https://youtu.be/xmNuX4qXGYE
ツバサ「・・・じゃあ、今日はお疲れ!また来週ね」
あんじゅ「お疲れ様、私はこの後ジムに行かないと」
ツバサ「ストイックね・・・英玲奈は?」
英玲奈「私は真っ直ぐ家に帰るとするさ、丁度昼時だし、腹も・・・」
ツバサ「腹?」
英玲奈「ゴホン!・・・いや、薔薇が綺麗だと思ってな」
ツバあん「?」
英玲奈「いや何でもない、また来週な」スタスタ
ツバサ「あ、うんまた来週・・・」
あんじゅ「・・・薔薇?」
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スタスタ・・・
英玲奈「・・・ふう」
グループでは、クールで通っている私だ
トレーニングが終わったから腹が減ったなんて、軽々しく言えないんだよなぁ・・・
「英玲奈可愛い!」「英玲奈でもお腹が空くのね!」
とか言われそうだ・・・
英玲奈「・・・とりあえず」
英玲奈「腹が、減った」
ポン
ポン
ポーン・・・
英玲奈「・・・よし、店を探そう」
https://youtu.be/KbhxR-nFFuk
時間や社会に囚われず幸福に空腹を満たすとき、つかの間、彼女は自分勝手になり、自由になる。
誰にも邪魔されず、気を遣わずものを食べるという孤高の行為。
この行為こそが、現代人に平等に与えられた“最高の癒し”と言えるのであるーーー
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第一話
東京都 千代田区 秋葉原のチキンカツ定食
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スタスタ・・・
英玲奈「・・・」
この辺りの店は駄目だ、UTXに近いし、何より殆ど行ったことがある
少し、奥の方に行ってみるか・・・
スタスタ・・・
英玲奈「・・・ん?」
?「ふぁーあ・・・お腹空いたやんな・・・」
英玲奈「・・・東條?」
希「お?その声は・・・えれちやん!」
こんな所で、同業者の東條に会うとはな・・・
英玲奈「何してるんだ、東條」
希「んー・・・えれちと同じかな」
英玲奈「お前も、飯屋を探してる最中という事か」
希「せやで!大方、こんな奥まった所にいるってことは、どの店に入るか決まってないって事やんな?」
英玲奈「・・・お恥ずかしいがその通りだ」
英玲奈「東條だったら、どうする?」
希「うん!よくぞ聞いてくれました!」
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スタスタ・・・
「迷ったらすぐ携帯で調べるのはシロウト、あれはダメ」
「あのね、この奥をもう少し進んだ所に、飯処 小泉ってのがあるんや」
英玲奈「・・・ここか」
ー飯処 小泉ー
「そこの「日替りこいずみランチ 500円」!これっきゃないやん!」
英玲奈「・・・よしっ」ガラッ
花陽「あっ、いらっしゃいませ!」
英玲奈「一人、なんですが」
花陽「こちらの机にどうぞ、お冷をお持ちします」
英玲奈「ありがとうございます」
英玲奈「一応メニュー、と・・・」ペラッ
うんうん、どれも美味そうだ・・・ハンバーグ定食に、豚しゃぶ御膳・・・
どれもこれもが、私の空腹を逆撫でしてくる
どいつも食ってみたいが、私には腹に決めた君がいる
英玲奈「すいません」
花陽「はい、お決まりですか?」
英玲奈「この、日替りこいずみランチを」
花陽「かしこまりました!」
英玲奈「お願いします」
英玲奈「・・・ふう」ゴクッ
注文を済ませてしまうと、店内を見回すゆとりが出来た
小綺麗で、小さく、シンプルな定食屋
最近新しく出来たんだろうか、壁や床に傷一つ見当たらない
しかし、新品の壁に似つかわしくない、古ぼけた写真が目を惹き付ける
「ーー指せーラブーーブ優勝! 音ノーー学ー、μ'ーー」
店長の、昔の写真か・・・
「はなよ」と書かれた名札を付けた、恐らく学生の頃の、店長の写真
一人で忙しそうに料理を作る、「はなよ」の後ろ姿・・・
何だか、全てが懐かしく思える、不思議な店だ
学生の頃、こういう店によく来た様な・・・そんな錯覚に襲われる
このとろんとした感覚、昼下がりの陽気に、つい眠気が・・・
花陽「お待たせしました、こいずみランチです」コトッ
英玲奈「うおっ!」
いかんいかん、寝てしまう所だった・・・
花陽「本日は、チキンカツ定食でございます」
ーこいずみランチー
・チキンカツ
大き目な四切れのカツ 衣サクッと、中ふんわり
・赤ウインナー
付け合せの赤ウインナー ケチャップベースのソースが懐かしい
・謎のフライ
細長い、赤ウインナーくらいの小さなフライが2本
・ごはん
多過ぎず、しかし少な過ぎず、つや良くふっくら
・味噌汁
具はわかめと細切りの大根がぎっしり、これだけでも満足
英玲奈「・・・っ!」
おおお・・・これは見ただけで分かる、確実に美味い!
英玲奈「・・・」スッ
おもむろに割り箸を取り・・・
英玲奈「・・・頂きます」
まずは何もかけていない、チキンカツから・・・
英玲奈「あぐっ、さくっ」
・・・うぅん!サクサクだ!
揚げ時間の加減、チリバツ、良く分かっておられる
いやはや、ナイスです、はなよさん
英玲奈「さくさくっ・・・」
では、白米へ
英玲奈「もぐ、もぐっ」
・・・美味い・・・米に力を入れているのがすぐに分かる・・・
この米、チキンカツに合う合う!
英玲奈「あぐっ、もぐっ!」
付け合せの赤ウインナーが、いじらしいよなぁ
英玲奈「もぐもぐ・・・」
・・・そうそう、この味!懐かしい、子供の頃食べたお子様ランチの赤ウインナーと、おんなじ味だ・・・
英玲奈「ずずっ・・・」
味噌汁・・・ちょっとだけ薄いかな?でも、感じ感じ
このぎっしりの具に、米が止まらない!
英玲奈「ずずっ、もぐっ」
さて・・・ミステリアスな、謎のフライ君・・・君は一体なんなんだい?
英玲奈「・・・さくっ」
英玲奈「もぐもぐ・・・っ!!」
これは・・・カニカマだ!カニカマのフライだ!
なんてこった・・・君のせいで、米の兵力が不足確定だ・・・
英玲奈「・・・すいません、ご飯、おかわり出来ますか?」
花陽「あ、はいっ!勿論!」
ホカホカ・・・
おお・・・私の意を汲んで、少し多めに米をよそってくれた・・・!
・・・よしっ!
https://youtu.be/E0B_6I8cgX8
英玲奈「もぐっ!もぐもぐ」
チキンカツに、カラシは外せないよな
英玲奈「さくっ、ざくっ!」
さあソース君、君の出番
トローッ・・・
英玲奈「おっと・・・」
カニカマフライにかかってしまったが・・・
英玲奈「・・・さくっ」
・・・当たり前だ、合うに決まってる!
英玲奈「さくっ、もぐっもぐもぐっ」
米一粒一粒に甘みさえ感じる・・・いい米なんだろうな
英玲奈「ずずっ・・・あんぐっ」
英玲奈「さくっ、ざくざくっ!」
英玲奈「もぐもぐ・・・」
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英玲奈「ふう・・・」
英玲奈「ご馳走様でした」
美味い、とにかく美味いランチだった
あのボリュームでワンコインとは、恐れ入りやのチキン母神・・・
英玲奈「・・・」ペラッ
なんとなしに開いたメニューの、とある文字に惹かれ、つい口をついて出てしまった
英玲奈「すいません、白米スムージーを下さい」
花陽「はーい!」
白米の・・・スムージー・・・?
花陽「お待たせしました!特製白米スムージーです!」
英玲奈「ありがとうございます」
見た目は、スムージーのそれだが・・・
真っ白で、確かに米の香りがする
英玲奈「・・・ズズーっ・・・」
・・・成程、こう来たか・・・美味い
これ、今時の女子達にウケるんじゃないか?
白米スムージー片手に、インスタ映え、だったか?
・・・ふと、レジの横に小さな米の袋を見つけた
ー自家製!はなよ米ー
はなよさん・・・まさか自家製の米だったとは・・・
・・・ん?
ー壁にかけられた稲穂ー
ー米俵の、ぬいぐるみ?ー
・・・よくよく店を見ると、凄まじいお米推しだ
スクッ
英玲奈「・・・ご馳走様でした」
花陽「はい!ありがとうございます!」
英玲奈「えーと、620円です!」
英玲奈「・・・はい、丁度ありま・・・」
花陽「・・・ほえ?」
英玲奈「・・・あの」
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花陽「ありがとうございました!またいらして下さいね!」
英玲奈「ありがとうございます、ご馳走様でした」
スタスタ・・・
英玲奈「・・・」ガサッ
・・・はなよ米に、米俵ぬいぐるみ
ツバサやあんじゅ、東條に、いい土産が出来たな
ピッピッ・・・
プルルル・・・
https://youtu.be/oaxXHIReXLs
英玲奈「・・・やあ東條、今どこにいる?土産があるんだ」
英玲奈「ああ・・・いや、礼も兼ねてな」
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過去作もいくつか宜しければ
絵里「雨の日のコーヒー」
https://ayamevip.com/archives/57059559.html
穂乃果「第一次音ノ木坂抗争」
https://ayamevip.com/archives/57059562.html
絵里 「ゲームセンターに行きましょう!」 にこ 「拒否」 希 「話を聞こう」
https://ayamevip.com/archives/57062822.html
にこ 「絵里って」 希 「映画の影響」 ことり 「受け過ぎだよね」
https://ayamevip.com/archives/57062820.html
絵里 「真夜中に」 にこ 「愚痴を肴に」 希「姦しく」
https://ayamevip.com/archives/57064806.html
穂乃果&ツバサ「聖♡おねえさん」
https://ayamevip.com/archives/57064798.html
絵里「ノッキン・オン」 にこ「ヘブンズ・ドア」
https://ayamevip.com/archives/57064769.html
花陽「都市伝説!」 絵里「対決よ!」
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絵里「青き」 海未「サムライ」
https://ayamevip.com/archives/57078827.html