男（俺は30代の独身男……）
男（モテない、ヤれない、喋る機会すらない。もやし三拍子全て揃っている）
男（このままずっと独り身で朽ち果てていくのもよかろう、と思っていた）
男（思っていたのだが……）
男（このところ、どうにもムラムラがとんでもないことになっている！）
男（誰だ、30過ぎたら性欲は減退するとかいってた野郎は！ 全然そんなことないぞ！）
男「ヤバイ……このままだと性犯罪に走っちまう！」
元スレ
30代独身男「ヤバイ……このままだと性犯罪に走っちまう！」ﾑﾗﾑﾗ
http://hebi.5ch.net/test/read.cgi/news4vip/1560173763/
JK「ﾜｲﾜｲ…ｷｬｯｷｬｯ…」
男（女子高生の集団……！ うおおお、ムラムラする……！）
JC「ﾜｲﾜｲ…ｱﾊﾊﾊﾊ…」
男（女子中学生の集団にすら反応するようになってきた……！ 今までこんなことなかったのに……！）
男（守備範囲がどんどん広くなってる……！）
男「――というわけで自首します」
警官「はぁ……」
男「なんですか、そのやる気のない返事は！」
警官「せっかく自首してきてなんですけど、何もしてない人を捕まえるわけにはいかないのですよ」
男「なにい！？」
警官「何かやらかしてから自首して下さいね」
男「分かりました……」
男「ったく、なんてお役所仕事だ！」
男「何かやらかしてから……だなんて！」
男「防犯で最も大切なのは、犯人を逮捕することじゃなく、犯行を未然に防ぐことじゃないのか！」
男「――ってニュースでコメンテーターも言ってたぞ！」
男「どうすっかなー」
男「その辺の女に頼んで、俺が痴漢したことにしてもらうか……」ｷｮﾛｷｮﾛ
男「あ」
女「あ」
目と目が合った二人。
二人は全くの赤の他人であった。
しかし、すぐに気づいた。
互いに同じオーラを発していることに……！
男「もしや、あんたも……」
女「あなたも……」
男「モテないあまり、性欲を持て余し……」
女「性犯罪に走りそうになって悩んでる……？」
男「おおっ、同志よ！」
女「初めて出会ったわ！」
ﾜﾊﾊﾊ… ｱﾊﾊﾊﾊ…
男「へぇ～、あんたも警察に自首を？」
女「そうなの。だけど相手にしてもらえなくて……」
男「アハハ、全く同じだ」
女「だけど、このままじゃきっと私、暴発しちゃうわ」
男「こうなったら……二人で性犯罪しちゃう？」
女「それいい！」
男女「性犯罪、二人でやれば怖くない！！！」
―公園―
男「お、あんなところに少年少女がいるぞ」
女「どっちもなかなかの美形……似てるしきっと兄妹ね」
少年「ﾜｲﾜｲ」
少女「ｷｬｯｷｬｯ」
男「よし……俺が女の子に抱きつくから、あんたは男の子を頼む！」ｼｬｯ
女「ラジャー！」ｼｬｼｬｯ
男「お嬢ちゃん」
少女「なーに？」
男「ちょっとおじさんと……」ﾊｯ
男（なんだ……？ 長袖から少しはみ出てるこのキズは……？）
男「おい、このキズはどうしたんだ？」
少女「！」ｷﾞｸｯ
少女「こ、これは……」
男「まさか、そっちの子にも！？」ﾊﾞｯ
女「ええ……こっちの子にもアザがあるわ」
少年「うう……」
男「しかも、新しいアザじゃないぞ」
女「きっと空手かなにかやってるのよ」
男「だよねー」
男「って、んなわけないよな……」
女「うん……」
男「二人とも、今すぐ脱ぐんだ」
少年「だけど……」
少女「でも……」
男「脱げェェェェェ！！！」
少年「わ、分かったよ……」ﾇｷﾞｯ
少女「う、うん」ﾇｷﾞｯ
男「……！」
男「うおお……！」
女「これは……ッ！」
少年「……」
少女「……」
男「二人とも、アザだらけのキズだらけじゃないか！」
女「誰にやられたの！？ いじめられてるの！？」
少年「違う……お父さんと、お母さん……」
男「なんだって！？」
父「てめえら！」
母「ホホホ……」
男女「！」
父「人のガキを脱がせて何してやがる！」
母「ホホホ……」
男「人のガキってことはあんたらがこの子らの親か！」
父「そうだ！」
男「何してやがるはこっちのセリフだ！」
男「お前、この子たちに何したんだ！」
父「何って……ちょいと殴ったり蹴ったりしただけさ。なぁ？」
母「ホホホ……」
男「殴ったり蹴ったりだと？ 自分の子供にか！？」
父「親には自分の子供に何したっていい権利があんだよ！ なぁ！？」
母「ホホホ……」
男「……！」
男「女さん……」
女「なに？」
男「どうせ犯罪やるならよぉ、こういう奴らをブチのめすような犯罪をやりてえよなぁ！」
男「“暴行罪”ってやつをよぉ……！」
女「同感！」
男「決まりだな」ﾆﾔｯ
男「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ！！！」
女「でやああああああああああああああああああああっ！！！」
バキィッ！
ドゴォッ！
父「ぐはぁぁぁぁぁっ！」
母「ホォォォォォォ！」
男「やったぜ！」
女「ええ！」
男「この子たちは、知り合いがやってる児童相談所に連れていく！ 保護してもらう！」
父「げほっ、げほっ！ ……くそう！」
父「！」ﾊｯ
警官「……」ｽﾀｽﾀ
父「……」ﾆﾔﾘ
父「おまわりさーん！」
父「あいつらを……あいつらを逮捕して下さい！」
警官「なぜです？」
父「あいつらは俺の子供を脱がした上、暴行してきた……性犯罪者なんです！」
父「逮捕して、厳罰を与えてくれェェェェェ！！！」
母「ホホホ……」
警官「……」
男「くっ……！」
女「やられたわね……！」
警官「それはできませんな」
父「なぜ！？」
警官「なぜなら彼らは……性犯罪などしていない！ 気の毒な子供を助けただけ！」
警官「いわば性冤罪者！」
父「ぐおおっ！？」
男「おまわりさん……」
女「ありがとう……」
警官「お前たちは児童虐待で逮捕する！」ｶﾞﾁｬｯ
父「ちくしょぉぉぉぉぉ！！！」
母「ホホホォォォォォ！！！」
……
男「子供たちは無事安全なところに送り届けたし、もう一安心だ」
女「ええ」
男「ところで俺、あれだけあったムラムラが今はもう落ち着いてるんだ」
女「私も」
男「その代わり……すごくドキドキしてる」
女「私も……」
男「どうだろ？ 今夜、性犯罪者にならなかった者同士、食事でも……」
女「ええ、行きましょう！」
男「バンザイ！」
～END～
