伊織「あわわわ……どうしよう、小鳥のデスクからイケない本を発掘してしまったわ」
伊織「……こんなの持ってくるなんて、小鳥ったらレディーの風上にも置けないわねっ!」
伊織「……」チラ
伊織「ちょ、ちょっとだけ……これは、そう、後学の為よ」
ペラ
伊織「こ、これは……!」
伊織「ふお、ふおぉおお……っ! そんな、これ……えっ、まさかこんなところに……」
伊織「お尻の穴と、その……男性器の間に、私の知らない穴が……!」
伊織「あわわわわ……」
ガチャ
小鳥「ただいま戻りましたー……うう、暑い暑い」
伊織「!」ドッキーン
小鳥「あら、伊織ちゃん。帰ってたのね」
伊織「ええ。小鳥、買出しご苦労様」
小鳥「伊織ちゃんはいつでも涼しそうね~。羨ましいわ~」
伊織「何言ってるのよ、私だって人並みに暑さは感じてるわ」
小鳥「そうは見えないけど……」
伊織「小鳥。暑いと思っても、それを表に出したりしたら、はしたないわよ? 淑女なら、もっと落ち着いていないとね♪」
小鳥「はーい……」
伊織(あわわわ……とっさに、服の中に例の本をしまってしまったわ)
伊織(バレたらどうしよう……あわわわわ)
伊織(こんなの持ってたら、ヘンタイだと思われちゃうじゃない!)
小鳥「さーってと! 一息ついたし、私もお仕事の続きを……あら?」
伊織「どうしたの?」
小鳥「あ、いやね……なーんか、私のデスクの配置が変わってるような気がして」
伊織「!」ドッキーン
小鳥「気のせいかしら……」
伊織「普段からごちゃごちゃした小物ばっかり置いてるのに、そんなわかるわけ?」
小鳥「わっわかりますとも! むしろ私にとっては、あの配置がベストなんですっ! ……あら?」
伊織「今度は何よ」
小鳥「伊織ちゃん、それ……私の、キン消しじゃない?」
伊織「!」
伊織(あわわわわ……そうだった、私はこのロビンマスクが欲しくて、小鳥のデスクを漁っていたんだったわ)
伊織(名残惜しいけど、ここで油断してイケない♂本を持っているのがバレたら、そっちの方が問題ね……)
伊織「きっと、さっきの地震で落っこちたんでしょ……はい」
小鳥「ありがと♪ 良かったわ、これは一生の宝物なんだから。……でも地震なんて、あったかしら?」
伊織「外に出ていると、案外気付かないものよ。千早の胸が揺れて大変だったんだから」
小鳥「そ、そうなの?」
伊織「ええ。それじゃ、私はもう帰るわね。今日はもう何も予定もないみたいだし」
小鳥「見たかったなあ、千早ちゃんの胸揺れ……」
伊織「にひひ♪ そんなこと言ってるから、旦那さんの候補がいないんじゃないの?」
小鳥「そっ、そんなこと関係ありませんっ!」
伊織「どうかしら♪ それじゃあね~」
伊織(あわわわ……この場を逃げ切るために、とっさに嘘をついてしまったわ)
伊織(本当はこのあと、竜宮小町でミーティングがあったのに……あわわわわ)
ガチャ
伊織(ハッ! しかも私、♂イケない♂薄い本を持ったままじゃない!)
伊織(は、早く! 一刻も早く、この本を処分しないと……)
やよい「あれ? 伊織ちゃーんっ!」
伊織「!」ドッキーン
やよい「どうしたの、そんな顔して……汗がドバーって!」
伊織「そ、そう? ま、まあ今日は暑いからね」
やよい「事務所から出てきたばっかりに見えたけど……」
伊織「冷房が壊れてたのよ……まったく、この季節にクーラー無しなんて、信じられないわ」
伊織(あわわわ……どうしよう、またひとつ嘘をついてしまったわ)
伊織(本当は冷房は壊れてなんかいなかったのに……あわわわわ)
やよい「? あれーっ?」
伊織「どうしたっていうのよ……そんなに見つめないでちょうだい。ドキドキしちゃうじゃない」
やよい「伊織ちゃん! お腹からなにか出てるよっ!」
伊織「!」ドッキーン
やよい「本? なんの本かなー」
伊織(そうだった……私は、ちょうど腹巻を巻く感覚でエロ本をしまっていたんだった)
伊織(薄着だから、バレバレじゃない! あわっわわっわ)
やよい「ねえねえ何の本? お料理の本? 歌の本?」
伊織「なんでもないわよ! ど、どうしてそんなに興味持つわけ?」
やよい「えへへ……」
やよい「私 伊織ちゃんのことなら なんでも知りたいんだもん」
伊織「やよい……」
やよい「ねえねえ」
伊織(私は……なんてことをしてしまったのかしら)
やよい「ねえねえねえ」
伊織(やよいは、私にとってかけがえのない親友。いや、それ以上の存在だって言うのに、嘘をつくなんて)
やよい「ねえ」
伊織(やよい……ごめんね、私……いえ、私たちは!)
伊織(ふたりでひとつ! 地元じゃ負け知らずだもんげ!)
やよい「ね」
伊織「やよい! こっちに来なさいっ! 一緒にこの本を読むわよっ!」グイグイ
やよい「はわわっ そ、そんなにひっぱらないでーっ」
伊織(あわわわ……やよいを、路地裏に連れ込んできてしまったわ)
やよい「はぁっ……んっ……いおりちゃん……ご、強引すぎるかなーって……」
伊織「あんた、体力には自信あったでしょ? これくらいの距離で、何へばってるのよ」
やよい「だ、だって……んっ……んはぁっ……」
伊織「……」
やよい「伊織ちゃんに手をつながれると、それだけで……」
伊織「…………!」
伊織(ハッ! こ、この状況……これはまさに、この本に書いてあったシチュと一緒じゃない!)
やよい「心臓がバクバクーってなって……それでね……」
伊織(誰もいない路地裏……汗がびしょ濡れになって、服がぺったりと張り付いた、受け役……)
やよい「……聞いてる? 伊織ちゃん……」
伊織「あわわわ……はっ、声に出してしまったわ! 聞いてる、聞いていますとも!」
やよい「伊織ちゃん……」ペロリ
伊織「!」ドッキーン
伊織(言っておくけれど、やよいが私のことを舐めたわけじゃないわ。やよいはただ、自分の唇をペロリと舐めただけ)
伊織(それなのに、私ってば……)
やよい「うんっ……ここ、暑いね……」
伊織「そう? 日が照ってる表よりは、いくらか涼しいと思うけど」
やよい「ううん、暑いですー……はぁ、はぁ……」
伊織「……」
伊織(やよいの唇……リップも口紅も付けていないのに、なんでこんなに、ぷるんとはずんでいるのかしら)
伊織(そう、これはまるで……)
やよい「伊織ちゃん……」ペロリ ペロリ
伊織(まるで……キン肉スグル……)
伊織(だ、ダメよいおりん! やよいは純粋なのよ!)
伊織(そんな……、スグルみたいに、私の心を惑わせるなんてこと、あるわけないじゃない!)
伊織(でも……)
やよい「……」ぷるん
伊織「じゃ、じゃあさっそく、見ましょうか……」
やよい「……うん! それじゃあ、私が伊織ちゃんのお腹から、本を出してあげるね」
伊織「あら、気が利くわね。それじゃあお願いするわ」
伊織(あわわ……やよいが近づいてくる。私の手を煩わせないように取ってくれるなんて、なんて優しい子なの)
伊織(やよいの匂い)
やよい「えへへ……まだまだ先は長いもんね」ボソボソ
スルッ…… スルルッ……
伊織「あわわんっ」
伊織(あわわわあわわ……お腹と本がこすれて、変な声が出てしまったわ)
やよい「……んっ、出たよ……いっぱい出ましたーっ……」
伊織「あ、ありがと……良かったわよ、やよい」
伊織(あら? よく考えたら、別にやよいに取ってもらわなくても、自分で本を抜けばよかったじゃない)
伊織(むしろ意味がわから――
やよい「それじゃあ伊織ちゃん! 一緒に読もっか!! ねっ!!」
伊織「そ、そうね」
伊織(やよいの大きな声のせいで、何を考えていたか忘れてしまったわ)
伊織(……ハッ! いけないいけない、やよいのせいにするなんて……)
伊織(すべてはそう、小鳥のデスクからこの本を持ち去ってしまった、私の罪(ギルティ)なんだから)
やよい「……」チラ
伊織(やよかわ)
伊織「ふたりで読むには、どうしたら良いかしら……」
やよい「……それじゃあ、地面に見開いて置いたらどうかな?」
伊織「天才ねやよい即採用やよいかわいいわやよい」
パサッ
伊織「そ、それじゃあ……開くわよ」
やよい「うんっ!」
伊織「ゴクリ……」
伊織(今から、私はこの本を再び開くのね……思えば長い道のりだったわ)
伊織(そう、あの時……テリーマンとロビンマスクを求めて小鳥のデスク荒らしをしていた時)
伊織(私はこの本と出会ったのよ。そう……)
ペラリ
やよい「!!」
伊織(この……ロビンマスク×ウォーズマン本と)
やよい「はわわっ……えっ、そんな……! こ、こんなところで……!」
やよい「ロビンマスクさんの股間のタワーブリッジが……えっ! はわわわ」
伊織「あわわわわ……ウォーズマンの……やおい穴に……王道だけど、邪道だわ! あわわわ」
やよい「はわわわ」
伊織「あわわわ」
ミーンミンミン…… ミーンミンミン……
伊織(――それはとても暑い、夏だった。私たちは、まだまだ何も知らない、子どもった)
伊織(どうしてこうなってしまったのか、私にもわからない。けれど……)
伊織(大好きな親友と、こうして一緒の時間を過ごせているだけで、それだけで私は満たされていた)
伊織「……」チラ
やよい「はわ、はわあわ……」プルン
伊織(なんてこと! この体勢だと……、だらんとくたびれたノースリーブの隙間から、やよいのパイオツが見えちゃうじゃない!)
やよい「うぅ……こんなことって……」チラ チラ プルルン
伊織(やよいのパイオツ)
伊織(未成熟だけど、だがそれがいい……)
やよい「ちら……ちら……」
伊織(やよいが見せ付けるような表情をしているように見えるけど、それは錯覚ね)
伊織(それは、私の不純な気持ちが生んでしまった、夏の陽炎……なんといっても、やよいは純粋だもの)
やよい「伊織ちゃん……」ピト
伊織「!」ドッキーン
伊織「ど、どうしたっていうのよ。こんなに暑いのに体をくっつけてくるなんて」
やよい「うん、熱いね……なんだか、体が熱くなっちゃいましたー……」
伊織(あわわっわっわっわわわっほい!)
やよい「伊織ちゃんは、なんだかいつでも涼しそうな顔してるから……お肌も冷たいのかなーって」
伊織「そ、そんなことあるわけないでしょ? 私だって人間なんだから、体温くらい……」
やよい「んー……冷たくてきもちーですー……」
伊織「そ、そう? やよいが言うなら、そうなのかもしれないわね。私はいつの間にか、変温動物になっていたのかも」
やよい「……ずーっとこうして、一緒にいられたらいいね」
伊織「……そうね」
ミーンミンミン…… ミーンミンミン……
伊織(――それはとても暑い、夏だった。私たちは、まだまだ何も知らない、子どもった)
伊織(私たちは、ただ……先の見えない将来のことを、少しだけ不安に思いながら……)
伊織(いつ消えてしまうかもわからない、お互いの体を……、少しばかり期待を胸に抱きながら、必死に寄せあっ
やよい「 ず ー っ と 、 い っ し ょ だ よ 」ニコォ…
伊織「そ、そうね」
律子「伊織ぃい! どぉーこ行ったぁあああ!!」ドテドテ
伊織「!」ドッキーン
やよい「あれ? この声、律子しゃ――んぐんぐ」
伊織「しっ! やよい、静かに……!」
伊織(そうだった……私は、竜宮小町のミーティングがあるにも関わらず、一刻も早くこの本を読――)
伊織(じゃなくて、処分するために、嘘をついて事務所を抜け出してきてしまったのだ)
やよい「……」
はむっ
伊織「!」ドッキッキーン
伊織(やよいのキューティリップを押さえる、この私の手の平に……なにやら妙な感覚が巡ったわ)
伊織(これは……)
はむはむ……ぺろり
伊織「あわっわっわん」ゾクゾク
ぺろぺろ……
伊織「やよい、どうしてこんなっ……」
やよい「……もがもが」
伊織「え? なになに……?」
伊織(やよい読唇術をマスターした私にとっては、手の平の感覚だけで、やよいが何を言いたいのかがわかるわ)
伊織(やよいが言いたいのは、つまりこういうことね……さ・い・き・ん……)
『最近、春香さんの体重増えてきてるかなーって』
伊織「バカヤロー! 今そんなこと話してる場合か!」
律子「!! 伊織、そこにいるのねっ!」
伊織「!」ドッキーン
伊織(あわわわ……律子にバレてしまったわ……あわわわわわ)
律子「……」ズンズン
シュア シュワア…
伊織(あわわ……律子の体から出ている蒸気が……鬼の顔を描いている)
伊織(このまま見つかったら、元殺し屋の暗殺術にかかって死んでしまうわ)
やよい「……!」
ぺろかぷ
伊織「や、やよい? 今度は何を……あ、あっ、あわわんっ」
『伊織ちゃん、このダンボールの中に!』
伊織「だ、ダンボール? ……ハッ」
伊織(なんてこと! ちょうどいいところに、私とやよいがすっぽり隠れてしまいそうな大きさの)
伊織(業務用ダンボールがあるじゃない! でかしたわ、やよい!)
ガサゴソ……
伊織(こちらスネーク。やよいと共に、路地裏に潜入した)
伊織(これでやり過ごせるはずね。なんて言っても、ダンボールは世界がほこ――
律子「フンッ!」
バシュン
伊織「……!」ガクガク
律子「バレないと思ったか、このゲーム脳め」
伊織(指示を! やよい、指示をくれ、やよいー!!)
やよい「り、律子さん……ごめんなさい、私……イケないとは思ったけど、伊織ちゃんに……ぐすっ」
律子「やよい……」
やよい「で、でも! 伊織ちゃんを怒らないでくださいっ! 止められなかった、私が悪いんですっ」
伊織(大佐ぁあああああ)
律子「やよい……あなたは悪くないわ。無理矢理連れてこられたんでしょう?」
やよい「そっ、それは……そうですけどーっ……」
伊織「やよい!? あんた、私を……」
律子「じゃあ何、やよいが嘘を付いているって言うの?」
伊織「そんなことありえないわ。やよいは悪くない」
伊織(やよいが嘘をつくなんて、そんなことあるはずないじゃない。なんといっても、やよいは純粋なのよ)
伊織(そうよ。ここに連れてきたのだって、確かに私が勝手にしたこと)
伊織(やよいと、このロビウォー本を読むために……)
小鳥「」ゴゴゴゴ
伊織(あわわわわ……小鳥もいるなんて、聞いてないわよ……あわわわわわ)
小鳥「――を」ボソボソ
伊織「え?」
小鳥「……を付けたな……」
伊織「な、なによ。もっとはっきり喋ってちょうだい」
小鳥「泥を付けたなと言っているッッ!! この薄汚い、路地裏の泥をッッ!!」
小鳥「私のッッ! ロビンマスクのッ! ロビンスペシャル本にッッ!!!」
伊織「っ!」
伊織(小鳥が怒るのも、無理はないわ……私、なんてことを……あわ……)
やよい「……そんな伊織ちゃんには」ボソリ
律子・小鳥「「……!」」
…… ティーン ……
伊織(な、なに? やよいが呟いた瞬間、ふたりの目から光彩が消え――)
やよい「おしおき、しないといけませんね♪」ニコォ…
律子「ソウネ」
小鳥「ヤヨイチャン、ソノトオリダワ」
伊織(あわわわ……なんてことなの、やよいが言霊使いだったなんて)
律子「サァ、コッチヘキナサイ」
小鳥「ダイジョウブ、サキッチョダケダカラ」
律子「イタイノハ、サイショダケダカラ」
伊織「……わかったわ」
やよい「伊織ちゃん……」
伊織「やよい……ごめんなさい、ここまであなたを巻き込んでしまって」
やよい「ううん、いいの。私、伊織ちゃんのこと、攻めたりしないから」
やよい「私は……、誘い受けだから」
伊織「やよい……」
ミーンミンミン…… ミーンミンミン……
伊織(――それはとても暑い、夏だった。私たちは、まだまだ何も知らない、子どもった)
伊織(やよいが言った言葉は、私にはまだ早すぎて、よくわからなかったけど……、これだけは言える)
伊織(そう、私たちはふたりでひとつ。地元じゃ負け知らず……だから、私とやよいは、これからも―――)
やよい「 ず ー っ と 、 い っ し ょ だ よ 」ニコォ…
おわり
56 : 以下、名... - 2012/08/10(金) 05:32:50.81 orLUOMMt0 24/24なんでこんなものを書いたんだろう