関連記事
一方通行「バカみてェな三下を顔面パンチしたら記憶喪失になった」【前編】
一方通行「バカみてェな三下を顔面パンチしたら記憶喪失になった」【後編】
一方通行「バカみてェな三下を顔面パンチしたら記憶喪失になった」【番外編】
一方通行「バカみてェな三下を顔面パンチしたら記憶喪失になった」【番外編・後編】
結標「何でコイツと同じクラスなのよ!?」一方通行「それはコッチのセリフだ」【前編】
結標「何でコイツと同じクラスなのよ!?」一方通行「それはコッチのセリフだ」【中編】
結標「何でコイツと同じクラスなのよ!?」一方通行「それはコッチのセリフだ」【後編】
一方通行「もォ今年も終わりか」結標「何だかあっという間よね……」【前編】
一方通行「もォ今年も終わりか」結標「何だかあっという間よね……」【中編】
一方通行「もォ今年も終わりか」結標「何だかあっという間よね……」【後編】
結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」【1】
結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」【2】
結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」【3】
結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」【4】
結標「わ、私が……」一方通行「超能力者(レベル5)だとォ!?」【5】
結標「私は結標淡希。記憶喪失です」【1】
結標「私は結標淡希。記憶喪失です」【2】

215 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 19:59:11.80 uq9K3Ykio 195/771



10.花見(前編)


March Third Wednesday 12:30 ~昼休み~

-とある高校・一年七組教室-




青ピ「花見に行こうや!!」ドン




吹寄「……いきなり何? うるさいわよ?」

一方通行「同感だ。つゥか、何でオマエらはいっつも俺の席の周りに集まってくンだ? 別のところ行けうっとォしい」

姫神「それはアクセラ君と結標さんの席が隣同士だから」

一方通行「だったら吹寄か姫神の席で食ってろよ」

吹寄「だってこの辺りの席の人たちはみんな学食行くんだもの。つまり空席だということだから席の確保が容易なのよ」

土御門「にゃー、オレたちはれっきとした理由があるんだぜい。アクセラちゃんといると楽しいからにゃー、おちょくる的な意味で」

青ピ「そうそう。ボクらは何も面白みのない昼食の時間に彩りを付けるために、アクセラちゃんにちょっかいかけながらご飯食べてるんやでー」

上条「テメェら、その自分たちのたちの部分に、まさか俺を含めてるんじゃねえだろうな?」

青ピ「何をいまさら。ボクらデルタフォースはいつでも一緒、一心同体!」

土御門「さらに言うなら、オレたちはスクエアフォースでもあるから、アクセラも一緒に昼休みを過ごすのは当然だということですたい」

一方通行「だから一緒にすンじゃねェって何度言えば分かる。そろそろ愉快なオブジェ展覧会を開催した方がイイかもしれねェよなァ三馬鹿諸君?」

上条「げっ、また俺が巻き込まれるパターン!? ゆっくりほのぼのメシくらい食わせろよクソったれ!」

土御門「カミやーん。俺たちにほのぼのな昼休みなんて存在しないんだぜい?」

青ピ「せやせや。ボクらがほのぼのな昼休みを過ごす為にはなぁ、ボクら四人が美少女化して日常系四コマ漫画のキャラみたいなきゃっきゃうふふ、みたいなことにならんとできへんのやでぇ!」

一方通行「昼時に気持ち悪りィモン想像させンなクソ野郎がッ!!」



216 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:00:03.14 uq9K3Ykio 196/771




ワイワイギャーギャー!!



吹寄「うるわいわねえ、お昼ぐらい静かに食べられないのかしら?」

姫神「それは今更な話」

結標「さっき青髪君が言ってたけど、花見いいわね! 私花見行きたいわ!」

吹寄「花見かー、今年は早咲きだから今がシーズンになるのかしら?」

姫神「たしかそう。ニュースでは今週末くらいから満開とか言っていた」

青ピ「そうそう。だから今週末くらい一緒に行かへん? って誘おうと思って机叩いたんよ。なのに何でこんなことになったんやろ?」ボロッ

吹寄「それは貴様らが馬鹿だからじゃないかしら。ねえ上条当麻?」

上条「何で俺が主犯みたいな言い方なんだよ? 俺むしろ被害者なんだけど」ボロッ

一方通行「いや、被害者は俺だろ」

土御門「実行犯が何か言ってるにゃー」ボロッ

結標「一方通行! 花見行きましょうよ花見!」

一方通行「花見だとォ? そンなの勝手に通学路に咲いてる桜でも見とけよ」

結標「それは花見とは言わないんじゃないの? 世間一般的な意見として」

一方通行「知るか」

土御門「しかし満開時に行くなんて人が多そうだにゃー。ましてや週末だし」

青ピ「だからこそ行くんやろ! 人が多そうだから行くのやめよう、って思っている人多そう読みの週末花見決行やッ!」

姫神「そんなことを考える人が多いのなら。世の中人込みの大渋滞なんて起こらない」

吹寄「ま、こういうので大切なのは場所取りよ。いかにいい場所を確保するかが楽しい花見ができるかを左右するわ」

結標「なるほど。つまり私が花見決行一日前から場所を確保しておけばいいわけね」

一方通行「やっぱり馬鹿だろオマエ。春が来ているとはいえまだ夜は寒いンだぞ? そンな寒空の中で一晩過ごすつもりか?」

結標「あははー、やっぱ駄目かしら?」

一方通行「そンなモンで風邪ひかれて寝込まれたら、コッチが困るンだっつゥの」

結標「……もしかして、心配してくれてるわけ?」

一方通行「してねェよ。ただ風邪で寝込まれたあとに起こるであろう、俺への被害が面倒だから止めてるだけだ」

姫神「相変わらずのツンデレ」

吹寄「素直じゃないわよね」

一方通行「うるせェぞクソアマども」



217 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:01:07.59 uq9K3Ykio 197/771



吹寄「まあ行くことは決定としていつ、どこへ行くのかを決めましょ?」

土御門「場所は第七学区の桜公園でいいんじゃないか? メジャーなところだから人も多そうだけどにゃー」

姫神「メジャーじゃなくていいところは知らないの? いろんな隠れた飲食店を知っている。土御門君なら知っていそうだけど」

土御門「あるにはあるけど、第七学区からは結構遠めのところになるな。電車とバス乗り継いで、バス停から結構歩く感じになるけどいいか?」

土御門「それに花見の為に作られたところじゃないから、コンビニとかが遠かったりするからいろいろ不便だぜい」

吹寄「……それを考慮するなら、早めに桜公園のほうの場所を確保して花見したほうがよさそうね」

姫神「うん。帰りの時間を考えなくてもいいのが大きい」

結標「場所はそれでいいとして日程はどうする? とりあえず今週末やるとして土曜日か日曜日よね? 私はどっちも大丈夫だけど」

青ピ「もちろんボクも両方大丈夫やで! なんたって言い出しっぺなんやからなー」

姫神「私は日曜日の午前中にちょっと行くところがある。といっても昼まではかからないくらいの用だけど」

土御門「オレは土曜日の昼から以外だったらいつでもいいぜい」

上条「悪りぃ、俺土曜日のほうは夕方にバイトあるから無理だ。昼開始の夕方解散ならできないことないけど」

吹寄「あたしは土曜日は一日用事があるからダメね。だから日曜にやってくれるならありがたいんだけど」

一方通行「俺は両方とも昼寝で忙しいな」

結標「……つまり、日曜日の午後からなら問題ないってことよね?」

吹寄「そうね。じゃあ日曜日の午後からってことで」


みんな「はーい!」


一方通行「ちょっと待て。俺の意見がまったくと言っていいほど反映されてねェ」

吹寄「当たり前でしょ。昼寝なんてただの暇つぶしでしょ? また別の日にやりなさいよ」

一方通行「暇つぶしだとォ? 何を言ってやがンだ、昼寝っつゥのは趣味、生活の一部、いや人生――」

土御門「場所と日時が決まったところで何をするかを決めようぜい」

吹寄「そうね。花見と言ったら飲み食いよね。花より団子という言葉もあるわけだし」

姫神「それなら私がお弁当でも作ってくるよ。店屋物やお菓子だけじゃ味気ないし」

青ピ「おっ、ヒメやんの手作り弁当やってえ!? そいつはめっさ楽しみやなぁ! なぁカミやん?」

上条「おう。姫神料理うまいからな。すっげぇ楽しみ」

姫神「がんばります!!」ガタッ

上条「うわっ、急にどうした!?」

土御門「姫神も結構単純だにゃー」

結標「お弁当を用意してがっつり食べるってことは、時間帯は夕方になるのかしら?」

青ピ「そりゃそーでしょ! 夕方どんちゃん騒ぎして、最後夜桜を見て帰宅。これが最高の花見プラン!」

土御門「どんちゃん騒ぎするためにはいろいろ余興が必要ですなー、ピアス君」

青ピ「そうですねー。これは我々で用意をする必要がありますねー、カミやん君」

上条「えっ、俺も用意するのか?」

土御門「当たり前だろ上条当麻ぁ!! 貴様まさかただで花見に参加できると思っていたのか!?」

青ピ「働かぬものに食わすメシはなぁい!! それ世界の定理ッ!!」

上条「ぐっ、お前らに言われると何か納得いかねえけど正論だ……わかったよ手伝やいいんだろ余興の準備!」



218 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:02:28.83 uq9K3Ykio 198/771



吹寄「……準備するのはいいけど、変なもの持ってこないでよ? わかっているんでしょうね上条当麻?」

上条「俺に忠告するより先に、そこのアホ二人に言った方がいいと思うんですけど吹寄さん!?」

一方通行「…………」ムスッ

姫神「どうしたのアクセラ君? 会話に参加もしないで」

一方通行「別に。何でもねェよ」

結標「勝手に話が進んでいくから拗ねてるだけよ」

姫神「なるほど」

一方通行「勝手なこと言ってンじゃねェぞコラ」

吹寄「あっ、姫神さん。お弁当作り大変そうだからあたし手伝いに行くわ。材料の買い出しとかお弁当持っていくのとか大変でしょ?」

姫神「それはありがたい。どうせヤツも来ると思うから荷物は多くなりそうだし」

吹寄「ヤツ……?」

姫神「私の宿敵」

結標「吹寄さんがお弁当手伝うのなら、私も手伝いに行こうかしら? どうせ暇だし!」



みんな「「「「「「それだけはやめろッ!!」」」」」」

結標「みんなしてひどいっ!!」ガーン



吹寄「お弁当はこっちに任せてくれていいから大丈夫よ。それにあなたには、いえあなたたちには重大な役割があるわ」

結標「役割? それは一体……?」


吹寄「結標さんとアクセラ、あなたたちには花見の場所取りをお願いするわ!!」


結標「おおっ! たしかにそれは重要な役割! 何か一番しょぼい役どころっぽいけどたしかに重要!」

一方通行「ちょっと待て! 何で俺がそンな三下みてェな役割やらなきゃいけねェンだ!?」

土御門「アクセラちゃーん。働かざるもの食うべからず、何の役目もないニート野郎は姫神特製弁当を食う権利はないんだぜい!」

一方通行「つーか、花見自体参加するとは言ってねェぞ!」

結標「どうせ参加することになるんだしいいんじゃない?」

一方通行「どォせって何だ!? それは一体どォいうことだオイ!」

上条「お前参加しないのか?」

一方通行「当たり前だろォが。俺は昼寝で忙しいっつっただろ」

青ピ「よくよく考えたら昼寝で忙しいって面白い言葉やなぁ、あははは」

一方通行「そのニヤケ面今すぐ凹ませてやろォかクソ野郎が」

姫神「アクセラ君。いいことを思い付いた」

一方通行「あァ?」

姫神「アクセラ君は昼寝をしたいんだよね? 日曜日は」

一方通行「そォだな」


姫神「だったら花見の会場で場所を取ってから。そこでゆっくり昼寝すればいい。そうすれば場所も取れて昼寝がこなせる。完璧な一石二鳥」



219 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:03:22.35 uq9K3Ykio 199/771



一方通行「お、おォ」

上条「す、すげえ。一方通行を言葉でねじ伏せた」

土御門「そうか? 割といつも言葉でねじ伏せられてるような気がするけどにゃー」

青ピ「まああれよ。実はみんなと花見したいけど素直になれないツンデ――」



ガシッ!



一方通行「で、青髪ピアス君。オマエの死体は桜の木の下に埋めとけばイイのかァ? なァ?」ニヤァ

青ピ「あ、あははははだめだよアクセラくーん。綺麗な桜の木の下には人の死体が埋まってるなんて、あんなの迷信やでー」

一方通行「迷信かどォか、ちょっと試してみようぜ?」グググッ

吹寄「やめなさいアクセラ。こんなヤツの汚い血で桜を汚しちゃダメよ」

青ピ「イタイイタイ! アクセラちゃんのベクトル握力と吹寄さんの容赦ない言葉の暴力で二重に痛いっ、でも感じちゃう!!」

一方通行「うわっ、気持ち悪っ」パッ

吹寄「今更ね」

結標「ところで場所取りって何時くらいに現地に行けばいいのかしら?」

一方通行「オマエさっき一日前とか自分で言ってなかったか?」

結標「いや、あれは場の勢いから出た適当な発言というか……」

土御門「まあ、あそこの公園は結構広いから、そんな早く行かなくてもいい場所は取れるとは思うけどにゃー」

上条「でもこの前ニュースで見たぞ。花見の為に朝五時からゲーム機片手に場所取りしてるヤツ」

土御門「安心しろ。そいつはガチ勢だ。まともに張り合う必要性は皆無だ」

結標「五時か……頑張ればいけそうね!」グッ

一方通行「やっぱり馬鹿だろオマエ」

吹寄「まあ五時は早すぎだとしても、いい場所取る為なら昼くらいに行けばいいんじゃない?」

青ピ「でも満開日やからそれじゃあ遅いかもわからんよなぁ」

一方通行「そンなに心配なら俺の代わりに朝五時から待機しててくれよピアスクン」

青ピ「ボクには花見を盛り上げるための余興の準備があるから」

一方通行「クソの役にも立たねェ余興なンて準備の必要ねェだろ」

青ピ「なんやてっ!? だったらやってやらぁ、アクセラちゃんがあっと言わせるような余興をッ!!」

一方通行「そォかよ。そりゃ楽しみだ」



220 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:04:07.42 uq9K3Ykio 200/771



結標「ちなみに花見の開始時間は?」

吹寄「夕食もかねてだから、まあちょっと早いかもだけど五時くらい? 次の日学校だから終わりが遅くなりすぎてもあれだし」

結標「昼十二時に来たとしても五時間待機か……長期戦ね。雑誌とかいっぱい持っていけばいいのかしら?」

吹寄「それかいい機会だし公園の散歩とかでもして時間潰せばいいんじゃない? そこそこ広いところだし。場所取りは片方でも居ればいいわけだし」

姫神「何なら二人で桜並木道を歩いてみては? 平たく言うならお散歩デート」

結標「ちょ、姫神さん何を言っているのよッ! こんな状況でッ!」

姫神「おっと口が滑った。てへ」

一方通行「……つゥか、場所取りに行ってンのに二人で出歩いたら意味ねェだろ。アホか」

結標「…………」

姫神「…………」

一方通行「あン? 何だコレ?」

青ピ「アクセラちゃん。何というか、某最強のスルースキル持ちを見て呆れてたけど、キミも大概なんだよなぁ……」

一方通行「ハァ? 何言ってンだコイツ?」

上条「さあ?」

土御門「要するにアクセラちゃんも馬鹿野郎ってわけだにゃー」

一方通行「言っている意味はよく分からねェが、とりあえず喧嘩売ってるっつゥことで構わねェンだよなクソ御門クン?」

土御門「そうだ。さぁ、能力なんて捨ててかかってこい!」

一方通行「やなこった」カチッ

土御門「よし、カミやんあとは任せたッ!」ダッ

上条「だから俺を巻き込むんじゃねえッ!」

吹寄「……はぁ、ストップストップ収集付かなくなる前に話をまとめるわよ」


吹寄「花見の会場は第七学区の某桜公園。日時は今週末の日曜日の午後五時集合」

吹寄「各員の役割は、姫神さんとあたしでお弁当係。三馬鹿は特には求めてはないけど余興の準備係。結標さんとアクセラで場所取り」



221 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:05:05.85 uq9K3Ykio 201/771



青ピ「ひどい言われようやなぁ。せっかく盛り上げようとしたのに」

土御門「そうだにゃー。カミやんに裸踊りでもさせて盛り上げようとしたのに」

上条「絶対やらねえぞ? 俺の幻想殺しでそのくだらねえ余興全部ぶっ壊してやるよ」

姫神「……少し見てみたいかも」ボソッ

上条「あれ? 何か聞きたくない言葉が聞こえてきたんですが姫神さん!?」

結標「吹寄さん。ここ以外のメンバー連れてくるのあり? たぶん話聞いたらうちの打ち止めちゃん付いてきそうなんだけど」

吹寄「別にいいんじゃない? 人数多い方が楽しいし」

一方通行「それを認めるとなると、上条さンちのリーサルウェポンが来るっつゥわけだな」

上条「あっ、やべえ。忘れてた……」

土御門「お弁当全滅の危機だにゃー」

姫神「大丈夫。それを想定して多めに作るつもり」

結標「さすが姫神さんね!」

上条「ありがとうございます姫神様!」ハハァ

姫神「くるしゅうない」

一方通行「はァ、だがその想定を上回るのがあのシスターだ……しょうがねェ。俺も何か適当に買ってくるか」

上条「ありがとうございます一方通行様!!」ハハハァ

姫神「……むっ」ジロッ

一方通行「ンだァその面ァ? 人がせっかく食料防衛に手ェ貸してやろうって言ってるのによォ」

姫神「別に」



222 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:05:53.66 uq9K3Ykio 202/771




キーンコーンカーンコーン



結標「あっ、予鈴」

吹寄「話は大体まとまったし。あと何かあったらまた話しましょ」

姫神「わかったわ。さて。今のうちに何作るか考えとかなきゃ」

青ピ「とりあえずあれとあれを用意して……」ブツブツ

土御門「やっぱり罰ゲーム的なのがあったほうがいいかにゃー。じゃああれを……」ブツブツ

上条「こいつら絶対悪だくみしかしてねえ」

一方通行「くだらねェ」

結標「今から楽しみよね。ね、一方通行?」ニコッ

一方通行「今から億劫だよ」

結標「それは楽しみだ、という解釈でいいのかしら?」

一方通行「オマエの思考回路はどォなってやがる」


吹寄「あっ、そうだ結標さん」コソッ

結標「何かしら?」

吹寄「姫神さんじゃないけど、せっかく二人きりの状況なんだからこのチャンス活かしたほうがいいとあたしも思うわ」

結標「えっ、いやそんな急に言われても……」アセッ

吹寄「どうせなら告っちゃえば?」

結標「!?」ブッ

吹寄「ま、それは冗談だけど。ちょっとくらいは頑張ってみてもいいんじゃない? じゃね」タッタッタ

結標「えぇ……」


―――
――




223 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:06:53.52 uq9K3Ykio 203/771



同日 19:30

-黄泉川家・食卓-



結標「――というわけで、今週末の日曜日に花見に行くことになったんですよ」


黄泉川「おっ、いいじゃんねえ花見。綺麗な桜を肴にこう酒をぐいっと」

一方通行「オマエは酒が飲めれば何でもイインだろォが」

黄泉川「そんなことないぞー。やっぱシチュエーションっつーのは大事だと思うのよ。飲み屋で飲む酒と桜を見ながらの酒、また味わいが違うじゃんねえー」

打ち止め「なるほど、シチュエーションか。部屋の中で食べるお弁当と公園とかで食べるお弁当の味が違う現象みたいな感じだね、ってミサカはミサカは一例を挙げてみる」

黄泉川「もちろんお前らと団欒しながら飲む酒もうまいぞー!!」

一方通行「うるせェ黙れ酔っ払い」

芳川「でも淡希。その日ってたしか満開の予報が出てたわよね? 人が多いんじゃない?」

結標「はい。だから早めに行って場所を確保するのが私と一方通行の役目なんですよ」

芳川「ふーん。まあ、せいぜい早く出ることね。学園都市には花見ガチ勢が結構いるから」

結標「そ、そうなんですか……? 昼くらいに行こうかと思ってたんですけど……」

芳川「それくらいなら主要な場所が抑えられてる可能性があるわね。残ってるとしたら、端っこのしょぼくてトイレもコンビニも遠い不便な場所」

結標「な、なんと!?」

一方通行「面倒臭せェ展開になってきやがったな」

芳川「そこそこの場所でいいのなら九時くらいに行くのが安全だと思うわよ」

打ち止め「詳しいねヨシカワ」

芳川「まあね。研究者時代にこの時期は花見してたからそれなりに知ってるわ」

結標「九時か……学校行く日と同じくらいの時間に起きて、行動しなきゃいけないわね」

一方通行「別に場所とかどこでもよくね?」

結標「嫌よ。場所取り係になったからには出来る限りいい場所を確保したいわ。レジャーシートが敷けないみたいな場所は絶対にごめんよ」

一方通行「ま、別に出遅れてたとえ場所がなくてもアレだ。俺がちょっとチカラ使って脅してやりゃ、連中快く場所空けてくれると思うぜ?」

黄泉川「うん? 何か悪事が聞こえてきた気がするんだけど、気のせいか?」ジロッ

一方通行「気のせいだろ」

黄泉川「あんまり無茶するなよお前ら。一応、その日は私のいる班のアンチスキルが見回りしてると思うから、ちょっと問題でも起こしてみろ。いくら身内でも容赦しないじゃん」

結標「き、気を付けます」

一方通行「チッ、厄介なヤツが居やがる」

結標「……ってことは黄泉川さん当日はお仕事ってことですか?」

黄泉川「そうじゃんね」

結標「それは残念ですね。一緒にどうかな、って思ったんですけど」

一方通行「ソイツは朗報だな。面倒なのがいなくて清々する」

黄泉川「なんだー? 生意気なことを喋る口はこいつかぁー? このこのー」ツネッ

一方通行「いふェえ、はひひやはるッ!?(痛てェ、何しやがるッ!?)」



224 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:07:39.76 uq9K3Ykio 204/771



芳川「ちなみにだけど淡希。私もその日はバイトと時間が被ってるから行けないわ」

結標「そうですか」

芳川「ま、休みでも行かないけどね」

結標「何でですか? もしかして面倒臭いとかどっかの白髪みたいなこと言うつもりじゃ……?」

一方通行「へェー、ソイツは奇遇だなァ」ヒリヒリ

打ち止め「大丈夫? ほっぺたが真っ赤に腫れてるよ? ってミサカはミサカは急激な肌色の変化に心配してみたり」

一方通行「あの野郎一体握力いくつだ? 本気でつねりやがってよォ」

黄泉川「覚えてないけど、リンゴくらいなら握り潰せるじゃん」

一方通行「怪力ゴリラババ――」



ゴンッ!!



芳川「うーん、面倒臭いっていう気持ちがあるのは否定はしないけど、理由は別にあるわ。子供たちの集まりに大人が混じるのって正直あれだからよ」

結標「な、なるほど。その発想はありませんでした」

芳川「子供には分からないでしょうね。この気持ち」

黄泉川「別にいい気がするけどなー。引率みたいなもんじゃん?」

芳川「高校生の花見に引率が付くなんて聞いたことないわよ?」

一方通行「行きたくねェな、そンなモンが付く花見なンてよォ」

黄泉川「花見なんて学生がはっちゃける行事の筆頭だからな。節度のある花見をするように指導しなきゃいけないじゃん」

打ち止め「指導? 節度のある花見にするための指導って何なの? ミサカはミサカは率直な質問をしてみたり」

黄泉川「そうだなー。例えばアルコールの入ったジュースを飲もうとしたら取り上げたり、アルコールの入った炭酸の麦ジュースを飲もうとしたら取り上げたり」

一方通行「両方酒じゃねェか。それしか基準がねェのかよ節度のある花見っつゥのはよォ」

黄泉川「そりゃそうだろ。花見の飲み会なんてはっちゃけるのが普通じゃん? 未成年がアルコールを飲まなきゃ、好き放題してくれりゃいい。あくまで常識の範囲内でだけどな」

一方通行「随分と適当だな。アンチスキル」

黄泉川「そこまでギチギチに締め付ける気はないってだけじゃん」

結標「あっ、そうだ。打ち止めちゃんはもちろん来るわよね?」

打ち止め「……ふふふっ、残念ながらミサカはここでノーと答えさせてもらうぜ、ってミサカはミサカはハードボイルドを気取ってみたり」

芳川「貴女ハードボイルドの意味知ってる?」

結標「珍しいわね打ち止めちゃん。貴女がこの誘いに乗ってこないなんて……花見はあんまり興味なかった?」

一方通行「どォりで話に食い付いてこねェわけだ」

打ち止め「おっと勘違いさせちゃってるね。ミサカはあくまでアワキお姉ちゃんたちとは一緒に行けないって言いたかったんだよ、ってミサカはミサカは追加の説明を入れてみる」

一方通行「あァ?」

打ち止め「同じ日の同じくらいの時間帯にキハラたちも花見をするんだ。それにエンシュウから誘われたからそっちのグループで花見するよ、ってミサカはミサカはさらに追加説明してみたり」

結標「へー、木原さんたちも花見するんだ」

一方通行「嫌なヤツと鉢合わせしそォだ」

打ち止め「そういうわけだから一緒にいけないんだ。まあ、ちょくちょくそっちの方にも顔出してちょっかいかけるとするよ、ってミサカはミサカは二つの組織をまたにかける女スパイの気分になってみたり」

一方通行「何がスパイだ。コッチの菓子とか食いモン目当てに寄って来る乞食の間違いだろ」

打ち止め「へへー、やっぱりバレてた? ってミサカはミサカは舌を出しておどけてみたり」テヘペロ



225 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:09:10.17 uq9K3Ykio 205/771



結標「ところで一方通行? 当日何時に行くのがいいと思う? やっぱり九時がいいかしらね?」

一方通行「面倒臭せェ、そンなに九時に行きてェならオマエだけ先に行ってろよ」

結標「ええっー、それは嫌よ。行くなら一緒よ? 一人で長時間寂しく待機なんて絶対嫌っ!」

一方通行「だったら昼頃行くか?」

結標「でもそれだったらいい場所取れない可能性が……」

打ち止め「こうなったらジャンケンで決めればいいよ! このままじゃどうせいつまで経っても埒が明かないんだからさ、ってミサカはミサカは解決案を提示してみたり」

一方通行「……ほォ、面白れェじゃねェか。この俺にジャンケンを挑もうなンて百年早ェンだよ」

結標「何よ、随分な自信じゃない? 誰がやっても平等に三分の一の確率で決まる勝負なのに」

一方通行「俺を誰だと思ってやがる? あらゆるベクトルを観測できるこの俺が、オマエの出す手を見抜けねェわけねェだろォが」カチッ

結標「なっ、理屈はよく分からないけど能力を使うつもりね!? 汚いわよ!」

芳川「たぶんあれね。ジャンケンの手を出すときの微妙な筋肉の動きとかを観測して勝つつもりよ。要するにやることは後出しと一緒」

一方通行「ケッ、チカラ含めて俺の実力だ。オマエにとやかく言われる筋合いはねェ」

黄泉川「だったらここに何かのパーティーで使ったジャンケンカードがあるじゃん。これでやれば公平だろ」

一方通行「は? 何でそンなモンがあンだよ?」

黄泉川「何か隅っこに転がってた」

芳川「なるほど。これを使えばベクトル操作の能力で、相手が何を出すのかを知ることはほぼ不可能ね」

結標「ナイスアシストです黄泉川さん! よし、これで純粋な運の勝負よ一方通行!」

一方通行「チッ、調子に乗るなよ格下がァ! この俺が普通にやったところでオマエなンかに負けるわけねェだろォが!」スッ

結標「ジャンケンに格下格上なんて関係ない! それじゃ行くわよ!」スッ



一方結標「「ジャンケン、ポン!!」」バッ



―――
――




226 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:10:00.89 uq9K3Ykio 206/771



March Forth Sunday 09:00

-第七学区・とある桜公園-



結標「よし、着いた。ここが桜公園ね」

一方通行「何で俺がこンな朝早くからこンな場所に来なきゃいけねェンだ」

結標「ぶつぶつうるさいわよ。大人しく敗者は勝者に従いなさい」

一方通行「たかだかジャンケンごときに勝ったぐらいでそこまで偉そうに出来るなンて、ある意味才能だな」

結標「そのたかだかジャンケンに負けてゴチャゴチャ文句垂れてるヤツに言われたくないわね」

一方通行「チッ、面倒臭せェ」

結標「しかし、桜すっごい迫力ね。これが満開の桜ってやつか……綺麗」

一方通行「ふーン、あちらこちら見回して見ると、例の場所取りガチ勢とやらが結構居やがるな」

結標「芳川さんの情報は正しかったってことね。信じてこの時間に来てよかったわ。昼頃に来てたらほとんど埋まってたんじゃない?」

一方通行「この桜の量ならどこにレジャーシート敷こうが同じだっつゥの」

結標「……まあ、それはたしかに思う。ちょっとだけだけど」

一方通行「つまり、わざわざいい場所を取る必要はなくなったっつゥわけだ。じゃ、一回家帰って寝直してからまた昼頃来るとするか」ガチャリガチャリ

結標「まあ待ちなさい。せっかく来たのだから、ちゃんと場所取りしましょうよ」ガシッ

一方通行「オマエもさっきどの場所でも同じっつってただろォが」

結標「いや、もしもの話をしましょ? もしここで帰ってまた昼間に来たとしましょう。すると大盛況でレジャーシートを敷く隙間すらありませんでした」

一方通行「考えすぎじゃねェのか?」


ガチ勢「それが考えすぎではないぞ!!」


一方通行「あン?」

結標「誰っ!?」


ガチ勢「今日は日曜日に加え満開日だ。さらにこの時間の段階で場所取りしているグループの数がそこそこ多いッ!!」

ガチ勢「もちろんそのグループは夜に花見をするグループではなく、昼で解散するグループかもしれない。だが経験からしておそらくあの中では半分くらいだッ!!」

ガチ勢「さらにこの週末にはこの公園周辺で桜祭りと言って出店が出ているため、集客力がかなり高まっているだろうッ!!」

ガチ勢「以上のことからして、この時間ここにいるのならば場所取りをしない理由は皆無ッ!! では、レッツ花見ライフッ!!」スタスタ


一方通行「……何だったンだ今の?」

結標「さ、さあ? 例の花見場所取りのガチ勢の人じゃない?」



227 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:11:06.58 uq9K3Ykio 207/771



一方通行「よくわからンがアイツが言うことを信じるなら、昼間に来たら場所がなくなっている可能性が高いっつゥことか」

結標「ほ、ほら私の言った通りじゃない。やっぱり場所取りはしとくべきよ」

一方通行「あンな見ず知らずの不審者の言うことを聞くつもりかオマエは?」

結標「見ず知らず不審者じゃないわ、ガチ勢の人よ」

一方通行「俺からしたらほぼ同じ意味なンだがな……まァイイ、花見ガチ勢か。お手並み拝見と行くか」

結標「しかしいい場所と言ってもどういう場所がいいのかさっぱり分からないわね」

一方通行「ネットで見る限りだと、桜が綺麗に見える場所、トイレとかゴミ箱が近い場所、座る場所が荒れてなく座りやすい地面の場所、とかだそうだ」ピッピッ

結標「へー、なるほど」

一方通行「あと、俺らは夜桜の予定だから足元が見やすい街灯とかの下がイイらしい」

結標「…………」

一方通行「あァ? どォかしたか?」

結標「いや、さっきまで文句しか言ってなかったヤツがこういろいろ調べてくれてるのに違和感が……」

一方通行「人がせっかく働いているっつゥのに、何でそンなこと言われなきゃいけねェンだ?」

結標「あはは、ごめんごめん。でもあれよね。なんだかんだ言って貴方も花見が楽しみだったってわけよね?」

一方通行「どこをどォ思考すればそンな考えが出てくる? 勘違いすンじゃねェぞ。オマエに適当な場所を闇雲に取られて、俺まで他のヤツから総スカン食らいたくなかったから調べただけだ」

結標「はいはいそうですねー、私はそんなことをやりそうな馬鹿ですよーと」

一方通行「チッ、癇に障るヤツだ」

結標「……うーんざっと見た感じ、さっき貴方が言ったポイントに当てはまりそうな場所は大体取られているようね」

一方通行「そりゃそォだ。わざわざこンな時間に来るヤツがゴミみてェなポイントを陣取るわけねェからな」

結標「やっぱりガチ勢ってすごいのね。ほら見てみてよあそこ。わざわざ寝袋まで持ってきて場所取りしてるわよ。一体いつからあそこに待機しているのかしら?」

一方通行「あンなのカワイイモンだ。アッチにはテント張ってる馬鹿が居やがるぜ?」

結標「あそこまでしないといい場所は取れないってことね。甘く見ていたわ花見の場所取り……」

一方通行「まァ、俺が脅せば一発で」

結標「だからやめときなさい。黄泉川さんのお世話になりたくないでしょ?」

一方通行「だったら金でも積むかァ? コンビニのATMで五万くらい下ろしてくっかァ?」

結標「それも黄泉川さんならきっとアウトって言うからやめときなさい。というか嫌にリアルな数字よね五万って」

一方通行「買収の何が悪いのか理解に苦しむねェ。俺たちは場所を取れる、相手は五万円儲かる。まさしくWin-Winの関係だっつゥのに」

結標「まあそうなんでしょうけど……あっ、あれを見てよ一方通行」

一方通行「あン?」ジロッ



黒服1「…………」

黒服2「…………」

黒服3「…………」



結標「黒いスーツにサングラス、まさしくいかにもな人たちが場所取りしてるわよ。しかも結構良さそうな場所」

一方通行「ほォ、いかにもな三下どもだな。まさしく花見の場所取りにピッタリなヤツらだ」

結標「やっぱりあれくらいの人たちじゃないといい場所が取れないのね」

一方通行「……つゥかアイツら、どっかで見たことあるよォな気がする顔だな」

結標「えっ、ほんと? うーん……」ジィ



228 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:11:54.80 uq9K3Ykio 208/771



黒服1「……あっ、一方通行さんに結標さん、おはようございます!」

黒服2「ちわっす!」

黒服3「そちらも花見の場所取りですか? お互い大変ですねー」


結標「……あっ、思い出した! たしか木原さんの会社の!」


マイク「どうも。コードネーム:マイクです」

オーソン「オーソンっす」

デニス「デニスと申します」


一方通行「……つゥことは、ここは木原の野郎が来る予定の場所か?」

オーソン「そうっす。夕方五時スタートの予定です」

結標「ふーん、偶然にも同じ時間ね。じゃあここら辺の近くで場所取れば、打ち止めちゃんとも一緒に花見できるわね」

一方通行「オイやめろ。何で花見の時に木原の顔なンて見なきゃいけねェンだ。この位置から真反対の場所に行くぞ」

結標「ここから真反対だと、さっき貴方が言ったトイレやゴミ箱に近いって条件に全然合わない位置になりそうよ」

一方通行「俺の平穏の為には背に腹は代えられねェ」

結標「ほんと貴方嫌いよね。木原さんのこと」

一方通行「普通の思考していたら、ヤツを嫌悪しねェヤツはいないはずなンだがなァ」

結標「じゃ、そういうわけなんで私たちは行きます」

マイク「場所取り頑張ってください」

デニス「花見の場所取りは戦争ですからねえ。ご武運を」

結標「ありがとうございます」



229 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:13:04.28 uq9K3Ykio 209/771



結標「さて、じゃあ別の場所を探すとしますか」

一方通行「もォこの際普通に座れりゃどこでもイイだろ。トイレなンて歩かせりゃイイし、ゴミなンてオマエが飛ばせばすぐ運べる」

結標「貴方の言うことには納得しかねるけど、この空いてる場所からしてそうせざる負えないようね」

一方通行「何だその言いようは? そンなに気に入らねェならゴミは俺が大気圏外に向けてぶっ飛ばしてやるよ」

結標「宇宙にゴミをばら撒くのはやめなさいよ」

一方通行「もともとデブリだらけなンだから問題ねェだろ。そもそも大気圏の摩擦でゴミが燃え尽きるっつゥの」

結標「まあトイレとゴミ箱は度外視するとしても、せめて街灯とかは欲しいわよね? 足元とか見づらいと何かと不便だし」

一方通行「それなら楽な条件だ。街灯のある道沿い歩いて行きゃどっかあンだろ」

結標「そうね。じゃあ、その辺適当に歩いてみましょ」

一方通行「ああ。しかし、吹寄のヤツよくもこの俺にこンな面倒事押し付けてくれたな。覚えてろよアイツ」

結標「まあいいじゃない。どうせ上条君たちと余興の準備をしろって言われても嫌がるでしょ貴方」

一方通行「それはもちろン全力で逃げる。チカラァ使ってでもなァ」

結標「かと言って女子二人に混じってお弁当作りを手伝え、って言われても嫌でしょ?」

一方通行「まァな。まあ馬鹿三人に付き合うよりはマシだろォけどよ」

結標「じゃあ場所取りしかやることないじゃない」

一方通行「まだやることは残ってるだろ」

結標「何よ?」

一方通行「家で昼寝して集合時間が来るまで待機」

結標「まだそんなこと言っているの貴方は? いい加減諦めなさいよ」

一方通行「オイ結標」

結標「何よ?」

一方通行「面倒だからあの場所でイイだろ。街灯もあるし、地面も平面に近いから座りやすいし、広さもそこそこだ」

結標「うーん、まあトイレまで片道五分くらいかかりそうなところだけど、いいんじゃないかしら? 景色もまあ良さそうだし」

一方通行「場所も場所だから人が少ないのも俺からしたらポイントが高いな。ま、時間が経てばここにも有象無象で溢れかえるンだろォが」

結標「じゃ、ここら辺にしましょ。シート敷くから手伝って」ゴソゴソ

一方通行「ハイハイ」ガサガサ


結標「……よし、これで場所は取れたわ」

一方通行「やっとこの場所取りっつゥクソみてェな作業から解放されンだな」

結標「残念ながら花見が始まるまでが場所取りです。絶対に逃がさないわよ」

一方通行「わかってるようるせェな。逃げやしねェよ」

結標「本当かしら?」

一方通行「当たり前だろォが。あっ、そォだ。ちょっとコーヒーが飲みたくなってきたから自販機行ってくる」

結標「とか言って逃げるつもりじゃないでしょうね?」

一方通行「ンなわけねェだろォが。どれだけ信用されてねェンだ俺は?」

結標「逃げたら絶交だからね?」

一方通行「その程度で絶交されるなンてクソみてェな信頼関係だなァオイ」


―――
――




230 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:13:47.53 uq9K3Ykio 210/771



同日 11:00

-とある高校男子寮・上条当麻の部屋-



青ピ「――というわけで、長い話し合いの末にボクらの用意する余興が決まりましたぁー!」



土御門「いえーい!」

上条「ちょっと待てコラ」

青ピ「なんやカミやん。何か不満でもあるんかいな?」

上条「不満しかないわ! お前ら本気で『アレ』を花見の会場でみんなの前でやるつもりなのかよ?」

青ピ「むしろああいう場でやってこそやん。それにインデックスちゃんもやる気になってるし」

禁書「なんだかよくわかんないけど頑張って歌うんだよ!」

上条「なんだかよくわからないものを頑張ろうとするな! 大体お前歌とか歌えんのかよ?」

禁書「むむっ、とうま! 私は声とか歌を使った魔術のプロフェッショナルなんだよ! だから歌は大大大得意かも!」

青ピ「魔術……?」

上条「あ、あははいやいや何でもない何でもない気にしないでくれ。つーか、お前が歌おうとしてる歌はそういうのまったく関係ないヤツだろうが」

禁書「そこのところは大丈夫! だって毎週欠かさず観てるし、何より私には完全記憶能力があるからね。バッチリ歌えるんだよ」フフン

上条「くっ、なんつう自信満々の顔だ」

土御門「カーミやーん、諦めて大人しく受け入れたほうがいいんじゃないか?」

上条「……い、いやでも」

土御門「だったら代わりに姫神ご所望の裸踊りでもやるかい?」

上条「ぐっ……、わかったよ。やりますよやらせていただきますよ」

青ピ「さすがカミやん。わかってくれると思うとったで」

禁書「ねえねえとうま」

上条「何だよ?」

禁書「そろそろお昼の時間なんだよ。お腹が減ってきたかも」

青ピ「ほな練習は昼メシ食べてからにしよーか。腹が減っては戦はできぬ、ってね」

土御門「よし、ならラーメン食いに行こうぜラーメン。近くに最近見つけたうまいラーメン屋があるにゃー」

禁書「わーい、らーめんらーめん♪」

上条「ラーメンは二杯までだからなインデックス。そんな手持ちないんだからな、わかってんだろうな?」

禁書「ちゃーはん♪ ぎょーざ♪ からあげ♪ ほいこーろー♪」

上条「サイドメニューは二つまでにしろ!」

禁書「はーい!」

青ピ「なんや貧乏貧乏言うとるわりには結構許容してへんか?」ボソッ

土御門「カミやんはなんだかんだ言って甘いからにゃー。それにインデックスに慣れすぎて感覚が軽くぶっ壊れてるのかもしれない」ボソッ

青ピ「カミやんェ……」

上条「なに二人してコソコソ喋ってんだ? さっさと行こーぜ?」


―――
――




231 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:14:20.32 uq9K3Ykio 211/771



同日 12:00

-第七学区・とある桜公園-



ワイワイガヤガヤ



一方通行「Zzz」



結標「ただいまー、お昼買ってきたわよー、って寝てるし。この騒がしい中よく寝られるわね……」

結標「ちょっと起きなさいよ一方通行! お昼ご飯買ってきたわよ!」ユサユサ


一方通行「Zzz――あァ? ……チッ、俺の睡眠を妨げやがってクソが」


結標「相変わらずの寝起きの悪さね。ほら、お昼買ってきたわよ」つコンビニ弁当

一方通行「別に腹なンて減ってねェよ。だから俺の昼寝の邪魔をするなよ」

結標「周りはお花見昼の部で大騒ぎしてるっていうのに、よくこの状況で昼寝しようなんて思うわね」




<うわー桜満開すごいねー!! <昼間から飲む酒うめええええ!! <ここで一曲歌います!!




一方通行「……おォーおォー、いかにもなヤツらがハシャギ回ってンなァ」

結標「えっと、鮭弁とからあげ弁買ってきたけど貴方どっちがいいかしら?」

一方通行「だから腹減ってねェっつってンだろ。いらねェよオマエ一人で食え」

結標「なっ、い、嫌よ何で私が二人分のお弁当食べなきゃいけないのよ!」

一方通行「オマエが勝手に買ってきたンだろォが」

結標「大体、夜にもたくさん飲み食いするっていうのにここでそんなに食べたら、絶対、その、体重が……」ボソッ

一方通行「あァ? 別に誰もオマエの体重の増減なンざ気にしねェだろ」

結標「私が気にするのよ! ったく、貴方って本当にデリカシーってのがないわよね」

一方通行「今さらそンなこと言われてもなァ」

結標「……はぁ、まあいいわ。私鮭のほう食べるから唐揚げのほうよろしく」カパッ

一方通行「勝手に決めンな、つゥかいらねェっつってンだろォが」

結標「どうしても今食べないっていうのなら私にも考えがあるわ」

一方通行「あン?」


結標「この唐揚げ弁当、今から私直々に美味しく味付けして食べさせてあげるわ。どんな手を使ってでも、ね」ニヤッ


一方通行「いただきまァす」カパッ

結標「はい、よろしい」ニコッ



232 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:15:28.00 uq9K3Ykio 212/771



一方通行「……はァ。自分のウィークポイント晒し上げまでするとは、どンだけ弁当食わせてェンだよオマエ」モグモグ

結標「いや、なんかこのまま引き下がったら負けた気がして」パクパク

一方通行「何つゥか、オマエも超能力者(レベル5)らしくなってきたな」

結標「何でよ?」

一方通行「負けず嫌いっつゥか、我が強いっつゥか」

結標「そ、そうなのかしら……、まあでも貴方にはさすがに負けるけどね」

一方通行「誰が負けず嫌いで我が強いヤツだってェ?」

結標「だって事実よね? 負けるの嫌いだし、何が何でも自分のこと押し通そうとするし」

一方通行「チッ、そォかよ」

結標「……そういえばさ」

一方通行「何だよ」

結標「まだ二人しかいなくて、食べてるものもこんなショボいコンビニのお弁当なんだけどね」

一方通行「買ってきたのはオマエだろォが。で、それがどォかしたかよ」

結標「これもある意味花見をしてる、ってことになるわよね?」

一方通行「桜見ながらメシを食う、っつゥ行為が花見って言うならそォだろォな」

結標「場所取りって一見損な役回りっぽいけど、昼間の桜の木を見ながらご飯食べられるならある意味役得よね」

一方通行「そォか?」

結標「そうよ。だってみんなが来るのは夕方からだからみんなが見られるのは夕方からの桜だから。私たちは長くいろんな桜を楽しめるってこと」

一方通行「……まァ、大半の場所取りしてるヤツらは寝てたり本読ンでたりゲームしてるから、そンなこと思ってるヤツは少数派だろォよ」

結標「別にいいわよ。少数だろうが多数だろうが私が良ければ」

一方通行「つゥか、オマエいつからそンなお花サン大好き女になったンだ?」

結標「別にそういうわけじゃないわよ。ただ、せっかく花見に来たんだから桜の景色楽しまなくっちゃねって感じよ」

一方通行「へェー」

結標「貴方も少しは景色を楽しんでみたらどう? すぐに昼寝しようとせずにね」

一方通行「……まァ、別にそれはやってもイインだけどよォ」

結標「あら、貴方にしては意外な答えね。何かしら屁理屈こねて突っぱねると思ったのに」

一方通行「俺を一体何だと思ってやがる」

結標「あはは、ごめんごめん」

一方通行「……たしかに、こォいう風に揺れる花とか木々とか見ると落ち着くよなァ」

結標「そうね。わかってるじゃない」

一方通行「落ち着くからか知ンねェけどよォ」カクン

結標「うん?」

一方通行「……こう、自然と、睡魔が――Zzz」

結標「結局寝るんかい! ていうか、お弁当食べ差しにしたまま寝るな!」


―――
――




233 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:16:22.32 uq9K3Ykio 213/771



同日 14:00

-とある高校女子寮・姫神秋沙の部屋-


吹寄「………ふう、今頃場所取り二人組は仲良くやってるかしらね」

姫神「やっぱり場所取りを二人に任せたのは。そういう意図があったからなのね」

吹寄「まーね。って言っても、あの選択肢三つだったら消去法で結局はああなりそうだけど」

姫神「アクセラ君だったらなんやかんや言いながらも。余興とかなら渋々参加してくれそうな気がする」

吹寄「たまによくわからないノリの良さを見せるわよねアクセラって」

姫神「ふふふ。そうね」

吹寄「ま、二人のことは置いといて、姫神さんも花見中に隙を見つけてガンガンアタックしなさいよね」

姫神「うっ。それは……」

吹寄「花見の宴会って言ってもずっと同じ場所にいなきゃいけないってことはないんだから、連れ出して二人きりになっても構わないわけだし」

吹寄「今日は桜祭りで屋台とか出てるみたいだし、一緒に回ってみたりすればいいんじゃないかしら?」

姫神「なんとも難易度の高い要求。そんなことができるのなら。こんな状況にそもそもなっていない」

吹寄「そんなこと言ってたらいつまで経ってもこのままよ?」

姫神「む……。それはそう」

吹寄「だったら今日のお花見は上条当麻を誘って一緒に屋台に行く。これがミッションよ♪」

姫神「……なんか楽しそうね。他人事だと思って」

吹寄「何言ってるのよ。ちゃんと姫神さんのこと考えてるわ」

姫神「本当に?」

吹寄「だって実現できたら姫神さん、嬉しいでしょ?」

姫神「……まあ。たしかに」

吹寄「じゃあ決まりね! 頑張ってね姫神さん。出来る限りのことはあたしもサポートするわ!」

姫神「ありがとう。じゃあ。なんとかやってみるとする」

吹寄「よし、そうと決まればささっとお弁当の準備済ませて、結標さんたちと合流しましょ」

姫神「うん」


―――
――




234 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:17:25.04 uq9K3Ykio 214/771



同日 15:00

-第七学区・とある桜公園-


結標「…………」←来るときに買ってきたファッション誌を読んでいる

一方通行「…………」←寝たらなぜかどつかれるので仕方無しに漫画雑誌読んでいる



ワイワイガヤガヤ



結標「……気付いたらこの辺りも人が増えてきたわね」

一方通行「そォだな」

結標「やっぱり早いうちから場所取りしてて正解だったってことね」

一方通行「ここまでのことをしないといけねェとは、ホント面倒臭せェイベントだよなァ花見ってヤツはよォ」

結標「その分楽しいわよ。きっと」

一方通行「だとイイがな」

結標「何よそれ。少しは楽しもうという意思を見せたらどうかしら?」

一方通行「チッ、くっだらねェ」

結標「もう……」


『せっかく二人きりの状況なんだからこのチャンス活かしたほうがいいと思うわ』


結標「…………」


『どうせなら告っちゃえば?』


結標「……はぁ、そんなこと言われてもねえ」ボソッ

一方通行「あン? 何だよ」

結標「えっ、いやなんでもないわよ、あははははは!」アセッ

一方通行「?」


結標(大体二人きりと言っても周りには他の花見客とかいるわけだから、言うほど二人きりって状況じゃないわよねこれ)

結標(そんな公衆の面前で恋愛マンガみたいな熱烈な告白なんかしたら、恥ずかしすぎて死ぬってレベルじゃないわよね)

結標(そもそも二人きりって状況、私たちの場合別に珍しくないのよね。登下校とか結構二人きりのこと多いし)

結標(だからか二人きりの状況の活かし方がぜんぜん思いつかないわ……)



235 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:19:09.68 uq9K3Ykio 215/771



結標「……はぁ」

一方通行「さっきから何ため息ばっかついてンだ、うっとォしい」

結標「別に。あっ、もうこんな時間か。おやつでも食べよっと」ガサゴソ

一方通行「あと二時間弱か。もう少しでこの場所取りとかいう苦痛から解き放たれるっつゥことだよな」

結標「むっ、私といる時間が苦痛って言いたいのかしら?」

一方通行「薄寒い空の下の固い地面の上で、長時間座ったりしながら本読ンだりぼォっとし続けるのは苦痛だろォが。オマエの有無は関係ねェ」

結標「あー、たしかにね。私もそろそろキツくなってきたわ、クッションとか持ってくればよかった」

一方通行「チッ」

結標「まあまあそう機嫌を悪くしないでちょうだい。そうだ、ポッキー食べる?」つポッキー

一方通行「いらねェよ。大体そンなモンで機嫌がよくなるわけねェだろォが」

結標「何? 私のポッキーが食べられないっていうのかしら?」

一方通行「甘いモンはいらねェ」

結標「安心してちょうだい。これは大人なビターなヤツだから」

一方通行「そォだとしてもいらねェよ」

結標「むー、だったらこの突き出したポッキー行方は一体どうなるっていうのよ?」

一方通行「自分で食えばイイじゃねェか」

結標「なんかムカつくから貴方が食べなさい! はい、あーんしなさいあーん」

一方通行「やるわけねェだろ!! 馬鹿言ってンじゃねェぞクソアマが!!」



ワーワーギャーギャー!!



モブ(なんだあのバカップル……糞がッ!)


―――
――




236 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:19:44.02 uq9K3Ykio 216/771



同日 16:00

-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-


数多「――さて、お前ら食いモンとか酒とかの準備は出来ているな?」

ヴェーラ「問題ないです」

ナンシー「バッチリです」

数多「ならそろそろ行くとするか。おいクソガキども! そろそろ行くぞ準備出来てんだろうな!?」

打ち止め「別に準備するものなんて特になかったから大丈夫だぜ、ってミサカはミサカは両手のひらを見せて手ぶらアピールをしてみる」

円周「私も特には言われてなかったけど、いろいろと準備はできてるよー」ゴチャゴチャ

数多「あん? 何をそんなに持っていこうとしてんだよ」

円周「えっとね、よく掘れるシャベルに掘削用の手持ちドリル、それに岩盤破砕用のダイナマイトにー」ゴソゴソ

数多「お前一体どこに行くつもりなんだ? 一人だけ炭鉱にでも行こうってか?」

円周「違うよ数多おじちゃん。これは桜の木の下に埋まってる死体を掘り起こすための道具だよ」

打ち止め「ひっ」ビクッ

数多「お前人の話聞いてたか? 花見に行くっつってんだよ穴掘り大会に行くなんて一言も言ってねえんだよこっちはよ」

円周「でも数多おじちゃん、『木原』的には桜の花びらの鮮やかさと、地面に死体が埋まってるかどうかの関連性はぜひとも調べないといけないよね?」

数多「んなもん調べてどうするってんだ?」

円周「……さあ?」

数多「ノープランかよ。飲み食いしている隣で砂埃撒き散らされてもこっちは迷惑なんだっつーの。どうしてもやるなら別のところ行けや」

円周「うーん、ここで私だけハブられるのはあまりよくないなー。わかったよこの死体発掘セットは置いとくよ」ガタッ

数多「いい子だ」

打ち止め「……ねえねえキハラ? 本当に埋まってるの……? その、死体……、迷信じゃなかったの? ってミサカはミサカは恐る恐るたずねてみる」

数多「何でそんなこと聞くんだよ」

打ち止め「だってその答えによっては花見に行きたい度がガクっと下がるかもしれないから、ってミサカはミサカは震えながら答えてみたり」ガクブル

数多「あー……まあ埋まってると言えば埋まってるし、埋まってないと言えば埋まってはいないだろうな」

打ち止め「えっ、それどういうことなの!? ってミサカはミサカはあまりにも曖昧な回答に驚きながらも返答してみたり」

円周「この辺りの土地は大昔戦で死体が放置されてたり、死体処理場だったりしたような場所だから、土に還ってるって意味では埋まってるってことだよ」

打ち止め「はえー、なるほど。つまり桜の木の下に生々しい死体が埋まってるってことはないんだね? ってミサカはミサカは確認をとってみる」

円周「まあ誰かが新しく埋めたりしてない限り、そんな生々しいのは出てこないだろうねー」

打ち止め「う、埋まってないよね……?」

円周「……ふふふ、さーてそれはどうか――」



ゴッ



数多「いい加減にしろクソガキが! いつまでここで足踏みさせるつもりだ!? 埋まってねえからさっさと行くぞ!」スタスタ

円周「ぐごごごごごごあともうちょっと力が強かったら、私が桜の木の下に埋まる死体になってたよ危ない危ない」

打ち止め「大丈夫エンシュウ? ってミサカはミサカは心配そうに眺めてみたり」


―――
――




237 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:20:36.03 uq9K3Ykio 217/771



同日 16:30

-第七学区・とある桜公園-



吹寄「あっ、いたいた! おーい結標さんアクセラー!!」タッタッタ



結標「吹寄さんに姫神さん! 早いわねもう来たの?」

姫神「場所取りの待ち時間。退屈にしてると思って」

吹寄「本当に大変だったでしょ? 何時くらいからここにいるの?」

一方通行「どっかのアホが馬鹿の言葉を真に受けたせいで九時からだ」

結標「何言ってるのよ。九時に来たからこそ、こんなそこそこ良い場所を取れたんじゃない」

姫神「……逆算すると。だいたい七時間半か。なかなかのハードさ」

吹寄「す、すごいわね。本当にありがとうね二人とも!」

結標「いや、これが私たちの仕事だし全然いいわよ……しかしお弁当の量すごいわね」

姫神「あのシスターが来るなら当然」

一方通行「……そォいや俺の方でも何か適当に食いモン買うっつってたの忘れてたな。コンビニでも行ってくるか」

吹寄「別に今行かなくても大丈夫じゃないかしら? これだけあればしばらくはもつだろうし、買いに行くなら近くに屋台とか出てるからそこに買いに行けばいいと思うわ」

一方通行「ああ、そンなモン出てるっつってたな」

結標「吹寄さんたちが来たことだし、あとは上条君たちが来ればお花見始められるわね」

吹寄「あいつらちゃんと集合時間に来るのかしら?」

姫神「間に合わない確率のほうが高そう」

一方通行「まァ、大体の遅刻の原因のインデックスのメシ作りっつゥのが今回はねェから、多少の希望は持てるかもなァ」

結標「他にもたくさんあった気がするけどね。遅刻の理由シリーズ」

姫神「驚異の信号赤率。おばあちゃんの道案内。財布とか携帯を家に忘れるetc……」

吹寄「ちゃんと早めに出てれば間に合うんだから、そんなのを言い訳にするなんて甘えよ甘え」

一方通行「信用のねェヒーローだこった」


~35分後~


吹寄「…………遅い!」イライラ

姫神「予定調和」

結標「ま、まあまあ落ち着いて吹寄さん」

吹寄「大丈夫。あたしは至って冷静だから」イライラ

結標「そうには見えないんだけど……」

一方通行「ったく、何でこォ面白いよォに毎回同じ展開繰り返してンだアイツらはよォ」



238 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:21:18.71 uq9K3Ykio 218/771




上条「おーい!」タッタッタ



結標「あっ、上条君たち来たわ!」


吹寄「ちょっと上条当麻ぁ!! 5分遅刻よ5分!!」

上条「ぎゃあああ申し訳ございません!! 言い訳なんですが驚異の赤信号率、おばあちゃんの道案内、財布とか携帯を家に忘れるetc……とかやってしまいましたすんません!!」


一方通行「フルコースじゃねェか」

姫神「これはひどい」

結標「よく5分遅刻で済んだわね。逆にすごいわ……」

土御門「にゃー、カミやんが居てくれると吹寄の雷の避雷針になってくれるから助かるぜい」

青ピ「ほんまやなぁ。カミやんさまさまやでえ」

一方通行「オマエらも少しは反省しとけよクソ野郎どもが」

青ピ「まあボクらは悪くないしなぁ」

一方通行「連帯責任っつゥ言葉ァ知ってるか?」



上条「許してください頭突きだけは勘弁してくれー!!」ドゲザ

吹寄「なっ、ちょっとわかったから土下座はやめなさい! こんな人目の多い場所で!」



一方通行「甘えとか言ってたくせに許すのかよ」

結標「まあ、あんな勢いで謝られたら怒る気も失せるわよね」

土御門「さすがの吹寄も、大量の見物客の前で説教ショーができるようなメンタルは持ち合わせてなかったことだにゃー」



239 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/03 20:22:20.59 uq9K3Ykio 219/771



禁書「ねえねえあくせられーた」

一方通行「あァ?」

禁書「本日はお招きいただきありがとうございますなんだよ」ペコリ

一方通行「別に俺が呼ンだわけじゃねェぞ。つゥか、何だァ? 今日はやけに礼儀正しいじゃねェか」

禁書「そういうわけだから早くご飯が食べたいんだよ!」

一方通行「と思ったら別にそォでもなかったな」

禁書「あいさのお弁当すっごく楽しみ!」

姫神「楽しみなのは良いけど。一人で全部食べようとはしないでね」ジトー

禁書「うっ、き、気をつけるんだよ」

青ピ「ほな、吹寄さんの説教も終わったことやし、ぼちぼち始めるとしますかー」

姫神「ちょっと待って。今準備する」

上条「姫神手伝うよ」

姫神「……ありがとう。じゃあ飲み物の準備をお願い」

上条「了解!」


ワイワイガヤガヤ


青ピ「――ではみなさん飲み物は回りましたかー?」


土御門「イエーイ!!」

吹寄「大丈夫よ」

姫神「うん」

一方通行「何でオレンジジュースなンだよ? コーヒーに替えろ」

結標「最初くらい我慢してみんなに合わせなさいよ」

禁書「えっ、これまだ飲んじゃいけなかった?」

上条「おいお前何先飲んでんだよ!? 紙コップ貸せ、すぐ入れるから!」


青ピ「ほな、もう一年生もほぼ終わりやからお疲れ様っちゅうことで、カンパーイ!!」




「「「「「「「かんぱーい!!」」」」」」」




――――――



243 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:15:29.50 a/WesWa7o 220/771



11.花見(中編)


March Forth Sunday 17:30

-第七学区・とある桜公園-


禁書「おいしい! これもおいしい! あいさのお弁当ほんとおいしいね!」ガツガツムシャムシャ

姫神「当然」フフン

上条「もうちょっと落ち着いて食べろよ。喉詰まらすぞ?」

禁書「ふふん、私はそんなドジは踏ま――ごほっごほっ!?」

上条「ほら見ろ言わんこっちゃない」

土御門「華麗で迅速なフラグ回収だったにゃー」

吹寄「言ってる場合じゃないでしょ! ほら、インデックス飲み物よ!」

禁書「――ぷはっ! し、死ぬかと思ったんだよ……ありがとうせいり!」

青ピ「まあでも、そないがっつくのもわからんこともないけどなー」パクパク

上条「たしかに。ほんと姫神って料理うまいよなー」モグモグ

姫神「……あ。ありがとう」テレ

一方通行「どっかの誰かさンとは大違いだな」

結標「……うるさいわね。私だって練習していずれは上達してみせるわよ」

一方通行「やるなら一人で練習しろ。俺を味見役とかにしよォとかするンじゃねェぞ」

結標「えぇー? 味見くらいいいじゃない付き合ってよ」

一方通行「殺す気かオマエ」


土御門「――さーて、そろそろオレたちの余興で場をさらに盛り上げてもいい時間帯じゃないかにゃー?」

青ピ「せやな。花見のオープニングを飾るにふさわしいモン見せたるわー!」

上条「いっ、あれ本当にやるつもりか? こんな場所で」

青ピ「当たり前やんカミやん。キミは三時間にも及ぶ猛特訓を無駄にするつもりかいな?」

上条「ここでやらずに済むなら全然無駄にするけどな」

結標「結局何をするのよ余興って?」

土御門「それは見てからのお楽しみだにゃー。じゃあちょいと準備してくるぜよ」テクテク

青ピ「やったるでー! お花見会場を沸き上がらせてやるんや!」テクテク

上条「……はぁ、やるしかねえのか。いくぞインデックス! 出番だぞ!」

禁書「! ふんふぁかった!! いふいふ!!(うんわかった!! いくいく!!)」モガモガ

上条「弁当は置いてけ」



244 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:16:25.88 a/WesWa7o 221/771



吹寄「……あの馬鹿ども、一体なにを企んでるのかしら?」

結標「さあ? 全然わからないわね」

姫神「でもろくなことじゃなさそう」

一方通行「ま、この前あンだけ大口叩いたンだ。せいぜい楽しみにさせてもらおうとするか」


打ち止め「おおっーい! お花見やってるー!? ってミサカはミサカは手を振りながら駆け寄ってみたり」トテチテ


結標「あっ、打ち止めちゃんに円周ちゃん。いらっしゃい」

円周「あれー? なんか人数少ないお花見会だねー。しかもアクセラお兄ちゃんハーレム状態だー。やったじゃん」

一方通行「何アホなこと抜かしてンだこのクソガキは? 他のヤツらは余興の準備とやらで席外してンだよ」

打ち止め「余興? 何か始まるの? うおおーっ!! 最高のタイミングでこっちに来れちゃった、ってミサカはミサカは興奮してみる!」

円周「スタートで滑り散らかしたかいがあったねー」


吹寄「……ねえ結標さん。この子は?」

結標「ああ、この子はウチの隣に住んでる木原さんっていう人の親戚の子で円周ちゃんっていうのよ」

打ち止め「エンシュウはミサカの親友なんだよ、ってミサカはミサカは補足説明してみたり」

吹寄「へー、そうなんだ。吹寄制理っていうんだけど、よろしくね円周ちゃん?」

姫神「姫神秋沙。よろしく」

円周「制理お姉ちゃんに秋沙お姉ちゃんだねー、打ち止めちゃんから話は聞いてるよ。よろしくー……ん?」

姫神「?」

円周「んー?」ジー

姫神「? 私の顔に何か付いてる?」

円周「……へー、秋沙お姉ちゃんって変わったチカラを持っているんだねー珍しい」

姫神「!?」

結標「あれ? 姫神さんって能力者だったの?」

吹寄「あたしも知らなかったわ」

姫神「……いや。私は身体測定(システムスキャン)で判定されている通り。レベル0の無能力者」

円周「ふーん、そっか、そういうことね。ごめんねー私の勘違いだったよ」

姫神「うん。大丈夫だよ。気にしていない」

一方通行「…………」



245 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:18:27.62 a/WesWa7o 222/771



~10分後~


打ち止め「アイサお姉ちゃんの料理おいしいね! ってミサカはミサカは素直に感想を言ってみたり!」

姫神「ありがとう」ニコッ

結標「ところで打ち止めちゃんたちはこっち来てていいの? 木原さんところでお花見してたんじゃないのかしら?」

円周「あー、ちょっとね。私たちもオープニングセレモニーってことで二人でちょっとした余興をしたんだー」

打ち止め「それでちょっと会場の空気を微妙にしちゃったんだ。だからちょっとこっちに避難してきたってわけだよ、ってミサカはミサカは説明してみる」

一方通行「何やったんだよオマエら」

円周「えっとねー、私と打ち止めちゃんでちょっとまんざ――」



青ピ「おまたせしましたーん!! これからボクらぁのショータイムが始まりますよ―ん!!」



結標「あっ、戻ってきたわ」

土御門「よっこいせ、っと」ガタン

吹寄「何よそれ」

土御門「カラオケセットですたい。あとでカラオケ大会でもやろうぜい」

吹寄「そんなもの用意して一体なにをす――ッ!?」




禁書(カナミンコスプレ状態)「あっ、らすとおーだーにえんしゅうだ!! おーい!!」ノシ




姫神「!?」

一方通行「あン?」

打ち止め「おおっー!? 超機動少女カナミン(マジカルパワードカナミン)の格好してる!! すごい!! ってミサカはミサカは称賛の声を上げてみたり」

円周「おおー、やっぱりこういうコスプレは外国の人が着たほうが画になるよねー」

結標「お、思い切ったことをやってきたわね……」


上条「……なぁ、これでウケてるんだからもうやめないか?」

青ピ「はぁ? 何言うとんねんカミやん!! ウケとるってことは流れがこっちに来とるってことや!! 攻めなくてどうするんや!!」

土御門「ここまで来て言うことじゃないぜい。諦めろ」


吹寄「…………」ズンズンズン


青ピ「うん? どしたん吹寄さん? 何かよ――」



ドゴッ!! バキィ!! ガン!!




246 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:20:09.53 a/WesWa7o 223/771



青ピ「ごふっ!?」土御門「ぐはっ!?」上条「おぼっ!?」



吹寄「貴様らあんな小さい子にいかがわしい格好させてどういうつもりよ馬鹿者どもが!!」



土御門「ご、誤解だにゃー吹寄! そんな吹寄が思ってるようなことは起こっていないぜい」

青ピ「そうそうつっちーの言う通りやで、なあカミやん?」

上条「あ、ああ。たしかに提案したのはこっち側、つーかこいつらだけだけどノリノリで了承したのはアイツだ。俺はどっちかと言ったら反対派でしたよ」

青ピ「あっ、カミやんなに一人だけイイ子ちゃんアピールしとるん!? ずるいでボクら仲間やろ!?」

上条「うるせえ変態ども!! 上条さんは健全な出し物を望んでんだよ!!」

青ピ「健全ですぅー! カナミンは女子小学生と大きなお友達から大きな支持を得ている健全なアニメなんですぅー!」


吹寄「……はぁ、まあいいわ。無理やり着せたわけじゃないことはわかったから」

上条「えっ、今のやり取りのどこにそんな要素が!?」

土御門「ついに吹寄がデレたのかにゃー?」

吹寄「違うわよ! 大体、貴様らのやり取りなんて少しも当てにしてないわ」



禁書「――マジカルパワード……カナミン!!」ビシッ

打ち止め「うおおおおかっけえー!! ねえねえミサカにもそのステッキ貸してー!! ってミサカはミサカは目を輝かせながらお願いしてみたり」



吹寄「あれを見たら無理やりじゃないってことはあたしでもわかるわ。無理やりやらされてる子があんなノリノリにポーズ決めるわけないもの」

上条「……あはは、たしかに」

土御門「それじゃ吹寄のお許しも出たことだし、そろそろ余興のほうを始めるとしようぜい」

吹寄「? コスプレしたインデックスを見せびらかすのが余興じゃなかったの?」

青ピ「んなわけないやろー、そんなんじゃデルタフォースの名が泣くでえ」

上条「泣かせとけよそんなもん」

青ピ「よし、ほなインデックスちゃんやるでー! 準備してやー!」

禁書「了解なんだよ!」



247 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:21:12.94 a/WesWa7o 224/771



青ピ「――では始めます! ポチッとな」ピッ



スピーカー<チャーチャチャチャチャー♪ タタター♪



打ち止め「おおっ、これはカナミンのオープニングテーマだ!! ってミサカはミサカは聞き覚えのあるBGMに心を踊らせてみたり」

結標「あー、なるほどね。コスプレしたインデックスちゃんが歌うっていうやつね」




禁書『~~~~~~~~~♪ ~~~~~~~~~~~~♪」←~には適当な魔法少女的な歌詞入れて遊んでください




一方通行「結局あのガキ任せであの馬鹿三人は何にもやらねェのかよ」

姫神「インデックスの後ろで待機してるから。あの三人もなにかやるみたい」

円周「なにか両手に持ってるねー。あれはペンライトってやつかな?」

吹寄「ペンライト……?」




禁書『~~~~~~~~~~~、~~~~~~~~~~~♪』


上条青ピ土御門「「「ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!!」」」シュバッシュバッシュバッ




打ち止め「うおおっ、なんか後ろで変な踊りみたいなのやってる! ってミサカはミサカは実況してみる」

円周「あれはいわゆるヲタ芸ってやつだね」

結標「知ってるの円周ちゃん?」

円周「うん。乱数おじさんのカビにやられた人たちがあんなのやってたよー」

結標「よくわからないけど詳しくは聞かないことにするわね……」



248 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:22:04.67 a/WesWa7o 225/771



禁書『~~~~~~~~~~~~♪ ~~~~~~~~~♪ ~~~~~~~~~、~~~~♪~♪~~~~~♪』

上条青ピ土御門「「「カナミン!! ミン!! ミンミンミンミン!!」」」バッバッバッバッ


禁書『~~~~~~~♪ ~~~~~~~~~~♪ ~~~~~~~~~~~~~~~~♪』

上条青ピ土御門「「「カーナミン!! カーナミン!! マジカルパワードカーナミン!!」」」グワングワングワン



ざわ……ざわ……



一方通行「……当たり前だがすげェ注目浴びてンな」

結標「まあしょうがないわね。あれだけ騒いでたら嫌でも見ちゃうわよ」

姫神「別にあそこに立って。一緒に歌ったり踊ったり。しているわけじゃないけど。恥ずかしくなってきた」

吹寄「頭痛い……」



禁書『~~~~~~~~~~~♪ ~~~~~~~~~~♪』

上条青ピ土御門「「「ハイ!! ハイ!! ハイ!!」」」シュバッシュバッ

禁書『~~~~~~~~~~~♪ ~~~~~~~~♪』

上条青ピ土御門「「「ハーイ、ハイ!! ハーイ、ハイ!!」」」シュババババ

禁書『~~~~~~~~~~~♪ ~~~~~~~~~~♪』

上条青ピ土御門「「「ハーイ、ハイ、ハイ、ハイ、ハイ!!」」」シュバーンシュバーン

禁書『~~~~~~~~~~~♪』

上条青ピ土御門「「「ハイ!! ハイ!! ハイ!!」」」グルグルグルグル

禁書『~~~~~~~~~~♪』

上条青ピ土御門「「「ハイッ!!」」」バッ



打ち止め円周「「いえーい!!」」

一方通行「うるせェぞクソガキども」

打ち止め「せっかくのライブなんだから楽しまなきゃ損だよ、ってミサカはミサカは正論を言ってみる」

一方通行「全然正論じゃねェだろ。もっと楽しむものをしっかり選べ」



249 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:22:54.99 a/WesWa7o 226/771




<ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!!



吹寄「ん? なんかいろんな方向から掛け声みたいなのが聞こえて――」




通りがかりのヲタク集団「ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!! ハイ!!」シュバッシュバッシュバッ




吹寄「」

姫神「いつのまに……」

円周「もしかしてフラッシュモブってやつ?」

一方通行「ただの便乗して騒ぎたい豚どもだろ」

結標「うわー、すごいわ。本当のアイドルのライブみたいね」



禁書『――マジカルパワード……カナミン!!』ビシッ




<ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!




一方通行「……うるせェ。この俺直々に黙らせてやろォか」ピキピキ

結標「気持ちはわからないことはないけど落ち着きなさい」


―――
――




250 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:24:13.19 a/WesWa7o 227/771



同日 17:50


禁書「すっっっっごく楽しかったんだよ!!」←修道服に着替えた


上条「……そうか。そいつはよかったな」ゲンナリ

姫神「おつかれさま」

打ち止め「インデックスって歌が上手なんだね、ってミサカはミサカは意外な特技に驚きを隠せなかったり」

禁書「ふふーん。私は声とか歌を使った魔術のプロフェッショナルなんだから当然なんだよ」ドヤァ

吹寄「まじゅつ……?」

上条「あははー何でもない何でもない気にしないでくれあっははー」アセッ

円周「なるほどね。何かにおうなぁと思ったらそっちサイド人だったかー納得納得」

結標「? 何の話?」

円周「何でもないよー」

一方通行「…………」

青ピ「アックセラっちゃーん! どうやったボクらぁの余興? おもろかったろ?」

土御門「アクセラちゃんもこっち側に来とけば一緒に楽しめたんだけどにゃー」

一方通行「あァ? あンなクソみてェな真似、この俺がやるわけねェだろォが」

上条「まあたしかに」

土御門「カミやんはわかってないにゃー? アクセラちゃんはツンデレだからな。内心は一緒にやりたかったって残念がって――」

一方通行「あンま馬鹿なこと言ってるとそのグラサン、レンズなしに改造してやるぞクソ御門クン?」

土御門「にゃはははー、そいつは勘弁」


円周「……さーて、面白いもの見せてもらったし私たちも何かお礼をしてあげないといけないよねー。ねえ打ち止めちゃん?」

打ち止め「お礼? どうするつもりなのエンシュウ、ってミサカはミサカは首を傾げてみる」

円周「この場をさらに盛り上げるために私たちも余興をやろう」

打ち止め「え゛っ!? あのキハラたちの空気を微妙な感じにしたアレをまたやるつもりなの!? ってミサカはミサカはあのときのことを思い出してみたり」

円周「大丈夫だよ打ち止めちゃん。あれは数多おじちゃんたちがオッサンだったから受けなかっただけで、ここにいる人たちには受けると思うよ。たぶん」

打ち止め「……今たぶんって言わなかった? ってミサカはミサカは疑いの眼差しを向けてみる」

円周「気のせいだよー」

結標「打ち止めちゃんたちは結局なんの余興をやったのよ?」

円周「何って……ただの漫才だよ」



251 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:25:15.29 a/WesWa7o 228/771



打止円周「「どうもー!!」」テテテテ


打ち止め「打ち止めです! ってミサカはミサカは元気よく自己紹介してみたり」

円周「円周でーす!」


打止円周「「二人合わせて、『円周率は3』でーす!! どうぞよろしくお願いしまあす!!」」


青ピ「うおお!!」パチパチパチ

土御門「待ってましたー!!」ピューピュー

一方通行「どォいうコンビ名だよ」

結標「円周率は円周ちゃんのことでしょうけど3はよくわからないわね」

姫神「ミサカのミを3にして。昔ニュースとかになってた円周率は3で教える。っていう誤報にかけたんじゃ?」

吹寄「あー、なるほどね納得」


円周「いやあアツはナツいですねー」

打ち止め「いやアツとナツが逆! というか今春なのになんでそのネタ使っちゃったの? ってミサカはミサカは問いかけてみる」

円周「そう言われると思いましてなんと! なんと! 春バージョンのネタも考えてみましたあ!」

打ち止め「おおっーさすがエンシュウだー! ってミサカはミサカは称賛の拍手を送ってみる」パチパチパチ

円周「じゃあいくよ。いやあポワはハルいですねー」

打ち止め「いやポワとハルがぎゃ……ってポワってなに!? ってミサカはミサカは突然現れた謎の名詞に驚愕してみたり」

円周「打ち止めちゃん。『ぽわい』は名詞じゃなくて形容詞だよー」

打ち止め「そんなのどっちでもいいよ! 『ぽわい』って何かってミサカは聞いてるの! ってミサカはミサカは頬を膨らませて怒りアピールしてみたり」プンプン

円周「何かって言われても『ぽわい』は『ぽわい』だよ。春はぽわいよねーって使うよ」

打ち止め「むー説明されてもわかんない。もういいよぽわいは。漫才続けようよ? ってミサカはミサカは呆れながら促してみ――」

円周「春ですねー。お花見とかいきたいよねー」

打ち止め「わっ、急に来たっ。そうだねーシーズンですからねー、ってミサカはミサカは同意してみる」

円周「花見に行きたすぎてちょっと下見に行きましてねー」

打ち止め「そうなんだ。たしかに下見とか大事だよねー、いつ行ったの? ってミサカはミサカは質問してみる」

円周「去年の12月」

打ち止め「12月!? 冬じゃん!? 季節全然違うじゃん!? そんなタイミングで下見して一体なにがわかるのさ!? ってミサカはミサカは息を荒げなからも問いかけてみたり」ゼェゼェ

円周「うーん、そうだねー。冬には桜の花は咲かないってことがわかったよ」

打ち止め「えぇ!? そんなの下見しなくてもわかることじゃん常識じゃん……ってミサカはミサカは衝撃的な答えに思わずため息が出たり」ハァ

円周「ああでも、桜の木に雪が積もってたから満開の桜に見えなくはなかったよー」

打ち止め「いらないよそんなフォロー」



252 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:26:09.63 a/WesWa7o 229/771



円周「そうだ。私、食レポしてみたいんだー」

打ち止め「また急に話が変な方向に飛んだね、ってミサカはミサカは話の展開の急さに戸惑ってみる」

円周「せっかくの花見だから桜にちなんだ食べ物を食べて食レポするから、何を食べてるのか当ててみてよ」

打ち止め「なるほど、食レポクイズだね。いいよ受けて立つよ、ってミサカはミサカは肩を回してやる気アピールをしてみる」クルクル

円周「じゃあ始めるよ。わーおいしそうですねー。さっそくいただきまあす。ボリッボリッ」

打ち止め「ボリッボリッ? 硬いものかなー? 桜えびとか使ったおせんべいかな? ってミサカはミサカはさっそく予想してみたり」

円周「うーん、苦くて独特な味ですねー。特に皮の味が濃いですよー」

打ち止め「苦い? 皮? なんだろ? 思いつく食べ物がないわけじゃないけど桜に全然関係ないしなー、ってミサカはミサカはお手上げムードになってみたり」

円周「じゃあ次は葉っぱの部分を食べてみましょう。この部分は一般的にも食べられる部分ですからねー。もしゃもしゃ」

打ち止め「葉っぱ? キャベツとかそういう野菜かな? 春キャベツみたいに桜キャベツっていうのがあるのかもしれない、ってミサカはミサカはキャベツに皮がない事実を無視しながら推測してみる」

円周「うーん、やっぱり普通に食べると青臭いですね。やっぱり塩漬けにしないとねー」

打ち止め「塩漬け……? も、もしかして……まさかアレ? ってミサカはミサカは思いついてしまった答えに困惑を隠せなかったり」

円周「では最後に花びらを食べてみましょー。もきゅもきゅ」

打ち止め「はい!! 答えは『桜の木』ー!! てか桜にちなんだというか桜本体じゃん!! 食べ物じゃないじゃん!! ってミサカはミサカは出題内容に抗議してみたり」

円周「はい。正解は『桜の木』でしたあ! よくわかったねー。さすがクイズ王を名乗るだけあるよ」

打ち止め「そんなの名乗ったこと一度もないよ! ってミサカはミサカは否定してみる」

円周「ところで花見に来たら一度やってみたかったことがあるんだあ」

打ち止め「いっつも突然来るね。何かな? ってミサカはミサカは不安を抱きながらも聞いてみる」

円周「一度綺麗に咲いてる桜の木の下を掘ってみて、死体が埋まってないか確認してみたいんだー」キラキラ

打ち止め「うぇー、なんでエンシュウはそんなグロテスクなことを目を輝かせながらやりたい発言できるの―? ってミサカはミサカは怪訝な表情を浮かべてみたり」

円周「私は桜の木の下を掘る人やるから打ち止めちゃんはなんか一緒にいる人やってよ」

打ち止め「なんか一緒にいる人って曖昧な感じの役だなー。一緒に掘る人役でいいと思うんだけど、まあいいか、ってミサカはミサカはしぶしぶ了承してみる」

円周「わあい、今日は絶好の死体掘り日和だあ! 掘るぞ掘るぞー! ザッザッ」

打ち止め「死体掘り日和ってどんな日なの? 晴れの日? 雨の日? お昼? それとも夜? ってミサカはミサカは疑問符が止まらなくなってみたり」

円周「ザッ! ザッ! ガッ! おっ、なんか出てきた! ……これは箱? 棺桶かなあ?」

打ち止め「えっ、桜の木の下の死体ってそんな感じで埋まってるの!? ってミサカはミサカは意外な事実に面食らってみたり」

円周「ではさっそく開けてみよう。ガチャリ」

打ち止め「死体が入ってるかもしれないのに箱を開けるのに躊躇がなさすぎるよ、ってミサカはミサカはその迷いのなさが怖い」

円周「なにが出るかなあ♪ なにが出るかなあ♪ うん? これはビック○マンシール? しかも古いやつだ」

打ち止め「なんでそんなものが入ってるの? ああ、もしかして生前大事にしてたものと一緒に埋葬するっていうあれかなー、ってミサカはミサカはドラマで見た知識をひけらかしてみる」

円周「他にはなにか入ってないかなあ? おっ、これは写真だ。小さい男の子が写ってるね」

打ち止め「たぶん息子さんの写真とかだろうね。やっぱり子供って親から見たら大事なものだしね、ってミサカはミサカは推理してみる」

円周「あとは……あっ、手紙が出てきたよー、ほら」スッ

打ち止め「手紙? 一体何が書かれてるんだろ? ってミサカはミサカは好奇心に負けて手紙を開けてみたり、べりっ」

打ち止め「なになにえっと、『10年後のボクへ』……ってこれ10年後の自分への手紙ぃ!! これ棺桶じゃなくてタイムカプセルじゃんッ!! ってミサカはミサカは今日一番の声量で吠えてみたり!」

円周「これじゃあ死体掘り大会じゃなくて同窓会だね。どやぁ」

打ち止め「いやドヤ顔するほどうまくはないから! もういいよ!」


打止円周「「ありがとうございましたあ!!」」



253 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:27:19.59 a/WesWa7o 230/771




パチパチパチパチパチ



結標「……うん、頑張ったね二人とも!」

青ピ「いやーロリ二人がイチャイチャ漫才してるところ見てたらこうふ――ぶべらっ」ドガァ

一方通行「棺桶に入れてそのまま桜の木の下に埋葬してやろォか変態野郎」

姫神「ところどころに。光るところはあった。ような気がする」

土御門「まあたしかにちゃんと漫才っぽくなってたと思うぜい」

吹寄「そうね。きちんとネタを作ってやり切るなんてエライわ」

禁書「おふわははらはったへほ、おはっはほおほうほんはお!!」モガモガ

上条「口の中に物がなくなってから喋れ!」


打ち止め「……うわーん! やっぱり微妙な空気になっちゃったじゃん! だめだったじゃんエンシュウ! ってミサカはミサカは涙ながらに文句垂れたり」

円周「やっぱりだめだったかあ。しょうがない。空気が元に戻ってそうな数多おじちゃんたちのところに撤退しよう」タッタッタ

打ち止め「あっ、ちょっとまってよエンシュウー! ってミサカはミサカは追いかけてみたり」トテトテ


結標「……二人ともいっちゃったわね」

一方通行「うるせェのが消えてせいせいするな」

結標「ところで一方通行様的にはさっきの漫才はどうでした?」

一方通行「内容の良し悪しはよくわからねェけど、あのクソガキの長ったらしい語尾がテンポ崩してるってことはわかる」

結標「あー、なるほどね」


―――
――




254 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:28:25.96 a/WesWa7o 231/771



同日 18:00



青ピ「――さあて、盛り上がってきたところでお次の余興です! じゃーん、みんなで楽しく王様ゲームをやりまひょー!」つ割り箸



土御門「うおお」

結標「漫画とかでよく見るやつだわ!」

姫神「定番だね」

禁書「王様ゲームって何とうま?」モシャモシャ

上条「当たりと番号書かれたくじを引いて当たりを引いた人が王様になって、他の人になんでも好きな命令できるってゲーム」

禁書「えっ、なんでも!?」

上条「常識の範囲内のなんでもだぞ」

吹寄「王様ゲームか……ゲームに乗じていやらしいことをしてやろうって魂胆が見え見えね」ジトー

青ピ「いやいやそんなわけないですよ吹寄さん。紳士であるボクがそないな卑劣極まりないことするわけないやん」

吹寄「どうだか……」

結標「それならそういう命令は禁止にすればいいんじゃないかしら?」

吹寄「それもそうね。そうしましょ」

青ピ「ヴェ!? ……せやな。健全で楽しい王様ゲームにしましょ」

一方通行「さっきのヴェは何だよ」

土御門「まあぶっちゃけ王様になっていやらしいことしようとしても、相手はランダムだからにゃー。下手したら男×男の地獄絵図が生まれるからリスクがでかすぎるぜい」

結標「それはたしかにキツいわね……」


青ピ「ほなさっそく始めるようや。みんな割り箸選んで選んでぇ」スッ


禁書「これにするんだよ!」スッ

上条「こういうのって当たり引いたことないんだよなぁ。一回くらい引いてみてえなぁ」スッ

姫神「反対に。命令の対象にばかりされそう」スッ

吹寄「でもいざ王様になってもやってほしい命令なんて思いつかないわね」スッ

土御門「ま、なんでもいいわけだから気楽にいこうぜい」スッ

一方通行「面倒臭せェ。これ俺が王様引いたら王様ゲーム終了って命令してもイイか?」スッ

結標「百パーセント白けるから絶対にやらないでよ?」スッ


青ピ「よし、みんな選んだな。ほな――」




「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」





255 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:29:52.87 a/WesWa7o 232/771



青ピ「おっ、いきなりボクかラッキーやなあ」

吹寄「いきなり当たってほしくないヤツが王様になったわね」

青ピ「まあまあそんな警戒せんでもええでー、吹寄さんが思うとるようなことはせんせん」

一方通行「それだけ信用がねェっつゥことだろうな」

姫神「残念ながら」

青ピ「みんなしてひどいなぁ。ほな、最初の命令は軽いジャブってことで」スッ



青ピ「この場にあるあらやる飲み物や調味料を絶妙な割合で配合した、スーパーデリジャスグレイトワンダフルエナジードリンクを一気飲みしてもらうでえ!!」ババーン



結標「うっ、すごいニオイ……」

土御門「なんとも形容し難い色をしてるにゃー」

吹寄「そういえばこの馬鹿はこういう方面でも馬鹿だってこと忘れてたわ」

一方通行「そこら辺の泥水すすったほうがマシだな」

禁書「……さ、さすがの私もそれは口にしたくないかも」

姫神「あの暴食シスターが。そんなことを気にするなんて。あれは相当やばい……!」


青ピ「さて、このスーパ(ryドリンクを飲むのは4番の人やでー!」


上条「うわぁ、絶対に飲みたくねーなぁ……ん? 4番?」

上条「…………」つ4番の割り箸

青ピ「…………」つスーパーデリジャスグレイトワンダフルエナジードリンク

上条「…………」

青ピ「…………」ニッコリ

上条「……あはは」スッ




256 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:31:04.07 a/WesWa7o 233/771




上条「」チーン



土御門「無茶しやがって……」

姫神「残念ながら。予定調和」

青ピ「じゃあカミやんが再起不能になったんで、次はカミやん抜きでやりますか」スッ

禁書「王様ゲーム……まさかこんな過酷なゲームだったなんて思わなかったんだよ」

一方通行「いや、全部が全部あンな命令じゃねェだろ、たぶン」




「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」




結標「あっ、次は私ね! どうしようかなー?」

吹寄「まあ結標さんなら無茶な命令はしないでしょ」

一方通行「そォとも限らねェぞ。『私の作った料理食べろ』なンつゥ命令が下された瞬間、上条クン2号が誕生することになるぞ」

結標「そんなにその命令をして欲しいならしてあげようか?」ギロッ

一方通行「スンマセン、勘弁してください」



結標「じゃあ私の命令よ。1番の人はこの王様ゲーム中ずっと語尾に『にゃん』をつけなさい!」



姫神「まあ。こういう命令なら」

吹寄「というかこれ土御門が対象だったらほぼダメージないじゃない」

土御門「たしかにそうだにゃー。でも残念ながらオレは5番だから対象じゃないぜい」

禁書「じゃあ誰が1番なのかな?」


一方通行「…………」つ1番の割り箸


青ピ「あっ……」

吹寄「ぷふっ」

姫神「おお。これは面白い展開」


一方通行「……ちょっと用事思い出したから帰るわ。じゃあな」ガチャリガチャリ

結標「まあ待ちなさいよ1番の人」ガシッ

一方通行「離せ腐れ王。俺には大事な用事があるンだよ」

結標「どうせお風呂入って寝るとかそんなんでしょうが。許さないわよ」

一方通行「クソが! 学園都市第一位の超能力者(レベル5)のこの俺が何でこンな真似をしなきゃ――」



257 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:32:51.24 a/WesWa7o 234/771



青ピ「王様の」ニヤニヤ

姫神「命令は」ニヤニヤ

吹寄「絶対」ニヤニヤ

土御門「だにゃー」ニヤニヤ

禁書「えびふらいおいしいんだよ」モグモグ


一方通行「クソ野郎どもがァ……」ギリリ


結標「じゃ、改めて命令するわ。1番の人は語尾に『にゃん』をつけなさい!」

青ピ「そういや1番の人の名前ってなんやったかなぁ? ちょいと自己紹介してほしいでー」

土御門「おっ、そいつはいい考えだにゃー。じゃあ1番の人お願いしまーす!!」



一方通行「…………お、俺の名前は、あ、一方通行(アクセラレータ)だ……、にゃン」



青ピ「ぶふっ、ぶわっはははっははははははははははははっ!!」

土御門「ひぃーひぃー腹痛い!! 腹痛い!!」

吹寄「ふふふ、ま、まあに、似合ってるんじゃない? っく」

姫神「まさしく。王様ゲームらしい楽しい展開。ぷふっ」

一方通行「オマエらあとで絶対ブチのめすから覚えてろよ……にゃン」

禁書「あくせられーた?」

一方通行「あン?」

禁書「何で語尾に『にゃん』なんてつけてるの?」

一方通行「オマエは王様ゲームに参加しているンじゃなかったのか? ……にゃン」


青ピ「いひひひ、さてひとしきり笑ったところで次のくじ引きましょか」

上条「……あー、死ぬかと思った」

吹寄「あら、上条当麻。復活したのね」

上条「今どういう状況なんだ? やけに笑い声が聞こえてきたけど」

土御門「それはアクセラちゃんに聞いてみると一番よくわかると思うぜい」

上条「? どうなってんだ一方通行?」

一方通行「……オマエに喋ることなンざねェよ引っ込ンでろ三下……にゃン」

上条「……にゃん? あー、誰かに語尾に『にゃん』つけろみたいな命令されたのか。かわいそうに」

一方通行「何でオマエはそういうところだけ察しがイインだよォにゃン!? もしかして知ってて聞きやがったなクソ野郎がにゃあああああン!!」カチッ

上条「ぎゃあああなんか当ててしまってすまん!! すまんから電極のスイッチ切ってくれえええ!!」



258 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:34:11.98 a/WesWa7o 235/771




「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」



吹寄「あら、今度はあたしね」

上条「おっ、次は吹寄が王様か」

土御門「一体どんな冷徹非道な命令が下されるんだにゃー? 恐ろしいぜい」

吹寄「なっ!? あたしはあなたたちと違ってそんな命令しないわ!」

青ピ「ならどんな面白おかしい命令が飛び出すんやろうなぁ」

結標「楽しみね」

一方通行「俺に被害が及ばなかったら何でもイイにゃン」

姫神「なんかにゃんの語尾が。普通に定着してきてない? アクセラ君」

吹寄(……しかしいざ王様になってみても何にも命令が思いつかないわね。どうしようかしら?)

禁書「……どうかしたのせいり?」

吹寄「な、なんでもないわ。よし、だったらあたしからの命令よ」



吹寄「5番の人が今ここにあるゴミをゴミ捨て場に持っていきなさい!」

ゴミ『塵も積もれば山となるってなぁ!!』



上条「あー、なんつーか吹寄らしい命令だな」

青ピ「ぶーぶー、そんな命令してなにがオモロイんやー! ぶーぶー」

吹寄「う、うるさいわね! 何でもいいでしょ!? てかあたし王様よ? 文句言わないでちょうだい!」

結標「ところで5番って誰なのかしら?」

姫神「5番は私」つ5番の割り箸

土御門「おお、よりもよって女子にこの命令が下ってしまったのか」

吹寄「ご、ごめんね姫神さん」

姫神「問題ない。それじゃ。ゴミを捨てに行ってくる。よっと」スッ

禁書「うわー、重そうなんだよ。本当に大丈夫なのあいさ?」

姫神「……大丈夫。持っていけないことはない」フラッフラッ



上条「……よし! 姫神、俺も一緒に行くよ」




259 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:35:09.61 a/WesWa7o 236/771



姫神「えっ? いいよ。私一人で大丈夫だから」

上条「何言ってんだそんな足をふらつかせて。無理すんなって」

姫神「でもこれは。王様ゲームの命令だから」

上条「……なあ王様、俺もゴミ捨て手伝ってもいいだろ?」

吹寄「えっ、ええ別にいいわよ」

上条「王様の許可が下りたな。じゃ、行こうぜ姫神」ニコッ

姫神「……うん。ありがとう」ニコッ



一方通行「ケッ、さすがは上条だにゃン。大したヒーローっぷりなこったにゃン」

禁書「……はぁ、まあとうまはああいう人だからね。しょうがないんだよ」

青ピ「まさしく一級フラグ建築士やでー」

土御門「まあもともとフラグは建ってる相手だから、その言葉を今使うのはちょっと微妙だけどにゃー」

結標「ねえ、吹寄さん」ボソッ

吹寄「な、なに結標さん?」

結標「さすがね。ああいう展開になることを予想してあの命令を出したのね」

吹寄「えっ?」

結標「えっ?」

吹寄「…………」

結標「…………」



吹寄「……そ、そうよ! まさしく計画通り、ってやつよ!」

結標「うおお吹寄さんすごい!」



一方通行「何二人盛り上がってンだにゃン。あの馬鹿二人はにゃン」

禁書「……なんか私の中でね、あくせられーたが『にゃん』って言ってるのに違和感がなくなってきたかも」ゴモゴモ

一方通行「オイやめろにゃン」




260 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:36:48.55 a/WesWa7o 237/771



青ピ「じゃ、姫神ちゃんたちが帰ってきたから続きやるでー!」スッ




「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」




一方通行「……おっ、アハッ、俺が王様かにゃン」

上条「今度は一方通行か」

結標「変な命令しないでよね」

一方通行「オマエが言うンじゃねェにゃン。何だよ『にゃん』をつけるとかいうクソみてェな罰ゲームはにゃン」

結標「何言ってるのよ? こういうのは王様ゲームでは定番よ? 漫画で見たから間違いないわ」

一方通行「フィクションの世界じゃねェか!」

吹寄「もういいからアクセラ? さっさと命令しちゃいなさい」

一方通行「おォ。じゃあ俺の命令はこれだにゃン」




一方通行「1番の人が7番の人に全力でデコピンしろにゃン」




青ピ「うわー暴力なんてサイテー」

土御門「ゲームの楽しい空気ぶち壊しだにゃー」

一方通行「ハァ? これくらい問題ねェだろ、別に全力でぶん殴れって言ってるわけじゃねェンだからにゃン」

結標「ま、まあそうだろうけど」

上条「ちなみに1番は俺なんだけど、7番の人って誰だ?」つ1番の割り箸



吹寄「……あたしよ上条当麻」ギロッ



上条「」

姫神「おお。これは」

青ピ「カミやんがついに一年七組の最高戦力に反旗を翻すのか……盛り上がってまいりました!!」

土御門「いけいけカミやーん! お前のゲンコロフィンガーを見せてやれい!」

禁書「よくわかんないけどがんばれーとうまー!」モシャモシャ

一方通行「ぎゃはっ、適当に考えた命令だったが結構盛り上がってンじゃねェかにゃン」

結標「まあ、約一名絶望に満ち溢れた表情してるけどね」




261 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:38:25.06 a/WesWa7o 238/771



吹寄「…………」

上条「……ええと、吹寄さん?」

吹寄「なによ?」

上条「い、今から全力デコピンすんだけど、これはあくまで王様ゲームの命令であって」

吹寄「それくらいわかってるわよ。早くしなさい」

上条「……本当にやっていいんでせうか?」

吹寄「王様の命令は絶対よ? いいから早くやりなさい、やらないなら逆にあたしがデコピンするわよ?」

上条「いぃぃ!? やります!! やらせていただきます!!」


吹寄「……ふう」スゥ

上条「じゃ、じゃあ行きますよ?」

吹寄「き、来なさい……!」ギリッ


結標「…………」ドキドキ

姫神「…………」ジー

禁書「…………」モグモグ

青ピ「…………」ワクワク

土御門「…………」ニヤニヤ

一方通行「ふわァ」



上条「――あああああああああああああッ!! 吹寄さん!! 申し訳ございませええええええええええええええええええええええええん!!」パッ



バチン!!



吹寄「痛ッ……!」グラッ

上条「があああああああああおでこ硬ったああああああああああああああああああ!? 指があああああああああああああああああああああああああッ!!」ゴロンゴロン



結標「だ、大丈夫吹寄さん?」

姫神「おでこ。切ったりとかして。傷とか出来てない?」

吹寄「え、ええ大丈夫。あれくらい平気よ」

青ピ「おおー、驚異の防御力やなぁーさすがやで」

土御門「まさしく吹寄おでこDXだにゃー」

一方通行「どォでもいいけど、オマエら地面にのたうち回ってる三下を少しは心配したらどォだにゃン」

姫神「まあ。上条君なら平気だろうし」

土御門「心配するだけ損だにゃー」

禁書「とうま! このたこさんウインナーすごく美味しいんだよ! とうまも食べる?」

上条「…………不幸だ」



262 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:39:57.93 a/WesWa7o 239/771





「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」




青ピ「おっ、またボクやんラッキーやで! 日頃の行いがええからやろうなぁ」

一方通行「寝言は寝て言えにゃン」

吹寄「次は一体どんなひどい命令をする気かしら? また変なドリンク飲ませるみたいな二番煎じしようと思ってるんじゃないでしょうね?」

禁書「飲むなら美味しい飲み物が飲みたいかも」モグモグ

上条「それじゃ罰ゲームにならねえから面白くないだろ」

青ピ「まあさすがに同じネタを繰り返すなんて馬鹿なことせーへんわ。さーて、あんまドギツイ命令すると吹寄さんに怒られそうやからこれくらいのライトなのにしよーかな」



青ピ「3番の人が1番の人に食べ物をあーんするんや!!」



吹寄「……まあ、これくらいならいいか」

禁書「あっ、1番は私なんだよ! 早く食べさせてほしいかも!」つ1番の割り箸

上条「お前さっきからずっと食ってばっかじゃねえか!」

姫神「じゃあ。3番は誰?」

一方通行「……チッ、また俺かよにゃン」つ3番の割り箸

結標「!?」

吹寄「あー、まあこれはしょうがないわね」

姫神「ドンマイ」



一方通行「面倒臭せェからさっさと終わらせるかにゃン。オイクソシスター口開けろにゃン」つからあげ

禁書「あーん!」

一方通行「ほら食えにゃン」スッ

禁書「んっ……おいひいんはほ! あふぃあふぉあふへはへーは!(おいしいんだよ! ありがとあくせられーた!)」モガモガ

一方通行「口に物入れたまま喋ってンじゃねェにゃン」



結標「…………いいなあ」ボソッ

青ピ「……おかしいなぁ。本当は他の女子連中が恥ずかしがりながら食い食わせする展開を期待してたのになぁ」

土御門「打って変わってのほのぼの展開だったにゃー」



263 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:41:23.14 a/WesWa7o 240/771





「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」




土御門「おっ、今度はオレかい?」

吹寄「変な命令するんじゃないわよ?」

土御門「わかってるにゃー。ちゃんとやっていいラインは心得てるつもりですたい」

一方通行「本当だろォなにゃン。オマエの言ってることは全然信用できねェンだよにゃン」

土御門「信用されてないにゃー。ま、いっか。じゃあオレの命令行くぜい」スッ




土御門「6番の人は王様ゲーム中、このミニスカメイド服+ネコミミを着用するんですたい!!」つミニスカメイド服セット+ネコミミ




青ピ「うおおおおおおおおおおおおおボクは7番だから高確率で女の子のメイド服が見れるうううう!!」つ7番の割り箸

上条「わっ、俺2番かこえー。つーか、これ吹寄的にアウトになるんじゃねえのか?」つ2番の割り箸

土御門「にゃー、これはアウトとは言わせないぜい。吹寄はさっきインデックスがやったカナミンのコスプレを許容したからにゃー」

吹寄「あ、あれはインデックスが望んで着てるから――」

禁書「おおっー! 何かまいかが着てる服に似てるんだよ! ちょっと着てみたいかも! でも私は3番だから違うんだよ」モグモグ

土御門「最年少のインデックスが着たいと言ってるのに、大人な我々が恥ずかしいなどと言って拒否するのどうなのかにゃー?」ニヤリ

吹寄「ぐっ、まあいいわよ。言っておくけどあたしは6番じゃないわよ」つ5番の割り箸

結標「私も4番だから違うわね」つ4番の割り箸

姫神「私も違う」つ1番の割り箸

結標「……ってことは」チラッ



一方通行「…………」つ6番の割り箸



青ピ「あっ……」

吹寄「えぇ……」

結標「……ぷぷっ」

上条「ありゃあ……」

姫神「今日はよく当たるね。アクセラ君」

禁書「?」モグモグ




264 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:42:29.45 a/WesWa7o 241/771



一方通行「…………あばよ、クソ野郎ども」カチッ



結標「あっ、逃げるつもりよ!」

姫神「まあ。これはしょうがない」




一方通行「こンな茶番、付き合ってられ――」グッ




バガン!!




一方通行「なっ!? 能力が使えねェだと!?」


ヒラヒラ


上条「? なんだこのヒラヒラした紙吹雪みたいなの? どっかで見たことある気がする」



土御門『攪乱の羽(チャフシード)』。電波攪乱兵器の一種だぜい」




一方通行「またかクソがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!」ドンドン




上条「まあまあ落ち着けって一方通行」ポン

一方通行「さり気なく右手で触って能力封じてンじゃねェぞ三下ァ!!」

青ピ「そない怒らんでもええやんアクセラちゃん。ほな、行こうや」ニヤニヤ

一方通行「あァ!? どこ行こうってンだゴルァ!!」

土御門「お着替えタイムだぜーい」ニヤニヤ



~しばらくして~




265 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:44:03.96 a/WesWa7o 242/771




一方通行(ネコミミミニスカメイド)「クソッタレが……」



結標「きゃあああああ!! 前から見てみたかった一方通行の女装姿!!」キラキラ

上条「おおっ、なんだ結構似合ってんじゃねえか」

姫神「元の顔立ちが中性的だから。女物の服でも違和感がないね」

禁書「たしかにあくせられーた女の子みたいなんだよ!」モガモガ

吹寄「ぷふっ、そうね女の子みたい」クスクス

土御門「みんなに大好評で何よりだにゃー。こっちも準備してきた甲斐があるってもんだぜい」


青ピ「……なあアクセラちゃん」

一方通行「あァン!?」

青ピ「ボクって実は『男の娘』もいける口なんよなぁ」ワキワキ

一方通行「オラァ!!」スッ



パコン



青ピ「おうふっ、アクセラちゃんの能力なしヘナチョコパンチが女の子らしさが出ててよきッ!!」

一方通行「クソがッ!! まだチャフの効果切れてねェのかよ長げェよ!!」

土御門「ああ、能力使われて逃げられても困るから、登場シーンの前くらいにもう一回撒いといた」

一方通行「余計なことしてンじゃねェぞクソ野郎がァ!!」

結標「ねえ一方通行?」

一方通行「何だよ!?」

結標「一つ忘れてることがあるでしょ?」

一方通行「あァ?」

結標「私が王様になったときの命令よ」

一方通行「あっ……」

結標「ね?」ニコニコ

一方通行「…………」



一方通行「オマエらあとでホントにぶっ潰してやるからにゃああああああああああああああああああああああン!!」




266 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:45:44.65 a/WesWa7o 243/771





「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」




姫神「あっ。私が王様」

上条「次は姫神か。くそーやっぱなかなか王様引けねーなぁ」

青ピ「ヒメやーん! いっちょ面白い命令頼むでー!」

姫神「……了解した。そこまで言うなら。期待に応えよう」ニヤリ

土御門「おっ、なんか嫌に自信満々やなぁー楽しみだぜい」

姫神「では……」スッ




姫神「4番と7番の人が。このポッキーを使って。ポッキーゲームをしてもらう」



青ピ「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

土御門「きたああああああああああああああああ!!」



姫神「ちなみにルールは。王様である私と二人の勝負。途中でどっちかがポッキーを折ってリタイアしたら二人の負け」

姫神「負けたら罰ゲームとして。青髪君が作ったドリンクの残りを。二人に飲んでもらう」

吹寄「ちょ、ちょっと姫神さん!」

姫神「大丈夫。さすがにマウストゥマウスはマズイと思うから。二人の鼻頭が接触したら。クリアとする」

吹寄「……まあ、それならいーか」

姫神「だけど鼻頭で済ますか。またその先を目指すかは。本人たち次第とします」ニヤリ

禁書「うーん、私は5番だから外れだね。ポッキー食べたかったかも」

上条「お前はそればっかだな」

一方通行「結局、4番と7番って誰なンだにゃン? 俺は違うぞにゃン」つ2番

結標「私も違うわ。なんか焦ってそうだったから吹寄さん?」つ1番

吹寄「違うわよ。不健全なゲームにならないように止めようとしただけよ。ちなみにあたしは6番よ」

上条「俺は3番だな。まあこういうゲームはあんまりやりたくないから、当たらなくてラッキーだぜ」



青ピ土御門「「……ん?」」



青ピ「……えっと、つっちーって何番?」

土御門「……4番なんだけど。ちなみにピアスクンは?」

青ピ「7番……」

姫神「…………」つポッキー

青ピ土御門「「…………」」


姫神「……王様の命令は絶対」ニヤリ



267 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:47:04.07 a/WesWa7o 244/771




~見苦しいシーンなので割愛~



土御門「オエエエエエエエエエ!! 何が楽しくて野郎とゼロ距離顔面しなきゃいけないんだオエエエエエエエエエ!!」

青ピ「それはこっちのセリフやでオロロロロロロロロロロ!!」



吹寄「ふん。いい気味よ」

一方通行「あはっ、ぎゃはっ!! 俺を散々おもちゃにしてくれたバチが当たったよォだにゃン!! ざまあねェにゃンッ!!」

禁書「すごく嬉しそうだねあくせられーた」パクパク

上条「うぇ、これやるほうも地獄だろうけど見る方も地獄だな」

姫神「世の中には。こういうのを見たりして。楽しむ女子がいるらしい」

結標「へー、そうなんだ」



青ピ「――はぁ、はぁ、オェ……じゃあ、気を取り直してくじ引くでー」フラッ



上条「そんな状態になりながらまだやるつもりなのかよ」

吹寄「もうやめたら? いろいろダメージを受けた人もいるだろうし、これ以上やっても素直に楽しめる気がしないわ」

土御門「だにゃー、そろそろ潮時かもな」

結標「そうね。ドキドキ感とかはすごいせいか知らないけど、すごい疲れた気がするし」

一方通行「オマエは特に何も罰を受けてねェだろォがにゃン」

青ピ「ぐぬー、ボク的に思い通りの展開には出来なくて残念やが、みんながそう言うならしゃーないなぁ。ほな次ラストにしましょ」スッ

姫神「まあ。もう一回くらいなら。いいか」

吹寄「しょうがないわね」





「「「「「「「「王様だーれだー!!」」」」」」」」






268 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/10 20:48:28.52 a/WesWa7o 245/771



禁書「うん? とうまー、なんか割り箸に赤い印が付いてるんだよ」

上条「お前それ王様の当たりくじじゃねえか! チクショウ、やっぱ俺じゃ王様引けなかったか」

結標「王様になって何の命令するつもりだったのかしら?」

上条「いや、ただ当たりを引きたかっただけで、別にそのあとのことは考えてなかった」

吹寄「じゃあインデックス。王様になったのだから命令を言ってちょうだい」



禁書「うーん、だったらやきそばが食べたいんだよ!! あくせられーた買ってきて!!」



一方通行「ハァ? 何言ってンだオマエにゃン? ルールきちンと理解してねェようだにゃン?」

禁書「?」

姫神「1から7までの番号を言って。その番号を引いてた人がその命令をやる。さっきまであなたもやってたでしょ?」

禁書「なるほど。だったらあくせられーたと7番の人は焼きそば買ってきて!」

一方通行「だから何で俺だけ名指しされなきゃいけねェンだにゃン!? 潰すぞクソガキが!」

吹寄「もういいじゃない。7番の人と焼きそば買ってくれば?」

一方通行「納得いかねェにゃン。何でルールガン無視しやがるクソ王にパシりさせられなきゃいけねェンだにゃン」

青ピ「まあ最後の命令ってことやしサービスってことでええやん」

一方通行「……やっぱり納得いかねェにゃン」

上条「ところで7番の人って誰だ?」


結標「……えっと、私」つ7番の割り箸


一方通行「……うわァ」

結標「うわぁ、とは何よ? どっちかと言ったら女装してにゃんにゃん言ってるヤツと一緒に歩かないといけない、私のほうがうわぁだわ」

一方通行「その半分はオマエのせいだってこと忘れるなにゃン」

吹寄「はい! じゃあ二人とも屋台の方に行って焼きそば買ってきてちょうだい」

上条「ああ、焼きそば代出すよ。いくら王様の命令は絶対だからって言って、金まで出させるわけにはいかねえからな」

一方通行「チッ、いるかよそンな端金にゃン。結標、とっとと行って終わらせるにゃン」

結標「はいはい。じゃあちょっと行ってくるわね」

吹寄「ふふっ、ごゆっくりー」

禁書「いってらっしゃいなんだよ!」

一方通行「……つゥか、服着替えてイイかにゃン? こンな格好他の知り合いに見られたらマズイにゃン」

青ピ「何言うとんねんアクセラちゃん!! お使いが終わるまでが王様ゲームや!!」

土御門「ま、それに今のアクセラちゃんなら、ちょっとくらいの知り合いになら見られてもバレないと思うからへーきへーき」

姫神「それはたしかに言えてる」

一方通行「クソ野郎どもがにゃン……」


――――――




271 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:13:30.64 H6pEj9I5o 246/771



12.花見(後編)


March Forth Sunday 18:30

-第七学区・とある桜公園・桜祭り会場-



ワイワイガヤガヤ



一方通行「クソが……何で俺がこンなことしなきゃいけねェンだにゃン」ガチャリガチャリ

結標「ちゃんと私の命令律儀に守ってて偉いわね」テクテク

一方通行「守らねェとオマエグチグチ言ってきてうるせェだろにゃン」

結標「私って貴方から見たらそんなふうに映ってるわけ?」

一方通行「さァにゃン」

結標「もう……しかしいろいろな屋台が出ててすごいわね」

一方通行「おかげで人が多くていけねェにゃン。つゥか――」


モブ客1(メイド服……?)ジロジロ

モブ客2(うわー、肌しっろ。外国の人?)ジロジロ

モブ客3(ネコミミメイドか。ふっ、尻尾がついてないから70点だな)ジロジロ


一方通行「この服装のせいでやけに注目浴びてうっとォしいにゃン」ギロリ


モブたち「!!」スタコラサッサー


結標「関係ない人たち睨んでどうするのよ?」

一方通行「ヤツらがジロジロ見てきやがるのが悪いにゃン」

結標「しょうがないわよ。ただでさえ白髪赤眼で目立つのにネコミミメイド服だし」

一方通行「これもしかしてバレてンじゃねェのかにゃン? 俺が男だって」

結標「うーん、どうだろ? まあでも土御門が言ってたみたいに、知らない人ならたぶん女の子だとは思うだろうけど」

一方通行「チッ、女装好きの変態野郎なンて思われたくねェぞ俺はにゃン」

結標「大丈夫よ、変態野郎なんて思われないわよきっと。ああ、そういう人なんだなあ、くらいでしょたぶん」

一方通行「どっちにしろ俺からしたら不本意なンだよクソッタレにゃン」

結標「でしょうね」

一方通行「チッ、面倒臭せェ状況になる前にとっとと焼きそば買って帰るにゃン」

結標「はいはい」



黄泉川「おっ、淡希に一方通行じゃん! よーす」




272 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:14:12.43 H6pEj9I5o 247/771



一方通行「!?」

結標「あっ、黄泉川さんどうも」

黄泉川「おーおー、一方通行の格好からしてどうやらお花見をしっかり楽しんでるようじゃんねえ。よかったよかった」

一方通行「あァ!? 楽しンでるわけねェだろォがにゃン!」

黄泉川「にゃん? ああ、王様ゲームでもやってんのか? そいつは災難だったな」

結標「すごいですね黄泉川さん。よくわかりましたね」

黄泉川「ま、アンチスキルの飲み会とかでもたまーにやったりするからな。だからなんとなくわかったじゃん」

結標「なるほど」

一方通行「つゥか、アンチスキルって一応教師の集まりだったよにゃン? そンなヤツらがこンないかにもな不健全なゲームやっててイイのかにゃン?」

黄泉川「お前らが思ってるような命令はさすがにやらないさ。そのへんはちゃんとわきまえてるじゃんよ」

結標「例えば黄泉川が王様になったらどんな命令するんですか?」

黄泉川「私? うーんそうじゃんねー。私だったら腕立て伏せ100回やれ! とかかな?」

結標「それはなかなかにハードですね……」

一方通行「オマエとは絶対ェ王様ゲームやらねェぞ」

黄泉川「えぇー? 今度ウチでご飯食べてるときとかやろうよー?」

一方通行「するかボケ!」

結標「……ところで黄泉川さん。さっき普通に一方通行って呼んでたけど、こんな格好でよくわかりましたね?」

黄泉川「そりゃそうだろー。なんせ一緒の家に住んでる同居人じゃん?」

結標「あーたしかにそうですね」

黄泉川「それにこんな目立つ容姿のやつ、この学園都市に二人や三人居てたまるかっての」

一方通行「……そいつは俺のことを馬鹿にしてるっつゥことでイインだよにゃン? 黄泉川クゥン?」

黄泉川「なははごめんごめん。でも特徴的なのは事実じゃん?」

一方通行「チッ」

黄泉川「……おっと、そういや見回りの途中だった」

結標「そういえばそうでしたね。すみませんなんか喋っちゃって」

一方通行「サボってンじゃねェよアンチスキルさンよォにゃン」

黄泉川「じゃ、花見楽しめよー」ノシ

結標「黄泉川さんもアンチスキルのお仕事頑張ってください」ノシ



273 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:15:37.46 H6pEj9I5o 248/771



一方通行「……チッ、いきなり知り合いに会うとは思わなかったにゃン」

結標「たしかにね。でも黄泉川さんだったからよかったんじゃない?」

一方通行「まァな。もしアレが木原とかクソガキどもとかだったら俺は理性を抑えきれる気がしねェにゃン」

結標「黄泉川さんのお世話になるようなことはやめなさいよほんと」

一方通行「それはこれからの運次第だにゃン」

結標「運って……はぁ、だったら早く焼きそば買って、王様ゲーム終わらせて着替えないとね」

一方通行「たまにはイイこと言うじゃねェか結標クン。この格好をする時間を伸ばせば伸ばすほどよくねェことが起こる確率が高まるンだにゃン」

結標「そうね……」



ワイワイザワザワ



結標「この人混みだからどこに誰がいるかわかったものじゃないしね」

一方通行「ハァ、ホント人混みっつゥのは慣れないにゃン」

結標「じゃ、早く行ってパパっと終わらせて帰りましょ? インデックスが待ってるわよ?」

一方通行「つゥか、何であの野郎は俺を名指しで指名しやがったンだにゃン?」

結標「……ふん。それはあれでしょ? 貴方がいつもいつもインデックスに優しくしてあげてるからでしょ?」

一方通行「優しくしてるつもりはねェにゃン。ぎゃあぎゃあうるせェからメシィ与えて黙らせてるだけだにゃン」

結標「それが優しさっていうんじゃないかしら?」

一方通行「……オマエ何か怒ってないかにゃン?」

結標「別に!」

一方通行「チッ、まァイイ。とにかくさっさと焼きそば買って――」




??「――あら? もしかして鈴科さんではないでしょうか?」




一方通行「ッ!?」

結標「すずしな?」




274 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:16:26.58 H6pEj9I5o 249/771



婚后「やっぱりそうでしたわ! 奇妙な格好をしているので最初気付きませんでしたのよ」

湾内「お久しぶりですわね鈴科さん」

泡浮「鈴科さんも桜祭りへ来られていたのですね」


一方通行(こ、こいつらたしか超電磁砲の知り合いの常盤台のガキどもッ!?)

一方通行(クソがッ! まさかよりにもよって俺の女装姿のときの知り合いに出会うなンて、ツイてなさ過ぎるだろオイッ!?)


結標「? 常盤台の制服? 貴方の知り合い?」


一方通行(しかもこの場に俺が女装をして、『鈴科百合子』っつゥ女を演じていたことがあるという事実を知らねェヤツがいやがる)

一方通行(何より最悪なのは『鈴科百合子』の声は俺がベクトル操作で作った姫神の声だっつゥところだ)

一方通行(目の前にいるガキどもは俺の地声を知らねェ、結標は俺が姫神の声を使っていることを知らねェ)


結標「?」

三人「?」


一方通行(……つまり、下手に声を出すと俺の人生が終わるってことだ)


結標「……どうしたのよ? 突然黙り込んで?」


一方通行(……さて、どォする。どォやってこの状況を切り抜ける?)

一方通行(無難なのは俺は『鈴科百合子』なンて女じゃなくて『一方通行』だ、って感じに人違いだってことにするか?)

一方通行(……いや、一見安牌な方法に見えるが一つ欠点がある。それは俺の見た目だ)

一方通行(白髪赤眼で肌が白い人間なンざ、黄泉川が言ったとおり学園都市中探しても多くないだろう)

一方通行(まだその段階なら人違いで済ませられるが俺には決定的に他のヤツらと違う特徴がある)

一方通行(この首についてる電極付きのチョーカーとこのメカメカしい特注品の杖だ)

一方通行(これら全部の特徴を持ったヤツが俺以外に学園都市の中に存在するのか? いや、それは否だ)

一方通行(だからこそ、こいつらは俺がいままで一度も着たことないメイド服を着ていても、俺のことを『鈴科百合子』と断定して話しかけてきたンだ)

一方通行(そンな状況で俺は『一方通行』だって名乗っても、おそらく素直にハイそォですかとはいかねェだろう)

一方通行(常盤台のヤツらは能力だけじゃなく学力も高水準だ。そこら辺で馬鹿騒ぎしてる三下どもとはオツムが違う)

一方通行(下手したら『一方通行』=『鈴科百合子』という公式がガキどもの中で生まれてもおかしくはない)

一方通行(そォした場合ヤツらは共通の知人である超電磁砲に問い詰めるだろう)

一方通行(その場合超電磁砲が真実を話すかどうか、っつゥ話になるが間違いなくヤツは暴露するだろう)

一方通行(なぜなら俺と超電磁砲は別にそンな仲のいい関係でもないただの知り合い、ってか過去のことを考えれば仇敵と言ってもイイか)

一方通行(そしてそこの三人と超電磁砲はおそらくトモダチだろう)

一方通行(その場合どちらを取るかっつったら、間違いなくヤツはトモダチのほうをとる)

一方通行(暴露の仕方はどォいうのかはわからねェが、いずれのパターンでも俺は女装して男子禁制の場所に侵入した変態野郎の烙印を押されるだろう)

一方通行(……つまり、人違い作戦は使えねェっつゥことだ)


婚后「……? どうかしましたか鈴科さん? 全然喋りませんけど」

湾内「もしかしてわたくしたちの声が聞こえてなかったのでしょうか? この騒がしさですし」

泡浮「そうかもしれませんね。ではもう一度呼んでみましょう。鈴科さん! 聞こえますでしょうか?」



275 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:17:00.74 H6pEj9I5o 250/771



一方通行(あと思いつく作戦は何だ? コイツらをチカラを使って一瞬で気絶させる、いやこンなことしたら変態野郎よりも最悪なクソ野郎になる)

一方通行(チカラを使って逃亡するか? いや、俺だけ逃げても結標を置いていくことなるから無理だ。残ったアイツがこの三人に俺が『一方通行』だっつゥことを伝えるかもしれねェからな)

一方通行(だったら結標ごと逃亡するのはどォだ? ……ダメだ。逃亡したあとに何であンなことをしたンだという結標からの質問対して、有効な回答が出てこねェ)

一方通行(……こォなったら、強引だがこれで行くしかねェ……!)


結標「……? ちょっと貴方? 話きいて――」

一方通行「ゴホッゴホッ!! ゴホッゴホッ!!」

結標「? ど、どうしたのよいきなり咳なんてして?」

湾内「咳? 風邪でも引いているのかしら」

婚后「たしかにすごいガラガラ声ですわ」

泡浮「だから喋れなかったのですわね」

一方通行「ゴホッゴホッ結標ゴホッゴホッ!! ゴホッゴホッ!!」

結標「な、なによ!?」

一方通行「ゴホッゴホッ!! 先にゴホッゴホッ!! 焼きそば屋ゴホッゴホッ!! 行っててくれゴホッゴホッ!!」

結標「……先に行ってろってこと? 何でよ?」

一方通行「イイからゴホッゴホッ!! 先に行ってろってンだクソ野郎ゴホッゴホッ!!」

結標「? よくわからないけどわかったわ。じゃ、先行ってるわよ?」テクテク


一方通行(…………よし行ったな。あとは)カチッ


婚后「あら? お連れの方が行ってしまいましたわよ?」

泡浮「ところで大丈夫ですか? さっきから咳が治まらないようですけど……)

湾内「も、もしかして救急車とか呼んだほうがよろしいのでしょうか?」オロオロ

一方通行「あーあー、ゴホン! 悪りィもォ大丈夫だ。ちょっと砂埃かなンか吸ったみてェでむせてただけだ(以下姫神ボイス)」

湾内「あらそうでしたのですね。それなら安心ですわ」



276 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:17:38.89 H6pEj9I5o 251/771



一方通行「オマエらはこンなところで何やってンだ? って、さっき桜祭りとか何とか言ってたか」

泡浮「はい。今日桜祭りがあると聞きまして、寮の門限延長申請を出してここに来ましたのよ」

婚后「本当は桜の木の下に座してお花見会といきたかったのですが、さすがにこの人多さだとそこまでは出来ませんでしたわ。残念です」

一方通行「あァ、ここには花見場所取りガチ勢がいるから、オマエらみたいなのじゃたしかに厳しいかもしれねェな」

湾内「がちぜい、さん? この辺りの桜の場所を管理している方でしょうか?」

泡浮「なるほど。その人にお願いしないと場所が貸していただけないのですね」

一方通行(これが世間知らずのお嬢様ってヤツか。面倒だからツッコムのはやめておくか)

婚后「ところで鈴科さんはどうしてそんな奇妙な服装をしているのでしょうか? 丈の短いスカートをしたメイド服のようなものに加え、猫の耳を模したカチューシャなどをして」

一方通行「ああ。これはな、花見でやったゲームのちょっとした罰ゲームみたいなモンだ。別に俺の趣味とかじゃねェから安心しろ」

婚后「はあーそうなんですの。高校生のお花見というのはそういうことをするものなのですね」

一方通行「まァ全員が全員やってるわけじゃねェと思うけどな」

泡浮「勉強になりますわね」

湾内「桜祭りに来てよかったですわ」

一方通行(チッ、そろそろ話切り上げねェとな。前はクソガキに能力使用モードに制限付けさせてたからよかったが、今は普通の能力使用モードで変声してるから電池残量が心配だ)


一方通行「……ま、そォいうわけだから俺は行くとす――」



美琴「あっ、婚后さんたちいたいた! おー……い?」タッタッタ



一方通行「あっ」

美琴「あっ」


黒子「……お姉さま? どうしたんですかいきなり手を上げたまま固まって」

佐天「もしかしてだるまさんが転んだでもしてるんじゃないですか?」

初春「またまたー、佐天さんじゃないんだからそんな急に変なことしないですよー」


一方通行(クソがあああああああああああッ!! 抜かったッ!! こいつらがいるっつゥことは超電磁砲とその連れもいるっつゥことだろォが何やってンだ俺ェ!?)

美琴(えっ、ええええええええええっ!? あれ一方通行よね!? なんで学舎の園の中じゃないのに女装してるのアイツ!? なんでっ!? どうして!?)


婚后「あら、御坂さんたちどうかなさりましたか?」

佐天「婚后さんたちがやりたがってた金魚すくいの出店が見つかったので呼びに来たんですよ」

初春「なんとなく金魚すくいって夏祭りのイメージあるんですけど、探してみれば案外あるものなんですね」

黒子「……ところでそちらの奇抜な格好をなさった方は婚后さんたちのお知り合いですの?」

湾内「はい。鈴科さんと言って、一ヶ月ほど前に学舎の園で会いましてお知り合いになりましたのよ」

婚后「御坂さんのお知り合いの方でしたから、てっきり貴女たちも知っているかと思っていましたわ」

佐天「うーん、鈴科さんかー。聞いたことないねー」

黒子「わたくしも聞いたことありませんわね」

初春「まあ御坂さん知り合いの人多そうですから、知らない人がいてもしょうがないですよね」



277 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:18:51.11 H6pEj9I5o 252/771



美琴「(ちょ、ちょっと一方通行ぁ!? アンタ何でこんなところで女装してんのよ!? も、もしかして私のせいで女装癖に目覚めて――)」

一方通行「(ンなわけねェだろ殺すぞオマエ! こちらとら罰ゲームでクソみてェな服着せられてンだよ!)」

美琴「(あー、なるほど。それでその状態で婚后さんたちに会っちゃって仕方無しに『鈴科百合子』になったってわけね。……よかった、私のせいじゃなくて)」ホッ

一方通行「(まァ、そもそもオマエが『鈴科百合子』なンておぞましいモン生み出さなきゃ、こンなことにはならなかったンだがな)」


佐天「御坂さん御坂さん! その人誰なんですか!? あたしたちにも紹介してくださいよ!」

美琴「えっ? え、ええ、ええっとこちら鈴科百合子さん。ちょっとした知り合いよ」

初春「初春飾利です! よろしくおねがいします」

佐天「佐天涙子でーす!」

黒子「…………」

美琴「……? どうかしたの黒子?」

黒子「いえ、どこかで見たようなお姿だと思いまして……はて、どこでしたっけ?」

一方通行「ッ!?」

美琴(そ、そういえば初詣のときに『一方通行』の姿でこの子たちと会ってたんだっけ!? すっかり忘れてたやばい!!)

佐天「うーん、言われてみればなんかそんな気がしないこともないような気がするなー」

初春「それするのかしないのかどっちですか? まあたしかに私もなんか引っかかってる気がするんですよねー」

婚后「あら? 貴女たち鈴科さんと知り合いでしたの?」

黒子「いえ、そういうわけじゃないんですが……ふむ」ジロッ

美琴「あ、あははー、多分気のせいよ気のせい」アセッ

一方通行「そォだ。俺はオマエらのことなンて知らねェからな。気のせいだ白井」

黒子「……うん? どうしてわたくしの名字を知っているんでしょうか? わたくしはまだ自己紹介していないと思うんですけど」

一方通行「あっ」

美琴(ちょ、ちょっとなにやってんのこの馬鹿ッ!?)

黒子「どうしてわたくしの名字を知っているのですか? 鈴科百合子さん?」ジロッ

一方通行「……あ、アレだ。超電磁砲からオマエのことを聞いててよォ、それで知っててつい呼ンじまったンだ」

黒子「なるほど、たしかにそれはありえますね」

美琴「ほっ」

黒子「変に疑った目を向けてしまって申し訳ございません。職業柄こういうことには敏感で……。あっ、紹介が遅れましたわね」

黒子「わたくしは常盤台中学一年で風紀委員(ジャッジメント)をさせていただいています、白井黒子と申します」

一方通行「おォ。よろしくよろしく」

黒子「ちなみに御坂美琴お姉さまとはルームメイトであり、将来を誓い合った仲ですのでお見知り置きを」

美琴「だからアンタは勝手に変なことを初対面の人に言うなッ!!」



278 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:19:30.02 H6pEj9I5o 253/771



美琴「――じゃ、私たちは行くわ」

婚后「鈴科さん。また学舎の園にぜひ遊びに来てくださいね?」

湾内「アフタヌーンティーでもしながらゆっくりお話したいですわね」

佐天「いいなぁー、そのときはあたしたちも誘ってくださいよ!」

泡浮「ふふふ、もちろんですわ」

初春「あ、アフタヌーンティー……ああ、お嬢様っぽくていいですねー」

黒子「では、ごきげんよう」



ワイワイガヤガヤ



一方通行「……やっと行ったか(以下一方ボイス)」カチッ

一方通行「クソッタレが。土御門の野郎のせいでとンでもねェ目に遭っちまったな。あのクソ野郎絶対許さねェ」ギリリ

一方通行「……まあイイ。さっさと結標のところに行くか」


結標「あっ、いた! 一方通行!」タッタッタ


一方通行「あン?」

結標「ちょっと何やってたのよ遅いわよ。もう焼きそば買ってきちゃったわ」つ焼きそば

一方通行「あァそォか。すまねェな」

結標「ところでさっきの常磐台の子たち誰なのよ?」

一方通行「あァ? 知らねェよ」

結標「えっ? でもあの子たち貴方に話しかけてたじゃない?」

一方通行「人違いだった。どォやら俺の女装した姿に似た知り合いがいるらしくて、そいつと間違えて俺に声をかけたらしい」

結標「へー、貴方に似ている女の子ってすごいわね。その人貴方の生き別れの妹さんだったりするんじゃない?」

一方通行「俺にそンな小説の物語にでも出てきそうな設定の身内なンざいねェよ。はァ、目的のモン買ったなら戻ンぞ?」ガチャリガチャリ

結標「あっ、ちょっと待ちなさいよ!」タッタッタ

一方通行「こンな危険を呼ぶ服、さっさと脱ぎ捨ててェ」

結標「……ところで一方通行?」

一方通行「何だ?」

結標「『にゃん』の語尾、また忘れてるわよ」ニヤリ

一方通行「…………にゃン」


―――
――




279 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:20:00.86 H6pEj9I5o 254/771



同日 19:00

-第七学区・とある桜公園-



青ピ『そげぶマ~ン♪ そげぶマ~ン♪ ララララそげぶマ~ン♪』



結標「ただいまー!」テクテク

一方通行「チッ、クソみてェなお使いだったにゃン」

吹寄「おかえり二人とも」

結標「今何やってるの? カラオケ大会?」

吹寄「そうよ。ごめんね、二人を待とうって言ったんだけど馬鹿どもが勝手に始めちゃって」

結標「別にいいわよ。どうせ王様ゲームは終わりってわかってたしね」

一方通行「オイ、インデックス。ご所望の品だにゃン」つ焼きそば

禁書「わーい! ありがとうなんだよあくせられーた!」

一方通行「……さて、王様の命令もこなしたところで、さっさとこのクソみてェな服脱ぎ捨てねェとにゃン」

土御門「あっ、アクセラちゃんお疲れだぜい!」

一方通行「チッ、土御門ォ。オマエのせいで本当に疲れたにゃン」

土御門「どうかしたのか? 小太りのハゲ散らかしたオッサンにでも一発どう? って誘われたりでもしたのかにゃー?」

一方通行「……そっちのほうがまだマシだったにゃン。みぞおちに一発入れてやりゃ済む話だからにゃン」

土御門「よくわからんが楽しんでいただけてなによりですたい」

一方通行「どこをどォ聞いたらそンな言葉が出てくるンだにゃン?」

結標「……そういえば、姫神さんと上条君が見当たらないけどどうかしたのかしら?」

吹寄「ああ、二人なら屋台のある方へ言ったわよ。すれ違わなかった?」

一方通行「イイや、知らねェにゃン」

吹寄「そう。あとで結標さんたちももう一回屋台とか回ってもいいわよ? さっきのは王様ゲームの命令だったからゆっくりできなかったでしょ?」

一方通行「チッ、行かねェにゃン。二度とゴメンだにゃン」

吹寄「……何かあったの?」

結標「ええ、女装したせいで知らない女の子たちに人違いで話しかけられたみたいよ」

土御門「ぷふっ、そ、そいつはすごいにゃー」

一方通行「笑うンじゃねェ殺すぞにゃン。……まァイイ、とにかくさっさと着替えるにゃン」ガチャリガチャリ


青ピ「おっ、アクセラちゃん帰ってたんやなー」


一方通行「おォ」

青ピ「ちょうどいいタイミングやったなぁ。カラオケの出番、次がアクセラちゃんの番やったんや。ほい、マイク」ポイッ

一方通行「ハァ? 何で俺が歌なンざ歌わなきゃいけねェンだにゃン。つゥか、勝手に曲入れるなよ。帰ってくるの間に合わなかったらどォするつもりだったンだにゃン?」パシッ

青ピ「でぇーじょうぶだ、アクセラちゃんたちが帰ってくるのが見えてから曲割り込ませたから」

一方通行「クソみてェなことしてくれてンじゃねェにゃン」

青ピ「まあまあ。ちゃんと今アクセラちゃんにピッタリの曲入れといたから安心しぃ」

一方通行「あン?」



280 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:21:13.65 H6pEj9I5o 255/771



一方通行「今の俺にピッタリの曲にゃン? 一体何の曲――」



『はっぴぃ にゅう にゃあ/芹沢文乃(伊藤かな恵)&梅ノ森千世(井口裕香)&霧谷希(竹達彩奈)』



一方通行「なっ!? コイツは……!」

結標「ぷふっ、な、懐かしいわね」

吹寄「あー、冬休み前の打ち上げでカラオケ行ったときのヤツね」

土御門「にゃっははーまさしくピッタリな曲だぜい! ナイス選曲だ青髪ピアス!」

青ピ「アクセラちゃんの萌え萌えにゃんにゃんライブの始まりやでー!!」

一方通行「ふざけンなッ!! 何で俺がこンなクソ曲歌わな――」

青ピ「あっ、この曲すぐ始まるやでー」



タータタタンタータタタタンタ♪ タータータータータタタタタタタタタン♪



一方通行『にゃあ♪』



青ピ「うん?」



一方通行『ンでンでンでェ♪(にゃあ)にゃァンでェ♪ かまってかまって欲しィのォ♪』


一方通行『イイ子じゃないとォきのわたしィ、カワイィとかありえなァい♪』


一方通行『それそれそれェ♪(にゃあ)らァあぶッ♪ もらってもらってくださいィ♪』


一方通行『非常事態が日常ですゥ♪ 好きって言ったらジ・エンドにゃン♪』



土御門「なっ、なにぃ!? 何のテレもなく完璧なリズムで歌いこなしてるだと!?」

青ピ「そ、そんな馬鹿な!? ネコミミメイドのアクセラちゃんが赤面状態でたどたどしく歌うっていう、おもしろおかしいシチュのはずだったのに!?」ガクッ

結標「まあ、一方通行の頭なら一回曲歌えば完璧に歌えそうではあるわね」

吹寄「それに二回目だから恥ずかしさとかも半減だろうし。完全に馬鹿二人の負けってことかしら?」




281 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:21:56.32 H6pEj9I5o 256/771



一方通行『わがままそのままねこまンまァ♪ 上から目線のてンこ盛ィ♪』


一方通行『三毛ブチィ♪ トラシロォ♪』


結標「はやくしろっ♪」


一方通行『うェるかむねこまねきィ♪』


青ピ「なんかしらんけど姉さんまでノリノリやんけ!? つっちー!! どうやら遊んでる暇はなさそうやで!!」

土御門「たしかに、一般人どもに負けるわけにはいかないにゃー」

吹寄「何の勝負よ?」


一方通行『ちょォしにのっちゃだめェ♪ にゃンたら優しすぎるのだァいキィラァいィ♪』


ダン! ダン!


結標土御門青ピ「「「みゃーん♪」」」


一方通行『はァァァぴィにゅうにゃァ♪ はァァァじめましてェ♪』


一方通行『キミにィあげるゥ最初のオォォバラァン♪ 逃げるからァ追い掛けてェまァるい世界ィィ♪』


ティロティロ♪


一方通行『ラァアアアッキィニューフェェイス♪ ちィィかづいてるゥ♪』


一方通行『わたしだけェェ見つけなさいィィ♪ 拾いたいなら拾えばァァァ♪』


一方通行結標土御門青ピ『「「「いーじゃン(ん)♪」」」』



<ぎゃははははははははははははははははははっ!!



一方通行(……あン? 何か聞き覚えのあるクソみてェな笑い声が聞こえて――)チラッ




282 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:23:05.72 H6pEj9I5o 257/771



数多「ぎゃはははははははっ!! 何だぁ? クソガキが花見してるって聞いて何してっかなぁって様子見に来たらよぉ、馬鹿みてぇな格好して馬鹿みてぇな曲歌ってやがるじゃねえか!!」

打ち止め「おおっ!! あれは伝説の『はっぴぃ にゅう にゃあ』だっ!! ってミサカはミサカはもう一度伝説を目の当たりに出来て感動を覚えてみたり!」

円周「くそう。こっちはこんなにおもしろい展開になってたのかあ。つまんない数多おじちゃんのところになんて戻らなきゃよかったよー」


一方通行『』


結標「あっ、打ち止めちゃんたち。それに木原さんもいる……あっ」

吹寄「あれが噂の木原さんね……なんか怖い雰囲気ね」

青ピ「ひえー顔面に刺青入れてるなんて裏の人やないんかい?」

土御門「…………」



一方通行『……木ィィィィィ原くゥゥううううううううううううううううううううううンッ!!』



キィィイイイイイイイイイン!!


吹寄「わっ」

土御門「うるさっ!?」

結標「ちょっと一方通行マイクマイク!!」

青ピ「耳がッ!? 耳がああああああああああああああああああッ!?」


一方通行「木原ァ……今見たこと」カチッ





一方通行「忘れろっつってもどォせ忘れねェだろォからなァ!? 記憶ゥこの俺が直々にその腐った脳みそグチャグチャにしてェ、命もろとも跡形もなく消し去ってやるよォおおおおおおおおおおおッ!!」バッ

数多「ぎゃはっ、面白れェ。少しは強くなったか見てやるよ。来やがれクソガキィ!!」





ドガン!! ズガガガガガガガ!! バギィン!! ゴォウ!! ドドドドド!! ベキン!! ゴパァ!!





<ぎゃああああああああ!! <なんだなんだ喧嘩か!? <ああああああすごい突風で桜の花びらとか食べ物とかいろいろ飛んでいくううううう!?


打ち止め「ちょ、ちょっと二人ともやめてええ!! ってミサカはミサカは精一杯呼びかけてみたり!!」

円周「おおー、まさか桜の満開日がそのままシーズン終了日になるなんて思わなかったなあ。さすが学園都市だねー」


結標「ちょっと一方通行落ち着きなさい!! このままじゃもう騒ぎどころか大事件に発展しちゃうわよ!!」

禁書「ああっ、私の焼きそばが飛んでいった!?」

吹寄「な、なんというかすごいわね……」アゼン

青ピ「つ、つえー……あのアクセラちゃんをまるで駄々こねる子供みたいにあしらうなんて。一体何者やあの人ぉ」

土御門(ふっ、さすがは木原数多だな。間違いなくヤツも敵に回したくない相手の一人だ)


―――
――




283 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:24:16.13 H6pEj9I5o 258/771



同日 19:10

-第七学区・とある桜公園・桜祭り会場-



<ドッッゴオオオオオオオン!!



上条「うわっ、何だ!? 何かすげえ音が聞こえたぞ!?」

姫神「あの方向は。私たちがさっき。花見をしていた場所辺り」

上条「マジかよ。何事もなければいいけど……」

姫神「たぶん大丈夫。そろそろアクセラ君が戻っているはずだから。なにか事件みたいなのがあれば。解決してくれてると思う」

上条「……そうだな。それに結標もいるし何とかなるか」

姫神(まあ。でもあんな騒ぎ起こせる人って。私の中では一人しかいないけど。黙っておこう)


上条「……しかし、もう三月も終わりで一年生も終わりってことは、もう二年生になるってことだよな?」

姫神「そうだね。ところで。上条君?」

上条「何だよ?」

姫神「補習の常連メンバーだったくらいの成績だったけど。二年生に進級できるの?」

上条「がっ、そ、そりゃ大丈夫だったよ! 一方通行や結標に期末試験の勉強手伝ってもらって最後の補習回避できたおかげでな!」

姫神「へー。正直心配してたから。ホッとした」

上条(でも最後のテストもダメだったら本気でヤバかったなんて言ったら、なんか怒られそうだから黙ってよう……)タラッ

姫神「どうしたの?」

上条「いやなんでもねえよ。だけどもう二年生かぁ……なんかあっという間だった気がするよ」

姫神「私も。この学校に転入したのが九月だから。余計に早く感じる」

上条「まぁ、俺も夏休み前半以前の記憶がないからだろうなぁ……」ボソッ

姫神「なにかいった?」

上条「いや、なんでもないんだ気にしないでくれ!」アセッ

姫神「?」

上条「で、でもあれだよな。あっという間に感じるってことは楽しい学校生活を送れてるってことだよな?」

姫神「うん。合ってると思う」

上条「だよな。ほんと楽しかったと思うよ。辛いこととかもたくさんあったっけどさ」



284 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:25:01.15 H6pEj9I5o 259/771



姫神「……上条君」

上条「何だ?」

姫神「私がこうやって。楽しい学校生活を送れてるのは。上条君がいてくれたから。だから。改めてお礼が言いたい」

上条「お礼? なんでそんな……」

姫神「上条君があのとき。私を助けに来てくれなかったら。今こうして生きていられたかも。わからない」

上条「…………」

姫神「……だから。その。ありがとうございました」ペコリ

上条「……ははっ」

姫神「? 何かおかしいこと言った?」

上条「いやーごめんごめん。おかしくて笑ったわけじゃないんだ。そこはわかってくれ」

姫神「じゃあ。なんで?」

上条「俺はな、別にお礼を言われるために助けたわけじゃないからな。だからいざお礼なんて言われたから、なんか笑っちゃってさ」

姫神「……それって。やっぱり。おかしいと思って。笑ったってことにならない?」ジロッ

上条「あれ? そうなりますかね?」

姫神「うん」

上条「……マジで?」

姫神「うん」

上条「姫神様のありがとうございましたを笑ってしまってスンマセンっしたぁ!!」

姫神「……だめ。ゆるさない」ムスッ

上条「そ、そこをなんとか……」

姫神「…………ふふ」

上条「?」

姫神「ふふふ。冗談。面白くて。ちょっとからかっちゃった」クスッ

上条「……ははっ、人が悪いですよ姫神さん」

姫神「ごめんなさい。ふふっ」

上条「くそぅ……まあ、でも」

姫神「うん?」



285 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:25:50.04 H6pEj9I5o 260/771






上条「こうやって姫神が笑顔で笑ってくれるならさ、真面目な顔してお礼なんか言われるよりずっと嬉しいよ。俺にとってはさ」ニコッ





姫神「…………ッ」

上条「……あら? なんかスベった?」

姫神「…………」プイッ

上条「あのー、なんでそっぽを向くんでせうか? そんなに俺変なこと言いましたかね?」

姫神「……ごめん。今。私。そっち。向けない」

上条「?」

姫神「…………」

上条「…………あのー?」

姫神「……よし。いこう」

上条「いく? どこか行きたいのか?」

姫神「上条当麻君」

上条「うおっ、なんだいきなりフルネームで呼んで?」

姫神「あなたに。話がある」

上条「お、おう」



姫神「私は。あなたのことが――」



婚后「あら? その声もしかして鈴科さんですの?」





286 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:26:51.55 H6pEj9I5o 261/771



姫神「!?」ビクッ

上条「すずしな?」

婚后「……あら? 全然違いましたの」

上条(常盤台の制服だ。御坂の知り合いだったりするのか?)

姫神「……私に。何か用?」

婚后「申し訳ございません。貴女の声が先程出会えた知り合いの声に似ていて、思わず声をかけてしまいました」

姫神「そう。別にいい。勘違いは誰にでもある」


湾内「婚后さーん! どうかなさいましたかー?」

泡浮「早くいかないと御坂様たちと離れてしまいますわ」


上条(御坂様? やっぱり御坂の知り合いか)

婚后「ごめんなさいすぐ行きますわ! それでは失礼致します」ペコリ

姫神「うん」



<ドウシタンデスカイキナリハナレテ? <イエスズシナサンソックリノコエノオカタトオアイシマシテ <ソンナグウゼンガアルノデスワネー



上条「なんだったんだ?」

姫神「さあ?」

上条「ところで姫神。結局話ってなんだったんだ?」

姫神「話?」

上条「ほら、さっき何か言いかけてただろ?」

姫神「…………」

上条「?」

姫神「!!!?!!!?」バッ

上条「うおっ!? いきなりまたそっぽ向いてどうした姫神!?」

姫神(私は!! さっき!! 一体!! なにを!! しようと!! していた!?)

上条「……あのー、姫神さん?」

姫神「……ごめんなさい。さっきの話。なしで」

上条「お、おう? わかった」

姫神(恥ずかしすぎて。とても顔が。見れない)カァ

上条「?」



―――
――




287 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:27:37.68 H6pEj9I5o 262/771



同日 19:30

-第七学区・とある桜公園・外れ-



一方通行「…………」ゴロン ←普通の服装に戻っている



結標「あっ、いた! こんなところで一人寝転がって何やってるのよ?」

一方通行「……結標か」

結標「そろそろお開きの時間だから、みんな片付けとかやってるわよ? 私たちも行きましょ?」

一方通行「悪りィ、今日は疲れてンだ。もう少しここに居させてくれ」

結標「……もう、しょうがないわね」スッ

一方通行「あン? 何で俺の隣に座りやがンだ?」

結標「うん? サボり仲間が欲しいんじゃないかと思って、一緒にサボってあげてんのよ」

一方通行「いらねェよそンなモン。グチグチ言われるのは俺一人で十分だ」

結標「別にいいでしょ? たまには私だってそういう日があるってことよ」

一方通行「……チッ、勝手にしろ」

結標「…………」

一方通行「…………」ボー

結標「……着替えたんだ」

一方通行「あァ?」

結標「ネコミミメイド服」

一方通行「当たり前だろォが。俺を何だと思ってやがる」

結標「似合ってたわよ? 私の思ったとおりね」

一方通行「世界で一番言われても嬉しくねェ褒め言葉だな」

結標「ふふっ、そうね。ごめんなさい」

一方通行「散々な花見だったなクソッタレが」

結標「あら? 楽しくなかったのかしら?」

一方通行「当たり前だろォが。朝から場所取りさせられて、クソみたいな罰ゲーム食らわせられて、馬鹿みてェな曲歌わせられて、木原のクソに調子に乗られたうえにやられて」

結標「いや、最後のは貴方がいきなり暴れだしたのが悪いんじゃないかしら?」



288 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:28:12.67 H6pEj9I5o 263/771



一方通行「……とにかく、俺が楽しめる要素皆無だったっつゥことだ」

結標「ふーん、まあいいじゃない。それでも」

一方通行「ハァ? 何言ってンだオマエ?」

結標「苦労することでみんなが笑ってくれるなら、それでもいいじゃないってことよ」

一方通行「いつから俺はそンなドM野郎になりやがったってンだ?」

結標「別にそうは言ってないわよ。最高の場所とは言えないけど、場所取りしてあの場所を確保したことによってみんなが花見を楽しめた」

結標「それだけで私は、休日なのに朝早く起きてここに来てよかったと思ってるわよ」

一方通行「お気楽クンはイイねェ。俺にはどォやってもあンな格好で醜態晒されたことをそォいう風にやってよかった、っつゥ感想に持っていくことが出来ないねェからな」

結標「……でも、貴方は本気で断らなかったじゃない」

一方通行「ハァ?」

結標「だってそんなことを言うくらい嫌だ、っていうことならそういう状況になったときって本気で嫌がって断るじゃない?」

結標「それか、本気で怒ってどんな手を使ってでもこの場から立ち去ろう、なんてことしようとしたんじゃないかしら?」

一方通行「何言ってやがる。アレはオマエらがあの手この手で俺の退路を塞いで――」

結標「だけど断ってはなかったわよね? 本気で逃げようともしてなかったわよね? 逃げられる場面ならいくらでもあったっていうのに」

一方通行「…………」

結標「いくら王様の命令は絶対、って言っても所詮はゲーム。本気で嫌がるのだったらみんなだって潔く引き下がってくれるはずよ。貴方だってそれくらいはわかるでしょ?」

一方通行「……ああ。甘い連中だよ本当に」

結標「わかってるじゃない。そう、わかっているのに断らなかった、ってことはそういうことでしょ?」ニコッ

一方通行「……馬鹿馬鹿しい。そンなわけねェだろが、くっだらねェ」

結標「はいはいそうですねー」

一方通行「ンだァ? そのクソみてェな口ぶりはよォ?」

結標「何でもないですよー、別に」

一方通行「チッ」

結標「……ところでこの辺って全然人がいないのね。ちょっと中心にいけば花見客がごった返してるっていうのに」

一方通行「ここら辺は街頭やら電灯やらが少なくて暗い上に桜もそンなに生えてねェし、中心部から遠いから桜祭り会場やトイレとかに行くのにも不便だからな」

結標「あー、言われてみればそうね」

一方通行「わざわざこンなクソみてェな場所で花見しよォなンざヤツはまずいねェだろ」

結標「なるほど。つまり、人混みの大嫌いな貴方にとってはオアシスみたいなものってことね」

一方通行「まァな」

結標「でもさっきの説明、一つだけ間違えてるところがあるわよ?」

一方通行「あン?」



289 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:29:00.09 H6pEj9I5o 264/771



結標「貴方はここをクソみたいな場所って言ったけど、貴方が思うほどここは悪いところじゃないわよ?」

一方通行「……なぜそォ思う?」

結標「向こう見てちょうだい」

一方通行「……桜公園の中心部か。桜並木が街頭や電灯とかの灯りに照らされてライトアップされてやがンな」

結標「そう。ちょっとしたイルミネーションみたいなものよね? こんな風景が見られるのだからいい場所だと思うわよ私は」

一方通行「イルミネーションって言うには地味で淡い光だと思うがな」

結標「いいじゃないそれで。たしかに、誰かがお客さんを喜ばすために緻密に計算して色彩鮮やかにした灯りもいいかもしれない」

結標「でも、ただその場を明るくするためだけの灯りが集まってできた、偶然見つけた光の集合も素敵だと私は思うわよ?」

一方通行「……そォかもな」

結標「あら、珍しいわね。貴方がこういうのに同意してくるなんて」

一方通行「別にイイだろォが。俺の勝手だろ」

結標「ふふっ、ごめんごめんつい」

一方通行「うっとォしいヤツだ」

結標「…………あれ?」

一方通行「あァ?」

結標(……今って、二人きりでいて、綺麗な夜景を一緒に見てて、なんというか……いい雰囲気な気が)



『せっかく二人きりの状況なんだからこのチャンス活かしたほうがいいと思うわ』



結標(これって……いわゆるチャンスってヤツ……?)


一方通行「……どォかしたか? 急に馬鹿みてェにフリーズしやがってよ」

結標「あっ、うん何でもない何でもない気にしないでちょうだい!」アセッ

一方通行「?」


結標(な、なんかそういう状況って気付いちゃったせいか知らないけど、なんかすごく恥ずかしくなってきた……!)

結標(あれ? 私ってさっきまでどうやって喋ってたっけ? どんな顔してたっけ? どうやってアイツの顔見てたっけ?)

結標(や、やばい、心臓がドキドキしてきた、顔が熱くなってきた、どうすれば、私はどうすれば――)



『どうせなら告っちゃえば?』




290 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:29:40.54 H6pEj9I5o 265/771



結標「――って絶対無理ッ!!」


一方通行「あァ? 何だいきなり?」

結標「ご、ごめんなさい! 変な声が出ちゃった! な、何でもないわ! 気にしないで!」

一方通行「何か顔赤けェぞ? まさか風邪でも引いたンじゃねェだろォな?」

結標「ち、違うの!! そんなんじゃないから!! ほんと大丈夫だから!!」

一方通行「……チッ、まァイイ。オイ、他のヤツらンところ戻ンぞ」スッ

結標「あ、あら休憩はもういいのかしら?」

一方通行「オマエみてェなのが隣に居られたら休めるモンも休まらねェよ」

結標「……ちょっと、それはいくらなんでひどいと思うんですけど?」

一方通行「黙ったと思ったらいきなり大声上げるようなやつが隣りにいて、オマエは心休まンのかよ?」

結標「そ、それはごめんなさい」

一方通行「……はァ、それにアレだ。風邪引いてるかもしれねェヤツを、いつまでもこンな寒空の下に居させるわけにはいかねェからな」

結標「…………」

一方通行「だから、とっとと戻って片付ける終わらせてウチに帰……あン? どォした?」

結標「……ふふっ、いえ。やっぱり貴方はツンデレってヤツよね、って思ってね」

一方通行「ハァ? そンなくだらねェ単語使って俺をわかった気でいるンじゃねェよ」

結標「そうかしら? 私的にはドンピシャだと思うのだけど?」

一方通行「ケッ、オイさっさと行くぞ」ガチャガチャ

結標「あっ、ちょっと待ちなさいよ!」


青ピ「おおっーい!! アクセラちゃんに姉さーん!!」ボヨンボヨン


一方通行「あァ?」

結標「あら青髪君。片付けはどうしたの?」



291 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/17 23:31:42.18 H6pEj9I5o 266/771



青ピ「姉さんら遅いでほんま。もう終わってしもうたよ」ボヨンボヨン

結標「あっ、そうだったの。サボっちゃってごめんなさい」

青ピ「ええってええって、二人のおかげでぎょーさん笑わせてもろうたし。特にアクセラちゃんとか」ボヨンボヨン

一方通行「今度は全力でブン殴るぞオマエ?」

青ピ「あははーすまんすまん」ボヨンボヨン

結標「ところで青髪君。その手に持ってる大きな風船? は何なのかしら?」

青ピ「ああこれ? よくぞ聞いてくれました! これは水ヨーヨーの出店に一つだけ浮いてたキングサイズの水ヨーヨーだぜ!」ボヨンボヨン

結標「へー、よくそんなの取れたわね。すごいわ」

青ピ「せやろせやろ?」ボヨンボヨン

一方通行「くっだらねェ。行くぞ結標」ガチャリガチャリ

結標「あっ、うん」テクテク

青ピ「あーん、ちょっとまってや二人とも――ってぎゃああああズッコケて水ヨーヨーがすっぽ抜けたあああああああああッ!?」スポン

結標「なにそのやけに説明口調な悲鳴!? って一方通行危ないっ!?」

一方通行「あァ? なン――」



パンバシャアアアアンン!!



一方通行「だよ……」ポチャンポチャン

結標「あっ」

青ピ「いっ」

一方通行「…………」ポチャンポチャン

結標「だ、大丈夫一方通行?」

青ピ「すまんアクセラちゃん! わ、わざとじゃないんやわざとじゃ……」アセッ

一方通行「……青髪ピアスクゥン?」ポチャンポチャン

青ピ「は、はいぃ!!」


一方通行「死体確定だこのクソやああああっくしょンッ!!」


青ピ「……くそやくしょん?」

結標「あ、一方通行?」

一方通行「…………は」




一方通行「はっくしょン!!」




――――――



294 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:02:48.74 WSQjvE0To 267/771



13.風邪


March Forth Monday 07:30

-黄泉川家・一方通行の部屋-



一方通行「――ゴホッ! ゴホッ!」



芳川「……熱は38.5℃。結構な高熱ね。まあ症状からしてただの風邪でしょうけど」

打ち止め「大丈夫? ってミサカはミサカは心配そうに見つめてみたり」

一方通行「……ああ。ちょっと咳が出て、喉が痛くて、鼻水が出て、身体がだりィだけだ。問題ねェ」

黄泉川「いや、そんなに症状が一度に出てる時点で問題だから」

結標「やっぱり原因は昨日水かぶったせいかしらね?」

芳川「それに昨日は比較的に寒い日だったわ。そんな中、長時間外に居たのだから免疫力が低下してしまってても当然ね」

打ち止め「アワキお姉ちゃんは大丈夫なの? 一緒に場所取りとか行ってたんでしょ? ってミサカはミサカは質問してみる」

結標「ええ、私の身体はとくに異常はないわよ」

芳川「まあ、普段から食事をあまり取る方じゃない上に運動とかもしないモヤシ君が、そんな過酷なことをしていたのだからしょうがないわね」

一方通行「好き勝手なこと抜かしてンじゃねェぞ芳川ァ。……よっと」ガチャリ

黄泉川「ちょ、ちょっと一方通行! いきなり立ち上がってどうするつもりじゃん?」

一方通行「決まってンだろ。学校行くンだよ」

黄泉川「馬鹿言ってんじゃないじゃん! そんな身体で行けるわけないじゃんよ!」

芳川「キミなら学校サボれるって言って喜んで休むと思ったのだけど、いつからそんなに学校が好きになったのかしら?」

一方通行「あァ? 何勘違いしてンだ。オマエらがいつもサボるなサボるな言ってるから従ってやってるだけじゃねェか」

黄泉川「サボると休むは全然違うじゃん!」

一方通行「チッ、グチグチうるせェヤツらだ。大体こンな風邪なンてなァ、俺のチカラァ使えば余裕なンだよ」スッ

芳川「!? 打ち止め! 能力使用モードの制限をかけなさい! 早く!」

打ち止め「えっ、な、なんだかよくわかんないけどわかった! ってミサカはミサカはミサカネットワーク上に制限指示を送ってみたり」ビビッ

一方通行「どォいうつもりだオマエら!? 人がせっかく風邪を治そうとしてンのによォ!」

芳川「……一方通行。今何をしようとしてたのか言ってみなさい」

一方通行「あァ? 決まってンだろ。俺の能力で風邪のウイルス皆殺しにしてやるンだよ」

芳川「一方通行。悪いけどそれは許可できないわ」

一方通行「何だと?」

芳川「キミが能力をどういう使い方をして風邪を治そうとしているのかはわからないけど、今のキミが能力を使うのは危険すぎるわ」

一方通行「オマエ、この俺がチカラの使い方ァミスるって言うつもりか!?」


芳川「そうよ。キミの頭は今、高熱に侵されて思考能力が低下している。いくら演算はミサカネットワーク上でやってくれるとはいえ、演算の指示を出すのはキミのそんな頭」

芳川「出す指示を少しでも間違えれば能力は機能しない、いや、機能しないだけならまだいいわ。間違って能力が意図しない方向へ暴走してしまうかもしれない」

芳川「身体に関するベクトル操作は電子顕微鏡レベルの緻密さが求められる。以前キミが言っていたことよ」

芳川「今のキミにそれができるとは私には到底思えないわ」



295 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:03:59.20 WSQjvE0To 268/771



一方通行「…………」

芳川「てなわけで、今日は一日寝てなさい。学園都市製の薬を飲んで一日寝てれば風邪なんて治るわよ」

結標「そ、そうよ一方通行。今日はゆっくり休んだほうがいいわ」

打ち止め「ミサカもそう思うよ、ってミサカはミサカは同意してみる」

黄泉川「身体を休めて風邪をしっかり治すことも学生としての立派な務めじゃん」

一方通行「……チッ、わかったよ。うるせェ女どもだ」

結標「あのー、私も休んだほうがいいですか? 看病とか必要だと思うし」

一方通行「あァ? いらねェよ看病なンてよォ。ガキじゃねェンだから」

結標「でもなんか心配だし……」

黄泉川「まあただの風邪だし、淡希がそこまでする必要はないじゃん」

芳川「下手に一緒にいて貴女に風邪が感染っても困るしね」

結標「……そうですね。わかりました」

打ち止め「ふふふ、安心してアワキお姉ちゃん! 代わりにミサカがしっかりと看病してあげるから、ってミサカはミサカは胸に拳を当ててしっかり者アピールしてみたり」

一方通行「話聞いてなかったのかクソガキ。オマエに風邪ェ感染ると面倒だ。さっさと木原ンところにでも行ってろ」

打ち止め「ぶーぶー」

芳川「付きっきりの看病はしてあげられないけど、バイトの休憩中くらいは様子見にきてあげるわ」

黄泉川「頼むじゃん桔梗。私も合間で様子見に来たいところなんだけど、今日は忙しくてちょっと抜けられそうにないじゃん」

一方通行「だから看病なンていらねェっつってンだろが。薬ィ飲ンで一日中寝てるだけだっつゥのにオマエらから借りる手なンざねェンだよ」

黄泉川「ほら、熱冷まシートとか交換したり、体拭いてあげたり」

一方通行「いらねェよ」

結標「でも寝てる間に病状が悪化してたらどうするつもりなのよ?」

一方通行「ほっとけ。最悪死ぬだけだ」

打ち止め「ええぇー!? 死んじゃ嫌だよ!! ってミサカはミサカは率直な気持ちを伝えてみたり」

一方通行「あくまで最悪の場合の話だ、そンな簡単に死ぬかよ。つゥか、オマエらいつまでこの部屋に居座るつもりだコラ。早く休ませろよ」

黄泉川「あはは悪い悪い。じゃ、私らは退散するとしようじゃん」

芳川「薬ここに置いとくから適当なもの食べてから飲んでおいてね」

結標「……学校から帰ったらまた顔出すわ」

打ち止め「死なないでね、ってミサカはミサカは懇願しながら部屋を後にしてみる」


ガチャ


一方通行「……ったく、休めやら寝とけやら、自分でほざいてたくせに、うっとォ……しィヤツらだ」ゼェゼェ

一方通行「頭ン中、ガンガン、金槌で、叩かれてる……みてェだ」ゼェゼェ

一方通行「クソ……が……」ガクッ



ドサッ!



―――
――




296 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:04:54.68 WSQjvE0To 269/771



同日 08:20

-とある高校・一年七組教室-


吹寄「えっ、アクセラが風邪で寝込んでる!?」

結標「ええ、そうなのよ」

土御門「馬鹿は風邪を引かないって話だったけど、あれは迷信だったのかにゃー?」

姫神「いや。アクセラ君は普通に。頭はいいよ?」

土御門「頭がいいと馬鹿かどうかはまた別の話だぜい」

青ピ「せやせや。アクセラちゃんはクラスの四バカ(スクエアフォース)の一員なんやで? それなのに風邪に負けるなんてなさけ――」


ゴッ!


吹寄「風邪の直接的な原因のあなたが偉そうに言ってんじゃないわよ!!」

青ピ「ぶびばべん……」

上条「しかし一方通行が風邪引いて寝込むなんて全然想像できないな」

吹寄「そうね。不健康そうな見た目だけど、病気らしい病気にかかってるところなんて見たことなかったし」

土御門「アクセラちゃんはちゃんと病気にかかってるぜい。中二病っていう心の病がな」

青ピ「これは重症ですねぇ」

吹寄「心配してる人もいるんだから、少しは考えて発言しなさいよ馬鹿ども!」

姫神「大丈夫? 結標さん」

結標「…………」

姫神「結標さん?」

結標「あっ、ごめんなさい! ちょっとボーッとしてたわ」

吹寄「アクセラのことでも考えてたのかしら? たしかに心配よね」

結標「い、いや別にそんなんじゃないわ! というか二人とも深刻な顔し過ぎよ、所詮はただの風邪なんだから」

上条「風邪だからって心配しちゃいけないってことはないだろ。心配なもんは心配だ」

結標「もう上条君までそんなこと言って……、あっ、そろそろHRの始まる時間だし席着いとかなきゃ。じゃ、またあとでね」タッタッタ


吹寄「……結標さん」

姫神「こっちも。割と重症みたい」

土御門「ま、ほんとに風邪なら一日も寝てれば治るだろうし、大丈夫だろ」

青ピ「さすが学園都市製の風邪薬やで!」

上条「でも高いんだよなぁ。上条さんちで風邪が流行った瞬間家計に大打撃だぜ」

土御門「カミやんは風邪とか引かないからへーきへーき」

吹寄「インデックスならともかく、上条当麻ならたしかに平気そうね」

上条「さっきまであんなに真面目な発言をしていた吹寄さんまでひでえ!?」


―――
――




297 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:05:35.17 WSQjvE0To 270/771



同日 09:00

-ファミリーサイド・従犬部隊オフィス-


円周「はえー、アクセラお兄ちゃん風邪引いちゃってるんだ」

打ち止め「そうなんだー。今頃部屋で寝てるんじゃないかな? ってミサカはミサカは推測してみる」

数多「宴会で大はしゃぎして次の日体調崩して学校お休みなんて、ほんとガキだなぁアイツ」

打ち止め「もー、たぶんキハラもその体調を崩した原因の一つだと思うよ、ってミサカはミサカはジト目でにらみながら物申してみたり」ジトー

数多「あ? 何で俺なんだよ」

円周「そういえば昨日、数多おじちゃんアクセラお兄ちゃんボコボコにしてたからねー。そら体力も奪われて風邪引いちゃうよ」

数多「おいおい、あれはただの自己防衛だぜ? 悪いのは先に仕掛けてきたあのクソガキだ」

円周「ところでアクセラお兄ちゃんは強くなってたの? 試してやるみたいなこと言ってたけど」

数多「あぁ? あー、前よりはマシにはなってたんじゃねえのか? まあ、俺に勝つのはまだ百年足りねえけどな」

打ち止め「キハラってなんでそんなに強いの? ってミサカはミサカは素朴な疑問を投げかけてみたり」

数多「そりゃお前決まってんだろ。俺が『木原数多』だからだ」

打ち止め「答えになってないよ、ってミサカはミサカは頬を膨らませてみる」

円周「ねえねえ数多おじちゃん! 私とアクセラお兄ちゃんだったらどっちが強い?」

数多「今風邪で寝込んでるほうのクソガキ」

円周「えー? 即答ー?」

数多「だってお前弱いし」

円周「うーん、おかしいなあ。私も毎日『木原』を勉強しているつもりなのにねー」

数多「『木原』は勉強して身に付けるようなもんじゃねえんだっつーの。いい加減わかれよ」

打ち止め「なにしゃべってるのか全然わかんないからテレビでも見よっと、ってミサカはミサカはリミコンのスイッチを押してみる」ピッ

円周「ねえねえ打ち止めちゃん。あとでアクセラお兄ちゃんのお見舞い行こうよ」

打ち止め「えぇー? やめといたほうがいいよー。あの人看病されるのすごく嫌がってたからそういうことすると多分怒るよ、ってミサカはミサカは警告してみる」

円周「それはあれだよ。押すなよ絶対に押すなよみたいなやつだよきっと。本当は看病してほしいに決まっているんだあ」

打ち止め「本当かなー?」

円周「ま、それに今のアクセラお兄ちゃんになら怒られても怖くないし、どっちにしろ私は行くことはケッテー! って感じなんで」

打ち止め「もーエンシュウったらほんとイタズラ大好きだね、ってミサカはミサカはため息をついてみる」

円周「よーし、そうと決まったらお見舞いの準備だあ。数多おじちゃん、ちょっといろいろ買ってくるからカード貸して?」

数多「自分の金で買えクソガキ」


―――
――




298 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:07:00.00 WSQjvE0To 271/771



同日 10:30 ~三時間目前休み時間~

-とある高校・一年七組教室-


青ピ「いやー今日行って明日行けば春休みやでー! うおお遊ぶぞおおおおおおおおおお!!」

吹寄「昨日あんなに遊んだのにまだ遊び足りないのかしら?」

青ピ「なにいうとん吹寄さん、ボクは三六五日二四時間常に遊びのことしか考えてないんやでー?」

姫神「その時間と労力を。勉強方面に持っていけば。医者でも弁護士でもなれそう」

土御門「いやいや無理無理。青髪ピアスがいくら勉強したって、頭の中にそんな知識が身に付くわけないにゃー」

青ピ「なんやとつっちー? 失礼な。ボクだって本気出せば何にでもなれるで! 魔法少女にでも美少女戦士にでも」

上条「性別自体変わってんじゃねえか」

青ピ「ま、そんなどうでもいい話置いといて、春休みもまたみんなでどっか行って遊ぼうや!」

姫神「なんとなく。来るとは思ってた」

吹寄「ほんとそればっかよねあなたって」

土御門「どこか行くって具体的にはどこ行きたいのかとか決まってるのかにゃー?」

青ピ「もちろんノープランや!」

上条「だろうな」

青ピ「それを今からみんなでじっくり決めていくんやでー!」

吹寄「……はぁ。まあそれは別にいいけど、こういうのは普通全員が揃ってから決めるものじゃないかしら?」

姫神「そうだね。今日は。アクセラ君が休んでるから」

上条「たしかにここで決めてもアイツが嫌だっつったら駄目だしな」

土御門「でもアクセラちゃんなら何だか言って了承してくれる気がするにゃー」

上条「それはわからんでもない」

青ピ「……ん? そういやいつもならこんな遊びの話題を出すと、真っ先に食いついてくるお方が全然会話に乗ってこーへんなぁ」

土御門「姉さんはどっかいきたいとことかないのかにゃー?」

結標「…………」

土御門「姉さん?」

結標「……えっ? ああ、ごめんなさい。えっと、何の話してたんだっけ?」アセッ

姫神「完全に上の空」

土御門「姉さんの頭の中にはもうアクセラちゃんしかいないようだにゃー」

吹寄「しょうがないじゃない。今日はもうそっとしておきましょ」

上条「そうだな」

結標「?」

青ピ「ほな、また授業中にスペシャルなお遊びプランを考えておくでー」

吹寄「授業中は勉強に集中しなさい馬鹿者!」


―――
――




299 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:07:51.11 WSQjvE0To 272/771



同日 11:00

-黄泉川家・一方通行の部屋-


一方通行「…………おァ?」ムクリ

一方通行「…………」

一方通行「……そォいや風邪でぶっ倒れてそのまま寝てたのか」

一方通行「今何時だ? ……一一時か。俺にしては早起きじゃねェかよ」

一方通行「……クソが。まだ頭がボーっとしやがる」

一方通行「……ああ、薬飲ンでなかったな。面倒臭せェが何か適当に食って飲むとするか」ガチャリ

一方通行「あー、クソ。身体がフラフラしやがる。特注品の杖じゃなかったらまともに歩けてねェなこりゃ」ガチャリガチャリ

一方通行「……風邪ェ治ったら、真っ先に青髪ピアスの野郎を川に放り投げてやる」


ガチャ


-黄泉川家・リビング-


一方通行「……クソッタレが。まさか部屋からリビングまでがこンなに遠いなンてなァ」ゼェゼェ

一方通行「チカラァ使えりゃ楽なンだろォが、心配性のヤツらのおかげでまだ能力使用モード絶賛使用禁止中と来たモンだ」

一方通行「早く薬飲ンで、ベッドに横たわりてェぜ」



<ワイワイギャーギャー!!



一方通行「……あン? 何かキッチンの方が騒がしいな。クソガキの野郎、木原のところ行かずここで遊ンでやがんのか……?」

一方通行「言う事聞かねェガキには説教が必要だな。余計な体力を使わせやがってよクソガキが――」



円周「はあい! ここで四四種類の風邪に効く食材やら薬品やらをブレンドしたものを、先程炊きあがったお粥の中に全部投入しまあす!」ドボボボ

打ち止め「ぎゃああ!! 真っ白だったお粥の色が何とも形容し難い色へと変色しちゃった!? ってミサカはミサカは驚愕してみたり」




300 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:08:58.70 WSQjvE0To 273/771



一方通行「……あァー頭痛てェ。これは風邪のせいなのか? いや、絶対違う気がすンぞ」

円周「あっ、アクセラお兄ちゃん起きてたんだ!」

打ち止め「ちょ、ちょっと立ち歩いてて大丈夫なの!? ってミサカはミサカはフラフラのあなたを見て心配してみる」

一方通行「大丈夫じゃねェからそのまま回れ右して、元の居場所に引き返しやがれクソガキども」

打ち止め「でもその言葉通りにしちゃうと結局ミサカの元の居場所はここになるから、ここにいてもいいよってことにならない? ってミサカはミサカは言葉の揚げ足を取ってみたり」

一方通行「イイから木原ンとこ行ってろクソガキ。風邪感染ンぞ」

円周「本当に風邪つらそうだねーアクセラお兄ちゃん。言葉の一つ一つに覇気が全然ないよ」

一方通行「わかってくれて嬉しいぜ。そォいうわけだから早く俺の前から消えろ」

円周「そんなアクセラお兄ちゃんのために、なんと! なんと! なんと! 円周ちゃんがスペシャルなお粥を作っちゃいましたあ!!」

一方通行「人の家で産業廃棄物を生み出してンじゃねェよ」

円周「こいつを食べればウイルスなんて一気に消滅して、風邪を完治することができるすぐれものだよー」

打ち止め「えっ、それ本当に食べられるものなの!? ってミサカはミサカは鼻を摘みながら質問してみる」

円周「当たり前だよー。ちょいと見た目とニオイと味は悪いけど、効果だけはすごいんだぜ。なんたってこれは『木原一族』に代々伝わる秘伝のお粥になってくれたらいいなあと思ってるよ」

打ち止め「それ秘伝でもなんでもないただのお粥じゃん。いや、お粥と言えるかも正直怪しいけど、ってミサカはミサカは透かさずツッコんでみたり」

一方通行「……チッ、どォやらそれをどォにかしねェと帰るつもりはねェよォだな」

円周「そのとおり! そういうわけで、たんと召し上がれ!」つスペシャルなお粥入鍋

一方通行「わかった。鍋ごとよこせ」

円周「おー、ついにアクセラお兄ちゃんが私の手料理を食べてくれるときが来ちゃったよー」

打ち止め「ほ、本当に食べるつもりなの? もしかして風邪で頭がちょっとおかしくなってるんじゃ、ってミサカはミサカは心配しつつ止めようとしてみたり」

一方通行「心配すンな。俺は至って正常だ」

打ち止め「ほ、ほんとぉ?」

円周「さあ! さあ! アクセラお兄ちゃん、ぐぐっとどうぞ!」

一方通行「……オイ、オマエ虫歯になってねェか? ちょっと見てやるから口ィ開けてみろ」

円周「えっ、ほんと? あーん」



一方通行「オラァ!! 自分で作ったモンは自分で処理しやがれクソガキがッ!!」ナベポイー

円周「ばごヴぇるごぶちゃえ!?」



打ち止め「うわぁ!? エンシュウの口の中にスペシャルなお粥が全部流し込まれた!? ってミサカはミサカは今起こったことをありのまま解説してみたり」

円周「」チーン

打ち止め「だ、大丈夫エンシュウ? ってミサカはミサカはほっぺたつんつんして意識の有無を確認してみる」ツンツン

一方通行「そこの馬鹿連れてさっさと向こうに帰れ。俺はパンでも食って薬飲ンでから寝る」ガチャリガチャリ

打ち止め「う、うんわかった! ってエンシュウおもいー! これじゃ一人で連れて行くのは無理そうかも、ってミサカはミサカはあなたに助けを求めてみたり」

一方通行「病人に肉体労働の助けェ求めてンじゃねェよ。向こうで暇そうにしてるオッサンにでも言ってろ」

打ち止め「あ、うんたしかにそうだよね、ってミサカはミサカは納得してみる」



―――
――




301 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:10:41.08 WSQjvE0To 274/771



同日 12:30 ~昼休み~

-とある高校・一年七組教室-


青ピ「せや! 今日学校終わったらアクセラちゃんのお見舞いにでもいこうや!」


土御門「おおっー! なかなか面白いアイデアじゃないかにゃー」

結標「えっ、そんな悪いわよ。ここからファミリーサイド結構距離あるから、行って帰ってとかやってたら完全下校時刻来ちゃうわ」

吹寄「というかあなたたち本当にお見舞いする気あるの? 行ってギャーギャー騒ぐだけじゃお見舞いにならないわ」

青ピ「わかっとるわかっとる。アクセラちゃん部屋に閉じこもっててきっと悶々しとるやろうから、エロ本の一冊や二冊持っていけば喜ん――」


ゴガッ!


青ピ「かいらくてんっ!?」

吹寄「この変態!! 普通はお見舞いって言ったらフルーツとかゼリーとかプリンみたいなデザートとかでしょうが!!」

姫神「スポーツドリンクとか。飲み物もありだね。風邪だと汗かくから。水分は欲しい」

土御門「わかってないにゃー女子どもは。男ってのは疲れるとムラムラっとするもんなんだぜい。なあカミやん?」

上条「うわっ、こっちにそんな話題振んなっ! 昼間っからどうどうと女子にセクハラ発言してんじゃねえよテメェら」

青ピ「だって事実やん。カミやんやってエロ本もろうたほうが嬉しいやろ?」

上条「上条さん的には食い物もらったほうが嬉しいっつーの。メロンとかみたいな普段お目にかかれないような高級品なんてもらった日にはもう大喜びだ……インデックスが」

姫神「悲しい現実」

青ピ「まあとにかく、放課後みんなでアクセラちゃんのお見舞いいくってことでええな?」

吹寄「待ちなさい。こんな大勢で押しかけたら迷惑よ? 二人くらいに人数絞ったほうがいいわ」

結標「うちの人たちは別にそんなことは気にしないと思うけど……」

吹寄「……でも普通に考えて五人がかりでお見舞いなんておかしいと思うわ。常識的に」

青ピ「ほなみなさんを代表してボクが行ってきますん!」

上条「何かお前が行ったら逆に風邪悪化しそうだな」

土御門「よし。ここはオレの出番というわけだにゃー」

吹寄「というか三馬鹿トリオは誰が行っても迷惑かけそうだから論外ね」

上条「えっ!? 今んとこ常識的な発言だけしているつもりなのに同列扱い!?」



302 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:11:52.07 WSQjvE0To 275/771



青ピ「吹寄さーん、三馬鹿トリオなんてダサい名前で呼ばんといてーな。ボクらにはデルタフォースというかっこいい名前があるんや」

吹寄「知らないわよ! とにかく、お見舞いはあたしと姫神さんで行ってくるわ」

姫神「あっ。吹寄さん」

吹寄「何かしら?」

姫神「ごめんなさい。私は今日。用事があるから行けない」

吹寄「あっ、そうなの。こっちこそ勝手に決めちゃってごめんなさい。だったらしょうがないわね、あたし一人で――」


青ピ「はいはーい!! 一枠空いたんならボクがヒメやんの代わりにいっきまーす!!」

土御門「抜け駆けは許さんぞピアスくん! オレが行って面白おかしいお見舞い会にしてやるんだにゃー」


吹寄「何言ってるのよ。ダメに決まってるでしょそんなの」

青ピ「でも吹寄さんは最初二人と言いましたー!」

土御門「真面目で優等生な吹寄さんが一度言ったことを曲げるなんていけないと思いまーす」

吹寄「ぐっ……」

姫神(本当は『二人くらい』って言ってたけど。放っておいたほうが面白そうだから。黙っておこう)

吹寄「わ、わかったわよ。だったら三馬鹿でじゃんけんして勝った人がお見舞いにいく。これで文句ないでしょ?」

青ピ「了解やでー。よーしやるでー! うおおおおおおっボクのこの手が光って唸るぅぅううううう!!」

土御門「オレのチョキはすべてを切り裂くぜい」

上条(別に俺行きたいとは一言も言ってないんだけどなあ……まあジャンケン弱いしどうせ負けるだろ)


青ピ土御門上条「「「ジャンケン!!」」」


結標(別に何人だろうとアイツは嫌がりそうよね……まあ今さら言い出せなさそうな空気だし、別にいいか)



―――
――




303 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:12:55.74 WSQjvE0To 276/771



同日 13:00

-黄泉川家・一方通行の部屋-



一方通行(…………眠れねェ)


一方通行(どォいうことだ? いつもなら寝転べば秒で眠れるってのにかれこれ二時間弱意識が消えねェ)

一方通行(午前中に二時間くらい寝たからか? いや、あの程度で俺の睡眠に支障はきたさねェはずだ)

一方通行(だとするとやはり原因は風邪か? それとも飲ンだ薬の副作用か?)

一方通行(チッ、風邪ってヤツは面倒臭せェなァオイ)



コンコン!



一方通行「あァ? 誰だ?」



ガチャ



芳川「あら? もしかしてノックの音で起こしちゃったかしら?」

一方通行「芳川か。いや、もともと起きてたから問題ねェ」

芳川「そう。でも寝てないと風邪は治らないわよ?」

一方通行「わかってるが眠れねェンだからしょうがねェだろ」

芳川「なるほどね。体調不良で身体の調子が出なくて、いつもやっている睡眠が出来なくなっているのね」

一方通行「たぶンな」

芳川「普通は逆なんだけどね。風邪を引いたら身体が十分な睡眠時間を確保するために、脳が休ませようとするはずなんだけど」

一方通行「もしかしたらこれも、ホルモンバランスが崩れたことが原因によるモンなのかもしれねェな」

芳川「眠気を促すためには食事を取ることで血糖値を上げるといいわ。どうせお昼ご飯とか食べてないでしょ? うどんでも作ってあげるわ」

一方通行「いらねェよ。二時間くらい前に食パン一枚食ったからイイだろ」

芳川「風邪を治すためにはきちんとしたものを食べて、エネルギーを摂取することも重要よ?」

一方通行「オマエが適当に食って薬飲めっつったンだろォが」

芳川「あらそうだったかしら? ごめんなさいね。文字通り適当なこと言って」

一方通行「チッ、大体オマエ料理できンのかよ。どっかの料理音痴みてェにダークマター精製したりしねェだろうな?」

芳川「愛穂みたいに上手ではないけど、人並みにはできるつもりよ」

一方通行「アイツの場合上手い下手というより、炊飯器の性能に全部任せてるだけだろ」

芳川「ま、それは否定はしないわ。それじゃ作ってくるからちょっと待っててね」



304 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:13:43.48 WSQjvE0To 277/771



~一〇分後~



ガチャ



芳川「ほら、できたわよ」

一方通行「……何だ普通のうどんじゃねェか。てっきりカップ麺でも持ってくるかと思ったが」

芳川「ほんと失礼ねキミ」

一方通行「疑り深いと言って欲しいねェ」

芳川「あと部屋見渡す限り飲み物とか全然飲んでなさそうだから、飲み物も持ってきたわ」つ缶コーヒー

一方通行「うどンに缶コーヒーかよ」

芳川「どうせキミはこれしか飲もうとしないでしょ?」

一方通行「違いねェ。……ああ、そういや今日一回もコーヒー飲ンでなかったな」

芳川「それは珍しいわね。いつもならカフェイン切らすと手足がプルプル震える中毒者なのに」

一方通行「そこまでじゃねェよ。人を薬物中毒者みてェに言うンじゃねェ」

芳川「カフェインも見方を変えれば薬物みたいなものでしょ?」

一方通行「チッ、まァイイ。コーヒー見たら本当に飲みたくなってきた。ありがたくいただく」プルプル

芳川「ほら、手、震えてるわよ?」

一方通行「これは風邪の影響だっつゥの。イイ加減にしろ」パキッ

一方通行「…………」ズズズ

一方通行「……あァ、コーヒーうめェ」

芳川「手の震え、止まってるわよ?」

一方通行「……残念ながらまだ震えてるぜェ? そりゃそォだこれは風邪の影響なンだからなァ」プルップルッ

芳川「なんかわざとらしい震え方ね」

一方通行「気のせいだ、……ろ……」カクン

芳川「あらどうしたの? いきなりボーっとし始めて」

一方通行「……いや、何か急に……睡魔が……」カックンカックン

芳川「えっ!? まさかコーヒー飲んだから!? 普通逆でしょ逆!?」

一方通行「……そォいうわけだ。俺は寝る……じゃあ、な」ガクッ

芳川「ちょ、ちょっと待ちなさい! キミ私が作ったうどん一口も食べてないじゃない! 一口ぐらい食べて食レポしてから寝な――」


一方通行「…………Zzz」


芳川「……はぁ、完全に寝てるわね。というかカフェイン摂取したら落ち着いて眠れるなんて、本格的に中毒者のそれじゃない」

芳川「さて、このうどんどうしようかしらね? 私はさっきお昼食べたばかりだからこんなの食べられないし……」

芳川「…………」

芳川「まあ、冷蔵庫にでも入れていれば誰か食べるでしょ」


―――
――




305 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:15:12.78 WSQjvE0To 278/771



同日 16:00

-とある高校・校門-


吹寄「さて、とりあえずコンビニにでも寄ってお見舞いの品買ってからいきましょう」

上条「……まさかバイトの日じゃないのに、ファミリーサイド周辺に行くとは思わなかったな」

結標「ごめんなさい二人とも。わざわざアイツのために時間作ってくれて」

吹寄「いいわよ別に。どうせこの時期は暇だしね」

上条「まあ風邪で弱ってる一方通行というレアな姿が見られるんなら、それくらい安いもんだぜ」

吹寄「貴様もそんな不純な動機でお見舞いに志願したのかしら上条当麻?」

上条「いや、そういうわけじゃねえよ。そういうわけじゃねえけど見てみたいだろ?」

結標「別にそんな面白いものじゃないと思うわよ。咳とかしてる以外普通だと思うし」

上条「冗談だって。ちょっと様子見て帰るだけだから、そんな期待してねえよ」

吹寄「……ところで上条当麻。その手に持ってる紙袋は一体何なのかしら?」

上条「これ? ああ、何か青髪ピアスが、お見舞い行くんやったら代わりに持っていってくれー、って渡してきたヤツ」

結標「お見舞い決まったの今日の昼休みなのに、一体いつの間に用意したのかしら……」

吹寄「何にしてもあの馬鹿が準備したものならロクなものではなさそうね」

上条「さすがにアイツも一回喋ったネタだから、同じことやるようなつまらないヤツじゃないと思うけどな」

吹寄「念の為に中身確認しときなさいよ」

上条「用心深いな。えっと……ジャ○プに○ンデー、その他諸々。ああ漫画雑誌か」

結標「なるほど。退屈しのぎのアイテムってわけね」

吹寄「まともね。不自然なくらいまとも。まともすぎるのが逆に変」

上条「ひでえ言われようだな。しょうがないけど」

吹寄「……まあいいわ。じゃ、コンビニに向かいましょ。結標さん、通学路にコンビニある?」

結標「ええ。五分くらい歩いたところにあるわ」

吹寄「そう。なら向かいながらで寄れるわね」

上条「さーて、何買っていこうかなー。つーか、アイツ何喜ぶんだ?」

吹寄「変なもの買おうとするんじゃないわよ?」ジロッ

上条「買わねーよ!」


―――
――




306 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:16:08.36 WSQjvE0To 279/771



同日 17:00

-黄泉川家・一方通行の部屋-


一方通行「…………Zzz」

一方通行「Zzz……ン、……ふわァ。今何時だ?」チラッ

一方通行「五時か。一時過ぎに寝たから四時間弱寝たっつゥところか」

一方通行「やっぱ本調子じゃねェから眠りが浅せェみてェだな。コーヒーでも飲ンで寝直すか」ガチャリガチャリ



ガチャ



-黄泉川家・リビング-


打ち止め「あっ、アクセラレータだ! 起き上がって大丈夫なの? 元気になったのかな? ってミサカはミサカは心配しながらも質問してみたり」

芳川「あらおはよう。随分と早起きなのね」

一方通行「……ああ、オマエらか。まあ身体の状態は前よりはマシっつゥところか。薬が効いてンだろォな」

芳川「熱は?」つ体温計

一方通行「ああ」ピピィー

一方通行「……37.4℃だな」

芳川「体温も落ちてきてるし、このままいけば明日には治ってるわね」

打ち止め「わーい! よかったねアクセラレータ! ってミサカはミサカはバンザイして喜びを表現してみたり」

一方通行「チッ、うるせェな。大げさなンだよクソガキ」



ガチャ



結標「ただいまー……って一方通行!? ちょっと立ち歩いてて大丈夫なの!?」

一方通行「おォ。少しはマシになった」

吹寄「お邪魔します。あら、アクセラ思ったより元気そうじゃない」

上条「たしかにそうだな。わざわざお見舞いに来るほどじゃなかったみてえだ」

打ち止め「あっ、ヒーローさんにセイリお姉ちゃんだ! いらっしゃい! ってミサカはミサカは歓迎してみる」



307 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:16:51.29 WSQjvE0To 280/771



一方通行「ケッ、わざわざこンな場所までご苦労なこった」

結標「ちょっと。せっかく来てくれたのにそんな態度はないんじゃないかしら?」

吹寄「いいのよ結標さん。そっちのほうがアクセラらしいし」

打ち止め「そうそう。あんなこと言ってるけど内心大喜びだしね、ってミサ――あたっ、ちょっと照れ隠しでチョップするのやめてほしいかも、ってミサカはミサカは頭を抑えながら抗議してみる」

一方通行「テレてねェよ。勝手なこと言ってンじゃねェぞクソガキ」

吹寄「あっ、そうだ。お見舞いの品持ってきてたんだった。はい、お腹が空いてるときにでも食べてちょうだい」スッ

一方通行「何だこりゃ」

吹寄「プリンとかそういうの買ってこようと思ったけど甘いもの嫌いらしいし、コーヒー好きだから無糖のコーヒーゼリーよ」

一方通行「へー。まァ気が向いたら食ってやるよ」

吹寄「全然嬉しそうじゃないわね。まあいいけど」

上条「上条さんは安牌の缶コーヒー買ってきたぞ。何が好きなのかわからないから、種類バラバラで適当に買ったヤツだけど」スッ

一方通行「おォおォ、さすがは上条クンだ。見事に最近飽きたヤツばっかセレクトしてやがる」

上条「げっ、まじか」

一方通行「まァ、いつか飲みたくなるときが来るかもしれねェからな。ありがたくもらっとく」

打ち止め「ねえねえ。そっちの紙袋はなんなの? ってミサカはミサカは指を指して尋ねてみたり」

上条「ああこれか。これは青髪ピアスからの見舞いだ。漫画雑誌たくさん入ってるから暇つぶしにでもしてくれ」スッ

一方通行「漫画の雑誌か。風邪で寝込ンでンだから暇もクソもねェと思うがな」ガサゴソ

結標「……というか貴方、さっきから文句しか言ってなくないかしら?」

一方通行「悪りィな。そォいう人間性なンだ。諦めてくれ」

結標「もう」

一方通行「……あァ? 漫画雑誌の中に変なのが混じってンな」スッ

上条「変な雑誌?」



『月間まんが4545タイム』




308 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:18:05.07 WSQjvE0To 281/771



一方通行「…………」

上条「…………」

結標「…………」

吹寄「…………」

打ち止め「ねえねえそれなんの漫画雑誌? みせてみせてー、ってミサカはミサカは興味を示してみたり」



バシィ!!



吹寄「こ、これは何でもないのよ!? 何でも!! おほほほほほほほほほほほほ!!」

打ち止め「えっー? そんなこと言われちゃうと逆に気になるよ、ってミサカはミサカは好奇心が止まらなくなってみたり」

芳川「打ち止め。貴女にはまだ早いわ」

打ち止め「?」

吹寄「そ、それじゃあんまり長居してもいけないし、あたしたちはそろそろ帰るとするわ。ねえ、上条当麻?」ギロリ

上条「ひぃ!? 殺気!? あ、はい、僕も帰ります」

打ち止め「そうなんだー残念だね。ばいばーい! ってミサカはミサカは手を振って見送ってみたり」ノシ

吹寄「お邪魔しましたー!」

上条「ましたー!」


ガチャ


一方通行「……チッ、くだらねェ。俺ァコーヒー飲ンでから寝る」

結標「あ、うん。わかったわ」

打ち止め「晩御飯は食べないの?」

一方通行「飯時に起きてれば食う」

芳川「なんなら冷蔵庫に私が作ったうどんがまだ残ってるけど食べる?」

一方通行「いらねェよ、絶対ェ汁の油とか固まってンだろそれ」

芳川「レンジでチンすれば溶けるでしょ」

一方通行「だとしてもいらねェよ」



窓の外<不幸だああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!



―――
――




309 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:19:26.12 WSQjvE0To 282/771



同日 18:00

-黄泉川家・リビング-



ガチャ



黄泉川「ただいまー!」



打ち止め「おかえりー、ってミサカはミサカは返事のあいさつをしてみたり」

結標「おかえりなさい」

黄泉川「お腹空いてるだろうし、ちゃちゃっとご飯作るから待っててくれ」

打ち止め「はーい!」

黄泉川「そういえば一方通行の調子はどうじゃんよ。少しは良くはなったのか?」

結標「体温も下がってきてるようですし、部屋から出歩けるくらいには回復してましたよ」

黄泉川「そっか。それはよかったじゃん。で、今何してんの?」

打ち止め「一時間前くらいに寝るって言って部屋に戻って行ったよ、ってミサカはミサカは説明してみる」

黄泉川「あー、そうなるとしばらく起きないじゃんね。アイツの晩ご飯どうしよう」

結標「夕食時に起きてたら食べるって言ってましたけど……起きないでしょうね、たぶん」

黄泉川「まあいいや。とりあえずお粥でも作っとけば、仮にアイツが腹減って夜中起きたとしても、勝手に温めて食べるじゃん」

芳川「彼がそんな面倒なことしてまで食べるかしら?」

黄泉川「残ってたら残ってたで明日の朝食にするから問題なし」

打ち止め「お粥の話してたらミサカもお粥食べたくなってきた、ってミサカはミサカは唾液を飲み込んでみる」

黄泉川「よし、だったら今晩はお粥パーティーにでもするか!」

結標「何か寝る前とかにお腹とか空きそうね。お粥消化にいいから」

黄泉川「……ところで桔梗はなんでうどんなんか食べてるじゃん? 腹減りすぎて我慢できなかったのか?」

芳川「いえね。これもともと彼のお昼ご飯のために作ったものなのだけど、結局食べてもらえなくてね」

芳川「このまま捨てるのももったいないから、こうやって自分で食べているってわけ」

黄泉川「へー、それ食べて大丈夫じゃん?」

芳川「冷蔵庫で保存してたから問題ないわ。まあ、味は半減してるけどね」

芳川「そういうわけだから、私の夕食少なめで」

黄泉川「へいへい。じゃ、ぱぱっと作るから待っててくれ」


「「はーい」」


―――
――




310 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:20:43.99 WSQjvE0To 283/771



同日 19:00

-黄泉川家・一方通行の部屋-


一方通行「……Zzz」


コンコン、ガチャ


結標「……一方通行? 起きてる?」

一方通行「……Zzz」

結標「まあ、起きてるわけないわよね」

一方通行「……Zzz」

結標「……ほんと、寝てるときの表情だけは穏やかよねコイツ。いつもは常に眉間にシワが寄ってて敵意むき出しって感じなのに」

一方通行「……Zzz」

結標「熱はどうなのかしら……よっと」スッ

一方通行「……Zzz」

結標「うーん、私と同じかちょっと温かいくらいだから、たぶん下がってきてるってことよね」

一方通行「……Zzz」

結標「…………」



結標(……ねえ一方通行? 私ね、すごくすごく心配したのよ。貴方が知る由もなかったでしょうけど)


結標(今日、私は学校に行ったのだけど、学校で何があったかまったく覚えてないわ)


結標(登下校で見た景色も、授業で先生が話していたことも、休み時間みんなと喋った内容も、お昼に食べたお弁当の中身も)


結標(全然頭の中には残っていないわ)


結標(……それは当たり前ね。だって何をしてても、貴方のことだけ考えていたから)


結標(きちんとゆっくり寝られているかしら? お薬はちゃんと飲んでいるのかしら? 症状が悪化していないかしら?)


結標(ずっとそんなことばかり考えていた気がする)


結標(だから、家に帰って普通に立ち歩いている貴方に出会えて安心した。嬉しかった)


結標(……ほんと馬鹿みたい。ただの風邪なのにそんな心配事なんてしちゃってね)


結標(でも、そんなことを思えるってことは、やっぱり私は――)



311 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:22:00.83 WSQjvE0To 284/771














結標「――私は、貴方のことが、一方通行のことが好きってこと、なのよね」














312 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:23:04.60 WSQjvE0To 285/771



一方通行「…………」

結標(……ってあれ? 私さっき声に出してた!? 嘘!? 一方通行起きてないわよね!?)

一方通行「…………Zzz」


結標(ほっ、よかった。あんなの聞かれたら恥ずかしすぎて三日間は部屋に引き込もれる自信があるわ……)

結標(……しかし情けない話よね。面と向かって言おうとしても全然言えなかったっていうのに)

結標(相手が寝てたらこんなにすんなり言えちゃうなんて)

結標(何やってんだろ私……)


結標「……はぁ」



コンコン!




打ち止め「アワキお姉ちゃんいるー? 晩ごはんの準備できたよー、ってミサカはミサカは報告してみる」



結標「あっ、ご飯できたんだ」

結標「さて、じゃあ私は行きますか。じゃあね一方通行」



ガチャ



一方通行「…………Zzz」



―――
――




313 : ◆ZS3MUpa49nlt - 2021/09/24 20:24:47.82 WSQjvE0To 286/771



March Forth Tuesday 07:00

-黄泉川家・結標淡希の部屋-


ピピピピ! ピピピピ!


結標「…………ん」スッ


ピッ!


結標「…………朝か」

結標「…………」ボッー

結標「……起きよ」


ガチャ


-黄泉川家・リビング-


結標「……おはようございます」


黄泉川「淡希おはようじゃん」

芳川「おはよう」

結標「……はぁ、とりあえず今日の修了式が終われば春休みね」

芳川「あらそうなの? もう二年生になるのね、早いわ」

結標「本当は三年生でこれから受験、って歳なんですけどね。あはは、どうしてこうなった……」

黄泉川「ま、なっちゃったもんはしょうがないし、その状況をめいいっぱい楽しめばいいじゃん」

結標「まあ、一年七組のみんなは良い人ばっかりでよかったとは思いますけどね」

芳川「でも二年生になると魔のクラス替えがあるわよ? 仲良かったメンバー全員と離れるなんてことも」

結標「うっ、それはたしかにつらい……」

芳川「特に中二病で陰キャな一方通行クンにとっても怖いイベントよね」

結標「あはは、そうですね。ところで一方通行の風邪は治ったんですか?」

黄泉川「ああ、熱も下がってたし顔色もよかったし大丈夫だと思うじゃん」

芳川「無茶してぶり返さないかだけが心配だけどね」クスッ

結標「そうなんですか。よかった……で、その一方通行はどこですか? まさかまだ部屋で寝てるんじゃ……?」

黄泉川「ああ、一方通行なら何か今日日直だっつって、先に学校へ行ったぞ」

結標「……えっ?」

芳川「たしかに驚くわよね。あの子が日直なんてものに真面目に取り組んでるなんて」

黄泉川「真面目にやってくれているならいいことじゃん。まあたしかに、こんな時間から行ってまでするほどの仕事なんて日直にはないと思うけどな」

芳川「たぶんあれよ。きっと早く行って終わらせて、机に突っ伏して睡眠の続きをやっているに違いないわ」

黄泉川「あー、ありえるじゃんね。てか、机で寝るのは身体に悪いから保健室のベッド借りればいいのに」

芳川「そこツッコむところかしら? ……ん? 淡希どうしたの? 急に黙って」

結標「……いえ、ちょっと疑問がありまして」

黄泉川「何じゃん?」


結標「……一方通行って今日、日直だったっけ?」


――――――




続き
結標「私は結標淡希。記憶喪失です」【完】


記事をツイートする 記事をはてブする