あやめ速報-SSまとめ-

吸血鬼「じゃあまず家の外に出る練習ね」

ギィー、バタン

吸血鬼「ほら、こっち来て」

妹「うん……」

妹「……うぇ」バタン

吸血鬼「ちょっと！大丈夫！？」

妹「うぅ……」

吸血鬼「ほら、元気出して」

妹「う……」

吸血鬼「うーん、いきなりダメかー」

妹「……あのね、お姉ちゃんと手繋いでると平気かも」

吸血鬼「手、繋ぎたいの？」

妹「うん」

吸血鬼「ふぅ……そうね」

ぎゅっ

お姉ちゃん「……正門まで歩いて来ちゃったけど」

妹「……大丈夫」

お姉ちゃん「えらい子ね」撫で撫で

妹「えへへ」

お姉ちゃん「……ここで離したら？」パッ

妹「なんだかおなか痛くなって来た……」

お姉ちゃん「……はぁ」

ぎゅっ

吸血鬼「さっきからずーっと森の中お散歩してるけど」

妹「らんらん」

吸血鬼「……そろそろ慣れて来たかな？」

妹「えっ、やだ、離さないでお姉ちゃん」

吸血鬼「わかったわかった。じゃあお屋敷まで戻ろうか」

妹「うん！」

妹「あっ、うさぎさんだ」

吸血鬼「触りたい？」

妹「うん」

吸血鬼「仕方ないわねー……ほら」ぎゅっ

妹「もー、耳なんか掴んだらいたそーだよー！」

吸血鬼「えっ、あっ、そうね」

吸血鬼(食用としてしか見てなかった。危ない危ない)

妹「ぷにぷにー」

吸血鬼「気分悪くなったりしない？」

妹「……なんか触ったところから気持ち悪くなってきた」

吸血鬼「ふふ、じゃあ早く帰りましょうね」

妹「ふふー！とうちゃーく」

吸血鬼「ふふっそうね」バッ

妹「あっ……」

吸血鬼「……大丈夫？」

妹「……ううん！大丈夫！」

吸血鬼「本当！？じゃあこれからは一緒にお散歩できるね」

妹「うん！」

吸血鬼(しかし、街まで行くとなるとそうは行かないかも……)

吸血鬼「電話電話っと」

ガチャ

吸血鬼「悪魔ー、元気ー？」

悪魔「ええ元気よ、ところで何か用？」

吸血鬼「いやさ、妹がお外に出れるようになったから」

悪魔「本当？じゃあお祝いしなきゃね。お外だしバーベキューかな」

吸血鬼「森が火事で焼けちゃうんじゃない？」

悪魔「流石にそこまでは……それでどの範囲ぐらい？」

吸血鬼「一応屋敷の敷地内は平気になったよ」

悪魔「それなら平気ね。今度お祝いしましょうね」

吸血鬼「ええっ、それじゃあ」ガチャッ

妹「おねーちゃん、今の誰？」

吸血鬼「悪魔よ。今度お祝いしてくれるって」

妹「わーい、黒姉だー！」

吸血鬼「>>13即興で書いてるからミスが多いのね>>14デザインモチーフは三女だよ。よくわかったね」


吸血鬼「って言ってたけどいつお祝いするのかしら」

妹「……お姉ちゃん」

吸血鬼「ん、なぁに妹ちゃん」

妹「もっとお外行けるようになりたい」

吸血鬼「じゃあ、もっとお散歩しましょうね」ぎゅっ

妹「わぁい！お姉ちゃん大好き！！」

ぎゅっ

吸血鬼「結構奥に来ちゃったけど」

妹「へーきへーき！」

吸血鬼「……そうね」

吸血鬼「そろそろ街が見えてくるわよ」

バサァッ

吸血鬼「ふぅ、妹ちゃんは見るの初めて？」

妹「うん！おーきい！」

吸血鬼「……へーきかな？」

妹「……わかんないけど、いいよ」

吸血鬼「じゃあ」バッ

妹「……うぇえ」

吸血鬼「……街はずっと手を繋いでないとダメね」

お屋敷

吸血鬼「へへへ」

妹「お姉ちゃんどうしたの？」

吸血鬼「ほらっ、これ」

妹「わぁい！美術館の前売り券だ！」

吸血鬼「妹ちゃんは絵とか好き？」

妹「うん！大好き！」

吸血鬼「……じゃあ、明日行きましょうか」

妹「本当？やったー！」

ぎゅっ

吸血鬼「いい？手は絶対話しちゃダメよ？」

妹「うん」

吸血鬼「と言っても手繋いでちゃレストランは行けないわね」

妹「いいよ、お姉ちゃんのお料理のほうが一番美味しいもん」

吸血鬼「嬉しいこと言ってくれるわね」

妹「うん！お姉ちゃんが一番！」

吸血鬼「先にオモチャ屋よってく？」

妹「ううん、美術館行きたい」

吸血鬼「そう、じゃあ帰りにぬいぐるみ買ってあげるね」

妹「えへへー、絵がみたいなー」

吸血鬼「教養あるいい子ね。よしよし」

妹「えへへ。早くいこーよ」

吸血鬼「ええ、じゃあ行きましょうか！」

美術館

吸血鬼「おっきいわねー」

妹「うん！すっごい！」

吸血鬼「でも……」

バラバラ

吸血鬼「あんまり人いないわね……」

妹「そうだね……」

吸血鬼「平日だからかしら。まぁ早く受付を済ませましょう」

『全身から汗が湧き出る像』

吸血鬼「なにこれ」

『五十三万尺様』

妹「気持ち悪い」

『蜚蠊』

吸血鬼「絵なの？これただのモザイクじゃ」

『遊星より愛を込めて』

妹「火傷痛そう……」

『オラが村に来襲した宇宙人』

吸血鬼「なんか、変なのしか置いてないわねー。でも面白いかも」

妹「うん、変なの」

妹「なんか気持ち悪くなってきちゃった」

吸血鬼「あっちに椅子あるから座りましょうか」

妹「うん……！」バッ

吸血鬼「妹ちゃん？手離しちゃ――」

妹「……すごい」

吸血鬼「……女の子の絵ね。気に入ったの？」

妹「うん！」

吸血鬼(集中すると平気なのかしら)

妹「……かわいい」

吸血鬼「名前、書いてないわね。作者は同じなようだけど」

妹「……」

吸血鬼「時価2億か……購入時1億……」

妹「……」

吸血鬼「欲しい？」

妹「……うん」

吸血鬼「買い取れるかしら。お金はあるけど……」

天使「あれ、吸血鬼じゃん」

吸血鬼「あら天使こんなところで出会えるとは偶然ね。悪魔は？」

天使「バーベキューの準備してるよ」

吸血鬼「あぁ……」

天使「妹ちゃんお外出れるようになったんだ」

妹「うん！」

吸血鬼「ねぇこの絵」

天使「……気に入っちゃったんだ」

吸血鬼「そうね、でも難しいわよね」

天使「館長とちょっと商談してくる」

吸血鬼「えっ？」

天使「ここのスポンサーは僕だからねー」

吸血鬼「そうなの！？」

天使「500万ならおkだってー」

吸血鬼「手が血塗れだけど……」

天使「細かいことは気にしないの！明日のバーベキューの時に持ってくね！」

吸血鬼「えぇ！」

妹「えへへ」

吸血鬼「……帰ったらどこに飾るか決めましょうか」

屋敷

吸血鬼「疲れた？」

妹「ううん、へーき」

吸血鬼「そう、いい子ね」よしよし

妹「えへへ」

吸血鬼「……どこがいいかしらねー」

妹「……お部屋がいい」

吸血鬼「……お部屋？一緒に居たいのね、わかった」

翌日

天使「持って来たよー！」

悪魔「バーベキューセット重い……」

吸血鬼「重労働ね……」

妹「お腹減った」

吸血鬼「早く準備しましょう！」

悪魔「えっ、えぇ」

天使「はいこれ妹ちゃん、重いから気をつけてね」

妹「うん！」

妹「かわいいなぁ」ガコン

吸血鬼「あらあら、椅子に載せちゃって」

悪魔「一緒に食べたいんじゃない？」

天使「火つけるよー！」

妹「わーい！」

吸血鬼「絵の女の子に食べさせちゃダメよ？」

絵画『ちぇっ……』

妹「あれ？」

吸血鬼「どうかした？」

妹「……ううん、なんでもない」

吸血鬼(……あれ？あの絵、あんな悲しそうな顔してたかしら)

天使「あー、バーベキューのビールはたまらん！」

吸血鬼「そ、そうね。でもあなたそんなキャラじゃ」

悪魔「妹ちゃんはオレンジジュースね」

妹「はーい」

絵画『いいなぁ』

妹「……お姉ちゃんもう一杯」

悪魔「うん？そう？」

妹「はい」かこん

吸血鬼「あらあら、妹ちゃんは偉いわね」

妹「うん……！」

吸血鬼(心なしかさっきより笑ってる気がする)

天使「はー食った食った」

妹「お腹いっぱーい」

吸血鬼(妹ちゃんが絵画の前に置いた串焼きとジュースがなくなってる)

吸血鬼「あんた食べた？」

悪魔「いいえ？天使じゃない？」

吸血鬼「あいつはさっきからずっと焼いてたから多分違うし」

悪魔「じゃあ妹ちゃんじゃない？自分で置いたんだし」

吸血鬼「かしら……いや、まさかねぇ」

吸血鬼「じゃあ、ここがいいかしら。ベッドの近くだし」

妹「うん！」カコン

吸血鬼「しっかし、綺麗な女の子のねぇ」

妹「うん、お友達になりたい」

吸血鬼「……お友達が欲しかったんだ。そうね、年も近そうだし」

妹「えへへ！」

絵画『……』

天使「じゃあ僕たちは帰るから」

悪魔「じゃあねー」

吸血鬼「ええ、また今度」

妹「バイバーイ」

吸血鬼「お風呂入りましょう……妹ちゃん？」

妹「……お風呂」

吸血鬼「うぅん、その子はお風呂入れないでしょ」

妹「うん……」

吸血鬼「ふふっ、最初のお友達だもんね。お風呂出たら一緒に絵本読んであげる」

妹「うん！」



絵画『……行っちゃった。ちぇっ』

吸血鬼「……すべすべ肌ねぇ」

妹「えへへ、お姉ちゃんもモチモチしてる」

吸血鬼「うーん、頬ずりしたくなっちゃう」すりすり

妹「くすぐったいよぉ」

吸血鬼「さぁどれくらい成長したかなー？」抱きつき

妹「きゃっ！お姉ちゃん……」

吸血鬼「うふふ、柔らかいわねぇ幼い幼い……」

妹「ひゃふっ！そこ汚いところだよぉ」

吸血鬼「……お姉ちゃんとキスしてみようか」

妹「……うん」ゴクリ

吸血鬼「ん……」つぷ

妹「んん」つぷぷ

絵画「お姉ちゃん、と、妹」

絵画「……いいな」

絵画「一緒にいたい」

絵画「いたいのに」

吸血鬼「ふー、いい湯加減だったわねー」

妹「あったかふわふわー」

吸血鬼「さぁ、もう寝ましょうか。今日の絵本はどうする？」

妹「じゃあ、いつものあれ！」

吸血鬼「ふふ、そうね。絵画ちゃんにも読ませてあげないとね」ガコン

吸血鬼「どう？面白かった？」

妹「うん！」

絵画『……うん』

吸血鬼「じゃあ妹ちゃん、絵画ちゃんを飾ってあげて」

妹「はぁーい」ガコン

絵画『……』

吸血鬼「おやすみなさい妹ちゃん」ちゅっ

妹「うん、おやすみお姉ちゃん」




吸血鬼「うん……ちゅっちゅ」

妹「えへへーくすぐったいなぁ」

絵画『……えい』

妹「うひゃっひゃっ、くすぐったい」

絵画『妹ちゃん』

妹「ふぇっ？」

絵画『こっちこっち』

妹「絵画ちゃん？」

吸血鬼「いもーとちゃーん」

妹「うっ」びくっ

絵画『しー』

吸血鬼「うーむにゃむにゃ」

絵画『こっちこっち、飛び込んで見て』

妹「うん……えい！」

吸血鬼「うふふ、もうお腹いっぱい」

妹「わぁ！本物の絵画ちゃんだ！」

絵画「一緒に遊びましょう！妹ちゃん」

妹「うん！でもここには何もないよ？」

絵画「ほらっ、クレヨン」

妹「クレヨン？」

絵画「好きな物を描いてずーっと遊びましょう！」

妹「うん！」

絵画「こっちには私が書いたお家があるの」

絵画「こっちには美術館！」

妹「いっぱいあるね！」

絵画「妹ちゃんが大好きな物がいっぱい、いっぱいあるよ」

妹「えへへ、じゃあ遊園地描こうよ！」

絵画「うん！」

妹「ジェットコースター！」

絵画「いぇーい！」

妹「ティーカップ！」

絵画「わほーい！」

妹「お化け屋敷ー！」

絵画「きゃふーい！」

妹「最後は……観覧車！」

絵画「高いねー！」

絵画「楽しいね！」

妹「うん！……」

絵画「どーしたの？」

妹「お姉ちゃんがいればもっと楽しいのに……」

絵画「……ちっ……そうだ！秘密の場所に案内してあげる！」

妹「秘密の場所？」

絵画「ほら、あたしの部屋」ガチャリ

妹「うん、いろんな物があるね」

妹「絵本……に、オモチャにぬいぐるみ」

絵画「……楽しいでしょ」

妹「えっ、うん……」

絵画「楽しいでしょ？」

妹「……」

絵画「楽しいって言ってよ！ずっといたいって言ってよ！」

妹「こ、怖いよ、絵画ちゃん！」

絵画「どうして逃げるの！？どうして一緒にいてくれないの！？」

妹「か、鍵が空かないよ！？」

絵画「出ていかせない！貴方はずっとあたしといるの！あたしの友達なんだからあたしの目の前からいなくならないでよ！」

妹「お、お姉ちゃん……」

絵画「貴方はずっと一緒、この中にいればずっとあたしといられるの」

妹「いや、やだ！やだあ！」

絵画「みんなみんな、あたしを放ってどっか行っちゃうの」

絵画「みんなみんな、年老いて死んじゃっていくの」

絵画「もうそんなの嫌なの！だから妹ちゃんはずっとあたしといるのよ！」

妹「ぐすっ……お姉ちゃん、お姉ちゃぁぁああああん！！」

！！

吸血鬼「妹のピンチ！」

吸血鬼「でいや！」

絵画「どうやって入って来たの！？」

妹「お姉ちゃん！？」

妹「ぐすっ、お姉ちゃん！怖かったよぉお」

吸血鬼「よしよし、泣かないでね」

絵画「……許さない！貴方達なんか許さない！」

吸血鬼「……どうして貴方はそんなに怒ってるの？」

絵画「みんなあたしを置いてっちゃうの！あたしはみんなといたいの！」

吸血鬼「……なぁんだ、簡単なことじゃない」ガシッ

絵画「いやっ！離して！痛い！」

吸血鬼「でぇいや！」

妹「ぐすん」

吸血鬼「ほらっ、起きて絵画ちゃん」

絵画「……ここ、どこ」

吸血鬼「お外よ、絵のね」

絵画「……えっ？」

吸血鬼「そんなダジャレ行ってないで、今日は一緒に寝ましょうね」

妹「絵画ちゃん……」ぎゅっ

絵画「お外、お外出れたの？あたし！本当！？」

吸血鬼「うん、ベッド狭くなっちゃうわね」

絵画「お姉ちゃんが出してくれたの……お姉ちゃん！」ぎゅっ

吸血鬼「ふふっ、明日から妹が二人か……」

早朝

吸血鬼「……んぁっ、あら、夢だったのかしら」

絵画『』

吸血鬼「元に戻ってるしねぇ」

妹「おはようお姉ちゃん」

吸血鬼「おはよう妹ちゃん」



絵画「……おはよう二人とも！」ぬっ

吸血鬼「あら、やっぱり生きてたんじゃない」

妹「わーい！絵画ちゃん、遊ぼう」

絵画「うん！」

吸血鬼「……ふふっ、二人ともその前に朝食よ！」

絵画「お姉ちゃん額縁買って！」

吸血鬼「どうして？」

絵画「あたし他の額縁にワープできるの！」

妹「ならお風呂にも一緒に入れるね！」

絵画「うん！」

吸血鬼「ええっ、わかったわかった。家中に飾ってあげるわね！」

妹「絵画ちゃん。ちゅっ」

絵画「えへへ、大好き！」