桐乃「ねぇ、耳そうじしてあげよっか?」
京介「おう、んじゃ頼むわ」
桐乃「ん。じゃあ、こっち来て頭のせて」
京介「へいへい」
桐乃「ふんふんふーん♪……へへっ」
京介「どうしたよ、えらくご機嫌じゃねぇか?」
桐乃「ん~?べっつに~」
京介「?そうかよ?」
桐乃「うん。……はい、んじゃ反対向いて」
京介「了解」
桐乃「気持ちいっしょ?」
京介「おう。気持ちいいぞ………それに、いい匂いだ」
桐乃「ひひっ……あんたってば、ほんとどうしようもないシスコンだよね~?」
京介「うっせ」
元スレ
あやせ「お兄さん!耳そうじをしてください」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1356346401/
――――
俺の名前は高坂京介。自分でいうのもなんだが、ごく平凡な男子高校生である。
平凡を愛し普通の人生を送るため、なるべく無難な選択肢を選んできたつもりだったのだが………
去年の夏、妹からされた人生相談をきっかけに俺の人生は大きく変化することになる―――
と、まあこの自己紹介も、もう何度目になるか分からないくらい繰り返してきたな。
この際だからはっきり言っておく。
俺は妹が好きだ。愛してると言ってもいい。
――ここでは詳しく言わないが、ある出来事をきっかけに俺は妹と、もっと仲良くなりたいと思うようになった。
………桐乃もそう思ってくれていると嬉しい。
そして今は………そのおかげかは分からないが、桐乃とは非常にいい関係を保てている。
自分で言うのもなんだが、理想の兄妹……って感じかな。
しかし、今回の主役は俺たちじゃない。
誰かって?
まあ、見てればわかるさ―――
―――桐乃の部屋
桐乃「うん、うん。……いいよ、了解~」
京介「………」
桐乃「んじゃ、待ってるね」
京介「誰からだ?」
桐乃「あやせから。今からうちに来るって」
京介「マジで!?」
桐乃「なに喜んでんの?マジきもいんですケド」
京介「なっ…よ、喜んでねーよ」
桐乃「フンッ!どーだかぁ?」
京介「誤解だって!」
桐乃「……なら証明してよ」
京介「証明って……どうすりゃいいんだ?」
桐乃「ん」
京介「……っ。……わかったよ」
ちゅ…
京介「……これでいいか?」
桐乃「……ん。ぜんぜん足りないけど、あやせ来ちゃうしね」
京介「おう。続きはあやせが帰ってからな」
桐乃「……うん」
――――
こんにちは。わたし新垣あやせと申します。
桐乃の親友でモデル仲間。
わたしは今日、桐乃の家に遊びに向かっているところです。
桐乃の話によると今日は、お兄さん――高坂京介さんも家に居るということなので、わくわくしてます。
そう―――わたしは今あの人に夢中なんです。
正直言って、初めてお会いした時から気にはなっていたんだけど……
その後色々あって、なかなかお互いに誤解が解けないまま無駄な時間を過ごしてきてしまった。
でも最近になって、ようやく誤解が解けてやっとスタートラインに立てた―――そんな感じです。
お兄さんに好意を寄せているは人たくさんいます。
わたしがお世話になっていて尊敬しているお姉さん――麻奈実さんはもちろんのこと黒猫さんになんと加奈子まで。
……そして、桐乃も。
今はお互いに牽制しあってるところですが、今のうちにできるだけお兄さんにアピールしておきたいところです。
桐乃にだって負けるつもりはありませんから!
そんなことを考えながら歩いているとすぐに桐乃の家に着いた―――
―――高坂家玄関
ピンポーン
どたどたどた
ガチャ
京介「よう、あやせ久しぶりだな。会いたかったぜ」
あや「お久しぶりです、お兄さん。お元気でしたか?」
京介「おかげさまでな。A判定も取れて実家に帰ってこれたのはおまえのおかげだよ」
京介「サンキューな」
あや「い、いえ…わたしは大したことはしてませんから。そ、それより桐乃は?」
京介「ああ、部屋にいるからとりあえずあがれよ」
あや「はい。お邪魔します」
桐乃の部屋にいたせいでしょうか……今日のお兄さん、桐乃の匂いが身体に染み付いてます。
まさか……い、いえ!考えすぎですよね、きっと!
―――桐乃の部屋
桐乃「あ!待ってたよあやせ」
あや「桐乃会いたかったよー!」
ギュッ
桐乃「い、いや。昨日も会ったじゃん」
あや「だって、冬休みに入っちゃって会える時間が減っちゃったから」
京介「おまえら……俺が居ること忘れてないか?見てるこっちが恥ずかしいわ」
桐乃「そんなことより京介、温かい飲み物とお菓子用意してよ」
京介「はいはい…」
やれやれ、と――飲み物とお菓子を用意しに行くお兄さん。
今、桐乃の身体にもお兄さんの匂いが染み付いていることを確認しました。
いったい、どういうことでしょう……
まさか本当に――い、いかがわしいことをしてたんじゃ………
「あやせどうしたの?」と、桐乃が心配そうに顔を見てくる。
わたしは平静を装って「なんでもないよ」、というのが精一杯だった。
と、そこでお兄さんがお待たせと戻ってきた。
京介「どうしたあやせ?浮かない顔して」
あや「や、やだな~お兄さんまで、わたしそんな顔してますか?」
京介「いや、俺の勘違いならいいんだけどよ。まあいいや、食ってくれ」
あや「はい。いただきます」
京介「なあ、桐乃」
桐乃「ん、なに?」
桐乃はお兄さんが用意したクッキーをパクつきながら答える。
京介「耳そうじしてくれるか?」
桐乃「ったく、このシスコンは……しょーがない。おいで」
京介「おう」
そう言ってお兄さんは桐乃の足に頭を乗せた。
………はい?
えっと……なんですかこれ。
耳そうじなんて――まるで恋人みたいじゃないですか!
いつの間に、二人はこんないかがわしい関係に!?
お兄さんは桐乃の太ももに頭を乗せて気持ちよさそうにしている。
……桐乃は耳そうじをしながら、お兄さんの頭を慈しむように撫でている。
あや「あ、ああ、あのっ!」
京介「ん?」
桐乃「どうしたの、あやせ?」
あや「お、おかしくないですか!?きょ、兄妹で耳そうじなんて!!」
桐乃「えっ?フツーじゃん?」
あや「えっ……ふ、普通?」
京介「そうだぞ、あやせ。兄妹で耳そうじなんてどこの家庭でもやってるって」
京介「おまえは一人っ子だから、分かんねーかもしんねえけど普通だのことだぞ」
あや「あ、あれ?」
わ、わたしがおかしいのかな……。
たしかに言われてみれば耳そうじくらい兄妹でやってもおかしくはないのかも………?
桐乃「はい、反対向いて」
京介「おう。よいしょ」
桐乃「…ちょ!?な、なんでこっち向くの!」
京介「はあ?おまえが反対向けって言ったんじゃねーか」
桐乃「そうだけど!わざわざ、顔をこっちに向けなくてもいいでしょッ!!」
京介「わざわざ体の向きごと変えろってか?なんで?」
桐乃「だ、だって……顔こっち向けたら………ぱ、ぱんつ見えちゃうじゃん」
京介「兄妹なんだからパンツくらい見えても別にいいだろ」
桐乃「………ばか」
いいわけあるかーーーーッッッ!!!!
なんですか?
お兄さんそんなにわたしに殺されたいんでしょうか。
桐乃は桐乃でおかしいです!!
以前の桐乃なら絶対怒っていたはずなのに、今は顔を赤らめているだけなんて……
この二人の関係どうなってるんでしょうか?
……普通の兄妹ってこんなに密着してベタベタするものなんでしょうか。
などと、わたしが思索している間に、どうやら耳そうじは終わったらしい。
桐乃がお兄さんの耳に、仕上げとばかりにフーッっと息を吹きかけていた。
だけど、わたしが最も驚いたのはこの後だった―――
ピチャ…
あや「な……っ」
桐乃「……んっ……れろ」
ペロ…
ぴちゃぴちゃ…
桐乃「ぺろ……気持ちいい?」
京介「……気持ちいいぞ」
あや「な、なななななっ……なにっ、なにを、」
あや「なにをやってるんですかーーーーーッ!!!???」
桐乃がお兄さんの耳を舐め始めたことによって、やはりこれは異常だとわたしは認識した。
普通の兄妹が、耳そうじの最後に耳を舐めるはずがないじゃないですか!
桐乃「耳そうじの仕上げだけど?」
京介「いきなり大声出すなよ。ビックリするじゃねえか」
あや「お、お兄さん!桐乃といかがわしいことをしたらブチ殺すと言ったはずですが!?」
京介「耳そうじのどこがいかがわしいんだよ?」
あや「自覚がない!?」
二人に何を言っても無駄だったようで、桐乃とお兄さんは耳そうじの仕上げ(性的な意味の)を続けていた。
なんてうらやましっ………じゃなくて、いかがわしいことを!!
―――わたしは二人を見ていると鼻血が出てきたので、いったん外に出て黒猫さんに電話をかけた。
黒猫『なにかしら?今すこし忙しいのだけれど』
あや「く、黒猫さん!大変ですよ!!あの二人、やはりいかがわしいことをしていました!!」
黒猫『……詳しく聴かせて頂戴』
あや「はい。実は……」
――――
あや「―――といったことがありまして」
黒猫『なるほどね。ふふ……いい傾向だわ』
あや「な、なに笑ってるんですか!?」
黒猫『あなたは何を焦っているのかしら?』
あや「だ、だって………このままだと近いうちに二人は兄妹の一線を越えてしまいますよ!」
黒猫『それがなに?私は構わないけれど』
あや「……相談する相手を間違えましたね」
黒猫『まあ、お待ちなさい。あなたにとっておきの秘策を教えてあげましょう。これで桐乃にも対抗できるはずよ』
あや「なんですか秘策って!?」
黒猫『ふっ……それはね――』
―――あやせの部屋
あや「お兄さん」
京介「な、なんだよ。てか、久しぶりにおまえの部屋に来てみたら、やっぱり手錠ははめるんだな!」
あや「当たり前です」
あや「聞いた話によるとお兄さん、桐乃と……キ、キスしたりしてるそうじゃありませんか」
京介「ああ、してるけど。それがこの手錠と何か関係があるのか?」
あや「……あなたのような野獣と同じ部屋にいると何をされるかわかりませんから」
京介「ええ!?誤解はこの間、解けたんじゃなかったの!?」
あや「ちなみにお兄さん、兄妹でキスしたり耳そうじをすることが普通だという話はいったい誰から聞いたんですか?」
京介「桐乃からだけど」
やっぱり、そうでしたか。
お人好しなお兄さんのことです……桐乃のことを信じて兄妹でキスしたりすることがおかしいと思ってないんですね。
どうやら、黒猫さんの秘策を使うしかないようです。
あや「なるほど………こうなったら仕方ありませんね」
京介「な、何をする気だ……?」
あや「お兄さん、桐乃のことが好きなんですか?」
京介「…ああ、好きだよ。前にも言ったけど俺は妹のことが大好きだ」
あや「……そうですか」
京介「えと、用事はこれだけか?なら早く手錠を外してほしいんだけど………」
あや「………お兄さん!」
京介「ど、どうした?いきなりでかい声で」
あや「耳そうじをしてください!!」
京介「えぇっ!?」
桐乃に負けないためには桐乃と同じことをするしかない。
黒猫さんのもらったアドバイスを生かし、わたしなりに考えた結果がこれです。
……なんだかドキドキしちゃいます。
わたしがお兄さんに耳そうじしてもらえれば、桐乃に一歩近づけます。
でも………桐乃とお兄さんはキスもしてるんですよね……
わたしだって……負けません!
わたしのこと、お兄さんに好きになってもらって、きっと桐乃に勝ってみせます!
――――
あや「さあ!い、いつでもどうぞ…」
京介「あの………あやせさん?」
あや「なんですか?」
京介「耳そうじしようにも、手錠をつけたままだとできないんですが」
あや「舌でやるに決まってるじゃないですか」
京介「へぇッ!?……マ、マジで?」
あや「もちろんです。桐乃にはいつもしてもらってるんでしょう?」
京介「そりゃそうだが……桐乃がしてくれるのは仕上げの時だけだぞ?」
あや「なにか不満でも?」
京介「不満はないッ!!あやせたんペロペロしたいッッッ!!」
あや「……今更ながら少し後悔してきました」
京介「しかし、俺……誰かに耳そうじするのは初めてなんだよな」
あや「ふふ……じゃあ、わたしがお兄さんの初めての相手ってことですね?」
京介「ま、まあそう――なるのか?」
あや「それよりお兄さん。耳そうじの前に、目を閉じてください」
京介「?こうか?」
ちゅ…
京介「なっ!?おま、なにを……?」
あや「桐乃とはしているんでしょう?」
京介「そ、そうだけどさ……」
あや「あの、わたしとするのは………嫌でしたか?」
京介「いや、そうじゃなくてだな!!えーと……口と口でするのは………初めてだったんだが」
あや「え!そうなんですか!?」
京介「……桐乃とするのはホッペにちゅーだからな」
あや「えっと………あの、お兄さん」
京介「……おう」
あや「ごめんなさい……わたしお兄さんと桐乃がキスしたことあると思ってまして」
京介「いや、別に怒ってはねえよ……ただ桐乃に悪いことしたかなと思ってさ」
あや「き、桐乃には秘密ですよ?」
京介「わかってるよ。あやせとキスしたなんてバレたりしたらぜってー殺されちまうし」
あや「じゃあ……二人きりの秘密ということで」
京介「……そうだな。んじゃあ、耳そうじ始めるぞ」
あや「あの………優しくしてくださいね?」
こうして、わたしとお兄さんは二人だけの秘密を共有することになった。
え?――この後の展開ですか?……そ、そんなこと聞いてどうするつもりですか!?
あの、その……な、なにもなかったですからね!
変な想像したらぶち殺しますよ!!
ただ一つだけ教えることがあるとすればお兄さんって意外と……ふふ、やっぱり秘密です。
でもまあ、わたしは桐乃に勝った……と、言えると思いますよ。
それでは、またお会いしましょう―――
――――そのころ高坂家では
桐乃「もっと、ぎゅーってしてくんないと寒いじゃん」
京介「おう………これで寒くないか?」
桐乃「うん」
京介「もう少ししたらメリークリスマスだな……」
桐乃「まだ寝ちゃダメだかんね」
京介「へいへい」
桐乃「……ねぇ」
京介「どうした?」
桐乃「あんたさぁ……今日どこ行ってたの?」
京介「え、えっとだな………あ、赤城と遊びに行ってたんだ」
桐乃「……うそつき」
京介「な、なにがだよ!?嘘なんて吐いてねぇって!」
桐乃「だって……京介のカラダからあやせの匂いするもん……」
京介「な……ッ」
桐乃「……して」
京介「な、なにを?」
桐乃「あたしにも、あやせと同じことして?」
京介「っ!!……ゴクリッ………いいのか?」
桐乃「うん……京介、プレゼントちょうだい」
高坂家の夜は熱い――――
~fin~
73 : 以下、名... - 2012/12/24(月) 22:13:18.93 P7xDt85z0 26/26支援くださった方々ありがとうございました。
メリークリスマス