兄「何だよこれスパムか?削除削除っと」スッスッ
妹「…げ、ゴミいるじゃん」
兄「な、何だよいきなり、というか帰ってきてたのか」
妹「は?アンタに関係無いじゃん、というか前も言ったけ家にいる時は部屋から出てくんなよ生ゴミ」
兄「…別に俺がどこにいようと関係無いだろ」
妹「関係あるに決まってるじゃん、タダでさえアンタみたいなキモイのが家に居るのに耐えてあげてるんだから、私と顔合わせない様に気を使えよ」
兄「何だよあいつ…妹の分際で偉そうに」
兄「誰が生ゴミだよ、じゃあお前はカラスに啄まれた生ゴミだっつーの」
兄「…っと、そうだそうだ、スマホでやる事が━━」
『催眠アプリをインストールしています…』
兄「は?おい、何を勝手に!」カチカチ
『催眠アプリをアンインストールしました』
『催眠アプリをインストールしています…』
兄「…何だこれ」
兄「…何度やっても勝手にインストールされる」
兄「はぁ…ウィルスにでもやられたかな」
兄「だったら、もう何しても同じことだな。…起動してみるか、このアプリ」
兄「妹、入るぞー」ガチャ
妹「んなっ!?ちょ、勝手に入ってくんな馬鹿!ノックくらいしろ!死ねぇっ!!」
兄「まあまあ落ち着けよ。俺、面白いアプリ見つけちゃってさぁ」
妹「うっさい!つーか部屋から出てくんなっつってんだろ!?死ね!!」
兄「…あーうっせぇな」
兄「悪かった、めんごめんご。良いからこれ見てみって」
妹「チッ…何これ?」
兄「マジで面白いから見てみ?ほら、イヤホンもあるぞ」
妹「はぁ?アンタが着けたイヤホンなんか━━」
兄「そう言われると思って新品も買ってきたぞ」
妹「…」
妹「プッ…」
兄(あのアプリ、本当に効くのか?)
妹「アハハッ…」
兄(催眠をかけたい相手が興味を持つ映像を用意して、催眠アプリを同時に起動する)
妹「アハハ、ハハハハ!何それ、最高なんだけどー!」
兄(必ずイヤホンを装着するよう書いてあったからその通りにしては見たけど…)
妹「馬鹿!馬鹿だ!アハハハハ!!」
兄(馬鹿はお前だってくらい笑ってるだけで別に変わった様子は━━)
妹「ハハ、ハ…ぁ…」プラン
兄「ん?」
妹「…」だらん
兄「ど、どうした、妹?」
妹「…」
兄「…まさか」
『催眠完了。イヤホンを外して命令して下さい』
兄「…マジで?とりあえずイヤホン外してみるか」ヌポッ
妹「…」
兄「…」
兄(やべ、何命令しよ)
兄「あー、じゃあ…『これから俺の事はお兄ちゃんと呼べ』」
妹「…え、ぁ?何?」
兄「なっ…?起きた!?」
妹「はぁ?何言ってんの?」
兄「い、いや、何でも…」
兄(やっぱスパムかよ、クソッ…)
妹「あぁ、そうだ。スマホ返すから」
兄「ああ…」
妹「なかなか面白かったよ、それ。お兄ちゃんのくせにやるじゃん」
兄「そ、そうか…じゃあ俺部屋戻るから…」ガチャ
妹「はいはい、バイバイお兄ちゃん」
バタン
兄「…あれ?」
妹「ねえ、お風呂沸いたけどお兄ちゃん後でいいっしょ?」
妹「ご飯出来たって、早く来なよお兄ちゃん」
妹「お兄ちゃん、また私のプリン食った?」
兄(まさかあの妹が、本当にお兄ちゃん呼びになるとは思いもしなかった)
兄(本物なのか?このアプリ…)
兄(…試してみるか)
兄「入るぞー」ガチャ
妹「…あのさぁお兄ちゃん、私の事怒らせたいの?楽しみにしてたプリンは食うわ、何度言ってもノックしないわ━━」
兄「すまんかったって、仲直りしようと思ってさ」
妹「はぁ?仲直りぃ?」イライラ
兄「お前、さっきのアプリ気に入ってたみたいだったからさ、続きを持ってきたんだ」
妹「今そんな気分じゃないんだけど」
兄「いいからいいから、これで仲直りしようぜ?ほら、イヤホン着けてやるから」
妹「チッ…分かったから。イヤホンくらい自分で着けるから、やめてくんない?」
妹「…」ぐでー
兄「さて、今度は何を命令してやろうかな?」
兄(こいつ、事あるごとに怒るからな…じゃあ)
兄「お前は、『俺が何をしても怒らなくなる』」
妹「んぁ…?」
兄「妹、起きたばかりのところすまんが、ちょっといいか?」
妹「え?何?」
ムニュッ
妹「…!!」
兄(…さぁ、どうだ?)
妹「…」
兄「…あれ?妹?」モミモミ
妹「…私の胸揉んで、一体何がしたいの?」
兄「…」
兄(確かに怒らなくなった。怒らなくなったけど…)
妹「お兄ちゃん、またプリン食った?はぁ…しょうもな」
兄(怒られるよりもっとイラつくなこれ)
妹「食べたいなら言えばいいじゃん。そしたら私だって二個買ってくるのに」
兄「めんごめんご」
妹「お兄ちゃんそればっか。本当に分かってるんだか」
兄「すまんかったって」
妹「はぁ…」
兄(でも、おかげであのアプリが本物だって分かったな)
兄(次は何を命令してやろうか…)
29 : 以下、\... - 2016/01/29 15:40:13.404 Mgz/5/dB0NIKU 12/23ネタ切れたし安価出していいすか
32 : 以下、\... - 2016/01/29 15:41:22.749 Mgz/5/dB0NIKU 13/23>>34
34 : 二階堂 ◆up0uojTooY - 2016/01/29 15:42:55.003 aUGKrun70NIKU 14/23仲良しほのぼのend
妹「…」ぐでん
兄「さて、今度は…」
兄「…」
兄(何かゲスい命令をしようと思った)
兄(妹を完全に俺の言いなりにするのも悪くないと思った)
兄(…でも━━)
兄「…『昔みたいに、仲良くしたい』」
兄(出来なかった)
兄(こいつは、たった一人の俺の妹なんだから)
妹「お兄ちゃん、プリン食う?」
兄「ああ、一緒に食べるか」
兄(あれ以来、催眠アプリを使うことはなくなった)
兄(というより、使う必要がなくなった)
妹「はい、お兄ちゃんの分」
兄「ありがとな」
兄(おかげで、俺達はまた仲の良い兄妹に戻れたんだから)
妹「あー、やっぱ美味しいねこれ」
兄「…そうだな。なあ、今度二人でプリン作らないか?」
妹「えー、めんどいからパス」
兄「そう言わずにさ、な?」
妹「…しょうがないなぁ」
兄(…これでいいんだ)
おわり
ある日
妹「ねえ、久しぶりにあのアプリ見たいんだけど」
兄「…え?」
妹「続きまだないの?最後に見てから大分経ってるんだけど」
兄「…ど、どうだろうな?ちょっと見てみるわ」
妹「私もさぁ、自分のスマホで見ようと思ったんだけど、何でか気が向かなくてさぁ」
妹「アプリ検索しようと思っても途中でやめちゃうっていうか?」
兄「そ、そうか…」
兄(催眠アプリはまだしも、あの映像はその辺に出回ってるし続きだって良いだけあるんだけどな…)
兄「…妹、入るぞ」ガチャ
妹「だから、ノックしてってば」
兄「すまんすまん、怒るなって」
妹「怒ってないし、そろそろ来るかなって思ってたから別に良いけどさ」
兄「…え?」
妹「続き、あるんでしょ?」
兄「…よ、良くわかったな」
妹「えっ、マジ!?見せて、見せてよ、ねえ!」ガバッ
兄「うぉ!?わ、分かった、分かったから落ち着けよ!」
妹「超楽しみなんだけどー!」ウキウキ
妹「…」
兄(どうするか迷ったけど…)
兄(アプリを起動しなければ良かったんだ、何でこんな簡単なこと気付かなかったんだか━━)
妹「…つまんない」
兄「え?」
妹「なんかいつもと違うー、つまんなーい」
兄「…は?」
兄(いや、そんなはずは…俺だって最初見た時は腹抱えて笑ってたのに…)
妹「ねえ、これじゃない続きが見たいんだけど、ある?」
兄「あ、ああ、あるぞ?俺のお気に入りの回が!」
妹「…面白かったけど、やっぱり何か違う」
兄「そ、そうだろ?面白かっ━━」
妹「違うよね?」ジッ
兄「…え?」
妹「全っ然…違うよね?」
兄(…まさかこいつ、気付いてたのか?催眠アプリに…)
兄「そ、そんなことないぞ!ほら、スマホ貸してみ?」
兄(いや、そんな筈がない…!いや、でも…!)
兄(…こうなったら、催眠アプリをまた起動して…)
兄(催眠アプリの記憶を妹から消すしかない)
妹「そうそう、これだよ!私こういうの待って━━た、の」ガクン
兄「…妹?」ヌポッ
妹「…」
兄(かかってるな、よし…)
兄「妹、いいか?『お前はこのアプリのことをすべて忘れる』んだ」
妹「…」ピクッ
兄「…」
妹「…」
兄「…あれ、起きない?妹?」
妹「…」
兄「妹?おい、妹!」
兄「な、何で━━」
妹「何でだと思う?お兄ちゃん」
兄「っ!?」
妹「このアプリを忘れろとか、酷いと思わない?」
兄「…妹?」
妹「せっかく私を…私達の関係を、直してくれるきっかけになったのにさ」
妹「そんなに大事なものを忘れろとかさぁ…」
兄「妹?ど、どういう━━」
妹「ひどいよ、お兄ちゃん」
兄「…」
妹「お兄ちゃん、催眠かかってる?」
兄「…」
妹「へぇー…そっか、これで命令したらいいんだ」
兄「…」
妹「あのさ、私はもう昔の関係じゃ物足りないんだ」
妹「だから━━」
『これからはアプリを使って、生意気な私に━━』
『欲望をぶちまけて欲しいな』
おわり