原始時代――
男「ぐぅ、ぐぅ、ぐぅ……」
男「もう食えないよぉ~……」
男「……ん」
男「やべっ! 寝すぎた! もう日が昇ってんじゃん!」ガバッ
男(豆食って……)バリボリ
男(すぐ出かけ――)
男「おっと、石斧持ってかなきゃ!」サッ
タタタタタッ
元スレ
原始人女上司「コラッ、マンモス狩りでは油断しちゃダメっていったでしょ!」
http://viper.2ch.sc/test/read.cgi/news4vip/1580129117/
男「おはようございまーす!」
女上司「まったくもう……日はとっくに昇ってるわよ?」
男「すみません!」
男(相変わらず胸が大きい……)チラッ
女上司「コラッ、どこ見てるの!」
男「す、すみませんっ!」
先輩「いつもいつも遅刻しやがって。新人も入ったってのに示しがつかねえだろ」
男「すみません……」
先輩「それに武器は相変わらずそのシケた石斧かぁ?」
先輩「やっぱ今時、リーチのある石槍だぜ。お前も槍にしろって!」
男「俺はこの石斧が一番いいんですよ!」
先輩「へっ、足手まといになんじゃねえぞ」
女上司「コラッ、喧嘩しないの。私たちの仕事はマンモスを倒すことなんだから!」
女上司「さあ、マンモス狩りに行くわよ!」
先輩「はいっ!」
男「はい!」
新米「僕も頑張ります!」
男「ああ、ただし無理しないようにな」
女上司「あれね……」
マンモス「……」ズンズン
女上司「そこまで大きいマンモスじゃないわね」
先輩「あれならさほど苦戦せずにいけそうっすね」
女上司「だけど油断しちゃダメよ」
男「……」
新米「ドキドキします……」
女上司「いくわよ! セオリー通り、背後から囲んで攻撃するわ!」ダッ
先輩「はいっ!」ダッ
新米「は、はい!」タッ
男「……」
男(今日は遅刻しちゃったし、先輩は見返したいし、新米にはいいとこ見せたい)
男(なにより女上司さんを振り向かせたい――)
男「俺だってやれることを証明してやる!」ダッ
マンモス「パオォォォォン!」ブウンッ
バチンッ!
男「げぶっ!」
女上司「男君!」
新米「ああっ!」
先輩「ちっ、正面から突っ込みやがって……何やってやがる!」
先輩「うおりゃ!」グサッ!
新米「だっ!」ザクッ!
マンモス「パオオッ!」
女上司「はあっ!」ピョーンッ
先輩「すげえ跳躍力だ!」
女上司「頭上を取ったわ……てやっ! てやっ! せやぁっ!」ザクッ! ザクッ! ザクッ!
マンモス「パオォォォ……」
ズズゥン…
女上司「大丈夫?」
男「斧でガードしてましたから……」
女上司「コラッ、マンモス狩りでは油断しちゃダメっていったでしょ!」
男「す、すみません……」
先輩「ったくよぉ~、新米のがよっぽど役に立ってたぜ!」
男「うう……」ガクッ
女上司「気持ちを切り替えなさい。ちょっとここで休みましょ」
女上司「新米君は、他にマンモスがいないか見てきてくれる?」
新米「分かりました!」
女上司「手柄を立てたい気持ちは分かるわ。だけど焦っちゃダメ」
男「はい……」
女上司「大丈夫よ。あなたはやれる人なんだから」
男「そうでしょうか……」
女上司「そうよ。自信を持って」
男「ありがとうございます」
男「ところで、一度聞きたかったんですけど」
女上司「ん?」
男「どうしてあなたは狩りを? 普通、狩りは男の仕事なのに……」
女上司「んー、なんでだろ」
女上司「女でも男の仕事をやれるんだってことを証明したかったからかな?」
女上司「ほら私って、負けず嫌いだから……」
男(遠い未来の女性が言いそうなことを、今の時代から考えてるなんてすごいなぁ)
女上司「だけどなかなか難しいわね。どうしても女は男に腕力では劣るし……」
女上司「きっとみんな、女のくせにだなんて思ってるんじゃない?」
男「そんなことありませんよ!」
男「俺だって先輩だって新米だって、みんなあなたを尊敬してるんですから!」
女上司「ふふ、ありがとう」
新米「あのっ! 報告です!」タタタッ
女上司「どうしたの?」
新米「マンモスがいました! ものすごく大きいのが……!」
大マンモス「バオォォォォォン!!!」ズシンズシン…
先輩「で、でけえ……!」
新米「でしょう? こんなの初めて見ました!」
男「どうしますか……!?」
女上司「もちろんいくわ」
女上司「あれを仕留めれば、私たちの集落は当分食糧に困らなくて済むもの」
先輩(風下から近づいて……)コソコソ…
先輩「てぇやぁぁぁっ!」ザクッ!
大マンモス「!」
先輩「オラッ! オラッ!」グサッ! ドスッ!
大マンモス「バオオン!」
先輩「くそっ、ビクともしねえ!」
大マンモス「バオォォォォォン!」ブオンッ
バシィッ!
先輩「うぎゃあっ!」
男「先輩が……!」
女上司「私が行くわ!」ダッ
女上司「だああああっ!」ドシュッ!
大マンモス「バオッ!」
大マンモス「バオォォォォォン!」シュルルルルッ
ギュッ!
女上司「きゃああっ!」
男「鼻に捕まった!」
新米「ひ、ひいいい……!」
グググ…
女上司「あ、ぐぅぅぅ……あ、ああっ……」ミシミシ…
新米「どうしましょう!? このままじゃ絞め殺されちゃいます!」
男「お前は回り込んで、後ろからマンモスを攻撃してくれ」
新米「先輩は?」
男「俺は……真正面から突っ込む!」
新米「無茶ですよ! さっきだってそれやって失敗したじゃないですか!」
男「だけどマンモスの顔面を狙わなきゃ、あの人は助けられない!」
男「うおおおおおおおおおおっ!!!」ブオンッ
バキッ!
大マンモス「バオッ!?」
女上司「男君……!?」
男「だりゃあっ! うりゃあっ! でりゃあっ!」
ドカッ! バキッ! ガンッ!
先輩「うぐ……。あいつ……なかなか、やるじゃねえか……」
男「女上司さんを……はなせぇ! はなせぇ!」ブオンッ
ドゴォッ!
大マンモス「バオオッ!」
女上司「きゃっ!」ドサッ
男「待ってて下さい……。すぐ仕留めてきますから」
女上司「うん……」ドキッ
新米(後ろからも援護を!)グサッ! グサッ!
大マンモス「バオッ……!?」
男(よし、後ろに注意が向いた!)
男(頭に飛び乗って……)バッ
男「ドタマかち割ってやる!」
男「どっせぇい!」ブオオンッ
ドゴンッ!
大マンモス「バオオッ!」
男「オラァッ!」
ドガッ!
男「もういっちょう! もういっちょう! もういっちょう!」
ドカッ! ガッ! ドカッ!
男「くたば……れぇい!!!」
ドカァンッ!
大マンモス「バオオ……オ……オォ……ン……」ズズン…
男「ハァハァ……や、やった……!」
男「やったぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
男「へへ……どんなもんですか」
先輩「へっ、認めざるをえねえな……」
新米「かっこよかったです!」
女上司「やっぱりあなたはやればできる子だったわね」
男「ありがとうございます!」
女上司「さあ、人を集めてマンモスを持ち帰るわよ!」
オーッ!!!
……
女上司「マンモス肉、おいしかったわね」
男「ええ、自分で仕留めた肉の味は格別でしたよ」
女上司「今日の戦いぶりは本当にすごかったわ。まさに……豪傑って感じだったもの」
男「褒めすぎですよ……」
女上司「私……あなたに惚れちゃったかも」
男「え……!」
女上司「今の時代、男の価値はなんたって強さよ。あなたにはその強さがある」
女上司「二人ともお肉を食べてたっぷり精力ついたし……いいでしょ?」ギュッ
男「は、はいっ……」
女上司「ハァ、ハァ、ハァ……!」
女上司「どうやら……私も油断してたようね」
女上司「あなたがこんな立派なマンモスを持ってたなんて……!」
男「いやぁ、どうも」パオーン
おわり