凛「……できたっ」
未央「おおーっ、完璧じゃなーい!?」
卯月「これは今年最高の出来です!」
凛「そりゃ、年に一回だから」
卯月「き、気持ちの問題だよっ」
未央「まあまあ、はやくチョコラッピングしよ!」
元スレ
渋谷凛「……愛情注入したから」【モバマス】
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1359711555/
卯月「ではでは。早速ラッピングしますよー!」
未央「おお、気合入ってる」
卯月「ここで失敗するわけにはいかないもんね。島村卯月、頑張ります!」
未央「うっし、本田未央、頑張ります!」
凛「…………」
凛(……どうしようか)
凛(可愛くしようかな。それとも格好良く?)
凛(プロデューサーのチョコだから格好良くした方が……)
凛(でも、可愛げがないかも知れない……)
凛(可愛くしたら、なんか変かな……)
凛(でも、いつも私に可愛い衣装選んでくれるし……可愛いのが好きかも)
凛「……えっと」
卯月「……」
未央「……」
凛「よし、格好良くしよう。男の人だし……」
卯月「……」
未央「……」
凛「いや、せっかくのチョコだし、可愛く。あ、でも……」
未央「はよせんかーい!」
卯月「せんかーい!」
凛「うわっ!」
未央「ラッピングに何時間かける気ー?」
凛「ああ、ごめん。ちょっと悩んでて」
卯月「別にそこまで深く考えなくても良いんじゃないかなぁ?」
凛「ううん。妥協は出来ないよ、頑張って作ったんだし」
未央「そりゃそうかもしれないけどねー、凛さんや」
凛「凛さんや、って……誰なの」
卯月「見事、完成ー!」
未央「やったー、うづきん家来てよかったー!」
卯月「バレンタインチョコ、上手く出来たね!」
凛「プロデューサー、喜んでくれるといいね」
未央「あっ、最後の仕上げ忘れてた!」
凛「最後の仕上げ?」
未央「渡す相手を想って、愛情注入だよ!」
凛「愛情注入って……」
卯月「おー……なるほど!」
凛「こらこら、感心しないの」
卯月「さーおかたづけしよー」
未央「あーい。私は食器洗うね」
卯月「じゃあ、私は道具だね」
凛「……」
凛(愛情か……)
凛(……よし)
未央(……しぶりん?)
凛(ぎゅっ……)
未央(キュン)
卯月「どうしたの?」
未央「愛情注入されちゃったみたい……」
卯月「……?」
未央「いやー、恋する女の子はいいねえ……」
卯月「そうなの? あ……でも今の凛ちゃんは……」
卯月「まるで恋する乙女みたいだよー。ねえ未央ちゃん?」
凛「……えっ?」
未央「うはー。うづきんそれ言っちゃいますかー、やるねぇー!」
卯月「えへへ。なんか分かんないけど褒められました!」
凛「……恋、恋?」
卯月「あれ。凛ちゃん?」
未央「しぶりん? おーい」
凛(…………恋?)
卯月「なんか凛ちゃん、上の空になりましたね」
未央「うんうん……しぶりんは恋しちゃってるかー」
卯月「えっ!? 凛ちゃんは恋してるの!?」
未央「うんうん……うづきんは全然分かってないかー」
卯月「な、なんですかそれー! 教えてよー!」
未央「はいはい。まずはほっぺのクリーム取ってからね」
卯月「あわ、早く言ってよー……」
未央(応援してるからね、頑張って。凛)
凛「はっ……っと……」
凛「ここで、ターン……よし」
トレーナー「……はいっ、オッケーですよ!」
凛「ふぅ……お疲れ様です」
トレーナー「さすがですね。凛ちゃんのダンス、完璧でしたよ」
凛「そうかな。ありがとう」
トレーナー「それに比べて二人は……」
未央「でへへ……」
卯月「えへへ……」
トレーナー「どうしていつものステップがこなせないのかなあ……?」
未央「いやあ、バレンタインですからー」
卯月「うんうん!」
トレーナー「言い訳無用です! 後でまた追加の特訓ですよ!」
未央「そ、それは勘弁してー!」
卯月「ひぃーん!」
凛「あはは……」
トレーナー「あ、凛ちゃんは先にあがって良いですよ?」
凛「ううん。二人とちょっと用事があるから」
トレーナー「へえ……チョコですか?」
凛「……すごい、どうして?」
トレーナー「それは、まあ……今日が今日ですし」
凛「誰に渡すかも?」
トレーナー「え? プロデューサーさんじゃないんですか?」
凛「……あたり。分かっちゃうかな」
トレーナー(凛ちゃんの様子を見てれば大体は……)
トレーナー「そうですか、皆もやっぱりチョコ渡すんですね……」
凛「まあ……って、トレーナーさんも?」
トレーナー「ええ。一応、お世話になってることですし」
凛「そっか……」
凛「……」
凛(……あれ、なんだろこの感じ)
凛(なんか胸がズキズキする……)
凛「……」
凛「……なんだろう」
凛「うん……わかんないな」
凛(……嫉妬……いやいや)
凛(なんでそんな、トレーナーさんに対抗意識なんか……)
凛(……ないない)
凛(そもそも対抗意識って……)
凛(私は別に、プロデューサーが欲しいわけじゃ……)
凛(って、そもそもトレーナーさんも同じかもしれないし)
凛(何変なこと考えてるんだろう……)
卯月「凛ちゃんお待たせぇー……」
未央「ふぇー、終わったー!」
凛「……お疲れ、二人とも」
トレーナー「……というわけで、今日のリハーサルは以上です」
卯月「ふー、今日も大変でしたー」
未央「人気になるのはいいけど、なったらなったでレッスンも忙しー!」
凛「そうだね……」
トレーナー「ふふ、皆お疲れ様。凛ちゃんも、帰ったらゆっくり休んでね」
凛「……うん。お疲れ様でした」
トレーナー「そうだ。プロデューサーさんなら、あそこにいますよ?」
卯月「あ、チョコ渡さないと!」
未央「へっへーん、一番乗りー!」
卯月「あっ、未央ちゃんずるいよー!」
凛「……あ」
未央「プロデューサー! バレンタインのチョコだよー!」
卯月「プロデューサーさん、これ、チョコですっ!」
凛「……」
凛(……なんで私、隠れてるんだろう)
未央「ん、凛は?」
卯月「あれ? さっきまでそこに居たはずですけど……」
凛(チョコ、プロデューサーに渡さないといけないのに……)
凛(恥ずかしいから? ……ううん、違う)
凛(照れくさいから? ……それも、違う)
凛(渡したくないから? そんなわけないよ、そんなことない)
凛(……知りたくないから)
凛(……この胸の痛みの正体)
凛「……なんなんだろ、この感じ」
未央「それ、凛も分かってるんじゃないのかな?」
凛「……未央」
未央「もー、大事な時に隠れちゃうなんて!」
凛「それは……」
未央「素直になるって、大事だよ? プロデューサーにもだけど、なにより、自分にも!」
凛「……」
未央「渡してきなよ、チョコ」
凛「……あとで」
未央「だーめ。今すぐ!」
凛「や、やだ」
未央「だだこねないのー!」
卯月「凛ちゃん遅い……何やってるの?」
凛「う、うづきっ……たすけて、みおが……!」
未央「うぅー! アンタは子供かー!」
卯月「な、なんか綱引きみたいで楽しそう!?」
未央「楽しくないよ! 早く手伝ってー!」
未央「そりゃあー!」
卯月「えいやー!」
凛「わ、った、あ……!?」
未央「ちゃんと、渡しなよ!」
卯月「頑張ってね、凛ちゃん!」
凛「あ、うあ……ぷ、プロデューサー……」
凛「えっと……」
凛「その……」
凛「……あの、さ」
凛「は、はい。チョコ……」
凛「そ、それだけ。じゃあ」
凛「……なんで引き止めるの」
凛「味は保証するから、家で食べて!」
凛「か、感想なんかいいから!」
凛「かお、顔はみちゃダメ……っ!」
凛「今は見ちゃダメ……っ!」
凛(絶対、プロデューサーの顔見れない……)
凛(見たら……)
凛「や、やめっ……!?」
凛「あ……」
凛「……」
凛「……あ、味?」
凛「そ、そう。良かった……美味しかったんだ」
凛「……あのさ」
凛「な、なんでもない……」
凛(なんだか、安心した……?)
凛「ね、ねえ。頭に手置くの、やめて」
凛「……子供じゃないから」
凛「うるさい。怒ってない。て、照れてない!」
凛「あーもう、怒ってないから……帰るよ」
凛「……その前に」
凛「トレーナーさんからも、チョコ。貰ってきなよ」
凛「あっちにいるから。ほら、駆け足!」
凛「……ふぅ」
凛(……痛みが消えてる)
凛(むしろ、ドキドキしてる)
凛(美味しいって、言ってもらえたから)
凛(さすが俺のアイドルだなって、頷いてもらえたから)
凛(ずっと傍でプロデュースしてやるぞって、笑ってもらえたから)
凛(……そっか。私、プロデューサーに)
凛「恋してるんだ……」
凛「……おかえり、貰ってきた?」
凛「あー……どう見ても本命だね、トレーナーさんのチョコ」
卯月「凛ちゃん、プロデューサーさん独占しすぎー!」
未央「そーだそーだ! これ以上はおねーさんが許さないぞー!」
卯月「そうですよ! 私もプロデューサーさんとおしゃべりしたいです!」
未央「う、うづきん……ある意味、しぶりんより手強いかも……」
凛「ふふ……さ、二人が待ってる。事務所に帰ったら、皆のチョコも待ってるからね」
凛「覚悟しておかないと、プロデューサー」
凛「大丈夫。チョコの味なら、誰にも負けないよ?」
凛「……愛情注入したから」
80 : 以下、名... - 2013/02/01(金) 22:39:51.84 5sJZ5Dyw0 34/34
おしまい
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