【たるき亭 店内】
店員「いらっしゃいませ! あ、765さん、毎度どうも、ありがとうございます。奥座敷ですよね」
小鳥「はい、お願いします」
P「あれ、もしかして予約とかしてました?」
小鳥「プロデューサーさんの仕事が終わるのを待ってる間に」
あずさ「さすが音無さん、ですね」
小鳥「えへへ、それほどでも」
店員「ではこちらのお席にどうぞ」
小鳥「あ、私入口の近くで」
P「それじゃ俺は音無さんの隣で」
あずさ「それじゃ私はプロデューサーさんの前、っと」
店員「ご注文、お決まりでしたらどうぞ」
P「みなさん、最初はどうします? 俺はビールを」
あずさ「私も同じく」
小鳥「私もビールで。あ、枝豆もお願いします」
P「あ。すぐ出てくるの、何か適当にお願いできますか?」
店員「今なら串揚げ盛り合わせを、揚げたてでご用意できますが」
小鳥「本当ですか? やった。それじゃそれもお願いします」
店員「かしこまりました、少々お待ちください」
元スレ
あずさ「ある日のたるき亭の風景」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1363787448/
P「さて、食べ物何頼みましょうか」
小鳥「鍋はどうですか?」
あずさ「もつ鍋、地鶏鍋、豆乳鍋、ですか。どれもおいしそうねぇ」
P「う~ん……地鶏」
小鳥「ですよね」
あずさ「私も地鶏、でしょうか」
P「それじゃ地鶏鍋って事で」
小鳥「野菜も食べましょう、野菜」
あずさ「サラダもいいですけど、鍋ならお漬物盛り合わせもいいかしら?」
P「いいですね、漬物にしましょう」
小鳥「あとは飲みながら好きに頼みましょうか」
店員「お待たせしました。生ビールと枝豆、串揚げの盛り合わせです」
小鳥「ありがとうございます」
店員「それと、こちらは本日のお通しです。ご注文の方はお決まりでしょうか?」
小鳥「地鶏鍋を3人前で」
あずさ「あとはお漬物の盛り合わせをお願いします」
P「とりあえず以上で」
店員「地鶏鍋の方、最後は雑炊とうどんどちらになさいますか?」
P「多数決で。雑炊」
小鳥「うどん」
あずさ「え~と、私は雑炊で」
小鳥「うぅ……」
P「シメは雑炊でお願いします」
店員「かしこまりました」
小鳥「うどん……」
P[まぁまぁ。次はうどんにしますから」
P「それじゃ皆さん、1週間お疲れ様でした。乾杯!」
小鳥「かんぱーい!」
あずさ「かんぱ~い」
P「……ぷはぁ、あー美味い」
小鳥「んぐっ……んぐっ……んぐっ……くはぁ~! あ~、生き返るっ!」
あずさ「……ふぅ。疲れた後の1杯は美味しいですねぇ~」
P「う~ん、この2人の差がいつ見ても……」
小鳥「い、いいんです! 私はこれで!」
P「それにしても、最初で飲み切る勢いじゃないですか」
あずさ「音無さんは本当においしそうにビールを飲むんですよねぇ」
P「ビールのCMとか凄い似合いそうですね」
小鳥「褒められたと思っておきます……」
P「串揚げ、お二人とも好きなの取っていいですよ。俺は残ったのでいいですから」
小鳥「あずささん、お先にどうぞ」
あずさ「ありがとうございます。それじゃ……アスパラを」
小鳥「私、海老行っちゃいます」
P「串揚げならシシトウでしょう、やっぱり」
小鳥「はー、揚げたて美味しい」
あずさ「ビールにも合いますね」
P「そういえばお通しなんだろう……塩キャベツか」
小鳥「これ、簡単に作れて美味しいんですよね」
P「このタレも自分で作るんですか?」
小鳥「塩キャベツのタレとか売ってますけど、自分でも作れますよ」
あずさ「ちりめんじゃこを入れても美味しいんですよ~」
小鳥「私は塩昆布で作るタイプが好きですね」
P「良い事聞いた。今度作ってみようかな」
小鳥「簡単だから後で作り方教えますよ」
P「お願いします」
P「あー、キャベツ美味い。久々にたくさん食べる」
あずさ「葉物のお野菜が最近高いですものね」
P「この前キャベツ1玉300円っていうの見ましたよ」
小鳥「高っ!」
あずさ「1人暮らしだと1玉はちょっと多いんですよね~」
小鳥「1/4玉だと98円でしたよ」
P「1玉だとそれの4倍ですよね。そっちの方が高くないですか?」
小鳥「言われてみれば……」
あずさ「こういう機会だとたくさんお野菜を食べられて嬉しいですよね」
P「若い頃は肉ばっかりがっついてたんですけど、最近じゃ野菜の方を好んで食べるようになって」
小鳥「よし。この話題はやめましょう」
P「反応早いなこの人」
店員「地鶏鍋お待たせしました」
P「お、来ましたね」
店員「コンロと鍋を中央に置かせていただきます」
小鳥「メニュー、こっちに片付けときますね」
店員「こちら具材に火が通っておりますので、沸騰しましたらお召し上がりください」
P「分かりました」
店員「それと、こちら漬物の盛り合わせです」
あずさ「それはこちらにお願いします」
店員「ご注文はございますか?」
小鳥「私はビールを」
あずさ「そうねぇ……次は日本酒にしようかしら。お二人とも、飲みます?」
P「つきあいしましょう。冷やですよね?」
あずさ「もちろん。音無さんもどうですか?」
小鳥「それじゃ私もビールの次に。何にするんですか?」
あずさ「う~ん……久保田の千寿をお願いします」
店員「生ビールがお一つに久保田の千寿を冷やで。かしこまりました」
P「久保田か。有名だけど飲んだ事ないんですよね」
小鳥「あれ、初めてですか? 結構飲みやすいですよ」
あずさ「お鍋があっさり目みたいでしたから、合いそうかな~と思って」
あずさ「それはそうと、今週はみなさんお疲れ様でした~」
小鳥「あずささんこそ、お疲れ様でした。あずささんと事務所で合ったの、今週合わせて1時間もない気がしますよ」
あずさ「ず~っと外でお仕事でしたから、事務所にあまり行けなくて」
P「他のアイドル達も似たような感じですよね。そもそも事務所であまりアイドルを見ない気がします」
小鳥「プロデューサーさんと律子さんもあまりいないじゃないですか! 普段事務所に私一人だから寂しくて寂しくて……」
あずさ「ほら、プロデューサーさん。女の子に寂しい思いさせちゃダメですよ?」
P「おん……えと、いや、そうは言っても日中は忙しくて」
小鳥「いいんですよ、女の子なんて歳じゃないんですから。おばさんは一人寂しく事務所で電話番でもしてますよ……」
P「なんでそう……いや、すいません、俺が悪かったです」
小鳥「まぁお仕事一杯あるから、日中は時間過ぎるのあっという間ですけどね」
P「あのボリュームの仕事こなしてるんですから、そう感じるでしょうね」
あずさ「1人で事務全部、ですものね」
小鳥「いや、こなせてないからほぼ毎日残業なんですけど」
P「正直俺もちょっと厳しいんですよね。音無さんにはしょっちゅうフォローしてもらってますし」
あずさ「私が迷うおかげでますます負担かけちゃってますよね。すみません……」
P「あー、いやいや! あずささんを責めてる訳じゃないんですよ」
小鳥「もともと厳しい体制ですから。プロデューサー兼マネージャーな上に担当アイドルも多いですし」
あずさ「でも、私にも出来る事があれば……」
P「アイドルに出来ることを手伝ってもらうのも急場しのぎとしてはアリですけど、ずっとそうする訳にもいかないじゃないですか」
あずさ「そっか、今よりもっとお仕事が来たらお手伝いできませんものね……」
P「今はアイドル達に自分たちだけで仕事してきてもらう事も増えてますし、十分手伝ってもらってますよ」
あずさ「……無理、してません?」
P「正直今は。だから、もっと楽に仕事回せるようにしたいなーと思っての発言だったんですよ」
小鳥「とはいえ、お仕事右肩上がりが続くと、プロデューサーさん厳しいレベルを通り越しちゃうんじゃないですか?」
P「その辺は後で律子とも話してみますよ。どのみち、新ユニット、なんて話になったら今の体制は変えざるを得ないでしょうから」
小鳥「おっと、ここで大胆発言が!」
P「いや、例えばの話です。将来的には可能性あるでしょ」
あずさ「可能性があるなら、プロデューサーさんとしての考えはなんとなくはありますよね?」
P「うっ……ノーコメント」
小鳥「早くも酔いが回って来たんじゃないですか? かわし方が甘いですよ」
あずさ「それじゃ、お酒がもう少し入ったあたりでもう一回聞いてみますね」
P「勘弁してください。俺酔うと嘘つけなくなっちゃうんですから……」
小鳥「あ。お鍋、そろそろ良さそうですよ」
P「おぉー、美味そう」
小鳥「取り分けますね。はい、プロデューサーさんの分」
P「ありがとうございます」
小鳥「こっちはあずささんの分」
あずさ「ありがとうございます~。お鍋なんて久しぶりだわ」
小鳥「一人ぐらしだとまずやらないですからね」
P「……うん、美味い。やっぱ鶏はいいですよね」
小鳥「ですよね。鳥、素敵ですよね」
P「鍋の話をしましょうか、音無さん」
店員「失礼します。生ビールと久保田をお持ちしました」
小鳥「はい、ビールこっちです」
あずさ「久保田はこちらに」
店員「グラスは3つお持ちしましたので。では、ごゆっくりどうぞ」
P「ありがとうございます」
あずさ「はい、プロデューサーさんも一杯」
P「すいません。……とっとっとっストップストップ!」
あずさ「あらあら、すみません~」
P「あの、あずささん酔い始めてません?」
あずさ「うふふ、まだ大丈夫ですよ」
P「食べないで飲むと酔いが回るのがはやいですからね」
あずさ「その時はプロデューサーさん、お願いしますね」
P「何をですか」
小鳥「あ、それじゃ私もお願いしちゃおうかな~」
P「音無さんはタクシーに放り込んで、運転手にマンションの住所伝えればいいんですよね」
小鳥「酷い……」
P「冗談ですって。二人ともマンションの前までは面倒みますから」
あずさ「プロデューサーさんが酔ってなければ、ですよね?」
P「俺がつぶれたら……タクシー呼んで放り込んで下さい」
小鳥「大丈夫ですよ。そんな事せずにちゃんと二人で面倒みますから」
あずさ「ちゃ~んとベッドまで連れて行ってあげますからね。うふふ」
P「駄目ですって。そこは酔ってても断固阻止します」
小鳥「久保田、どうです?」
P「呑みやすいですね。俺、あんまり日本酒飲んだ事なかったんですけど」
あずさ「それじゃもう一杯」
P「あ、すみません。……おっと、あずささんもグラス空じゃないですか。どうぞどうぞ」
あずさ「あら、すみません~」
小鳥「私が飲む分なくなりそう……」
P「なくなったらまた頼みましょう」
あずさ「そうですね、そうしましょう~」
小鳥(プロデューサーさん、見事に術中に陥ってる……)
小鳥「プロデューサーさんって、結構ガード硬いですよね」
P「立場上しょうがないでしょう」
あずさ「立場を無視したらどうなるんですか?」
P「プロデューサーじゃなかったらこの環境自体がありえないですから」
あずさ「もぅ。そういう事が聞きたいんじゃないんです~」
小鳥「今でも『もう我慢しなくてもいいや』って思ったりしません?」
P「アイドルの前でぶっちゃけトークしろと」
あずさ「どうなんですか? ほら、遠慮せずに」
P「みんな綺麗で可愛くて好意的に接してくれるんですから、そりゃ勘違いしたくもなりますけどね」
小鳥「ほうほう」
P「グラビアで大胆なポーズとってる人とこうやって一緒にいれる訳ですし」
小鳥「おっと。あずささん、もう一息みたいですよ」
あずさ「そうみたいですね。次はもっと大胆に頑張っちゃおうかしら」
P「いや、俺じゃなくてファンの為に頑張って下さいね。でも、見てると結構……」
小鳥「結構、何です?」
P「律子よくOK出したなぁ、っていう大胆なショットがあったりして、なんていうか……」
あずさ「あらあら」
小鳥「プロデューサーさんも男の子ですもんね」
P「いや、まぁ、それは……でも、プロデューサーっていう立場と、後は年齢的な部分で踏みとどまれるというか」
小鳥「あーそういう話ね、はいはい。結局年齢かー」
あずさ「ずばっと切られちゃいましたね」
P「違いますから! 俺が中学生組を恋愛対象として見たらどう考えてもアウトでしょ? そういう事です」
あずさ「美希ちゃんも?」
P「……美希も」
小鳥「高校生組は?」
P「…………そっちも」
小鳥「即答できなかった事が何かを物語ってますね」
P「いや、実際可愛い妹みたいな感じですから。だからこそ名前呼び捨てでタメ口でも意識しないんですから」
あずさ「そっか。私たち、プロデューサーさんにとっては仕事上のおつきあいでしかないんですね」
小鳥「私に至っては苗字にさん付けですし。タメ口なんてきいてもらえないですし」
P「だから、なんでそうなるんですか? 二人への接し方はまた別の理由があるんです」
小鳥「というと?」
P「ほかのアイドルや律子と違って、未成年っていうガードが効かないんですよ……あ、最後まで聞いて、ふて腐れないで!」
あずさ「はい。これ飲んでちゃんと説明して下さいね」
P「あ、すいません……そろそろなくなりそうですね、久保田」
小鳥「ほら、それはいいから続き続き」
P「えーと、なんていうか、あずささんに対してだと、歳も近いしこうやって一緒にお酒飲んでくれるしで、正直かなり頑張って抑えてるんです」
あずさ「それじゃ、頑張れなくなるようにプロデューサーさんの隣に行っちゃおうっと」
P「ちょっと?! あの、近いんですけど……えーと、それでですね。音無さんの場合ですけど」
小鳥「よしきた」
P「アイドルじゃないから、『そういう関係』になっても問題ない訳じゃないですか」
あずさ「あらあら」
P「仕事とかいろいろ教えてもらったから、そういう意味ではあこがれてる部分もあるし……あー待って今のなし! なし!」
あずさ「な~んだ。もう決まってたんですね~」
小鳥「え? え? 落ち着いて、クールになるのよ小鳥……」
P「仕事の出来る先輩に対するあこがれですから! 自分でネタ振っておいてなんでテンパってるんですか」
あずさ「先輩だから丁寧口調なんですか?」
P「音無さんにはそれもあります。それに、タメ口で名前呼び捨てしちゃうと俺絶対勘違いするんで」
あずさ「しちゃえばいいのに」
小鳥「そうだそうだ」
P「あのな……じゃなかった、えーと、そういう話じゃないですから」
小鳥「だんだんガードが崩れて来ましたよ」
あずさ「はい、もう一杯」
P「あの、結構酔ってるんで、もう勘弁して……」
小鳥「そう言いつつグラスを差し出す、と」
あずさ「プロデューサーさんのそういう所、好きですよ、私」
P「あーもーそうやってこの人達は……」
店員「鍋ですが、そろそろ雑炊をお作りしてもよろしいでしょうか?」
小鳥「そうですね。お願いします」
店員「かしこまりました。では、鍋をいったんお下げします。他にご注文等ありますか?」
あずさ「あら、お酒がなくなっちゃいました」
P「あずささんが俺にばっか飲ませるから……」
小鳥「私も飲みたいから同じもの頼みましょう。あずささん、何か軽くつまめるもの頼みません?」
あずさ「そうねぇ……チーズの盛り合わせ、なんてどうです?」
小鳥「日本酒とチーズですか」
あずさ「あら、意外と合うんですよ?」
小鳥「へぇ。それじゃチーズ行きましょう。プロデューサーさんは?」
P「メニュー下さい。……シジミの味噌汁を」
小鳥「雑炊なのに?」
P「いいんです。雑炊と味噌汁で締めるんです」
店員「久保田、チーズの盛り合わせ、シジミの味噌汁がそれぞれお一つ。以上でよろしいでしょうか?」
小鳥「はい。おねがいします」
あずさ「もうすぐお酒のお代わりが来ますからね、プロデューサーさん」
P「俺を酔わせて何するつもりですか」
あずさ「うふふ、何をしてほしいの~?」
P「ちょっと待って、もうそんなに酔ったんですか? 演技してません?」
あずさ「ちょっとくらい大胆な事でもいいんですよ?」
P「いや、しないですから。楽しく飲みましょう、ね?」
小鳥「そうやって逃げるんだから」
P「逃げるって。俺はただ楽しく飲みたいなって、それだけです」
あずさ「今週ず~っと思ってたんですけど、プロデューサーさん」
P「なんでしょう」
あずさ「最近、良い事ありました?」
小鳥「あ、それ私も気になってました。今週なんだかテンション高いですよね」
P「そ、そうですか? あー、まぁ隠す事じゃないからいいか。ありましたよ、良いこと」
あずさ「やっぱり~。何があったんですか?」
小鳥「聞きたいな~」
P「千早の事でちょっと」
あずさ「千早ちゃんの?」
小鳥「今週はライブがありましたよね」
P「えぇ。最近千早変わったと思いません?」
あずさ「確かに、前と比べて全体的に雰囲気が柔らかくなった感じがします」
小鳥「ライブ見てても表情がだいぶ自然にというか、楽しそうに歌ってるなーって感じるようになりましたね」
P「そう、それなんです。最近のファンレター見ても、そういう変化に気づいてくれたファンが結構いて」
小鳥「定例ライブでの復活以来、以前にも増してファンレター増えましたよね」
P「えぇ。それに、千早自身も変わってくれてるんです」
店員「失礼します。雑炊をお持ちしました」
小鳥「おいしそう~」
店員「こちらは久保田、それからチーズの盛り合わせでございます」
あずさ「はーい。うふふ」
P「うふふは良いですけど、小鳥さんにあげてからですよ?」
店員「シジミの味噌汁でございます」
P「あ、俺です。ども」
店員「空いたお皿をお下げしますね。それでは、ごゆっくりどうぞ」
P「ありがとうございます。小鳥さんグラスどうぞ。久保田飲むんでしょ?」
小鳥「すみません。おっとっと」
P「はい、あずささんも」
あずさ「あらあら、すみません」
P「雑炊も取り分けましょう」
小鳥「それ私がやりますから、お話の続き続き」
あずさ「千早ちゃん自身も変わった、って事でしたけど」
P「あ、はい。アイドルのみんなには、ライブの後に『どうだった?』って聞いたりしてるんですよ」
小鳥「はい」
P「前は千早に聞いても『普段通りでした』とか『特に問題はなかったかと』とか、そんな感じで」
あずさ「うふふ、千早ちゃんらしいわ」
P「そう、千早『らしい』答えしか返ってこなかったんですけど」
小鳥「最近は違うと。あ、雑炊どうぞ」
P「ども。今週のライブの後聞いたら『楽しんで歌えました』って返ってきて」
小鳥「へぇ」
P「実際にライブ見てても、表情がちがうんです。自然な笑顔ができてて」
あずさ「選材写真撮るときは苦労してましたものね」
P「えぇ。あの時とは全然違いますよね。見ててドキっとさせられました」
小鳥「笑顔に?」
P「笑顔に。振付で、指前に出して笑顔でウィンクする所があるじゃないですか」
あずさ「指を前に出して……あぁ、『ゲッツ!』の所ですね」
小鳥「そんな呼び方してるんですか……」
P「その時の千早がめちゃくちゃ可愛くて。『あぁ、この子こんな楽しそうにしてる』って思ったら、なんだか色々こみあげて来まして」
小鳥「千早ちゃんの場合特に、ですよね。はい、あずささんの分の雑炊」
あずさ「すみません。そうですよね。千早ちゃん、今までが今までですもの」
P「そうなんです。境遇とか知って、近くで千早を見てきた上であの表情見てると……」
あずさ「プロデューサーさん、なんだか千早ちゃんのお父さんみたいですね」
P「心境的には似たようなものかもしれません。さっきの話じゃないですけど」
あずさ「さっき?」
P「プロデューサーという立場の話です。父親みたいな立場としては、やっぱり恋愛対象としては見ちゃいけないというか」
小鳥「あぁ、そこにつながる話なんですね」
P「アイドル達は色々な面で成長していきますから。それを身近で見られるだけで十分俺は幸せですよ」
小鳥「雑炊かき込みながらじゃなかったらもっと様になってたんですけどねぇ」
P「照れ隠しです。酔ってても恥ずかしいんで」
あずさ「あらあら」
小鳥「まぁまぁ」
P「ほらー、すぐそういう反応するー」
小鳥「だって、プロデューサーさん面白いんだもん。ねー」
あずさ「ねー」
P「『ねー』って」
小鳥「あ、チーズと日本酒って中々合いますね」
あずさ「でしょう? ほら、プロデューサーさんも」
P「それじゃチーズだけ」
小鳥「こら」
P「いや、もう酒は許容量オーバーです」
あずさ「飲んで、くれないんですか?」
P「……あと1杯だけですよ」
あずさ「うふふ、そう言ってくれると思ってました」
小鳥「許容量って言っても、これ位誤差の範囲内ですよね。はいグラス持って」
P「っとっとっと注ぎすぎ注ぎすぎ!」
あずさ「これでおしまい、ですね」
P「貴女達のせいでね……あ、チーズ合いますね」
あずさ「チーズや日本酒の種類にもよりますけど」
小鳥「意外な発見でしたね」
P「酒も料理もそろそろ切れますし、今飲んでるの開けたら開きにしましょうか」
小鳥「そうですね。プロデューサーさんの本音が聞けなかったのは残念ですけど」
P「言ったじゃないですか、本音。まぁさらに言うとですね」
あずさ「さらに言うと?」
P「最初、こんな女性だらけの職場で上手くやっていけないんじゃないかって思ったんですよ」
小鳥「おっとそれは初耳」
あずさ「確かに、社長は普段あまり姿見せませんから、男はほぼ一人だけ、ですものね」
P「えぇ。でも、こんな俺ともみんな仲良くしてくれて、小鳥さんや律子はフォローしてくれる訳じゃないですか」
あずさ「こんな、だなんて」
P「俺は、それだけでもう十分恵まれてて幸せなんだと思います」
小鳥「みんな無条件で仲良くしてる訳じゃないですよ」
あずさ「みんなの為に頑張って、成長を自分の事のように喜んでくれて」
P「……はい」
あずさ「そんな素敵な人だから、みんなプロデューサーさんが好きなんですよ?」
小鳥「だから、もう『こんな俺』だなんて言わないで下さいね」
あずさ「お姉さんたちとの約束、ですよ。うふふ」
P「……ありがとう、ございます。ちょっとトイレ行ってきます」
小鳥「泣かせちゃいましたね」
あずさ「小鳥さん、悪い女ですね」
小鳥「おっと、張本人が何をおっしゃいますか」
あずさ「でも、たまにはこういうのもいいですよね」
小鳥「えぇ。帰る準備してましょうか。……あれ、伝票が」
あずさ「あら? さっきまでそこに……」
小鳥「……多分プロデューサーさんですよ」
あずさ「でもトイレに、って……」
小鳥「そういう人なんですよ、あの人は」
P「お待たせしました。さ、帰りましょうか」
あずさ「プロデューサーさん、お会計……」
P「それは済んでますから、大丈夫です」
小鳥「ごちそうさまです。次はちゃんと割り勘にしましょうね」
あずさ「あの、すみません。私そんなつもりでは……」
P「最後のお二人の言葉が嬉しかったから、そのお代です。さ、行きましょう」
あずさ「ごちそうさまでした。また来ましょうね。忙しくても絶対時間、作りますから」
小鳥「そうですね。早く律子さんも飲める年齢になるといい……そうなると私は……」
P「なんでそうやって自分で自分の地雷を踏むんですか……」
【路上】
小鳥「それじゃ、私はここで。今日はごちそうさまでした。おやすみなさーい」
P「気を付けて帰って下さいね。おやすみなさい」
あずさ「お疲れ様でした~。おやすみなさい」
P「あずささん、足取りがあやしいですよ。大丈夫ですか?」
あずさ「それじゃ、ちゃんと歩けるように捕まっちゃおっと」
P「なんだか今日は甘えんぼうさんですね。何かありました?」
あずさ「千早ちゃんが羨ましかったから、です」
P「千早が?」
あずさ「プロデューサーさんに、こんなに大切に想われてるんだなって。目の前でのろけられたんですもの」
P「あの、そんな誤解を招くような言い方をされると……別に千早にだけ、って訳ではないですよ」
あずさ「それじゃ、私の事も大切に想ってくれてます?」
P「当り前じゃないですか」
あずさ「あくまでもアイドルとして?」
P「えぇ。トップアイドルになるまでは」
あずさ「それじゃ、トップアイドルになった後は?」
P「……ノーコメント」
あずさ「うふふ、それじゃ、これ以上は聞かないでおいてあげます」
P「ありがとうございます」
あずさ「トップアイドルになった後、か。のんびりしていられませんよね。ライバル、多いですし」
P「確かに。女性アイドルだと新幹少女、最終的にはJupiterも超えないといけませんもんね」
あずさ「そっちのライバルも、確かにそうですね」
P「あれ、もしかしてそういう話じゃなかったですか?」
あずさ「いいえ、そういう話ですよ? うふふっ」
P「あずささん、マンション着きましたよ」
あずさ「いつもすみません。遠回りさせちゃって」
P「気にしないで下さい。酔い覚ましをかねての散歩みたいなもんですから」
あずさ「プロデューサーさん、気を付けて帰って下さいね。今日はごちそうさまでした」
P「ありがとうございます。次飲む時が待ち遠しいですね」
あずさ「あの、プロデューサーさん」
P「なんですか?」
あずさ「私、トップアイドル目指して頑張ります。だから、もしなれたら、その時は……」
P「はい」
あずさ「今日聞けなかった質問の答え。教えてくださいね。どんな答えでも……いいですから」
P「……分かりました」
あずさ「うふふっ、ちゃ~んと覚えていて下さいね? それじゃ、おやすみなさい」
P「はい、おやすみなさい。お疲れ様でした」
あずさ(待っていて下さいね、プロデューサーさん。その時は私も――)
終わり
35 : VIPに... - 2013/03/20 23:33:48.90 EpPVSSz9o 35/35以上で終了です
ありがとうございました