モバマス 橘ありすSSです。
ありす「む……」
P「どうしたありす?」
ありす「だから、橘ですって。プロデューサーはこういう本を読みますか?」ヒョイ
P「ん?ミステリーか。読むぞ。最近は忙しくて合間を縫って読んでも終わる兆しが見えないけどな」
ありす「だったら一つ聞きたいんですけど……」
P「なんだ?難しい漢字でもあったのか?」
ありす「そんなわけないじゃないですか。勉強は得意な方なんですから。あの、この本に限らないことなんですけど……」
P「うんうん」
ありす「なぜ、小説は犯人の動機や心情を書くんですか?」
P「えーと……」
ありす「アッと驚くようなトリックに感動しても、犯人が動機をつらつら語ってると興ざめです。何かするのにいちいち理由を後付けしてる気がします」
P(評論家みたいだ……)
ありす「ミステリーを読む大人としてプロデューサー教えて下さい」
P「そうだなぁ……。まだありすには分からないかもしれないけど、なんて言うのかな――」
元スレ
ありす「名前で呼ばないで」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1359212493/
ありす「子供扱いしないで下さい。それに橘って呼んで下さい……名前で呼ばれるのは嫌いです」
P「そう言えばなんでそんなに嫌がるんだ?」
ありす「プロデューサーはありすって聞いて何を思い浮かべます?」
P「ありす……。お前以外で?」
ありす「え?まぁ、そうです」
P「なら、不思議の国のアリスとかだな」
ありす「だからなんです。私の名前を聞いた人の十中八九そう思い浮かべます。嫌じゃないですか、なんだか個性的すぎて外国人みたいだし……。それにアリスって感じじゃないのは自分でも分かってますし」
P「いやいや、可愛い名前じゃないか」
ありす「かわっ…!それは、プロデューサーが私じゃないから言えるんですよ」
P「そうかなぁ。まず名前を聞いて忘れられないってのは武器だと思うけど……。それに、そこまで合ってないとも思わない」
ありす「どこら辺がですか?」
P「まず可愛いことだよな。アイドルだし。それにドレスも似合う。それに、好奇心が強い所とかか、まだあるけど」
ありす「……」
P「ん、どうかしたか?」
ありす「い、いえ、そんな風に言ってくれるとは思わなくて、その、なんていうか、てっきりおためごかしかと……」ブツブツ
P「事実を言ったまでだ」
P(しかし、本当に難しい言葉知ってるなぁ……)
ありす「えと、あ、ありがとうございます」ニコッ
P「ありすも笑うんだな」
ありす「わ、私だって嬉しい時くらい笑いますよ!」カァァ
―――
――
―
ありす「分からない……。本読み直してみたけど」
ありす(プロデューサーに言われた通り、私が子供だからなのかなぁ……。でもなぁ……)
ありす「それより、可愛いか……」
ありす「私の名前が私にぴったりだって……」
ありす「ふふ。嬉しい」
ありす(笑顔ももっと意識してみようかな……)
ありす「えーと、明日は……お休み。勉強でもしようかな」
ありす(それとも、プロデューサーに会いにいってお話しでもしようかなぁ)
ありす(何考えてるの私!)カァァ
ありす「と、とりあえず、プロデューサーが明日暇なのか聞いてみよう」ピポパ…
ありす『こんばんは。や、夜分にすみません。あ、明日、お、お暇ですか?』
P『ま。暇だな。どうした何かあるのか?』
ありす『い、いえ、でしたら、ど、どこかに行きませんか?』
P『そうだな。親御さんに許可貰うならいいぞ』
ありす『わかりました。それじゃ、許可もらえたらメールしますね』
ありす「ど、どうしよう。とりあえずお母さんに……」
―――
――
―
P「しかし、ありすから誘いが来るなんて珍しいな」
ちひろ「橘さんからですか?」
P「え?えぇ、ありすからです。なんかちひろさんがその呼び方だと違和感がありますね」
ちひろ「だって、露骨に嫌がるじゃないですか。私は傷つきやすいんですよ。プロデューサーさんと違って」
P「はぁ」
ちひろ「それで、橘さんはなんて?」
P「えーと、明日どこか行かないかって」
ちひろ「……。何かしたら警察呼びますからね」
P「ははは、何もしませんよ」
ユー ガット メール
P「お、メールが来たな。なになに……明日はとりあえずありすの家近くの公園に集合みたいです」
ちひろ「はぁ……そうですか。行ってらっしゃい。私は明日も仕事です」
P「俺もさっさと仕事終わらせて帰るとします」カタカタカタ
―――
――
―
ありす「へ、変じゃないかな?」
ありす(お母さんには友達と出かけるって言ったからそんなませた格好は出来ないけどちょっとはお洒落したいわよね)
ありす「プロデューサーとおでかけかぁ……」
ありす「行ってきます」
ありす(公園にもういるかなぁ……)チラッ
ありす「あ、いた。私服姿って新鮮だなぁ」
ありす(誰かと話してる……?)
P「いや、だからまた今度な」ピッ
ありす「あ、あのプロデューサー?」
P「お、ありすか。おはよう」
ありす「おはようございます。橘です。それより、誰かと話してたんですか?」
P「ん?頼子から電話があった」
ありす「頼子……古澤さんですか?」
P「そうそう。何でも、仕事終わりに月でも見ませんかってな」
ありす「へ、へぇ……。それでプロデューサーはなんて?」
P「ん、また今度なって。それがどうした?」
ありす「いえ、別に」ツーン
ありす(別に私に特別優しいわけじゃないですね)
P「どうした? そう言えばどこか行きたい所でもあったのか?」
ありす「そ、そうですね」
ありす(特に行きたいところもないのだけれど……)
ありす「あ、あの少し、プロデューサーとお話しがしたいです」
P「いいぞ。丁度日陰になってるベンチがあるからそこにでも行こうか」
ありす「そうですね」
ありす(いつも通りいつも通り)
P「どうかしたか?」
ありす「なんでもないです」
P「そっか、でも――」
ありす「いいんですっ」
P「分かった。それで、なんか話したいことがあるのか」
ありす「べ、別に。下らない話でもしたいなぁって思ったんです……ダメですか?」チラッ
P(上目遣いは卑怯だ。無自覚なのが余計に)
ありす「あ、何かお話を聞かせて下さい。プロデューサーのお話に興味があります」
P「そ、そうか?そうだな――」
―――
――
―
P「なんだけど――ん?」
ありす「……」
P「寝ちゃったか。俺の話そんなにつまらなかったかな」アハハ…
ありす「ん…」コテッ
P(こっちに倒れてきたぞ。まぁ、男のひざまくらなんざ需要はないだろうが我慢してくれ)
ありす「」スヤスヤ
P「可愛い寝顔だなぁ」
P(おっと。ちひろさんとの約束を忘れるところだった)
P「でも、撫でる位いいよな」ナデナデ
ありす「ん…ん…」ゴロゴロ
P(こころなしか、気持ちよさそうだ)
P「お疲れ様、ありす」
ありす「ん……あ?どこですここ」
P「おはよう。ありす」
ありす「おはようございます。……ん?ってプロデューサー!なんでいるんですか!?」ガバッ
P「あぶな……」
ゴツン
P「だ、大丈夫か?」
P(歯が……)
ありす「だ、大丈夫です……」
ありす(思い出した。プロデューサーと公園に来てたんだっけ)
ありす(今、プロデューサーの唇がおでこに当たったような当たってないような……)
P「あぁ、大丈夫か?怪我してないか?」
ありす「――っ!」ボッ
ありす(近い近い近い!! 息が当たってる)
ありす「へ、平気です。そ、それより、プロデューサー、お腹空きません?」
P「そうだな。実は少し」
ありす(よかった……)ホッ
ありす「じ、実は今日お弁当を用意したんです」
P「お、料理なんて出来るのかありす」
ありす「い、一応、お母さんに手伝って貰ったんで味は平気だと思います」
P「それじゃいただきます」
ありす「い、いただきます」
P「ん。美味しいなこの卵焼き」
ありす「あ、それは私が作った奴です。焦げちゃいましたけど、本見ながら頑張りました。その、褒めてくれてありがとうございます」カァァ
P「いい、お嫁さんになるな。ありすは」ナデナデ
ありす「ん……もしかして、さっきも頭撫でてました?プロデューサー」
P「ん?あぁ、寝てる時にちょっとな。嫌だったか?」
ありす「その、頭を撫でられるのはあんまり。けど……プロデューサーならいいです」
P「俺は他の大人と違うからか?」
ありす「そ、そうですっ」
―――
――
―
P「ごちそうさま美味しかったよ」
ありす「お、お粗末様でした」
ありす(やった。全部食べてくれた……!)
P「これからどうする?」
ありす「そ、そうですね。プロデューサーはしたいことありますか?」
P「そうだなぁ……ない」
ありす「あの、でしたら、今度は私の話を聞いてくれますか?」
P「悩み事でもあるのか?」
ありす「昨日の話なんですけど」
P「小説の話?」
ありす「いえ、それじゃなくて」
P「なんだっけ?」
ありす「私の名前についてです……」
P「名前?」
ありす「私の名前がいいって言ってくれましたよね」
P「言ったな」
ありす「ホントにそう思います?」
P「あぁ、思うよ。良い名前だよ。ありす」
ありす「……」カァァ
ありす「そ、そこまで言うなら、別に…私のこと名前で呼んでもいいですからね。なんだかプロデューサーに呼ばれるのはいやじゃないです…えへへ」ニコッ
P(やばい、可愛い)
P「あ、ありす」
ありす「なんですプロデューサー? ふふ」
ありす(やっぱり、私は子供みたいです。私はこの気持ちをどう言葉にしていいか分かりません)
ありす「ねぇ、プロデューサー。その…、ひ、一つお願いしていいですか?」ゴニョゴニョ
P「なんだ?ありす」
ありす「……隣にいてくれませんか?ずっと……ずっと」ニコッ
ありす(私がこの気持ちを言葉に出来るその日まで)
了