1 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 19:57:06.53 J5SR7Qv/0 1/30

>もくようび!

(そろそろ明日の準備をしなきゃ…)

(明日は……勤労感謝の日?)

(祭日かぁ)

(勤労感謝の日…働いてる人に感謝を伝える日だよな)

(パパに何かあげようかな……)

(……)

(そうだ! ムギにも何かしてあげよう)

(いつも部活の時間にお茶をいれてくれてるし)

(私たちの中で一番働いてるのはムギだもんな)

(そうと決まればみんなにメールしよっと)



元スレ
紬「感謝の気持ちを君に」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1353668226/

3 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 19:59:30.42 J5SR7Qv/0 2/30

>すうふんご!

(律と唯はどうしても外せない用事があるから駄目)

(梓は友達と遊びに行くから駄目)

(今日の明日だから仕方ないか……。しょうがない、私一人でやろう!)

(でも、感謝の気持ちを伝えたいから会いたいって言うのは恥ずかしいな……)

(……そうだ!)

(パパに何か買ってあげたいから、選ぶの手伝って欲しいってメールしよっ)

___

ピロピロピロン♪

(あら、澪ちゃんからメール? なになに……)

(うん。うん。うん)

(さっそく返信しなくっちゃ♪)


8 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:01:42.78 J5SR7Qv/0 3/30

>きんろうかんしゃのひ!

「こっちよー、澪ちゃん!」

「遅れてごめん、ムギ。待ったかな?」

「ううん。今きたところ」

「ほんとう?」

「ええ、本当よ」

「今日は来てくれてありがとう」

「ええ。御父様のために何か買ってあげるんだって?」

「うん。勤労感謝の日だからさっ」

「澪ちゃんは親孝行さんね」

「そ、そうかな?」

「うん!」


10 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:03:54.39 J5SR7Qv/0 4/30

「そういえばムギは何か贈るの?」

「ええ、澪ちゃんに触発されて、私も贈ることにしたわ」

(御父様と斉藤と菫に…)

「それじゃあ選びに行こっか」

「ええ」

「とりあえずアーケード街を回ってみようと思うんだけど、ムギはそれでいい?」

「澪ちゃんにお任せします」

「じゃあついてきて」


11 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:05:31.55 J5SR7Qv/0 5/30

>ぶんぼうぐや

「ここは、文房具屋さんかしら」

「うん」

「澪ちゃんの御父様は文房具が好きなの?」

「パパはよく書斎で何か書いてるから、万年筆とかいいかなと思って」

「素敵っ」

「そう思う?」

「ええ。いつも使うものを贈るのが一番いいと思うわ」

「ちょっと見てもいいかな」

「ええ」


14 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:07:33.89 J5SR7Qv/0 6/30

___
「この赤いのはどうかな?」

「うーん。ちょっと派手すぎるんじゃないかしら」

「あぁ、私もそれがちょっと気になってたんだ」

「こっちの紺色のやつは?」

「うちのパパ、紺色はあまり好きじゃないんだ」

「そっかぁ。じゃあこっちの黒いやつは?」

「それもいいなぁ……」

「こっちの灰色っぽいのも素敵ね」

「あっ、それいいな!」

「でもこれは……」

「どうしたの?」

「お値段が」

「5,200円かぁ……」

「ちょっと高いね」


17 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:09:44.29 J5SR7Qv/0 7/30

「いや、でも……。う~ん」

「今すぐ決めなくてもいいんじゃないかしら。後から戻ってきてもいいんだし」

「そうだな。他にも見てまわろうか」

「うん」

「ムギは何を贈るか決めてるの?」

「御父様は星にまつわるものが好きなの?」

「お星様?」

「ええ。だから雑貨屋さんがいいかなって」

「それなら路地を2つ跨いだところに、ちょっと渋めの雑貨屋さんがあったと思う」

「付き合ってもらってもいい?」

「うん」


19 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:12:07.47 J5SR7Qv/0 8/30

>ざっかや!

「ここは……」

「うん。入るのは初めてだけどすごいな……」

「古いものがいっぱいある!! あら、これは万年筆じゃない?」

「本当だ。しかも250円だって」

「ちゃんと使えるのかしら?」

「どうだろう?」

「あらあらあら、この亀さんかわいい」

「文鎮?」

「うん。ゾウ亀をかたどってるみたい。かわいいわ~」

「ふぅん。ムギはこういうの好きなんだ」

「ええ。でも今は御父様に贈るものを選ばなきゃ」

(あとでこっそり買っておこう…)


21 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:14:03.00 J5SR7Qv/0 9/30

「しばらく別々に見てまわらない?」

「うん。そうしよっか」


___

(あらあら、このガラス細工のペンギンさんかわいい!)

(うん。菫に贈ったら喜んでくれそう)

(いつも私を起こしてくれてる菫に、これを贈ってあげましょう)


(あら、こっちのノート、すごく丁寧な装丁だわ)

(斉藤に贈ったら喜んでくれるかしら……)

(うん、そうしましょう)


(あとは御父様に贈るものを……)


23 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:17:39.33 J5SR7Qv/0 10/30

___

「……」ジー

「……」ジー

「……」ジー

「わっ!」

「うわああああぁぁぁぁぁ! ってムギか」

「うん」ニコッ

「ムギは決まったの?」

「うん。この木彫のメガネケースにしようかなって」

「メガネケースなんだ? すごく装飾が凝ってるけど」

「ええ、夏の星空が彫られてるの」

「本当だ。でも高いんじゃない?」

「1,300円だって」

「意外と安い……」


25 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:18:45.89 J5SR7Qv/0 11/30

「澪ちゃんは何を見てたの?」

「あぁ、これを見てたんだ」

「変わったぬいぐるみね」

「アノマロカリスって言うんだ。カンブリア紀の生物なんだけど」

「好きなんだ?」

「うん。この角の部分に進化のロマンがつまってるんだ」

「ふぅん」

「残念だけど、パパに贈ってあげられそうなものは見つからなかったよ」

「じゃあ私はこのメガネケース買ってくるね」

「あぁ、ここで待ってるよ」

(もう亀の文鎮は買ったし)


26 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:20:38.22 J5SR7Qv/0 12/30

___

「おまたせー」

「おかえり」

「御父様喜んでくれるかしら?」

「きっと喜んでくれるよ」

「そうだといいわー。澪ちゃんはどうする? 他の店に行く」

「それなんだけど、やっぱりあの万年筆にしようかなって」

「5,200円の?」

「5,200円の」

「それじゃあ文房具屋さんに戻りましょうか」

「うん」


28 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:22:41.37 J5SR7Qv/0 13/30

>かいもののあと!

「これでよし、っと」

「ふふふ。きっと澪ちゃんの御父様は喜んでくれるわ」

「そうじゃないと困るよ」

「高かったもんね」

「うん……お小遣いなくなっちゃったな」

「澪ちゃんバイトはしてないんだっけ」

「うん」

「そういえばあの店の店長さんが澪ちゃんにまたバイトして欲しいって言ってたよ」

「あの店って、私が文化祭の特訓した店?」

「うん」

「でも一人でメイド服着るのは恥ずかしいよ」


29 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:23:35.96 J5SR7Qv/0 14/30

「澪ちゃんが働くなら私も働いちゃうわ」

「いいの?」

「うん。澪ちゃんのメイド服姿も見たいし」

「それじゃあ頼んじゃおうかな」

「あら、本当に?」

「冗談だった?」

「ううん。そんなことないよ。今度店長さんに話しておくから」

「お願いするよ」

「うん!」

「あっ、ムギ」

「なぁに?」

「帰る前にちょっと公園に寄りたいんだけど、いいかな」

「ええ、いいわ」


31 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:25:56.16 J5SR7Qv/0 15/30

>ゆうぐれのこうえん!

「夕日が綺麗ねぇ」

「あぁ、綺麗だ」

「夕日を見に来たの?」

「それもあるけど……これ」

「なぁに?」

「開けてみてくれないか」

「……これはゾウ亀さんの文鎮?」

「うん」

「でも、どうして……」

「いつもムギは私達にお茶をいれてくれてるだろ」

「その感謝の気持ちを少しでもあらわしたくて」

「澪ちゃん…うれしい」

「喜んでくれてよかったよ」


32 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:27:11.71 J5SR7Qv/0 16/30

「澪ちゃん大好き」ムギュ

「ムギぃ……」

「ありがとう澪ちゃん。お礼と言ってはなんだけど、私の家で夕食でも食べていかない?」

「夕食?」

「うん。たまにはいいでしょ」

「うん。まぁいっか。じゃあママにメールしておくよ」

「私も家に電話するわ」ピポパ

「……今日は夜ご飯いらない、っと」ポチポチ

『斉藤? すぐ来て』

「えっ?」

ギュウウウウウウウン!!

斉藤「お乗りください、御嬢様、ご学友の方」

「えっ」

「乗って、澪ちゃん」

「えっえっ」


34 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:29:57.51 J5SR7Qv/0 17/30

>くるまのなか!

(いきなりあらわれた黒塗りの車に乗ってしまった)

(運転してるのはムギの家の人なのかな? まさか執事さん?)

(うぅー。なんだか恥ずかしくて聞けない)

___

斉藤「つきましたよ」

「斉藤、ありがとう」

「あれ、ここは……」

「あっ、きたきた」

「遅かったな」

「唯! 律!? なんでここに……ってここ唯の家だよな?」

「そうですよ」


36 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:33:31.38 J5SR7Qv/0 18/30

「梓まで…。どういうことだ、ムギ?」

「入ればわかるわ。いきましょう」

「う、うん」

「ふふふ」

「な、なにがあるんだ……?」

「さっ、澪ちゃん、ムギちゃん入って入って」

「…」

「…」

「凄い料理だ……」


37 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:34:34.55 J5SR7Qv/0 19/30

「今日はね、ムギちゃんと澪ちゃんに日頃の感謝込めてパーティをすることにしたんだ」

「ムギはわかるけど、なんで私まで?」

「それはな。澪がいつもみんなを引っ張ってくれてるからだ」

「はいです。澪先輩がいなかったら、文化祭だって絶対成功しなかったと思います」

「それにさ。HTTとしても澪とムギには作詞作曲でお世話になってるから」

「みんな……」

「本当はサプライズパーティーにしたかったんだけど、勘のいいムギちゃんには気づかれちゃうだろうから」

「ムギ先輩には協力してもらうことにしたんです」

「そうなの。黙っててごめんね」

「ムギ…」

「あっ、今憂が和ちゃんを呼びにいってるんだ」

「和を?」

「あぁ、主に私と唯が世話になりまくってるからな……」

「そうねぇ。りっちゃんのせいで和ちゃんの仕事が少し増えてるだろうし」

「はははは。まぁ、そういうこと」


39 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:36:38.62 J5SR7Qv/0 20/30

___

(憂ちゃんと律が作った料理を囲んで、みんなでパーティーを楽しんだ)

(感謝を示したいだなんて唯と律は言ってたけど、きっと騒ぎたかっただけだ)

(それでも、私はすごく嬉しかったし、ムギも同じだったみたいだ)

(みんなからプレゼントを贈られたムギはちょっと涙ぐんでいた)

(それは私も同じで、嬉しくてちょっと泣きそうになった)

(……冷やかされるのが嫌だったから我慢したけど)

(それから唯ちゃんが憂ちゃんにプレゼントを贈ったり)

(唯と律と憂ちゃんが和にプレゼントを贈ったり)

(楽しいひとときを過ごした)

(それから――)


41 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:38:33.20 J5SR7Qv/0 21/30

>くるまのなか!

「ねぇ、ちょっと寄り道していいかしら」

(私たちはムギの家の人の車で送ってもらっていた)

(律と梓が降りた後、ムギが寄り道したいと言った)

「もう暗いよ」

「ちょっとだけだから、ね」

「それならいっか…」

「ありがとう澪ちゃん」

「あぁ」

「斉藤、さっきの公園に寄ってもらってもいいかしら」

斉藤「かしこまりました」


42 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:41:43.15 J5SR7Qv/0 22/30

>よるのこうえん!

「澪ちゃんにね、これを渡したかったんだ」

「あけてもいいの?」

「うん」

「これは……」

「アノマロカリスのぬいぐるみ。澪ちゃんが欲しそうにしてたから」

「でも、もらえないよ……」

「どうして?」

「だって、私は明らかに感謝しなきゃいけない側だし」

「そんなことないよ」

「あるって」


44 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:43:26.03 J5SR7Qv/0 23/30

「どうして?」

「ムギにはお世話になりっぱなしなんだ」

「いつもお茶をいれてもらってるだけじゃない」

「お菓子をもってきてもらったり」

「別荘貸してもらったり」

「私のこと慰めてくれたり……」

「とにかく、いつも感謝してるんだ」

「澪ちゃん…」

「だから気持ちは嬉しいけど……」


45 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:45:05.68 J5SR7Qv/0 24/30

「澪ちゃん、ありがとう……」

「私がどれだけ感謝してるかわかってくれた?」

「うん。でも澪ちゃんもわかってないよ」

「な、なんだ」

「私だって、澪ちゃんには本当にすごく感謝してるんだよ」

「どうして?」

「澪ちゃんがいなくて、唯ちゃんとりっちゃんと私がノリだけで行動したらどうなると思う?」

「それは……困ったことになるかな」

「うん。澪ちゃんがいなかったら、私が澪ちゃんみたいに立ち回らないといけないと思うの」

「まぁ、そうか…」


47 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:46:12.08 J5SR7Qv/0 25/30

「そうしなくていいのは全部澪ちゃんのおかげ」

「澪ちゃんがいるから私はやりたいことをやれるんだよ」

「……」

「高校に入ってから本当に楽しいんだ」

「それは澪ちゃんがいてくれるから」

「澪ちゃんがいなかったら、きっとこんなに楽しい日々は送れなかったと思う」

「だからね」

「澪ちゃんにはどれだけ感謝してもしきれないぐらい」

「本当に、本当に、ありがとうって思ってるの」


48 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:46:51.33 J5SR7Qv/0 26/30

「……ムギ」

「それにね……」

「ん?」

「や、やっぱり言わないでおく。これは関係ないことだから」

「そう言われると余計気になるよ」

「ひみつだから」

「お、教えてよ」

「やーだっ」

「そんなこと言うと、こうだぞ」ムギュ

「み、澪ちゃん//」

「話してくれるまで離さないから」

「澪ちゃん……困るよ」


49 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:48:05.91 J5SR7Qv/0 27/30

(正直、ムギがこれほど私に感謝しているなんて意外だった)

(アノマロカリスが海老の仲間であることと同じぐらい意外だった)

(だからかな……)

(ムギが考えてることを全部知りたいと思ってしまったんだ)

(強引に誰かに抱きついたのはこれが初めてだと思う)

(ムギに泣きつくことは沢山あったけど)


50 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:49:36.69 J5SR7Qv/0 28/30

(それから私たちは星空の下でじゃれ合った)

(肌寒い夜だったけど、ムギに抱きついてたおかげであったかだった)

(10分だったか20分だったかすると、ようやくムギが降参した)

(ムギは……きっと茹で上がった海老みたいに真っ赤な顔をしていたんだと思う)

(暗くてよくわからなかったけど……)

(ムギはあの夜、茹で上がったアノマロカリスみたいな顔をして、こう言ったんだ)


「澪ちゃん。私――――」


53 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:50:43.01 J5SR7Qv/0 29/30

>ばいとさき!

「いらっしゃいませー、って、え?」

「あそびにきたよー」

「澪先輩がメイド服を着ていると聞いて」

「みんな遊びにきてくれたのね」

「おう」

「やっぱり澪先輩にはメイド服が似合いますねぇ」

「ムギちゃんも似合ってるよー」

「そ、そうか?」

「あらあら、嬉しいわ。それでご注文は――」


54 : 以下、名... - 2012/11/23(金) 20:51:35.74 J5SR7Qv/0 30/30

>きゃくせき!

「なぁ、唯。あの二人」

「うん。手を繋いでたね」

「ちょっと意外だな」

「そうだねぇ」

「私はそれほど意外だと思いませんけど」


おしまいっ!


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