1 : 以下、?... - 2021/02/07 03:14:55.961 zGmwzDLhM 1/92

第一章


崩し編

元スレ
唯「リメイク版けいおん!はっじまるよぉ~!」【SS】
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1612635295/

3 : 以下、?... - 2021/02/07 03:15:24.350 zGmwzDLhM 2/92

こんにちは、平沢唯です!
この春から晴れて高校生になりました!

「いままでただなんとなく生きてきた私だけど..」

高校生になったら、何かが変わるのかな

4 : 以下、?... - 2021/02/07 03:15:37.797 zGmwzDLhM 3/92

「入学早々寝坊して遅刻しかけたけど..」

「ここが今日から私の通う桜ヶ丘女子高校!」

「ぜったいに..ぜ~ったいに..」

「ビックになってやる~!!」


教師「新入生!校門の前で大声を出すな!」

「す、すみましぇん..」シュン

5 : 以下、?... - 2021/02/07 03:15:58.089 zGmwzDLhM 4/92

「校門の前で大声を出して先生に怒られた?もう、唯は相変わらずね」

「うぅ..高校生になったら新しい私がデビューするはずだったのに」

「まぁまぁ、そういう所も唯の可愛い所だと思うけど」

「フォローありがと..」シオシオ

6 : 以下、?... - 2021/02/07 03:16:11.665 zGmwzDLhM 5/92

キャッキャッ

「なにか騒がしいわね」

「クラスのみんなが集まってる..なんだろ」

女子「秋山さん!同じクラスになれて嬉しい!」

「私も嬉しいよ。みんなで楽しい高校生活にしような」

「なんだかあの人モテモテだ..」

「西中の秋山澪よ。噂には聞いてたけど、本当に人気者だわ」

8 : 以下、?... - 2021/02/07 03:16:27.056 zGmwzDLhM 6/92

ザワ...ザワ...

「あっちはあっちでみんなざわついてる..」

「!?」ガタッ

「和ちゃん?」

「あのカチューシャ..『ドラマー』の田井中律..」

「まさか..桜ヶ丘に入学していたなんて..」

「おーい?和ちゃーん?」

10 : 以下、?... - 2021/02/07 03:16:46.475 zGmwzDLhM 7/92

「はぁ~なんだか大変なクラスに入っちゃったね」

「秋山さんのグループと田井中さんのグループでもう派閥が出来ちゃって..」

「甘いわよ、唯」

「え..」

「一番後ろの席で静かに座っていた金髪の子はわかるわね?」

「えと、琴吹紬ちゃんだったかな」

「彼女がこのクラスに君臨する本当の女王よ。秋山さんも田井中さんもその手のひらの上で踊っているに過ぎないわ」

(転校したいなぁ..)

11 : 以下、?... - 2021/02/07 03:17:03.115 zGmwzDLhM 8/92

翌日!

「おはよ~」ガラッ

「秋山さんよぉ!私に文句があるなら直接言ったらどうなんだよ?!あぁっ?!」

「まったく..知性のカケラも感じられない物言いだな。同じクラスメイトだと思うと恥ずかしい」

「テメェ..痛い目見ないとわからねえみたいだな」

「すぐ暴力に訴える..私だって脅しに屈するほど弱くはないってことを教えてやる」

(朝から何やってんの..)

13 : 以下、?... - 2021/02/07 03:17:32.977 zGmwzDLhM 9/92

「いまが好機よ、唯ちゃん」ボソッ

「琴吹さん!?」

「あの二人を止めれば、あなたがこのクラスの中心になる」

「何言ってるの..?」

「舞台がまさかここまで変わるなんて思わなかったから、私も困惑したわ」

「でもまぁ..この世界はこの世界で面白いから、私も楽しもうと思ってね」

(なんか電波の子なのかなぁ)

15 : 以下、?... - 2021/02/07 03:17:51.206 zGmwzDLhM 10/92

「いい加減にしなさい!」バンッ

「?!」

「の、和ちゃん!?」

「まだ新学期2日目よ!同じクラスの仲間がどうしてぶつかりあわなくてはならないの!」

「うっせぇ!コイツが先に私の悪口を聞こえるように言いやがったんだ!」

「..」スッ

「な..なんだよ。やる気か..」


ドゴォ!

「な..?!」ドシャッ

「あなたのような不良が桜ヶ丘に似つかわしくないのは事実よ。反省しなさい」

16 : 以下、?... - 2021/02/07 03:18:17.267 zGmwzDLhM 11/92

「さすがだね、真鍋さん。アイツには私も不快感を感じてい..」

ドゴォ!

「ふぇ..?!」ドシャッ

「な..んで..」

「喧嘩両成敗よ、秋山さん。あなたも言葉の暴力で彼女を挑発した事を反省しなさい」

「あわわ..」

「ざんねん、良いところを取られちゃったわね」

「みんな~!この騒ぎはこれでおしまい!2人を保健室に運びましょ~」

17 : 以下、?... - 2021/02/07 03:18:38.548 zGmwzDLhM 12/92

ほけんしつ!

「なぁ..田井中」

「んだよ。話しかけてくんな」

「律、って呼んでいいか?」

「はぁ!?脳内お花畑か!?別にお前とお友達ごっこなんて..」

「?!」ポロポロ

「なん..で..私、泣いて..?」

「なんだ、お前も一緒か」

「さっき殴られてからさ、頭の奥に眠ってた『なにか』が少しだけ思い出せそうでさ」

「涙が..止まらないんだ」ポロポロ

19 : 以下、?... - 2021/02/07 03:18:54.628 zGmwzDLhM 13/92

「全然ついていけない..」

「なにが?」

「なにが?じゃないよ!和ちゃんはトントン拍子に学級委員になっちゃうし、あんなにいがみ合ってた秋山さんと田井中さんは親友みたいになってるし!」

「雨降って地固まると言うわ。なによりクラスが明るくなったんだからよかったじゃない」

「それはそうだけど..」

「それより、唯が一人暮らしはちゃんと出来てるかの方が心配よ。親御さんも、憂ならともかく唯を1人で日本に残すなんて」

「大丈夫!カップ麺は作れるようになったから!」

「..」

21 : 以下、?... - 2021/02/07 03:19:27.017 zGmwzDLhM 14/92

「飽きれたわ..今日の夕飯は家に行ってあげるから、一緒に家事を勉強するわよ」

「家に帰ってまで勉強?!」ガーン

「唯にでもすぐに覚えられそうな..そうね、カレーにしましょう」

「カレーは好きだから嬉しいけど..」

「盗み聞きしちゃってごめんなさい。面白い話をしてたから♪」ヒョコッ

「つ、紬ちゃん!?」

「私、お嬢様育ちでお友達の家に行ったりした経験がないの。よかったら私もお手伝いさせてくれない?」

「そういうことなら、唯がよければ構わないわよ」

「あはは..でも私の家なんて大して..」

「いただきものの美味しい紅茶を持って行くわね」

「どうぞ!お越しください!」

22 : 以下、?... - 2021/02/07 03:19:47.085 zGmwzDLhM 15/92

「じゃあ私は家に寄ってから行くから、2人は買い出しを済ませておいて」

「は~い」

スーパーナカノ 店内

「えっと..ニンジンと、ジャガイモと..」

「なんだかこうして見ると、唯ちゃんってずっと変わらないのね」

「え..あ、ありがと?」

(まだ出会って1か月くらいなんですが)

「甘口じゃなく今日は中辛なの~♪」♪♪

「唯ちゃん!?その歌は..!」

「へ?あ、聴かれちゃったかぁ。恥ずかしいな」

「即興鼻歌ってやつ?思いついたことすぐ歌っちゃって」

23 : 以下、?... - 2021/02/07 03:20:06.273 zGmwzDLhM 16/92

平沢家

「よっしゃ!やってやるです!」フンス

「唯、張り切ってるところ悪いけど、今日はすり鉢は使わないわよ」

「私、お友達とお料理するのが夢だったの!」キラキラ

「まずはニンジン!」ザクッザクッ

「唯、皮は剥いた?」

「あ..」

「お米をまずは洗剤で..」

「上には上がいたわね..」

25 : 以下、?... - 2021/02/07 03:20:32.097 zGmwzDLhM 17/92

「時間はかかっちゃったけど、これであとは煮込むだけよ。2人とも頑張ったから少しリビングで休憩しましょう」

「は~い」

「それにしても、このお家に一人暮らしで寂しくない?」

「まぁたまには寂しいけどね。お父さんとお母さん、憂も毎日電話してくれるし、意外と大丈夫だよ」

「あ、憂っていうのは1つ下の妹なんだ。すごく出来る子で、私のことをいっつも心配してて」

「だから、憂を安心させたくて..高校生になったら1人でもやっていけるって証明したかったんだ」

「カップ麺生活してるのを知ったら、憂なら飛んで帰ってくるわね」

「絶対言わないでよ!」アタフタ

「ふふ..唯ちゃんってやっぱり面白い」

27 : 以下、?... - 2021/02/07 03:20:52.372 zGmwzDLhM 18/92

「お茶が入りました~」

「あら、紅茶なら食後でもよかったのに」

「食後の分ももちろん用意してあります♪香りを楽しんでね」

「わぁ~私、こんな良い香りのするお茶なんて初..」


『..輩!ユイ先輩!』

『置いて..かな..で』


「?!」

28 : 以下、?... - 2021/02/07 03:21:14.363 zGmwzDLhM 19/92

「唯?」

「..」

「なんだろ..この気持ち、私知らないのに」

「唯、大丈夫なの?」

「あ、うん!いや~ムギちゃんの紅茶が美味しくて一瞬違う世界に行っちゃってたよ~」

「うふふ、喜んでもらえて嬉しいわ~」

「これからもこうして、お茶会が出来たら幸せね」

「え!?いいの!?大歓迎!」

「ね!和ちゃんも賛成だよね!?」

「私は学級委員の仕事もあるから毎日とはいかないけど、みんなが楽しめるなら賛成よ」

29 : 以下、?... - 2021/02/07 03:21:37.054 zGmwzDLhM 20/92

きて!

起きて!

「唯ちゃん、起きて」

「ふぇ..紬ちゃん?」ムクッ

「って、ここどこ?!」

「ここは琴吹家の所有する会社の倉庫よ。ここならゆっくり話せるわ」

「紅茶に睡眠薬を入れさせてもらったの。和たゃんはまだあなたの家で眠っているはず。お鍋の火も止めたわ」

「なんで..どうして」

「あなたも紅茶を飲んだ時に思い出したでしょ?」

「梓ちゃんのことを」

30 : 以下、?... - 2021/02/07 03:21:53.487 zGmwzDLhM 21/92

「あずさ?知らないよ!そんな子知らない!」

「いいえ、あなたは知っているわ。忘れているだけ」

「早く家に帰らせて!私は何もしてない!」

「唯ちゃん..あなたは軽音部に入って、澪ちゃんやりっちゃん、そして私と梓ちゃんと高校生活を過ごしたの」

「本当の世界ではね」


「紬ちゃんおかしいよ!話なら学校でいくらでも聞いてあげるから!ここから出して!」

33 : 以下、?... - 2021/02/07 03:22:19.583 zGmwzDLhM 22/92

「私は..何もしてない」

「はぁ..なんだも言わせないでちゃうだい」

「私だって、全部覚えてない。たけどあなたがみんなをすくったっておぼえてり」

「おぼえてるおぼえてるおぼえてる」

(正気じゃない..こんなの..)

38 : 以下、?... - 2021/02/07 03:23:19.531 zGmwzDLhM 23/92

「ハァハァ..」

「もうじき私も記憶を失って、この世界に取り込まれるわ」

「りっちゃんや澪ちゃんのように、与えられた役割を果たすだけの存在に..」

「その前に、あなたに訪れる絶望を回避するヒントを..」


「もう許して..怖いよ..」ガタガタ

39 : 以下、?... - 2021/02/07 03:23:46.808 zGmwzDLhM 24/92

「しっかりしなさい!!『平沢唯』!!」グッ

「?!」

「あなたが始めたことでしょ!!最後まで責任を持ちなさい!!」

「梓ちゃんを救いたいなら!!世界に抗いなさい!!」


「だから梓なんて知らないって言ってるでしょ!」ドンッ

「っ!」ドサッ

41 : 以下、?... - 2021/02/07 03:24:04.814 zGmwzDLhM 25/92

「あずさ..って誰だっけ」

「?!」

「もう..私も限界みたい」

「いい?唯ちゃん、私たちはある女の子を死の運命から助けるために世界をやり直し続けてるの。あなたは一度、その子を助けた。それで物語は幸せな終幕になったはずだった」

「どの世界でも必ず起こる出来事が3つあるわ」

①私たち4人は必ず出会い、1年遅れてその子と出会う

②その子が死ぬ1週間前から、街で不穏な噂が流れる

③誰が犯人かは決まっていない。仲間は疑心暗鬼の末にさらに悲劇が生まれる

「紬ちゃん..」

「必ず..また奇跡を見せて..ちょうだ..」

44 : 以下、?... - 2021/02/07 03:24:43.665 zGmwzDLhM 26/92

「梓ちゃんは、私たちにとって大切な仲間なの?」

「..」

「..えと、あれ..唯ちゃん?なんで私、こんな場所に」

「紬ちゃん、記憶が..」

「ごめんなさい!私、たまにこうして無意識で何かしてしまっていることがあるの!だから前の学校でも一人ぼっちで..本当にごめんなさい!」

「大丈夫、大丈夫だから」

「私たちは友達、でしょ?」

45 : 以下、?... - 2021/02/07 03:24:59.230 zGmwzDLhM 27/92

「もう!2人ともどこをほっつき回ってたの!」

「ごめん~あんまり和ちゃんが気持ち良さそうに寝てたからさ」

「私が悪いの!唯ちゃんとお散歩しようって言い出して..」

「まぁ火は止めてあったから唯にしてはきちんとしてるけど..もし同じことがあったら起こしてちょうだい」

「がってんしょうちのすけ~」

47 : 以下、?... - 2021/02/07 03:25:16.601 zGmwzDLhM 28/92

それからの毎日は恐ろしいほど平穏に過ぎていった。


紬ちゃんはもう何も覚えていない。あの日の事を覚えているのは私だけだ。

梓という女の子を死から救う


まだ出会ってもいない女の子のために、私は前へ進み続けなくてはいけない。


「私は普通の高校生活が送りたかったんだけどなぁ」

49 : 以下、?... - 2021/02/07 03:25:32.539 zGmwzDLhM 29/92

「唯ちゃん!今日はマフィンを持ってきたの~」

「やった~ティータイムが楽しみ!」

「さすがよ唯..このクラスの影の支配者と呼ばれる紬にここまで懐かれるとは思わなかったわ」

「もう和ちゃん!それは誤解だって!」

「私、影の支配者なんてやった覚えないんだから」

「冗談よ。でも、紬が私たちを繋いでくれたのも事実よ」

「まぁ紬が言うから仕方なく参加してやってるんだぞ!勘違いすんなよ!」

「バカ律!孤立しそうだったお前に声をかけてくれたのは紬なんだぞ、もっと感謝しろ!」

51 : 以下、?... - 2021/02/07 03:25:53.383 zGmwzDLhM 30/92

『どうお姉ちゃん、高校は楽しい?』

「もちろん楽しいよ~友達も出来て、毎日お茶会してるんだ!」

『お茶会かぁ~楽しそうだね!』

「結局部活には入らなかったけど、結構充実してるかな」

『いいな~私も来年、そっちに戻ってお姉ちゃんと同じ学校に入りたいな~』

「憂は優秀なんだから、そっちの高校も行けるじゃん!」

『いじわる~お姉ちゃんと一緒にいたいんだよ~』

「あはは..じゃあ期待して待ってるね!」

54 : 以下、?... - 2021/02/07 03:26:30.137 zGmwzDLhM 31/92

「さ~て、コンビニに行こーっと」

「夜のコンビニにアイスを買いに行くなんて、いけない事してるみたいでドキドキするなぁ」

「うわ..お店の前にガラの悪そうな人たちがたむろしてるよ」

「急いで買って帰ろ!」タタッ


半グレ「お嬢ちゃ~ん、人にぶつかったら謝らなきゃいけないよなぁ?あぁ~?」

「言いがかりです!ぶつかってきたのはそっちじゃないですか!」

「女の子が絡まれてる..小学生に絡むとか最低だなぁ」

「とにかく通してください!警察呼びますよ!」

半グレ「いやいやいや、こんな時間に小学生が出歩いてる方が問題っしょ」

半グレ「俺らがお家まで送ってあげるからね~」グイッ

「!」

(流石にこれは助けなきゃだよね..)

「やめなよ!その子嫌がってるじゃん!」

半グレ「あ?」

55 : 以下、?... - 2021/02/07 03:26:48.769 zGmwzDLhM 32/92

「小学生相手に恥ずかしくないの!」

半グレ「あぁ?じゃあお嬢ちゃんが俺らと遊んでくれんのかなー?」

半グレ「ぐへへ!JK!JK!」

「..っ!」

半グレ「俺ら優しいからよ~一晩遊んでくれたらそのナメた態度を許してやるぜ~?」

(ヤバそう..店員さんは..)

「勝手に話進めんな」ドゴッ

半グレ「?!」ドシャッ

「3人じゃ私の相手にもならないんですけど?久しぶりにムカついたから全員半殺しですね」

半グレ「こいつ!」バッ

「おっそい」ドゴッ

半グレ「」バタッ

半グレ「ひっ..お願い!助け..」

「ダメDEATH⭐」ニコッ

56 : 以下、?... - 2021/02/07 03:27:08.069 zGmwzDLhM 33/92

(なんなのこの小学生..大人の男の人を3人も..)

半グレ「テメ..許さねぇ..今仲間呼んだから..」バゴッ

「はいはい、何人でも来いっつーの」グリグリ

「..逃げるよ!」グイッ

「あっ?!ちょっ!離せです!」

63 : 以下、?... - 2021/02/07 03:30:27.082 zGmwzDLhM 34/92

「ここまで来れば追ってこないよね」ハァハァ

「なに勝手してくれてるわけ?おねーさん?」

「わ、私は君を助けたくて!」

「..」ゴン

「あいったぁぁ~!」

「私がムカついたのはおねーさんが『小学生』とか言ったことだから」

「え..だって小学..」

「殴りますよ?」ゴン

「もう殴ってるじゃんかー!」

64 : 以下、?... - 2021/02/07 03:30:41.630 zGmwzDLhM 35/92

「私には中野梓っていうご立派なお名前があるんです。それに私は中3です」

「嘘?!中学生?!憂と同い歳じゃん!」

(それによく見たら..すごい可愛い)

「..」ニコッ

「笑顔で拳振り上げるのやめて!怖いから!」

「まぁおねーさんは悪意はなかったみたいなので許してあげます」

「あ、ありがとうございます..」


「その代わり慰謝料としてその財布ください」

(サイテーだこの子!)

66 : 以下、?... - 2021/02/07 03:30:55.868 zGmwzDLhM 36/92

翌日!

(結局あの子には財布取り上げられちゃったし..)

(店員さんに聞いたらヤバそうな人たちはお巡りさんに連れて行かれたみたいだけど)

「もう夜のお出かけなんて二度としない..」シュン

「暗い顔してどうしたのよ」

「なんでもないよ~」

(和ちゃんに本当のこと話したらお説教されちゃうよ~)

67 : 以下、?... - 2021/02/07 03:31:09.318 zGmwzDLhM 37/92

「おねーさん」ヒョコッ

「?!」

「あら、唯の知り合い?」

「あはは!そうなの!この子『中学生』でね!憂のお友達なんだ~!『中学生』だよ!」

(よし!これで和ちゃんが小学生とか言って地雷を踏み抜くのは回避した!)

「そうなんだ。唯と憂の幼馴染の真鍋和よ。よろしくね」

「..チッス」ペコッ

68 : 以下、?... - 2021/02/07 03:31:25.199 zGmwzDLhM 38/92

「そそそそれでナンノヨウカナー?」

「財布、学生証とか入ってたし返しに来てあげたんです」

「それに思ってたよりお金も入ってたし、可哀想かなと思って」

「え?え?」

「あはは!!さんきゅーさんきゅー!!」

「のののの和ちゃん!私、この子とお話があるなら、先に行ってて!」

「えと..わかったわ」

69 : 以下、?... - 2021/02/07 03:31:47.336 zGmwzDLhM 39/92

「困るよぉ~!私が財布カツアゲされたみたいじゃん!」

「知らないし。ほら、早く受け取ってください」

「ねぇ、学校は?」

「行ってるように見えます?」

「うん、完全に私服だし、行く気無さそうだね..」

「いつもあんな時間に出歩いてるの?お家の人は..」

「うざ」

「家出して、やることもなくて暇だからあぁやって時間潰してるんです。この答えで満足ですか?」

「家出って..女の子がそんなの危ないよ」

70 : 以下、?... - 2021/02/07 03:32:03.902 zGmwzDLhM 40/92

「私の強さ見てなかったんですか?少なくともナイフくらいならどうにか出来る自信はありますけど」

「たしかにすごかったけど..でも!たくさん怖い人が来たら!」

「ま、その時はその時ですね。観念して気が済むまでやりたいようにやらせます」

(めちゃくちゃだよこの子..)

(でもなんか..放っておいちゃいけないような)

71 : 以下、?... - 2021/02/07 03:32:18.940 zGmwzDLhM 41/92

『ユイ先輩はすごいです』

『私、ユイ先輩やけいおん部のみんなの演奏を聴いて、絶対に桜高に入ってけいおん部に入りたいって思いました』

『大好きなんです!ユイ先輩が!』


「え?」

「なんですか?」

「いや..なんでもないです」

(また..頭の中に知らない思い出が..)

72 : 以下、?... - 2021/02/07 03:32:40.299 zGmwzDLhM 42/92

『あなたが始めたことでしょ!!最後まで責任を持ちなさい!!』


『梓ちゃんを救いたいなら!!世界に抗いなさい!!』


「あ..」

「なんなんですかさっきから..気持ち悪いおねーさんですね」

「えっと!名前!タカノアズサちゃんだっけ!?」

「中野梓です!中野梓ですよ!これで覚えてくれましたか!」


「そっか..紬ちゃん、この子が『あずさ』なんだね」

「なに一人でブツブツと..」

「行くところがないなら私の家にしばらく住まない?実は家族みんな海外で来年まで帰って来ないし!」

「よし!そうと決まれば学校終わったら色々買いに行こう!放課後私の学校の前で待ってて!」

「勝手に話進めないでください!」

73 : 以下、?... - 2021/02/07 03:32:56.143 zGmwzDLhM 43/92

ついに出会った

あずさ 梓 アズサ

この子は私にとってとても大切で、世界を何度もやり直し、運命に抗ってでも救いたかった存在

とてもそうとは思えないほど生意気というか怖いけれど

もしこれがどこかの世界の私が願ったことだと言うのなら、私はその望みを叶えてあげたい

74 : 以下、?... - 2021/02/07 03:33:12.230 zGmwzDLhM 44/92

ただ、気になることがある。記憶を失くす前の紬ちゃんが教えてくれた世界のルール


①私たち4人は必ず出会い、1年遅れてその子と出会う

②その子が死ぬ1週間前から、街で不穏な噂が流れる

③誰が犯人かは決まっていない。仲間は疑心暗鬼の末にさらに悲劇が生まれる

①がまず、破綻していた。
私は4人とは出会ったものの、1年を待たずに梓ちゃんと出会ったのだ。

このルールは信用できるのだろうか?
もしかしたら、このルールは『絶対』ではないのかも知れない。だとすれば、この3つ以外にもルールが存在する可能性もある。

そして、時々蘇る『知らないはずの記憶』
私以外にも、紬ちゃんのように記憶を持ったまま世界をやり直している人がいるのだろうか

そして何より、『世界』について考察している時、私は『平沢唯』らしさを失ってしまっているように思えた。

76 : 以下、?... - 2021/02/07 03:33:32.492 zGmwzDLhM 45/92

放課後!

「お待たせ~!」

「遅いですよおねーさん!」

「私、あんまし目立ちたくないんですけど!」

小学生かな~
可愛いね~

「ムカつくムカつく!」イライラ

「まぁまぁ、そうカッカしないでさ~」

「最低限の着替えとか、色々買いに行くよ~」ギュッ

「ちょっと!勝手に手を繋ぐなです!恥ずかしいじゃないですか!」

77 : 以下、?... - 2021/02/07 03:33:47.436 zGmwzDLhM 46/92

スーパーナカノ

「えっと、必要なのはこれくらいかな?」ドッサリ

「訳わかんないし..なんで私のためにここまでするわけ?」

「う~ん..信じてもらえないかもだし、私にも信じられないから言わない!」

「ハァ?!意味不明なんですけど!」

「いいじゃんか!梓ちゃんは衣食住心配せずに心行くまで家出できるんだからさ!」

「わかりました..けど、ちゃんと私に個室をくださいね。おねーさんといると別の意味で危険なので」ジトッ

78 : 以下、?... - 2021/02/07 03:34:03.013 zGmwzDLhM 47/92

「ただいま~」ガチャ

「本当に家あったんですね」

「疑ってたの?!」ガーン

「まぁ嘘だったら殴り倒して逃げるつもりでしたけど」

「怖っ!」

「ま、まぁとにかく上がって~」

「お邪魔しまーす」

79 : 以下、?... - 2021/02/07 03:34:21.338 zGmwzDLhM 48/92

「私お夕飯作ったりしてるから、お風呂沸いたら先に入ってて」

「意外です。おねーさん鈍臭そうなのに家事とか出来るんですね」

「失礼な子だな~」

「私だってこの数ヶ月、伊達に一人暮らししてないよ!」フンス

「ほんとおねーさんてお人好しで、能天気で..」

「私なんか、優しくされる価値も無いのに」ボソッ

「ん?何か言った~?」

「なんでもないです!バカって言ったんです!」

「バカって言われたら心に刺さるからやめてね!」

80 : 以下、?... - 2021/02/07 03:34:38.363 zGmwzDLhM 49/92

「ほい、唯ちゃん特性カレーとサラダだよ!」

「わぁ~美味しそうです」キラキラ

「私、料理には自信あるから!」

(実はまだカレーと簡単なサラダしか作れません!)

「いっただきまぁ~す!」パクッ

「どうかな~?」

「満足しました!しばらくこの家にいてあげます!それと..」

「お礼に..ちょっとだけならお触りOKですよ?」チラッ

「は?!いや、私女だし!」アセアセ

「冗談です。おねーさんは面白いですね」

「はぁ~?おふざけってわかってたし!」

「鼻血出てますよ」

「えっ!?」タラー

81 : 以下、?... - 2021/02/07 03:34:55.737 zGmwzDLhM 50/92

「この部屋は妹の部屋なんだけど、ほとんど荷物も残ってないからここで寝てね」

「は~い」

「それから、平沢家ルールを教えておきます!」

「なにそれ」

「ひとつ!夜9時以降外出禁止!ふたつ!朝と晩は一緒にご飯!みっつ!連絡はいつもできるようにする!」

「以上!」

「この間、コンビニ行ってましたよね..」

「今日作ったルールですから!」

「はいはい。居候の身ですし、おとなしく聞いてあげますよ」

82 : 以下、?... - 2021/02/07 03:35:14.977 zGmwzDLhM 51/92

「ふーっ」モフッ

(梓ちゃんは私の目の届く範囲にいてくれるよ)

(いつかの私は、あの子のことをとっても大事にしてたんだよね)

(その世界はとってもキラキラしてて、梓ちゃんがかけがえのない存在だったからこそ、記憶を捨ててまでやり直したんだ)

(でも、私にそんな特別な力があったのかな)

(梓ちゃんと出会った後で、こうやって考える時間があった後なら、あの時の紬ちゃんともっとお話を出来たのかな)

「眠れない..」

83 : 以下、?... - 2021/02/07 03:35:29.903 zGmwzDLhM 52/92

「おねーさん..」コンコン

「ん?どったの梓ちゃん?」ガチャ

「足りないものなら言ってくれたら探すよ~」

「違うんです..」

「実は..その..こんなに親切にされたのは初めてで」

「本当に嫌だったら断ってくれていいんですけど!」

「えっと..何かな」

「私と一緒に寝てくれませんか!!」

84 : 以下、?... - 2021/02/07 03:35:47.599 zGmwzDLhM 53/92

「梓ちゃん、こっちにおいで」クイクイ

「恥ずかしいから絶対顔見ないでくださいね!」

「はいぎゅ~っ!」ギュッ

「..」

「..ありがとうございます」

「私が家出した理由なんですけど..」

「言いたくないなら聞かないよ」

「じゃあこれは私の独り言、それでいいですか」

「うん」

85 : 以下、?... - 2021/02/07 03:36:01.856 zGmwzDLhM 54/92

「私の父親は昔はジャズをやったりして自由に生きていました。けど、祖父から家を継ぐように言われて、今では社長として別人のように変わってしまいました」

「家でも仕事の話ばかり..母はそんな父に何も言わず、奴隷のように家事をこなしています」

「きっと父にとって、自分の思い通りにならない娘の私は邪魔者なんです。いい学校に行って、いい人と結婚させて、それで中野家の跡継ぎを産むことが私に決められた人生なんです」

「だから、私は私らしく自由に生きたいって言って、家を飛び出してしまいました。でも、外の世界でも私はひとりぼっちのまま..」

「おねーさんの優しさが嬉しかったんです。それにこうして甘えてしまってる自分が堪らなく嫌で..」

「梓ちゃん..」

86 : 以下、?... - 2021/02/07 03:36:22.658 zGmwzDLhM 55/92

「おねーさんがコンビニで私を引っ張って行ってくれた時、正直嬉しかったです」

「今まで、私を守ってくれる人はいなかったから..自分のことは自分でなんとかするしかなくて..」

「でもカツアゲされ..」

「う、うるさいです!」

「とにかく..何日かしたらこの家も出て、おねーさんともお別れするつもりです。これ以上迷惑もかけたくないし..おねーさんにはおねーさんの生活が..」

「あずにゃん、私はずっと側であずにゃんを守るよ」

「なんですかあずにゃんって..」

「わかんないけどさ、なんか梓ちゃんのことをそう呼びたくなっちゃった」

「私たち、きっと前世で出逢ってると思うんだ。だって、今こうしてあずにゃんを抱いてると..」

「すごく懐かしくて..愛おしいって思えるから」

「ずるいです..そんな言い方」

87 : 以下、?... - 2021/02/07 03:36:39.642 zGmwzDLhM 56/92

朝!

ジリリリリ

「ん..ふぁ..」バン

「..」Zzz..

「8時?!」ガタッ

「..って、今日は土曜日だった~」

「昼まで寝てよ..」Zz..


「おねーさん!起きてください!」

「梓ちゃん!?」

「朝ごはんは作りました!早く食べてくれないと片付きません!」

89 : 以下、?... - 2021/02/07 03:38:45.510 zGmwzDLhM 57/92

「すごい..憂レベルの朝ごはんを作れる人間が、ここにもいたなんて..」

「こんなの普通です!それにおねーさんはズボラすぎます!お味噌は冷蔵庫に入れてないし、調味料はぐちゃぐちゃ!本当にここで数ヶ月も暮らしてたんですか!」

「梓ちゃ~ん..私、低血圧だから朝は優しくひて..」

「ダメDEATH ⭐」

それでは次の特集です

最近桜ヶ丘の若者の間で噂になっている『モドリ階段』、それを巡って起きているトラブルを..

「あ、桜ヶ丘が映ってますね」

「いま私の学校映った!」

「中高生の間で広まってる噂話..くだらないです」ピッ

90 : 以下、?... - 2021/02/07 03:39:08.001 zGmwzDLhM 58/92

「本当に私、ついて行ってもいいんですか?」

「うん、みんないい子だから梓ちゃんもたくさん可愛がってもらえるよ!」

「ひ、人を愛玩動物みたいに言わないでください!」

「え~猫耳とかつけたら絶対似合うと思うけど」

「..」ニッコリ

「ウソ!冗談だから!笑顔で殴る態勢整えないで!」

「ほら!着いたよ!マックスバーガー!」

91 : 以下、?... - 2021/02/07 03:39:24.855 zGmwzDLhM 59/92

「うぃーっす」ヨッ

「律ちゃんうぃすー」ヨッ

「ドモ..」

「!?平沢!その子は!?」ガタッ

「私たち不良の間で生きる伝説、高校に入れば勢力図が一変するとも言われている『ナカノアズサ』じゃ..」ガタガタ

「あ、知ってるんだ。今は訳あって私の家に居候してるんだ~」

「おい律!そんなとこでガタガタ震えてたら他のお客さんの迷惑だろ!」

「唯、とアズサちゃん?ここに座りなよ」

「唯ちゃんったら、こんなに可愛い子がお友達なら早く紹介してくれればよかったのに」クスクス

「えと..中野梓です。よろしくお願いします」

「おう中野、私の舎弟にしてやってもいいぞ?」

「お前は黙ってろ」

92 : 以下、?... - 2021/02/07 03:39:43.082 zGmwzDLhM 60/92

「今日は和は生徒会の行事の手伝いで来られない。私たち4人と今日新メンバーとして加入した梓ちゃんの5人で討論をしたいと思う」

「あの..これって何の集まりなんですか?」

「澪ちゃんが主催した『放課後討論会』なの。平たく言うならみんなでおしゃべりしたり遊んだりする集まりよ」

「なるほど..暇人の集まり..」

「聞こえてるぞ~?梓会員?」

「はいっ!澪ちゃん!今日の議題はなんでしょうか!」

「そりゃあもちろん..」

「決まってるだろ!今日テレビでやってた桜ヶ丘の『モドリ階段』が本当にあるのか調査すんだよ!」ビシッ

「私の見せ場を取るな!」ゴン

(澪ちゃんって不良の律ちゃん以上に暴力的だなぁ)

95 : 以下、?... - 2021/02/07 03:52:22.123 zGmwzDLhM 61/92

「みんなは『モドリ階段』について知ってるよな?」

「いや~実は私、噂話に疎くってさ」

「そう言うと思って、時間はなかったがノートにまとめてきたぞ!」バン

「本当に暇人ですね..」

「まずこの噂はつい最近広まり始めたばかりなんだ。それも、桜ヶ丘の1年生の間ではほぼ100%知られている。唯は例外中の例外だ!」

「ある学生が『モドリ階段』をたまたま降りたらしいの。そうすると、誰かから『戻りたいのはいつ?』と問いかけられるそうよ。そこで答えると、モドリ階段を降り切った時に望んだ過去に戻れたんだって」

「でも階段の場所は誰も知らない。街中の階段を学生が手当たり次第に探し回ってて、土地の所有者とかに気味悪がられてるらしいぞ」

「..私の努力を発表する機会残しといてね?」

101 : 以下、?... - 2021/02/07 04:00:19.838 zGmwzDLhM 62/92

「でもその噂話が仮に本当だったとして、その話を広めたのは過去に戻れた学生本人ですよね。その人に直接聞いたらいいんじゃ..」

「ま、まぁそこは噂話だからさ!誰が本当に過去に戻れたかはわからないんだ!」

「それに、このお話には続きがあるの」

「続き?」

「もしも『戻りたいのはいつ?』と質問された時に、今この瞬間に未練を少しでも残していたら、階段に取り込まれて永遠にどこかを彷徨い続けないといけないらしいの」

「安い怪談の類いですよ。階段だけに」

「梓ちゃんも冗談とか言うんだね~」

「うっさいです。彷徨い続けなきゃいけないなら、誰がそれをこうして広められるのかって話です。噂が広まる内に面白半分に設定が付け加えられていってるだけです」

「夢のない奴だな~私だったら小学生に戻って、今の頭脳で無双するけど」

(律ちゃんの知能は小学生レベルだから無理でしょ)

102 : 以下、?... - 2021/02/07 04:09:57.203 zGmwzDLhM 63/92

「律と紬のチームには手当たり次第に聞き込みをしてもらうことにした。どうせアイツらのことだ。普通にサボって遊ぶだろうけどな」

「あ~やりそう」

「で、私たちはどこに向かってるんですか?」

「怪しいって言われてる階段があるんだよ。私有地だから誰もまだ噂を実行した者はいない。監視カメラに映らない死角から侵入してその階段を降りてみるんだ」

「さらっと言ってるけど犯罪だよね?」

「私も犯罪者にはなりたくないから、実行するつもりはなかったんだが」

「幸い、新メンバーに梓会員が加入したからな」

「着いたぞ」



「これ私の家なんですけど」

「えっ?!庭広っ!!」

「万が一捕まっても、梓会員の友達ということで乗り切る!」グッ

「いや『グッ』じゃないですよ。私家出中なんですけど」

104 : 以下、?... - 2021/02/07 04:16:29.953 zGmwzDLhM 64/92

「もう満足しましたか~?」

「いや、もう1回!もう1回だけ!」

「澪ちゃ~ん、日が暮れちゃうよ~」

「はぁ..やっぱりこの階段もハズレか」

「こんなくだらない事に1日熱中出来るのも羨ましいですけど」

「仕方ない..帰るか」

「どうする梓ちゃん?万が一に備えて澪ちゃんにだけ降りてもらってたけど、私たちも試してみる?」

「おねーさんもバカですね。いいですよ、でも降りるだけですからね」

「あと今日付き合わせた報酬に、帰り道で鯛焼き買ってください」

「はいは~い!じゃあ行くよ、せーのっ..」

106 : 以下、?... - 2021/02/07 04:19:01.125 zGmwzDLhM 65/92

「..」

「..」

「何も起きないですよ」

「ま、そうだよね」

「あと3段ですよ」

「あ、行ってる間にあと2段」

「なんのカウントですか..さ、鯛焼きダッシュ..」


『戻りたいのはいつ?』


「?!」

107 : 以下、?... - 2021/02/07 04:22:19.226 zGmwzDLhM 66/92

「おおおおおねーさん..」ガクガク

「梓ちゃん..答えちゃダメ..!」ギュッ

『戻りたいのはいつ?』

「あ..あ..」ガクガク

『戻りたいのはいつ?』

「だ、大丈夫..あと1段で階段は終わるから」

『戻りたいのはいつ?』

「勇気を出して..」

「うわぁぁ!」ダッ

108 : 以下、?... - 2021/02/07 04:25:08.280 zGmwzDLhM 67/92

「うわぁぁん!!怖いよぉぉ!!」

「お、おい!2人ともどうしたんだよ!?」

「急に血相変えて..おふざけにしちゃやり過ぎ..」

「で、出たんだよ!」

「え..」

「ここが『モドリ階段』だった!戻りたいのはいつか聞かれたの!」

「いや..そんな..本当に..?」

110 : 以下、?... - 2021/02/07 04:30:57.060 zGmwzDLhM 68/92

警備員「おい君たち!そこで何してる!?」

警備員「あ..梓お嬢様!」

警備員「応援を呼んでくれ!それから社長にも急いで連絡を..」

「あ..」

「梓ちゃん、大丈夫」ギュッ

「私はずっと側で守るって約束したよ」

「おねーさん..」

警備員「君たち!おとなしくこちらに来なさい!」

「唯、梓会員..八方塞がりだ。ここはおとなしく警備員に従おう」

「..」コクッ

112 : 以下、?... - 2021/02/07 04:40:14.594 zGmwzDLhM 69/92

梓父「言い訳は聞かん。お前には失望している」

「..」

梓父「自由を求めた結果が盗人の真似事か?中野家の恥晒しめ..お前は今仮にも受験生なんだぞ。お前の進学先に口利きをして枠を空けてもらうのにいくらかかったと思っている」

「..」

梓父「明日からは学校に行け。準備が済んだら高校入学までアメリカに留学してもらう」

「..っ」

梓父「なんだ?言いたいことがあるなら言えばいい。お前の幼稚な考えも反抗心も、どうせその内私への感謝に変わる」

「あ、あの!」

梓父「なんだね君は..」

「梓ちゃんを居候させている者です!梓ちゃんは..」

梓父「娘が迷惑をかけた。お礼は日を改めてさせてもらうから、そこのお友達と一緒に帰りなさい」

「そうはいきません!」

114 : 以下、?... - 2021/02/07 04:50:11.206 zGmwzDLhM 70/92

「梓ちゃんは私の大切な..大切な妹みたいな存在なんです!この子はお父さんが思ってるよりずっと苦しんでて、それに本当はお父さんが大好きなんです!」

「だから..ほんの少しだけでも、昔みたいに梓ちゃんと向き合ってください!」

梓父「私は君に言われなくてもちゃんと家族と向き合っているよ。家長として、家族を守る為の最善を尽くしている」

「でも!今のお父さんを梓ちゃんは望んでは..」

「もうやめてください!」バン

「梓ちゃん..」

「おねーさん..私のこと助けようとしてくれてありがとうございました。嬉しいです」

「けど私は、結局籠の中の鳥なんです。自由が欲しくて逃げ出しても、結局いつかはこうなる運命なんです」

「また落ち着いたら連絡します。今日はもう遅いです。気をつけて帰ってください」

梓父「そういうことだ。君も少しは大人になりたまえ」

梓父「お友達はおかえりだ」

警備員「どうぞこちらへ」グイッ

116 : 以下、?... - 2021/02/07 05:00:16.480 zGmwzDLhM 71/92

「唯、お前はちゃんと言うべきことを言ったよ。どれだけの付き合いかは知らないけどさ、お前があの子を大切にしてるのは私にもわかった」

「梓ちゃんはこれ以上私に迷惑をかけないために、あぁ言ったんだ」

「本当は救い出して欲しかった癖に..ほんと、素直じゃないなぁ」

「私もさ、今日初対面だけどあの子のこと、どうも他人には思えないんだ。なんでかはわからないけど」

「そうなんだ。澪ちゃんも少しだけ覚えてるのかな」

「え?」

「ううん、なんでもない」

「澪ちゃん、律ちゃんと紬ちゃんを呼んでくれないかな?」

「唯..なにかするつもりなのか」

119 : 以下、?... - 2021/02/07 05:09:45.444 zGmwzDLhM 72/92

『こっちは大丈夫、準備出来たわ』

『こっちもOKだ!いつでも行けるぜ』

「よし、じゃあ『梓ちゃん救出作戦』を開始するよ!」

「唯、お前の作戦を聞いた時は驚いたよ。下手すると私たち、全員退学処分になっちゃうかもな」

「その時はその時!紬ちゃんはお嬢様だし、律ちゃんは不良だからいいけど、澪ちゃんは普通の高校生に戻るなら今のうちだよ」

「見くびるな!仲間を見捨ててまで学校にしがみつくような薄情者じゃないぞ」

「じゃあ..一蓮托生だね!」

「唯..お前難しい言葉知ってたんだな..」

120 : 以下、?... - 2021/02/07 05:16:28.065 zGmwzDLhM 73/92

「うおおお!!!中野ォ!!!出てこいやオラーッ!!!」ブォォォン

「この先輩から譲り受けたゼファーのエンジン音を聞いてビビってんのかぁ?!免許まだねーから押してきたけど、来年にはコイツでこの地方を駆け回るぞオラーッ!!!」

警備員「なんだこのアホは..」

警備員「俺らが出て行くまでも無いだろ..通報通報っと」


「オラーッ!!アズサーッ!!私と勝負しろやぁ!!」ブォォォン

警察「はーい、エンジン止めろー」

「?!」

警察「人の家の前で空吹かしはダメでしょ~苦情来てるよ~」

「あとは頼んだぜ..みんな」フッ

(糞ほどの役にも立たなかった..)

122 : 以下、?... - 2021/02/07 05:22:35.827 zGmwzDLhM 74/92

「律ちゃんのバイクの音が止んだ..次は私の番ね」

「点火~!」シュボッ

「私、人のお家にロケット花火を大量に撃ち込むのが夢だったの~」キラキラ

警備員「な?!なんだこれ..熱っ!!」

警備員「裏山から飛んで来てるぞ!出せるだけ人を出せ!とにかくこれを止めろっ!」

「澪ちゃん!金網は?!」

「間に合ったぞ!ここから入れる!」バチンバチン

123 : 以下、?... - 2021/02/07 05:32:07.538 zGmwzDLhM 75/92

梓父「外が騒がしようだな..またお前のお友達か?」

「..」

警備員「社長!裏山から花火が撃ち込まれて!指示をお願いします!」

梓父「情けない..相手はたかが子どもだろう」

梓父「お前はここにいなさい。部屋を出るんじゃない」

「..」

「おねーさん..信じられないレベルのバカなんだから」グスッ

124 : 以下、?... - 2021/02/07 05:36:32.169 zGmwzDLhM 76/92

「唯!庭の連中は私が引きつける!その隙に梓会員の所に行け!」ダッ

「がってんしょうちのすけ!」ダッ

警備員「いたぞ!侵入者だ!」

「地獄で会おう」フッ

「うぉぉぉ!!」ダダダッ

「澪ちゃん..犠牲は無駄にしないよ!」

「待ってて!梓ちゃん!」

126 : 以下、?... - 2021/02/07 05:46:11.579 zGmwzDLhM 77/92

「梓ちゃん!」バンッ

「おねーさん..よく私のいる部屋がわかりましたね」

「私にもわかんなかったよ!でも、私たちには前世からの繋がりがあるから!だから見つけ出せた!」

「そうですね。おねーさんが言うように、私たちは前世で出会ってたのかもしれません」

「だけど、私はこの世界で..あなたに出会いたくなかったです」ポロポロ

「あなたに出会って..希望を見てしまったから..この世界はどうしようもなく残酷な事に気付いてしまったんです」

「だから..こんなこと、して欲しくなかった」

「やり直します。おねーさんと出会う前、何もなかったことにすれば..この苦しさを忘れられるから」

127 : 以下、?... - 2021/02/07 05:49:44.889 zGmwzDLhM 78/92

「まさか..『モドリ階段』に行くつもりなの..?」

「私のことを大切に想ってくれるなら、どうか私を止めないでください」

「絶対に行かせない!」

「止めても行きます!」ドンッ

「きゃっ?!」ドシャッ

「おねーさん、さようなら」ダッ

「待って!梓ちゃん!あずにゃん!きっと私はあなたを助けるから!!だから..待って!」

「待って..待って..」

128 : 以下、?... - 2021/02/07 05:52:43.471 zGmwzDLhM 79/92

警備員「さっさと歩きなさい」

「..」

「紬も捕まったか..お疲れ様」

「唯ちゃんの手助けになれたかしら」

「もちろん..私たちはよくやった!私たちの勝ちだ!あははは!!」

警備員「静かにしろ!」

129 : 以下、?... - 2021/02/07 05:57:03.504 zGmwzDLhM 80/92

「..」

『ある学生が『モドリ階段』をたまたま降りたらしいの。そうすると、誰かから『戻りたいのはいつ?』と問いかけられるそうよ。そこで答えると、モドリ階段を降り切った時に望んだ過去に戻れたんだって』

『もしも『戻りたいのはいつ?』と質問された時に、今この瞬間に未練を少しでも残していたら、階段に取り込まれて永遠にどこかを彷徨い続けないといけないらしいの』

「もう未練は無いよ。おねーさんは優しくて、そんな人と出会って、ほんの少しだけ幸せになれたもん」

「だからもう大丈夫..」

「梓ちゃん!」ハァハァ

130 : 以下、?... - 2021/02/07 06:03:34.872 zGmwzDLhM 81/92

「お願い、私を信じてほしいの。絶対に梓ちゃんを..」グイッ

「離して!もう決めたの!私は今度は上手に生きるんだから!」ブンブン

「あ、梓ちゃん!落ち着いて..」

「嫌い!嫌い!みんなみんな私の気持ちを勝手に決めつけて!本当の私なんて誰にも..」ワーッ

「危ないっ!」

「え..」グラッ

131 : 以下、?... - 2021/02/07 06:06:18.845 zGmwzDLhM 82/92

お願い

届いて   届いて

この子は守らないといけないの

それがいつかの私の望み

そして今の私の望み


届け

届け

届けッ!

届けェェェェェッ!!!!

132 : 以下、?... - 2021/02/07 06:06:38.455 zGmwzDLhM 83/92

グシャッ

133 : 以下、?... - 2021/02/07 06:08:44.265 zGmwzDLhM 84/92

警備員「な、なんだ!?誰か倒れてるぞ!」

警備員「梓お嬢様だ!救急車だ!早く!」


警備員「社長ーッ!社長ーッ!!」


「あ..」


「あは..」


「あはは..」


「あはははは!!!あはははは!!!」

135 : 以下、?... - 2021/02/07 06:18:43.939 zGmwzDLhM 85/92

「そうだ!『モドリ階段』を降りれば、あずにゃんが落ちる前に戻れるじゃん!」

「待っててねあずにゃん!今度は絶対死なせたりしないからね!大丈夫!私はあずにゃんをずっと守るって約束したもん!」

梓父「お前か!?お前が梓を突き落としたのか!?」

「え..?」

警備員「捕まえろ!」グイッ

「離して!離してぇぇ!!この階段を降りなきゃ!!あずにゃんを助けられない!!お願いだから!!」

警備員「こいつ..錯乱してるのか」

136 : 以下、?... - 2021/02/07 06:26:28.412 zGmwzDLhM 86/92

2年後!

「..」

「久しぶり、お姉ちゃん」

「憂..綺麗になったね。私なんかと大違いだ」

「お姉ちゃんはちゃんと罪を償ったよ。私もお父さんもお母さんも、新しい家でみんな待ってる。さぁ、帰ろう?」

「うん、その前に..やらなきゃいけないことがあるの」

138 : 以下、?... - 2021/02/07 06:32:20.150 zGmwzDLhM 87/92

「..」

「ここ..あの事故の現場だよね?お姉ちゃんは知らないのも仕方ないけど、あの事故の後にすぐ家を取り壊して、ご遺族は会社ごと他の街に移ったんだ」

「もうここには、新しく出来た住宅街しかないよ」

「階段..『モドリ階段』は..?」

「お姉ちゃん、私も何度もお姉ちゃんの話で聞いた通りにその階段を探したけど、手掛かりは何にも無かったよ」

「もう大丈夫だよ。新しい街でやり直そう。この桜ヶ丘には、お姉ちゃんの大切なものは何も残ってない」

「2年間..これだけを支えに生きてきたのに..こんなの..」

140 : 以下、?... - 2021/02/07 06:40:14.242 zGmwzDLhM 88/92

『戻りたいのはいつ?』

「?!」

「『モドリ階段』だ!あの時聞いた声と同じ!階段が無いのに..なんで」

「お姉ちゃん?大丈夫?」

「もう帰ろう?ね?」

『戻りたいのはいつ?』

「あずにゃんを助けられなかったあの日!あの日をやり直したい!」

『..』

「ねぇ!応えてよ!私をあの日に戻して!早く!」


『ダメ』

141 : 以下、?... - 2021/02/07 06:43:55.076 zGmwzDLhM 89/92

「なっ..?!」

「お姉ちゃん..私が側にいるから!守ってあげるから!」

ーーー気持ち悪い

あぁ..あの時の梓ちゃんも、こんな気持ちだったのか

私は勝手に、彼女が守ってくれる存在を欲しているのだと思った

梓ちゃんが欲しかったのは、助け合える..自分と相手が互いを補完しあう関係だったんだ

今更気付いてしまうなんて、私は頭が悪いなぁ

144 : 以下、?... - 2021/02/07 07:03:01.258 zGmwzDLhM 90/92

『モドリ階段』は私をあの日に戻してはくれない

私が犯した罪を、無かったことにしてはならないということか

『違うよ』

『私はただ、けいおん部のみんなで幸せな未来を歩みたかっただけ』

『あの日では無いけれど、お望み通りにやり直させてあげるよ』

誰!?誰!?
私に語りかけるあなたは誰!?

『あなたは記憶を失うけれど、心に強く刻んだ気持ちは消えずに残り続ける』

『あずにゃんを、みんなを、大切にする気持ちは忘れないでね』

あなたは誰なの!?神様のつもり!?神様なら今すぐ梓ちゃんを生き返らせて!

『私はあなたよ』

意味がわからない
意味がわからない

私は私で無くなっていく

でも、忘れたりしない
私は梓ちゃんと..守りあえる存在に..

146 : 以下、?... - 2021/02/07 07:08:37.227 zGmwzDLhM 91/92

第一章


崩し編


148 : 以下、?... - 2021/02/07 07:11:28.669 zGmwzDLhM 92/92

次回予告


第二章


解し編


近日公開予定

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