポの取り方とか、営業の仕方とか…」

雪歩「プロデューサーがやっていた仕事のことを教えてくれませんか?」

律子「…?」

20 : VIPに... - 2013/05/29 04:53:59.81 nO8YoHBp0 20/58


―1年3ヶ月後

春香「雪歩、すごいね…」

雪歩「ん?なにが?」

春香「自分で仕事取ってきたり、スケジュール調整したり…」

雪歩「そうかな?」

春香「うん…私たちは律子さんにお願いしてるのに」

春香「でも、どうして急に?」

雪歩「…えへへ…ちょっとね」

21 : VIPに... - 2013/05/29 04:55:16.85 nO8YoHBp0 21/58


―2年後

P「ただいま…かな」

雪歩「はい!お帰りなさい、プロデューサー!」

P「はは、変わらないな。なんだかホッとするよ」

雪歩「ふふ…それはよかったですぅ」

雪歩「あ、久々にお茶淹れてもいいですか?」

P「ああ、頼もうかな」


22 : VIPに... - 2013/05/29 04:57:11.48 nO8YoHBp0 22/58


―2年1ヶ月後

P「雪歩、ちょっといいか?」

雪歩「はい?」

P「律子に聞いたんだが…」

P「仕事を取ってきたり、打ち合わせとかひとりでやってるらしいな?」

雪歩「はい」

P「なんでだ…プロデューサーがついたほうが…」

雪歩「ふふ…じゃあ、プロデューサーが私をプロデュースしてくれますか?」

P「それは…」

P「…」

23 : VIPに... - 2013/05/29 04:58:31.44 nO8YoHBp0 23/58


―2年7ヶ月後

P「ドラマの方、無事クランクアップだな」

雪歩「はい。ありがとうございますぅ」

P「はは、『ありがとうございますぅ』か」

雪歩「あ…!うぅ…気をつけてるんですけど…」

P「まぁおれはその方が親しみがあっていいんだがな」

雪歩「えへへ…ねぇプロデューサー?」

雪歩「私をプロデュースしてくれませんか?」

P「…」

雪歩「…ふふ、いいんです」

雪歩「じゃあ私、もう少し挨拶してきますね」

P「ああ…」

24 : VIPに... - 2013/05/29 05:00:10.75 nO8YoHBp0 24/58


―2年10ヶ月後

P「雪歩もハタチか…なんかあっという間だな」

雪歩「そうですねぇ…じゃあ20歳の記念に、私をプロデュースしてくれません?」

P「それハタチ関係あるか…?」

雪歩「ふふ…じゃあ今度お酒飲みに連れてってください」

P「…ああ」

雪歩「やったぁ!えへへ…楽しみだけど、なんだか変な感じがしますね、ふふ」

P「…そうだな」


25 : VIPに... - 2013/05/29 05:00:57.32 nO8YoHBp0 25/58


―3年8ヶ月後

雪歩「そうですか…あずささんが」

P「ああ…」

雪歩「なんだか…やっぱり変わっていっちゃうなぁって…思います」

P「そうだな…」

雪歩「プロデューサー、私をプロデュースしてくれませんか?」

P「…」

雪歩「…そうですね。わかりました、えへへ…」

26 : VIPに... - 2013/05/29 05:01:55.19 nO8YoHBp0 26/58


―3年11ヶ月後

雪歩「綺麗でしたね、千早ちゃん」

P「そうだな」

雪歩「来年度のプロデュース、私なんてどうですか?」

P「…それは」

雪歩「…そうですか」

雪歩「じゃあ、また今度言ってみたいと思います。気にしないでくださいね…えへへ」

P「…」

27 : VIPに... - 2013/05/29 05:03:40.18 nO8YoHBp0 27/58


―4年3ヶ月後

美希「雪歩、さん?まだハ…プロデューサーに頼んでるの?」

雪歩「ん?うん」

美希「…正直、重いなって思うの」

雪歩「…あは、そうかもね。よく言われる」

美希「…」

雪歩「…でも、変わってくれないんだぁ」

雪歩「変わらないんだ、私の………困ったね、えへへ…」

美希「…かなわないの」

雪歩「え?」

美希「ううん、なんでもない」

美希「…」

美希「…かなわないなぁ」

28 : VIPに... - 2013/05/29 05:07:11.29 nO8YoHBp0 28/58


―4年9ヶ月後

雪歩「今年もIA大賞ノミネートなんてすごいですねぇ」

P「はは、俺の力じゃないがな」

P「…美希は今度のIA大賞授賞式が終わったら、アイドル活動を控えていくってさ」

P「モデルの専門になるそうだ」

雪歩「…!知らなかった…です」

29 : VIPに... - 2013/05/29 05:08:25.31 nO8YoHBp0 29/58


P「そう…するそうだ…」

雪歩「…プロデューサー、来年度の予定は決まってるんですか?」

P「いや…」

雪歩「それなら…」

雪歩「…」

P「…」

雪歩「…やっぱりなんでもないです…えへへ、気にしないでください」

P「雪歩」

雪歩「…はい?」

P「…もう少しだけ、時間をくれ」

30 : VIPに... - 2013/05/29 05:09:01.87 nO8YoHBp0 30/58


―4年11ヶ月後

雪歩「…」

P「…」ガチャ

P「…ここにいたか」

雪歩「あ、プロデューサー」

雪歩「ふふ、主役が抜けてきていいんですかぁ?」

P「主役はおれじゃないさ」

雪歩「そうですね。プロデューサーはそう言うんです」

雪歩「『がんばったアイドルの力だ!』って…ふふ」

31 : VIPに... - 2013/05/29 05:09:45.23 nO8YoHBp0 31/58


P「…」

雪歩「改めて…IA大賞受賞、おめでとうございます」

P「ああ…」

雪歩「なんだか懐かしくなっちゃいました…」

P「…」

雪歩「…プロデューサー、覚えてますか?」

P「…なにをだ?」

雪歩「私がいなくなってしまうプロデューサーに、」

雪歩「ここで歌を歌ったこと…」

P「…忘れるわけないさ」

32 : VIPに... - 2013/05/29 05:10:29.44 nO8YoHBp0 32/58


雪歩「ふふ、嬉しいです」

P「…」

雪歩「ねえ、プロデューサー?」

P「…」

雪歩「私を…プロデュースしてくれませんか?」

P「…」

雪歩「ふふ、いいんですよ」

雪歩「私はいつまでも…」

33 : VIPに... - 2013/05/29 05:10:57.33 nO8YoHBp0 33/58


P「雪歩」

雪歩「はい…?」

P「…」

P「…いろんなことがあったな」

雪歩「…そうですねぇ」

P「思えば1年目のおれはほんとに何もわからなかった」

雪歩「そうですか?私にとってはすごく頼もしかったですけど」

P「…わかってなかったよ」

P「まぁ今だから言えるのかもな」

雪歩「…」

34 : VIPに... - 2013/05/29 05:12:20.14 nO8YoHBp0 34/58


P「…なぁ、なんで…自分で仕事を管理してるんだ?」

雪歩「わかってて聞いてませんか?」

雪歩「私のプロデューサーは…プロデューサー一人だからです」

P「…」

雪歩「美希ちゃんにも言われましたよ」

雪歩「『雪歩さんは重い』って」

雪歩「…やっぱり世間一般的に、私って『重い』んですかね?ふふふ」

P「…そうかもな」

雪歩「えへへ…実は自分でもそう思います」

35 : VIPに... - 2013/05/29 05:15:00.22 nO8YoHBp0 35/58


雪歩「でも、変わってくれないんですよ」

雪歩「この気持ちは…変わってくれないんです」

雪歩「距離が離れても…何年経っても…」

P「…」

雪歩「だから、私だけは否定しないであげようって…そう思ってるんです」

雪歩「みんなに何か言われても…思いが届かなくても…私だけは」

雪歩「…あなたと過ごした…17歳の私の思いを」

P「…雪歩」

雪歩「あ、でもプロデューサーが『もう言わないでくれ』って思うなら今言っちゃってください」

雪歩「…思っているだけしますから」

36 : VIPに... - 2013/05/29 05:15:39.51 nO8YoHBp0 36/58


P「…」

雪歩「…」

P「…ははは」

雪歩「む?笑うなんてひどくないですか?」

P「いや…」

P「雪歩は変わらないな」

37 : VIPに... - 2013/05/29 05:16:21.51 nO8YoHBp0 37/58


雪歩「…そうですか?」

P「最初から何か…意志の強さみたいなのを感じたんだ。出会った時から」

P「…もうどのくらいになる?」

雪歩「…次に春が来たら、5年です」

P「5年…か」

雪歩「5年ですね」

雪歩「ふふ、すごく短かったです」

P「そう、感じるか?」

雪歩「はい。すごく幸せでしたから」

38 : VIPに... - 2013/05/29 05:16:58.93 nO8YoHBp0 38/58


P「…」

雪歩「幸せでしたよ…私は」

雪歩「だからこれからも…」

雪歩「答えてくれなくてもいいんです。それでも…」

P「雪歩」

雪歩「…?」

P「待たせた…」

P「本当に待たせたな」

39 : VIPに... - 2013/05/29 05:18:05.38 nO8YoHBp0 39/58


雪歩「ふふ、だからいいんですよ。例え応えてくれなくても、思っているだけで私は…」

P「雪歩を…」

P「…」

P「プロデュースさせてくれないか?」

雪歩「…」

雪歩「…え?」

P「すまない…」

P「おれは…17歳の時の雪歩よりも、子供だったみたいだ」

雪歩「…」

40 : VIPに... - 2013/05/29 05:19:15.56 nO8YoHBp0 40/58


P「初めて会った時から…17歳の時から」

P「雪歩は大事なものが何か…きっとわかってたんだな」

雪歩「…」

雪歩「出会えてよかった…あなたで…」

P「雪歩…」


41 : VIPに... - 2013/05/29 05:19:42.63 nO8YoHBp0 41/58



『出会えてよかった… あなたでよかった…』

雪歩(覚えてますか…あなたは初めて会った時から)


『「傍にいる」 それだけでただ嬉しくて… 笑ったときは 笑ってくれた…』

雪歩(私のことを気遣ってくれました)



42 : VIPに... - 2013/05/29 05:20:23.72 nO8YoHBp0 42/58



『「一緒だね」 でも泣いた時は 抱いててくれた…』

雪歩(覚えていますか…あなたは初めて会った時からずっと)


『暖かなぬくもり 包まれてくやさしさ 私に喜びを 教えてくれた人』

雪歩(私を励まし続けてくれました)


43 : VIPに... - 2013/05/29 05:21:03.65 nO8YoHBp0 43/58



『「あなたがすき」 いつからだろう ずっと傍にいたくて…』

雪歩(今の私がいるのは、全部あなたのおかげ…)



『甘えじゃなく 弱さじゃなく ねぇ…初めての恋でした』

雪歩(届かなくても、伝わらなくても、傍に居てくれるだけで―)


44 : VIPに... - 2013/05/29 05:21:31.77 nO8YoHBp0 44/58



『「あなたがすき」 「あなたがすき」 ずっと言いたかったのに―』

雪歩(それだけでよかった…はずなのに)




『いつも言えなかった―』

雪歩(でも…それでもあなたには言葉にして言いたい。何度でも、何度でも―)



45 : VIPに... - 2013/05/29 05:22:22.78 nO8YoHBp0 45/58



雪歩「「あなたがすき」 「あなたがすき」 ずっとずっとすきだから―」

P「…」

雪歩「今は泣いていいよね―」

雪歩「…」

雪歩「…う…………ひぐ…すいませ、っ……」

雪歩「なか…!……ながな、いっって………きめ…てた…ひっ…」

雪歩「…きめ…てたの、に……!」

雪歩「うぅぅ…」


46 : VIPに... - 2013/05/29 05:23:00.87 nO8YoHBp0 46/58


P「…待たせた」

P「…本当に、長い間待たせてしまった」ギュ

雪歩「あ…」

P「すまん…あと、ありがとう」

雪歩「…ぅ…ひっぐ…ぁぁぁぁぁぁぁああ…」ギュウ

47 : VIPに... - 2013/05/29 05:31:40.38 nO8YoHBp0 47/58



雪歩「…」

P「…」

雪歩「…プロデューサー」

P「…うん?」

雪歩「どうして…私をプロデュース…してくれる気になったんですか?」

P「…」

P「そうだな…いろいろ理由はある」

48 : VIPに... - 2013/05/29 05:33:39.44 nO8YoHBp0 48/58


P「…前から雪歩の気持ちはなんとなくわかってたんだが」

P「雪歩はこれからどんどん伸びる子だと思っていたし、プロデュースしてた時はまだ17歳だったからな」

P「この先もおれ以上に素敵な人は現れる、それに」

P「…正直、おれに対する好意は憧れみたいなものだと思ってたんだ」

雪歩「…」

P「あとはまだまだプロデュースしなければならないアイドルもたくさんいたし」

P「…それも今年で終わりだ」

P「みんなもう仕事を取るんじゃなく、仕事が来るようにはできた」

雪歩「そうですね…だいぶみんな有名になりましたから」

49 : VIPに... - 2013/05/29 05:34:57.79 nO8YoHBp0 49/58


P「とか…まぁ言葉にするといろいろあるんだが」

P「…単純にもう」

P「雪歩のことを、好きになってしまった…ってところかな」

雪歩「え…?」

P「はは…ハズい」

雪歩「…もう」

P「でも、きっと1年間活動した時からもう惹かれてたんだと思う」

P「でもプロデューサーとアイドルだからとか、他にも仕事が…とか」

P「雪歩の気持ちはきっと憧れみたいなものだとか」

P「…自分に言い訳をしてただけだったと思う」

雪歩「…」

52 : VIPに... - 2013/05/29 05:37:27.71 nO8YoHBp0 50/58


P「でも…雪歩は変わらなかった」

P「何年経っても、距離が離れても、な…」

P「…さっきも言ったが、雪歩はわかってたんだろうな」

P「本当に、大切にするべきものを」

雪歩「…」

雪歩「…そうなんですかね」

P「ああ…多分な」

53 : VIPに... - 2013/05/29 05:38:14.43 nO8YoHBp0 51/58


雪歩「ふふ…じゃあプロデューサーの目は正しかったんですね」

P「え?」

雪歩「『出会った時から、意志の強さを感じた』ってさっき言ってくれたじゃないですか」

P「…そうだな」

雪歩「…」

雪歩「…私、最初は弱い自分が嫌いでした」

雪歩「何にでも怯えちゃうし、言いたいことも言えないし…」

雪歩「…でもプロデューサーが私を変えてくれました」

P「そうか…?」

雪歩「はい…もちろんプロデュースしてもらって教えていただいたことも大きいですけど」

雪歩「なんていうか、プロデューサーといるだけで私は強くなれたんです」

雪歩「…えへへ、なんだかうまく言えないです」

54 : VIPに... - 2013/05/29 05:39:19.88 nO8YoHBp0 52/58


P「…そうだな、難しい。思っていることを伝えるのは」

雪歩「でもこれだけははっきりしてます」

P「?」

雪歩「私は、プロデューサーが好きです」

雪歩「そしてプロデューサーのことが好きな自分のことも好き」

雪歩「そんな2人が大好きなんです」

P「そうか…ありがとう」

雪歩「はい…」

P「…」

55 : VIPに... - 2013/05/29 05:45:39.28 nO8YoHBp0 53/58


P「しかし…」

雪歩「?」

P「雪歩、歌がまた上手くなったんじゃないか?」

雪歩「そうですか?ふふ、ありがとうございますぅ」

P「はは…『ございますぅ』な…」

雪歩「あ…!もう…!」

P「はは…この歌は…」

P「『LOST』…か」

雪歩「…プロデューサーが行ってしまうときに歌ったのも、この歌でしたよね…」


56 : VIPに... - 2013/05/29 05:46:37.13 nO8YoHBp0 54/58


P「そうだな…」

雪歩「ねぇプロデューサー…『LOST』って…失恋の歌…ですかね?」

P「ん…雪歩はどう思うんだ?」

雪歩「…そう思ってました…けど」

P「けど?」

雪歩「プロデューサーの言葉を聞いて、願いが…夢のように思っていたことが、叶って」

雪歩「そうしたら…自然に歌いたくなったんです」

P「…」

57 : VIPに... - 2013/05/29 05:49:20.08 nO8YoHBp0 55/58


雪歩「泣いてもいいよね…うれしい時も…うれしくてどうしようもない時も」

雪歩「…涙って出ちゃうんですね、えへへ」

P「…そうだな」

雪歩「…あは、なんだか話がまとまってなくてすいません」

雪歩「だから、えーと…悲しい歌じゃなくって、その…歌っている人の気持ち次第というか、聞く人の…」

P「雪歩」

雪歩「はい?」

P「…来年から一緒に活動しような」

雪歩「…はい」

58 : VIPに... - 2013/05/29 05:50:05.30 nO8YoHBp0 56/58


P「まだまだ成長した雪歩の歌が聞きたいな、『ALRIGHT』とか…あれ好きなんだよ」

雪歩「えへ、そうなんですか。いつでも歌いますよ!」

P「営業にもいかないとな。またプロデュースすることになりました!ってな、はは」

雪歩「そうですね」

P「地方に行くのもありだな。各地方を回って、部門賞を取って…」

雪歩「はい…」

P「…IA大賞を完全制覇とかな」

雪歩「ふふ…プロデューサーとならできる気がしてくるから不思議です」

59 : VIPに... - 2013/05/29 05:50:40.49 nO8YoHBp0 57/58


P「それで…」

P「…」

P「いつまでも…一緒にいような」

雪歩「…はい!」





おわり

60 : VIPに... - 2013/05/29 05:51:43.49 nO8YoHBp0 58/58


以上です。読んでいただいた方お疲れ様でした&ありがとうございました

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