1 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 19:02:40.47 ZDnoSqKW 1/46

ザザーン・・・

船員「ミス・エリーチカ!嵐が来そうですぜ!」

絵里「私に言われたって知らないわよ!航海士に聞きなさいな」

船長「まあまあ、仲良くしてやってくれよ」

絵里「ふん、ただの警備係でしょうに」

船長「南北戦争から帰ってきた英雄様だろ?高い金払って雇ったかいがあったってもんーーー」バァン!

絵里「・・・あの時の事を思い出させないで」スチャッ

船長「へーへー・・・」

絵里「全く・・・」

航海士「た、大変だぁぁぁあ!!」

絵里「!?」

船長「何だってんだうるせぇな!!」

航海士「向こうからサイクロンだ!もう進路が変えられない!!」

ゴォォォォォォォ・・・!!

船長「はぁ!?積荷の香辛料どうしてくれんだテメェに弁償出来んのかぁ!?」

絵里「そんなこと言ってる場合!?自分の身を守りなさいよ!!」

絵里「総員船にしがみついて!離したらもれなく海の底までご案内よ!!」

航海士「直撃するぞおおおぉぉぉ!!!」

絵里「・・・っ!!」グッ

ドカァァァァァァァン・・・!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

元スレ
絵里「青き」 海未「サムライ」
http://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1563184960/

2 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 19:08:40.14 ZDnoSqKW 2/46

ザザーン・・・ザザーン・・・

ザワザワ・・・

「こいつは・・・南蛮人か?」

「生きてるのかな・・・?」

絵里「うっ・・・」

「生きてるぞ!!」

「助けてやれ!ことりさんの家に!」

「こっちです!早く!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

絵里「・・・うっ・・・」ムクッ

ことり「ふんふふーん♪」

絵里「・・・ここは・・・」

ことり「ぴぃっ!?」

絵里「・・・あー、『貴女が助けてくれたの?』」

ことり「あ、そっか・・・南蛮の人だから・・・」

ドタドタドタ

ダイヤ「ことりさん!?今の悲鳴はなんですの!?」バァン!

穂乃果「ことりちゃん大丈夫!?」バァン!

ことり「ぴぃっ!?」

絵里「・・・『騒がしいわね』」

『そう言わず、大丈夫ですか?』

絵里「!」

海未「・・・『南蛮のお人』」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

3 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 19:20:57.37 ZDnoSqKW 3/46

絵里「いたた・・・」

ことり「動かないで下さいっ」

海未「大事無さそうでなによりです」

絵里「助けてくれてありがとう、私はエリー、エリー・アヤセよ」

海未「私、園田海未と申します」

絵里「ありがとう、ウミ」

ことり「私はことり、おこととお呼びくださいっ!」

絵里「ミス・コトリね、ありがとう」

ことり「そしてこちらが私の旦那さん、高坂穂乃果殿です!」

穂乃果「いよっ!南蛮の人!苦しゅうないよ!」

絵里「元気な人ね・・・ホノカ」

海未「そしてこちらが2人の子の」

ダイヤ「ダイヤと申しますわ。以後お見知りおきを」

絵里「ダイヤ、良い名前ね・・・子供?」

海未「彼女は戦の孤児だったのです」

海未「何の縁か、戦場で私が拾い、子の出来ぬ2人が是非にと、育てています」

絵里「成程・・・」

絵里「所でここは・・・日本かしら」

海未「そうです」

絵里「貴女達は・・・サムライ?」

絵里「私が聞いた話じゃ・・・もう日本にサムライはいないって」

穂乃果「・・・」

海未「いえ、我々がいます」

海未「私達は、日の本最後の侍なのです」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

4 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 19:34:04.33 ZDnoSqKW 4/46

海未から聞いた話では、廃刀令により古来から続く侍達の系譜が消えかかっているということ

今の日本では、侍達に立場は無いらしい

海未「我々はそれに対抗する最後の砦なのです」

海未「すぐにでも、新政府との戦が始まるでしょう」

海未「我々には、散る覚悟があります」

絵里「・・・『あの時と同じじゃない』」ボソッ

海未「・・・『何とおっしゃいました?』」

絵里「『なんでもないわ』」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーー

ーーーー

ーーーーーー

ワーワー!

パァンパァン!

絵里「ちょっと!!ほんとにやる気!?彼らは・・・っ!」

「それが上官のお望みなんや!やらなウチらが死ぬんやで!」パァン!!

絵里「くっ・・・でもっ・・・!」

「ウチに続けぇぇ!!」

ウォォォォォ!!!!

絵里「・・・っ!!」シャキン! ズバッ!

「ギャアッ!」

パァン!!パァン!!

「ぐふっ!」 「うわぁっ!!」

絵里「・・・ごめん・・・っ!ごめんなさいっ・・・!」

ーーーーーー

ーーーー

ーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

6 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 19:38:10.05 ZDnoSqKW 5/46

・・・リ ・・・エリ

海未「エリ?」

絵里「うわっと、ごめんなさい、上の空だったわ」

海未「そうでしたか、まだ傷も癒えてはおりません、ゆっくりお休み下さい」

絵里「ありがとう」

海未「ことり達、後は頼みましたよ」

ことり「はい、海未さん」

穂乃果「南蛮の人!一緒にお酒飲まない?」

ダイヤ「けが人なんですわよ」

海未「ふふ・・・」

ガラッ

ピシャッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー翌日ー

穂乃果「ふぁ~あ・・・良い天気だな・・・」ガラッ

穂乃果「あれっ、エリさん!おはよう!」

絵里「おはよう、良い朝ね」グッグッ

穂乃果「体は大丈夫?」

絵里「ええ、いつでも出れるわ」

穂乃果「えぇーっ!もっといてよぉ!」

絵里「そんなお世話になれないわよ・・・」

穂乃果「別にいいのにぃ・・・」

絵里「ふふ・・・」

絵里「・・・ねぇ、あなた達」

穂乃果「ん?」

絵里「本当に、国を相手に戦うの?勝ち目が無くても?」

穂乃果「・・・戦うよ」

7 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 19:44:00.92 ZDnoSqKW 6/46

絵里「どうして・・・?」

穂乃果「どうしても何も、穂乃果達は侍なんだ」

穂乃果「私たちの象徴を、意味も無く奪おうとする奴らを、許す訳には行かないよ」チャキッ

絵里「・・・ただの剣じゃない」

穂乃果「違うよ、これは魂なんだ」

穂乃果「私達を私達たらしめる、ただ一つの物」

穂乃果「南蛮の人には、分からないかな・・・」

絵里「・・・助けてくれた事には、感謝してもしきれないわ」

絵里「でも、そういう考えだけはどうしても分からない」

絵里「勝ち目のない戦いで、力ある物に踏み潰されて行くだけ・・・」

絵里(私はかつて、そちら側だったから・・・)

穂乃果「それでも戦う」

絵里「・・・!」

穂乃果「それが、我ら侍なれば」

絵里「・・・」

「ヘイ、南蛮人さん」

絵里「はい?」

8 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 19:52:03.26 ZDnoSqKW 7/46

ポイッ

絵里「わっ、なに?木の剣?」

穂乃果「あれっ、果南ちゃん!どうしたの?」

果南「私はあまり、気乗りしてないよ」

果南「我らの村に、異国人を入れるのをねっ!!」ブンッ!!

絵里「わぁっ!何よぉッ!!」ガキンッ!

穂乃果「おお、あの果南ちゃんの一太刀を捌くか・・・」

果南「少しはやるじゃんッ!!」ブンッ!ブンッ!

絵里「ちょっ、何っ、もぉ!!」ガキンッ!ガキンッ!

果南「よっ、オラァ!!」バッ

絵里「あっヤバっ」

パッカーン・・・

穂乃果「あっちゃ~バッチリ面ありぃ~・・・」

絵里「くぁwせdrftgyふじこlp・・・」

果南「ふんっ・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

9 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 19:59:44.13 ZDnoSqKW 8/46

穂乃果「ちょっと!果南ちゃんやり過ぎじゃないの?!」

果南「こんなのただの訓練だよ」

穂乃果「限度ってものがあるでしょー!」

絵里「へぇ~・・・ただの訓練なのね・・・」プルプル・・・

穂乃果「うわぁっ!生きてたの?!」

絵里「殺さないでくれる!?・・・それより、誰でしたっけ」

果南「・・・松浦果南」

絵里「そう、私はエリー・アヤセ」

果南「へー、で、どうしたの?南蛮人さん」

絵里「」ピキッ

絵里「確か日本では・・・お互い名乗ったらそれが開戦の合図なのよね」

果南「お、よく知ってるね」

絵里「では、訓練開始ねっ!!」ヒュンッ

果南「うっお!?」ガンッ!!

絵里「おりゃぁ!!」ブンッ!

果南「ちょっ、危なっ」ガキンッ!

絵里「えいっ!!やぁっ!!」ブンッブンッ!

果南「それが西洋の剣術か・・・でもねっ!!」スッ

絵里「うぇっ!?」

ドカッ!!

絵里「うっ、げほぉっ!」

穂乃果「あたた、胴に一突き・・・」

果南「まだまだ隙が大きいね」チャキ・・・

絵里「」

穂乃果「全く朝っぱらから・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

10 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 20:06:21.91 ZDnoSqKW 9/46

ことり「それから、エリーさんは来る日も来る日も果南さんに喧嘩げふんげふん」

ことり「訓練をつけてもらっていました」

ーー

ーーーー

ーーーーーー

絵里「おぅりゃぁっ!!」ブォンッ!!

果南「ほー、力で来たか・・・ならっ!」ガシッ

絵里「くっ、掴むなっ!」

果南「よっこいせ」

ヒュンッ

ドスンッ!

穂乃果「おー背負い投げ」

絵里「」

ーーーーーー

ーーーー

ーー

ことり「来る日も」

11 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 20:06:33.84 ZDnoSqKW 10/46

ーー

ーーーー

ーーーーーー

絵里「おりゃおりゃおりゃぁ!!」ブンッブンッブンッ

海未「二刀流ですか」

穂乃果「やけくそだね・・・」

果南「こういうの程避けづらいけど、でもっ!」キキィン!!

海未「二太刀を弾いたっ!」

絵里「くっ!」

ヒュンッ

絵里「・・・あ・・・」

果南「これが真剣なら、喉元にぐさり、だね」

絵里「・・・くっ!!」

ーーーーーー

ーーーー

ーー

ことり「来る日も」

ことり「そして、遂に」

12 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 20:23:32.23 ZDnoSqKW 11/46

ザーッ・・・

ダイヤ「全く・・・お互い雨の中、よくやりますわ」

ことり「ほんとだよ・・・」

ガンッ!! ガンッ!!

果南「おりゃおりゃっ!!」ブンッ

絵里「くっ!」ガキンッ!

果南「全く成長しないねぇ!!いつまで防戦一方なワケ!?」

絵里「その言葉、そのままそっくりっ!!」シャキン!

果南「なっ、はやっ」

ヒュンッ

絵里「・・・お返しするわ」

果南「・・・っ」

穂乃果「果南ちゃんの首元に、エリちゃんの刀がっ!」

ことり「凄いっ!エリさんの勝ち!?」

海未「いいえ」

絵里「・・・あら」

海未「エリの腹に、果南の刀が突き立てられています」

果南「・・・」

穂乃果「じゃあ・・・」

ダイヤ「引き分け、ですわ」

穂乃果「でも凄いよっ!あの果南ちゃんと引き分けるなんて!」

ワァァァァッ・・・

「アンタやるなぁ!」

「よくあのガンコもんと引き分けたなぁ!」

果南「誰今言ったの!!」シャキン!

ことり「ふふふ・・・」

13 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 20:29:26.76 ZDnoSqKW 12/46

海未「ふふ、エリ、流石ですね」

絵里「ええ・・・私もこんなに本気になったのは、あの時以来ね」

海未「・・・同じ国に住まう人々との、戦いの事ですか?」

絵里「ええ・・・何よりも生きる事に執着して、罪の無い人々を殺した、あの時」

海未「・・・」

絵里「上官の命令とは言え、私は罪深い者よ」

海未「・・・いま、あなたは何の因果か、同じ状況であるこの日の本に立っています」

海未「我ら侍は立場を守り抜き、家族を、皆を守る」

海未「それを、この刀に誓ったのです」チャキッ

絵里「・・・」

海未「貴女もその刀に、信念を誓いなさい」

海未「その信念は貴女が罪人であろうと、貴女を受け入れる事でしょう」

海未「それが我ら侍というものの、武士道というのです」

絵里「・・・こんな、私でも、受け入れてくれるの?」ポロポロ

海未「刀だけではありませんよ」

穂乃果「皆それぞれ事情があるんだねぇ・・・」

ことり「他人事だね・・・」

松浦「まあ、皆同じさ。皆心に信念がある。アンタも」

ダイヤ「貴女のその信念、天は見ていてくださいますわ」

絵里「皆・・・ありがとう・・・」

海未「・・・さ、今日は折角絵里が果南を打ち倒した、目出度い日です、宴にしましょう!」

果南「何それ!?」

穂乃果「いやったぁ!皆!酒持ってこーい!」

ヨッシャー! ジョウトウノサケヲモッテクルゼー!

ことり「すぐ宴にするんだから」

ダイヤ「全くですわ・・・今にも戦が始まろうとしているのに・・・」ハァ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

14 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 20:38:45.62 ZDnoSqKW 13/46

絵里「攻めてくる、ですって?」

海未「はい、昨日の宴の途中で聞いたのですが」

何でも、私が漂着する前に海未達は、新政府の作る鉄道を破壊し損害を被らせたらしい

怒った政府軍は報復として、軍を向かわせている

海未「いよいよ大義名分を得た政府軍は、本格的に攻めてくるでしょう・・・穂乃果!果南!」

穂乃果「合点承知之助!もう準備出来てるよ!」

果南「・・・」フキフキ

海未「皆の者、備えは万全ですね!?」

ウォォォォォォォォォォ!!!!

海未「・・・我々も存分に迎え撃つのみです」

絵里「海未、私も行かせて」

海未「・・・これは貴女に関係の無い戦なのですよ」

絵里「関係あるわよ、命を助けてくれた人に恩返しをしないのは、武士道に反するんじゃないの?」

海未「ふふ、その通りですね」

ことり「あなた、行かれるのですか」

穂乃果「うん、行ってくる」

ダイヤ「私もお供致しますわ!」

穂乃果「ダイヤ、あなたまだ早いよ」

ダイヤ「でもっ!」

穂乃果「ことりを、守り抜くのだぞ」

ダイヤ「・・・はい」

海未「・・・備えは出来ました、すぐにでも向かいます」

果南「よっしゃ!」スチャッ

穂乃果「うぉおお!!戦だぁ!!!」

ウォォォォォォォォォォ!!!!

絵里「・・・っ!」スチャッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

15 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 20:53:25.75 ZDnoSqKW 14/46

ーとある森ー

兵士「・・・」プルプル・・・

「・・・はぁ、怖がらんといてや・・・」

兵士「で、ですが」

「まあ確かにウチらはまだまだ訓練も足りてないし、装備も貧弱だけどさ」

「それでも時代遅れのサムライなんぞに負ける筈無いやん?」

兵士「そ、そうでした・・・」

ウォォォォォ・・・

兵士「ひっ!」

「来たか、射撃用意!!」スチャッ

チャキッ

チャキチャキチャキチャキッ!!

ドドドドドドドドドッ・・・

「まだよ、まだまだ・・・」

ドドドドッ!!

「今っ!てーーー!!!!」

パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!

16 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 20:53:40.19 ZDnoSqKW 15/46

海未「別れてッ!!」

パカラッパカラッ

海未「せいやぁっ!!」シャキン!

グワァッ!

果南「おりゃおりゃおりゃぁ!!」ザシュッザシュッザシュッ

ウワァァァ!!

絵里「それっ!!」キィン!

グハッ!

絵里「まさかこんな風に使うとは思わなかったけど!」スチャッ

パァン!!パァン!!

「ちょっ、サムライがなんで銃なんか持っとるん!?」

絵里「えっ、その声・・・っ!」

絵里「ノゾミ!?」

「え、エリち!?」

27 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 22:13:00.58 ZDnoSqKW 16/46

絵里「貴女、日本にいたのね・・・」

「・・・これも運命やん」シャキン!

絵里「・・・っ!」シャキン!

「今は敵同士、覚悟っ!!せいやぁっ!」キンッ!

絵里「くっ・・・てやぁっ!」シャキン!

ガキンッ! キキィン!!

「ちょっ、エリち何か強くなってない!?」キンッ!

絵里「人は強くなるものよ!」キンッ!

「あっ・・・」

クルクルクル・・・サクッ

「・・・」

絵里「負けよ、貴女の」チャキッ

「・・・っ」

絵里「・・・」

「・・・なんで殺さないの?」

絵里「・・・っ多少の情はあるのでね・・・」プルプル

穂乃果「海未ちゃん!あれ!」

海未「・・・はいやっ!」

ヒヒーン!

海未「・・・」ザザッ

絵里「海未・・・」

28 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 22:15:40.71 ZDnoSqKW 17/46

海未「どうやら訳ありと見ました、その方は捕虜にしましょう・・・敵は完全に制圧しましたので」

「・・・そか」

海未「貴女がこの戦の指揮官ですか?」

「せやで、ノゾミ・トージョー」

海未「そうですか、では」

海未「敵将、トージョーは我らが手中!命惜しくば潔く退くといい!!去るものは追いません!!」

兵士達「・・・」

海未「・・・ですが、向かってくる者にはそれなりの対処を致しましょう」

穂乃果「そーだ!」

果南「来ればいいさ、先は見えてるだろうけど」シャキン!

兵士達「ひぃっ!」

ザザザザザ・・・

果南「臆病者が」スチャッ

穂乃果「よーし皆!勝どきを上げろぉぉ!!」バッ!

ウォォォォォォォォォォ!!!!

絵里「一緒に来なさい、ノゾミ」

「・・・はいはい」

29 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 22:22:32.83 ZDnoSqKW 18/46

ー音ノ木村ー

チャンカチャンカチャン・・・♪

ワハハハハ・・・

絵里「・・・ふふ」ゴクッ

イイゾーオンタイショー

海未「・・・」フイッフイッ

絵里「あれは何をしてるの?踊り?」

果南「あれはまあ、能って奴かな」

果南「おことさんが言い寄られる女性役で、大将が言い寄る男役」

絵里「そういう役柄なのね」

果南「多分もうすぐ・・・」

海未「・・・」コソコソ

ことり「・・・」パチン

海未「・・・!」オヨヨ・・・

絵里「あははっ!」

穂乃果「・・・」チラッ

果南「そら来た、よっ!待ってました!」

絵里「あら穂乃果まで、あはははっ!」

ピィィーーーーー・・・

果南「・・・?何の音だろ」

30 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 22:30:54.18 ZDnoSqKW 19/46

絵里「あはは・・・」ゴクッ

海未「・・・」ソノオンナハワタシノダ

穂乃果「・・・」ナニヲイウカ!

果南「十八番だねぇ」

ガサッ

絵里「・・・?」

ヒデコ「・・・」ワタシモマザルヨ

ガサッガサッ!

絵里「・・・っ!!海未!!穂乃果!!」

海未「はい?」

ヒュンッ

ザクッ

ヒデコ「えっ・・・何これ・・・」

ドサッ

ガサササササッ!

果南「っ!!曲者だぁ!!」

穂乃果「え何何!?」

海未「奴ら、忍の者ですね!こんな所まで・・・っ!」

果南「ヒデコ・・・ごめんっ・・・!」

「・・・」シャキン!

果南「・・・っ」シャキン ズバッ!

「なっ・・・後ろも見ずに・・・っ!?」

果南「御免っ!!」ズシャッ

「見事・・・」ドサッ

31 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 22:43:03.20 ZDnoSqKW 20/46

果南「よくも我らの同心を・・・!!」

忍達「・・・っ」ジリジリ

果南「我っ!松浦刑部果南なり!!」

果南「貴様らは、この果南が帰さぬ・・・っ!!」シャキン!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

絵里「海未っ!!」ポイッ

海未「かたじけないっ!!」カタナキャッチ

「ぬんっ!!」

海未「・・・」ヒラリ

「飛んだ!?」

ザクッ

「ぐはぁっ!!」

海未「園田流、冥土の土産に持ってゆけ・・・」ズシャッ

「ぐっ・・・」バタッ

絵里「よしっ!」

ヒュンッ

絵里「うわぁっ危なぁッ!!」ストンッ!

絵里「な、何これ・・・」

「・・・」ソーッ

穂乃果「危ないっ!!」ズバッ!

「ぐおっ!!」ドサッ

絵里「あ、ありがとう穂乃果!」

穂乃果「それは手裏剣って言うんだよ・・・ってそれより!」

32 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 23:07:45.26 ZDnoSqKW 21/46

穂乃果「危ないじゃんエリちゃん!ほらエリちゃんの刀!」

絵里「あ、ありがとう、ちょっと不用心だったわ」

海未「二人共、大事ありませんか!?」タタッ

穂乃果「私達は大丈夫、でも何で急に忍が・・・」

絵里「まさか・・・希?」

海未「っ!地下牢へ急ぎまーーー!」

キャアアアアッ・・・

穂乃果「っ!ことりっ!!ことりちゃん!!」ダダダッ

絵里「ちょっ、穂乃果っ!!」

海未「絵里っ!私は地下牢に向かいます!アナタは穂乃果の援護を!」

絵里「ええ、分かったわ!!」

海未「どうか、無事で!」

絵里「貴女もねっ!!」タタッ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーおことの家ー

穂乃果「せいっ!!てやぁっ!!」ザシュッ! ズバッ!

「ぐぁっ!」

穂乃果「ことりちゃん!大丈夫!?」

ことり「私は何とか無事です!」

穂乃果「よっしゃぁ!そのまま後ろにいてね!」

穂乃果「全員叩っ斬ってやるぞぉ!!」シャキン!

穂乃果「おりゃおりゃおりゃぁ!!」ズバッ!ズシャッ!

「・・・くそっ!くらえっ!!」ボフンッ!

穂乃果「うわっ、ごほっごほっ、煙玉か!」

穂乃果「ことりちゃん!大丈夫だよね!?」

ことり「はい!私はここに!」

穂乃果「良かった、そのままそこでーーー」

グサッ

穂乃果「・・・ぐはっ」

ことり「・・・穂乃果ちゃん?」

33 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 23:16:15.05 ZDnoSqKW 22/46

ズチャッ・・・

上忍「・・・その手傷では最早助からぬ、介錯してしんぜようか」

穂乃果「へぇ・・・上忍かな・・・?音もなかったよ・・・」

ことり「穂乃果ちゃんっ!返事してっ!」

穂乃果「あはは・・・武士の妻が、そんなに取り乱しちゃダメだよ・・・ゴフッ!!」ビチャッ

上忍「まだ、向かってくるか・・・」スチャッ

穂乃果「当たり前だ、私は二代目高坂家、高坂穂乃果だよ」

穂乃果「今こそ、妻と子の為、そして村の皆の為、武士の本懐を遂げる時っ!!」シャキン!

上忍「フンっ!!」ブンッ!

穂乃果「おぅりゃぁっ!!」ガキィン!!

上忍「なっ、刀を斬っただとッ!?」

ザクッ ズバッ!

上忍「ぐお!!」

穂乃果「はぁっ・・・せいっ!!」ズバンッ!

上忍「あがっ・・・!!」

穂乃果「・・・良い腕だったよ」スーッ・・・

上忍「そなたこそ・・・っ」ドサッ

穂乃果「・・・かふっ」ズシャッ

34 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 23:17:30.59 ZDnoSqKW 23/46

ことり「穂乃果ちゃんっ!どこっ!?」

ガラッ

絵里「穂乃果っ!!ことりっ!!」

絵里「うわっぷ、凄い煙・・・!」

果南「うおぅりゃぁ!!」ブンッ

ブワァ・・・!!

絵里「えちょっ、何そのでかい扇!?」

果南「焚き火用の大扇だよっ!それより早く穂乃果とことりをっ!!」

絵里「ええ!穂乃果!ことり!!」

ことり「穂乃果ちゃんっ!!起きてよっ!!」ユサユサ

穂乃果「」

絵里「・・・そんな」

果南「・・・くそっ、くそくそっ!!仲間を、二人も・・・っ!!」

ことり「うっ、うっ・・・」

絵里「・・・泣いてもいいーーー」

海未「なりません」

絵里「っ!海未っ!?」

果南「ああ、泣いちゃいけない」

35 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 23:28:08.11 ZDnoSqKW 24/46

海未「泣く時は勝った時のみ、それ以外に武士の妻が涙を見せてはなりません」

絵里「そんなっ、でも」

果南「穂乃果はことさんの悲しい顔を望んでないよ、笑顔を守る為死んだんだ」

果南「その信念、確と受け取ったよ、穂乃果」

海未「・・・」

絵里「あなた達・・・ことりっ」

ことり「・・・ええ、私が強く在らなければ」

絵里「っ!」

海未「それでこそ、穂乃果の妻です・・・ことり」

絵里「・・・これも武士道?」

海未「然らば」

ことり「それより海未さん、ダイヤはっ!?」

海未「安心して下さい、地下牢の前で気絶させられてはいましたが、今は私の屋敷におります」

ことり「良かった・・・良かったよ・・・」

果南「って事は、今回の騒動、ノゾミって奴が企てたんだね」

海未「ええ、その通りです、こんなものも落ちてましたし」

絵里「それは・・・?」

海未「音ノ葉です、これを二枚重ねて息を吹くと・・・」スッ

ピィィーーーーー・・・

絵里「っ!これ、忍が来る前に聞こえたっ・・・!?」

海未「昔から童達がこれを鳴らして遊んでいました・・・どこからかその情報を得て、この音を合図にしたのでしょう」

36 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 23:38:45.07 ZDnoSqKW 25/46

絵里「・・・ごめんなさい」

海未「何故、謝るのですか」

絵里「私があの時、ノゾミを斬れなかったからこんな事に・・・」

海未「人である以上、友を前に刃が鈍る事もあるでしょう」

海未「しかしこの所業は、エリの友とて許せじ、然らば、当然の報いを受けて頂く迄」

海未「・・・上洛の準備を、宣戦布告します」

ことり「っ!!」

果南「・・・はっ!」

絵里「遂に・・・やるのね」

海未「準備が出来次第、向かいます」

絵里「私も行くわ」

海未「・・・エリ、今一度言います、この戦は貴女には関係の無い戦なのです」

海未「もしこのままついてくるのでしたら、この日の本での立場は無くなります」

海未「それでも、良いのですか?」

果南「・・・」

絵里「・・・私の、武士道の為」

海未「!」

絵里「それと、『あのクソッタレの訛り英語女を一度ぶん殴ってやらないと気が済まないの』」

果南「?」

海未「・・・汚い言葉はやめなさい」

絵里「・・・Sorry」

海未「・・・貴女の覚悟は分かりました。直ぐに準備を」

絵里「ええ、もちろん」

ダイヤ「大将!!母上!!」

海未「ダイヤ!?」

ダイヤ「わたくしも、連れてって下さいまし!!」

37 : 名無しで... - 2019/07/15(月) 23:57:43.96 ZDnoSqKW 26/46

海未「ダイヤ・・・貴女はまだ幼ーーー」

ダイヤ「関係ありませんわっ!!」

海未「っ!」

ダイヤ「牢から下手人をみすみす逃し、父上も殺され、私に立つ瀬などありません!!」

ダイヤ「不肖黒澤、我が武士道の為、死ぬる覚悟にありますわ!!」

ことり「・・・」

海未「ことり・・・戻っていなさい」

ことり「はい・・・」タタッ

絵里「黒澤?」

果南「ダイヤを拾った時、ありあまる血溜まりの上で佇んでたんだ」

果南「血が固まって黒くなっていた場所にいたから、黒澤」

果南「そして逆に光り輝くようにと、南蛮語で金剛、ダイヤと大将が名付けられたんだよ」

海未「・・・貴女の覚悟は確と、受け取りました」

ダイヤ「っ、かたじけないですわっ!」

海未「そうと決まれば、やる事は山積みです、取り掛かりますよ」

絵里「兵はどれくらい連れて行くの?」

海未「飽くまで宣戦布告のみ、兵はそんなに入用ではありません」

海未「帰り道、刺客に襲われる事を鑑みても、今の我らならば容易いでしょう。初めて貴女が我々と共に戦った日を思い出して下さい」

絵里「あの時・・・?」

海未「刀を捨て銃を取った侍崩れに、我々が負けるとでも?」

果南「ふんっ、違いないね」

絵里「確かに・・・あの時の兵はお粗末だったわね」

海未「そうでしょう、今の我らならば、敵はおりません」

海未「しかし決して油断せぬことです」

海未「滅びるのは、われわらかもしれませんから」

40 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 06:31:22.18 as5223L3 27/46

ー東京ー

ヒヒーン!

ザワザワ・・・

サムライダ・・・

果南「・・・」

海未「・・・」

ナンデナンバンジンガ・・・?

絵里「落ち着かないわね・・・」

ダイヤ「仕方ない事ですわ」

海未「・・・着きましたよ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー謁見の間ー

善子「歓迎はしないわ、侍さん達」

善子「廃刀令を知らないの?何故帯刀してるんだか・・・」

果南「・・・」ギリッ

海未「果南、陛下の御前ですよ」

花陽「・・・」

善子「もう一度だけ、警告するわ」

善子「廃刀令の出た今の日本で、貴女達は反逆者」

善子「しかし陛下の寛大な御心により、今降伏すれば誰も血を流さずに済ませる」

絵里「・・・」

善子「我々はアメリカとの軍事条約締結も控えている、残された時間は無いのよ」

鞠莉「オフコース♪」

海未「・・・」

善子「全てより良い日本を作る為、良い判断を期待するわ」

41 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 06:31:33.76 as5223L3 28/46

海未「・・・陛下、久方振りでございます」

絵里「・・・久方振り?」

ダイヤ「元々、大将は陛下の教育係だったのですわ」

花陽「・・・」

海未「・・・陛下は、我らの魂、奪われるのですか」チャキッ

善子「!!」スチャッ

果南「早とちりすんな」

海未「どうか陛下、この刀、お受け取り下さい」スッ・・・

花陽「・・・っ」プルプル

善子「陛下ッ!!」

花陽「っ!!」バッ

海未「・・・そんな、陛下・・・」

善子「良き御判断です、陛下」

海未「っ!!」バッ

果南「大将!待って!」タタッ

絵里「ダイヤ、行くわよ」

ダイヤ「は、はい」

ガラッ

42 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 06:41:15.19 as5223L3 29/46

「やほー」

絵里「・・・っ!!」バッ

海未「やめなさい」グッ

絵里「っ!!ノゾミぃ!!」

かなダイ「・・・」スチャッ・・・

海未「二人共、殿中ですよ。刀を下げなさい」

ダイヤ「でもっ・・・!!」プルプル

「今からでも遅くないよ、降伏しなよ」

絵里「アンタは、彼女たちに何をしたと思ってるの!?」

「甘いなエリち、これは戦やないの」

絵里「頼まれた戦いじゃない!!あの時と同じ!!」

絵里「貴女に、信念は無いの!?」

「・・・んー、ウチお金貰ってるし」

果南「ッ!!」シャキン!

「おー怖・・・まあ、今この国の流れに、彼女たちは不要なんよ」

絵里「・・・っ、アンタって奴はぁッ!!」バッ

海未「絵里っ!!」

絵里「海未・・・っ!」

海未「ダイヤも、果南もです」

ダイヤ「・・・」プルプル

果南「この外道め・・・」スチャッ

絵里「・・・次会う時は、容赦しない」

「こちらこそ、望む所やんな♪」

ガラッ

ピシャッ

43 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 06:58:39.17 as5223L3 30/46

ガラッ

善子「はー怖、野蛮人共が」

「おっ、善子ちゃん」

善子「・・・刀を取らない天皇に背を向ける園田、それはつまり廃刀令への反逆、天皇への不敬に他ならないわ」

「これで、大義名分が出来たやんな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー音ノ木村への道中ー

パカラッパカラッ

海未「あの空き家で、少し休みましょうか」

果南「御意」

絵里「確かに、少し疲れたわね・・・」

ダイヤ「疲れなど申してはなりませぬわ、エリ」

絵里「分かったわよ・・・硬いんだから」

海未「戦士たるもの、休息は必要です」

果南「よっと、お前も休んでな、海鹿毛」ナデナデ

ヒヒーン!

果南「暴れるなっての」

ヒヒーン!

ダイヤ「いいですの?武士という者は生まれ落ちてから死ぬ迄本音を隠し通し・・・」

絵里「」

果南「始まってるよ・・・」

ダイヤ「クドクドクドクド」

海未「・・・ダイヤ、もうその辺に」

ダイヤ「まだまだ、エリには武士の心が足りませんわぁ!」

ヒュンッ

ドスッ

ダイヤ「・・・えっ」

海未「っ!!ダイヤぁ!!」

45 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 07:05:47.27 as5223L3 31/46

果南「矢だッ!!曲者めっ!!」シャキン!

絵里「っ!!林から来るわよ!!」

ザザザザザ・・・

忍達「・・・」

絵里「なんて数・・・っ!」

海未「ダイヤっ!!ダイヤっ!!」

ダイヤ「・・・不覚・・・私がこんな矢なんぞに・・・」

果南「オラァ!!」ズバッ!

絵里「海未っ!敵の数がっ!!」ズシャッ

海未「ええ、分かってますっ!!ダイヤ、大丈夫ですか?!」

ダイヤ「・・・今こそ、武士の本懐を遂げるとき、ですわ」シャキン!

海未「え・・・?」

ダイヤ「せいっ!!」ザクッ

「ぐおっ!」カランカラン・・・

海未「ダイヤっ!?」

ダイヤ「あつらえ向きの弓ですわ、お借りします」

果南「ダイヤっ!アンタまさかっ!!」

ダイヤ「不肖黒澤ダイヤ!侍の日の本の為、この死地引き受けましたァ!!」ギリギリギリッ

46 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 07:05:58.01 as5223L3 32/46

海未「ダイヤっ!貴女迄ことりを置いていくのですかっ!?」

ダイヤ「武士とは新しき明日の為、そして家族の為に死ぬるもの!」ヒュンッ

「ぎゃあっ!!」ドスッ

ダイヤ「ここで貴女を死なせる訳には行きませんわぁ!!」ズバンッ!

「ぐはぁっ!!」

海未「っ・・・ダイヤっ!!」

ダイヤ「行かれよっ!!」ギリギリギリッ

果南「・・・っ!走れっ!絵里っ!!」

絵里「でも、ダイヤっ!!」

果南「ダイヤの心意気、踏みにじるなっ!!」グイッ

絵里「ダイヤぁ!!」

ダイヤ「エリ、貴女なら御大将を守れますわ」

ダイヤ「母上のこと、頼みました」

果南「走れっ海鹿毛っ!」ピシャッ

ヒヒーン!

海未「ダイヤ、貴女の魂、確と受け取りましたっ!」

ダイヤ「・・・上々っ!!さあ行って!!」

海未「すまない・・・っダイヤ・・・!!」ヒヒーン!

パカラッパカラッ・・・

49 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 18:09:41.05 as5223L3 33/46

ー音ノ木村ー

ことり「・・・あっ、皆!帰って来たよ!」

オカエリー!

絵里「・・・」

果南「・・・」

海未「・・・ことり」

ことり「・・・嘘、ダイヤは?」

果南「・・・」フルフル

絵里「ごめん、なさい・・・」

ことり「・・・穂乃果ちゃんに続いて、ダイヤまでも・・・」

ことり「・・・っ」プルプル

海未「・・・明日、最後の戦を」

絵里「・・・ことり」

ことり「・・・っ、お気をつけて、行ってらっしゃいませ」ペコ

絵里「っ!あんたって人は・・・」

果南「最後だ、明日で」

絵里「・・・私は、貴女達に最後までついて行くわ」

果南「そっか・・・それがエリの信念?」

絵里「当たり前よ!」

海未「では、今日はゆっくり休息を取り、明日総攻撃を仕掛けます」

海未「・・・ことり、家で休ませて貰っても?」

ことり「・・・はい」

果南「じゃエリ、うちで呑もうよ」

絵里「ええ、そうさせてもらうわ」

絵里「・・・海未、また明日」

海未「ええ、2人も」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

50 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 18:13:25.19 as5223L3 34/46

ー翌日の朝ー

ガラッ

海未「・・・」コソコソ

ことり「・・・海未さんも、行ってしまわれるのですか」

海未「・・・っ!」

ことり「私は武士の妻、悲しみなど、涙など見せません」

海未「・・・そうです、心の奥底に本音を隠す事こそ、穂乃果の、侍の妻たる貴女のーーー」

ことり「でもっ!!」

海未「っ!!」

ことり「こんなの、耐えられる訳ないよ・・・っ!」

海未「・・・行って、参ります」

ことり「帰って、来るのですか?」

海未「遅ければ、盆には」

ピシャッ

果南「遅いよ、大将」

絵里「・・・良いのね、海未」

海未「・・・勿論ですっ!!」スラッ

刀を抜き、空を刺す海未

海未「この日の本にもう一度、我ら侍の魂を!!」

ウォォォォォォォォォォ!!!!

海未「いざっ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

51 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 18:20:42.27 as5223L3 35/46

善子「はぁ、素晴らしい形・・・」

兵士「ガトリングガン、という物らしいです」

善子「こんなのに撃たれたら、ひとたまりも無いわね・・・」

善子「見てなさい、時代遅れの侍め」

善子「ミス・トージョー、指揮を!」

「アイアイ、射撃用意!!」スッ

チャキッチャキッチャキッチャキッ・・・

「・・・」

善子「・・・」

兵士達「・・・」

「・・・?」

善子「何よ、全然来なーーー」

ドドドドドドォォォ!!!

海未「うあああああああ!!!!!」ドガッドガッ

絵里「おりゃあ!!」パァン!!

果南「どけえええええええっ!!!」シャキンシャキン!

善子「!?!?!?」

「くっそ、隠れてたんかいな!!」

兵士「くそっ!怯むなぁ!」パァン!!

「馬鹿っ勝手に撃つなっての!」パァン!!

「ああもう!!各個に撃てっ!」パァン!!

52 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 18:27:06.41 as5223L3 36/46

「よし!しっかり当てれば殺せるっ!」

兵士「し、しかし指揮官!奴ら撃たれても止まりません!」

「はぁ!?そんなわけあるかい、なっ!」パァン!!

ビシッ

「ぐぉっ!」

「・・・ぅうおおおおああああ!!!」ザクッザクッ

兵士「ぎゃあっ!!」 兵士「あぎゃっ!!」

「う、嘘やん、しっかり当てたのに・・・!?」

「喰らえぇぇぇぇっ!!」ザシュッ

「バカっこいつ、馬をっ!!」

ヒヒーン・・・!!

ドサァッ!

「・・・ぃいったぁ・・・」

「ウォォォォォ!!!」

ドドドドドド・・・!!

「・・・これあかんやんな」

「でも、こんな時の為のオートマチックっ!!」スチャッ

ズドォンズドォン!!

「がはっ!」

「へっ、流石に45は効くやん!?」ズドォン!

53 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 18:57:46.68 as5223L3 37/46

「あっはははぁ!!ウチのお金の為に死んでやぁ!!」ズドォンズドォン!!

ギャアッ! グホァッ!!

「あっははは・・・」カチン!カチンカチン!

「あー・・・終わったかな」

「ええ、終わりよ」ザクッ

「かはっ・・・!!エリ、ち・・・っ!!」

ズシャッ

絵里「これで、穂乃果の分は返したわよ」

「・・・あの時から、古い考えの人やったね・・・」

絵里「私は過去を、捨てない人間なのよ」

「へへ・・・あたしと大違い」

ドサァッ!

絵里「敵将、トージョー!討ち取ったぁ!!!」

侍達「うおおおおおっ!!!!」

善子「嘘、ミス・トージョーが殺られたっ!?」

善子「・・・くそっ!もう遊びは終わりよっ!!撃てッ!!」

54 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 19:20:32.81 as5223L3 38/46

ガチャコン!

善子「早く撃てってーの!!」

ドドドドドドドドドドドド!!!

ギャアッ! グホァッ!! ウワァッ!!

海未「あれは!?」

絵里「最新式の鉄砲ってとこよ!伏せて!」

海未「ですがっ!果南がっ!!」

絵里「っ!?」

果南「どぉりゃああああああっ!!」ズバッ!ズシャッ!

兵士「ひいいいっ!!」

果南「まだまだぁ!!この松浦の首、落ちてはいないよぉ!?」ドガッズバッ!

兵士「鬼だ、鬼がいるぞぉぉぉぉ!!!」

絵里「まずい、今果南がいる場所は!」

海未「あのままでは、鉄砲の的です!」

海未「果南っ!!」

55 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 19:31:47.50 as5223L3 39/46

兵士「撃てっ、撃てェ!!」パァン!!

果南「っ!」シャキン!

ズバッ!

兵士「銃弾を・・・斬った・・・っ!?」

果南「遅いっ!!」ズバッ!

兵士「ぎゃあっ!!」

善子「いたっ、あそこよ、撃てっ!!」

ドドドドドドドドドドドド!!!

果南「・・・な、何あれっ!?」

海未「果南ッ!!退けッ!!」

果南「・・・くっそぉ!」ダッ

兵士「へへっ、ようこそっ!!」ザクッ!!

果南「あっ・・・がっ・・・!!」

絵里「兵士の銃剣がっ!!」

海未「かなぁん!!」

兵士「怯んだぞっ!撃てェ!!」

パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!

果南「がはあっ!!」ビチャッ

果南「へ、へへ・・・」ボタボタ

兵士「お、おい、こいつ何で倒れねぇんだ!?」

兵士「何発撃たれたと思ってやがる!?」

果南「貴様らの様な、鈍の刃で」ユラッ

果南「この松浦、討ち取れると思うなぁッ!!!」シャキン!

56 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 19:32:00.70 as5223L3 40/46

兵士「う、うわああああああっ!!撃てっ撃てっ!!」

パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン!!パァン・・・!!

絵里「くそっ!どけえっ!!かなぁん!!」ズバッ!

海未「どきなさいっ!!」ズシャッ

果南「・・・かはっ」ドサッ

うみえり「「果南!!」」

果南「・・・これで、日の本の夜は明けるかな・・・」

海未「果南っ!」

果南「大将・・・先に向こうで・・・っ!」

ドサッ・・・

海未「果南・・・かなぁん!!」

絵里「危ないっ!」シャキン!ズバッ!

兵士「ぐへっ!!」

善子「はははははっ!鬼を討ち取ったわっ!!今よ、畳み掛けなさいっ!!」

ドドドドドドドドドドドド・・・!!

57 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 19:38:18.44 as5223L3 41/46

ギャアッ! ウワァッ! グホァッ!! ゲハッ!

絵里「ああ・・・皆が・・・っ」

海未「くそっ、せめて、一矢報いねばっ!!」バッ

絵里「バカっ今出たらーーー」

パァン!!パァン!!

海未「あうっ!!」

絵里「海未っ!!」

海未「・・・ぬぅおおおあああああっ!!!」ズバッ!ズシャッガキィン!!

善子「いたわ園田っ!!撃てェ!!」

ズドドドドドドド・・・!!

海未「ぐはっ、ごはあっ!!」ドサッ

絵里「海未ーーー」パァン!!

絵里「あがっ・・・!!」ドサッ

58 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 19:53:12.80 as5223L3 42/46

善子「撃ち方やめっ!・・・殺ったかしら?」

海未「うっ、ゴフッ!!」ビチャッ

絵里「海未・・・っ!!」ズリッズリッ

善子「ふん、風前の灯とはこの事ね、あつらえ向きの桜まであるわ!」

ザーッ・・・

海未「・・・最早、これまでですね」

絵里「海未・・・諦めないでっ・・・ゲホッ!」ビチャッ

海未「絵里、侍とは何なのか、教えた筈ですよ」

海未「散る時は潔く、桜のように」

ザーッ・・・

海未「しかし、敵の手にかかるよりは、貴女の手で」

絵里「海未・・・っ!」

海未「お願いしますっ・・・絵里っ!!」チャキッ

海未は、絵里の手に脇差を握らせる

絵里「・・・っ!!」グッ

海未「貴女に、出会えて良かった、絵里」

海未「・・・さらばっ!!」ザクッ

兵士達「・・・」

59 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 19:53:51.81 as5223L3 43/46

絵里「・・・ごめんっ・・・海未っ・・・!!」

絵里に抱き着くように、倒れ込む海未

海未「貴女に、教えて貰った言葉があった」

海未「・・・全て、パーフェクト、ですよ」

ドサッ

善子「ふははははっ!!勝手に死にやがったわ!」

善子「チャンスよ分隊長!今こそ撃ーーー」

分隊長「ならぬっ!!!」

善子「っ!?」

分隊長「・・・」スッ

兵士達「・・・」ズシャッ

兵士達は、自然と膝を折り、帽子を取り、頭を垂れていた

善子「ちょっ、何してんのっ!?」

兵士達の視線の先には、死屍累々の戦場、大輪の桜

そして、青い目をした、たった一人のサムライが、そこにはいたーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

60 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 20:04:00.90 as5223L3 44/46

ー明くる日 謁見の間ー

スーッ・・・

絵里「・・・失礼します」

善子「ほんとに来やがったわ・・・本来貴女は大罪人、陛下に見えることすら奇跡に近い事なのよ!?それを分かった上での行動かしら!?」

絵里「・・・」チャキッ

善子「ひっ!」

ザワッ!

花陽「・・・っ」

スーッ・・・

善子「鞘ごと刀を抜いた・・・?」

絵里「これは、彼女の遺した刀」

絵里「この国の文化を支え、武士道を貫き、最後まであなたに仕えた人間がいた事を、決してお忘れなき様」

チャキッ・・・

花陽「・・・」

善子「陛下っ!?何故刀を受け取るのです!?」

花陽「彼女の最後を、見届けたのですか?」

絵里「確と、この目で」

絵里「私を反徒と見なすのなら死のご命令を、喜んで命を絶ちましょう」

花陽「・・・」

61 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 20:07:01.17 as5223L3 45/46

花陽「・・・私は、この国の統一を夢見てきました。強くそびえ立つ日の本を。その為に銃や大砲、衣服や鉄道も手に入れました」

善子「そうです!全ては日本の為なのですよ!」

絵里「・・・」

花陽「しかし、我々は日本人たること、忘れてはならぬ。この国の歴史と、伝統を」

絵里「・・・!」

善子「・・・馬鹿なっ!!ならばアメリカとの条約は!?」

鞠莉「まさか、ここまで来て白紙にするのデースか!?許されないわよ!」

花陽「黙りなさいッ!!」

善子「ひっ!」

鞠莉「・・・っ」

花陽「・・・」スッ・・・

絵里「・・・」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



花陽「・・・彼女の、最後を話して」

絵里「彼女が、どう生きたかをお話しましょう」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

62 : 名無しで... - 2019/07/16(火) 20:13:40.42 as5223L3 46/46

くぅつか
端折りまくったけどラストサムライは面白いよ!(必死)

過去作も幾つかどうぞ

絵里 「雨の日のコーヒー」
https://ayamevip.com/archives/57059559.html

穂乃果 「第一次音ノ木坂抗争」
https://ayamevip.com/archives/57059562.html

絵里 「ゲームセンターに行きましょう!」 にこ 「拒否」 希 「話を聞こう」
https://ayamevip.com/archives/57062822.html

にこ 「絵里って」 希 「映画の影響」 ことり 「受け過ぎだよね」
https://ayamevip.com/archives/57062820.html

絵里 「真夜中に」 にこ 「愚痴を肴に」 希「姦しく」
https://ayamevip.com/archives/57064806.html

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