1 : 以下、名... - 2015/03/29 01:11:20.68 OmVsWzrd0 1/63


・関係あるSS

モバP「少女は星を望む」
https://ayamevip.com/archives/56656616.html



元スレ
モバP「ウサミン星人のそつぎょうしき」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1427559080/

2 : 以下、名... - 2015/03/29 01:15:14.81 OmVsWzrd0 2/63




安部菜々『……あの、Pさん。その……驚かないで、聞いてほしいんです』


菜々『ナナは……アイドルを引退しようって、思うんです』



3 : 以下、名... - 2015/03/29 01:16:24.67 OmVsWzrd0 3/63


パラッ

「やっぱり、どこも取り上げてるよな」

パラッパラッ

「菜々……」


ガチャッ

千川ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」

「……ああ、お疲れ様です、ちひろさん」

ちひろ「それで……どうですか?」

「まだ全然です。俺自身、どうしていいのかさっぱりで」ハァ

ちひろ「ですよね……私もまだ、驚いてますから」

4 : 以下、名... - 2015/03/29 01:17:46.00 OmVsWzrd0 4/63


ちひろ「でも、どうしてアイドルを引退するなんて決めたんでしょう」

ちひろ「……何か、あったんでしょうか」

「……まだ、分かりません」

「でも、仕事で追い詰められていたとか、大きな失敗したとか」

「思い詰めていた様には見えなかったんです」

ちひろ「そうですか……」

5 : 以下、名... - 2015/03/29 01:20:01.88 OmVsWzrd0 5/63


――――――――――――――――――――

『引退って……冗談だよ、な?』

『どうしたんだ、何かあったのか?』

菜々『……続けられなくなったから、ですかね』

『続けられなく、なった……?』

菜々『その、地元に帰らなきゃいけなくって』

『地元?』

菜々『はい……』


菜々『……ナナは、ウサミン星に帰らなきゃいけなくなったんです』


『ウサミン星に……帰る……?』


『……ウサミン星って千葉じゃなかったのか!?』

菜々『ち、千葉じゃないですよ!!?』

6 : 以下、名... - 2015/03/29 01:22:09.73 OmVsWzrd0 6/63


菜々『えー……コホン』

菜々『……本当は、もっとアイドルを続けていたかったんですけどね』

『それって、どういうことなんだ』

菜々『帰ってこいって、言われたから』

菜々『……ごめんなさい、ナナにはどうしようもないんです』

『菜々……』

菜々『せめて、最後にライブができたらなって』

菜々『……ごめん、なさい……こんな、わがままばかりで、ちゃんと言えなくて』

『そうか』


『……分かった。菜々が本気なら、俺も菜々のために出来ることをする』

『ただ、今じゃなくていいから……どうしてなのか、辞めるまでにちゃんと教えてくれ』

菜々『……はい。ありがとうございます、Pさん』

7 : 以下、名... - 2015/03/29 01:23:26.64 OmVsWzrd0 7/63


――――――――――――――――――――

「……」

池袋晶葉「おい、P。聞いてるのか」

「ん、晶葉か」

「えっと……すまん、何の話だ」

晶葉「ウサミンの話だが……やけに上の空だな?」

「突然、引退するって言われたからな……俺もまだ、整理しきれていないんだ」

晶葉「……そうか」

「晶葉から見て、菜々は何か変じゃなかったか?」

晶葉「全くだ。普段通りだったと思う」

晶葉「……いや、気になった点があったな」

「本当か!?」

8 : 以下、名... - 2015/03/29 01:25:07.31 OmVsWzrd0 8/63


晶葉「ああ、大したことじゃないんだが……前まで貸してくれなかったものを、急に貸してくれたんだ」

「それって、何なんだ?」

晶葉「口止めされているんだが……ウサミンが、宝物だって言っていたよ」

「菜々の、宝物……」

「……そうか」


晶葉「それで……ウサミン、本気なんだな?」

「ああ。もう引き返せないしな」

晶葉「……彼女のアイドルとしての姿勢は、憧れだったんだ」

晶葉「あんな風になりたい、と思ったものさ」

「……寂しくなるな」

晶葉「……そうだな」

晶葉「せめて、何かロボでも作ってあげたいものだよ」

「そうしてあげてくれ。きっと菜々も喜ぶと思う」

晶葉「ああ。Pも手伝って……いや、君は仕事に専念してくれ」

「?」

晶葉「少しでもウサミンに付いていてあげてほしいんだ」

晶葉「ウサミンは結構、繊細だからな」

「……ありがとな、晶葉」

9 : 以下、名... - 2015/03/29 01:26:50.46 OmVsWzrd0 9/63


――――――――――――――――――――

「1、2、3、4!」パンッパンッ

菜々「っ!」タンッ スタッ

「安部! ステップ遅れてるぞ!」

菜々「はいっ!」バッ

「振りが遅い! もう休憩するか!?」

菜々「……だ、大丈夫ですっ!」ゼェゼェ


(……それから、菜々はレッスンに仕事に、休む間もなく活動を続けた)

(体力持つのは一時間、なんて言っていたはずなのに)

(一度、本当に危ないと思って止めた事があったけれど……)

菜々『だ、大丈夫ですよ、Pさん……! ウサミン星人は、ナナは……こんなことではへこたれませんから!』

(なんて、押し切られてしまった)

10 : 以下、名... - 2015/03/29 01:28:14.51 OmVsWzrd0 10/63


「……大まかにはこんな感じだが、何かあるか?」

菜々「……」ボーッ……

「菜々?」

菜々「わっ、な、ななな何でしょうかっ!?」ガバッ

「いや、聞きたいのはこっちだが……聞いてたよな?」

菜々「は、はい! それで、えっと……あれ、何の話でしたっけ……」

「……最後のライブだ。ひと通り説明はしたから、何かあるか聞きたかったんだが」

菜々「あー、そうでしたね……」アハハ

「しっかりしろよ? ライブで倒れないか心配だぞ」ハハッ

菜々「……大丈夫です、Pさん」

菜々「ナナは、最後の最後まで……アイドルでいたいですから」

「……そうだな」

11 : 以下、名... - 2015/03/29 01:30:45.13 OmVsWzrd0 11/63


「……よし、菜々。いい時間だしどっか食べに行くか」

菜々「えっ、いいんですか?」

「ああ。たまにはいいだろ」

「どこでもいいぞ。もしお酒が飲みたいなら……」ニヤッ

菜々「な、ナナはまだ永遠の17歳ですからねっ!?」ブンブン

「分かってるって」

菜々「そ、そうですよね……!」ホッ

菜々「……でも、嬉しいですけど、折角ですから」

「?」

菜々「事務所の皆さんも一緒だったらなーって……ダメですか?」

「お、おう……菜々がいいなら、それでいいけど」

菜々「ありがとうございます、Pさんっ!」

「……ああ。それじゃ、今いるみんなに声かけて来るよ」

12 : 以下、名... - 2015/03/29 01:31:49.47 OmVsWzrd0 12/63



……バタンッ


菜々「……ごめんなさい、Pさん」


菜々「ナナに、勇気がなくて……」


13 : 以下、名... - 2015/03/29 01:33:02.15 OmVsWzrd0 13/63


――――――――――――――――――――

菜々「……これで最後だと思うと、や、やっぱり緊張しますね!」ガタガタ

「菜々、手が震えてるぞ」

「何ならこれが最後じゃなくてもいいんだけどな」

菜々「あ……」

菜々「あ、あはは、それもそうですよねっ」

菜々「……でも、ナナは決めましたから」

「そう言うと思ったよ……ごめんな、笑えない冗談だった」

菜々「いえ……ナナも、悪いんですから」


「開演五分前です! 準備お願いします!」


菜々「はーいっ!」

菜々「……それじゃ、行ってきます。Pさん」スッ

「ああ。楽しんでこい、菜々」スッ


コツンッ

14 : 以下、名... - 2015/03/29 01:34:47.27 OmVsWzrd0 14/63


『その時空から、不思議な光が降りてきたのです……!』

「あれは、誰だ、誰なんだーっ?」

『それは……ナナでーすっ♪』



(……結局、理由は聞けなかった)

(突然の事だったから、準備に追われていた事のもある)

(でも……チャンスはあったのに、どうしても上手く切り出せなかった)


(舞台の上の菜々は、楽しそうだった)

(来てくれた皆を楽しませようと、一生懸命で)

(晶葉が憧れていたのも……俺が、少しだけ、きっと少しだけ、惚れていたのも……頷けるくらい)

(菜々は最後まで、アイドルだった)

15 : 以下、名... - 2015/03/29 01:35:56.75 OmVsWzrd0 15/63


菜々「えへへ……やっぱりライブって、アイドルって楽しいですねっ!」

菜々「……こんなに楽しい時間が、もっと、ずっと続けばいいのにって思います」

菜々「でも、ナナはもう、決めちゃいましたから……この楽しいステージも、アイドルも、今日で卒業です」


『菜々ちゃーんっ! やめないでーっ!!』

『菜々さーんっ!! まだ大丈夫だぞーっ!!』


菜々「……っ」

菜々「みなさん……ありがとうございますっ!」

菜々「もう少しで、ライブも終わって……皆さんとお別れになっちゃいますけど」

菜々「ナナは、ウサミン星は……永久に不滅ですからねっ!!」


菜々「それじゃあ、最後の曲、行きますよっ!」


(もしかしたら、客席からも見えていたかもしれない)

(あの時、菜々はきっと――)

16 : 以下、名... - 2015/03/29 01:36:44.13 OmVsWzrd0 16/63


――――――――――――――――――――

「……お疲れ様、菜々」

菜々「はい……Pさんも、お疲れ様でした」

「最後、よく我慢したな」

菜々「なっ、何のことですか?」

「……何でもないよ」


「いいステージだったな」

菜々「そうですね……今までで一番、楽しかったです」

「もう、大丈夫か?」

菜々「……はい」

「そっか」

17 : 以下、名... - 2015/03/29 01:38:05.89 OmVsWzrd0 17/63


「……明日、事務所のみんなが予定を合わせてくれたから」

「悔いの残らないようにな」

菜々「そう、ですね……」


菜々「……あの、Pさん」

「どうした?」

菜々「ナナは、Pさんに感謝しているんです」

菜々「Pさんが、ナナにアイドルという夢をくれたから」

菜々「……この星の中で、ナナを見つけ出してくれたから」

「……大げさだな」

菜々「いえ、本当のことですから……」

18 : 以下、名... - 2015/03/29 01:39:24.62 OmVsWzrd0 18/63


菜々「……あはは、やっぱりナナにはこんな話、似合いませんよねっ!」

菜々「帰りましょうか、Pさん……もう、遅いですし」

「菜々……」


「なあ、菜々。この後大丈夫か」

菜々「……っ」

「このまま帰らなくても、誰も何も言わないさ」

「……明日、ちゃんと菜々が出てくれれば」

「菜々がアイドル辞めるまでに、理由を教えてくれるって言ったろ」

菜々「……はい」

「アイドルは、今日限りだもんな」

菜々「!」

「……嫌なら、もう聞かないことにするよ」

菜々「……いえ」

菜々「ナナも、ちゃんとお話します」

19 : 以下、名... - 2015/03/29 01:42:01.61 OmVsWzrd0 19/63


――――

ブロロロ……

「……なあ、菜々」

菜々「何ですか?」

「アイドル、楽しかったか?」

菜々「……はい。とても」

「そうか」

「……トップには届かなかったけど、結構有名になって」

「仕事したりライブしたり、楽しかったよ」

菜々「……ナナもです」

菜々「Pさんやみんなと一緒にいられて、ずっと、楽しくて」

菜々「……なんだか、名残惜しいですね」

「そうだな」

菜々「でも、もう決めたことですから」

20 : 以下、名... - 2015/03/29 01:43:54.63 OmVsWzrd0 20/63


「……たまには事務所に顔出してくれると、皆喜ぶよ」

菜々「……」

「っと、着いたぞ」

菜々「は、はいっ!」


バタンッ

菜々「わぁっ……」

「事務所に星の好きな子が多いからな。俺も調べてたんだ」

菜々「……綺麗ですね」

「だろ。晴れて良かったよ」

21 : 以下、名... - 2015/03/29 01:50:23.85 OmVsWzrd0 21/63


「――ウサミン星は、ここから見えるのか?」

菜々「どうかな……見えるかもしれませんね」

「ああして光ってる星は、ほとんど恒星だけどな」

菜々「……もしかしたら、見えるかもしれませんよ?」

「そりゃ凄いな」

菜々「誰かが見つけてくれるのを、待っていますからね」

菜々「宇宙にはたくさん星があって……地球みたいに、人がいる星はそんなに珍しくはないんです」

「そうなのか」

菜々「ずっとずっと、遠くにありますから」

菜々「今の技術では……まだまだ、届きませんけどね」

「月に行くだけで精一杯なのに、他の星なんてもっと遠いもんな……」

菜々「ええ」

22 : 以下、名... - 2015/03/29 01:52:21.03 OmVsWzrd0 22/63


「……なあ、菜々。どうしてアイドルを辞めることにしたんだ」

「地元に帰らなきゃいけないって、地元ってどこなんだ」


菜々「……星に、帰らなきゃいけなくなったからです」

菜々「地球での任務を終えて、ナナはウサミン星に帰るんですよ」

「……!」


「……やっぱり、ウサミン星は実在するのか」

菜々「はい。ずっと遠く、何億光年も先の宇宙に……ウサミン星はあるんです」

菜々「ナナの作った設定だと、思ってました?」

「……まあ、な」

菜々「ナナも……こっちに来てからは、地球があんまりにも楽しくて、忘れちゃいそうでしたから」

菜々「だから、ナナがナナであるために……ウサミン星からやってきたアイドルだって言ったんです」

「そうか」

菜々「……Pさんは、信じてくれますか?」

「いや……もう、何にも驚かないよ」

菜々「……ありがとうございます、Pさん」

「長い付き合いだからな。嘘かどうかくらい分かるさ」

23 : 以下、名... - 2015/03/29 01:53:31.79 OmVsWzrd0 23/63


菜々「……だから、もうすぐナナは帰るんです」

菜々「帰って、地球は良い星だって、報告するんです……」

菜々「地球を侵略したりとか、映画みたいなことにはなりませんよ」

「そうか。それは良かった」

菜々「でも……もう、こっちには来れないかもしれません」

「……」

菜々「他の星の調査に行けるのは、一度だけ」

菜々「きっと、次に来るのは……ナナじゃない、別のウサミン星人です」

「……菜々とは、もうお別れなのか」

菜々「……」


菜々「もしも奇跡が起こって……いつか、ナナが地球にまた来れたら」

菜々「Pさんは……あの時みたいに、ナナを見つけ出してくれますか?」

「……当たり前だ、菜々」

菜々「あはは、ですよね……ありがとうございます」

24 : 以下、名... - 2015/03/29 01:56:01.77 OmVsWzrd0 24/63


菜々「……またいつか、帰ってきます」

菜々「Pさんに、みんなに……会いたいですから」

菜々「それじゃあ、そろそろ戻りましょ……」


「……菜々っ!」

菜々「!」

ギュッ

「……ちゃんと、また帰って来るんだよな」

菜々「……きっと、です」

「必ずじゃ、駄目か……?」

菜々「!」

「いつか、帰って来るよな……?」

菜々「……はい」グスッ

菜々「いつか、必ず……帰って、来ますから……!」ギュッ

25 : 以下、名... - 2015/03/29 01:59:20.28 OmVsWzrd0 25/63


――――

(……次の日。菜々のお別れパーティーは、事務所総出の大規模なものになった)

「すっかりちひろさん達に任せきりにしてたけど……すごいな」

晶葉「私も驚きだが……それだけ、ウサミンが皆にとって大きな存在だったんだろうな」

「確かにな」

晶葉「……それで、ウサミンとはちゃんと、話せたのか?」

「ああ。もう大丈夫だ」

晶葉「それは良かった」

「そういえば、プレゼントは出来たのか?」

晶葉「……うむ。最新式のウサちゃんロボだ」

晶葉「山でも海でも……それこそ宇宙でだって動いてくれる最高のウサちゃんロボだ!」

「!」

晶葉「まあ、宇宙での動作性は理論上だし、流石に宇宙に持ち出されることはないだろうけどな」ハハッ

「そ、そうだな……」

26 : 以下、名... - 2015/03/29 02:00:21.20 OmVsWzrd0 26/63


晶葉「それじゃあ、ウサミンに渡してくるよ」

晶葉「……ちゃんと、ウサミン星まで持ち帰ってくれるといいな」

「?」

晶葉「いや、なんでもない。行ってくる」

「ああ、行ってらっしゃい」


「……」

「本当に、ウサミン星に帰ってしまうのか……」

27 : 以下、名... - 2015/03/29 02:02:34.00 OmVsWzrd0 27/63


「菜々、大丈夫か」

菜々「はぁい、ナナは大丈夫ですよぉ……♪」ヒクッ

(主役がこの有り様のため、パーティーはお開きとなった)

(みんな、永遠の17歳じゃなくなったからって、遠慮がなさ過ぎだ)

「家まで送って行くからな」

菜々「えへへぇ……ありがとうございますぅ……」

「吐くなよ」

菜々「大丈夫ですからぁ……」ポワー

「……不安だ」

28 : 以下、名... - 2015/03/29 02:06:55.67 OmVsWzrd0 28/63


菜々「ねぇ、Pさぁん……!」

「どうした?」

菜々「Pさんはぁ、もっとナナと一緒にいたいですか……?」ヒクッ

「そうだな。明日からさようなら、ってのは信じられん」

菜々「ナナも信じられませんからねぇー……」

「帰らなきゃいいんじゃないのか」

菜々「……へっ?」

「ずっと、地球にいればいいじゃないか」

菜々「プロデューサー、さん……」

「それじゃ、駄目なのか」

菜々「約束、ですから……」

菜々「ナナはウサミン星の、みんなの期待を受けて……地球にやってきたんです」

菜々「やっぱり、ナナは、帰らなきゃ……」グスッ

「そう、か。そうだよな」

29 : 以下、名... - 2015/03/29 02:10:12.06 OmVsWzrd0 29/63


「……ほら。着いたよ」

菜々「はい……ありがとう、ございます」

「ああ、待て。忘れ物だ」

菜々「……!」

菜々「晶葉ちゃんの、ウサちゃんロボ……」

「晶葉、ウサミン星まで持ち帰って欲しいって言ってたぞ」

菜々「そうですね……ウサミン星と、地球の」

菜々「ナナと晶葉ちゃんとの、友好の証ですから……」


「……それじゃあ、おやすみ」

菜々「はい。おやすみなさい、Pさん」

「……いつでも、帰ってきていいんだからな」

菜々「……はい」

31 : 以下、名... - 2015/03/29 02:15:17.79 OmVsWzrd0 30/63



菜々「それじゃあ、Pさん。また……いつか」


菜々「……お元気で」


32 : 以下、名... - 2015/03/29 02:21:25.73 OmVsWzrd0 31/63


――――――――――――――――――――

「さて、こんなものか……」カタカタ

「……コーヒーでも飲むか」


ガラッ

「あれ、こんなお茶あったか……?」

「……そういえば、菜々が買ってきたんだっけ」

「たまにはお茶にするか」


「……なんか、違うな」ズズズッ

「やっぱり、菜々がいないと……」

「って、そんなこと言ってても仕方ないか」

「もう3日も経つのにな」

33 : 以下、名... - 2015/03/29 02:24:42.35 OmVsWzrd0 32/63


ガチャッ

ちひろ「お疲れ様です、プロデューサーさん」

「お疲れ様です」

ちひろ「あら、珍しいですね。お茶ですか」

「ええ。菜々が買ってきたお茶があったので」

ちひろ「……菜々、さん?」

「前に買ってきてくれたんですよ。安かったからって……」

ちひろ「えっと、プロデューサーさん……」

「はい?」


ちひろ「その、菜々……さんって、どなたですか?」


「えっ――」


34 : 以下、名... - 2015/03/29 02:26:10.35 OmVsWzrd0 33/63


「やだなぁ、ちひろさん。何言ってるんですか」

「菜々は菜々ですよ、安部菜々。何日か前に卒業ライブもしてたじゃないですか」

ちひろ「あ、あれ……そう、でしたっけ……?」パラパラ

ちひろ「その……そう、ですよね。菜々さん、ですよね……?」

「……どうしたんですか、ちひろさん」

ちひろ「……」

ちひろ「悪い冗談じゃないですよね、プロデューサーさん?」

「さっきからどうしたんですか、ちひろさん」

「ほら、卒業ライブの写真だって、ちひろさん撮ってたじゃないですか……」

「……ありましたよ、ほら!」

ちひろ「……プロデューサーさん、ごめんなさい」


ちひろ「プロデューサーさんの言う、この菜々さんという人に……私は心当りがないんです」


36 : 以下、名... - 2015/03/29 02:27:27.59 OmVsWzrd0 34/63


「……ちひろ、さん?」

「はは、何言ってるんですか。エイプリルフールはまだですよ」

「菜々は確かにこの事務所でアイドルやってたんですよ」

「ほら、写真だってある、ライブの書類だって、CDも……」

ちひろ「プロデューサーさん」

ちひろ「……私は、プロデューサーさんとは長い付き合いですから」

ちひろ「プロデューサーさんが嘘を付いていないことも、分かります」


ちひろ「でも……菜々さん、という方が、私には分からないんです」


「ちひろさん……!?」

「そんな、まさか……」

「嘘ですよね、たった二三日で忘れるはずが、ないですよね……」

38 : 以下、名... - 2015/03/29 02:28:27.65 OmVsWzrd0 35/63


「……どういうことだ」

「菜々が忘れられたなんて、そんなはずが……」

「誰か、誰か菜々を覚えている人はいないのか……!」


(……俺は事務所にいたアイドル皆に、片っ端から聞いていった)

(しかし……)

「ごめん、心当たりがないかな……」

「えっと……新しいアイドルの方ですか?」

「その、菜々ちゃん、ってアイドルなの? 見たことないなぁ」


「……どうして」

「どうして、みんな菜々を忘れてしまっているんだ……!」

39 : 以下、名... - 2015/03/29 02:32:19.33 OmVsWzrd0 36/63


「駄目だ……誰もみんな、菜々のことを覚えていない……」

バタンッ

晶葉「おい、Pはいるか!」

「……晶葉?」

晶葉「戻ってたのか……探したよ、P」ゼェゼェ

「どうしたんだ、そんなに急いで……」

晶葉「君に、話がある」


晶葉「……ウサミンの事について、だ」

「!」


40 : 以下、名... - 2015/03/29 02:36:35.10 OmVsWzrd0 37/63


――――

晶葉「おかしいと気付いたのは今朝だ」

晶葉「ふと私がウサミンの話題を出したんだが、皆が口を揃えてウサミンを知らないと言ったんだ」

「……俺もだ」

「ちひろさんが菜々のことをすっかり忘れていた」

「おかしいと思って、事務所にいたアイドル達みんなに聞いて回ったんだが」

「菜々の事を覚えている子は…誰も、いなかったんだ」

晶葉「そうか……」

晶葉「……こんな短時間に、皆がウサミンの事を突然忘れるはずがない」

晶葉「皆を疑いたくはないが……何か、あるのかもしれない」

「っ!」

晶葉「とにかく、原因を探そう。今はそれしかない」


「……菜々に、直接聞いてみるか」

「晶葉、今すぐ支度してくれ!」

晶葉「分かった!」


41 : 以下、名... - 2015/03/29 02:38:45.72 OmVsWzrd0 38/63


ブロロロロ……

「……そういえば、晶葉」

晶葉「どうした?」

「菜々が本当に、ウサミン星って星から来た宇宙人だ、って言ったら」

「晶葉は信じるか?」

晶葉「……君は前にも、そう聞いたことがあったな」

晶葉「ウサミンがウサミン星人だと言うんだから、信じるしかないさ」

「そうか」

晶葉「現代の科学では、まだ宇宙人を信じられるレベルの発見は出来ていないが」

晶葉「宇宙人がいないことも、文明のある星が他に存在しないことも、証明できてはいない」

晶葉「……それに、ウサミンは嘘を付かないからな」

「ああ」

晶葉「……少なくとも、私達を騙したり悲しませるような嘘は」

「……そうだな」

42 : 以下、名... - 2015/03/29 02:44:47.47 OmVsWzrd0 39/63


――――

「……着いた」

晶葉「ああ」


「この階の……っ!」

晶葉「どうした?」

「張り紙が……空家って、どういうことだ」

晶葉「そんな、もう引っ越したのか!?」

「まさか……何日か前に来たけど、そんな様子じゃ……!」

ガチャッ

ガンッ!

「鍵が……」

晶葉「どういうことだ、これは……!」

43 : 以下、名... - 2015/03/29 02:46:21.41 OmVsWzrd0 40/63


晶葉「P、電話は!?」

「そうか!」ピッ


prrrr prrrr……

『お掛けになった電話番号は、現在使われて……』

「……遅かったか」ピッ

晶葉「ウサミン……」


「……帰ろうか、晶葉」

「これ以上は、いても仕方ない」

晶葉「そう、だな……」

44 : 以下、名... - 2015/03/29 02:47:29.30 OmVsWzrd0 41/63


「……」

晶葉「なあ、P」

晶葉「君は何か、知っているのか?」

晶葉「ウサミンは……どうして、消えてしまったんだ」

「……」

晶葉「P、答えてくれ」

晶葉「何が起こっているんだ」


「……俺にも、分からない」

「ただ、俺は」

「菜々との思い出を、菜々のことを」

「このまま、忘れたくない……」

晶葉「……私もだよ」

晶葉「どうしてなんだ、ウサミン……」


45 : 以下、名... - 2015/03/29 02:49:27.00 OmVsWzrd0 42/63


――――

(次の日から、俺も晶葉も少しずつ菜々の事を忘れていることに気付いた)

(事務所に残っていたデータを見ては、思い出そうとしたけれど)

(次第に、写真を見ても誰だか分からなくなってきていた……)


ちひろ「それで、どうだったんですか?」

「何がですか?」

ちひろ「ほら、菜々さん……でしたっけ。何か分かったことはありましたか?」

「……いえ」

ちひろ「そうですか……」

「もしかしたら、菜々は本当はいなかったんじゃないか、って」

「自分の記憶に、自信を持てないんです……」

ちひろ「プロデューサーさん……」

46 : 以下、名... - 2015/03/29 02:52:14.04 OmVsWzrd0 43/63


「確かに俺がプロデュースしていたアイドルなのに……」

「顔も、声も、段々思い出せなくなっている……」

「……いつか、菜々の事を全部忘れてしまうんだろうか」


prrrr prrrr……

「……晶葉?」ピッ

「もしもし」

晶葉『P、今大丈夫か』

「大丈夫だけど、どうした?」

晶葉『……君に見てもらいたいものがあるんだ』

「見てもらいたいもの?」

晶葉『ああ。何故かは分からないが、それを見た時にとても大事なもののように思えたんだ』

晶葉『これは、Pにも伝えなきゃいけないって……そんな気がしたんだ』

「……分かった」

47 : 以下、名... - 2015/03/29 02:53:08.54 OmVsWzrd0 44/63


「……ちひろさん。ちょっと出掛けます」

ちひろ「どちらに?」

「晶葉の所に」

ちひろ「……大事なこと、ですか?」

「ええ、おそらく」

ちひろ「……そうですか。分かりました」

ちひろ「ほら、お仕事代わってあげますから早く行ってきてください」

「……ありがとうございます」

ちひろ「いいんです。プロデューサーさん、久しぶりに真剣な顔してますから」

ちひろ「とても大事なことなんだって、分かりますよ?」

「ちひろさん……借りは、返しますから」

ちひろ「ほら、晶葉ちゃん待ってますよ?」

「……はい」

48 : 以下、名... - 2015/03/29 02:55:14.31 OmVsWzrd0 45/63


――――

晶葉「……すまないな、仕事中だったのに」

「いや、大丈夫だ……それで、大事なものって」

晶葉「これだ」

「!」


晶葉「君は、知っているかい」

「金色の、レコード……」

晶葉「本来なら、ここにあるなんてあり得ない話なんだがな」

晶葉「どういう訳か、部屋から出てきたんだ」

「それって、まさか」

晶葉「……なあ、P。教えてくれ。これはどうして私の部屋にあるんだ」

晶葉「どうして、このレコードを見ていると……懐かしいような気持ちになるんだ」

「……」

49 : 以下、名... - 2015/03/29 02:58:21.05 OmVsWzrd0 46/63


『Pさんと会えたから、ナナはアイドルに変身できたんですよ!』

「……」

『みんなを幸せにできるように……これからも、お仕事頑張っちゃいますね!』

「菜々……」

『宇宙は広いから……独りじゃ寂しいですよね、Pさん』


『Pさんは、ナナの本当の姿を知っても……好きで、いてくれますか?』


「……っ!」

晶葉「おい、P!?」

晶葉「何か分かったのか!?」

「……このレコードは、きっと」


ピコーン


「……ん?」

晶葉「この音は……?」

50 : 以下、名... - 2015/03/29 02:59:27.17 OmVsWzrd0 47/63


ピコーン

「そのパソコンからじゃないか?」

晶葉「ああ、でもどうして……」

晶葉「……っ!」


「晶葉?」

晶葉「P、車を出してくれ!」

「どうしたんだ、いきなり」

晶葉「……ウサミンのことを忘れる前に、私が細工しておいたらしい」

晶葉「ウサちゃんロボが今どこにいるか、場所を出している」

晶葉「だが……今私の手元にいないウサちゃんロボは、あの一匹だけだ」

「!」

晶葉「どうして私達は、忘れてしまっていたんだろうな」

晶葉「……P、行くぞ! ウサミンの所へ!」

「……ああ!」

51 : 以下、名... - 2015/03/29 03:03:50.68 OmVsWzrd0 48/63


――――

ブロロロロ……

晶葉「……このレコードは、ウサミンから借りたんだった」

晶葉「それも、忘れているとはな」

「……そうだな」

晶葉「やはり、ウサミンはウサミン星という星から来た、宇宙人なのか?」

晶葉「いきなり皆の記憶が消えるなんて、まるでファンタジーだ」

「でも、菜々がやったとしたなら……きっと意図があるはずだ」

晶葉「そう信じたいな」

晶葉「……P、そこを左折してくれ」

「分かった」

52 : 以下、名... - 2015/03/29 03:07:21.62 OmVsWzrd0 49/63


晶葉「……着いたな」

「ここは……」

晶葉「ほう、随分と星が綺麗じゃないか」

「ああ。初めて来た時に、俺もそう思ったよ」


「……前に、菜々とここに来たことがあってな」

「菜々に聞いたんだ。どうしてアイドルを辞めるのか」

「そしたら、ウサミン星に帰るから、って言われてさ」

晶葉「……そうか」

晶葉「やはり、星に帰るんだな」

「やっぱり、ウサミン星は実在するんだな」

晶葉「疑っていたのか?」

「まさか」

53 : 以下、名... - 2015/03/29 03:10:24.30 OmVsWzrd0 50/63


「……ん?」

晶葉「どうした?」

「あれ、何だ……? ほら、あそこに」

晶葉「……線路じゃないか?」

「空に架かってるな」

晶葉「確かにそうだな……」

「まるで銀河鉄道だ」

晶葉「……電車で向かえば一時間、だったな」

「確かに」


「……行くか、晶葉?」

晶葉「もちろんだ」

54 : 以下、名... - 2015/03/29 03:13:02.37 OmVsWzrd0 51/63


菜々「……」

菜々「これでお別れ、ですね」

菜々「……それじゃあ、さようなら」


「……菜々っ!」


菜々「!」

菜々「……あれ、おかしいな……Pさんの声が」

菜々「ナナも歳ですかねー……って、ナナは永遠の17歳ですからね!?」ビシッ

「……菜々?」

菜々「……へっ?」

菜々「あ、あれっ……Pさん?」

55 : 以下、名... - 2015/03/29 03:14:30.06 OmVsWzrd0 52/63


「……本当に、菜々なんだな!?」ガシッ

菜々「嘘、Pさん……どうして……」

晶葉「……やあ、ウサミン」

晶葉「ウサちゃんロボに、ちょっと細工させてもらったんだ」

菜々「晶葉ちゃん……」

晶葉「……疑うような真似をして、悪かったよ」

菜々「いえ、いいんです。何も言わずに帰ろうとした、ナナも悪いですから」

「……なあ、菜々。どうして誰にも言わずに、帰ろうとしたんだ」

菜々「Pさん……」

菜々「……みんながナナの事を忘れちゃったら」

菜々「ナナも、みんなとお別れできるかなって。そう思ったんです」

「菜々……」


「……できるわけ、ないだろ」

「忘れられるわけが、ないだろうが!!」

菜々「っ!」

56 : 以下、名... - 2015/03/29 03:15:39.88 OmVsWzrd0 53/63


「……菜々をスカウトしてから、最後のライブまで」

「ずっと、一緒にやってきたんだ」

「失敗だって何回もしてきたし、その度二人で、みんなで乗り越えていっただろ」

「……忘れられるわけが、ないだろう」

菜々「Pさん……」

「俺は菜々の事を忘れない」

「いつか必ず、菜々が帰ってくるって俺は信じているから……!」

菜々「……っ」グスッ


晶葉「……あー、いいか、二人とも」コホン

「!」

菜々「あ、晶葉ちゃん?!」

晶葉「……二人でいい雰囲気になるのはいいんだがな」

晶葉「ウサミン、忘れ物だ」

菜々「忘れ物……?」

57 : 以下、名... - 2015/03/29 03:17:03.75 OmVsWzrd0 54/63


晶葉「ほら」

菜々「あっ……ナナの、宝物……!」

晶葉「……私には手に余るものだからな。ウサミンに返すよ」

菜々「そう、ですね……」

晶葉「……私も、ウサミンとまた会える日を楽しみにしているからな」

菜々「ありがとう、晶葉ちゃん……」

晶葉「何なら、ロケットでも作って会いに行こうじゃないか」

菜々「……ふふ、晶葉ちゃんらしいですね」

晶葉「最も、君が電車で来てくれた方が早いと思うがな」ハハハ

菜々「そうかもしれません」クスッ

58 : 以下、名... - 2015/03/29 03:20:01.59 OmVsWzrd0 55/63


菜々「……もうそろそろ、行かないと」

「本当に、ウサミン星に帰るのか」

菜々「はい。地球の事を、ちゃんと伝えなきゃいけませんから」

「……いつか、帰ってこれるのか」

菜々「……分かりません」

菜々「本来なら、ナナは地球上のみんなの記憶から消えていなきゃいけないんです」

菜々「地球はまだ、他の星との正式な関わりがありませんから……」

晶葉「私達の記憶は、消さなくていいのか?」

菜々「……一度は、消しましたからね」

菜々「それに、Pさんと晶葉ちゃんなら、悪いようにはしないと信じてます」

「……ああ」

晶葉「ウサミンは、私の友人だからな」

菜々「……ありがとう、ございます」

59 : 以下、名... - 2015/03/29 03:22:35.03 OmVsWzrd0 56/63


菜々「それじゃあ……Pさん。晶葉ちゃん」


菜々「また、いつか」



「……行っちゃったな」

晶葉「ああ。本当に、電車で向かえば一時間だったんだな」

「……」

晶葉「P? どうした?」

「……帰ろうか、晶葉」

晶葉「そうだな」


60 : 以下、名... - 2015/03/29 03:23:25.23 OmVsWzrd0 57/63


晶葉「なあ、P」


「なんだ?」


晶葉「……また、会えるかな」


「……」


「ああ。いつかまた、会えるさ」


61 : 以下、名... - 2015/03/29 03:28:57.82 OmVsWzrd0 58/63


――――――――――――――――――――

晶葉「……やはり、ライブはいつまで経っても慣れないな」

「緊張してるのか」

晶葉「少し、な。君はいつも通りそうだな」

「晶葉を信じているからさ」

晶葉「そうか? そうか……ありがとう。なら、大丈夫だな」


「開演五分前です! 準備お願いします!」


晶葉「ん、もうそんな時間か。それじゃあ行ってくる」スッ

「ああ。楽しんでこい、晶葉」スッ


コツンッ



晶葉「アー、アー……聞こえるか諸君!」


晶葉「今日は私のライブに来てくれてありがとう!」


晶葉「今日は大いに楽しんでいってくれっ!」

62 : 以下、名... - 2015/03/29 03:30:49.53 OmVsWzrd0 59/63


(あれから、何年も経ったけれど)

(俺は変わらずプロデューサーをしているし、晶葉もアイドルを続けている)

(まだトップアイドルには程遠いけれど、晶葉は十分に名の知れたアイドルになった)


晶葉「……みんな、聞いてくれ! 私からの重大発表だ!」

(……どうしたんだ、晶葉?)

晶葉「突然だが……私は、今年限りでアイドルを引退する!」

「!」


『えぇーっ!?』

『晶葉ちゃん、辞めないでーっ!!』


晶葉「ふふ……ありがとう、みんな」

晶葉「……だが、もう決めてしまったことだからな」

晶葉「せめて悔いの残らないように、お互いにもっと、楽しもうじゃないか!!」


「……やりやがったな、晶葉」クスッ

63 : 以下、名... - 2015/03/29 03:32:22.06 OmVsWzrd0 60/63


――――

晶葉「……お疲れ、P」

「ああ、お疲れさん」

晶葉「その、すまなかったな」

「やるなら前もって言ってくれ……ほら、汗拭いとけ」

晶葉「……ありがとう」

「明日から忙しくなるぞ」

晶葉「そうだな……明日からもよろしく頼む」


「……それで、どうするんだ?」

晶葉「アイドルを辞めて、か?」

晶葉「……勉強したい事が見つかったからな。進学するつもりだ」

「そうか」

晶葉「……すまない」

「いいんだ、気にするな。目標が出来たんだ、良いことじゃないか」

64 : 以下、名... - 2015/03/29 03:34:09.63 OmVsWzrd0 61/63


「それで、何を勉強するんだ?」

「やっぱりロボか?」

晶葉「いや、ロボはもう十分だ。学べるだけ学んだからな」

「……流石だな」

晶葉「まあ、天才だからな。それでだ」


晶葉「何年も前から、興味を持っていたんだが……」

晶葉「宇宙について勉強しようと思ってな」

「!」


晶葉「……君は、どう思う?」

「いいと思うよ。晶葉が本当にやりたいと思ったんなら、俺は応援するだけさ」

晶葉「……ありがとう、P」

65 : 以下、名... - 2015/03/29 03:36:18.48 OmVsWzrd0 62/63


晶葉「……ウサミンは、私達の事を覚えてくれているかな」

「……あの菜々が、忘れてると思うか?」

晶葉「いいや、全く想像出来ないな」

「きっとそうだと思うぞ」


晶葉「……なあ、P」

晶葉「いつか私達から会いに行って、驚かせてあげような」

「ああ」

晶葉「私より、君のほうがウサミンに会いたそうだしな。楽しみにしていたまえ」ハハッ

「……うるさい。帰るぞ」


「……待ってろよ、菜々」

「いつか必ず、会いに行くからな」


66 : ◆.FkqD6/oh. - 2015/03/29 03:40:25.55 OmVsWzrd0 63/63

以上で終わりです。
ありがとうございました

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