ピンポーン
マリ「はーい。どちらさまー?」
シンジ「あ、碇です」
マリ「お、ついに来たね、わんこくん! いらっしゃーい!」ガチャ
シンジ「お邪魔します。わあ、結構大きい部屋なんだね、って、うわあ!」
グチャー
マリ「あはは。ごめんね、ちょーっと散らかってるけど、すぐ片付けるかr」
シンジ「ちょっとってレベルじゃないよ!」ダンッ
元スレ
シンジ「へー、ここが真希波のマンションかあ」
http://hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1355501098/
シンジ「へー、ここが真希波のマンションかあ」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1355590206/
シンジ「なんだよ、なんなんだよこれ! こんなの女の子の部屋じゃないよ! ふざけないでよ!」
マリ「」
シンジ「まずテーブルだよ! なんで飲みかけのコーヒーカップが五つもあるんだよ! 飲めよ! または捨てろよ!」
マリ「い、いやー、あの、あとで飲もっかなーって思ってそのままにしてるんだけど、ついつい……ね!」テヘペロ
シンジ「飲めよ! または捨てろよ! そして洗えよ! なに可愛くテヘペロしてるんだよ! そんな場合じゃないよ!」
マリ「ぶー。そんなに怒らなくってもいいじゃんさ」
シンジ「怒るよ! たまの休みに女の子から『うちくるー?』とか誘われてこんな部屋を見せられたら誰でも怒るよ! おまけに何だよこれ、宅配ピザの包みだらけじゃないか!」
マリ「好きなんだよねー、ピザ。ほら、トマトもたっぷりでヘルシーだし」
シンジ「欧米か!」ダンッ
マリ「もー。細かいなあ、わんこくんは」ブーブー
シンジ「そりゃそうだよ! こんな生活してたらせっかくの美人が台無しにだよ! そんなの耐えられないよ!」
マリ「えっ」ドキッ
シンジ「真希波さ、その服最後に洗ったのいつ?」
マリ「えっ。えーっと、一ヶ月くらい前……かな?」
シンジ「洗えよ! 今月その服を着てる姿を四、五回は見かけたよ! あっ、可愛いなと思ってた僕の純情はボロボロだよ!」
マリ「えっ」ドキッ
シンジ「あと、あとはなんだ! あとこれ最後に掃除したのいつさ!」
マリ「えっ、え、ああ、うん、えーと」
シンジ「まあ引っ越しの荷物が片付いてない時点でお察しだよ! だから髪の毛もいっつも埃っぽいんだよ! 正直見る度に洗ってやりたくてたまらなかったよ!」
マリ「えっ」ドキドキッ
シンジ「ぜえぜえ……あ、ご、ごめん……つい」
マリ「あ、ううん! ぜ、全然! にゃはは。それにしてもまさか男のわんこくんからここまで駄目だしされるとは思わなかったなー」ドキドキ
シンジ(どこかで期待してたんだ。真希波はミサトさんやアスカや綾波とは違うまっとうな女の子なんだって。でもそんなの僕の勝手な思い込みだったんだ)
シンジ(ネルフに家事のできる女の子なんていないんだ)ズーン
マリ「おーい、わんこくーん?」
シンジ「ううん、だからこそ僕の出番なんだ!」
マリ「わっ」
シンジ「真希波、今日は二人で掃除しようよ!」
マリ「え、でもせっかくわんこくんがきてくれてるんだし……あとでいいんじゃないかなっ?」チラッ
シンジ「……」ニコッ
マリ「はい」ズーン
シンジ「まずは……まずはなんだ! 畜生、何なんだよ! まずカーテンと窓を開けるよ!」
バサァ! ブワァー!
シンジ「うわっ!」ゲホゲホゲホゲホッ
マリ「あー、この部屋って南向きだったんだにゃー」ポカポカ
シンジ「開けろよ! 朝になったら! カーテンと! 窓を! 開けろよ! 朝の清潔な空気を部屋に入れろよ!」
マリ「うーん、家は寝る場所だし……?」
シンジ「だからこそだよ! 僕は真希波にゆっくり健康的に眠って朝すっきり目覚めて欲しいんだよ! お節介かもしれないけどここは譲れないよ!」
マリ「あっ」キュン
シンジ「畜生、畜生、畜生! 真希波、はたきだ! はたきを出して!」
マリ「えっ? え、あ、え?」
シンジ「はたきだよ! ほうきでもいいや! このカーテンレールの上の埃をまずは……」
マリ「え? フローリングだしこの粘着ペーパーでコロコロするやつで……」
シンジ「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ真希波! ホームセンターへ行くよ!」
マリ「えっ? え? え?」
シンジ「来い!」
マリ「あっ」キュキュン
ホームセンター
シンジ「真希波、いくらフローリングでもコロコロ一つじゃ限界があるんだ。はたき、ほうき、ちりとりは必須だよ。まさかないとは思わなかったよ」
マリ「へー。わんこくんは何でも知ってるんだね」
シンジ「掃除の初歩だよ! 雑巾はあとで縫ってあげるから。あとバケツも買おう。あとは……」
ヒカリ「あ、碇くん。こんにちは」
シンジ「あ、委員長」
マリ「にゃ。コンニチハ」シュビ
ヒカリ「えっと、真希波さん? だよね。ホームセンターで二人を見るなんてちょっと意外かも。ネルフの用事?」
シンジ「かくかくしかじかなんだ。委員長は?」
ヒカリ「ふふ、そうなんだ。あ、私? 私は部屋のカーテンの買い替え。せっかくだし大人っぽいやつにしようかな、って」
シンジ「そうなんだ。委員長はさすがだなあ」
マリ(カーテンってかけたらかけっぱなしじゃないんだ……!?)
ヒカリ「じゃ、碇くん、頑張ってね。真希波さんも身体に気をつけて。ご飯もしっかり食べてね」
シンジ「うん。委員長もいいカーテンが見つかるといいね」
マリ「……」バイバーイ
シンジ「よし。あとは季節外れの洋服を収納するやつとかも見に行こう!」
マリ「ね、わんこくんさあ」
シンジ「うん? あ、先にハンガーを買うべきだった?」
マリ「あれかにゃ、あの、ああいういかにも女の子っぽいのがタイプだったりするのかにゃ?」
シンジ「僕はむしろ多少だらしないくらいの子が好きだよ」
マリ「」キュン
シンジ「でも真希波はさすがに限度超過してるからね! プラグ震度危険域だよ! あそこにいたら人に戻れなくなる!」
マリ(あー、やばい。このままだとキュン死にするかもしれないぞこれは)ドキドキ
シンジ「問題は料理道具だ」
マリ「にゃ? 私は三食外食でm」
シンジ「ダメだよ。育ち盛りの女の子が三食外食なんてだめだ。ミサトさんが許しても僕が許さない」
マリ「それ何気にめっちゃディス入ってるよね?」
シンジ「真希波はどうする?」
マリ「どう、って言われてもなあ。私、エヴァの操縦くらいしかできないし。料理に興味ないし」
シンジ「ダメだよ!」ガシャーン
マリ「ちょ」
シンジ「ダメだよ! 今はそれでもいいよ! でも半年後、一年後にマリの目の下にくまができたり生理不順で辛い感じになってみなよ!」
マリ「ちょ、わんこくん、声! 声でかいって!」
シンジ「想像しただけで僕の心は張り裂けそうだよ! 可愛い女の子が! 食生活の偏りで! 不健康に苦しむなんて! およそ看過できるわけないよ!」
マリ「ちょ」キュン「わかった」キュキュン「わかったから落ち着いて」キュキュキュン「そのままだと私の具合が今すぐ悪くなっちゃうから!」
シンジ「はあはあ……ごめん。でもだめなんだ……だめなんだよ。子どもが宅配ピザや外食で生活なんてしちゃダメなんだ」ブツブツ
マリ(やばい。ここから逃げ出したい。あとあのイインチョウさんがめっちゃこっち見てる)
シンジ「真希波、練習だ」
マリ「ふえ?」
シンジ「反復練習だよ。大丈夫、栄養管理から何から徹底的に叩き込んであげるから。ネルフを出る頃にはどこに出しても恥じることのないお嫁さんにしてみせるよ」
マリ(真顔はやばいって…)キュン
シンジ「だから料理道具は僕のお給料から出すよ。もう僕の自己満足のために買うようなものだから。真希波の引越し祝いにプレゼントする」
マリ「う、うん。ありがとう。素直に受け取っておく。で、えーと、料理道具のコーナーはあっちだ! よしわんこくんあっちだ! あっちへいくよー!」
シンジ「真希波! すごいやる気だ! 僕の気持ちが伝わったんだね!」
ヒカリ(ふふ。でも私は亭主関白な人の方が好き……なんちゃって)カァァ
マリ(よ、よし。ここまで来れば誰もいないよね。はあ、今日はキュンキュンさせられっぱなしだよ)
マリ「で、わんこくん、まずはお鍋だね。台所は広いけど一人暮らしだしさ、じゃまにならないこのくらいのサイズで」
シンジ「この8リットル入るやつを買う」
マリ「!?」
マリ「で、デカすぎじゃない……?」
シンジ「もちろん小さな鍋も買うよ。でも大鍋はこれくらいの方がいいんだ。中途半端なサイズの鍋だとカレーやシチューを作る時にすぐ吹きこぼれちゃうからね」
マリ「へえー」
シンジ「来客時はお客さんの分も作れるしね。同じ理由はフライパンも大きなものを買うよ。フライパンも大きくて深いものの方が何かと便利なんだ。これでちょっとした煮物も作れる」
マリ「わんこくんさ」
シンジ「うん?」
マリ「なんかお母さんみたい」プーッ
シンジ「僕は大真面目なんだから笑わないでよ! なんだよ! 人がまじめにやってんのに! もういいよ! これ買うからね!」
マリ(あー、いいなあ。癒されるなあ。このまま帰りたくないなあ)
シンジ「次は包丁だよ!」
マリ「わんこくん、わんこくん、どうどう」
シンジ「真希波も段々慣れてきたね!?」
マリ「そりゃまあね」
マリ(今は和みモードだし!)
マリ「で、包丁も一杯あるけど、これも一杯買う?」
シンジ「包丁は万能包丁一本で十分だよ。素人から玄人までこれ一本。あとはシャープナーだね」
マリ「へえー。意外だなあ。鍋にはあんなにこだわってたのに」
シンジ「あと果物ナイフが欲しければどうぞ、って感じかな。でも万能包丁は万能だからね」
マリ「さっすが万能包丁!」
シンジ「だから二本買おう。暫く二人で使うんだから」
マリ「あっ」キュン
シンジ「あとおろし金とピーラーもいるな……」ゴソゴソ
シンジ「おたま! 木べら! 菜箸! あとは、あとはなんだ! あとあれだ、砂糖とか塩とか入れるやつもだ!」
マリ「」ジー
シンジ「あ、ご、ごめん。一人で先走っちゃって。真希波はデザインとかカワイイ系の方がいい……かな。僕の趣味で思いっきり質実剛健なものばっかり選んじゃったけど」
マリ「や、わんこくんの趣味でいいよ。主にわんこくんが使うんだし。でもさあ、こう」
シンジ「ん?」
マリ「これ、買い物カゴにこういうものを詰め込みまくってると、端から見たら完全に――」
シンジ「姉と妹だね!」
マリ「」
シンジ「よし、次はトイレ掃除用具だ! それと便座カバー!」
マリ「……にゃ!」ボコー!
シンジ「あいたー! なんだよ! なにするんだよ! 便座カバーはいるだろ! 冬場におしりがヒヤッとしたら困るだろ!」
マリ「ふーんだ」プイッ
シンジ「なんだよもう。わけがわからないよ。どう考えたって便座カバーがなきゃ困るじゃないか……」
ピピッ
ッエーンナリャース
ッザーッス
ウィーン
シンジ「重い!」ズシーン
マリ「そりゃあれだけ買えば重くもなるよねー。わんこくん、どうするのかなー、ってずっと思ってたんだけどさ。やっぱそのまま持ってくんだ、それ」
シンジ「だって帰ったら掃除するんだからすぐないと困るじゃないか! 畜生、なんだよ。なんだよこれ! 肩の拘束具が外れそうだよ! 真希波、タクシーを呼ぼう!」
マリ「んにゃ。私が買い物袋の片方を持つよ」
マリ「重っ!」ズシッ
マリ「え? ちょ、重っ! わんこくん、重すぎじゃないのこれ!」
シンジ「だってあの部屋なんにもないんだから仕方ないだろ!」
マリ「あ、花屋」
シンジ「」
マリ「ね、ねね! わんこくん、わんこくん!」
シンジ「」
マリ「あ、うん、じゃあ」
シンジ「いいよ! 寄ろうよ! 二人で鉢植え持って帰ろうよ!」
ミーンミンミン
シンジ「花屋さんが台車を貸してくれたよ! どんだけ重そうだったんだ僕らは! 気づいたら汗だくだよ!」ゼェゼェ
マリ「わんこくんがサボテン欲しいなんて言うからー」
シンジ「僕は手のひらサイズのやつが欲しいって言ったんだよ! なんだよこれ! 僕らより背が高いじゃないか! ほんと」
シンジ「ほんとなんだよこれ! めちゃくちゃ重いよ!」
マリ「やー、大は小を兼ねるって言うよ」
シンジ「時と場合によるだろ! 時と! 場合に! よるだろ! 大事なことなので二度言ったよ!」
マリ「わんこくん、疲れたしアイス食べよっか」
シンジ「真希波は台車に乗ってるだけじゃないか! この炎天下の中、僕は真希波と観葉植物を乗せた台車を引っ張って真昼の第3新東京市を行脚だよ! なんの苦行だよ!」
93 : 以下、名... - 2012/12/15(土) 03:06:46.95 irHOdPhu0 17/111大事なことだから明言しておくけど例のQの人とは別人だよ!
芸風のリスペクトだよ!
またはパクリだよ!
ガチャン
マリ「わんこくん、ほれ!」ポイッ
パシッ
マリ「ナイスキャッチ!」
シンジ「真希波、さすがの僕も稼働時間が限界だよ……今度は真希波が引っ張ってよ……一休みしたらとたんに疲れが出てきたよ」モグモグ
マリ「んー、やだ」モグモグ
シンジ「なんでだよ!」
マリ「ほれ」ヒョイ
シンジ「もがっ」パク
マリ「にゃはは。間接キスだー」
シンジ「えっ」
マリ「じゃ、そういうわけであとよろしく!」
ガラゴロガラゴロ
シンジ「もういいよ! いくよ! いけばいいんだろいけば!」
マリ「ハイヨー! ゴーゴー!」
真希波のマンション
シンジ「」ゼェゼェ
マリ「」ハァハァ
シンジ「冷静に考えたらあんな馬鹿デカイ観葉植物がエレベーターに乗るわけないじゃないか……」
マリ「ごめん……とりあえず一休みしよっか!」
シンジ「それはダメだよ」
マリ「」
シンジ「ここからが本当の地獄だ。とりあえず……とりあえずどこから手をつければいいんだよ! 畜生、とりあえず真希波は隣の部屋で荷物をまとめてよ! 僕はこの部屋を片付けるから!」
マリ「内部電源が切れるまでの63秒でケリをつけるにゃ!」
シンジ「服の畳み方はわかるよね!?」
マリ「……にゃ?」
シンジ「いいよ教えるよ! こっちへ来なよ! Tシャツを5秒で畳めるやつのやり方を教えるよ!」
マリ「うわー! 見てみてわんこくん! うわー!」シュバッ!
シンジ「それ便利だから覚えとくといいよ! あとちゃんとマスクをするようにね。気分が悪くなったら新鮮な空気を吸って!」バサバサ
マリ「わんこくんこれ楽しい! だいぶ楽しいよ!」バッ!バッ!
シンジ「僕らが生まれる前に伊東家の食卓って番組で紹介されてたらしいんだ。なぜかわからないけど父さんがやってるのを見て覚えたんだよ」
マリ(そういえばわんこくんのお母さんって技術畑の人だっけ)
シンジ「母さんも家事ができない人だったのかな……」バサバサ
マリ「わんこくん、わんこくん」
シンジ「あ、ごめん。埃っぽいかな」
マリ「お母さんの胸に飛び込んできてもいいよ!」
シンジ「あとでね!」
マリ(えっ、あ、OKなんだ?)キュン
シンジ「掃除のやり方には欧米式と日本式があってね」バサバサ
マリ「ふんふん」モグモグ
シンジ「ごみを角から中央へ集めていくのが欧米式、一方の角から対角線に集めていくのが日本式なんだ」
マリ「へええ」モグモグ
シンジ「真面目に聞けよ! 僕もアイス食べたいけど頑張ってんだよ!」
マリ「じゃあほら、んー」
シンジ「いらないよ!」
マリ「えっ」
シンジ「真希波がアイス食べてる絵面でお腹いっぱいだよ! 可愛いからそのまま食べてていいよ!」
マリ「ゴクッわ、私も手伝う!」キュン
シンジ「ちなみにさっきの欧米式とか日本式とかの話は適当こいたよ!」
マリ「ほうきどっせーい!」ブォン
ブワッ
シンジ「真希波! それじゃダメだ! 埃が舞い上がるだけだよ! 目を閉じて! 地味に目が痛むから気をつけるんだよ!」
マリ(さっきから思ってたけどわんこくんて優しい…)キュン
シンジ「埃はフワフワしてるからそのままはくと散らばっちゃうんだ。特にこんな綿ぼこりはね。安易に掃除機なんかかけたら大惨事だよ」
マリ「ふむふむ」
シンジ「そこでこれの出番だ」
マリ「あ、紅茶の出がらし」
シンジ「出がらしに含まれる水分がうまい具合に埃がまとまるんだ。それに紅茶に含まれるタンニンにはワックス効果もある。でもフローリングとの相性もあるからまず目立たないところで試してからね!」
マリ「わんこくんさあ、そういう情報どこで拾ってくんの?」
シンジ「ほんとだよ! 僕はなんでこんなことにばっかり詳しくなってるんだよ!」
マリ(でもそこがいい!)キュン
暫くして
マリ「終わったー!」バンザーイ!
シンジ「殆どゴミだったからね。どんどん捨ててはいて拭くだけですんだのは大きいよ。ダンボールに入ったままの荷物はまた明日だね」ナデナデ
マリ(なんか頭撫でられてる!)ドキドキ
シンジ「真希波、先にシャワー浴びてきなよ」
マリ「えっ」
シンジ「ん?」
マリ「え? え、ちょ、なんかまだ心の準備がっていうか私たちまだ会ってそんなに経ってないし」
シンジ「僕はその間に晩御飯の献立を考えるよ」
マリ「どっせーい!」ボコー!
シンジ「なんだよ! さっきからちょいちょいわけのわからないところで殴らないでよ! なんなんだよ!」
マリ「シャワー浴びてくるから!」
シンジ「なんでキレてんのさ!」ビクッ
シャワー中
シャワワワワー
マリ「あー、びっくりしたにゃあ! あー、あー、ほあー!」ジタバタ
シンジ「真希波!」ダンダン
マリ「ぎょわー!」
シンジ「ごめん! 扉越しに謝るよ!」
マリ「い、いいって。その、私のはやとちりだしむしろよくよく考えたらどう考えても私が悪い! だからわんこくんも」
シンジ「やっぱ掃除中にアイスを食べるのはダメだよ! 僕も真希波可愛いとか言ってないで止めるべきだったよ!」
マリ「」バーン!
ゴッ
シンジ「扉で鼻を痛打したよ!」
マリ「お、テーブルの上にメモ発見! 今日の献立はなーに、かにゃっ、と」チラ
シンジ「なんで無視すんのさ! あと服を着てよ! まだ若干埃っぽいから健康に悪いよ!」
シャワーの後
シンジ「当たり前の話だけど着替えがないよ! 僕はアホか! 真希波も真希波だよ! 気づいてたなら教えてくれてもいいじゃないか! なんで洗濯機まで回してるんだよ!」
マリ「う、うん」プッ
マリ「でもほら、わんこくん細いから女物のパンツも入るし」ププッ
マリ「シャツはピッチピチだけどパーカー羽織っちゃえばまあわかんないし」プププ
マリ「わんこくんさあ、レディースの洋服似合いすぎ!」ププーッ!
シンジ「」
マリ「だーいじょうぶだって。明日も休みなんだから服を乾かす時間くらいあるよ。その間は私の女っぽくない寝間着かしてあげるからさ!」
シンジ「真希波」
マリ「にゃ?」
シンジ「これ、柄物も一緒に洗ってない……?」
マリ「あ」
スーパー
ウィーン
ッラッシャーセーッ
ーッヤスイヨヤスヨーッ!
マリ「よし! わんこくん、中へゴーだ!」ダッ
シンジ「まだ早い」ガシッ
マリ「にゃっ!」
マリ(なんかわんこくんがどんどん大胆になってる気がするにゃ!)ドキドキ
シンジ「スーパーに入ったらまず入口近くのチラシを見るんだ。お買い得品がわかるからね。曜日ごとの特売品もチェックしないと」メモメモ
マリ(真剣な横顔…)キュン
マリ(っていくらなんでもさっきから些細なことでキュンキュンしすぎじゃん!?)ドキドキ
シンジ「真希波は今晩なにか食べたいものはある?」
マリ「ふえ! う、うーん。そうだなあ。パスタ?」
シンジ「じゃあプチトマトが安いからプッタネスカにしよう。真希波は辛いのは平気?」
マリ「大好物だよ!」グッ
シンジ「実は僕も大好きなんだ」
マリ(ほああああ)キュン
マリ(いやいや今のキュンはおかしいって! 私のことじゃないし! でもあんないい笑顔で「大好き」とか言われたらそりゃときめくよ!)ドキドキドキドキ
シンジ「あ、あさりが安い。明日の朝はボンゴレビアンコにしよう。真希波は貝は平気?」
マリ「ふえ。あ、うん。大好k……オッケー!」
シンジ「僕もオッケーだ。白ワインが買えればなあ。料理酒よりも断然美味しいんだけど」
マリ「てゆーかさ、わんこくんはパスタとかよく作るの?」
シンジ「ううん。ぜんぜん。アスカが『女の子ににんにくなんて食べさせるつもり!? サイテー!』って作らせてくれないんだ。アスカはガサツなようで細かいところを気にしすぎなんだ」
マリ「あー」
マリ「わんこくん」
シンジ「なに?」
マリ「トイレ」ダッ
マリ(そうか。そうきたか。そこは盲点だったなー)ガサゴソ
マリ「これください」
ピッ
ッエンニナリャッスアリャッス
マリ「やあやあ待たせたねにゃっはっは」
加持「よっ」
マリ「にゃっ!?」
加持「そんなにびっくりしなくたっていいだろう。なあシンジくん」
シンジ「そりゃ夕方のスーパーで買い物かごを下げた加持さんと会えば誰でもこうなりますよ……」
加持「今日は葛城がうちに来るんだよ」
シンジ「何を作るんですか?」
加持「まああいつの食うもんなんて決まってるからな。酒のつまみさ。外ですませたっていいんだがたまには家で飲み食いするのも悪くないもんさ」
シンジ「加持さん、料理もできたんですね」
加持「大学時代誰があいつの飯を作ってたと思う? 嫌でも詳しくならざるを得なかったさ。あの時は外で飲み食いなんかできなかったからな……」
シンジ「……」ジーン
加持「ここで会ったのも何かの縁だ。その酒は俺が買ってやるよ」
シンジ「えっ。いいんですか?」
加持「料理に酒はつきものさ。その材料ならパスタだろう。ペリエも買っとくから酔ったらこっちを飲めばいい。じゃ、頑張れよ」ウインクバチーン
マリ「にゃ!?」
加持「はっはっはっはっは。あー、付き合い始めの頃を思い出すなー。今日は葛城とうまくやれそうな気がしてきたぞー」
マリ(ちなみに私が買ったのはブレスケアミント! これでにんにく料理もばっちりだね!)グッ
シンジ(冷静になって考えたら真希波の部屋で献立を決めたはずだったじゃないか! 畜生、畜生、畜生! 自分の計画性のなさに腹が立つよ!)
シンジ「買い物を続けよう!」
マリ「おー!」
シンジ「前菜はカプレーゼにしよう。トニオさんもおすすめのメニューだ。トニオさんに任せておけば間違いはないよ」
マリ「でも子羊肉のりんごソースがけはレベル高いにゃー」
シンジ「普通のステーキで妥協しよう」
マリ「にゃ! わんこくん、私はレアで頼むよ!」キラーン
シンジ(しまった。真希波を喜ばせたいあまり分不相応な献立を! 逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ)
加持(シンジくん、逆に考えるんだ)
シンジ(加持さん! 直接脳内に…!)
加持(逃げちゃってもいいさと)
シンジ「……せっかくだし高い肉を買っちゃおうか」
マリ「わーい! わんこくん、おっとこまえー!」ベシベシ
シンジ(家計簿、買って帰ろう)ズーン
ウィーン
シンジ「どう考えても一晩の食事代としては破格の値段だったよ……」ズーン
マリ「まあまあ。私の引っ越し祝いだと思えばいいじゃんか! あ、ほらほら、わんこくん、夕日が綺麗だよ! だから元気出して!」
シンジ「ふふ、本当だね。赤いや」
マリ「なにそれふつー。そりゃ夕日は赤いでしょ」プーッ
シンジ「アスカ、今頃どうしてるかな」
マリ「」
シンジ「お腹を空かせてないといいけど」
マリ「わんこくんさあ」
シンジ「うん?」
マリ「ローキック!」バギィ!
シンジ「いったあ! なんでだよ! 今日一番痛かったよ!」
マリ「これから他の女の子のことを考えるたびに少しずつ蹴りの威力が上がっていくから」
シンジ「!?」
真希波のマンション
シンジ(真希波がさっきから口もきいてくれないよ。さすがの僕もこれは強く出られない。そもそも僕はそういうキャラじゃないだろ!)
マリ「……」ジー
シンジ「真希波、あのさ」
マリ「脱いで」
シンジ「あ、うん……」
シンジ(どうしようどうしようどうしよう。あ、ちなみにスーパーで替えの下着と歯磨きセットも買ったよ。人の家に泊まる時はこの二つがないとお手上げだからね)
マリ「じゃ、ちょっとしまってくるから」バタバタ
シンジ(それにしても困ったよ。食事ってのは楽しくなくちゃ意味がないんだ。特に可愛い女の子と食べる時はなおさらそうだ。逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ……)
真希波の部屋
マリ(わ、わんこくんの着てた私のシャツ…!)
マリ(正直さっきから気が気じゃなかったよ!)
マリ(ちょ、ちょっとだけ…)クンクン
マリ(!)ピコーン
マリ(ふわあ。LCLと男の子の匂いがする……)トローン
マリ(わんこくんの反省を促すためにももう少しくんかくんかしよう)クンカクンカカリカリモフモフキュンキュキュン
シンジ(しかし僕は女の子のマンションでぱんつ一丁で一体何をやってるんだろう。軽く死にたくなってきたよ。早く着替えを持ってきてくれないと困るよ!)
マリ(ふわあ。ほああ。ぬわあ)クンカクンカスーハースーハーゴロゴロ
シンジ(大体、真希波も真希波だよ! 家族のこと考えて何が悪いんだよ! アスカだって生まれや育ちのせいもあるけど最悪ビールとソーセージとライ麦パンで夕食を終わらせるような女の子なんだ!)
シンジ(野菜を取れよ!)
ガラッ!
マリ「……」
シンジ「……」
マリ「これ、着替え。ジャージならいいんじゃないかなーって。どうかにゃ?」
シンジ「う、うん。いいと思うよ」
マリ「そしてロー!」ボゴォ!
シンジ「ほんと洒落にならないよ!」
マリ「……」ジトー
シンジ「なんだよ! 言いたいことがあるなら言えよ! 来いよ真希波! ATフィールドなんて捨ててかかってこい! そのあとで楽しい夕食にしよう!」
マリ「……しい」ゴニョゴニョ
シンジ「もっと大きな声で!」
マリ「……だし……て欲しいっていうか」ゴニョゴニョ
シンジ「もっと! 大きな! 声で! ハイ!」
マリ「よくわかんないけどせっかく二人っきりなんだし私のことばっかり考えくれてもいいじゃんか!?」
シンジ「はい伝わった! 今真希波の気持ちが僕に伝わったよ! そしてちょっとごめん真面目に考えさせてくれるかな!?」
スーハースーハー
シンジ「よし。よしわかった。落ち着こう。ね? 僕も真希波も落ち着くんだ」
マリ「…………」
シンジ「…………」
マリ「落ち着けるわけなくない!?」
シンジ「たしかにそうだよ! 今日一番の胸の高鳴りを感じるよ! 晩御飯を作ろう!」
マリ「手伝うから!」
シンジ「もう冷静になったら負けだよ! このままのテンションでなんとかするしかないよ! なんだよ畜生! どうすんだよこの空気!」
シンジ「今日の献立は!」
マリ「はい!」
シンジ「一皿目に娼婦風パスタ!」
マリ「はい!」
シンジ「違う、一皿目はカプレーゼだよ!」
マリ「はい!」
シンジ「二皿目に娼婦風パスタ!」
マリ「はい!」
シンジ「三皿目にステーキ!」
マリ「はい!」
シンジ「飲み物は加持さんのくれたペリエ!」
マリ「はい?」
シンジ「で、デザートはバジルのジェラートだよ!」
マリ「え、なにそれ」
シンジ「ごめん。なんかさっぱりするものが欲しいな、と思って余り物で作ることにしたんだ」
シンジ「まずはパスタから茹でるよ。料理は手際が大事だからね。ホームセンターで買った鍋に水を並々と入れる。そこに塩をドバー。塩加減は勘だね」
マリ「わんこくん、手つきが尋常じゃなく滑らかなんだけど」
シンジ「で、お湯を沸かしながらにんにくをスライスする。もう面倒だから刻んでもいいよ。唐辛子も刻む。で、これとオリーブオイルをフライパンに入れて温める間にプチトマトの皮むきだ」
マリ「プチトマトに……皮?」
シンジ「お湯が沸き始めたからここによく洗ったプチトマトをザルごとドバーする。すぐ出して冷水にさらす。すると」
マリ「わ! 皮がべろべろになった!」
シンジ「ね? じゃあ真希波がプチトマトを剥く間に僕は別のフライパンで肉を焼くよ。油は牛脂とオリーブオイル。肉はなんかもう焼けるまで放っておけばいいよ」
マリ「わんこくん適当!」
シンジ「詳しくはクックパットとか見ればいいよ!」
シンジ「湧いたお湯にパスタを入れながらフライパンに湯剥きして半分に切ってなんか良い感じにしたプチトマトとアンチョビとブラックオリーブを投入しながら肉の焼き加減を見ながらトマトとモッツァレラチーズを切るよ。で、これを適当にちぎったレタスと一緒に皿に盛ればもうカプレーゼの出来上がりだ」
シンジ「仕上げに塩とオリーブオイル」ドバァ
マリ「わんこくんもおすねー、オリーブオイルを」
シンジ「なにせ美味しいからね! で、空いたコンロに牛乳とか生クリームとか砂糖とかドサーして余りのバジルを刻んでドサーするよ。本当は一晩置いた方がいいんだけどまあ細かいことはいいんだ!」
シンジ「これは小分けにして冷凍庫で冷やすよ!」
マリ「わんこくんわんこくん! パスタが茹で上がってるよ!」
シンジ「じゃあパスタを上げて茹で汁を適当にソースへザバーしてパスタもドバーしてかき混ぜて皿に盛ってパルメザンチーズをかけて二皿目も完成だよ!」
シンジ「仕上げにオリーブオイル」ドバァ
マリ「ひっくり返して放置プレイしてた肉もいい感じだよ! あ、ちなみにちゃんと下味はつけたから! 大丈夫!」
シンジ「うん、きちんと余熱で火も通ったみたいだね! 包丁で切るよ! よし、レアだ! これも皿に盛るよ!」
シンジ「仕上げにオリーブオイル」ドバァ
マリ「かけすぎだよね!?」
シンジ「でも僕は、オリーブオイル」
ズラーッ
シンジ「ふう。夕食の準備はこれでよし。料理してる間に変なテンションもおさまったし万々歳だね」
マリ(でもまだお互いに顔はまともに見られないのだった!)
マリ「にしても夕食豪華ってレベルじゃないよねーこれ。一番すごいのはわんこくんが20分かからずこれをやっちゃったところだけど」
マリ「しかも洗い物も終わってるし!」
シンジ「遠足が家につくまで遠足なのと一緒なんだ。片づけも立派な料理のスキルだよ。だから食後のお皿は任せていいかな」グー
マリ「あいあいさー」グー
シンジ「僕らのお腹の虫も限界だ。よし、僕はこれをダイニングに持っていくから、真希波は飲み物とグラスを出して」
マリ「りょーかい!」
シンジ(日が暮れる。知らない女の人の部屋で掃除してシャワー浴びて料理作って……いつもとぜんぜん変わらないや。最初は『たまには息抜きしにおいでよ!』って誘われたはずなのに)カチャカチャ
シンジ(でも素直に感謝されるのっていいな。しかもちゃんと手伝ってくれるし。それだけで僕の心はだいぶ癒されるよ)スッ
シンジ(努力が報われる場所。僕は間違いなくここにいていいんだ。真希波のそばにいていいんだ……)
キュポン!
シンジ「!?」
シンジ「ねえ今のキュポンって何! 何をしたんだよ真希波! 嫌な予感しかしないよ!」
マリ「んっふっふ。赤ワインのコルクを抜いたんだにゃ!」
シンジ「なんでだよ! 僕らまだ未成年じゃないか! そんなのおかしいよ!」
マリ「ここまで準備して飲み物が炭酸水とか興ざめだよ、わんこくん! 大丈夫だって。一杯や二杯じゃ酔わないから。それにあけちゃったもんは飲まないと。でしょ?」
シンジ(ちょっといいこと考えたらすぐこれだよ!)
マリ「今日は引っ越し祝いで酒が飲めるぞー♪ 飲める飲める飲めるぞー♪ 酒が飲めるぞ―♪」トクトク
シンジ「しかも赤じゃないか。そりゃトマトと肉には赤だけど……真希波さ、お酒は強いの?」
マリ「んにゃ。私も飲むのは初めてだよ」
シンジ「嫌な予感が倍増だよ!」
マリ「大丈夫だって。心配しなさんな。加持くん言ってたじゃん。『よし、初めて飲むならこの辺だな』って。きっと飲みやすいよ」
シンジ「僕はそのあと『料理に使うワインですから!』って言ったよ! 飲む気はあんまりなかったんだ!」
マリ「んー? 少しはあったんだにゃー? ならばよし! 私もせっかくだからわんこくんと楽しく夕食を共にしたいからね! お酒は人生に彩りを与えてくれるよ!」
シンジ「だから! 僕らは! 未成年だよ!」
マリ「さー、座った、座った! もうお腹ぺっこぺこなんだからさ!」
マリ「では手を合わせてください」
シンジ「ハイ…」ズーン
マリ「いただきまーす!」
シンジ「いただきます」
マリ「うーん! わんこくんの手作り料理で私のテーブルが一杯だよ! これはあれかな、やっぱ前菜から食べるべき?」ドキドキワクワク
シンジ「食事には西洋式と東洋式があるんだ。一皿ごとに片付けていくのが西洋式、オカズと主食を行き来するのが東洋式だね。今回は一気に料理を仕上げちゃったから東洋式で食べていいと思うよ」
マリ「うーん、迷うにゃ……でもまあ前菜から食べるのが? やっぱり? 王道じゃん? よし、カプレーゼ、君に決めたっ!」
もぎゅ。もぐもぐ。チラッ
マリ「……まっ……なかなかオイシイんじゃあないかにゃ~……いやオイシイよ…かなりオイシイ……でもなんかよくわかんないけどさあ、味があんまりしないよこのチーズ……」
シンジ「違う、違う、トマトと一緒に口の中に入れるんだよ」
マリ「えぇ~、トマトと一緒にィ~? イタリアの食べ物って所詮な~大抵イギリス人と味覚が違うんだよね~こ~ゆ~のってさぁ~っ」パク
マリ「ゥ ン ま あ あ ~ い っ! こっこれはああ~~~っ この味わあぁ~っ! サッパリとしたチーズにトマトのジューシー部分がからみつくうまさ!」
マリ「チーズがトマトを! トマトがチーズを引き立てるッ! ハーモニーっつーんですかあ~味の調和っつーんですかあ~っ」
マリ「たとえるなら葛城さんとと赤木博士のデュエット!
碇司令に対する冬月先生!
わんこくんに対する真希波・マリ・イラストリアス!
…つうーっ感じっスよお~っ」
一通り二人で爆笑
シンジ「ぜえぜえ。じゃ、食べよっか。今度はちゃんとね」プルプル
マリ「うん。ふふ、わんこくん、トニオさん……」プッ
シンジ「真希波がネタふったんじゃないか!」
マリ「にゃー! ステーキの焼き加減も絶妙だよ! 特にこの上に乗ったホースラディッシュがイイ!」
マリ「にゃ! このパスタ、とても辛い!」ピーン
シンジ「あ、ご、ごめん。唐辛子を親の敵みたいに刻んじゃったから。やり過ぎちゃったかな……」
マリ「でもそれがイイ! うはー! 辛い! 辛いよこれ! うん、めっちゃ辛い!」モグモグガツガツ
シンジ「そっか。よくわかんないけどよかった」
マリ「んー、ほら、わんこくんも食べる食べるー。もっと食べないと大きくなれないぞー」
シンジ「うん。あ、確かにちょっと、や、かなり辛いや」モグモグ
マリ「あー、これはもう外食とか無理だよ! もぐもぐ! うはあ、辛い!」グビグビ
シンジ「ちょ」
シンジ「今明らかに変な音が聞こえたよ! あってはならない音だよ! なんだよグビグビって! ビールかよ! ミサトさんかよ!」
マリ「わんこくん、今のはギリセーフだから」
シンジ「真希波は完全アウトじゃないか! そんな風に飲んだら倒れるよ! ネルフの忘年会で日向さんがミサトさんにいいところを見せようとして同じことやって救急搬送されたことを忘れたのかよ!」
マリ「んにゃ、そん時は私いなかったし」
シンジ「しまった。そうだった。……真希波、とにかくがぶ飲みはだめだよ。料理の味もわからなくなっちゃうだろ」
マリ「うー。それは確かに困るなあ。こんなにオイシイのにあとで思い出せないとかざびしいし」グビ
シンジ「言ってるそばからなんだよ! 僕の話を聞いてよ!」
マリ「まあまあ。それよりこれイケるって。なんかこうワインの渋みが料理にぐっと深みを与えてくれるよ」
シンジ「適当言うなよ! 子どもが酒の味なんかわかるわけないよ!」
マリ「一見は百聞に何とやらだよ、わんこくん」
シンジ「こんなことなら加持さんに頼むんじゃなかった。まったくもう、やっぱりあのミサトさんの彼氏だよ」チビッ
シンジ「あ、これイケるや」
マリ「でしょ!」
シンジ「加持さん凄いや! なんだよこれ! な、なんだこれ!」
加持(シンジくん、今頃は頑張ってる頃かな。俺も葛城に初めて酒を飲ませてやった頃のことを思い出すよ。まあおかげで今じゃ……)
ミサト「加ぁ~持~! つまみがなくなったわよ~!」ヒック
加持「はいはい、っと。まったく、大体なんでこんな七面倒臭いつまみが好きなんだよ。フィッシュ&チップスなんて外で食った方がうまいじゃないか」ジュゥゥ
ミサト「忘れちゃったわよ~だ」ヒック
加持(まあ十中八九、昔俺がよく作ってたからなんだけどな)ウインク
シンジ(でも加持さん! これはだめですよ。こんなに料理と相性バッチリじゃ飲み過ぎに……)
加持(シンジくん、一度くらい酒に溺れてみることだ。口で何を言ったってだめなのさ。酒を飲むことの痛みと快楽の両方を知って初めて酒を心の底から好きになれるんだ)カァージィー、ネェマダー
シンジ(要するに飲むだけ飲んで二日酔いしろってことじゃないか! ズルいよ! 困るのは僕なのに!)
加持(大人はさ、ズルいくらいがちょうどいいんだ)ネェー、カァージィークゥーン、ホラ、アーンシテ、アーン
シンジ(加持さんはズルいよ…)
加持(モグモグ…シンジくんモグモグモグモグ…おれはここでモグモグフィッシュ&チッモグモグモグモグでも君にはできるこモグモグすまん、葛城の世話に戻る)
シンジ(あ、はい)
マリ「あー、食べた食べたー。お腹一杯だにゃー。ここ最近でこんなに満腹になったのは久々だ」ケプー
シンジ「あ、デザートいらない?」
マリ「って言うと思う?」
シンジ「だよね。実はさっきからちょいちょい冷蔵庫を開けてかき混ぜてたんだ。もう出来るころだよ。よいしょ、っと」
フラー
シンジ「」ガッ
シンジ(危なかった。二人で一本は飲みすぎだよ。これ以上は……)
ポンッ
シンジ「」
マリ「え? デザートはあのジェラートでしょ? なら赤より白かなーって」
シンジ「それはあさりのパスタを作るやつだよ!」
マリ「気にしなさんな。おちょこに一杯くらいは残すから。ふんふふーん、わんこくんのデザートで酒が飲める飲めるぞー♪」トクトク
シンジ(僕、明日ちゃんとここから帰れるのかな……)
シンジ「かき混ぜて」ガチャガチャ
シンジ「小皿によそって」コトン
シンジ「仕上げにバジルの葉を乗せて」スッ
シンジ「出来たよー」テクテク
マリ「待ってました! よっ! 板前!」ヒューヒュー
シンジ「真希波、だいぶへべれけだね。顔が真っ赤だよ。……って僕もだよ! これ食べて落ち着くんだよ! いいね!」
マリ「うん」ニヘー
シンジ「なんだよその可愛い顔は! 僕を落ち着かせる気ゼロじゃないか!」
マリ「ほらー、可愛い真希波さんの酒だぞー? 飲めないのかにゃー?」トクトク
シンジ「もう飲むよ! 飲めばいいんでしょ!? そしてジェラートも食べるよ!」
マリ「お、おお? おおー! わんこくん、これドンピシャだよ! 今までのトマトチーズトマトパスタそして肉! のこってりした味にバジルの爽やかさがスーッと利く!」
シンジ「酔いも少しは覚めるといいんだけどね」グビ
シンジ「って飲んでたら覚めるわけないよ。僕も相当酔っ払ってきたみたいだ。しっかりしないと……」
マリ「むむっ! わんこくんわんこくん、このワインすっごくスーッとしてほのかな甘味と酸味がジェラートに合うよ!」
シンジ「真希波、酔っ払いすぎだよ。加持さんなんて僕らの買い物カゴをちょっと覗いて『ならこれとこれだな』って適当に選んだだけじゃないか。そんな……」グビ
シンジ「めちゃくちゃ合うよ! なんだよ! なんだよあの人! 諜報部なんてやってないでレストランでもひらけよ! ミサトさんと一緒にレストランでも開けばいいんだ!」
マリ「あー、しあわせだにゃー」モグモグ
マリ「にゃー、ふへへ」グテー
シンジ「…………はっ!」ビクッ
シンジ「今は……よかった、まだ7時過ぎだ。ほんの一瞬意識がなくなっただけなんだ」ヨロヨロ
シンジ「足元が……う、動け動け動け動け動け動いてよ! 今動かなきゃ、今やらなきゃ明日の朝が大変なんだ。そんなのもう嫌なんだよ!」ヨロヨロ
ガチャ
シンジ「ライムとペリエを出して……」ハァハァ
シンジ「ライムをスライス……できない! もう半分でいいや!」スパッ
シンジ「グラスに果汁をドバー。ペリエをドバー」
シンジ「ぜえぜえ。それにしてもなんでこんな時なのにこんな手の込んだことをしてるんだ僕は……真希波! しっかり! 真希波!」
マリ「にゃー、うへへ、あ、わんこくんの匂いがするー」クンカクンカスリスリ
シンジ「とりあえずこれ飲んで! 飲まないと危険だよ!」
マリ「にゃ。ジュース? んー、今はジュースって気分じゃないんだにゃ」ンー
シンジ「いい加減呂律が回ってないことに気づいてよ!」
マリ「なにさ。私はどうせ飲んだくれですよーだ。おまけにぽっと出だし、どう見てもわんこくんより二歳は年上だし……」
シンジ(愚痴が始まった! ミサトさんの時と同じだ……まずいパターンだ! 絡み酒だ!)
マリ「その上、知ってる歌は古いし」
シンジ「ぼ、僕もクラシックくらいしか聞かないからその気持はわかるよ」
マリ「あ、私もクラシックならよく聞く」
シンジ「うん。お揃いだね。じゃあこれを早く……」
マリ「ルロイ・アンダーソンとか」
シンジ「タイプライターを楽器にする人の気持ちはわからないよ!」
マリ「なにさー! わんこくんだって運動会の日に『トランペット吹きの休日』がなかったら困るくせに! それ、ぜったい飲まないから!」
シンジ「なんでだよ! 運動会の定番曲とこれとは関係ないだろ!」
マリ「違うよーそこはさーこうさー」
マリ「あー、いいよねー、僕も聞くよー」
マリ「とかさー……あ」
シンジ「真希波!?」
マリ「あ、これだめなやつだ」ウプッ
シンジ「言わんこっちゃないよ! 大丈夫? 立てる? どう見ても無理だね!」ダッ
マリ「」ウププ
シンジ「買い物袋、買い物袋はどこにやったんだっけ。あっ! そうだ、あのあと二人で小さく畳んで引き出しにしまったんじゃないか! これ解かないと……真希波! まきn」
オロロロロロロロロロロロロロ
シンジ「」
シーン
シンジ「真希m」
マリ「来ないで」
シンジ「まk」
マリ「来るな」
シンジ「m」
マリ「とにかくきちゃダメ。換気扇をつけてそこから動かないように。わんこくん、私の言うこと聞けるよね?」
シンジ「」
シンジ(だから言ったんだ。僕は悪くない。僕は悪くないよ! ぜんぶ真希波が悪いんじゃないか! 一人で飲み過ぎて一人でよくわからない意地張って、それでこのざまだよ!)
シンジ(なんだよ! これ作ったのに無駄になったよ! もう僕が飲むよ!)ゴクゴク
シンジ(大体、僕は遊びに来いって言われただけだよ! なのにここでも主夫扱いだよ! むしろいつもより主夫度が上だよ! 主夫率400%だよ!)ゴクゴクゴクゴク
シンジ(もっと水を飲むよ!)ゴクゴク
シンジ(真希波はきっと今頃ゲロまみれなんだろうな。ミサトさんは吐いてもあっけらかんとしてるタイプだけど真希波はきっと違うタイプだ。今日一日付き合ってそれがよくわかったよ)ゴクゴク
シンジ(もうどんな顔して会えばいいのかわからないよ。自分が同じ立場だったら僕にあわせる顔なんてないよ。せっかくの楽しい夕食が台無しだよ!)ゴクゴク
シンジ(だからいいんだ。これでいいんだ。これだけ飲めば……)ゴクゴク
シンジ「……うっ」ウプッ
フキフキ
マリ(お酒くさ……最悪……はーあ、せっかくいい気分だったのになあ……全部ぶち壊しじゃん……)
フキフキ
マリ(もう酔いも一発で醒めた。わんこくんにゲロってる顔を見られずにすんだのは幸いだけどさあ……)
フキフキ
マリ(あーあ……もう帰ってもらった方がいいよね。このカーペットとか今日二人で買ったやつなのに早速ゲロまみれだし……臭いもするし……)
フキフキ
マリ「なんだかなー」
オロロロロロロロロロ
マリ「!?」
マリ「わ、わんこ……くん?」ソーッ
シンジ「」
マリ「……」チラッ
シンジ「」ゲロマミレー
マリ「……ごめん。こんな時、どんな顔したらいいのかわからないや」
シンジ「笑えばいいと思うよ」
マリ「わんこくん何ゲロってんの! バッカじゃーん!」プーックスクス
シンジ「そこまで笑うことないじゃないか! 半分以上は真希波のせいだよ! むしろ9割近くそうだよ!」
マリ「あーあ、私の部屋着がゲロまみれだし」プー
シンジ「真希波だってゲロまみれじゃないか!」
マリ「あー、女の子にそういうこと言うんだー。わんこくんはだめだなー。まるでだめなお子様わんこくん、略してマダオだね」ププー
シンジ「ていうか笑ってないで掃除するの手伝ってよ!」
マリ(ごめん。正直キュンキュンしてそれどころじゃない)キュン
マリ(だってわんこくん、どー見たってゲロるほど飲んでなかったし。すぐそこに台所の流しがあるのにそこまで行かないし。せっかく解いたビニール袋も使わないし)
シンジ「もう、トリコローレカラーのゲロだよ。でもだからと言って綺麗なわけではぜんぜんないよ……」フキフキ
マリ「わんこくんはえらいねー」ナデナデ
シンジ「せめて手を洗ってよ!」
マリ(もうバレバレなのが逆にキュンキュンくる)キュンキュン
シンジ(いいんだ。僕がゲロれば何もかも解決するんだ。ならゲロってもいいんだ。僕はゲロっていいんだ! だから真希波だってゲロっていいんだ!)
マリ(キュンキュンして死ぬ…!)
マリ「あ、わんこくんさ、ブレスケアいる?」フキフキ
シンジ「うん。もらうよ」フキフキ、パクッ
マリ「あー、それにしても思ったほど食べたものが出たってわけでもないや。なんか酒、酒、料理、料理、酒、酒、酒、酒、酒、酒、料理、って感じ」
シンジ「つまみなしで飲んでたことが逆によかったんだ。まあそのせいで吐いちゃったって気もするけど……とにかく今度から水も飲まなきゃだめだよ」フキフキ
マリ「うん。そーする」フキフキ
シンジ「カーペットはどうしよっか。捨ててもいいと思うけど」
マリ「だめ! 洗って使う。せっかく買ったんだし。まあしみになってもいい思い出ってやつさ!」
シンジ「いい思い出かなあ」フキフキ
マリ(割と忘れられない思い出になりそうだよ!)ドキドキ
マリ「終わったー!」バンザーイ
シンジ「こんなこともあろうかとファブリーズと消臭力を買っておいてよかった」
マリ「うんうん。わんこくんのゲロった臭いも消えていくよ」
シンジ「あはは……」
マリ「じゃ、お風呂にしよっか」
シンジ「うん、僕はその間にお皿でも洗っておくよ」
マリ「それ、私も一緒にやる」
シンジ「じゃあ、えーと、おとなしく待つよ」
マリ「? 一緒に入ればいいじゃん」
シンジ「」
マリ「大丈夫だよ、なんにもしないって。わんこくんのわんこくんがわんこくんでも気にしないしおおかみくんになっても笑わないから」
シンジ「逆だよ! 何にもしないっていうのはむしろ僕が言うべきことだよ! なんなんだよ、冗談にも程があるよ!」
マリ「本気なんだけどなー。ほら、こんな可愛い子の裸が生で拝めるんだぞー?」ウリウリ
マリ「わんこくんだっていつまでもゲロまみれでいたくないでしょ? 私、お風呂長いから小一時間はそのまんまになるよ?」
シンジ「で、でも……」
シンジ(無理だよ。……今まで見たことも聞いたこともないのに冷静でいられるわけないよ!)
加持(シンジくん、何事も経験さ。俺も昔は童貞だった。誰しもそうなんだ)
シンジ(直接脳内に語りかけるのはやめてよ!)
シンジ(逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ)カッ
シンジ「いきます。……僕をこのマンションのバスルームに入れてください!」
マリ「よし、レッツゴー!」ダッ
マリ(ってOKするんだー! マジか……ま、マジかー、そうかー、そうくるかー)ドキドキ
脱衣所
ジリ…ジリ…
シンジ「ど、どうしたんだよ。……早く脱いでよ!」ジリッ
マリ「わんこくんが脱いだら脱ぐ」ジリッ
シンジ「なんだよ! なんで誘っておいて恥ずかしがるんだよ! じゃあ僕は外で待つよ!」
マリ「えっ」
シンジ「……嘘だよ!」
シンジ(なんだよ、そんな残念そうな顔されたら出ていけないよ!)
マリ「んー、じゃ、ちょっと向こう向いてて」ホッ
シンジ「望むところだよ!」バッ
シンジ(そうだ。タオルだ。タオルがあるんだ! タオルさえあれば水着と同じじゃないか! 変に意識するからいけないんだ!)
スル…スル…パサッ…
シンジ「…………」ゴクリ
マリ「じゃ、おっさきー!」バタン
シンジ「……ふう。僕も脱ごう。恥ずかしさは凄いけどなんか別に興奮したりはしないや」ヌギヌギ
シンジ「確かにゲロまみれで小一時間も待つのはつらいし、真希波の好意に与ろう。そうだよ、変に意識するからいけないんだ。友達の家に来て一緒に風呂に入るだけじゃないか」スルスル
シンジ「まして真希波は仲間じゃないか。同じ釜の飯を食って裸の付き合いをしたって何の問題もないよ。大体、プラグスーツ姿の方がよっぽどだよ! なんだよあれ! 誰が考えたんだよ!」タオルマキッ
シンジ「真希波、入るよ」
マリ「どうぞー」
ガラッ
マリ「わんこくん、いらっしゃーい!」アハーン
ピシャッ
シンジ「……全裸だったよ! さすがの僕もこれは予想外だよ! エントリープラグのLCL濃度が最大になるよ!」
マリ「ちょ、いきなり扉しめるとかその反応はレディに対して失礼じゃないかにゃー!」
シンジ「むしろ最大限の敬意のあらわれだよ!」
スーハースーハー
シンジ「よし!」
ガラッ
マリ「お」イヤーン
シンジ「」ダンッ
シンジ「なんでだよ。なんでタオルしてないんだよ。僕のわんこくんがわんわんおだよ!」
マリ「あのさー、わんこくん、タオルをつけてお風呂に入るのはいけないことなんじゃないかなあ」
シンジ「時と場合によるだろ! 時と! 場合に! よるだろ! 第一真希波の部屋のお風呂じゃないか! それにしてもバスタブ広いね!」
マリ「うん。真四角に近い形で面白いよねーこれ。お風呂好きだからさ、広いところを選んだんだ。ジャグジー機能もあるよ」
シンジ「すかさずオンだよ! よし、これでお湯が濁って中が見えなくなった! 科学の勝利だ!」
マリ「あ、わんこくんさ、身体洗うでしょ。流したげる」
ザバー
シンジ「」
ゴシゴシ
マリ「うーん、わんこくんも男の子だねー。やっぱり骨格がゴツゴツしてるよ。肌も私より黒いし」
シンジ「うん。まあ…そうかもしれないね。それに日本は四六時中夏で日差しも強いから…」
シンジ(前の鏡に真希波の裸がかいま見えるよ! 父さん! 父さん、どうしたらいいんだよ父さん!)
マリ(にゃ! よ、よく考えたらこれ背中を流したあとはどうすればいいんだにゃ!? 前も!? いや、いやいやいや……)
ゴシゴシ
シンジ「あ」
マリ「にゃ?」
シンジ「あ、ううん。な、なんでもないよ。なんでもないよ!」
マリ「……今、シャンプーの買い置き忘れたなあ、とか考えた?」
シンジ「か、考えてないよ! ほんとだよ!」
マリ「わんこくんはたしか髪も石鹸で洗ってるんだよねー。そっかー。女の子を裸に剥いてもそういうこと考えちゃうかー」プルプル
シンジ「だって仕方ないじゃないか! アスカが」
マリ「」ガシッ、グイ
シンジ「真希波、首! 首だけ後ろに回すのは」
マリ「ちゅーするから」
シンジ「!?」
マリ「次にお姫の名前を出したらちゅーする」
シンジ「」
マリ「わかったね?」
シンジ「は、はい」ブルブル
マリ「よろしい。じゃ、私は湯船に戻るよ」バシャー
シンジ(……あれ? なんかやりとりおかしくなかった? あれ?)
ザパー
シンジ「ふー。えっと、お、おじゃましまーす」
マリ「どうぞー」
ザブーン
シンジ「はあ」
マリ「風呂はいいねえ」
シンジ「うん、疲れが染み出すよ」
マリ「にゃ。私といて疲れたってことかにゃ」
シンジ「真希波は忘れてるみたいだけど炎天下の下で凄い重労働をさせられたからね! 僕は忘れてないよ!」
マリ「にゃはは。このこのー」ツンツン
シンジ「ごまかさないでよ! 完全に筋肉痛コースだよ!」
カポーン
マリ「はー。きもちー」ドロー
シンジ「湯あたりしないように気をつけてね」ドロー
マリ「んー、そしたらわんこくんに運んでもらうよー」ドロー
シンジ「さすがの僕もそろそろ限界だよ」ドロー
マリ「あー」ドロドロー
シンジ「うあー」ドロー
マリ「そういえばわんこくんさあ」ドローン
シンジ「んー?」デローン
マリ「私の髪の毛洗いたいって言ってたよねー」ザパッ
シンジ「……あ」
マリ「というわけで任せるよー」ザパー
シンジ「うん。えーと、シャンプーの容れ物はどれ?」ザパー
シンジ(なんかすっかりこの雰囲気にも慣れてきたよ……)
ワシャワシャワシャワシャ
マリ「にゃー」トローン
マリ(あー、わんこくんの手が私の頭皮をもみ洗いしてるにゃー。人にやってもらうのは気持ちイイ……)
シンジ(これ毛先ってどう洗うんだろう)ワシャワシャ
シンジ(それにしても真希波の背中の綺麗さが尋常じゃないよ。もうこれギリシャ彫刻か何かだよ。石膏か何かできてるようにしか思えないよ)
シンジ(集中。集中。目標をセンターに入れてわしゃわしゃ、目標をセンターに入れてわしゃわしゃ、目標をセンターに入れてわしゃわしゃ)
マリ「にゃっ!」ビクン
シンジ「うわっ! な、なに? どっか絡まった!?」
マリ「な、なんでもない」アセアセ
マリ(み、耳のところを優しく撫でられた。びっくりしたあ……)ドキドキ
シンジ「そっか」ワシャワシャ
マリ「ん」ビクビク
シンジ(なんかこうコツを掴んできたよ!)
シンジ「フンフンフンフン♪(第九)」
マリ「あ、ぅん」ビクビク
シンジ「フーンフフーン♪(第九)」
マリ「あはぁ」ビクン
シンジ「気になるよ!」
マリ「わぁ!」ビクッ
シンジ「なんだよ! 気になるよ! 鼻歌でごまかそうとしたけど無理だよ! 変な声出さないでよ!」
マリ「ご、ごめん。ついつい、ね!」テヘペロ
シンジ(くそっ、可愛い!)
ザバー
マリ「ふー。正直尋常じゃなくすっきりした」
シンジ「僕は逆に悶々としたよ!」
マリ「にゃ?」
シンジ「それわかってやってるよね! もういいよ! 僕は自分で頭を洗うから!」ワシャワシャ
マリ「んじゃ、私はおっさきー」ザパー
シンジ「あ、冷凍庫にジェラートの残りがあるから一緒に食べようよ」ワシャワシャ
マリ「んー、オッケー」グッ
ガラッ
マリ「」
ピシャ
マリ(……なんかこれもうずっとこのままでイイんじゃないかにゃって感じになってきちゃったなあ)
ガチャ
マリ「こ、これかぁー? うっわ、カチンコチンじゃん。そりゃあのあとかき混ぜなかったんだし当然か」コンコン
マリ「んー、電子レンジでチンしたら溶けるかにゃ」
マリ「なんてね。こういう時は湯煎に限る」グツグツ
マリ「なんか底の方だけ溶けてあれな感じに……やっぱり自然解凍する! うん、あとでわんこくんに聞こう!」
シーン
マリ「はっやくー♪ はっやくー♪ 早く上がってこないかなー♪」
シーン
マリ「……わんこくん、明日帰っちゃうんだよね」ンー
シーン
マリ「暇だなあ……」
シーン
マリ「まっだかな、まっだかなー♪ フーンフーンフーン♪」
シーン
マリ「……いやさすがに遅すぎじゃないの?」
シーン
マリ「あ、あれー? わんこくん、あれかな。もしかしてあれがあれでああなってわんわんがわおーんしてるんじゃ」
…………
マリ「行くしかない!」ガタッ
フーンフフーン
マリ「しっあわーせはーあーるいーてこーないー♪」
ダーカラ
マリ「あっるいっていーくんーだねー♪」
ガララッ!
マリ「わんこくん、遅いぞ―!」
シンジ「」グッタリ
マリ「ちょ」
シンジ「真希波、あえて言うけど来るのが遅いよ……僕が何してると思ってたんだよ……」バタリ
マリ「ちょっとわんこくん! え、ちょ、平気? 大丈夫?」バッ
シンジ「パンツを履くまでが限界だったよ……」
マリ「偉いよ! わんこくん偉い!」
シンジ「」
マリ「って言ってる場合じゃないね! えっと、えっと、えええ、ど、どうしよう。救急車呼ぶ? ね、わんこくん!」ユサユサ
シンジ「」
マリ「わ、わんこくん……?」
シンジ「あ、うん……や、のぼせただけだから。なんか氷嚢とかあればそれでいいよ」
マリ「わかった!」ダッ
シンジ「はあ。今日はゲロったりのぼせたり大変な日だ……」グテー
リビング
マリ「もう平気?」
シンジ「だいぶよくなったし膝枕もしてもらえて正直嬉しいよ」
マリ「にゃー。ごめんね、わんこくん。きっとお昼に働かせすぎたのが悪かったんだ」シュン
シンジ「あながち否定はできないよ」
マリ「にゃー……」
シンジ「いいんだ。張り切り過ぎてゲロったり倒れたりしてもいいんだ。悔いはないよ……」
マリ「わんこくん……」
マリ「もうゲロったことの話は忘れたいんだけどな」チラッ
シンジ「ご、ごめん」
マリ「うんうん。あ、ほら、わんこくんの熱でジェラートもいい感じにとけてきたよ。氷嚢にもなるしデザートにもなるしジェラートは万能だね!」
シンジ「だいぶ何かが間違ってるよ……」
シンジ(真希波、長めのTシャツとパンツ一枚だ。濡れた髪をタオルで巻いてアップにしてるし。お風呂の時から眼鏡もかけてないし……)
シンジ(なんか素顔って感じがするな)
マリ「ほら、わんこくん、あーん」
シンジ「い、いいよ。恥ずかしいよ」
マリ「今更何を恥ずかしがるのさ。ほら、あーん」
シンジ「あ、あーん」アーン
ガッ
マリ「あっ」
シンジ「そうだよ! 真希波、視力悪いんじゃないか! いいから眼鏡かけてきなよ! 僕はもう大丈夫だよ! ごらんの通りだよ!」
マリ「う、うん。じゃ、かけてくる」ニャハハー
マリ「かけてきたにゃ!」スチャ
シンジ「うん。真希波! って感じがする。素顔も可愛いけどね」
マリ「でへへ」テレテレ
マリ(あれ? っていうかもしかして眼鏡が本体って言われた…?)
シンジ「じゃ、ジェラート食べよっか」
マリ「うん。あ、食べ終わったら髪を乾かさせてあげるよ」
シンジ「お言葉に甘えるよ」
マリ「素直でよろしい!」
モグモグ
マリ「んー! 風呂あがりも格別!」モギュモギュ
シンジ「これ食べたら歯磨きして寝よっか。まだ9時前だけど色々やってくたくただよ」
マリ「んー、寝たら明日になっちゃうじゃん」
シンジ「ならなかったらこわいよ!」
マリ「エンドレスエイトだにゃー」ウフフ
マリ「なんか映画でもみようよ。わんこくんは映画は好き?」モグ
シンジ「人並みには好きだよ。でも人と一緒に映画をみると2時間無言が続いて妙な気持ちになるっていうか」
マリ「あー、それもそっか。二人でだんまりするのはもったいないね」モグモグ
マリ「んー、ゲームでもする?」
シンジ「真希波ってゲームするんだ。どんなやつ?」
マリ「デモンズソウルかダークソウル、またはメタルウルフカオス」
シンジ「フロム脳かよ!」ダン!
マリ「箱○二つあるしダクソでタイムアタック競争しようよ」
シンジ「やだよ! ネタがマニアック過ぎるし第一それそういうゲームじゃないよ!」
マリ「わんこくんはどんな装備が好き?」
シンジ「ゴーレム装備だよ! って、とにかくゲームもなし! テレビでも見ながらだらだらしようよ!」
マリ(あ、それいいなあ)キュン
ブオー
シンジ「熱くないかな」
マリ「んーん、きもちーよー」バサバサバサ
シンジ(すごいや。なんていうかすごく…すごいや。なびいてる)
マリ「あー」バサバサバサ
シンジ「梳かすよ」
マリ「うん」
サッサッ、サッサッ
マリ(あー、お姫さま気分ってこういうのを言うんだにゃー)ポカポカ
シンジ(女の子の匂いがする。あれってシャンプーの匂いだったんだ。でも香料って身体に悪いんじゃないかな。これって大丈夫なやつなのかな)クンクン
マリ(わんこくんが私の匂いでわんわんしてる……)ドキドキ
シンジ「これでいいかな」
マリ「サンキューわんこくん。イイ仕事だったよ。心がポカポカした」
シンジ「それはよかった」
マリ「んー、テレビ、テレビかあ。私、テレビってあんまりみないんだよね。わんこくんはみたい番組とかある?」
シンジ「実は僕もあんまり。HNKで音楽番組でもやってればいいんだけど」
マリ「にゃー。んー」カチカチ
マリ「一番面白そうなのは土曜のスペシャルドラマ……かなあ」
シンジ「タイトルは?」
マリ「『野風の笛 鬼の剣松平忠輝天下を斬る!』」
シンジ「予想外の渋さだよ!」
マリ「やー、あっちが長いからこういうコテコテの日本モノが好きんなっちゃって。あ、でもわんこくんがみたくないなら別に」ソワソワ
シンジ「いいよみるよ! そんなソワソワされたらみるしかないよ! とりあえず飲み物でも作ってくるよ!」
マリ「お酒でよろしくー」
シンジ「少しは懲りてよ!」
シンジ「アメリカン・レモネードを作るよ! って、僕は誰に説明してるんだ! とにかく作るよ!」ガチャ
シンジ「まずグラスに蜂蜜を入れて少しのお湯でとかす」カチャカチャ
シンジ「そこにレモンをたっぷり絞る」ギュー
シンジ「冷えた水をグラスに半分まで注ぐ」ジャバー
シンジ「そこに赤ワインを静かに注ぎ入れる」スーッ
シンジ「すると上下が白と赤にはっきりわかれた綺麗なアメリカン・レモネードになるんだ」ドヤ
シンジ「真希波、できたよー」カチャカチャ
マリ「お、おおー!? わんこくん、なにそれ! なんでそんなんなってんの!?」
シンジ「(`・ω・´)」ドヤァ
マリ「(♯^ω^)」イラッ
シンジ「実は前にテレビで見てから一度やってみたいと思ってたんだ。思わずドヤっちゃったよ。ごめん」
マリ「正直凄くイラッときた」
マリ(でもそこも可愛い)キュン
カズサノスケサマー!
シンジ「久しぶりにみる時代劇っていいなあ」
マリ「ね。日本ー! って感じだよね」
ピリリ… ピリリ…
マリ「にゃ」
シンジ「あ、僕の携帯。アスカからだ」
マリ「…………」
パシ、ピッ、ポーイ
シンジ「って、な、なにすんだよ! さすがに今のはないよ! なにか大事な用事だったかもしれないだろ!」
マリ「わんこくん、私の言ったことを覚えてないとは言わせないよ?」
シンジ「今のは不可抗力だよ! ノーカンだよ!」
ピリリ… ピリリ…
シンジ「ほら、やっぱり大事な用なんだ!」バッ
バシッ
シンジ「手をどけてよ!」
マリ「やだ」
シンジ「なんでだよ!」
マリ「うちに泊まってるって伝えてあるんだし、本当に大事な用なら私の電話にかかってくるはずだから」
シンジ「それもそうか……」
マリ「ね?」
ピリリ… ピリリ…
マリ「だからとらせるわけにはいかないなあ」
814 : 以下、名... - 2012/12/16(日) 00:28:02.30 XhZhJyYd0 82/111ドヤァの人じゃないよ! Qの人でもないよ!
SS書くのもVIPにスレ立てするのも初めてだよ!
ピリリ… ピリリ…
シンジ「真希波、本気なの……?」
ピリリ… ピリリ…
マリ「ばかだなあ、わんこくんは。女の子がさあ、なんとも思ってない男の子を部屋に入れるわけないじゃん。一緒にお風呂入るわけないじゃん」
シンジ「!?」
シンジ(携帯を持った手を押さえつけられてそのままソファの上で馬乗りになられてる感じだよ! どう考えても男女が逆だよ!)
ピリリ… ピリリ…
マリ「どうすんの? わんこくん、それさ、出る? 出てもいいけど、出たら私の部屋からも出てってもらうから」
ピリリ、ピリリ……ピッ
マリ「……ほら、つながっちゃったよ」
シンジ「真希波……か、顔が尋常じゃなく近いよ」
マリ「出てもいいんだよ……?」
シンジ「真希波、そのままだと……」
マリ「姫に全部聞こえてるよ……ね、どうする? どんどん時間はなくなってくよ……」ジー
シンジ「…………」
ピッ
マリ「……出ないんだ?」
シンジ「さすがの僕も腹をくくらざるを得ないよ……」
マリ「ふーん」スー
マリ「ふふーん」ススー
マリ「ふふふーん」スススー
シンジ「真希波? ちょ、真希波……なんでだよ! なんでちょっとずつひいてくんだよ! 真希波!」
マリ「ちょ、ちょっとタンマ! タンマ! ね? 落ち着かせてよ! おわばばばばばあひゃー!」ダッ
シンジ「洗面所に隠れちゃったよ……」
ポツーン
シンジ「携帯、電源も落としちゃった。もうなるようにしかならないや。アスカでもこの時間から外を出歩くようなことはしないだろうし……」
ポイッ
シンジ「……今更だけどめちゃくちゃ恥ずかしいよ! 何事だよ! 一体僕の身に何が起こったんだよ!」ダンダンダンッ!
シンジ「はあはあ。そりゃうまくいきすぎだと思ったよ。違和感バリバリだったよ! でも帰国子女だしそんなもんかと思ったんだよ! 」
シンジ「うわあああああ!」ゴロゴロゴロ
ピタッ
シンジ「落ち着くためにりんごでも剥こう……」
マリ(ううー、顔の赤さが尋常じゃないよ! っていうか私もわんこくんも「尋常じゃないよ」って今日何回言ったよ!?)アワアワ
マリ(ってか、あれはOKなの? OKなのかわんこくん!? これでもしも「あ、そういう意味じゃないんだ」って言われたら立ち直れる自信がないぞ!)
マリ(で、でもでもでもでも、姫の電話も切ったし姫よりは上っていうか)
マリ(あー、姫、ほんっとめんご……でも「All is fair in love and war」だよ。私は一緒に住んでるわけじゃないから機会と見れば絶対に逃さないんだ)
マリ「よ、よし、とりあえず戻ろう。わんこくんを一人にするのはさすがにかわいそうだ」
テクテクテクテク、ソーッ
シンジ「…………」
マリ(一心不乱にりんごを剥いてる。……あ、うさぎさん)キュン
868 : 以下、名... - 2012/12/16(日) 01:09:39.59 XhZhJyYd0 87/111ダッと逃げ出したマリが洗面所に隠れちゃったってことだよ!
わかりにくくてごめんね!
シンジはダイニングでりんごを剥いてたよ!
マリ「|ω・`)ジー」
シンジ「……食べる?」
マリ「|(ω・`)ウン」
ガタ、ストン
マリ(しょっぱい。ちゃんと塩水にひたってたやつだ)シャクシャク
シンジ(もうテレビの番組とか心底どうでもいいよ。今日一日で色んなことが起こりすぎたよ)
マリ「わんこくんさあ」
シンジ「!?」
マリ「あ、うん。手先器用だよねー、みたいな……」
マリ(今話す話題これじゃないじゃん! でもでもでも、あわわわわ)
シンジ「う、うん。まあね」
マリ「私はりんごの皮むきとか絶対むりだね」
シンジ「そんなことないよ、真希波にもできるよ」
マリ「わんこくん、ちゅーしよっか」
シンジ「」ブーッ!
シンジ「か、会話の流れしっかりしてよ! 頼むよ! 不意打ちは無理だよ!」
マリ「でもどう切り出せばいいのかわかんないじゃん!」
シンジ「そ、そりゃそうだけどさ」
マリ「ぶー、わんこくんが嫌ならいいけどさ」
シンジ「いいよやろうよ! ちゅーするよ!」ガタッ
マリ「あ、でも歯磨きしてからね」
シンジ「それもそうだよ!」ストン
マリ「……」モグモグ
シンジ「……」モグモグ
マリ(……わんこくんのくちびるわんこくんのくちびる)ジー
シンジ(めっちゃガン見されてて食べづらいどころの話じゃないよ!)
洗面所
マリ(実は歯ブラシが二個並んでるのって憧れてたんだよねー)
シンジ「あ、真希波の歯磨き粉って外国のやつなんだ。へー、日本じゃぜんぜん見かけないや」
マリ「んー、あっちにいた頃に使ってたやつを歯ブラシと一緒にそのまま持ってきた」シャコシャコ
シンジ「歯ブラシと歯磨き粉ってワンセットみたいなところあるしね」シャコシャコ
マリ「…………」シャコシャコ
シンジ「…………」シャコシャコ
マリ(今更だけど夕食ににんにくとか唐辛子とか肉とかあんなにがっつり食べなきゃよかった……)ズーン
シンジ(そういえばなんか前にも似たようなことをした気がするなあ……)シャコシャコ
マリ(でもブレスケア食べたし大丈夫! 今の私のお口はばっちりミントの香りだよ! でも心配だからあとでもう一個食べておこう……わんこくんのファーストキスはミントの香りだ!)
シャコシャコシャコシャコ
ガラガラガラガラ、ペッ
マリ「うわー! わんこくん、人が変な顔してるところを覗かないの!」
シンジ「覗いてないよ!」
寝室
シンジ「」
マリ「? わんこくん、どしたの。ぼーっとしちゃって」
シンジ「呆れてたんだよ! なんで洗面所から寝室直行なんだよ! おかしいよ!」
マリ「私も結構眠くなってきちゃったんだよねー。あとはベッドの上でごろごろイチャイチャしようよ」
シンジ「真希波と一緒の部屋でなんて寝れるわけないだろ! 僕はリビングに布団でも敷いて寝るよ!」
マリ「わんこくんさ、それ本気で言ってんの?」
シンジ「」
マリ「一人で寝かせるわけないじゃん。わんこくんがリビングにいくなら私もリビングで寝るよ」
シンジ「僕の理性がそんなに信じられるのかよ!」
マリ「シンジだけに?」ププーッ
シンジ「ギャグじゃないよ! ギャグじゃ! ないよ!」
マリ「いーからいーから。何されたって文句言わないからさ。ほら、出かける前に干してったから布団もフカフカだよ」
シンジ「干したのも取り込んだのも僕だけどね!」
シンジ「とりあえずベッドの上に座るよ」ヨイショ
マリ「じゃあ私もおじゃましまーすってね」コロン
シンジ「僕が膝枕する形になったよ!」
マリ「あはは。さっきしてあげたじゃん。お返しお返し」スリスリ
シンジ「それにしてもベッドとクローゼットしかないんだね」
マリ「今はわんこくん二号があるよ」
シンジ「!?」
マリ「ほら、あれあれ」
シンジ「あ、あのサボテン……そっか、寝室に持ち込んだんだ。どうりで見当たらないと思ったよ」
マリ「人のいない寂しいところに一人で生えてるあたりわんこくんっぽいよねー」
シンジ「どうせ僕はぼっちだよ! 屋上で一人で時代遅れの音楽プレーヤーからクラシックを聴いてるようなやつさ!」
マリ「わんこくん、どうどう」
シンジ「なんだよ、おかげで知り合えたんじゃないか! むしろぼっちなところに感謝して欲しいくらいだよ!」
マリ「そうだねー」キュン
マリ(んー、わんこくんの匂いがする…)クンクン
シンジ(冷静に考えたら真希波はノーブラTシャツにパンツ一枚だよ! 無防備ってレベルじゃないよ!)
シンジ(ちなみに僕は真希波のジャージだよ! いい匂いがするよ!)
マリ(また切り出すタイミングを見失ってしまった……うん、電気が消えたあとだ。電気が消えたあとにちゅーしよう)クンクン
マリ(それにしてもくんかくんかで脳みそトロけそうだにゃー……はあ)トロー
シンジ「…………」ソー
マリ(!? な、なんだ。何をする気だわんこくん!)ドキドキ
シンジ「…………」ナデナデ
マリ(!?)ビクッ
マリ(ふ、ふああ。当味噌トロトロ……)ゾクゾク
シンジ(寝ちゃったのかな……どうしよう。どうすればいいんだよ! なんだよ、勝手に寝るなよ! どうすんだよこの体勢!)
シンジ(まだ10時を回ったところだし暫くこのままでもいいかな……11時になっても目を覚まさなかったら何とかしよう)ナデナデ
マリ(う、うう。死ぬ。優しさに包まれて死ぬ)
シンジ(うーん、枕元の本……どれも英語だ。すごいなあ。やっぱり帰国子女なんだ)ペラ… ペラ…
マリ(にゃー。暇させてごめんね、わんこくん)
シンジ「……」ナデナデ ペラ…
マリ(でももうちょっと楽しませてもらうよ!)テヘペロ
シンジ(あ、これ翻訳版で読んだことあるやつだ。うん、なんとなく内容を覚えてるから読めるかもしれない)ペラ…
マリ(んー、あれは)チラ
マリ(わんこくん、英語いけるのかー。へー、日本人って英語はまるでだめって思ってたんだけどなあ)
シンジ(トーマス・パーク・ダ……ダンなんとか? 人の名前だけはなんて読むのかわからないや)
マリ「……」ジー
シンジ「……」ペラ…
マリ「……」ジー
シンジ(……あ、っていうか、僕と真希波は読書の趣味が同じってことじゃないか! 翻訳版と原文とは言え同じ本を読んでたってことは!)ハッ
マリ「」ピクッ
シンジ(なんだかテンション上がるや。これはベストセラーだからあっちの人はみんな読んでるのかもしれないけど)
マリ(な、なんだろう。なんか一瞬わんこくんのテンションが上ったような。あの本にそんなテンションの上がる場面なんてあったかにゃ……?)
シンジ「……」ペラ… ペラ…
マリ「……」ジー
シンジ「……」ペラ… ペラ…
マリ「……」ジー
シンジ「……」ペラ…
マリ「……」ジトー
シンジ「……ふふ」ペラ
マリ「わんこくんさあ」
シンジ「うわあ!」ビクッ
マリ「読書に熱中し過ぎじゃん? 放置プレイも飽きたよ。もっとかまって」
シンジ「勝手に寝たのはそっちじゃないか! めちゃくちゃびっくりしたよ! なんだよ、起きてるならなんか反応してよ!」
マリ「そのうち起こしてくれるかと思ってさ。てゆーか困るなー。人の部屋のものを勝手に読まれたら」
シンジ「どう考えても勝手に膝の上で寝られる方が困るよ!」
マリ「うん、よし! 寝るぞー!」
シンジ「話を逸らさないでよ! うん、でも確かに寝る時間だ! 寝よう!」
マリ「んじゃ、わんこくんはそっちね。私はこっち」
シンジ「なるべく離れて寝かせてもらうよ」
マリ「いいよ。でも枕は一つだから」
シンジ「それで離れられるわけないよ!」
マリ「ぬかったねー。わんこくんは替えのパンツと一緒に枕を買うべきだったんだ」フフン
シンジ「でも別に腕枕とかでも」
マリ「聞こえないなあ」ムギュー
シンジ(はわわ、マリの胸部装甲板が)
マリ「電気オフ」ピッ
マリ(よ、よし! 暗くなった! 雰囲気もバッチリ……だよね! わかんないけどさ!)
マリ「ね……ね、わんこくん」ドキドキ
シンジ「言いたいことはわかるよ」
シンジ(これだけドキドキ言ってればそりゃわかるってもんだよ)
マリ「ん……よし! よし、じゃ、お、お姉さんがわんこくんの初めてをもらうから……」
シンジ「ん?」
マリ「えっ」
シンジ「あ」
マリ「ちょっと待って」ガシッ
シンジ「あ、ちょ、待っ」
マリ「ねえ、わんこくん、今の間はおかしいよ。ちょっとシャレになってない。わんこくん、私の目を見て」グググ
シンジ「あ、ああ、あああああ」ブルブル
マリ「わんこくん、姫だね? 答えようによってはパンツ一枚でここから叩きだすから」
マリ「姫とちゅーしたんだ」
シンジ「」コクコク
マリ「へー。ふーん。へえええ!」ギリギリ
シンジ「」ガタガタ
マリ「で、姫を捨てて私に走ったんだ?」
シンジ「捨てるも何も僕だってよくわかんないよ!」
マリ「詳しく話を聞くよ。一応ね」
かくかくしかじかかくかくしかじか
マリ「」
シンジ「なんで絶句してんだよ! なんとか言ってよ!」
マリ「……えー」
シンジ「その反応は地味ながら深く傷つくよ……」
マリ「わんこくんってさあ、結構その場の雰囲気に流されやすいタイプだよね」
シンジ「そんなの! 見れば……見ればわかるじゃないか」ズーン
マリ「その場の雰囲気に流されて女の子とちゅーしちゃうんだ。一緒にお風呂にも入っちゃうし。一緒のベッドにも入るし」チクチク
シンジ「完全に否定はできないよ……」
マリ「否定しなよ。それこそ私が傷つくじゃんか」
シンジ「」
マリ「んー、なら私も誰かとちゅーしてこよっかなあ」
シンジ「!?」
マリ「お、傷ついたね」
シンジ「はい」ズーン
マリ「わんこくんさあ、その時はどんな感じでしたわけ」
シンジ「どんな感じって……息するなって言われたからただひたすら苦しかったよ! 正直それしか覚えてないよ!」
マリ「ふーん」モゾモゾ
マリ「じゃ、えっちな方のちゅーは初めてだよね。そっちで我慢してあげよっかな」
シンジ「!?」
マリ「なに?」
シンジ「……っていうか、僕は許されたの?」
マリ「んなわけないじゃん。次に姫と会ったらビンタ合戦だよ。この怒りをぶつけるよ」
シンジ「やめてよ! 今から胃が痛んできたよ!」
マリ「うっさいなあ。わんこくんは黙って私にちゅーされとけばいいの。って、あー、これは姫とおんなじあれだ」ムー
ムムム
マリ「わんこくんにちゅーしてもらおう」
シンジ「!?」
マリ「うん。それでもう言い逃れ不可能だ。じゃ、わんこくん、私がベッドに仰向けに寝るから上から覆いかぶさってちゅーしてくれたまえ」
シンジ「」
マリ「情熱的にね」
ギシッ
マリ「…………」ジー
シンジ「……め、目を閉じてよ。やりにくいよ」
マリ「……閉じてると緊張するし」ドキドキ
シンジ「開けてる方が緊張するだろ! 緊張感がこっちまで伝わってくるよ! いいから閉じて!」
マリ「むりむりむり! あ、あれだ。わんこくんが近づいてくるのにしたがって徐々に閉じる感じだよ!」
シンジ「わ、わかったよ。じゃあやるよ!」
マリ「…………」ジー
シンジ「ガン見かよ!」
マリ「だ、だってさ」
シンジ「これ以上ないくらい目がガッツリ開いてるよ! 来いと言われてもむりだよ! いいから閉じろよもう!」
マリ「ん、んー」パチッ
シンジ「うん。それでいいんだ。よし……」
スーッ…
マリ「…………」チラッ
シンジ「!?」
マリ「!」ドキッ
シンジ「……め」
マリ「め?」
シンジ「眼鏡が邪魔だよ! そういえば外してなかったよ! 寝るなら外すよ普通!」
マリ「あ、あー、私結構したまま寝ちゃうんだよね」
シンジ「あとチラ見はなしで頼むよ!」
マリ「えー」
Take2
シンジ(よし、眼鏡は外した。あとはちゅーするだけだ。逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ)
マリ(ま、まだかな……まだかな!? わんこくん、焦らしすぎだよ! またチラ見しちゃうよ!)
スーッ
シンジ「…………」プルプル
マリ「…………?」
シンジ(この姿勢、地味に腕が辛いよ!)プルプル
マリ(薄目でちょっとだけ……)チラ
シンジ「…………」
マリ(近っ!)ビクン
シンジ「……だからチラ見はなしだってば」
マリ「あ、ごめ……にゃっ!」ギュ
チュー
シンジ(……うん! うん、筆舌に尽くしがたいよ! あとミント!)
マリ(にゃ……柔らかい……うん、そしてミントだ!)
チュー
シンジ(……えっと、これどうすれば!?)
マリ「んー」ギュー
シンジ(背中に腕を回されたよ! 逃亡不可能だよ! えーと、たしかあの時はこう……)
チュー…
マリ「ん」ビクン
マリ(うわわ、なんか入ってきた。うわわわわ、なんかぬるぬるしてる。うわわ、うわわわわ……ん? あれ)
バッ
マリ「わんこくんさ」
シンジ「えっ」
マリ「……したことあるよね?」
シンジ「あ」
マリ「そこに正座して。場合によっては生きては帰れないよ。時と場合によっては生かして帰さないよ」
シンジ「」ガタガタガタガタ
マリ「……で?」
シンジ「はい」
マリ「はいじゃないが」
シンジ(眼鏡して腕組みして足まで組んでるよ。完全に戦闘モードだよ。一方僕はフローリングに正座だよ!)
マリ「…………」
シンジ「かくかくしかじか」
まるまるうまうま
マリ「…………」ホッ
シンジ(あ、眼鏡外した。そして腕組みと脚組みもとけた。そりゃそうだ! あの状況でミサトさんとチューして怒られたんじゃ理不尽すぎるよ!)
パーン!
シンジ「えええ! なんでぶつのさ!」
マリ「やつあたりだけど」
シンジ「なんだよ! 僕だってあれがカウントに入るなんて思わないじゃないか! 哀別のちゅーだよあれは!」
マリ「なんか……なんかイメージと違う。わんこくんはもっと子犬みたいに震えながら私にすりよってくるべきじゃんか」ボソボソ
シンジ「僕は捨て犬か何かかよ! ……よく考えたらその通りだったよ」ズーン
マリ「うん。や、ううん。ご、ごめん。なんかトラウマを掘り返すみたいな真似しちゃったじゃんか! ほら、わんこくん、こっち! 私の隣においでおいで!」パンパンポフポフ
シンジ「……」ゴロン
マリ「よしよし」ナデナデ
マリ「で、他にはもう誰とも何もしてないだろうね。今の二連続は結構きいたよ。次も同じことされたらだいぶ参るよ」
シンジ「さすがにそこまで節操なしじゃないよ!」
…………
シンジ「次ってなんだよ!?」
マリ「次は次だよ」
シンジ「そ……そうかとしか言えないよ!」
マリ「うん。ね、わんこくん、もっかいちゅーしたい?」ギュ
シンジ「う、うん。望むところだよ!」
マリ「んー、でもなー、なんかなあなあな感じになっちゃってるしなー」
シンジ(顔が近いよ!)
マリ「わんこくん、私のことはどう思ってんの? ちゃんと聞かせてくれたらもっかいちゅーしていいよ」ツンツン
シンジ「ま、真希波のことは……」
マリ「マリでいいよ、わんこくん」
シンジ「じゃあ僕もシンジでいいよ!」
マリ「うん、シンジくん」
シンジ「シンジでいいって言ってるでしょ!?」
マリ「……し、シ……恥ずい!」
シンジ「じゃあ僕も言わないよ! 実はホームセンターで一回言ってるけどそれはノーカンだよ!」
マリ「シン……シンジ……くん」
シンジ「もっと大きな声で」
マリ「ンジ……」
シンジ「もう一息!」
マリ「シンジ!」
シンジ「マリ! 好きだ!」
マリ「」キュン
シンジ「好きだー!」ガバー
マリ(うわわ)ガバー
チュー
マリ(いくらなんでも直球すぎるよ……も、むり)キュン
その夜は結局ずーっとチュッチュしてましたとさ
オワリ
145 : 以下、名無しが深夜にお送りします - 2012/12/16(日) 05:33:45 KgDBSTDY 111/111ここから盛り上げてまとめるとなるとエロシーンに行くっきゃないよ!
エロシーンなんて書いちゃったらピュアな恋愛じゃなくなるだろ!(ダンッ
第一付き合った当日に股を開くような女じゃないんだよマリは!
あと、ここまで付き合ってくれて礼を言うよ!
あとQの人のキレ芸とドヤ顔の人のドヤ芸をパクったよ!
スペシャルサンクスだよ!
じゃあみんな朝までお疲れ!
解散!

