―都内 某カフェ
伊織「ふーん、アンタにしてはおしゃれなカフェね」
P「アンタにしてはってなんだよ…」
伊織「カフェはおしゃれだけどアンタには似合ってないって意味よ、にひひっ!」
あずさ「ごめんなさいね~、伊織ちゃんはしゃいじゃって」
P「もう慣れましたから…」
伊織「ちょ、ちょっとあずさ!誰がはしゃいでるのよ!」
元スレ
あずさ「もうすぐ2周年ですね~」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1362838959/
あずさ「あらあら~冗談よ~」
あずさ「それとも…ふふ、もしかしてほんとにはしゃいでたのかしら~?」
伊織「くっ…!そんなわけ無いでしょ!」
P「うーん、一年間で伊織のキツさにはある程度慣れましたけど…」
P「あしらい方は身につかなかったですよ。もっとあずささんを見て勉強しとけばよかったです、はは」
伊織「あしらい方ってアンタねぇ…」
あずさ「結構簡単ですよ~?伊織ちゃんこう見えて素直ですから~」
伊織「あ、あずさ!あんたまで…!」
P「素直…?」
伊織「…なによ?」
あずさ「うふふ~単純って言ったらわかりやすいかしら~」
伊織「…あ~ず~さ~!!」
あずさ「あら~ごめんなさい」
あずさ「伊織ちゃんってからかうとかわいいから、ついね~。うふふ」
伊織「…ふん!」
P(…上手いなぁ)
あずさ「でもプロデューサーさんとの活動もほんとにもうすぐで終わりですね~」
P「ええ、今度の…3週間後のライブが最後ですね」
伊織「清々するわね。早く律子帰ってこないかしら」
P「くっ…!」
あずさ「気にしたら負けですよ~」
P「…ええ」
あずさ「それに律子さんが帰ってきたら帰ってきたで」
あずさ「『ふん!全然寂しくなんてなかったわ!』って言うに決まってますから~」
P「想像できすぎて困ります」
あずさ「でも、一歩間違えればプロデューサーさんが海外研修に行ってたかもしれないんですよね~」
P「…残念ながら竜宮小町に完敗でしたけどね」
伊織「ま、当然ね」
P「…見てろ。律子が帰ってきて、おれが竜宮の担当から外れたらリベンジしてやるからな」
伊織「負け戦が好きなら、ご自由に」
あずさ「そういえばプロデューサーさんは今年は特に担当するユニットを組んでませんでしたね~」
P「ええ…さすがに竜宮と9人の仕事を回すだけで手一杯で」
伊織「3人揃っての休みがほぼ1年ぶりとはね」
伊織「あーあ、律子の時は2ヶ月に一度くらいは4人揃っての休みがあって」
伊織「いろんなとこに遊びに行ってたんだけどねー」
P「ぐ…それは確かにおれの力不足だ」
伊織「ほら、こんなの間に受けるなんてコイツの方が単純よ」
P「は?」
あずさ「ふふ、私たちだってIA大賞を取ったんだから仕事がさらに増えてることくらいわかってますよ~」
伊織「冗談に決まってるでしょ」
P「…はぁ」
P「あ、そういや亜美は?」
伊織「『ほぼ1年ぶりの休み』くらい、学校の友達と遊びたいって」
P「ぐっ…そうか」
P「伊織はいいのか」
伊織「伊織ちゃんくらいになると、学校の友達もアイドル扱いしてきてたまったもんじゃないわ」
伊織「あれじゃファンに囲まれてるのとおんなじよ」
P「大変だな」
P「あずささんはいいんですか?友達と遊びに行ったり…」
あずさ「…」
伊織「バ、バカ!」
P「え?」
あずさ「…そうですね~、この仕事を始めてから友達ともすっかり疎遠になっちゃって…」
P「あ、あずさ…さん…?」
あずさ「『遊びに行かない?』『ごめん収録で』」
あずさ「『飲みに行かない?』『撮影があって』」
あずさ「『合コン来ない?』『アイドルだから』」
P「…」
伊織「あーあ…」
あずさ「…ふふ、こんなんじゃそのうち声がかからなくなるのも当然、ましてや運命の人なんて…うふふふふふ」
P「…なんかすいません」
あずさ「いいんですよ~」
あずさ「…事実ですから」
伊織「アンタが何とかしなさいよ」
P「あ、あの…えっと」
あずさ「…ふふふ」
P「あ…の?」
あずさ「…プロデューサーさんも伊織ちゃんに負けないくらいかわいいですね、ふふふ」
P「え…もしかして」
伊織「ふぅ…あんたもホント成長しないわね。そろそろ慣れてもらわないと困るわ」
P「」
あずさ「でも女性への発言は気をつけたほうがいいですよ、プロデューサーさん」
P「…はい」
伊織「はいはい。それでこのあとはどうするの?」
P「そ、そうだな!せっかくの休みなんだしパーッと…!」
<ゴマエーゴマエー…
伊織「?」
あずさ「プロデューサーさんじゃないですか?」
P「そうですね…はいもしもし?」ピッ
P「…はい…え、今からですか!?」
あずさ「…あらあら~」
伊織「…はぁ」
P「あの…はい…わかりました…はい」
P「…」ピッ
あずさ「うふふ、大変ですね~」
P「あの…すいません」
伊織「はいはい、わかってるからさっさと行きなさいよ」
P「すまん…」
あずさ「いえ~、頑張ってくださいね」
P「はい…この埋め合わせはしますので…」
伊織「期待しないでおくわ」
P「ぐ…じゃあ行きます」タタタ…
伊織「まったく…しょうもないわね。まぁアイツらしいけど」
あずさ「大変ね~」
伊織「…!そうだ!」
あずさ「?」
伊織「にひ…ねぇあずさ?私たちこれから特に予定ないじゃない?」
あずさ「ええ…」
伊織「だったら、あの大変そうなバカを少しは手助けしてあげようじゃないの!」
あずさ「…ど、どういうことかしら~?」
伊織「だから…」ゴニョゴニョ
あずさ「…うふ、面白そうね~」
伊織「でしょ!」
・
・
P「ふぅ…こんなものですかね」
小鳥「すいませんプロデューサーさん、お休みのところ…」
P「いえいえ仕事ですから」
P「ついでにちょこっと仕事を片付けて…」
プルルルルル…
小鳥「はい765プロダクション、受付の音無でございます」
P「いややっぱりあずささんたちと合流して…うーむ」
小鳥「え…?」
P「?」
小鳥「はい…はい、今担当のものと変わりますので…」ホリュウ
P「どうかしました?」
小鳥「それが…あずささんの担当者をということで」
P「おれですね。どこからですか?」
小鳥「…それが…その」
P「?」
小鳥「…警察からなんです」
・
・
P「すいません、765プロのものですが!」バタン
警官「ああ、わざわざすみませんね」
P「この度は三浦がご迷惑をおかけしまして…!」
警官「まぁここじゃなんですから、詳しい話は奥でしましょう。三浦さんもおられますので」
P「はい…」
警官「どうぞ」ガチャ
P「あずささん…」
あずさ「プロデューサーさん…ご迷惑をおかけしました」
P「…詳しい事情をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?」
警官「ええ。えーと…本日午後3時頃、一般の方からこちらの方に連絡が入りまして」
警官「駅前のCDショップの前が混雑で通れない。車道の方にも影響が出ている、と」
P「…」
警察「それで我々が向かったところ、三浦さんがそのショップの前で歌をうたってらしてですね」
P「その…ファンの方々で?」
警察「ええ…まぁ芸能人の方がプライベートで見つかって騒ぎになることはよくあることですが」
警察「今回は歌手の三浦さんが歌ってらっしゃったものですから、それはもうすごい人だかりができてしまってですね」
警察「車道の方にも人が溢れてしまって、さすがに…ね」
警察「こういったことはやはり店舗に許可を取った上で、整備の人を置くなり事前に準備していただかないと…」
P「はい…申し訳ありません」
警察「それで、三浦さんには一応事情を聞かせていただこうと御同行願ったわけです」
P「…ご迷惑をおかけしました」
警察「…担当者の方にも少しお話をお聞きしたいんですが、よろしいですか?」
P「はい…」
あずさ「すいませんでした…プロデューサーさん」
P「…いえ」
―車内
P「それじゃ…事務所に戻りましょうか」ガチャ
あずさ「はい…」バタン
P「…」
あずさ「…」
P「あの…少しお話を聞いてもいいですか?」
あずさ「…」
P「えーっと…伊織はどうしました?一緒ではなかったんですか?」
あずさ「…」
P「…あの…?」
あずさ「…ごめんなさい」
P「いえ、その…それで?」
あずさ「…」
あずさ「…すいません、事務所についてからでもよろしいでしょうか?」
P「…わかりました」
P「すいません、まだ落ち着いていませんよね。配慮が足りませんでした」
あずさ「…」
P「…」
・
・
P「戻りました…」ガチャ
あずさ「…」
伊織「…おかえり」
P「!?伊織!」
小鳥「おかえりなさい…大変でしたね」
あずさ「…小鳥さん、ご迷惑をおかけしました」
小鳥「いえ…」
P「伊織どこ行ってたんだ?あずささんと一緒じゃなかったのか?」
伊織「…いいから社長室に行きなさいよ。社長が待ってるわ」
P「伊織っ…!」
あずさ「…プロデューサーさん、社長室に行きましょう」
P「…」
P「…はい」
伊織「…」
・
・
高木「…なるほど、事情はわかった。ご苦労だったね」
P「自分の責任です。申し訳ございませんでした」
あずさ「…本当に申し訳ありませんでした」
高木「…三浦君、少し話を聞いてもいいかね」
あずさ「…」
P「あずささん…」
あずさ「…すいません、こんなことを言うのは本当に申し訳ないんですが…」
あずさ「…明日まで、待って頂けませんか?」
P「…え?」
あずさ「…」
高木「何を…かな?」
あずさ「…詳しくお話するのを、です」
P「…あずささん!なぜですか?」
あずさ「…すいません」
P「…っ!謝罪を聞きたいわけじゃないんです!事情を聞かないと納得できません!」
あずさ「…」
P「なにか事情があったんですよね?」
P「なら…いや、話せないならなぜ話せないかぐらい聞かないと」
あずさ「…ごめんなさい」
P「あずささん…!そんなにおれじゃ…!」
高木「まぁ待ちたまえ。…三浦君、君なりの考えが何かありそうだね?」
あずさ「…」
高木「…わかった。君が話してくれるのを待つことにしよう」
P「社長!大丈夫ですか?」
P「各関係者への対応を考えると早めに事情を把握しておいたほうが…!」
高木「…私はアイドルの諸君を信用しているからね」
高木「君だってそうだろう?」
P「…!」
P「…はい」
高木「ただ…先に言っておこう。当然関係各所に謝罪文は送るが、三浦君にもそれなりの処分を検討している」
あずさ「…」
P「…具体的には?」
高木「とはいえまだ事情がはっきりしていないしね…」
高木「私も考え中だが…一定期間の謹慎、アイドル活動の自粛と今は考えている」
P「…わかりました。詳細決定は後日ですね」
高木「うむ」
あずさ「…本当にご迷惑をおかけしました」
高木「話せるようになったら、すぐに話してくれたまえよ」
あずさ「…はい」
高木「あ、君はちょっと残ってくれたまえ。今後の対応を相談したい」
P「はい…」
・
・
P「失礼しました」ガチャ
あずさ「…」
P「…明日の仕事はキャンセルになりました」
P「ひとまず自宅で待機をお願いします。場合によっては事務所に来ていただくことになりますが」
あずさ「はい…」
P「今後の予定は、明日正式決定ということで」
P「…明日には話してくれるんですよね?」
あずさ「はい…」
P「そうですか…わかりました」
P「…伊織は帰ったんですかね?」
あずさ「はい…さっきまでいましたけど」
P「…伊織とはいつまで一緒だったんですか?」
あずさ「…」
P「…そうですか」
あずさ「ごめんなさい」
あずさ「…ごめんなさい」
P「…」
―翌日
P(新聞の扱いは小さいが…)
『竜宮三浦あずさ、ゲリラライブで街は騒然!?』
『最後には警察もくる騒ぎに!』
P「週刊誌にはやはり載ってるか…昨日の今日で」
伊織「おはよう…」ガチャ
P「ああ…」
伊織「コレ、昨日の…」
P「…」
伊織「…あずさを呼んで」
P「…今なら…話してくれるのか?」
伊織「ええ…たぶん」
P「わかった」
・
・
あずさ「失礼します…」ガチャ
高木「ああ、おはよう。まず掛けたまえ」
伊織「…」
P「…」
高木「事情は、一足先に水瀬君に聞いたよ」
あずさ「…そうですか」
P「確認させてください…昨日のライブの現場には」
P「伊織もいたんですね?」
あずさ「…はい」
P「ショップ前でのゲリラライブをやろうとしたのは伊織の提案」
P「今度のライブのPR、チケット販売の促進のため」
P「『竜宮小町2周年記念ライブ』の…そうですね」
あずさ「…」
P「それで、警察が来るのを確認したため、伊織を先に退避させた…と」
あずさ「…はい」
P「…なんで昨日は言ってくれなかったんです?」
あずさ「…伊織ちゃんがいた事を、マスコミが知っている可能性があったからです」
P「…」
伊織「…?」
P「…なるほど、警察の方には伊織がいたことは見られていない、と」
あずさ「…警察の方は私と一緒に警察署に戻りました。ファンの人たちに事情を聴いたりはしていません」
あずさ「あとは、マスコミ関係の記事だけが心配でしたが…」
P「…今日の情報誌ですね」
あずさ「ええ。今週号の発売が今日でしたから」
あずさ「業界最大手のここが伊織ちゃんのいた事を確認してなければ…」
P「…他はおそらく大丈夫ですね。まぁ絶対とは言えませんが」
伊織「なるほどね…って」
伊織「ちょ、ちょっとそれじゃ…!」
あずさ「ええ…処分を受けるのは私一人で済みそうね」
P「…それは」
伊織「ちょっと社長!?」
高木「三浦君の処分は…」
高木「謹慎1ヶ月、その期間のアイドル活動の自粛…に決まった」
伊織「…!!」
高木「…済まないね、もう少し待とうと思ったんだが」
高木「今日の朝から問い合わせが多く、早めに対応するしかなかった」
高木「もう…通達してしまったよ」
あずさ「…わかりました」
高木「…済まない」
あずさ「いいえ、当然のことですから」
P「…」
伊織「ちょっと!納得できないわ!」
あずさ「でもよかったわ~伊織ちゃんは大丈夫で~」
伊織「あんたね…!一ヶ月ってことは…!」
あずさ「…ごめんね、一緒にライブできないわ~」
伊織「くっ…ちょっとプロデューサー!」
P「伊織…あずささんのことも考えろ」
伊織「だからよ!なんで私も同じなのにあずさだけが…!」
P「…伊織まで同じ処分になったらライブはどうなる?」
伊織「…」
P「亜美一人でライブをするか?…それとも2周年ライブ自体なかったことにするか?」
伊織「そ、それは…!」
あずさ「…」
あずさ「…きっと伊織ちゃんなら大丈夫よ~」
伊織「あずさ…でも!」
あずさ「それに亜美ちゃんもいるし…ふふ」
あずさ「そうよ、二人でも大丈夫…この先も二人で大丈夫なんじゃないかしら~」
P「…あずささん?」
あずさ「そうね~そろそろ私がいなくなってもいいかもしれないわね~」
伊織「…!!」
伊織「…あずさ、本気で言ってるの!?」
あずさ「さぁ~、どうかしら~?」
伊織「あんた…!冗談で言っていいことと…!!」
伊織「く…!」
伊織「そう…なら、もういいわ」バタン!
P「伊織!」
あずさ「…」
P「…あずささん、今のはちょっと…」
あずさ「伊織ちゃんは怒らせるくらいしないと、諦めてくれないですから~」
P「…」
P「…本気では、ないですよね?」
あずさ「…なにが、ですか?」
P「さっきの…この先二人でも…ってやつです」
あずさ「…」
あずさ「…どうしてそう思うんですか?」
P「どうしてって、今まで一緒にやってきてまだまだこれから…」
あずさ「…」
あずさ「ねぇプロデューサーさん…ちょうどいい機会だから言っちゃいますけど」
あずさ「私、そんなに強いわけじゃないんですよ」
あずさ「…辞めてしまおうか、って思ったことも正直…なくはないです」
P「…!」
P「そう…なんですか?」
あずさ「…はい」
あずさ「ふふ、やっぱり意外みたいですね~。でも…」
あずさ「…仕事のない時期があったり、この前言ったみたいに友達も少なくなっちゃったり」
P「それは…」
あずさ「でも一番は…」
あずさ「…ねぇプロデューサーさん、私の年齢ってどう思います?」
P「…年齢ですか?」
あずさ「正直周りと比べると、どうしても…ってところはあるじゃないですか」
P「まだまだ若いと思いますけど…」
あずさ「うーん、社会的には確かにそうですね」
あずさ「ただ、アイドルの寿命って思ってるより短いと思うんですよ」
あずさ「きっと社長はよくお分かりだと思うんですが…」
高木「…」
あずさ「それに…社会的にはまだまだかもしれませんが、そんな私でもみんなの前ではお姉さんなんです」
P「…そうですね」
あずさ「…みんなの前では弱いところをなるべく見せないようにって」
あずさ「思って…るんですけど」
あずさ「…現実の私はまだまだなんです。迷ったり、落ち込んだり…」
あずさ「それでも『あずさお姉ちゃん』でいなきゃって…思うと」
あずさ「そのギャップというか…ちょっと疲れちゃうなって思うときもあったり…」
あずさ「…元々そんなことは覚悟してた…つもりではあったんですけどね~」
P「あずささん…」
あずさ「…いつまで仕事があるか保証のない世界ですから」
あずさ「将来のことを考えると、いい時期で決断も必要かなって…考えちゃうことも」
あずさ「なんて…ね。愚痴ですね、すいません…」
P「…」
あずさ「…冗談です~。びっくりしちゃいました~?」
P「…どこからですか?」
あずさ「さぁ、どこからでしょう?うふふ」
P「…」
P「…おれだってまだまだですよ」
あずさ「…」
P「まだまだ…子供です、だから」
P「ライブの件は簡単に諦めきれません」
あずさ「…え?」
P「おれは…竜宮小町のプロデューサーですから」
P「そして竜宮小町は…3人ユニットなんです」
あずさ「プロデューサーさん…」
P「…失礼します」バタン
あずさ「…」
高木「…大丈夫かね?三浦君」
あずさ「はい…」
高木「まぁ…君はゆっくりしていたまえ」
高木「あ、トレーニングは欠かさずしていたほうがいいかもしれないね」
あずさ「え?」
高木「なに、独り言だよ」
高木「さて…なにをしてくれるのかな?」
・
・
P(謹慎1ヶ月…これは覆せない)
P(どうするか…そういえば)
P(今回のライブのチケット、販売方法は確か…!)
P(これが最善か…よし!)
P(あずささんなら…いや、竜宮小町ならきっと…)
・
・
伊織「…」トゥルルルルル…
伊織「ああ、もしもし…」
伊織「ええ、大丈夫よ…ただそのことで相談があるの」
伊織「亜美、今度いつ時間が取れるかしら?」
―3日後
P「ふぅ…準備は出来た。あとは発送して…」
小鳥「プ、プロデューサーさぁん!!」
P「?」
小鳥「ま、また…ゲリラライブをやってるそうですー!」
P「…は?」
・
・
P(く…何やってるんだ!伊織、亜美!)
P(これじゃあずささんが謹慎してる意味が…!)
P「ここか!?」
伊織『みんなありがとー!!』
「「「「「ワァァァァァァァァァァァァ!!!」」」」」
亜美『イェーイ!どうだったかなー!?』
P「…ガセネタであればと思ったが」
P(止めに行くべきか…しかしここで割って入ったらこちらの管理外でアイドルが活動してたことが明らかになるし…)
伊織『ところでみんな、ちょっと聞いて欲しいことがあるの!』
伊織『実はこの前のあずさの事なんだけど…』
P「…?」
亜美『そーそー!実はこの前亜美たちも一緒に3人でゲリラをやるつもりだったんだYO!』
P「…」
伊織『なんだけど、その時急に私も亜美も体調が悪くなっちゃってねー』
亜美『そーそー!亜美なんか熱が50度くらいでちゃって大変だったよー!』
伊織『あんたそれ死んでるわよ…』
「「「「「ハハハハハハハハハハ!!!」」」」」
伊織『そしたらあずさが、せっかく準備したんだしファンのために一人でもやるって言ったらしくて…』
亜美『うぅ、あずさお姉ちゃん…ごめんよ亜美たちのせいで』
亜美『ということで、今日は亜美たちがそのオムライス合戦に来たんだYO!』
伊織『弔いね…あと死んでないから』
「「「「「ワハハハハハハハハハ!!!」」」」」
伊織『だからみんなにお願い!竜宮小町のファンはみんな優しい人ばかりでしょ!?』
伊織『ファンとしてルールは守るんですよ、っていうところを見せて欲しいの!』
伊織『だから今日はちゃんと周りのみんなに迷惑にならないように聞いてちょうだい!』
亜美『ついでにこっちの「あずさお姉ちゃん早く戻ってきて!」署名に協力よろよろ~!』
P(…)
P(…先日のは手違い、ちゃんとこういう準備をしてましたってアピールか)
P(今回はちゃんとファンに事前に呼びかけた上)
P(周囲は水瀬家の黒服さんでガードはばっちり、ファンの統制も取れている)
P(プラス署名か…考えたな)
伊織『じゃあ次の曲行くわよ!』
P(これは心配ないかな)
「「「「「ワァァァァァァァァァァ…」」」」」
P「…一応最後まで見ていこう」
・
・
伊織「はい、署名よ」
P「…ごくろうさん」
亜美「うあうあ~、亜美めっちゃ疲れたよ~!」
伊織「…ありがと、亜美」
亜美「へへ…当然っしょー!仲間なんだから!!」
伊織「にひひっ!」
P「ああ…そうだな」
P「ただ…やはり3週間後のライブにはあずささんは参加できない」
伊織「え…?」
亜美「ちょ、ちょっとー!そりゃないっしょー!」
P「…」
伊織「…交渉してみなきゃわかんないでしょ!そのための署名じゃない!」
P「残念ながら各方面にもう伝わってるからな…今さら訂正はできん」
P「会社の信用にも関わる」
伊織「く…」
亜美「そんなぁ~…」
P「まぁ待て。おれにも考えはある」
伊織「な、なに!?」
・
・
P「…って計画だ。ある程度の妥協はしょうがない」
伊織「…」
亜美「…」
P「どうだ?」
亜美「いおりん、亜美はいいと思うんだけど…」
伊織「そうね…」
伊織「…あんた、私たちにとって一番大切なことを考えてくれてたのね」
P「…これでも竜宮小町のプロデューサーなんでな」
亜美「よし!じゃあ兄ちゃんそれで行こう!」
P「まだ成功するかどうかはわからんがな」
P「…全力でやるさ」
―2週間後 あずさ宅
あずさ「ふぅ、あと…5日後か」
あずさ「…」
ピンポーン<ユウビンデース
あずさ「あ…はいはい~」
ピンポーン
あずさ「はいすいませ…」ガチャ
「郵便です、三浦さん」
あずさ「…へ?」
あずさ「プ、プロデューサーさん?」
P「こんばんは」
あずさ「ど、どうしたんですか?」
P「ちょっとお伝えしたいことと、渡したいものがありまして」
あずさ「あ、えーと…とりあえずどうぞ」
・
・
あずさ「どうぞ」コト
P「あ、すいません」
あずさ「もう、急に来るなんてびっくりするじゃないですか~」
あずさ「それで、どうしたんですか~?」
P「まず報告です。あずささんには今度のライブから復帰していただくことが決定しました」
あずさ「…え?」
P「それで…えーと、これが曲目と音源…これが振り付けのDVDで…」
あずさ「ちょ、ちょっと待ってください!」
P「はい?」
あずさ「あの…どういうことですか?」
P「…」
P「2週間前、伊織と亜美がまたゲリラライブを行いました」
あずさ「はい…小鳥さんから伺いました」
P「ちなみにこれがそのとき集まった署名です…800名近くあります」
あずさ「そんなに…」
P「ええ…しかし」
P「じゃあ、と言って簡単に一度発表した処分を覆すことはできません」
P「会社の信用にも関わりますから」
あずさ「それは…当然ですね」
P「…なので、単純ですが」
P「ライブ日程を二週間ずらしました」
あずさ「え?」
あずさ「そ、それは…それこそ簡単なことでは…」
P「はい正直、きつかったです」
あずさ「…」
P「…まず社長に直訴するにあたって」
P「チケットを取ってくれた方全員に、ライブ日程変更の告知と、それでも参加していただけるか確認を取りました」
あずさ「ぜ、全員ですか?」
P「ええ…今回チケットが事務所での受付・販売だったので連絡先がわかりましたからね」
P「往復はがきを使って全員に送りました」
P「…どのくらい返信が集まったと思いますか?」
あずさ「…」
P「参加確認できた方が、全体の89%」
P「参加できない方が、10%」
P「…合わせて返信率99%です」
あずさ「…!」
P「正直驚きました…この短期間で、しかも急な変更ですからね」
あずさ「あ…でも参加できない方は…」
P「参加できない方はもちろん返金の上、次回のライブの優待券をお送りしました」
P「ただ参加できないといった方もですね…ここに現物があるので見てください」
あずさ「…これは」
『正直残念ですけど…次回は必ず行きます!ライブ頑張ってください!』
『行けるファンの友人に譲るので大丈夫です!どんなに素敵なライブだったか友達に詳しく聞きますので笑』
P「竜宮は、いいファンに恵まれてますね」
あずさ「…」
P「で、連絡の取れなかった方には片っ端から電話かけて確認取りました」
P「これは伊織と亜美も手伝ってくれたんで…一部のファンにはサービスになっちゃいましたね、はは」
P「それで100%達成です。社長からもそれならばと許可が下りて日程変更できました」
あずさ「…そんな」
P「ふふ、正直最初は迷ってたんですけどね」
P「『これじゃ2周年ライブじゃないじゃん!』ってね」
あずさ「あ…そういえばそうですね」
P「ただ…やっぱり一番大切なのはって考えた時に」
P「竜宮小町は3人揃ってないと、って思いまして」
あずさ「…プロデューサーさん」
P「ってことでライブ名は『2周年と2週間記念ライブ』に変更しました…亜美の案です」
あずさ「まぁ…うふふ」
P「ってことで報告は以上です」
あずさ「ほんとに…何と言っていいか…」
P「あ、まだだった」
あずさ「え?」
P「ごほん!」
P「『今度つまんない冗談言ったら怒るわよ!今回は許してあげるわ!それと…私の方こそごめんね』」
P「『あずさお姉ちゃんは将来ほんとのお姉ちゃんになってもらう予定なんだから、勝手にいなくなったらダメだかんね!』」
P「…だそーです」
あずさ「…」
あずさ「…ぷ」
P「!?」
あずさ「うふふ、今の…二人の真似ですか?」
P「…に、似てませんでした?」
あずさ「ふふふ…あはは!プロデューサーさんってば…うふふふふ」
P「うぐ…」
あずさ「あーおかしい…」
あずさ「おかしくて…涙出てきちゃいました…」
P「あずささん…」
あずさ「…ほんとうに…いい人たちばっかりです」
あずさ「こんなにいい人たちに囲まれてて…いいんでしょうかね」
P「…」
P「…いい人オーラの塊みたいな人が、何言ってんですか」
あずさ「…それ私のことですか?」
P「そうでしょう」
P「中学生組はよしよしって褒めてあげて」
P「高校生組の悩み相談に乗ってあげて」
あずさ「…」
P「律子の仕事も気にかけて、音無さんのお酒に付き合って」
あずさ「さ、最後のは…おほほ」
P「あずささんは、困っている人のところには、真っ先に行って『どうしたの?』って声をかける、そんな人じゃないですか」
P「そんなあずささんだから…みんなが助けてくれるんですよ」
あずさ「プロデューサーさん…」
P「というかそもそも今回のことはあずささんだけの責任じゃないですし」
P「ただ…この先、何かあったら相談してくださいね。頼りないかもしれませんが…」
P「一応年上ですしね」
あずさ「うふふ…そうですね。そうします」
P「だから…これからも一緒にいてください」
あずさ「え?」
あずさ「え、え、え、あらあら~?」/////
P「メンバーがかけるとさみしいですし…あずささんならまだまだ大丈夫ですよ!」
あずさ「あ、そういうことですね…」
P「え?」
あずさ「いえいえ、なんでもないですよ~」
P「そ、そうですか?」
あずさ「ふ~んだ」
P「うーむ…」
P「あ、そうだ。そろそろお暇しますが…」
あずさ「はい?」
P「明日、俺と伊織と亜美はいつものボーカルスタジオで10時からレッスンです」
あずさ「…それは」
P「まぁ独り言ですが…謹慎中でもレッスンはいいんじゃないですかね?」
あずさ「ふふ、そうですか」
P「って社長も言ってたような…」
あずさ「そうかぁ…」
あずさ「私、なんとなく明日道に迷ってレッスンスタジオに行っちゃうような予感がします、うふふ」
P「…はは」
―ライブ当日 舞台袖
亜美「んじゃ!さっきいっくよ~ん!」
伊織「お先!」
「「「「「ワァァァァァァァァァァ!!!!」」」」」
伊織『みんな、今日はありがとー!』
亜美『急に日程変更しちゃって、ごめんねー!!』
P「無事、準備完了…ですね」
P「準備期間が短かったのに、しっかり仕上げてくれてありがとうございます」
あずさ「いえ…あの、こちらこそ本当にありがとうございました」
P「はは、そんな改まってやめてくださいよ」
あずさ「ええ、でも一応今日で最後ですから…」
あずさ「最後までご迷惑をおかけしました」
P「まぁ竜宮のプロデュースは…そうですね」
P「はは、今度はライバルですからね。負けませんよ」
あずさ「はい…ふふ」
P「?」
あずさ「プロデューサーさん、この前言ってくれましたよね?」
あずさ「『これからも一緒にいてください』って」
P「え?ええ…」
あずさ「うふふ~、だからきっとこれからも頑張れると思います」
あずさ「3人…いえ律子さんが帰ってきたら4人で、一緒に」
P「そうですか…それは良かったです!」
あずさ「はい。でもそうするときっと運命の人は見つけられませんよね…」
P「え?それは…その」
あずさ「ふふ、だからこう考えることにしたんです」
あずさ「きっとアイドルを頑張るっていうのが私の『運命』で」
あずさ「頑張って頑張って…そして引退する時」
あずさ「その時に一番近くに…『一緒にいる人』がきっと『運命の人』なんだって」
P「…?」
P「…って、ええ!?そ、それってどういう…」/////
あずさ「ふふ…まぁそういうことにしておいてください」
あずさ「それで私はがんばれますから!」
伊織『さぁて、それじゃ張本人に登場してもらいましょうか!』
あずさ「ふふ、出番ですね」
P「え、ちょ…!」
あずさ「…ちゃんと見ててくださいね!」
あずさ(私の…運命の人候補さん♪)
92 : VIPに... - 2013/03/10 19:35:46.12 dacwJ3Du0 91/91
以上です。読んでくれた方ありがとうございました
あずささんってメイン張ること少ないですからねー、ファンの方に喜んでいただければ幸いです
前スレ 真「アゲハ蝶とあいのうた」もよかったらどうぞ
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