1 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:26:55.31 f76XGN4O0 1/41

花陽「あれ? 真姫ちゃん、凛ちゃんはどこに行ったのかなぁ?」

真姫「今日はもう、先に部室に行ったんじゃない?」

花陽「ああ、そうだねぇ。凛ちゃん忘れ物したとか言ってたし」

真姫「私たちも早く行きましょう」

花陽「うん」

「か、かよちん! 真姫ちゃん!」

花陽「あ、凛ちゃん」

真姫「忘れ物はとってきたの?」

「そ、それどころじゃないよ! 来て来て!」

花陽「?」

真姫「ちょっとどうしたの?」

元スレ
凛「凛が2人でふたりんりん」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407054405/

2 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:29:15.74 f76XGN4O0 2/41



「連れてきたよ!」

花陽「凛ちゃん? 誰もいないよ?」

真姫「ってここ部室じゃない。何もそんなに急かさなくても……」

「よかったにゃあ……誰にも見つかってないよね?」

「大丈夫だよ!」

花陽「」

真姫「」

「……ということです」

「です」

真姫「ちょ……っと待って。よくわかんない」

花陽「わ、私も……」

6 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:31:43.34 f76XGN4O0 3/41

「だからね、凛はこっちの凛と……」

「こっちの凛に分裂しちゃったの」

真姫「ぶ、分裂!?」

花陽「だ、大丈夫なの?」

「凛はなんともないよ」

「うん、凛もなんともなーい」

真姫「え? 凛が2人って……からかってるわけじゃないわよね?」

「そんなことしないよぉ」

「凛のこと疑うなんてひどいにゃー!」

真姫「ごめんなさい……でもそんな……」

花陽「うーん……凛ちゃんが部室に2人……すごい展開だね」

7 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:35:04.03 f76XGN4O0 4/41

「とにかく、2人にわかれちゃったんだよ」

「うん、くしゃみしたら」

花陽「え、ええっ!? くしゃみで!?」

「そうだよ」

真姫「……内臓的なものでも飛び出たんじゃ」

「ひぃっ!?」

花陽「でもこの反応はどっちも凛ちゃんだよねぇ……」

真姫「私もそう思うわ。長い付き合いの花陽でも見分けつかないんだし」

「真姫ちゃんだって、これから付き合い長くなるよ?」

「うんうん」

真姫「ありがと。それよりこの状況どうするのよ」

「……とりあえず凛1人じゃ解決できないから2人を呼んだの」

真姫「あんたたち今2人じゃない」

「はっ」

「本当だ!」

8 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:38:01.42 f76XGN4O0 5/41

「うーん、これどうしたらいいのかなぁ」

花陽「手を繋いでみるとか」

「それはもうやったよ」

「おんぶしたり抱き合ってみたり……」

「できることは全部やっちゃったよ」

真姫「なるほどね。でも戻れない、と」

「そうそう」

「これじゃあみんなをびっくりさせちゃうにゃ」

花陽「そうだね、どうにかして解決策を……」

絵里「あ、みんな来てるー?」

真姫「」

花陽「」

絵里「えっ、なにこれ」

9 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:39:55.36 f76XGN4O0 6/41

絵里「凛が2人……はっ!」

絵里「み、見ちゃダメよ凛! ドッペルゲンガーだから見たら死んじゃうわ!」

「ええっ!?」

「死んじゃうの!?」

花陽「え、絵里ちゃん落ち着いて」

真姫「そうよ絵里、これはドッペルゲンガーなんかじゃなくて……」

絵里「え? 双子?」

花陽「ち、違うよ絵里ちゃん、そういうわけじゃ……」

真姫「花陽。それは隠しておいた方が都合がいいわ」

花陽「え? なんで?」

11 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:42:55.92 f76XGN4O0 7/41

真姫「その方が現実的で、絵里には理解しやすいじゃない」

花陽「そ、そうだね……」

真姫「凛が分裂したなんて言っても信じてもらえるわけが……」

絵里「凛が分裂した?」

真姫「しまった」

花陽「え、絵里ちゃん、これは……その……」

絵里「ハラショー……やっぱり日本にはニンジャの末裔がいたのね……つまりそれが凛」

絵里「すごいわ凛! あんなに運動神経がいいのもそれなら合点がいく……」

「忍者?」

「忍者がどうかしたの?」

真姫「……もうこれでいいわ」

12 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:45:17.52 f76XGN4O0 8/41

花陽「えーっとね、絵里ちゃん」

絵里「なに? やっぱり写真撮っといた方がいいかしら」

「じゃあ凛は左に立つよ」

「凛は右ね」

真姫「違うでしょ。解決方法を探してるんじゃなかったの?」

「あ、そっか」

「ごめんね絵里ちゃん、写真はまた今度ね」

絵里「わかったわ。国家機密だものね」

「?」

「きみつ?」

花陽「絵里ちゃん、とにかく話を聞いて」

絵里「はい」


13 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:48:33.28 f76XGN4O0 9/41

花陽「凛ちゃんは……その、分身しちゃったけど戻り方がわからなくなっちゃったの」

絵里「ふむふむ。やり方は知ってるけど、戻し方は知らないって言うのは典型的なパターンね」

真姫「そうなの?」

絵里「よく映画とかであるじゃない。術を解くには私を倒せ―っていうの」

「凛、倒されちゃうの?」

「痛いのはいやだにゃー」

絵里「大丈夫よ、別にそんなことはしないから」

「よかったぁ……」

絵里「……ちょっとさわっていい?」

「へ? なんで?」

絵里「触れるかどうか試したいのよ」

「凛同士だと触れたよ?」

花陽「あ、他の人には触れられないかもしれないってことだね」

絵里「そういうこと」

14 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:51:01.36 f76XGN4O0 10/41

「じゃあ絵里ちゃん、どうぞ」

「凛の方は準備バッチリにゃ」

絵里「うん、ではこっちの凛から。手、出してみて」

「はい」

絵里「……よし、触れる」

「次は凛の番ね」

絵里「はいはい、手を出して」

「はーい」

絵里「……こっちも触れる」

真姫「うーん、やっぱり本物なのね」

「凛は本物に決まってるでしょー?」

「そうだよ、どっちも凛だよ」

真姫「ああ、悪かったわね」

15 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:57:02.96 f76XGN4O0 11/41

「絵里ちゃん、どうすればいいと思う?」

絵里「そうねぇ……リラックスしてみたら? 何も考えずにぼーっとすれば、案外すぐに解けるかもしれないわ」

「なるほどー」

「あ、その前に凛はお手洗いに行きたいにゃ」

花陽「道、わかるよね?」

「うん、もちろんだよ!」

真姫「じゃあ凛はリラックスしてみて」

「えぇっ!? 漏れちゃうよぉ!」

真姫「そっちの凛は早く行ってきなさい」

16 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 17:59:49.82 f76XGN4O0 12/41

「ぼー」

花陽「別に口に出して言わなくても……」

「……」

絵里「出さないことを意識しすぎてリラックスできてないわよ?」

「助けて真姫ちゃん」

真姫「落ち着きなさい」

穂乃果「あー、みんなおはよー……じゃなくてこんにちはだね! って凛ちゃん!?」

「え?」

花陽「あ、凛ちゃんが増えたことに気付いちゃったのかなぁ?」

真姫「今は1人だし何も驚くことはないと思うけど……」

穂乃果「さ、さっき廊下で会ったのに……」

絵里「なるほど」

「?」

17 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:02:04.25 f76XGN4O0 13/41

真姫「凛、もう1人の方がお手洗いに行ったでしょ?」

「うん」

真姫「そっちが穂乃果とすれ違ったみたいなのよ」

「ええっ!?」

穂乃果「凛ちゃん……まさか瞬間移動?」

絵里「せっかくだし穂乃果にも教えたら? 隠し通すのは無理そうよ」

花陽「それもそうだねぇ」

真姫「ま、仕方ないわね」

穂乃果「ついに明かされる凛ちゃんの秘密……ごくり」

「なんだかかっこいいにゃ」

18 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:05:38.43 f76XGN4O0 14/41

真姫「穂乃果、びっくりすると思うけど聞いて」

穂乃果「うん」

真姫「凛は今さっき、2人になって――――――――」

海未「凛、どうしたんですか一体」

ことり「凛ちゃんどうしたの?」

「だ、ダメだよ2人とも! 部室に入っちゃダメぇぇぇ!」

海未「何か隠したいものでもあるんです……か…………?」

ことり「でも穂乃果ちゃんは先に入っちゃったし私たちも……あれぇ…………?」

穂乃果「」

「だから言ったのにぃ……」

海未「凛が……2人?」

ことり「ど、ドッペルゲンガー!」

真姫「それはもうやった」

19 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:08:18.79 f76XGN4O0 15/41

にこ「こら、あんたたち。部室の前で何騒いで……え?」

「どうしたんにこっち。何か変なものでも……んん?」

「みんなにバレちゃったにゃ……」

「こうなったら話しちゃわないと」

真姫「結局こうなるのね」

花陽「あはは……どうしたらいいんだろう」

絵里「早く部室に入って、ドア閉めて」

にこ「あ、うん」

「今日はスピリチュアルな出来事が起こるってカードが告げてたんやけど……さすがにこれほどとは」

20 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:11:04.87 f76XGN4O0 16/41




にこ「へー、くしゃみで2人にねー……って信じられるわけないでしょ!」

「ほ、ほんとだよぉ!」

「凛の目を信じて!」

にこ「近い」

「うぅ……信じてよにこちゃん」

「凛は嘘つかないよ……」

にこ「わかった、わかったから」

穂乃果「すごいね……まるで魔法みたい」

ことり「どっちも凛ちゃんだよね?」

「うん」

「正真正銘凛だよ!」

海未「ううむ……まったく違いが見当たりませんね」

21 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:14:13.65 f76XGN4O0 17/41

絵里「ニンジャじゃなかったのね」

「そうやでえりち、忍者は世を忍んで生きてるんよ? そんな簡単に姿は見せません」

絵里「なるほど!」

真姫「希が教えたのね」

「えへへ」

「どうすれば1人に戻れるかなぁ?」

ことり「くしゃみで増えたんだから……やっぱりくしゃみ?」

「それはやったよ」

穂乃果「くっついたら治るんじゃないのかな」

「それもやったにゃー」

にこ「キスは?」

花陽「え、ええええええっ!?」

海未「に、にこ、何を言ってるんですか!」

にこ「あ、いや、なんとなく思いついただけで」

22 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:17:16.66 f76XGN4O0 18/41

「それはやってなかった……」

「なるほど……」

にこ「えっ」

海未「凛、待ってください! そんな……ここで……そのぉ……」

穂乃果「う、海未ちゃんしっかり!」

ことり「海未ちゃん!?」

絵里「海未には刺激が強いかもね」

「え、やる雰囲気になってるん?」

にこ「そ、そうよ。自分で言っておいてなんだけど、そういうのはもっと大切にしたほうが……」

「できることは全部試してみるよ!」

「うんっ。それに自分同士だからノーカンにゃ」

花陽「そ、それでいいの?」

真姫「まあ凛がいいって言ってるんだし……いいんじゃない?」

23 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:20:20.03 f76XGN4O0 19/41

「いくよ」

「うん」

ことり「……」

真姫「カメラ構えるのやめなさい、ていうかそれどこから出したのよ」

ことり「備品です」

穂乃果「こ、ここでするの? それはちょっと恥ずかしくない?」

「でも外には出られないよ?」

「2人揃って出ると大騒ぎになっちゃうよぉ」

花陽「そ、そうだけど……」

絵里「なら私たちが外に出てればいいのよ」

「うん、そうしよっか」

ことり「そうだね」

にこ「海未を起こすの手伝って」

穂乃果「はいはーい」

24 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:21:02.00 f76XGN4O0 20/41




――――――――5分後――――――――




26 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:23:13.12 f76XGN4O0 21/41

花陽「凛ちゃん、入っていいかな?」

「い、いいよっ!」

真姫「ずいぶん時間かかったわね」

にこ「初めてだからでしょ」

「あらあらー? にこっちしたことあるん?」

にこ「ないない」

海未「うぅ……ここは……」

ことり「あ、海未ちゃんがちょうど起きた」

穂乃果「5分ぴったり……海未ちゃんの体内アラーム?」

海未「え? なんの話ですか?」

27 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:30:49.24 f76XGN4O0 22/41

「……」

絵里「あ! 凛が1人に戻ってる……」

「それが……あのー……」

「戻ってなくて……」

「あらら」

ことり「なぁんだ。それなら別に隠れなくても……」

「増えちゃいました……」

ことり「」

真姫「ちょっ……」

花陽「ど、どうして!?」

28 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:34:23.15 f76XGN4O0 23/41

「凛はただ、凛のおでこにキスしようとしたんだけど……」

「髪の毛を分けたときに鼻に当たっちゃって……」

にこ「で、でもくしゃみした声は聞こえなかったわよ?」

「くしゃみしたら増えるかも、と思って手で抑えさえたんだけど……増えちゃって」

「えへへ……ごめんなさい」

海未「ああ、そういえば凛は2人でしたね」

穂乃果「ど、どうすればいいんだろう……」

にこ「そうね、ここまで来たら……」

真姫「あ、でもリラックスするのはまだやってないわよね」

花陽「そうだね。もしかするとそれをやれば……」

「じゃあやってみる!」

「リラックス……」

「にゃー」

絵里「できてないできてない」

29 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:40:31.19 f76XGN4O0 24/41

ことり「凛ちゃん、何してる時が1番リラックスできる?」

「寝てるときかなぁ」

「うん、お昼寝してるとき」

「そうだにゃ」

花陽「今から……寝る?」

海未「寝ると言っても……イスくらいしかありませんね。つなげますか?」

絵里「そうしましょう」

「4つずつくらいで十分かな」

30 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:44:07.76 f76XGN4O0 25/41

「くぅ……」

「んん……」

「……」

真姫「寝るの早いわね」

花陽「うん、疲れてたのかなぁ」

絵里「でもなんか、子どもみたいでかわいいわね」

「そうやね」

にこ「今日の練習は中止ね」

穂乃果「うん」

ことり「ふふっ、3人とも同じ寝方してる」

海未「同じ人間ですからね」

31 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:51:15.44 f76XGN4O0 26/41

穂乃果「……あっ! そういえば穂乃果、帰りにお買い物頼まれてるんだった」

海未「そうですか。では私も付き添いますよ」

ことり「うんっ、私も行くよ」

絵里「じゃあ3人は先に帰る?」

穂乃果「そうするよ」

海未「お先に失礼します」

ことり「また明日ね」

「はーい」

にこ「気を付けて帰るのよ」

真姫「じゃあね」

花陽「凛ちゃんはこっちで見ておくから、安心してね」

穂乃果「はーい」

32 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 18:55:52.88 f76XGN4O0 27/41

にこ「……あっ、今日タイムセールの時間が動いた日じゃない」

「ああ、あそこのスーパーやね」

絵里「今日はティッシュだっけ?」

にこ「そうよ。お1人様2つ……今から待ってれば確実にゲットできるわ」

絵里「じゃあ私も一緒に行こうかしら」

「ウチも」

にこ「え、いいの?」

「うんうん、だってこの後予定何にもないし」

絵里「タイムセールっていうのが気になるし……凛のことは真姫と花陽に任せてても大丈夫でしょ?」

真姫「ええ、凛なら大丈夫」

花陽「うんっ」

にこ「ありがとう、このお礼はいつか必ずするわ。行くわよ2人とも!」

絵里「はーい」

「わわ、2人とも待ってー!」

33 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:02:19.56 f76XGN4O0 28/41

真姫「3人なのに5人……なんだか変な感じね」

花陽「うん、そうだねぇ」

真姫「タイムセールって何なのかよくわからないけど……」

花陽「えっ」

真姫「それにしても凛、本当によく寝てる」

花陽「3人分寝ちゃうのかも」

真姫「それは困るわね」

花陽「うん」

真姫「……でも何で、私は『大丈夫』なんて答えたのかしら。凛が元に戻る保証なんてどこにもないのに」

花陽「そういえば……みんなもなんだか凛ちゃんのこと、大丈夫だって言ってたけど……急にどうしたのかな?」

真姫「うーん、変ね……」

34 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:05:38.03 f76XGN4O0 29/41

「……足りない」

真姫「え? 凛?」

「足りないにゃ……」

花陽「あれ? 凛ちゃんが1人減ってる……」

「凛だけじゃダメ……」

花陽「り、凛ちゃん大丈夫?」

真姫「うなされてるの……?」

「うぅ……」

35 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:08:12.26 f76XGN4O0 30/41

真姫「ちょっと凛! しっかりしなさい!」

「凛しかいないのに……」

花陽「凛ちゃんがまた1人いなくなっちゃった……!」

真姫「こ、このままじゃ凛もいなくなっちゃうんじゃ……凛! 起きなさいってば!」

花陽「凛ちゃん!」

「え……え? あれ?」

花陽「起きた!」

真姫「よ、よかったぁ……」

36 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:12:39.54 f76XGN4O0 31/41

「ここは部室……だよね?」

花陽「そうだよ」

「あれぇ? 凛、外にいた気がしたんだけど……」

真姫「夢でも見てたんじゃないの? ったく心配させてくれるんだから……」

「夢……? 夢、だったのかな?」

花陽「凛ちゃん、何か心当たりあるの?」

37 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:18:39.14 f76XGN4O0 32/41

「確か凛は、猫を助けようとしてた……」

花陽「猫を?」

「そう、木に登ったまま下りられなくなった猫を……」

真姫「それを凛が助けようとしたわけね」

「うん、その場には凛しかいなかったから」

花陽「でも凛ちゃんは……」

「そうだよ。凛は猫アレルギーだから触れないの」

38 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:25:35.69 f76XGN4O0 33/41

「でもね、凛はどうにかして助けたかった」

「だから、凛はもう1人、別の猫アレルギーじゃない凛が増えてほしいって願ったの」

真姫「凛が……どうしたのよ。ちょっと怖いわよ」

「だけど木を登って猫の近くに行こうとしても、どの凛もくしゃみをしちゃうんだ」

「猫アレルギーが治らなくて……凛はそのたびに別の凛を……うっ」

花陽「り、凛ちゃん! しっかりして!」

「でも凛はその猫を……助けられなかった」

「あの黒い猫……凛が手を伸ばさなきゃちゃんと下りられたかもしれないのに……」

39 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:28:31.49 f76XGN4O0 34/41

真姫「凛! 落ち着きなさい!」

花陽「凛ちゃん!」

「凛は……ダメだったの。助けられなかった」

真姫「いいから! 夢なんでしょ!」

花陽「凛ちゃん、ここは現実だよ!」

「ううん、ここも凛の夢だよ……だって――――――――」





――――――――ほら、あの黒猫がこっち見てる

40 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:33:38.36 f76XGN4O0 35/41

~~~~~~~~




「自分が題材のお話って書くの難しいね」

真姫「そうね。国語力アップのためだから頑張りなさい」

「うう、凛は国語そんなに苦手じゃないのにぃ……」

真姫「英文の訳が悲惨だったでしょ?」

「ううっ……」

花陽「で、でも、凛ちゃん結構楽しそうに書いてたよね?」

「うん、書いてみると意外と楽しくて」

花陽「どんなお話にしたの?」

「凛が2人になって……そこからはまだ何も考えてない」

真姫「まあ最初はそんなものでしょ」

41 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:36:29.31 f76XGN4O0 36/41

「部室のパソコンならちゃんと使えるようになったよ」

花陽「情報室のは使えないの?」

「キーボードが出っ張ってるからちょっと使いにくいの」

真姫「そんなものなのね」

「うんっ、今日もみんなが来るまで続き書くにゃー」

花陽「ふふ、楽しそうでよかった」

真姫「それが何よりだわ」

「……あれ? 凛、こんなところまで書いてたっけ?」

真姫「どうしたの?」

「えっと……書いた覚えのないお話が書き足されてるみたいで」

花陽「え?」

42 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:37:33.00 f76XGN4O0 37/41

「ちょっと読んでみる?」

真姫「そうしたら? 参考になるかもしれないし」

花陽「そうだね」

「……」

真姫「……」

花陽「……」

43 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:40:07.47 f76XGN4O0 38/41

「……!?」

真姫「ちょ、な、なんでホラーテイストなのよ」

花陽「誰が書いたのかな……」


フシャアアアアアアアアアアア!



「にゃああああああ!?」

真姫「ど、どこから!?」

花陽「い、今のってこのお話の黒猫なんじゃ……」

「い、いやにゃああああ!」

真姫「凛、危ないわよ!」

花陽「置いて行かないでぇ!」

44 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:44:00.12 f76XGN4O0 39/41




「ふっふっふ、作戦通りやね。にこっち」

にこ「面白そうなことしてるのはわかってたからね。ちょっといたずらしてみるのも悪くないじゃない」

「わざわざ猫の鳴き声まで聞こえるように細工までするなんて……にこっちやるなぁ」

にこ「ふふん、こういうことは全力でやらないと。ていうか希、私のセリフ何よ。タイムセールって」

「えー? だって他にいいの思いつかなくて。でもにこっちも、えりちをおバカキャラにしすぎやない?」

にこ「いいのよ。実際絵里ってあんな感じだから」

「……そうかも」

にこ「ふふ、じゃあ3人にネタばらししてこないとね」

「うんっ」

45 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:47:48.95 f76XGN4O0 40/41





絵里「みんな来てるー? ……って、誰もいないし」

絵里「あら、パソコンつけっぱなしじゃない」

絵里「もー……いったい誰が……」

絵里「ん? 何かのお話?」

絵里「……」





フシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!




絵里「きゃあああああああああああ!?」

穂乃果「うわぁっ!?」

海未「え、絵里?」

ことり「何かあったの!?」

絵里「」

穂乃果「き、気絶してる」

海未「パソコンに何かあるんでしょうか」

ことり「お話みたいだね……読んでみようか」





フシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

キャアアアアアアアアアアアアア!




「んー?」

にこ「どうしたのかしら」

       おわり


47 : ◆eyH5F3DPSk - 2014/08/03 19:51:44.66 f76XGN4O0 41/41


夏っぽくしたかった
恐がってくれた人がいたらうれしい

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