――部室
侑「はぁ~~」
かすみ「どうしたんですか?ため息ついて」
侑「あー、いや、ちょっとね」
かすみ「何か悩み事ですか?」
侑「うん。まあ、そんな感じ」
かすみ「かすみんで良ければ相談に乗りますよ?」
侑「ほんと?」
かすみ「かすみんに任せてください!」
侑「うーん、でもなあ」
かすみ「侑先輩?」
侑「んー、言っていいのかな……」
かすみ「ああ、話せないなら別にいいですよ」
侑「そういうわけじゃないんだよ。ただ……」
かすみ「ただ?」
侑「……」
侑「誰にも言わないって約束してくれる?」
かすみ「誰にも、ですか。言いふらしたりはしないですよ」
侑「それなら相談に乗ってもらおうかな」
かすみ「どーんと来てください!」
侑「実は歩夢のことで悩みがあってね」
かすみ「歩夢先輩?喧嘩でもしたんですか?」
かすみ「珍しいですね。仲良い2人が喧嘩なんて」
侑「いやいや、喧嘩じゃないよ」
かすみ「違うんですか?」
侑「喧嘩なんてしないよ。口喧嘩ならともかく、手が出る喧嘩なんて一方的にやられるだけだもん」
侑「歩夢はちょっと煽っただけですぐ手が出るんだよ」
かすみ「あ、煽る?」
侑「この前も、歩夢に太ったねって笑いながらお腹をぷにぷにしたら大変だったんだから」
かすみ「女の子に体重の話はNGですし、それに加えてお腹をぷにぷにするって侑先輩が全面的に悪いんじゃ」
侑「んんっ。今はそんなことどうでもいいんだよ」
かすみ「それなら話さなきゃいいのに……」
侑「あはは」
かすみ「それで、悩みというのは?」
侑「ああ。最近歩夢が重くてさ」
かすみ「さっきと同じ話じゃないですか!」
侑「いや、そっちの重いじゃなくて」
かすみ「他に重いってあります?」
侑「体重じゃなくて、性格の方」
かすみ「あー……」
侑「わかるでしょ?」
かすみ「歩夢先輩は……まあ、そうですね」
かすみ「少し、その、重い……のかもしれませんね」
かすみ「でも、それは歩夢先輩が侑先輩のことを大切に思ってるからじゃないんですか?」
侑「だといいんだけど、最近は本当に重くて……」
かすみ「そうですか?いつもと変わらないような」
かすみ「昨日も普通でしたよ?」
かすみ「侑先輩が他の人と話してるときに、その様子をただじっと無言で見つめてたり」
かすみ「侑先輩が他の人と手が触れたりすると、聞こえるように舌打ちしたり」
かすみ「侑先輩が他の人と密着すると、鬼のような形相で近づいてきたり」
かすみ「侑先輩が他の人と――」
侑「もういいよ、かすみちゃん」
かすみ「あ、はい」
かすみ「まあ、昨日も普段通りでしたね」
侑「普通ってなんだろうね」
かすみ「かすみんに聞かれても困ります」
かすみ「……何が怖いって、何もしてこないんですよね」
かすみ「ただ見てるだけ。じっと見てるだけ」
かすみ「近づいてきても、ただ見てるだけだし」
侑「もういいってば」
かすみ「あ、はい」
侑「何の話してたっけ?歩夢が怖いって話?」
かすみ「最近歩夢先輩が重いって話です」
侑「あー」
侑「そうそう。最近の歩夢は本当に重いんだよ」
かすみ「同好会では普通ですし、2人きりのときですか?」
侑「そうなんだよね。本当に困っててさ」
かすみ「聞きたいような、聞きたくないような」
侑「相談に乗ってくれるんでしょ?」
かすみ「気軽に相談に乗るって言って後悔してます」
侑「あはは」
かすみ「どう重いんですか?」
侑「んーとね」
侑「最近なんだけどね、朝起きたら歩夢がいるんだよ」
かすみ「起こしに来てくれるってことですか?」
侑「いや、フローリングに布団敷いて寝てた」
かすみ「一緒には寝ないんですね」
侑「私はソファーベッドだからさ。2人だと狭くて寝れないんだよ。歩夢と一緒だと特にね」
かすみ「歩夢先輩に言ったらボコボコにされますよ」
侑「絶対言わないよ」
侑「それで、私の部屋で寝てるんだよ」
かすみ「侑先輩のお母さんに入れてもらったんじゃ?」
侑「窓が割られてた」
かすみ「え?」
侑「ガムテープを貼ってから窓ガラスが割られてた。全然音しないんだね、あれって。気づかなかったもん」
かすみ「えっと、窓ガラスを?本当に?」
侑「ハンマーで割ったって言ってた」
かすみ「手慣れた強盗じゃないですか」
侑「1回だけならいいけど、もう10回以上やられてる」
かすみ「手慣れた強盗じゃないですか」
かすみ「というか、なんでそんなことするんですか?」
侑「合鍵持ってないからって」
かすみ「合鍵持ってないから窓ガラスを割って侵入って、やばくないですか。どこがとは言いませんが」
侑「合鍵渡したら割らなくなったけどね」
かすみ「それでも割り続けたらサイコパスですよ」
侑「あはは」
かすみ「侑先輩も大変ですね」
かすみ「ちなみに修理代は誰が?」
侑「もちろん歩夢だよ」
かすみ「結構お金かかりますよね?」
侑「10回以上割ったらそうだろうね」
かすみ「素直に合鍵が欲しいって言えばいいのに」
侑「恥ずかしいって言ってた」
かすみ「窓ガラスを自分の意思で割るのは人間として恥ずかしいと思いますけどね」
侑「歩夢に伝えとくね」
かすみ「それはずるいですよ!!」
侑「あはは、冗談冗談♪」
かすみ「心臓止まりそうになるのでやめてください……」
侑「気をつけるよ」
かすみ「でも、合鍵渡したならもう解決では?」
侑「合鍵渡してからが更に酷くなったんだよ」
かすみ「というと?」
侑「好きな時間に入ってくるようになった」
かすみ「寝てるときに入ってくるんですよね?」
侑「これまではね。合鍵渡してからお構いなしだよ」
侑「私の家って両親2人とも仕事から帰ってくるのが遅くてね、普段は日中は誰もいないんだよ」
侑「平日は学校だから安心だけど、休日で出かけてるときとか、帰ってきたら家にいるんだもん」
侑「帰ってきたら料理作っててさ、私を見たら「おかえりなさい」って笑顔で迎えてくるの」
侑「歩夢は私の好きなものをたくさん作ってくれるし、歩夢の料理は本当においしいんだよね」
侑「お風呂も沸かしてくれてるし。あ、一緒に入ろうって誘ってもいつも断られてるけどね」
かすみ「ノロケなら帰りますよ」
侑「ノロケじゃないよ」
かすみ「はあ、そうですか」
侑「私がお風呂に入ってるときに、私の下着の匂いを嗅いだりしてるんだよね」
かすみ「下着の匂いを?」
侑「たまたま鉢合わせちゃってさ。びっくりしたよ」
かすみ「誰でもびっくりすると思います」
侑「私の下着の匂いを嗅ぎながら、自分の下着の中に手を入れて何かやってたけど、あれ何だったんだろう?」
かすみ「侑先輩の下着に興奮したんじゃないですか?」
侑「興奮したらそんなことするの?」
かすみ「侑先輩は自分でしないんですか?」
侑「なにを?」
かすみ「あー」
侑「え、「あー」ってなに?」
かすみ「いえ、なんでもないです」
侑「気になるんだけど」
かすみ「気になるなら、歩夢先輩に下着を見せながら「1人でする方法教えて!」って言えばいいと思います」
かすみ「歩夢先輩なら手取り足取り教えてくれますよ」
侑「そうなんだ。今度聞いてみるよ」
かすみ「ふふっ」
侑「ん?」
かすみ「いえ。ところで、今日歩夢先輩は?」
侑「今日は用事があるから休みだって」
かすみ「なるほど。歩夢先輩に聞かれたら大変ですからね~」
侑「私達無事じゃ済まないかもね」
侑・かすみ「あははっ」
侑「あとは私の私物が頻繁に無くなったりするんだけど、聞きたい?」
かすみ「聞きたくないです」
侑「そっか。それで、次の話なんだけどね」
かすみ「まだあるんですか?」
侑「あるよー」
かすみ「もうお腹いっぱいです~」
侑「このLINEを見てくれる?」スッ
かすみ「聞いてくださいよぉ!」
侑「相談に乗ってくれるんだよね?」
かすみ「はぁ……」
かすみ「侑先輩、LINE見ちゃっていいんですか?」
侑「うん。私は変な会話してないしね」
かすみ「“私は”っていうのが気になりますけど……」
侑「まあまあ」
かすみ「では、見せてもらいますね?」
侑「はーい」
かすみ「えーと……」スッスッ
歩夢:侑ちゃん
侑:んー?
歩夢:勉強頑張ってるね~
侑:どうして知ってるの?
歩夢:数学難しくなってきたもんね
歩夢:私も結構苦戦してるよ
侑:どうして知ってるの?
歩夢:服も少し薄着じゃない?
歩夢:今日は肌寒いみたいだから、気をつけてね
侑:どうして知ってるの?
歩夢:私も夜食食べようかな
歩夢:侑ちゃんみたいにおにぎりはやめとくけど
歩夢:軽くビスケットでも食べるね
侑:どうして知ってるの?
侑「これ、どう思う?」
かすみ「同じ部屋で勉強してるんですよね?」
侑「同じ部屋にいるのにLINEすると思う?」
かすみ「ですよね」
侑「監視されてるみたいで怖いよ」
かすみ「カメラとか仕掛けてたりして」
侑「私もそう思って部屋中探したんだけど、見つからなかったんだよね」
かすみ「なら偶然では?」
侑「でも、ここまで正確に私の行動当てられてるし」
かすみ「ベランダから見てたりしません?」
侑「真っ先に確認したよ」
侑「そしたらね」スッスッ
歩夢:今日はベランダに出るのやめた方がいいよ
歩夢:風邪ひくかもしれないからね
歩夢:でも、風邪ひいたら私が看病してあげる♡
歩夢:おかゆを口移しで食べさせてあげるね♡
かすみ「怖すぎないですか」
侑「ベランダを確認した10秒後くらいだよ」
侑「このLINEが届いたのは」
かすみ「な、なるほど」
かすみ「やはりカメラが……?」
侑「うーん。部屋には仕掛けてなかったんだけどなー」
かすみ「ちゃんと探したんですか?」
侑「隅から隅まで探したよ。でも見つからなくてさ」
かすみ「超小型カメラの可能性も」
侑「なにそれ?」
かすみ「名前の通り、凄く小さなのカメラですよ。確か小さいのだと15mmだとか」
侑「そんなの見つけられるわけないじゃん!」
かすみ「ですねー。超小型カメラだと見つけるのはかなり困難だと思います」
侑「今度私の家に来てよ。探すの一緒に手伝って」
かすみ「嫌ですよ」
侑「ひどくない?」
かすみ「だって、歩夢先輩にバレたら大変ですもん。侑先輩と2人きりって知られたらかすみん終わりですよ」
かすみ「かすみん、まだ死にたくないです」
侑「さすがの歩夢も友達に危害加えたりはしないよ」
かすみ「せつ菜先輩、この前1ヶ月くらい同好会を休んでましたよね」
侑「生徒会が忙しいって聞いたけど」
かすみ「かすみんもそう聞いてました。それで、たまたま廊下でばったり会ったんですよ」
侑「うん」
かすみ「手を怪我してました」
侑「ん?」
かすみ「指の骨を折ったそうです」
侑「え、そうなんだ。全然知らなかった」
かすみ「せつ菜先輩と連絡は?」
侑「最初の頃は頻繁に連絡取ってたけど、最近は全然かな。返事もしてくれないし」
侑「なんか未読スルーされてるっぽいんだよね」
かすみ「なるほど」
侑「それと怪我の件と何か関係が?」
かすみ「せつ菜先輩が怪我をした日、つまり、同好会を長期間休むことになった前日です」
かすみ「その日、せつ菜先輩は侑先輩とお出かけしましたよね?」
侑「うん。グループLINEに写真も載せたし、よく覚えてるよ」
侑「あの頃はまだ連絡取ってたんだけどね」
侑「休んでからはなんか素っ気なくなっちゃって」
侑「私、嫌われるようなことしちゃったのかな?」
かすみ「せつ菜先輩の怪我の原因って知ってますか?」
侑「骨折でしょ?んー、何だろ。よくわかんないや」
かすみ「転んでそのまま人差し指を折ったそうです」
侑「へー。そうなんだ」
かすみ「あの運動神経のいいせつ菜先輩が、転んだだけで骨折っておかしくないですか?」
侑「言われてみればたしかに」
かすみ「しかも人差し指のみですよ。転んだときに手で支えるにしても、人差し指のみって変ですよね」
かすみ「普通は手のひらで支えるはずです。指1本なんて無謀ですよ。漫画じゃないんですから」
侑「何が言いたいの?」
かすみ「怪我した日と、せつ菜先輩と侑先輩がお出かけした日は同じ日です」
侑「そうだね」
かすみ「話変わりますけど、歩夢先輩って嫉妬深いですよね」
侑「本当にいきなり変わったね」
かすみ「嫉妬深い歩夢先輩が、2人のお出かけを知ったらどう思いますか?」
侑「どう思うって、別にどうも思わないけど。その日は実際何もなかったし」
侑「あ、でも」
かすみ「でも?」
侑「その日は機嫌が良かった気がする。なんかゴミ掃除がうまくいったとか」
かすみ「ゴミ掃除……」
侑「ようやく邪魔なゴミが消えたとか言ってたっけ」
かすみ「そ、そうですか……」
侑「歩夢の部屋ってゴミを溜め込んでるイメージないんだけどね。いつも綺麗だし」
かすみ「は、はあ」
かすみ「何も知らないって幸せなんですね……」
侑「どういう意味?」
かすみ「んんっ。なんでもないです~」
侑「ふーん?」
かすみ「あ、えーと、LINEの続き見てもいいですか?」
侑「いいけど、さっきのカメラの件は?一緒に探してくれるよね?」
かすみ「探しませんよ。1人で探してください」
侑「かすみちゃんの薄情者!」
かすみ「何とでも言ってください。かすみんは自分の命が一番大切なんです」
侑「むー。帰ったらまた1人で探してみよっと」
かすみ「頑張ってくださいね~」
侑「1人で頑張るよ、1人で!」
かすみ「……」スッスッ
歩夢:侑ちゃん
歩夢:今日で恋人になってちょうど5年目だね
侑:そうだね
かすみ「ちょっと待ってください」
侑「何が言いたいのかはわかるよ」
かすみ「恋人って、お付き合いしてるんですか?」
侑「付き合ってないよ」
かすみ「え?」
侑「付き合ってるわけないじゃん」
かすみ「でも、このLINEでは5年目だって」
侑「知らないよ、私が聞きたいよ」
侑「告白した覚えもされた覚えもない」
かすみ「侑先輩も「そうだね」って言ってますよね」
侑「否定したら凄い怒られるんだよ」
侑「わざわざ私の部屋まで来るし、恋人だって認めるまで絶対に帰らないもん」
侑「それなら最初から認めた方が楽だしね」
かすみ「なるほど……」
かすみ「もう付き合えばいいんじゃないですか?」
かすみ「歩夢先輩なら一生尽くしてくれますよ」
かすみ「2人ならお似合いだと思いますし~」
侑「逆に聞くけど、かすみちゃんが私と同じ立場なら歩夢と付き合いたいと思う?」
かすみ「……」
侑「ほら、続き続き」
かすみ「はい」スッスッ
歩夢:記念日だしデートに行きたいね
侑:そうだね
歩夢:侑ちゃんはどこに行きたい?
歩夢:私はショッピングモールに行きたいな~
侑:そうだね
歩夢:欲しい洋服があってね
歩夢:侑ちゃんとお揃いで買いたいなって思ってるんだ~
侑:そうだね
歩夢:侑ちゃんもそう思う?
侑:そうだね
歩夢:えへへ、私達やっぱり気が合うね♡
歩夢:世界一のお似合いカップルだよね♡
侑:そうだね
歩夢:侑ちゃん大好き♡
歩夢:侑ちゃんも私のこと好き?
侑:そうだね
歩夢:わーい♡
歩夢:大好き~~♡♡
侑:そうだね
かすみ「真面目に返事してくださいよ」
かすみ「「そうだね」しか言ってないじゃないですか」
侑「そうだね」
かすみ「侑先輩?」
侑「冗談だよ」
かすみ「まったく……」
かすみ「歩夢先輩は何も言ってこないんですか?」
かすみ「こんな適当な返事だと怒りそうですけど」
侑「そうだねって同意してるから大丈夫だと思う」
かすみ「えぇ……」
侑「毎回真面目に返事してたら精神が持たなくなるよ」
かすみ「それは……」
かすみ「あ、デートは行ったんですか?」
侑「別にデートでもないんだけどね」
侑「歩夢、毎回腕を絡めてくるから面倒なんだよ」
侑「腕を絡める力が強すぎて振りほどけないし」
侑「歩きにくいし、通行人からチラチラ見られるし」
かすみ「ノロケですか?」
侑「ノロケじゃないよ」
かすみ「はあ」
かすみ「それで、お揃いの洋服というのは?」
侑「買ったよ。ピンクのフリフリのやつ」
かすみ「へー。ぜひ見てみたいです」
侑「歩夢に見せてもらいなよ」
かすみ「侑先輩は見せてくれないんですか?」
侑「私は……そういうの似合わないから」
かすみ「そうですか?普通に似合うと思いますけど」
侑「お世辞はいいよ」
かすみ「お世辞じゃないですよ。絶対似合いますって~」
侑「えー」
かすみ「今度見せてくださいね!」
侑「気が向いたらね」
かすみ「もう、侑先輩ってば~」
侑「あはは」
かすみ「デートって他に何したんですか?」
侑「んー、色々見て回ったり、一緒にご飯食べたくらいだよ。いつもとやってることはあまり変わらないかな」
かすみ「そうなんですね。いいなぁ。かすみん、デートとか憧れちゃいます」
侑「かすみちゃんはデートしたことないの?」
かすみ「ないですよ。恋人いない歴=年齢なので~」
侑「へー。ちょっと意外」
かすみ「意外、ですか?」
侑「かすみちゃんかわいいしね」
侑「結構モテそうだし、恋人くらいいると思ってた」
かすみ「恋人なんていませんよ~」
かすみ「かすみんの恋人はファンのみんなです!」
侑「そっか」
かすみ「はい♪」
かすみ「あ、スマホお返ししますね」
侑「え?まだあるけど」
かすみ「もういいですよ……」
侑「あと少しだから。というか、ここからが本番なんだよね」
かすみ「へ?」
かすみ「えっと、今までのは?」
侑「別に普通の内容だよ。前座的な」
かすみ「これで前座って……」
かすみ「前座でもやばいのに、これよりも更に……?」
侑「どうかな。私もちょっと驚きを隠せないというか」
かすみ「帰っていいですか?」
侑「相談に乗ってくれたら帰っていいよ」
かすみ「勘弁してくださいよ……」
侑「お願いっ。1人では抱えきれなくて……」
侑「私もどうすればいいのかわからないんだよ……」
かすみ「うぅ~……」
かすみ「と、とりあえず読むだけですからね?」
侑「それだけでもいいよ。ありがとう」
かすみ「侑先輩の頼みだから仕方なくですよ?」
侑「うん♪」
かすみ「はぁ……」スッスッ
歩夢:侑ちゃん
侑:どうしたの?
歩夢:ねぇ、侑ちゃん、覚えてる?
歩夢:幼稚園の頃の話なんだけど
歩夢:覚えてる?
侑:何の話?
歩夢:覚えてないの?
侑:だから何の話?
歩夢:覚えてないんだ
侑:だから何の話?
歩夢:酷いよ、忘れるなんて
侑:だから何の話?
歩夢:忘れるなんて、侑ちゃんのばか
侑:だから何の話?
歩夢:私はずっと覚えてたのに
侑:だから何の話?
歩夢:このままじゃ埒が明かないね
歩夢:今からそっちに行くね
侑:思い出した
歩夢:本当に?
侑:うん
歩夢:じゃあ何の話か聞かせて
侑:私の口からはちょっと
侑:歩夢が言ってよ。私だと恥ずかしいから
歩夢:えー
侑:おねがい
歩夢:侑ちゃんがそこまで言うなら
侑:ありがとう
歩夢:幼稚園の頃、私と約束したよね
侑:うんうん
歩夢:大人になったら私と結婚してくれるって
侑:ん?
歩夢:侑ちゃん?
侑:ごめん、続けて
歩夢:うん
歩夢:私ね、侑ちゃんにプロポーズされて、本当に嬉しかったんだよ
かすみ「結婚の約束したんですか?」
侑「するわけないじゃん」
かすみ「でも、歩夢先輩はこう言ってますけど」
侑「絶対に言ってない」
かすみ「よく言いきれますね。幼稚園の頃ですし、侑先輩が覚えてないだけでは?」
侑「その頃はまだ歩夢とは友達じゃなかったもん」
かすみ「え?」
侑「歩夢と友達になったのは小学生から」
かすみ「じゃあ、この幼稚園の頃の約束は?」
侑「知らないよ、私が聞きたいよ」
侑「歩夢の妄想じゃないの」
かすみ「自分の妄想に他人を巻き込むって怖すぎじゃないですか」
侑「あ、でもね」
かすみ「はい」
侑「幼稚園は同じだったんだよ」
かすみ「え、そうなんですか」
侑「うん。一度しか遊んだことなかったけどね」
侑「それ以外は話したこともなかったと思う」
かすみ「一度遊んだときに結婚の約束をしたのでは?」
侑「砂遊びしながら結婚しようって言うと思うの?」
かすみ「子供ならわかりませんよ」
侑「うーん」
侑「絶対言ってないよ。ただ、一度遊んだときにちょっと変な子だなって思ったような」
かすみ「変な子?」
侑「あまり覚えてないけどね」
侑「この子変だなーとは思った気がする」
侑「私を見る目がどこかおかしかったような気がするし、体もいっぱい触ってきたような気もする」
侑「だからもう遊ばなくなったのかも」
かすみ「気がするばかりですね」
侑「そんな昔のことなんて鮮明に覚えてないよ」
かすみ「まあ、そうですけど」
かすみ「それでよく友達になりましたね」
侑「んー」
かすみ「侑先輩?」
侑「正直に言うとね、いつ友達になったか覚えてない」
かすみ「そうなんですか?」
侑「気づいたら私の隣にいたんだもん」
かすみ「気づいたら?」
侑「うん。休み時間のときに、クラスが違うのに隣にいたし、お手洗いに行くときも毎回ついてきてたし」
侑「私が友達と遊んでるときも、誘ってないのに隣にいたし」
侑「いつの間にか隣にいたんだよ」
かすみ「なんとも思わなかったんですか?」
侑「あの頃はなんとも思わなかったな」
侑「子供はそういうの気にしないでしょ?」
かすみ「たしかに」
侑「今考えるとおかしいなって思うけどね」
かすみ「その頃から侑先輩が好きだったのかもしれませんね」
侑「あはは、モテるってつらいなぁ」
かすみ「よかったですね」
侑「本当につらい」
かすみ「……さて、続きを読みますかね~」
侑「聞いてよ」
かすみ「……」スッスッ
歩夢:プロポーズしてくれた日のこと、今でも覚えてる
歩夢:これまで侑ちゃんとは10年以上一緒にいたけど
歩夢:プロポーズされたときが一番嬉しかったかな
侑:そうなんだ
歩夢:うん♡
歩夢:「好きだよ、歩夢」
歩夢:「大人になったら結婚しよう」
歩夢:って言ってくれたよね。嬉しかったな~♡
歩夢:今でも夢に見るもん♡
侑:そうなんだ
歩夢:うん♡♡
かすみ「最近の子供は進んでますね~」
かすみ「幼稚園の頃にもうこんなセリフを言うなんて」
かすみ「それで、言ったんですか?」
侑「言うわけないでしょ」
かすみ「これも歩夢先輩の妄想ですか?」
侑「妄想以外に何があるって言うの?」
かすみ「侑先輩が砂遊びしながら言ったかもしれませんよ」
侑「初めて遊ぶ子にプロポーズするとか頭おかしいでしょ」
かすみ「それは侑先輩の頭がおかしいってことですか?」
かすみ「それとも歩夢先輩の頭がおかしいってことですか?」
侑「後者だよ」
かすみ「歩夢先輩に伝えておきますね」
侑「言ってみなよ。かすみちゃんが歩夢の悪口言ってたって有ること無いこと吹き込むから覚悟してよね」
かすみ「侑先輩、かすみん達は仲間じゃないですか」
かすみ「仲間同士で喧嘩するのはやめましょうよ」
侑「そうだね。私達で争ってる場合じゃないよね」
かすみ「ですです♪」スッスッ
歩夢:私ね、妊娠したかも
侑:え?
かすみ「え?」
かすみ「え、ちょ、侑先輩?」
かすみ「妊娠って、えっと、孕ませちゃったんですか?」
侑「やめてよ」
侑「女同士で子供作れるわけないじゃん」
かすみ「子供の作り方は知ってるんですね」
侑「当たり前でしょ。何歳だと思ってるの?」
かすみ「あはは」
かすみ「歩夢先輩はこう言ってますけど」
侑「そうだね」
かすみ「ま、まさか他の男と?」
侑「想像妊娠って言葉知ってる?」
かすみ「あー」
侑「大変だったよ。産婦人科に一緒に行ったし」
侑「正確には無理矢理引っ張られて行ったんだけどね」
侑「歩夢は真剣な顔だったし、待ってる間に子供の名前考えてたし」
侑「想像妊娠ってわかったときの歩夢の顔、悲しそうだったなぁ」
かすみ「妊娠してたら大騒ぎですよ」
侑「まあね」
かすみ「侑先輩も大変ですね」
侑「あはは」
かすみ「よく笑えますね」
侑「笑わないとやってられないよ」
かすみ「なんとなくわかります」
侑「簡単な気持ちでわかるって言わないでほしい」
かすみ「ご、ごめんなさい」
侑「いや、私の方こそごめん。かすみちゃんは悪くないのに」
かすみ「いえ、そんな」
かすみ「軽率でした。次から気をつけます」
侑「あ、うん」
かすみ「あの、スマホ……」
侑「あと少しだから」
かすみ「さっきも言いましたよね?」
侑「次で終わりだよ」
かすみ「お腹いっぱいで吐きそうです」
侑「頑張って」
かすみ「先輩じゃなかったら蹴飛ばしてますよ」
侑「怖いこと言わないでよ」
かすみ「冗談です♪」
侑「今の絶対本気だった」
かすみ「ふふっ」
侑「……」
かすみ「本当に次で最後ですからね」スッスッ
侑「うんうん」
歩夢:侑ちゃん
歩夢:私達ももう17歳だね
侑:そうだね
歩夢:思えば色々なことがあったよね
歩夢:幼稚園の頃に初めて侑ちゃんと出会って
歩夢:それからずっと一緒だもんね
侑:そうだね
歩夢:幼稚園、小学校、中学校、高校
歩夢:侑ちゃんとずっと一緒だった
歩夢:これからもずっと一緒にいると思う
侑:そうだね
歩夢:大学も一緒で、お仕事も同じところに就きたいね
侑:それはちょっと
歩夢:え??
侑:間違えた
侑:そうだね、私もそう思う
歩夢:だよね♡
侑:うん
歩夢:私達は17歳になったんだよ
侑:さっきも聞いたよ
歩夢:私の言ったこと、覚えててくれたんだ。嬉しい♡
侑:そうだね
歩夢:結婚はいつする?
侑:え?
かすみ「え?」
かすみ「侑先輩、結婚するんですか?」
侑「私が結婚したいと思うの?」
かすみ「そうですよね」
かすみ「というか、同性婚ってできるんですか?」
侑「渋谷区と世田谷区で同性婚はできるらしい」
かすみ「ご結婚おめでとうございます♪」
侑「やめてよ」
かすみ「ふふっ」スッスッ
歩夢:結婚だよ、結婚♡
侑:結婚って
歩夢:17歳なんだし、もう結婚できるよね?
侑:結婚は18歳からだよ
歩夢:あれ?16歳からじゃなかった?
侑:最近18歳になったんだよ
歩夢:へー、そうなんだ
歩夢:侑ちゃん物知りだね♡
歩夢:さすが私の未来のお嫁さん♡♡
侑:あはは
かすみ「ここは「そうだね」じゃないんですね」
侑「かすみちゃんは自分から地雷を踏みに行くの?」
かすみ「まあ、そうですけど」
侑「ここでそんな言葉を使ったら終わりだよ」
侑「結婚するまで一生付きまとわれる」
侑「まだ17歳だし、結婚とか考えたことすらなかったのに」
かすみ「本当に18歳からになったんですか?」
侑「なったよ」
かすみ「侑先輩って意外と物知りなんですね」
侑「意外とは余計だよ」
かすみ「ふふ。さすが歩夢先輩のお嫁さん♪」
侑「次言ったら、その髪を左右揃えるからね」
かすみ「や、やめてくださいよ。この髪型はかすみんのお気に入りなんですから」
侑「なら言葉には気をつけることだね」
かすみ「むぅ」
侑「ほら」スッスッ
歩夢:18歳になったら結婚しようね♡
歩夢:高校卒業するのが楽しみだな~♡
侑:待って
歩夢:侑ちゃん?
侑:そんな簡単に決めるのはよくないと思う
侑:もっとよく話し合おう
侑:その方がきっと私達のためになる
歩夢:うーん
侑:親にも相談しないと
侑:歩夢もそれでいいよね?
歩夢:両親はもう同意してくれてるよ?
歩夢:もちろん侑ちゃんのお義母さんとお義父さんも
侑:え?
かすみ「え?」
かすみ「あの、これって」
侑「マジだった」
かすみ「え?」
侑「マジで私の両親も同意してた」
侑「結婚には賛成だって言われたよ」
かすみ「外堀を埋められてるじゃないですか」
かすみ「というか、よく賛成してくれましたね
」
かすみ「どんな魔法を使ったんですか?」
侑「そんなの私が知りたいよ」
かすみ「どうするんですか?」
侑「どうしたらいいと思う?」
かすみ「かすみんに聞かれても……」
かすみ「あっ」
侑「お?」
かすみ「外国ならともかく、日本でも同性婚できるなら、もう諦めるしかないのでは?」
侑「もっと真面目に考えてよ!」
かすみ「考えてますよ。もう無理でしょ」
侑「まあ、正確には同性婚じゃないんだけどね」
かすみ「そうなんですか?」
侑「同性パートナーシップらしい」
かすみ「同性婚とどう違うんですか?」
侑「名前だけだと思う。多分」
かすみ「結婚式には呼んでくださいね」
侑「かすみちゃん!」
かすみ「いや、だって、もう無理ですよ」
かすみ「両親の許可も取ってるし、あとは18歳になるのを待つしかないんじゃないですか?」
侑「どうしよう、助けてよ」
かすみ「ごめんなさい」
侑「かすみちゃん……」
かすみ「本当に、かすみんも力になれるならなりたいんですけど、さすがに遅すぎるというか」
侑「相談に乗ってくれるって言ったのに」
かすみ「相談には乗りましたよ。解決するとは一言も言ってません」
侑「……」
かすみ「まあ、その、歩夢先輩とならいい家庭を築けると思いますよ」
かすみ「かすみんも応援してますから」
侑「歩夢と結婚したくないよ。一生束縛される」
侑「18歳で結婚とか早すぎるでしょ」
かすみ「あと1年もありますから」
かすみ「その間、たくさん遊べばいいじゃないですか」
侑「他人事みたいに言ってくれるね」
かすみ「まあ、実際他人事ですし」
侑「ひどいよ」
かすみ「かすみんにどうしろって言うんですか?」
かすみ「そんなに嫌なら歩夢先輩に直接嫌だって言えばいいじゃないですか」
侑「かすみちゃんが私だったら嫌だって言えるの?」
かすみ「かすみんはかすみんですから……」
侑「うぅ……」
かすみ「そ、そんな泣きそうな顔しないでくださいよ」
侑「だって、私の将来お先真っ暗だもん」
侑「歩夢と結婚しても幸せになる未来が見えない」
かすみ「結婚したら幸せになるかもしれませんよ」
侑「結婚してからじゃ遅いんだよ」
かすみ「かすみんだとちょっと力になれそうにないので」
かすみ「せつ菜先輩にも相談に乗ってもらうのはどうでしょうか?」
侑「辞めたよ」
かすみ「は?」
侑「今日付けで同好会辞めるって」
かすみ「嘘ですよね?」
侑「渡すの忘れてたけど、はいこれ」カサッ
かすみ「退部届け……。え、本当に?」
侑「今日の昼休みにね、退部届け渡されたんだよ」
かすみ「引き止めなかったんですか?」
侑「引き止めたけど、もう限界だって」
侑「耐えられないって言われちゃった」
侑「あんな泣きそうな顔で言われたら受け取るしかないよ」
かすみ「あのせつ菜先輩が……」
かすみ「確かに昨日は歩夢先輩に集中砲火されてましたけど……」
かすみ「まさかせつ菜先輩まで辞めちゃうなんて……」
侑「これで5人になっちゃったね」
かすみ「あと1人辞めたら廃部になりますね」
かすみ「しかも、りな子と愛先輩は最近全然顔出さないし」
侑「最近見ないね。元気にしてるのかなぁ」
かすみ「さあ。たまに学園内では見かけますけど」
侑「そうなんだ。私は全然見かけないなー」
かすみ「避けられてるんですよ。侑先輩と話をするだけで歩夢先輩に何されるかわからないから」ボソボソ
侑「ん?」
かすみ「なんでもないです~」
侑「でさ、歩夢のことなんだけど」
かすみ「そ、その話はもうやめにしませんか」
侑「えー、助けてよー。歩夢と結婚したくないよー」
かすみ「もう諦めたら楽になりますよ」
侑「諦めたくない!」
かすみ「勘弁してくださいよ。もう無理ですって」
侑「かすみちゃん、何か方法ないの?」
かすみ「ないですよ……」
侑「もうかすみちゃんしか頼れる人がいないのに……」
かすみ「そんな顔されても困ります」
侑「うぅ~」
かすみ「もう本当に無理です……」
侑「かすみちゃ~ん……」
かすみ「結婚を逃れる方法を考えるよりも、歩夢先輩を好きになる方法を考えた方が早くないですか?」
侑「うーん」
かすみ「それかどこか遠くに逃げるとか」
侑「遠くってどこに?」
かすみ「それは侑先輩が考えることですよ」
侑「遠くに逃げても歩夢からは逃げられる気がしない」
かすみ「外国なら逃げきれるかもしれませんよ」
侑「歩夢なら絶対に追ってくる」
かすみ「愛されてますね~」
侑「重すぎるんだよ」
かすみ「かすみんもそう思います」
侑「はぁ~~」
かすみ「あの、今日はそろそろ帰りませんか?」
かすみ「もうすぐ下校時間になりますし」
侑「んー、そうだね。もうそんな時間か」
かすみ「時間経つのあっという間ですね」
侑「だねー。かすみちゃんと話すの楽しいし」
かすみ「ふふ、そう言ってもらえると嬉しいです」
侑「かすみちゃんが恋人ならよかったのになー」
かすみ「へ?」
侑「かすみちゃんはかわいいし、優しいし、面白いし、気遣いできるし、一緒にいると落ち着くし」
侑「かすみちゃんとなら喜んで結婚するのに」
かすみ「や、やめてくださいよ」
侑「あーあ、結婚するなら歩夢よりもかすみちゃんの方がよかったなー」
かすみ「も、もう。侑先輩ってば!」
かすみ「つまらないこと言ってないで帰りますよ!」
侑「私は結構本気だけどね」
かすみ「はいはい。早くしないと鍵閉めますからね」
侑「わかったよ」
かすみ「では、かすみんは退部届けを受理してくるので」
侑「あ、今日私の家に遊びに来ない?」
かすみ「い、行きませんよ!!」
侑「えー」
かすみ「かすみんこっちなので!!」
侑「また明日ね。バイバイ、かすみちゃん」
かすみ「まったく……」
かすみ(恋人だの結婚だの変なこと言って……)
かすみ(侑先輩には本当に呆れちゃうよ!)
かすみ(まあ、言われたときは嬉しかったけどさ)
かすみ(私も侑先輩のこと、好きだし)
かすみ(付き合えるなら付き合いたいよ)
かすみ(でも、侑先輩には――)ドンッ
かすみ「――え」フラッ
かすみ(誰かに背中を押され、え、まさか――)チラ
ゴロゴロゴロゴロ……
ドサッ
かすみ「ぁ……」
――虹ヶ咲学園
侑「……」
歩夢「侑ちゃーん!」
侑「あ、歩夢……」
歩夢「間に合ってよかった~」
侑「えっと、どうしたの?用事は?」
歩夢「用事はもう済んだよ。一緒に帰ろ♪」ギュッ
侑「う、うん」
歩夢「卒業したらやっと結婚できるね♡」
歩夢「再来年の春には高咲歩夢か~♡♡」ムギュ
侑「苗字変えられるんだっけ……」
歩夢「勝手に名乗るからいいよ~♡」ギュー
侑「あはは……」
歩夢「純白のウェディングドレスを着るのが夢なんだ~♡」
侑「それもう100回は聞いたから」
歩夢「えへへ。私が言った言葉、覚えててくれたんだね♡」
侑「そんなに聞いたら誰だって覚えると思うよ」
歩夢「そっかぁ♡」
歩夢「侑ちゃん大好き~♡♡」
侑「う、嬉しいなー」
歩夢「~♡♡」ムギュ-
歩夢「今日ね、いいことがあったんだよ♡」
侑「そうなの?」
歩夢「うん♡ようやくゴミ掃除が終わったの♡」
侑「ゴミ掃除……?」
歩夢「本当に邪魔で邪魔で仕方ない、粗大ゴミをね、ようやく処分できたんだ~♡♡」
おしまい
タイトルは「A Y U M U」