会長「今日は見逃してあげるけど、明日までに黒く染めてきなさい」
不良「はぁ? てめぇに関係ねーだろうが」
会長「随分反抗的なのね。学園の風紀を正すのも生徒会長の役目だと思うんだけど?」
不良「うっせぇ。黙ってろ」
会長「忠告はしたわ。明日もその髪の色なら、何らかの処分は覚悟しておくことね」
不良「>>5」
元スレ
生徒会長女「あら。髪を染めるのは校則で禁止されているわよ」不良女「ああ?」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1430832700/
5 : 以下、\... - 2015/05/05 22:33:22.358 +mR3o3cq0 2/72親に無理やり...
会長「親にやらされてるの?」
不良「そうだよ……。物心ついたときから真っ金々なんだ」
会長「あら……」
不良「黒染めなんてしたら、親父に殺される」
会長「……」
不良「それでも黒くしてこいっつーのか、おめーはよ」
会長「>>15」
16 : 以下、\... - 2015/05/05 22:36:20.493 rP0k6/b/0 4/72警察に…相談しましょ?
不良「警察……」
会長「あなたの意思が尊重されていないのなら、これは立派な児童虐待よ。
大人に任せた方がいいわ」
不良「ダメだよ、警察は」
会長「なぜ……。あなた達不良には、抵抗があるのかも知れないけど……」
不良「ちげーよ。民事不介入って言ってな、こういうことは解決しちゃくれねーんだ。
家にいたくねーからって公園に逃げても、深夜徘徊だって補導してご丁寧に家まで送ってくれやがる。
あいつらに頼ったって何にもならねーんだよ」
会長「……そうなの。ごめんなさい。……じゃあ、いったいどうしたら」
不良「>>29」
30 : 以下、\... - 2015/05/05 22:40:52.321 vjdTXQGQ0 6/72慰めろよ
会長「……分かったわ」スッ
不良「んだよ、それは」
会長「ほら。隣に座って?」
不良「……」スッ
会長「……」ポンポン
不良「ああ?」
会長「膝枕」
不良「……ちっ」
会長「ふふっ」
不良「なんだよ」
会長「素直でいい子ね」
不良「……うっせぇ」
会長「どこか行きたいところはある?」
不良「いや……、もう昼休み終わんだろ」
会長「いいじゃない。今日くらい」
不良「はぁ……。それが生徒会長さんの言うことかねぇ……」
会長「生徒のことを考えるのが私の仕事よ?」
不良「そうかよ」
会長「家には帰りたくないんでしょう? このままどこかに行くのも楽しいと思わない?」
不良「……かもな」
会長「あなたはどこへ行きたい?」
不良「>>50」
50 : 以下、\... - 2015/05/05 22:46:55.477 5SUZ9Kr9x 9/72駅の便所
会長「駅のトイレってこうなってるのねぇ」
不良「なんだ。ここ、高校の最寄り駅なのにトイレ使ったことないのか」
会長「いつも家の者が車で送ってくださるから……」
不良「……あっそ」
会長「それで、なんでここに?」
不良「これだよ」
会長「……落書き?」
不良「そうだ。これ全部、私が描いたんだ」
会長「すごいわ……。とてもいいデザインね」
不良「だろ? 自信作なんだ」
会長「よく消されずに残ってるわね」
不良「最初の頃はすぐ消されてたさ。でもここの駅員に私のファンがいるみたいでな。
いつの間にかこうして残るようになったんだ」
会長「そうなの……。でも、すごいわ。ちゃんとした学校で学んだら、今すぐにでもプロになれそう」
不良「そりゃダメだ。この高校出たらすぐ働かないといけねぇから」
会長「どうして? うちの高校に来るくらいだから、あなたの家も中流よりは上なんでしょう?」
不良「なんだか言い方が腹立つな……」
会長「これだけ才能があるのにもったいないわよ。どうして働かないといけないの?」
不良「>>70」
70 : 以下、\... - 2015/05/05 22:54:05.497 HwFcCUYr0 12/72貧乏だからだよ。毎日おにぎり1つだけで生活してるっつーの
会長「えっ……」
不良「本当は高校すら行かせてもらえないはずだったんだ」
会長「そうなの……」
不良「うちの高校って各界著名人のOBが集まって、支援団体やってるだろ?」
会長「私のお母様もそれに入っているわ」
不良「すげーな……。まぁ、その団体に私の絵を送ったわけだ。
そしたら入学金に授業料、その他もろもろ無料になって、生活費まで支援してもらえるようになった」
会長「それならどうして……。どうしておにぎり一つしか食べられないのよ」
不良「親だよ」
会長「……」
不良「親父の酒代と、糞ババアの化粧品、ホスト代に消える」
会長「そう……」
不良「んな憐れんだ目で見るなっつーの。高校行けてるだけで私は幸せなんだ」
会長「……ごめんなさい」
不良「ああ?」
会長「なんだか、下に見るようなこと言ってしまって……」
不良「あははっ。いいんだよ、別に。ツッパってるのは否定しないしな」
会長「でも……」
不良「暗い顔してんなって。私を楽しませてくれるんじゃなかったのか?」
会長「……そうね。ごめんなさい」
不良「謝んなっての。まだ時間はあるし、次は>>83だな」
83 : 以下、\... - 2015/05/05 23:01:15.268 ttMVs6/00 15/72温泉
会長「こ、こんな街中に温泉があるのね……」
不良「なにキョロキョロしてんだよ。温泉来るの初めてなのか?」
会長「いつもは旅館を貸切にするから……。みなさん、こんなに人がいる前で裸になるの、平気なのかしら……」
不良「だはは! お嬢様らしい反応がかわいいねぇ」
会長「ちょ……、脱ぐの早いわよ……」
不良「じゃあ、先に入ってるからな」
会長「待って!」
不良「きゃあっ!? だ、抱き付くな!」
会長「わ、私が脱ぐまで待ってて……」
不良「ふーい……。生き変えるわぁ……」チャポーン
会長「うう……。恥ずかしい……」
不良「ホントはタオル巻いて湯船入っちゃダメなんだからな? 今日は人少ないから誰も文句言わないけど」
会長「これで人が少ないって……」
不良「普段はこの湯船にクラスメート全員入るくらい浸かってるんだぞ?」
会長「衛生面は問題ないのかしら……」
不良「……~♪」
会長「ねぇ」
不良「ん? なんだ?」
会長「どうして私とここへ……?」
不良「私の家お風呂無くてさ。いつも水で体と頭洗ってるんだ」
会長「そんな家があるの……。あっ、ごめんなさいっ!」
不良「いいってよ。お嬢様には信じられない世界だろうなぁ」
会長「……」
不良「まぁ、そんなのは建前で」
会長「……?」
不良「あんたと、裸の付き合いがしてみたかったんだ」
会長「裸の付き合い……?」
不良「ああ。私とこれだけ本気で向き合ってくれたの、あんたが初めてかも知れない」
会長「……そう」
不良「これからもよろしく頼むぜ、会長さん」
会長「あうう……」
不良「まさかのぼせて倒れるとは……」パタパタ
会長「はっ!」ガバッ
不良「お、目ぇ覚めたか」
会長「どこかしらっ!? ここは!」キョロキョロ
不良「温泉だよ。忘れたのか?」
会長「……あれ。私、お風呂で倒れて……、それで……」
不良「すっぽんぽんでここまで運ばれてきてな。私が服着せてやったんだ」
会長「……」
不良「どうした?」
会長「……死ぬほど恥ずかしい」
不良「やっぱ体調きついよな? もう帰ろうか?」
会長「だ、大丈夫ですのことよ……」フラフラ
不良「あんまり大丈夫そうには見えないんだが……」
会長「ねぇ、不良さん」
不良「あー? なんだ?」
会長「私、あなたのことが好きになっちゃったわ!」
不良「……はぁ?」
会長「今日はとことん付き合わせてよ! あなたが普段していることとか、興味が湧いてきたの!」
不良「私が普段していることねぇ……。じゃあ>>111」
111 : 以下、\... - 2015/05/05 23:17:10.733 mZ8MRoOu0 21/72防衛
会長「敵はいつごろ来るの……?」
不良「しっ……! 静かに……」
会長「ご、ごめんなさい……」
不良「……今だ!」
会長「わ……、わああーーーーっ!!!!」
不良「オラァァァアアアアア!!!!!!」
子ども達「ぎゃあああああっーーーー!」
不良「にっしっし! 私に勝とうなんざ100年はええ!」
子ども達「くっそぉ……」
会長「ご、ごめんね? 君達……」
不良「勝負なんだから謝んなよ。相手に失礼だぞ」
子ども達「そうだ、そうだ! 情けは無用だ!」
会長「ええーっ……」
不良「んで、もう諦めるかい? ガキンチョども」
子ども達「まだまだ!」
不良「はっは! そうこねぇとな」
会長「いつもこうしてあの子達と遊んでるの……?」
不良「ああ。あいつら全員、親がいないんだ」
会長「……」
不良「親父が再婚する前までは、私もあいつらと同じ施設にいた」
会長「そう、なの……」
不良「その頃の方が幸せだったと思うのは、やっぱり年上の姉ちゃんとか兄ちゃんがいたからだと思うんだ。
まぁ、一種の親代わりみたいな」
会長「……」
不良「私はその恩を返してやりたいんだよ。金は無いから、こうやってな」
会長「……ねぇ」
不良「んだよ」
会長「あの子達」
子ども達「おっしゃあああああっ!!!! 旗取ったあああああっ!!!!!」
不良「あっ」
子ども達「初めて勝ったぞおおおっ!!!!」
不良「あちゃー……。話に夢中になりすぎた……」
会長「ご、ごめんなさい」
子ども達「姉ちゃん、姉ちゃん」
不良「……? んだよ……っ!?」
子ども達「プレゼント。みんなで一生懸命作ったんだ」
不良「は、花の首飾りか……」
子ども達「負けっぱなしだとダサいから、勝ったら渡そうってみんなで相談してたら、こんなに遅くなっちゃった」
不良「……」
子ども達「いつもありがとう! お姉ちゃん!」
不良「ば……、馬鹿野郎……。お前ら……!」
会長「あら? あなた……」
不良「な、泣いてなんかねぇぞ!」
子ども達「バイバーイ! お姉ちゃんと、綺麗なお姉ちゃーん!」
不良「おい! 私は綺麗じゃないってか!?」
子ども達「わーっ! 逃げろーっ!」ダダダッ
不良「……ったく。あいつらはよ」
会長「ふふっ。いい子達じゃないの」
不良「……ああ。是非とも幸せになってもらいたいね」
会長「あら、今でも十分幸せだと思うわよ?」
不良「そうかな。そうだといいけどな」
会長「それで、次はどこへ連れていってくれるのかしら?」
不良「>>140」
140 : 以下、\... - 2015/05/05 23:32:14.592 d/lmom0P0 27/72夕陽の見える丘
会長「わぁ……っ!」
不良「綺麗だろ?」
会長「なんだか……、吸い込まれそう……」
不良「ここに来ると、自分の悩みとかが全部ちっぽけに思えてきてさ……。
お気に入りの場所なんだ、ここは」
会長「……ありがとう」
不良「ああ? 何がだよ」
会長「こんなに素敵な場所、教えてくれて」
不良「あんたの方がいろんな場所知ってそうだけどなぁ」
会長「私なんて何も知らないわよ。いつも誰かの言いなりで、決まった未来をただなぞるだけ」
不良「はっ! じゃあ学校サボっちゃまずかったんじゃねーのか」
会長「……ううん。今日の出来事は、私の今までを覆しちゃうくらい、とっても素晴らしい時間だった」
不良「ひっひ! ”お父様”に叱られても知らんぞぉ?」
会長「いいのよ。あの人は私に興味ないから」
不良「……? んだよ、それ」
会長「ねぇ」
不良「……何?」
会長「このまま、二人で消えちゃわない? 遠い街で、全てをやり直して……」
不良「>>160」
160 : 以下、\... - 2015/05/05 23:40:09.743 mZ8MRoOu0 30/72重い
会長「えっ……」
不良「重てーよ。お前の話は」
会長「でも……っ!」
不良「別に私はどうなっても構わないさ。けど、あんたはどうなるよ」
会長「私だって……、別に……!」
不良「あんたの将来は約束されてんだろ? 私みたいな脇役とは違う。
輝かしい未来と、他を惹きつける魅力に溢れた人生が待ってるんじゃねぇのか」
会長「……そんなの、意味ないよ」
不良「分からんね、私には。なんのためにその全てを棒に振るつもりなんだ」
会長「あなたのためよ……っ! 私、あなたのことが……!」
不良「それが重てーって言ってんだ。悪いけど、私には背負いきれない」
会長「……」
不良「泣きたいなら泣けばいいさ。殴りたいなら殴れ。
私には、お前の全てを背負いきれるほどのキャパなんてねーんだ」
会長「……泣かないし、殴らない」
不良「そっか。そうしてくれると私も助かるよ」
会長「あなたのいない人生なんて、私もう考えられない……。
一緒にいてくれないなら、死を選びます」
不良「さ、さっきより重くなってんじゃねーか。もっと軽く考えろよ。なっ?」
会長「いいえ。私は死にますから。止めないでください」
不良「あのなぁ……」
会長「ねぇ。あなたはどう考えているの?」
不良「……やっぱり、一緒にはいられねぇよ」
会長「違うわ。私が死んだら、悲しい?」
不良「そりゃそうだろ。私も、あんたのことが……、その……」
会長「だったら簡単なことじゃない! あなたこそ簡単に考えて!
人のことを考えて、嫌なしがらみを抱えて生きるのか……。
自分のことを考えて、自由に生きるのか……」
不良「……選べねぇよ。そんなの」
会長「私は選べる! 私は好きな人……、あなたとずっと一緒にいる!
あとはあなたが決断するだけよ! 背負うものなんて、何一つ無いんだから!」
不良「>>191」
191 : 以下、\... - 2015/05/05 23:53:42.247 tqhPxXMZ0 34/72重い
会長「……」
不良「悪いな。この世ってのは、あんたみたいなお嬢様が考えてるほど甘くできてねぇ」
会長「でも……」
不良「じゃあ聞くけどな。あんたは金のために、好きでもない男に股開けるか?」
会長「そ、そんなこと……」
不良「する必要ないってか? それなら逃げた先でどうする?
私達未成年は、保護者がいなきゃ仕事すら見つけらんねぇ。
食っていくために、金を稼ぐにはどうしたらいい?」
会長「それは……」
不良「生まれた時から日常に金が溢れてるやつには分からねぇだろうな。
金ってのは汚いもんで、それを稼いで笑っているやつらはそれ以上に醜いんだ」
会長「……」
不良「……悪かった。少し強く言いすぎた」
会長「……私、できる」
不良「ああ!?」
会長「あなたのためだったら……、なんだってやる……。
どんなに汚いことだって……、どんなに惨めなことだって……」
不良「馬鹿野郎!」バチンッ!
会長「あぅ……っ!」ドサッ
不良「お前に……! お前にそんなことさせられるわけがねぇって言ってんだよ……!」ポロポロ
会長「不良さん……」
不良「じゃあな……。今日は楽しかったよ……」
会長「……ねぇ」
不良「……なんだよ」
会長「卒業するまでは……、学校にいてくれるよね……?」
不良「……」プイッ
会長「待ってるからね……。私……、学校であなたに会えるのを……」
不良「……」スタスタ
会長「ずっと……! 楽しみに待ってるから……!」
不良「……」スタスタ
会長の叫びも虚しく、不良がその日以来学校に現れることは無かった。
不良が不登校になってから一月が過ぎた。そんなある日。
先生「ちょっと。生徒会長さん」
会長「……なんでしょう」
先生「わっ……。目の下クマすごいけど……、大丈夫?」
会長「……夜遅くまで家の仕事がありまして。で、なんでしょう」
先生「不登校の問題児が突然学校に来てね。あなたに会いたいって暴れるもんだから、追い返しておいたんだ。
一応君の耳には……って、どこ行くの!?」
会長「不良さん……っ!?」ダダダッ
待って――!
不良「……んあ?」
会長「ま……、待ってよ……!」ハァ……ハァ……
不良「な……、なんだよ、その顔……」
会長「あはっ……。あなたの方こそ……、ひどい顔……」
不良「……っ!」ダキッ
会長「……ずっと、待ってたよ。あなたが来るの」ポロポロ
不良「待たせて、ごめんな……」
会長「今まで……、何して――?」
不良「これ」ピラッ
会長「預金……、通帳……?」
不良「まぁ、あんたにとっては少ない金額かも知れないけど……」
会長「一月でこんな大金……、どうやって稼いだの……?」
不良「……」
会長「まさか……」
不良「……あんたに、迷惑はかけないよ」
会長「ううっ……! ごめんなさい……っ! あなたに負担ばかり……!」
不良「さて」
会長「……?」
不良「じゃあ、荷物まとめて出発するか」
会長「そのあたりは抜かりないわ。いつでも発てるよう、準備は万端だから」
不良「さすがだな」
会長「ええ。でもその前に」
不良「?」
会長「やるべきことがあるでしょう?」
不良「やるべきこと?」
会長「>>252」
252 : 以下、\... - 2015/05/06 00:16:15.691 uwanGVmea 42/72ラブホでレズプレイ
不良「……で。マジで来るのか」
会長「と、当然ですわよ!」
不良「なんなの、そのキャラ」
会長「最初は……、ええと……。まず、シャワーから……」ブツブツ
不良「まぁ汗かいてるし、疲れてたからちょうどいいわ。先に風呂もらうよ」
会長「待って! 私も一緒に……」
不良「ああ? 別にいいけど」
会長「裸の付き合い……。裸の付き合い……」ブツブツ
不良「ふぃー……。気持ちいいなぁ……」
会長「お、お身体をお洗いいたしますわっ!」
不良「おう、サンキュ。……つーかさっきからなんなの、その口調」
会長「別に、なんでもないよぉ……」アワアワ
不良「ちょ……っ! どこ触ってんだ!」
会長「まずはお身体をお清めしたしませんと」アワアワ
不良「なんで前から洗うんだよ!」
会長「そっちの方が大事だもんっ!」アワアワ
不良「そ、そうなのか……?」
会長「ここがいいんですの……?」
不良「な……、なんでそこばっか……」
会長「清潔にしておかないといけませんからねぇ」
不良「うう……っ」
会長「こちらはどうでしょう?」
不良「ぁ……っ! ふぅ……っ!」
会長「どちらも捨てがたいですね」
不良「んうう……っ!」
会長「私のも洗ってくださいまし……」
不良「ふわ……っ」
会長「どうですかぁ……? どんな気分ですかぁ……?」
不良「んく……ぅっ! ん……っ!」
会長「お休みしてる時間はありませんことよ? 私のも……、ほら……」
不良「ま……、待ってぇ……っ!」
会長「待てません」
不良「待って……、待ってよぉ……っ!」
会長「嫌です」
不良「待てやゴラァァァッ!」ガッシャーン!
会長「きゃあああっ!?」
不良「何してんだコラ! 危うくイ……」
会長「イ?」
不良「……何でもねぇ! お前は何がしたいんだよ!」
会長「ええっ……。だって……」
不良「ああ!? なんだよ!?」
会長「不良さんが、温泉で”裸の付き合い”がしたいと……」
不良「確かに言ったけど、それがなんだよ」
会長「あれからたくさん本を取り寄せて調べたの。裸の付き合いって言うのは、その……」
不良「ああ?」
会長「性交のことだと……」
不良「はぁ!? 違っげぇよ!?」
会長「そうだったの……。私、あれ以来イメージトレーニングを欠かさずやってたのに……」
不良「裸の付き合いってのは、単に一緒に風呂に入るってことだ。
まったく、お嬢様ってのは何を考えてるんだか」
会長「これはこれは早とちりを……、ごめんなさい……」
不良「ま、分かればいいよ」
会長「でも……」
不良「なんだよ」
会長「私、あなたのことが好きだから……。その……」
不良「……」
会長「ああいう場所は初めてだったから、私とっても楽しかったわ!」
不良「そ、そうか……」(朝までとは……。お嬢様の体力どうなってんだ……)
会長「それに、良かったです」
不良「何が?」
会長「あなたの身体が穢れたままだといけないと思っていましたので」
不良「確かに汗はかいてたけど……、そんなに汚れてたかな?」
会長「違うわよ! その……、お金を稼ぐのに……、あなた知らない男の人に……」
不良「ああ!? そんなことするわけねぇだろうが!」
会長「ええっ……。じゃあ……、あんな大金どうやって……」
不良「>>297」
297 : 以下、\... - 2015/05/06 00:38:51.118 LZkdnpfn0 50/72作家になれるぞ
会長「作家?」
不良「ああ。”貧乏で不良の私がお嬢様と!?”って言う本書いたんだが」
会長「デザインに文章にマルチな才能だね……」
不良「たまたまだよ」
会長「でも……、印税が入るのはだいぶ先なのでは?」
不良「新人賞に送ったからその賞金だよ」
会長「なるほど……。それであの金額なの……」
不良「運が良かったな」
会長「では、荷物持ってくるわ」
不良「別れの挨拶はするのか?」
会長「いえ……。どうせ認めてもらえないし……」
不良「捜索願とか出される方が面倒だろ。親には言っておけよ」
会長「……あなたは」
不良「……」
会長「言ったの? 親に」
不良「いや……」
会長「それなら、私もいいません」
不良「でもよ……」
会長「なんです? 私は、あなたと対等な立場にいたいだけよ」
不良「……」
会長「……なんて。意地悪を言ったみたかっただけ」
不良「……」
会長「ちゃんと親には挨拶を済ませるわ。許してもらえようが、許してもらえなかろうが……。
私は、家を出るつもりだから」
不良「……私も、ちゃんと親に言っておいたほうがいいかな」
会長「ええ。私はそう思うわ。でも、それはあなたの好きにしなさい」
不良「>>321」
321 : 以下、\... - 2015/05/06 00:50:05.592 FbZSYPYL0 54/72い、一緒に行ってもらえないかな
会長「いいわよ。ただし」
不良「……?」
会長「私のお父様にも会ってもらうわ」
不良「ええー……」
会長「何? 嫌なの?」
不良「嫌だ……」
会長「あら。素直ないい子ね」
お父様「なんだ。話というのは。私は忙しいんだが」
会長「少し、紹介したい人がおりまして」
不良「……ドモ」
お父様「……」ジロジロ
不良「……」
お父様「なんだその小汚いのは。まさか、そんなのと友達付き合いがあるとか言うつもりじゃないだろうな」
会長「……なんですの。そのおっしゃり方は」
不良「い、いいよ別に。私は」
会長「あなたが良くても私が良くないのよっ!」
お父様「……随分と言葉遣いが悪くなったものだな」
会長「初対面の人間に”小汚い”とか言う人よりはマシだと思いますが」
不良「お、おい……」
お父様「そんな頭のやつと仲良くしてるから馬鹿がうつるんだ。さっさと縁を切れ。
お前の歩む人生に、ゴミは必要ない」
不良「……っ!」
会長「……なるほど」
不良「え……」
会長「確かに、お父様のおっしゃる通りですわ」
お父様「それでいい。誰か、さっさとそのゴミを――」
会長「ゴミはあなたの方ですわ! 恥を知りなさいっ!」バッチーン!
お父様「……なんの真似だ」
会長「言葉の通りに受け取ってくださいまし。私の歩む人生に、ゴミは必要ありません」
お父様「それがどういう意味か、分かっているのか」
会長「はい。それでは、縁を切らせていただきます」スタスタ
不良「お……、おい」タタタッ
お父様「……そこのお前」
執事「はっ!」
お父様「玄関の横に娘の荷物があったはずだ。それを運んでやれ」
執事「はっ……?」
お父様「早くしろ」
執事「た、ただいま!」ダダダッ
お父様「……ふん。まだまだ子供だと思っていたんだがな」
会長「まったく……。お父様ったら……」ブツブツ
不良「すっげーな、お前……。こっちが冷や冷やしたよ」
会長「……ごめんね。うちのお父様が、あんなひどいこと言って」
不良「別にいいってよ。大人に言われんのは慣れてる」
会長「……そう」
執事「お嬢様ーーーっ!!!」
会長「……あら。何かしら」
執事「旦那様が……、これを……」
会長「これは……。お母様の……、ネックレス……?」
執事「これは旦那様の家に代々伝わる宝物でして……。
娘が大人になった際に、渡すのがしきたりだと」
会長「お父様が……?」
不良「ははっ! 別に悪いやつじゃねーんじゃねーの?」
執事「……こんなことを言うのははばかられますが。旦那様は」
会長「いいわよ。その先は言わなくて」
不良「おっ? なんだよ、泣かねぇのか?」
会長「……ええ。もう大人だもの。泣き虫の私とは今日でさよならですわ」
不良「はぁ……。次は私の家か……」
会長「楽しみだわ」
不良「いいよなぁ、あんたの親父はすごそうな人でよぉ」
会長「うふふ。自慢のお父様だもの」
不良「なんだかんだでお父様大好きなのね。……さ、着いたぞ」
会長「え。どこ?」
不良「ここだよ」
会長「ここって……、物置?」
不良「……私の家だ」
親父「遅っせぇんだよカスが! 酒は買ってきたのか!?」
不良「んだよ、酒くせぇな。もうたらふく飲んでんだろうが」
親父「この役立たずが! ……ああ? そいつはなんだ?」
会長「こんにちは。ですわ」
親父「なんだ……。まさかお前にこんなべっぴんな友達がいたとはなぁ……」ノソッ
不良「……今日は話があってな」
会長「ですわ」
親父「話の前に……、一発やらせろや!」ガバッ
不良「やめろや! 糞親父が!」ドガァッ!
親父「……痛ってぇな。……おい、まさか、俺に勝てるとか思ってんじゃねぇだろうな」
不良「……ちっ。来いよ。今日が最後だ」
親父「ふざけんじゃねぇぞバカ娘が!」ガゴッ!
不良「……くぅ! てめぇがふざけんなよ糞野郎!」ガツンッ!
親父「オラァ! 口も聞けねぇようにしてやる!」ズガッ!ドゴッ!
不良「……っ! この……っ!」ジタバタ
親父「オラオラ! どうしたコラァ!」ガズッ!ゴガッ!
不良「ふ……っ! うう……っ!」(まずい……。このまま私がやられたら……!)
親父「がははっ! 役立たずのガキは死んじまえっ!」ガスッ!ゴッ!
不良「ぐう……っ! オオオオオオオオッ!!!!!!」ドンッ!
親父「うお……っ!?」
不良「てめぇが死ね……ッ!」ブワッ
親父「ま……、待てよ! 早まるな! 誰がここまで育ててやったと思ってる!?」
不良「……」
親父「分かったらさっさと下ろせ! そ、そんなもんで殴ったら本当に死んじまうぞ!」
不良「……ちっ。これに懲りたら」スッ
親父「調子に乗んなよ! クソガキが!」ドガァッ!
不良「あぐう……っ!?」ドサッ
親父「がははっ! 俺に勝てると思ってたんか!? 馬鹿が!」
不良「……っ! ……っ!」ダラン
親父「死ねッ! 死んじまえ……っ!」グラッ
不良「……あ?」
親父「……っ」ドサッ
不良「……」
会長「ごめんなさい……。見ていられなくて……」ガタガタ
不良「……こっちの方こそごめん。話せば、分かってくれるって……、そう思ってた……」ポロポロ
会長「……」
不良「こんなの……。こんなのが……、血のつながった親父だなんてぇ……ッ!」
会長「……別にいいわよ。あなたは、あなただもの」
不良「うん……。ひっく……! ごめん……! うう……っ! 本当に……!」
会長「さて。悪人も殺したことだしさっさと行くわよ」
不良「ああ……。って、親父死んだの!?」
会長「じょ、冗談よ。殺すわけないじゃないの……」
不良「そうだよな。……あれ」
会長「なぁに?」
不良「親父……、息してない……」
会長「そ、そんなわけないでしょ。気を失ってるだけで……」
親父「……」
不良「ひ……っ! ひぃ……っ!」
会長「って本当に死んでるんじゃないわよ! さっさと目を覚ましなさい!」バンッ!バンッ!
親父「……っ! おおう……っ!」ビクビクビクッ!
不良「ひぇ……っ!?」
会長「ほ……、ほら。死んでなかったじゃないの……」
親父「母ちゃん……! あれ……、死んだ母ちゃんが確か……」
会長「……さっさと行くわよ」スタコラ
不良「は……、はいっ!」パタパタ
会長「挨拶も済んだし……。他に思い残すことは無いわね?」
不良「ああ。これで、この街ともおさらばか」
会長「……そうね。何もない街だけど、私は大好きだったわ」
不良「寂しくないか?」
会長「ええ。あなたと一緒なら、どこだって」
不良「へへ……。ありがとう。私もだよ」
会長「……ごめんなさいね」
不良「すぐ謝んなよ。今度は何だ?」
会長「施設の子達とも、お別れしたいでしょう……?」
不良「べっつにぃ? ガキってのは気付いたら大人になってるもんさ」
会長「……でも」
不良「いいって。わざわざ悲しませることもねぇ」
会長「……」
不良「それに」
会長「……?」
不良「あいつらに会ったら……、私が泣いちまいそうでぇ……っ!」
会長「……ふふっ。もう泣いてるじゃないの」
不良「ま、ここからお別れを叫ぼうや」
会長「……相変わらず綺麗な夕日ね」
不良「私は……、そうだな」
会長「ええ」
不良「糞ったれな人生と、それ以上に糞な親父と、糞ババア」
会長「……」
不良「それと、大好きな子ども達と。ここから見える景色に」
会長「じゃあ私は……」ポロポロ
不良「なんだ? 別れが惜しくなったか?」
会長「ううん……。惜しくはないけど……、やっぱり寂しいもの」
不良「……そうだよな」
会長「でも、進まなきゃ。……私は。自慢のお父様とお母様。それに家の執事たち。
ペットのココアとペス。それと、学校のみんな。……ええと、あとは」
不良「多すぎるわ! そんくらいにしとけよ!」
会長「……ふふっ。そうね」
不良「別に死ぬわけじゃねぇんだ。会う気になりゃ、いつでも会えるさ」
会長「……うん」
不良「じゃあ、行くぞ」スゥゥゥゥーーーーー……
会長「……っ」スゥゥゥゥーーーーーーー……
不良&会長「みんなー!!! バイバーイ!!!」
二人の叫びは、オレンジ色に染まる街に吸い込まれていった。
終わり
475 : 以下、\... - 2015/05/06 01:42:31.915 f7WLOvjrM 72/72読んでくれた方、レスくれた方、ありがとうございました。