のび太「本当は大事にしなければならないんだろうな。でも……」
ドラえもん「どうしても行くのかい?」
のび太「ドラえもん…か」
元スレ
のび太「二人が救ってくれたこの命…」
http://takeshima.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1237211689/
のび太「僕を止める気か?」
ドラえもん「いいや。四次元ポケットの無い僕じゃ君は止められやしない。けどね」
のび太「………」
ドラえもん「スネ夫もジャイアンも君に生きて欲しいと願って散っていった。君はその願いを無駄にする気か?」
~二日前~
ジャイアン「クソッあの野郎!本気で俺たちを殺すつもりみたいだぞ!」
スネ夫「怪我は無いかのび太?」
のび太「う、うん僕は大丈夫だよ。二人は?」
ジャイアン「おいおいのび太が俺たちの心配かよ!」
スネ夫「ハハッのび太のクセに生意気だぜ」
のび太「んもうっ!本気で心配してるのに!」
のび太「……でもこれからどうすれば…」
スネ夫「どうするって、逃げるしかないだろう?」
のび太「そんな簡単な話じゃないじゃない!僕たちは空の上にいるんだよ!?」
ジャイアン「そう自棄になるなよ。これだけデカい飛行船だ。脱出艇の一つや二つ必ずあるはず…」
《いたぞ!奴らだ!!》
のび太「見つかった?!!?」
ジャイアン「チィッ!スネ夫!のび太!援護しろ!」
スネ夫「わかった!」
のび太「う、うん!」
ジャイアン「うぉぉぉぉぉ!!」
ジャイアン「…はぁはぁ………キリがないぜ…!」
のび太「ど、どうしよう!?もう弾薬も残り少ないよ!」
スネ夫「………よくゲームでさ」
ジャイアン「おいスネ夫!今はゲームの話をしてる場合じゃ…」
スネ夫「まあ聞いてくれよ」
のび太「くぅっ……突破されちゃう…!」
スネ夫「主人公のために仲間が命をかけて救う展開ってあるじゃない」
ジャイアン「あァ……確かに…あるな」
スネ夫「何で他人のためにそこまでやれるのか……ボクちゃんには理解できなかった」
のび太「スネ夫…?」
スネ夫「でもさ…今なら解る気がするよ」
のび太「ハッ!?」
ジャイアン「お前まさか……?」
スネ夫「やつらの相手は任せろ。そして……振り向かずに行ってくれ」
のび太「冗談だろ!?」
ジャイアン「…わかった」
のび太「ジャイアン!?」
スネ夫「それじゃ…また明日空き地で!」
ジャイアン「おう!寝坊するなよ!」
のび太「馬鹿な冗談はやめてよ!ジャイアン!スネ夫を止めて!」
スネ夫「フフッ…のび太は泣き虫だなぁ」
ジャイアン「行くぞのび太!」
のび太「放してっ!スネ夫!スネ夫!死んじゃイヤだよ!漫画だってゲームだってまだ借りてないんだ!死んじゃ駄目だよ!」
スネ夫「ふんっお前に貸すなんて死んでもゴメンだね」
のび太「スネ夫ぉぉぉぉ!!」
のび太「ジャイアンはスネ夫が死んでもいいの!?」
ジャイアン「いいわけないだろうが!」
のび太「だったら…!」
ジャイアン「じゃあお前はスネ夫の覚悟を無駄にしろっていうのかよ!!」
のび太「ッ…!」
スネ夫(ありがとうジャイアン……生きろよ…のび太………)
ズドォォォ……ン!
のび太「スネ…夫…」
ジャイアン「振り向くな!前を見ろ!まだ終わっちゃいないんだぞ!」
のび太「くっ……ソォォォォ!!!」
のび太「……あれは……!!脱出艇だ!」
ジャイアン「…ああ、これで脱出できるな」
のび太「うん!……あれ…ジャイアン?」
ジャイアン「………のび太……実は」
《そこまで反逆者共!》
のび太「!!!ジャイアン早く乗って!」
ジャイアン「悪いなのび太…そいつは一人用なんだ」
のび太「何言ってるんだよこんな時に!どう見ても三人は……え?ジャイ…アン?」
ジャイアン「…わかるか?もう俺の命は長くないんだ」
のび太「そんな…いつから!?」
ジャイアン「んな昔のことは忘れちまったよ」
のび太「まさかあの時僕を庇ったから…」
ジャイアン「べそべそうるせえよ!」
のび太「うぐっ…ひぐっ……イヤだよ…スネ夫だけじゃなく……ジャイアンまで………」
ジャイアン「泣くんじゃねえ!俺もスネ夫も悔いはない!俺たちは…」
《撃てぇーー!!!》
ジャイアン「がっ……ハッ………ごふっ……心の…友…だろ……?」
のび太「うぁ……あ…………」
ジャイアン「行けェッ…のび太ッ…!俺たちの分まで生き」
パァ…ン!
ジャイアン「あ………………」
のび太「ジャイアン……ジャイアン!こんなのって………ああああ…アアアアアァァァァァァ!!!!」
のび太「………わかってる。これは二人に対する裏切りだってことは」
ドラえもん「なら…」
のび太「でもな、自分の気持ちは裏切れねえんだ。償ってもらわなきゃならねんだよ。アイツの……出木杉の命でな…!」
ドラえもん「はぁ…君って奴は」
ドラえもん「でも、どうやって空へ行くつもりだい?君が乗ってきたアレはオシャカ。どこでもドアもない」
のび太「それは………ドラえもぉぉぉぉん!」
ドラえもん「全く…すこしは漢になったと思ったらこれだよ」
のび太「裏山に?」
ドラえもん「そ、裏山。万が一のために隠しておいたんだ」
のび太「さすがドラえもん!んちゅー!」
ドラえもん「汚いからやめろや」
のび太「ごめん…」
ドラえもん「ほら急げ!裏山までもう少しだ!」
のび太「はいはい……うん?」
先生「コラ!のぉび太!」
のび太「……先生。何の用ですか?急いでるんですけど」
先生「君はどうして出木杉様に逆らうのだ!?」
ドラえもん「のび太くん。もう先生は…」
のび太「うん。わかってる」
先生「人の話………ヲ?……………………」
ドラえもん「…怖ろしいほどの早撃ちだね」
のび太「どーも」
ドラえもん「おかしいな……確かにここに隠したはずなんだけど」
のび太「…ッ!?ドラえもん危ないっ!」
チュインッ!
ドラえもん「なッ…レーザー!?」
のび太「誰だ!」
ドラミ「あらぁ外しちゃいましたぁ♪」
ドラえもん「その声はドラミか?」
ドラミ「うふふ~当たりですぅお兄ちゃん♪」
のび太「嘘ッ!?あれがドラミちゃん!?どう見ても人間じゃ…」
ドラえもん「……機械の体を捨て、出木杉に下ったか」
ドラミ「えへへ~二人まとめて死んで下さい♪」
のび太「身内が相手じゃ戦いにくいだろう。ここは僕が」
ドラえもん「いやのび太くんは出木杉を殺るために休んでおくんだ」
のび太「けどドラえもん…」
ドラえもん「それにさ、妹の不始末を正すのは兄のつとめなんだよ」
のび太「……わかったよ」
ドラえもん「ドラミよ……不出来な妹よ…」
ドラミ「それはこっちの台詞ですぅ」
ドラえもん「我が鉄拳にて滅されよ!」
ドラミ「うっせえ全身錆野郎!調子こいてんじゃねェよッ!」
のび太(顔はかわいいのになぁ…)
ドラえもん「ドラドラドラドラァッ!!!」
ドラミ「ちょっと…待っ……げぼぁ!!」
のび太(よし今のうちに探しだそう!)
のび太(ここじゃない……あそこでもない……一体どこに………あ!)
のび太「ドラえもん見つ……な…?」
ドラミ「やれやれ危なかったぜ…ですぅ♪」
ドラえもん「…………」
のび太「電源を破壊されたのか…ッ」
のび太(この位置で避ければ出木杉のもとへ行く唯一の手段が壊されてしまう……しかし避けなければ僕が……ドラえもんを盾にしていなければ早撃ちで殺れるのに……クソッ最悪だ!)
ドラミ「サヨナラですぅ♪」
ドラえもん「……オマ…エ……ガ………ナ…!」
ドラミ「え?」
ズガァァァァン!
ドラミ「カハッ…!…ッのクソダヌキが…自爆しやが」
のび太「ドラミちゃん」カチャッ…
ドラミ(――後――だとッ―!)
ドラミ「ののののび太さん!ままままままさか撃たないですよね!?」
のび太「うん」
ドラミ「のび太さん大好き!愛してますぅ!」
のび太「出木杉よりも?」
ドラミ「え……も、もちろ」タァァン
のび太「………僕も君も嘘つきだね」
ドラミ「………………」
のび太「ドラえもん……行ってくるよ」
ドラえもん「……ギ…ヲ付テ……行………」
のび太「あん。今までありがとうドラえもん」
ドラえもん「……………」
のび太「………本当に…ありがとっ……」
のび太「鼠が猫に勝てるはずがないって思ってるんだろうな出木杉は」
のび太(待ってろよ出木杉……必ず貴様の喉元を咬みちぎってやるよ……!)
《出木杉様!単機で突っ込んでくる馬鹿がいます!》
出木杉「フフフ…せっかく拾った命を捨てに来たか。構わん通せ」
《で、ですが…》
出木杉「二度は言わんぞ?」
《ハッ…!》
のび太(やけにあっさり突破できたな……誘いにのせられたか?………まあいい。その余裕が命取りになるだけだ)
《いたぞ!》《奴だ!》《出木杉様に逆らう愚か者だ!》
のび太(あの時は逃げるだけだった……でも……今日は…)
のび太「逃亡者じゃねえ!復讐者だァァァァアアアアアア!!!!」
のび太「はぁっ…はぁっ……」
出木杉「すごいよのび太くん!並みいる精鋭を蹴散らして僕に辿りつくなんて!」
のび太「よく言うよ……ここまで誘導したクセに…!」
出木杉「あはっ!バレてた?」
出木杉「あまりに予定通りすぎて暇だったんだよ。…しっかしドラミは役に立たなかったなぁ。ダッチワイフにも戦闘員としても中途半端だったし」
のび太「お前は……!」
出木杉「殺してくれてありがとう。これはほんのお礼だよ。受け取ってくれ、アハハハハ!」
のび太「人形の首?…いや……スネ夫…ジャイアン……!!」
出木杉「ハハハ!喜んでもらえたようだねぇ!?」
のび太「うるァァァァ!!!」ドン!ドン!ドン!
出木杉「っとと……いい腕だね?どう、僕に仕えてみない?」
のび太「黙れッ!」
出木杉「やれやれ脈無しか。なら仕方ないな」スッ
のび太(…刀?そんなもので弾を防げるものかッ!)
出木杉「やっほっとぁっ。あれれのび太くん?本気出していいんだよ?」
のび太「ク…のッ…!」
のび太(嘘だろ…!銃弾を刀で弾くなんて…)
出木杉「優しいなぁのび太くんは」ニコニコ
のび太(落ち着けのび太!隙は必ず生まれる…!)
のび太「…………」
出木杉「ん?観念したのかい?」
のび太「逆だよ。腹ァ括ったのさ」
出木杉「ふぅん…で?」
のび太(もとから命など捨てた身……貴様は俺と一緒に…)
のび太「地獄へ来いやぁぁぁぁぁ!!」
しずか「のび太さん止めてッッ!」
のび太「なッ!?」
のび太(まずい!このまま突っ込んだらしずかちゃんを巻き添えに……くそぉぉ…止まれェェェェ!)
のび太「ぐぅぅ…!」
出木杉「甘いなぁド甘いよ。僕なら」
しずか「ギャッ!」
のび太「ガッッ…!!」
出木杉「躊躇わないよ」
しずか「出来……さ……アイ……て…………」
出木杉「大丈夫。愛してるよ。だから」
のび太「出木杉やめ―」
出木杉「永遠に眠ってくれ」ザシュッ
しずか「…ガボッ…ヴヴ………………」
のび太「そんな……なんでそんなに…簡単に………」
出木杉「さてと、次はのび太くんの番だね。…しずかちゃんのせいで傷が浅いなぁ。もっと深く」
ザクッ
のび太「………ッッ!!!」
出木杉「それっもう一回……爆発音?船体が揺れた?」
のび太「う…ふふ………」
出木杉「……何がおかしい?」
のび太「僕が……ただここまで来たと思ったか?」
出木杉「…………」
のび太「途中途中に爆弾を仕掛けてきたんだ。これなら君を討てなくても相討ちにもっていけるだろ?」
出木杉「はぁぁ……テストは0点ばかりの君にハメられるなんて」
出木杉「ほら立ちなよ」
のび太「あ?」
出木杉「どうせ死ぬなら決着つけたほうがスッキリするだろ?」
のび太「そう……だな」
出木杉「そうだ。質問とかあるならどうぞ。少しなら答えてあげるよ」
のび太「どうして君は………いや」
出木杉「?」
のび太「今更だな。知ったところで意味はない」
出木杉「……そうだね。じゃ」
のび太「あん」
出木杉「………」
のび太「………」
…
…
…
のび太「出木杉……お前ワザと………」
出木杉「ハハ…ゲホッゴホッ……そんなわけ……君の……勝ちさ………」
のび太「出木杉…」
出木杉「…僕……は…ね……の……くん………出番……が………欲………………………」
のび太「………せめて安らかに眠れ……準レギュラーの座と共に……………」
のび太「あと五分、か」
のび太「ドラえもん…ジャイアン…スネ夫……僕は………少しでも強くなれたかな―――」
85 : 以下、名... - 2009/03/17(火) 02:42:51.88 MFce/G4WO 45/45終わり!眠い!付き合ってくれた暇人さんありがと!
誤字すまんかった!