近所の高校に通う高校2年の俺はその時冬休みだった。
母さんはこのところ体調を崩していて、そんな母さんの代わりにその日俺は買い物に出掛けることにした。
「行ってきます」
そう言って玄関から出ていく時、母さんは微笑みながら俺を送り出した。
「行ってらっしゃい。よろしくね」
それが、母さんの最後の言葉だった。
元スレ
少年「買い物くらい、俺が行ってくるよ」母さん「わざわざごめんね…」
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買い物を終え、帰って来たら母さんは事切れてた。
声をかけても、揺すっても、もう起きることはなかった。
そこから先はよく覚えていない。
気がついたら、警察や、救急車が来ていて、それは自分が呼んだものだと後から気づいた。
それから間も無く、父さんが仕事先から帰って来た。
急いで帰って来たのだろう。
父さんは作業着のままだった。
母さんは既に近くの病院に搬送されていたので、父さんは俺を車に乗せて病院に向かった。
道中、父さんは一言も喋らず、俺もどう切り出したらいいかわからず俯いていた。
沈黙に耐え切れず、俺は意を決して声を絞り出した。
「ごめん…今日は俺、ちょっと出掛けてて…帰って来たら母さんはもう…」
すると父さんは俺の髪をくしゃくしゃかき回しながら、諭すようにこう言った。
「お前のせいじゃない。実はこの前、医者からいつどうなるかわからないから覚悟しておくようにと言われてたんだ」
初耳だった。
「本当は病院に入院させるべきだったんだけど、母さんが嫌がってな。じゃあ父さんが付きっきりで傍に居てやるって言ったら、仕事を休むな!って怒られてさ…とにかく、お前に辛い思いをさせてすまなかった」
母さんの体調が良くないことは知っていた。
だけど、まさか命に関わることだとは思ってなかった。
「だから、お前のせいじゃない」
父さんはそう言ってもう一度俺の髪をくしゃりとかき回すと、それっきり黙って運転に集中した。
病院に着くや否や、父さんは駆け出した。
俺も必死で後を追う。
受付で手続きを済ませた俺達は霊安室へと向かった。
扉を開くと部屋は線香の匂いで満たされていて、まるで病院の中の一室とは思えない異質な雰囲気だった。
母さんはその部屋の真ん中に置かれたベットの上に横たわっていて、顔には白い布がかけられていた。
父さんは横たわる母さんの隣に立つと、顔にかけられている布に手を伸ばした。
その手は震えていた。
父さんが布を取ると、母さんはまるで眠っているかの様に穏やかな顔をしていた。
家で母さんが死んでいるのを見つけたのは俺だったけど、その時は気が動転していて、母さんがどんな表情をしていたかなんて見る余裕はなかったから、この時初めて死に顔に対面したようなものだった。
苦しそうな顔じゃなかったのが、せめてもの救いだと漠然とそう思う。
そんなことを考えていると、父さんはその場に崩れ落ち、大きな泣き声と共に号泣した。
そんな父さんの泣き声を聞きながら、俺は改めて母さんの死に顔を見た。
綺麗な母親だった。
絹のような黒髪は長く、目鼻立も整っていて、これまで何度父親似でぱっとしない自分の顔面を呪ったことかわからない。
しかし、俺がマザコンかと言えばそうではないと断言出来る。
そんな綺麗な母親にも短所があったのだ。
母さんはわがままを絵に描いたような人だった。
俺は小さな頃から母さんに無理難題を言われ、翻弄される父さんの姿を見てきた。
時には父さんに対し、殴る蹴るの暴力(原因は大抵父さんの方にある)も振るっていた。
そんな母さんの凶悪な一面を知っている俺がマザコンになどなる筈ないのだ。
しかし父さんはそんな母さんのわがままを、いつもヘラヘラ笑って受け入れていた。
俺はそんな父さんが嫌いだった。
父さんのヘラヘラした顔を見るたびに、なぜ言い返さないのだろうかといつも思っていた。
なぜ言い返さないのかと聞いたこともあったが、父さんは俺の質問に決まっていつもこう答えた。
「いつかお前も大切な人が出来たら大事にするんだぞ」
なんだそれ。
母さんは美人だったから、どうせ惚れた弱みで何も言い返せないのだとそう思っていた。
俺の中で父親は情けない存在だった。
高校に進学してから父親への嫌悪感は顕著になり、最近はろくに言葉も交わしてなかった。
ちなみに母さんは俺に対しては基本的に優しい母だった。
時には父さんがビビるくらいに叱ることもあったが、父さんに対してするように無理難題を俺にふっかけることはなかった。
そんな母さんはこんな父さんのどこを好きになったのだろうか。
今更ながら、そんなことを思った。
父さんは母さんにしがみついて、わんわん泣いていた。
俺は泣かなかった。
いや、泣けなかったというほうが正しいか。
嫌いな父さんがいる前で、涙を流したくなかったのだ。
わんわん泣いている情けない父さんの背中をじっと見つめていると、徐々に怒りが湧いてきた。
いつまで泣いてるんだよ。
シャキッとしろよ。
一言言ってやろうかと思ったその時、数回のノックの後に部屋の扉がガラリと開いた。
「裕一。先生が呼んでる。それから、色々書類書いて貰わないといけないから…早く来な」
部屋に入って来たのは1人の女性の看護師だった。
歳は父さんよりも上のようだ。
『裕一』というのは父さんの名前である。
名前を呼び捨てるということは父と親しいのだろうかと、おばさんにしてはなかなか若々しく見えるその看護師を訝しげに眺めていたら、その看護師は俺の視線に気づいてにっこり笑ってこう言った。
「あら?あなたが裕一の子?へぇ~裕一のガキの頃にそっくりね。ちなみに今度私のことおばさんだとか頭の中で考えやがったらぶっ飛ばすからね」
完全に思考を見透かされた俺は、震えながら何度も頷くことしか出来なかった。
そんな俺達のやり取りは父さんには聞こえていなかったようで、まだわんわん泣いていた。
そんな父さんの背後に立った看護師は、父さんの肩を叩いて再び声をかけた。
「裕一。先生が呼んでる。気持ちはわかるけど、しっかりしな」
けれど父さんはそんな声に耳を貸さずに、母さんの傍から離れようとはしなかった。
「チッ」
そんな父さんの態度に苛立ったのか、舌打ちをした看護師はあろうことか父さんの背中に蹴りを見舞った。
「シャキッとしろ裕一!!あんたにはまだやらなきゃならないことが残ってんだろうが!?」
あまりの暴挙に俺が呆然としていると、悶絶していた父さんがむくりと起き上がった。
「うぐっ…ッ…あ、亜希子…さん?すみません…俺、聞いてなくって…」
どうやら蹴りのショックで気を持ち直したらしい父さんに、看護師は改めて要件を話した。
「だから、医者が呼んでるから来なって。あと、色々書類も書いてもらうから。あんたがしなきゃならないことは…あんたがしっかりやりな」
「はい…わかりました」
そう言って父さんは、看護師と一緒に部屋を出て行った。
父さんが亜希子と呼んだ看護師のあまりの暴挙に、しばし固まっていると、母方の祖母と父方の祖母が部屋に来た。
母方の祖母は母さんの亡骸の前で泣き崩れ、それを父方の祖母が支えた。
ちなみに俺に祖父はいない。
父方の祖父も、母方の祖父もどちらも俺が産まれる前に亡くなっていた。
祖母達が母さんの遺体に縋りつき、啜り泣く中、俺は所在無さげに部屋の隅に佇んでいた。
また、涙を流す機会を逃してしまった。
別に祖母達が居るからといって、泣くことが憚られるかと言えばそうではないのだが、それでもやはり泣けなかった。
俺は母さんが死んだという実感が未だに持てなかったのだ。
その後、手続きを終えた父さんが戻って来て、葬儀屋に連絡を取り、母さんの遺体を家に運んだ。
床の間に横になった母さんは、やはり今にも起きだしそうなほど綺麗な顔をしていた。
祖父母は葬儀屋とこれから行われる葬儀について話し合い、父さんは警察に事情を聞かれていた。
そんな慌ただしい中、悲しみに暮れる暇もなく、1日が過ぎていった。
翌日の朝、ふと目が覚めると母さんの隣に敷いた座布団に父さんが座っていた。
どうやら寝ずに線香の番をしていたらしい。
起こしてくれれば、俺が代わってやったのに…
そう思いながら身体を起こすと、父さんは俺が起きたことに気づいた。
「ん?あぁ…おはよう。そうか…もう朝か…。それじゃあ、飯にしよう」
そう言って父さんは立ち上がり、俺を引き連れて台所へと向かった。
台所では既に起きていた祖母達が朝食を用意してくれていた。
普段は家に居ない祖母達と囲む食卓は違和感があり、父さんと祖母達がこれからのことを話し合っている中、俺は黙々と箸を口に運んでいた。
そんな中、おかずの一品が昨日の朝に母が作ってくれた物の残りだと気付き、思わず涙が溢れそうになった。
しかしその時、ちょうど父さんもそのことに気づいたらしく、わんわん泣き始めた。
俺はまたしても泣く機会を失った。
それから先はあっという間だった。
納棺、通夜、葬儀、火葬、そして納骨。
ぼぼ一週間で全てが終わった。
喪主は父さんが務めたが、はっきり言ってダメダメだった。
葬儀で弔辞を読む際に大泣きし、弔辞で鼻を擤む始末だった。
火葬の際には俺も思わず泣きそうになったが、またしても俺が泣くより先に父さんが号泣し、母さんの棺にしがみついて離れず、火葬場の人達を困らせた。
そんな情けない父さんの姿を見て、やっぱり俺は父さんを嫌いだと思った。
全てが終わり、祖母達が帰った後、作り置きしてくれた夕飯を父さんと2人で黙々と食べた。
母さんのいない食事は寂しかった。
父さんは抜け殻のようになっていて、俺はもうそんな父さんにうんざりしていたので、さっさと飯を食って寝ることにした。
そう言えば、父さんの会社の忌引は一週間だったっけ。
あの抜け殻のような父さんが明日からまともに仕事に行けるとは思えず、この先どうなってしまうのか不安になりながらも、この一週間で溜まった疲れによって俺は泥のように眠った。
翌朝、目覚めると既に父さんの姿はなかった。
どうやら仕事に行ったらしい。
あの抜け殻のようだった父さんがちゃんと仕事に行ったことに驚いていた俺は、茶の間に置いてあった父さんの書き置きにまたも驚愕した。
『飯は出来てるから、温めて食べるように』
あの父さんが料理をするなんて…
俺は生まれてこのかた、父さんが料理をしているところなんて見たことがない。
母さんの料理をいかにも美味そうにヘラヘラと笑いながら食う様しか見たことがなかった。
あまりの衝撃にしばし呆然となった俺は、気を取り直して、とりあえず朝飯を温めるべく台所へ向かった。
父さんが用意した朝飯は味噌汁、卵焼き、そして焼き魚と思われる物体だった。
味噌汁は見るからに薄く、温める前に試しに一口飲んでみるとやはり薄かった。
卵焼きはその形を成しておらず、スクランブルエッグを押し固めたような物だった。
そして焼き魚と思われる物体は、もはや消し炭と言っても過言ではないほど炭化しきっている。
もしや、新手の嫌がらせか?
そう訝しんで流しをみると、父さんの茶碗と皿が置いてあり、皿に付着した炭から察するに、どうやら父さんはこれを食べたらしい。
俺はその時点でこの料理とは呼べない物体達を温め直す気を失い、他に何か食べられそうな物はないかと冷蔵庫を漁っていると、それはあった。
母さんの大好きだったプリン。
とりあえず朝はこれで凌ごうと思ったその時、家の呼び鈴が鳴り響いた。
俺はプリンをテーブルの上に置き、こんな朝から誰だろうと首を傾げながら玄関のドアを開けた。
「あん?誰だお前」
扉を開けると、やけに格好いい中年の男が立っていた。
男が吐く息は酒臭かった。
というか、人の家にやって来て誰だお前とはどういうことだ。
「俺はこの家の者ですけど…失礼ですが、どちら様ですか?」
俺がそう尋ねると男はニヤリと笑って名乗った。
「俺は夏目吾郎。なるほど…お前があいつのガキか。俺はお前の母親の主治医だ」
「母さんの…主治医?」
俺がそう呟くと夏目と名乗る男はいかにも不機嫌そうに付け足した。
「あーいや、今は違う。主治医だったんだ。昔はな…」
どうにも要領を得ない彼の説明に俺がもう少し詳しく話を聞こうとすると、彼は俺を押し除け、ズカズカと家の中に上がり込んで来た。
「もういいだろ?おらどけよ!弔問に来たんだよ!見りゃわかんだろ!!」
明らかに弔問に来たような態度ではなかった。
夏目は上がりこむや否や仏壇はどこだと俺に聞いてきた。
俺は彼を追い出すことを早々に諦め、さっさと弔問を済ませて帰って貰おうと、仏壇へと案内してやった。
仏壇の前に座った夏目は、母さんの遺影をじっと見つめて、それからおもむろに線香に火をつけ、鐘を鳴らし、そして拝んだ。
どうやら弔問に来たというのは本当らしい。
俺がホッと胸を撫で下ろしていると、目を閉じて合掌していた夏目は胸ポッケからタバコを取り出し、それに火をつけながらボソッと呟いた。
「戎崎の…馬鹿野朗が…!」
戎崎というのは俺の苗字であり、母さんの苗字でもあったが、どうやら彼の口ぶりから察するに父さんのことを言っているらしい。
憎々しげに父さんを馬鹿野朗と言った夏目は、ふいにこっちを向き、こんなことを言ってきた。
「なぁ、お前もそう思うだろう?お前の父親は本当に馬鹿野朗だってよ」
そう言う夏目の目はとても正気とは思えず、俺はとりあえず話を合わせることにした。
「そ、そうっすね。うちの父親は本当に馬鹿野朗で、困っちゃいますよ」
すると夏目は機嫌良さそうに、俺の肩に手を回してこう言うのだった。
「なんだお前、なかなか話がわかる奴だな!よし!飲もうぜ!酒の1本や2本くらい台所にあるだろ?台所に案内してくれよ!」
そんな風に絡まれつつも、この危ない男の機嫌を損なわずに済んだことに安堵した。
そして俺は彼を台所へと案内し、戸棚から酒を見つけ出して、初対面のオッサンと2人で飲むことになった。
「本当に戎崎の馬鹿は昔っから馬鹿でよぉ!俺が何度忠告しても聞かなかったんだよあの馬鹿は!」
だいぶ酔いが回ってきたのか、先ほどから夏目が何のことを言っているのか定かではなかったが、俺はとりあえず酒を飲みながら適当に相槌を打ち、ヘラヘラ笑っていた。
俺が嫌いな父さんのようにヘラヘラ笑っていた。
その時、やはり血は争えないものだと気付いた俺は無性にこの身に流れる父さんの血が嫌になった。
いけない。
俺もだいぶ酒が回ってきたようだ。
一度落ち着いて冷静になろうと思ったその時、夏目がこんなことを口走った。
「あいつは昔から泣き虫でよぉ!俺は昔、あいつを蹴りながらこう言ってやったんだ!えーとなんだったかな…何せそん時はだいぶ酔ってたから…あーそうだ!
『泣いて病気が治るかよ、喚いて病気が治るかよ』ってよ!そしたらあいつ、言い返すことも出来ずにますます泣きやがって…本当にどうしようもない奴だったんだよあいつは!!」
その言葉を聞いた俺は、この一週間の間に見た情けない父親の姿を思い出し、ずっと腹に溜め込んでいた言葉をついに吐き出した。
「本当に…本当に泣き虫で困りますよ!!母さんの遺体と対面した時も、飯を食ってる時も、弔辞を読んでる時も、火葬する時も!!わんわん泣きやがって!!情けないったらありゃしませんよ!!」
一息に父さんへの文句を並べ立てた俺が、我に返って夏目の様子を伺うと、彼は冷めた目で俺を見つめていた。
「あ?」
その寒気がするような声音を聞いた瞬間、俺はとうとうこの男の機嫌を損ねてしまったのだと悟った。
「大事な人が死んだ時に…泣いたらいけねぇのか?そん時ぐらい、泣いちゃいけねぇのか!?じゃあ戎崎は…!俺は!!一体どんな時に泣けば良いんだよ!?」
夏目は豹変していた。
先ほどまでとは打って変わり、怒りの矛先を俺に向けた夏目のその豹変ぶりに動揺して言葉を失っていた俺の頬に突然衝撃が走った。
吹っ飛ばされ、床に這いつくばった俺は、頬にジンジンとした痛みを感じて、そこでようやく自分が殴られたのだと理解した。
口の中を切ったらしく、血の味がした。
夏目は床に這いつくばる俺に蹴りを入れながら、怒声を浴びせかけた。
「何も知らねぇガキが!!お前に戎崎の気持ちがわかんのかよ!?お前に俺の気持ちがわかんのかよ!?」
夏目のそんな怒声を浴びながら蹴られ続ける俺は、その時初めて暴力の理不尽さを知った。
ただ一方的に蹴られ続け、こっちが動けないのをいいことに好き放題言われる。
こんなことがまかり通っていい筈がない。
だが、俺はその時あまりに無力で、身を丸くしてひたすら耐えるしかなかった。
やがて蹴り疲れたのか、蹴るのを中断した夏目が俺を見下しながらこんなことを言ってきた。
「なぁ…里香がなんで死んだか教えてやろうか?お前の母さんが死んだのはなぁ…てめぇのせいなんだよクソガキ!!」
夏目のその言葉に俺は耳を疑った。
里香というのは母さんの名前である。
母さんが死んだのが俺のせい?
一体どういうことだ?
俺が困惑していると、夏目は語り始めた。
「お前の母さんは生まれつき心臓が悪くてな。父親の遺伝だったんだが、まぁそんなことはどうでもいい。それで俺が里香の心臓を手術したわけだ。手術は上手くいって、里香は当面の命の心配はいらなくなった。
俺は戎崎の奴にあと10年は生きられると保証してやった。そのくらい上手くいったんだ。
術後の経過も良好で、このままいけば10年と言わずに婆さんになっても生きていけるかも知れなかった。だがある日、里香は事もあろうに子供が出来たと抜かしやがった」
夏目の口から語られるその話は、俺にとっては全くの初耳であり、そのような話は母さんからも父さんからも聞かされていなかった。
目を白黒させる俺に構わず、夏目は話を続けた。
「俺は主治医として子供を堕ろすように説得した。言っておくが、俺はそれまでも散々子供を産むのは無理だと言ってたんだ。寿命を縮めるどころか、妊娠中に死ぬ可能性も高かったからだ。
だが、里香は俺の説得を聞かなかった。
主治医と言えども、患者の意思を無視することは出来なかった。それでも患者に望まぬ中絶を勧める俺は、病院側から問題視されるようになった。そして俺は…里香の主治医から外された」
彼は苦虫を噛み潰したような表情のまま、話を続けた。
「主治医から外されてしばらく経ったある日、里香が子供を産んだことを知らされた。
もちろん自然分娩ではなく帝王切開での出産だったが、母子共に健康だと聞いて俺は安堵した。
自分の見解が間違っていたことに心から安堵したんだ。
だが、こうして里香は死んでしまった。
この意味がわかるか?お前を産む為に、やっぱり里香は命をすり減らしていたってわけだ!!もしかしたら、婆さんになるまで生きれたかも知れないのに…!里香は…お前のせいで死んだんだよ!!」
語り終えた夏目は、また俺を蹴り上げた。
俺は…何も言えなかった。
そんなのは言いがかりだと言える根拠もなかった。
ただ、蹴られた胸が酷く痛んだ。
呻き声を漏らしながら、床に這いつくばる俺に夏目はこう吐き捨てた。
「何も…言い返さないのかよ。つくづくお前は…戎崎の馬鹿にそっくりだな」
その言葉に俺は…自分の血が沸騰するのを感じた。
それだけは絶対に言われたくない言葉だった。
痛む身体に鞭を打ち、ヨロヨロと立ち上がる。
夏目はこちらに背を向けて、部屋を出て行こうとしていた。
俺は食卓に飛び乗り、そして飛んだ。
「うぉぉぉおぉおおおおおおお!!!!」
俺の叫び声を聞き振り返った夏目の腹にめがけて、両足をピンと揃え、強烈なドロップキックを叩き込んだ。
俺の渾身のドロップキックを受けた夏目は、盛大に吹っ飛んだ。
決まった。
完璧なドロップキックだった。
夏目は腹を抱えて苦しそうに呻いていたが、俺を見上げるその目は憎悪によって赤く染まっていた。
ゾクッと背筋が凍る。
攻撃の手を緩めてはいけないと直感した俺は、父さんの作った味噌汁が入った鍋を持ち上げ、奴に向けてぶん投げた。
それを辛くも頭上でキャッチした夏目は、頭からその中身を被った。
それでも俺は攻撃の手を緩めなかった。
父さんの作った卵焼き、父さんの作った焼き魚のようなものを次々と夏目にぶん投げ、最後にプリンを手に取り、それを投げつけようと振りかぶったところで我に返った。
母さんの大好きだったプリンは、俺にとっても好物だったのだ。
プリンを投げつけるか否か逡巡している俺を見上げて、ポカンと口を開けていた夏目が不意に肩を揺らして笑い始めた。
「は…ははっ…なんだ…そうか…。里香は…ここに居たんだな…。死んでなんか…なかったんだな…」
そんなことを呟き、泣きながら笑っている彼の目からはもう憎悪は感じられず、俺はとりあえずプリンを握った手を下ろした。
味噌汁を被ったことにより、頭が冷えたのだろうか?
夏目はしばらくそんな風に、泣きながら笑っていた。
やがて夏目はむくりと起き上がり、警戒して身構えている俺に向けて謝罪した。
「殴って…悪かったな。お前は間違いなく、里香の子供だよ。それじゃあな」
そんな言葉を残し、彼は味噌汁塗れで、頭に卵焼きのようなものを乗せたまま帰って行った。
彼が去ったことによって、極度の緊張状態から解放された俺はフラフラと仏壇の前に向かい、その場に座り込んだ。
そこで俺はプリンを握り締めたままだということに気付いた。
仏壇に飾られている母さんの遺影を見つめながらプリンを食った俺は、今日夏目に言われたことを思い返していた。
母さんは…俺のせいで死んでしまったのだろうか?
どのくらいの時間そうしていたのだろう。
気がつくと辺りは暗くなっていた。
考えても、答えなんか出なかった。
もう、母さんは死んでしまったのだから。
それから少しして父さんが帰って来た。
「ただいま~っておい!電気も点けずに何してんだ!?」
そう言って父さんは部屋の明かりを点けた。
「なッ!?何があったんだよ!どうしたんだその顔!?」
明かりに照らされた俺の顔のアザを見て父さんは悲鳴をあげた。
「…転んだ」
俺はそんな父さんに咄嗟に嘘をついた。
「転んだって…どう見ても転んだ傷じゃないだろ!?一体何かあったんだ?」
そう詰め寄る父さんに俺はまた嘘をつく。
「だから、転んだんだって!!」
そう言い張る俺に、父さんはそれ以上追求しなかった。
俯く俺に父さんは努めて明るく話し掛けてきた。
「そうだ!とりあえず飯にしよう!な?」
そう言って台所に向かった父さんは、台所の惨状にまたしても悲鳴をあげた。
「な、なんだこりゃ!?床が味噌汁塗れじゃないか!?」
そんな父さんに俺はまた嘘を重ねる。
「不味かったから…捨てた」
不味かったのは本当だったが、この嘘は心が痛んだ。
そんなことを言う俺に父さんは暫し絶句していた。
殴られると思った。
いや、違う。
俺は父さんに殴って欲しかった。
母さんを殺した俺を殴って欲しかったのだ。
だけど父さんは…俺を殴らなかった。
「ごめんな。父さんまだ上手く料理できなくてさ。上手く料理を作れるように、これから頑張るからな」
父さんはヘラヘラ笑ってそう言った。
涙が溢れそうになった。
夏目の話を聞いた後に見る父さんのヘラヘラした顔は、これまで見てきたそれとはまったく違っていて、俺の中の父さんに対する印象も変わっていた。
父さんは優しい人で…どこまでもお人好しだったんだ。
夏目の話によると母さんは望んで俺を産んだ。
じゃあ父さんは?
母さんを殺した俺のことをどう思っているのだろう?
それがすごく気になっていた。
父さんは黙っている俺に向けて、気を取り直すようにこう言った。
「よし!とりあえず晩飯だ!朝はちょっと失敗したけど、夜は美味いもんを作ってやるからな!」
そう言って父さんは冷蔵庫の中を漁り始めたが、その表情はみるみるうちに曇っていった。
その理由を俺は知っている。
冷蔵庫の中にはプリンが一つ入っていただけで、食材がほとんど入っていなかったのだ。
そしてそのプリンは今朝俺が食ってしまっていた。
冷蔵庫に何もないことを知った父さんは、今度は戸棚を漁り始めた。
コンビニで弁当でも買ってくればいいのに。
そう思った俺は、気付いた。
父さんは恐らく、自分の作った料理で俺に満足してもらいたいのだ。
朝飯を不味いと言われたことを気にしているのだ。
父さんがそう気負ってしまった原因が俺がついた嘘であることはまず間違いないだろう。
そんな俺が今更コンビニ弁当でいいとは言えず、戸棚を漁る父さんを黙って見つめることしか出来なかった。
やがて父さんは戸棚の奥からある物を発見した。
猫缶だった。
たまにやって来る野良猫に、母さんが与えていた物だった。
父さんは躊躇なく猫缶の蓋を開け、ツナのようなその中身に、醤油とマヨネーズをぶち込み、グチャグチャとかき混ぜ始めた。
いや…まさかな…
嫌な予感がした。
混ぜ終えた父さんは、朝の乱闘事件の中で唯一被害を免れた炊飯器からご飯を山盛り茶碗によそい、その上に猫缶をぶちまけた。
どうやら本気で猫缶を食べるつもりらしい。
俺の分のご飯もよそい、半分だけ中身が残った猫缶を添えて俺の前に置いた。
「食ってみろ!美味いぞ~!」
満面の笑みでそう言う父さんの正気を、俺は疑った。
「食ってみろって…これ、猫缶だろ!?こんなもん食えるかよ!?」
そう言う俺を尻目に父さんはバクバク『猫缶かけご飯』を食い始めた。
「ほら!めちゃくちゃ美味いぞ?騙されたと思って食ってみろって!」
騙されるもんか。
俺は断固として拒否した。
頑なに食べようとしない俺を見て、父さんはボソッとこんなことを言った。
「母さんも美味いって言ってたんだけどな…」
母さんが?
これを?
朝食の件もあり、父さんの味覚を信じていなかった俺だが、母さんの味覚は信じられた。
意を決して、一口猫缶を食べてみた。
美味い。
というか、普通にシーチキンマヨネーズだった。
俺は猫缶をご飯の上にぶちまけ、ガツガツと食った。
そこで自分が朝から何も口にしてなかったことに気付いた。
空腹は最高の調味料とはよく言ったもので、『猫缶かけご飯』はめちゃくちゃ美味しかった。
「な?美味いだろ?まぁ…母さんが美味いって言ってたってのは、嘘なんだけどな。何度父さんが勧めても母さんは絶対に食べなかった」
ヘラヘラ笑って今更そんなことを言う父親に、俺は思わず吹き出しそうになってむせた。
そんな俺の背中を叩きながら父さんは遠い目をして呟いた。
「母さんにも一度は食わせてやりたかったなぁ…」
その父さんの寂しそうな声に、俺は堪らず今朝からずっと気にしていたことを口に出してしまった。
「父さんは…やっぱり俺が憎い?」
父さんはそんな俺の問いに驚いて、こう聞き返した。
「どうしたんだ当然。なんでそんなことを聞くんだ?」
俺は父さんに今日聞いたことを全て打ち明けることにした。
「実は今日、夏目って人が来てさ…」
父さんは俺が話し終えるまで、黙って聞いていた。
「話はわかった。それでその傷は…あいつにやられたものなんだな?あの野朗…!」
話を聞き終えた父さんは怒りもあらわに立ち上がった。
「ちょっと父さん!?何するつもだよ!?」
必死に引き留める俺を引きずりながら、父さんは玄関に向かって突進していた。
「何をって決まってるだろ!あの野朗に落とし前をつけに行くんだよ!!」
父さんがこんなに怒っているところを初めて見た。
俺は怒り狂う父さんのことを必死に引き留めた。
「もういいんだって!ドロップキックもかましてやったし、味噌汁もぶちまけてやったし、卵焼きも、焼き魚も全部あいつにぶん投げてやったから!!プリンだけは結局投げなかったけど…でも、もう十分気は晴れたからさ!!」
俺のその話を聞いて、父さんはようやく足を止めた。
そして夏目がそうしたように、泣き笑いながらこう言った。
「そうか…お前もプリンが好きだもんな。それにしても、味噌汁からおかずまで夏目の奴にぶっかけるなんて…お前は母さんに良く似てるな」
そう言う父さんの顔は嬉しそうだった。
とりあえず、父さんの怒りが収まったことに安堵していた俺に父さんはこう切り出した。
「なぁ。これからちょっと、砲台山に行ってみないか?」
あまりに突拍子のないその提案に俺は驚いた。
「は?これからって…今?なんで?」
砲台山とは俺が住む伊勢の街の東端にある小高い丘のことであり、正式な名称は虎尾山という。
そんな街外れに一体何をしにいくのだろう?
あまりに意味不明な父さんの提案に俺はついていけなかった。
「砲台山は母さんとの思い出の場所なんだよ。そこで、母さんの話をしてやる。ほら、わかったらさっさと準備しろ!」
そう言って背を押してくる父さんが何を考えているのかはやはり分からなかったけど、母さんとの思い出の場所には興味があった。
不承不承に上着を取りに行く俺の背に、父さんから声が掛けられた。
「おーい!なるべくあったかい格好してこいよ!!道中めちゃくちゃ寒いから!!」
はて?
てっきり車で行くものとばかり思っていたが、もしや歩いて行くつもりだろうか?
やはり父さんの考えは俺には分からなかった。
手持ちの中で一番分厚い上着を羽織って外に出ると、父さんは物置から何やら運び出してきたところだった。
原チャリだった。
側面に盛大なコケ傷が付いており、父さんが学生時代にこけた時に付いた傷らしい。
それは夏場に父さんが仕事に行く時に使っていたものだった。
しかし今の季節は冬。
俺にはやっぱり父さんの行動が理解出来なかった。
そんな俺をよそに、父さんは原チャリのエンジンをかけようと四苦八苦していた。
数ヶ月放置された原チャリのエンジンはなかなかかからなかった。
あわよくばこのままエンジンがかからないでくれたらと、俺がそう祈っていた矢先…
「おぉ!かかった!かかったぞ!!ほら、これ被って早く後ろに乗れ!!」
どうやら俺の祈りは届かなかったようだ。
父さんが放り投げてきたヘルメットを被り、俺はええいままよと父さんの後ろに跨った。
ところで父さん…原チャリの2人乗りは違法だって分かってるのかな?
「よし!んじゃあ行くぞ!しっかり掴まってろよ!!」
そう言って父さんは走り出した。
原チャリを運転することはおろか、後ろに乗ったことすらなかった俺は、その風を切って進む爽快感に驚いた。
しかし、爽快感はすぐに薄れ、後に残ったのは身を切り裂くような寒さだけだった。
寒い。
寒すぎる。
こんな季節に原チャリに乗るなんてやってはいけないことなのだと、走り出して数分で身を以て思い知った。
あまりの寒さに父さんの背中にしがみついていると、父さんの背中が思ったより広く、そして大きいことに気付いた。
母さんの遺体にしがみついて泣いていた父さんの背中は、あんなに小さく見えたのに。
あの時の情けなさを微塵も感じさせない父さんのその背中は、頼り甲斐のあるように思えた。
もしかしたら、母さんはそんな父さんのことを…
そんなことを考えていた俺は、ふと父さんが寒さに震えていることに気付いた。
そりゃそうだ。
前に乗って運転している父さんの方が風をまともに受けるのだから、俺よりも何倍も寒いに決まっている。
ガタガタ震える父さんを心配していると、砲台山のふもとが見えてきた。
頑張れ父さん。
もう少しだ。
しかし、ふもとに近づいても父さんがスピードを落とす気配がない。
「父さん!?ブレーキ!ブレーキ!!」
堪らずそう叫ぶと、父さんはガタガタ震えながら焦った様子で叫び返した。
「ててて手がが、つつつ冷たすぎてててて、ブブブレーキががが、にに握れななないいいいい!!!!」
父さんのその言葉に愕然とした次の瞬間、ふもとの段差に乗り上げた原チャリは宙を舞い、俺達の身体も山道に投げ出された。
「いてててて…」
夏目に蹴られた時よりも身体のあちこちが痛かったが、山道が柔らかい腐葉土で助かった。
「おい!?だ、大丈夫か!?」
身を起こした俺に父さんが慌てて駆け寄って来た。
父さんもあちこち擦りむき、打撲したようだったが、とりあえず無事らしい。
父さんの手を借りて立ち上がると、俺達は痛む身体をお互いに支え合いながら山道を登った。
道中は無言だったが、不意に父さんが笑い出した。
「なんだよ。笑い事じゃないだろ。下手したら死んでたかもしれないだろ」
実際マジでヤバかった。
父さんは俺のそんな文句に謝罪しつつ、笑ってしまった訳を話してくれた。
「あぁ…すまんすまん。いやな、母さんと来た時も今日と同じようにこけたんだよ。そのことを思い出してつい…な」
父さんはそう言ってまた肩を揺らして笑っていた。
やがて山頂にたどり着き、砲台の台座に横並びで座り、伊勢の街並みを眺めていると、父さんは静かに話し始めた。
「夏目に言われたことなら気にするな。お前が母さんを殺したわけじゃない。父さんと母さんに望まれて、お前は産まれてきたんだ。そんなお前を父さんが憎んだりするわけないだろう?」
父さんと母さんの両方に望まれて自分は産まれたという事実に、俺は心から安堵した。
だが、やはり後ろめたさは残っていた。
「でも、もし俺を産んでなかったら母さんは…」
そんな俺の言葉を遮って父さんはこう言った。
「そんなことは神様にしかわからないことだ。夏目は医者だが、神じゃない。お前を産んでなくてもやっぱり母さんは死んだのかもしれないし、もしかしたらお前を産まなかったらもっと早く死んでいたのかもしれない。お前は…母さんにとって生きる希望だったんだ」
生きる希望とはどういう意味だろう?
俺が父さんの言葉の真意を図りかねていると、父さんは説明してくれた。
「母さんはいつ訪れるかわからない死を恐れていた。そして、父さんのことを1人ぼっちにすることを何より心配していた。母さんは自分が生きた証を残したかったんだ。母さんの命が減る可能性はもちろんあったけれど、父さんはそんな母さんの願いを叶えてやりたかった。
そしてお前が母さんに宿り、母さんは無事出産することが出来た。それからお前が母さんの生きる希望になった。お前の成長を見届ける為に母さんは精一杯生きた。そしてお前が高校生になった時に母さんは安堵した。
これで父さんのことを任せられるってな。縁起でもないことを言うなってその時は笑ったけど、きっと母さんは自分の死期を悟ってたんだろうな。今になって、そう思うよ」
父さんの話を聞き終えた俺の目からは、知らず知らずのうちに涙が溢れていた。
俺は母さんに会いたかった。
けれど母さんにはもう会えない。
それが死を実感するということだと知った。
堰を切ったように声をあげてわんわん泣く俺の頭をくしゃくしゃかき回しながら、父さんはこう続けた。
「だからお前には感謝してるんだよ。母さんの為にも、父さんの為にも、産まれてきてくれてありがとうってな。
お前が居るから今日父さんは仕事に行けた。お前が居るから…父さんはこれからも生きていける。
母さんの心臓の病気もお前には遺伝しなかった。そのことにも母さんは感謝してた。元気な子に産まれてくれてありがとうってさ」
そんな父さんの言葉に、ガキの頃の記憶が蘇ってきた。
俺が小さい頃、母さんはよく俺の胸に耳を当てて心臓の音を聞いていた。
暫く胸に耳を当てていた母さんは、安心した様に耳を離すと決まってこう言うのだ。
『良かったね。父さんの元気な心臓を貰って。父さんに感謝しないとね』
そのことを思い出した俺は父さんの胸にしがみつき、その力強い鼓動を聞きながら、父さんに感謝した。
「父さん…ありがとう。本当にありがとう。母さんが本当に感謝していたのは父さんなんだ。父さんの健康な心臓が俺に受け継がれたことに、母さんは感謝していたんだ」
それを聞いた父さんは、しがみつく俺の髪をまたくしゃくしゃかき回しながら母さんの名前を呟いた。
「里香…」
泣いているのだろうかと思い、見上げた父さんの目には涙はなく、ただひたすらに優しい目をしていた。
俺が父さんが泣いている時に泣けない様に、父さんもまた俺が泣いている時には泣けないらしい。
そんな不器用な親子を
半分の月が照らしていた。
FIN
88 : 以下、\... - 2016/02/06 18:35:05.087 qtjPf/y10 76/76一応『半分の月がのぼる空』のSSだったんだけど、分かりづらくて申し訳ない。
見てくれてありがとうございました!